JP2009257438A - ダイアフラムバルブ - Google Patents
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Abstract
【課題】弁室内の一部に滞留している流体が速やかに置換されるダイアフラムバルブを提供すること。
【解決手段】ダイアフラムバルブ1のバルブボディ10には、一方の面に凹状の弁室11を形成する。弁室11内には、流入ポート13から接続する流入口15を形成するとともに、流入口15を間にして対称位置に一対の流出口18、18を形成する。一対の流出口18、18はそれぞれ流出側流路19、19を介して流出ポート14に接続する。各流出側流路19、19は流出ポート14の手前で合流して流出ポート14に連通する。流入口15から弁室11内に流入する液体は一対の流出口18、18から流出側流路19、19を通って流出ポート14に流れて、新たな液体を流入させる際に、弁室11内に貯留する液体を速やかに減少させる。
【選択図】図1
【解決手段】ダイアフラムバルブ1のバルブボディ10には、一方の面に凹状の弁室11を形成する。弁室11内には、流入ポート13から接続する流入口15を形成するとともに、流入口15を間にして対称位置に一対の流出口18、18を形成する。一対の流出口18、18はそれぞれ流出側流路19、19を介して流出ポート14に接続する。各流出側流路19、19は流出ポート14の手前で合流して流出ポート14に連通する。流入口15から弁室11内に流入する液体は一対の流出口18、18から流出側流路19、19を通って流出ポート14に流れて、新たな液体を流入させる際に、弁室11内に貯留する液体を速やかに減少させる。
【選択図】図1
Description
本発明は電磁弁のバルブ構造に関するものであり、特にダイアフラムでバルブボディのバルブの開閉をつかさどるように構成したダイアフラムバルブに関する。
通常、電磁弁は、固定鉄心とプランジャとを備えるソレノイドと、流路を開閉して流入ポートから流出ポートへと流出する流体の流れを制御するバルブボディとを備えている。バルブの開閉については、主に、ダイアフラムを使用するものと非ダイアフラムを使用するものとがある。耐薬品性を高くする場合には、ダイアフラムタイプが有利であり、高圧力を対応する場合や大量生産向きで安価に構成する場合には非ダイアフラムタイプが有利である。
従来、ダイアフラムを使用した電磁弁は、例えば、特許文献1によって知られている。これ等の電磁弁に使用されているダイアフラムは、いずれも周縁部がバルブボディに固定され、中央部がアクチュエータ(ソレノイド)部のプランジャ先端部に装着されて、バルブボディの弁座に着座可能に配置されている。従って、プランジャの往復移動により、ダイアフラムの中央部が、弁座に着座して弁を遮断するか、弁座から離れて弁を開放するかの制御が行われる。
また、特許文献1においては、1流入ポートに対して1流出ポートが示されている。つまり2方弁タイプであり、弁室内から流入ポートに連通する流出側流路は1個に形成されている。
特開2001−330161公報
しかし、流体を分析する分析装置等の高精度機器に電磁弁を使用する場合、複数の流体を分析することになると、流体を順次入れ替えながら弁内を通すことになる。この場合、前の流体を除去した状態で新たな流体を弁内に流入することになるが、前の流体が残っていると、分析精度の低下となって現れる。上述の電磁弁においては、弁室内に後述するデッドボリュームが生じて流体が貯留される虞があるから、上述のような高精度機器には使用することが困難となっていた。
これを図6〜8で解かりやすく説明する。図6は、2方弁で構成された電磁弁50であり、弁室内において1流入口58に対して1流出口59を備えて構成されているものである。
電磁弁50は、固定鉄心52とプランジャ53を備えたソレノイド51と、弁座56aを有して流体(以下、液体で説明する)の流れを制御するバルブボディ55とを備えて構成されている。プランジャ53の先端には、周縁部がバルブボディ55に嵌入されたダイアフラム54が螺着されて弁室56内の弁座56aに着座可能に配置されている。バルブボディ55の弁室56内では、図7に示すように、流入ポート57から接続された流入口58に対して1個の流出口59が形成されている。流出口59は流出側流路60を介して流出ポート61に接続されている。
このバルブボディ55の開弁状態において、液体は弁室56内の流入口58から流出口59に向かって流れる。この際、流出口59が弁室56内の一方に形成されているため、図8(a)に示すように、流出口59側に流れる液体は、その流速が速く短時間で流出口59に流れることになるものの、流出口59と反対側に流れる液体は、緩速な流れとなって周壁部に向かうことになる。この緩速な流れの液体は、反対側の流出口59に移動するまでには時間を要することになり、図8(b)に示すように、流入口58から流出口59へと至る最短流路から外れる(図に示す斜線部)。これをデッドボリュームといい、デッドボリュームに液体が溜まると、新たな液体を流入する際、デッドボリュームに滞留した試薬や検体が流入口58から流入する液体に置換されるのに時間を要するため、測定誤差を生む原因となって、分析精度の悪化を招くことになってしまう。また、測定対象を変更する場合、試薬や検体を一旦洗い流すことになるが、その際の洗浄作業においても、デッドボリュームに滞留した試薬や検体が原因となり、処理時間が長くなったり完全な洗浄の阻害となったりしていた。
従って、特に分析装置等の高精度機器においては、液体を交換する際に、弁室56内に液体がなるべく滞留しないように構成することが望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、単体あるいは複数の流体を高精度に分析する際、分析装置に対応できるように、弁室内において、滞留の発生しにくいダイアフラムバルブを提供することを目的とする。そのため、本発明に係るダイアフラムバルブを以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1記載の発明では、直動するプランジャを備えたソレノイドと、前記プランジャの先端部に配設されるダイアフラムと、流入ポート及び流出ポートを有して前記ダイアフラムが着座可能な弁座を有するバルブボディと、を備えたダイアフラムバルブであって、前記バルブボディには、凹状の弁室が形成され、前記弁室内部に複数の流出側流路を有し、それらが合体して一つの流出ポートへと連通することを特徴とするものである。
請求項1記載の発明では、直動するプランジャを備えたソレノイドと、前記プランジャの先端部に配設されるダイアフラムと、流入ポート及び流出ポートを有して前記ダイアフラムが着座可能な弁座を有するバルブボディと、を備えたダイアフラムバルブであって、前記バルブボディには、凹状の弁室が形成され、前記弁室内部に複数の流出側流路を有し、それらが合体して一つの流出ポートへと連通することを特徴とするものである。
請求項2記載の発明では、前記弁室内に複数形成される前記流出側流路の流出口が、流入ポートから接続された流入口の中心に対して対称位置、又は等角度の位置に配置されていることを特徴としている。
請求項3記載の発明では、直動するプランジャを備えたソレノイドと、前記プランジャの先端部に配設されるダイアフラムと、流入ポート及び流出ポートを有して前記ダイアフラムが着座可能な弁座を有するバルブボディと、を備えたダイアフラムバルブであって、前記バルブボディには、凹状の弁室が形成され、前記弁室内部に複数の流入側流路を有し、前記流入側流路が一つの流入ポートから連通されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、ダイアフラムバルブは、プランジャの移動により、ダイアフラムが弁室内の弁を開放すると、流入ポートの流入口から弁室内に流入した流体は、複数の流出側流路を通り、合流されて1つの流出ポートに向かって流れて外部に流出される。この際、弁室内においては、複数の流出側流路が形成されているため、流体は弁室から急速に流出側流路に流れて、スムーズな流れを行うことができる。
従って、新たな流体を弁室内に流入する際、新たな流体を流すことによって弁室内に残された前の流体が速やかに除去されて短時間で置換を行うことができる。そのため、従来のように滞留した流体により次の流体の分析精度の悪化を招いたり、洗浄の阻害になったりすることを改善することができる。しかも、従来の構造のまま、孔を形成するだけであるから、廉価な費用で品質を向上することができる。
また、弁室内に形成された流出側流路が、流入口に対して2個であれば、流入口を間にして対称位置に形成され、3個以上であれば、流入口の中心に対して等角度の位置に形成されれば、弁室内の流体を偏ることなく流出口から流出できる。
さらに、この発明は、弁室内に形成される流入口を複数に形成しても、同様な効果を得ることができる。つまり、弁室内において、流入ポートから複数の流入側流路を介して接続された複数の流入口と、流出ポートに1個の流出側流路で接続された1個の流出口を備えている。新たな流体を流入する場合に、複数の流入口から新たな流体を流入することによって、弁室内に残されていた流体は、新たな流体に押し出されて流出口に向かうことになる。そのため、前の流体から新たな流体に置換する時間を短時間で行うことができる。
次に、本発明のダイアフラムバルブの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明の中で、分析される流体は、液体でも、気体でもいずれも適用するものであるが、以下、液体で説明する。
図1は、第1の形態である2方弁NC(常時閉)タイプのダイアフラムバルブの断面図を示すものであり、図2は、そのバルブボディのみを示す平面図である。ダイアフラムバルブ1は、ソレノイド2とバルブボディ10とを備えて構成されている。
ソレノイド2は、ケース3内に配置された固定鉄心4と固定鉄心4に対して接近離隔する方向に移動可能に配置されるプランジャ5と、固定鉄心4とプランジャ5を内部に嵌合するコイル6とを備えている。固定鉄心4におけるプランジャ5側端面には軸心方向に沿って凹部4aが形成され、凹部4a内にプランジャ5をバルブボディ10側に付勢するコイルばね7が収納されている。
プランジャ5の下部には、ダイアフラム8が装着されている。ダイアフラム8は、例えば、フッ素ゴムなどの比較的柔らかく耐食性の良いエラストマーで形成されているか、又は四フッ化エチレン樹脂(PTFE)などの耐食性のよい樹脂材で可撓性を有して形成されるとともに、中央部に円柱状のボス部81が形成され、その周りに円板状の薄板胴体部82が形成されている。薄板胴体部82の周縁部には、リング状の突起部83が全周にわたって下方に向かって形成されている。リング状の突起部83は、バルブボディ10の上面に形成されたリング状溝20に嵌入されている。ボス部81の上部は雄ねじ81aが形成され、プランジャ5の下面に形成された雌ねじ5aに螺合している。ボス部81の下端部は、後述の弁室11内の弁座17に着座可能な弁部84を形成している。
図1〜2に示すように、バルブボディ10は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの耐食性の良い樹脂材で円柱状に形成されている。バルブボディ10の上面中央部に凹状の弁室11が形成され、下面にベース25と係合する係合凹部12が形成されている。バルブボディ10の側面には直交する方向に、流入ポート13と流出ポート14とが形成されている。弁室11の底面11aには、中央部に流入口15が形成され、流入側流路16を介して流入ポート13と接続されている。流入口15の周りにダイアフラム8と着座可能な弁座17が形成されている。
弁室11内における流入口15の周りには、流入口15を間にして一対の流出口18、18が対称位置に形成され、流出側流路19、19を介して流出ポート14に接続されている。一対の流出側流路19、19は、流出ポート14の前で合流して1本の流路として形成されている。
また、バルブボディ10の上面には、弁室11の周りに、リング状溝20が形成され、前述のダイアフラム8の突起部83が嵌入されている。従って、ダイアフラム8は、周縁の突起部83がバルブボディ10のリング状溝20に嵌入することによってバルブボディ10と固定されている。一方、プランジャ5の往復移動でダイアフラム8の弁部84が弁座17に着座可能になり、液体の流れを開放したり遮断したりすることとなる。
次に上述のように構成されたダイアフラムバルブ1の作用について説明する。
ソレノイド2においては、コイル6が励磁することによってプランジャ5が固定鉄心4に対して接近する方向に移動する。プランジャ5は、コイル6が励磁されていないときには、コイルばね7によって固定鉄心4から離隔する方向に移動されていて、この際、ダイアフラム8の弁部84はバルブボディ10の弁座17に着座している。そのため、弁室11の流入口15を塞いでいる。コイル6の励磁により、プランジャ5が固定鉄心4に吸着されて上方に移動することによって、ダイアフラム8の弁部84が弁座17から離隔して流入口15を開放する。
一方、バルブボディ10の流入ポート13には、外部からの液体回路が接続されていて、液体が流入側流路16を通って弁室11の流入口15まで流入されている。ダイアフラム8が弁座17に対して離隔することによって、流入口15まで流入されていた液体が、弁室11内に流入する。弁室11内に流入した液体は、流入口15に対して対称位置に一対形成された流出口18、18から、流出側流路19、19を通って流出ポート14に流れる。一対の流出側流路19、19は、流出ポート14の手前で合流されているため、液体は、1本の流出側流路19から流出ポート14に向かって送られることになる。
この際、弁室11内に流入した液体は、一対の流出口18、18及び流出側流路19、19によって弁室11内に偏ることなく流出ポート14に向かうことになる。つまり、流入口15から流入した液体は、弁室11内に満遍なく行き渡る。流出口18が、流入口15を間にして一対配置されていることから、弁室11内に行き渡った液体は略同一の流速でそれぞれの流出口18、18から流出することとなる。図3に示すように、流入口15から流入する液体は、流入口15から四方に向かって流れる。流入口15の周りにおいてはその流速は速い流れとなり、周壁部に向かうに従って徐々に緩速な流れとなる。周壁部に向かう流れの中で、流出口18が形成されている場所に向かう液体は、弁室11内に流入した当初の流れを維持しており、流出口18に流入する際にはその速度で流出される。一方、流出口18が形成されていない部位に向かう液体は、一旦緩速な流れになるものの、流出口18に流出する液体に導かれて、徐々に速度を上げつつ流出口18に向かう。流出口18が流入口15に対して対称位置に2箇所あることから、当初、流出口18の形成されていない部位から周壁部に向かう液体も、短時間で緩速な流れから急速な流れに移ることになる。
なお、2方弁NO(常時開)タイプの場合も、2方弁NC(常時閉)タイプと同様である。
次に、第2の形態である3方弁タイプのダイアフラムバルブについて、図4〜5に基づいて説明する。
図4は、3方弁タイプのダイアフラムバルブ1Aのバルブボディ30を示す投影図である。この場合、両端面から凹状に形成された一対の弁室31には一対のダイアフラム8、8(図1参照)が着座可能に配置されている。一対のダイアフラム8、8はシャフトで連結されている。ソレノイドの構成は前述と同様の構成になることから、ソレノイドの各部位の符号は、必要に応じて前述と同様の符号を使用する。
バルブボディ30は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの耐食性の良い樹脂材で円柱状に形成されている。バルブボディ30の上面中央部及び下面中央部に凹状の弁室31(31A1、31A2)が形成されている。バルブボディ30の側面には直交する方向に、1箇所の流入ポート33と2箇所の流出ポート34(34A1、34A2)とが形成されている。一方の弁室31A1の底面31aには、中央部に流入口35A1が形成され、他方の弁室31A2の底面31aには中央部に流入口35A2形成されている。流入口35(35A1、35A2)は流入側流路36を介して流入ポート33に接続されている。
それぞれの流入口35(35A1、35A2)の周りには、ダイアフラム8の弁部84(図1参照)と係合可能な弁座37(37A1、37A2)が形成されている。
それぞれの弁室31(31A1、31A2)内における流入口35(35A1、35A2)の周りには、流入口35(35A1、35A2)を間にしてそれぞれ一対の流出口38(38A1、38A2)が対称位置に形成され、流出側流路39(39A1、39A2)を介して流出ポート34(34A1、34A2)に接続されている。一対の流出側流路39(39A1、39A2)は、それぞれの流出ポート34(34A1、34A2)の前で合流して1本の流路として形成されている。なお、それぞれの流出側流路39は、加工上、流出ポート34と流出口38との間で傾斜して形成されている。
また、バルブボディ30の両端面には、弁室31(31A1、31A2)の周りにリング状溝40が形成され、前述のダイアフラム8の突起部83(図1参照)が嵌入されている。
次に上述のように構成されたダイアフラムバルブ1Aの作用について説明する。
ソレノイドが作動しないOFF状態では、一方の弁室31A1側のダイアフラム8の弁部84が弁座37A1に、着座した状態にあり、弁室31A2側のダイアフラム8の弁部84は、弁座37A2から離隔した位置にある。これによってバルブボディ30の弁室31A1は、流入口35A1が閉じられて液体の流れは遮断され、弁室31A2は、流入口35A2が開放されて液体の流れが行われている。
この状態では、バルブボディ30の流入ポート33から流入された液体は、図4に示すように、弁室31A1側には流入されずに弁室31A2側に流れている(図4における灰色部分)。流入口35A2から弁室31A2内に流れた液体は、一対の流出側流路39A2、39A2を通って、流出ポート34A2に向かい、流出ポート34A2から外部の液体回路に送られる。なお、一対の流出側流路39A2、39A2は、流出ポート34A2の手前で合流されているため、1本の流出側流路39A2で流出ポート34A2に液体を送ることになる。
この際、弁室31A2内に流入した液体は、一対の流出側流路39A2、39A2によって弁室31A2内に偏ることなく流出ポート34A2に向かうことになる。つまり、流入口35A2から流入した液体は、弁室31A2内に満遍なく行き渡る。流出口38A2が、流入口35A2を間にして一対配置されていることから、弁室31A2内に行き渡った液体が略同一の流速でそれぞれの流出口38A2、38A2から流出することとなる。前述の形態と同様、図3に示すように、液体の流れは、全体にわたってスムーズに行われる。
次に、ソレノイドを作動するON状態にすると、図5に示すように、弁室31A1側のダイアフラム8の弁座84(図1参照)が弁座37A1から離れて液体の流れを行い、弁室31A2側のダイアフラム8の弁座84が弁座37A2に着座して液体の流れを遮断する。したがって、流入側流路36から流入口35A1を通って弁室31A1内に流れた液体は、一対の流出側流路39A1、39A1を通って、流出ポート34A1に向かい、流出ポート34A1から外部の液体回路に送られる。なお、一対の流出側流路39A1、39A1は、流出ポート34A1の手前で合流された後、流出ポート34A1に液体を送ることになる。
この際、弁室31A1内に流入した液体は、一対の流出口38A1、38A1によって弁室31A1内に偏ることなく、流出側流路39A1、391A1を通って流出ポート34A1に向かうことになる。つまり、流入口35A1から流入した液体は、弁室31A1内に満遍なく行き渡る。流出口38A1、38A1が、流入口35A1を間にして一対配置されていることから、弁室31A1内に行き渡った液体が略同一の流速でそれぞれの流出口38A1、38A1から流出することとなる。流れの説明は前述の形態と同様である。したがって、液体の流れは、全体にわたってスムーズに行われる。
上述のように、2方弁NC(常時閉)タイプ、2方弁NO(常時開)タイプ、3方弁タイプのダイアフラムバルブは、弁室(11、31)内に流入口(15、35)を間にして、対称位置、あるいは等角度位置に複数の流出口(18、38)及び流出側流路(19、39)を形成していることから、流入口(15、35)から弁室(11、31)内に流入された液体が、各流出口(18、38)に略同一の流速で流出して流出ポート(14、34)に向かって速やかに流出されることとなる。そのため、弁室(11、31)内の一部に液体が滞留することがない。
したがって、複数の液体を分析するための分析装置にダイアフラムバルブ(1、1A)を使用する際、新たな液体を流入する際、弁室(11、31)内に残された液体は新たな液体に速やかに置換することができ、測定誤差を生じる虞がないことから、分析精度の悪化を招かない。また、洗浄作業の際に処理時間を長くする虞もない。
さらに、流出側流路を、従来のままの構造で孔をあけるように改良するものであるから、低コストで分析精度の向上を達成することができる。
なお、本発明のダイアフラムバルブは、上述の形態に限定するものではない。例えば、流出口(18、38)及び流出側流路(19、39)を2箇所ではなく3箇所以上に形成してもよい。この場合、流出口(18、38)及び流出側流路(19、39)を流入口(15、35)の中心に対して、等角度位置に形成すれば、弁室(11、31)内に流入された液体の流れは偏ることなく全て同一の流速で流出することができる。
また、ダイアフラムのバルブボディへの取り付けや、プランジャへの取り付けは、周知の構成であってもよい。
次に、第3の形態のダイアフラムバルブについて図9〜10に基づいて説明する。このダイアフラムバルブ1Bは、2方弁NC(常時閉)タイプであり、バルブボディ70に形成される流入口75、流入側流路76が2個であり、流出口78、流出側流路79が1個に形成されている。なお、ソレノイドについては、第1の形態と同様であり、必要な場合、第1の形態と同様の符号の後にBを付記する。
バルブボディ70は、上バルブボディ701と下バルブボディ702とに分割されている。上バルブボディ701には、ソレノイド2Bのプランジャ5Bが挿通する貫通孔701aと、貫通孔701aと平行であって上バルブボディ701における下バルブボディ702側から形成される有底溝701bとを備えている。有底溝701bには、補助プランジャ501が嵌入されている。プランジャ5Bと補助プランジャ501とは、いずれも上バルブボディ701内に配置されたコイルばね7B、7Cの付勢力で下バルブボディ702側に付勢するように配置されている。なお、コイルばね7Bとコイルばね7Cとは、コイルばね7Bが揺動弁72を付勢する際に、補助ブランジャ501を押し上げるように作用するから、コイルばね7Bの付勢力がコイルばね7Cの付勢力より強く設定されている。
下バルブボディ702は、上バルブボディ701と接合して形成され、それぞれの接合面には凹部が形成されて弁室71としている。弁室71内には、ダイアフラム8Bが周縁部を下バルブボディ702に固定して配置され、ダイアフラム8Bの中央部を上バルブボディ701に揺動可能に支持された揺動弁72により押圧可能に形成されている。揺動弁72は中央の上部を支点にして揺動可能であり、プランジャ5Bの押圧作用、離隔作用によってダイアフラム8Bを介して、流出口78の開閉を行う。
下バルブボディ702は、側面に1個の流入ポート73(IN側)と1個の出力ポート74(OUT側)が直交する位置にそれぞれ形成され、弁室71内における凹部底面71aには2個の流入口75、75が形成されている。2個の流入口75、75はそれぞれ流入側流路76を介して1個の流入ポート73に連通されている。また、弁室71内における凹部底面71aには2個の流入口75、75との間に1個の流出口78が形成されている。1個の流出口78は、流出側流路79を介して流出ポート74に連通されている。
弁室71内における下バルブボディ702の凹部底面71aにはリング状の突出部が形成され一部に弁座77が形成されている。そして、弁座77に対応する位置に前述の揺動弁72がダイアフラム8Bを介して配置されている。弁座77には前述の流出口78が1個形成され、流出口78に対応して揺動弁72の上方にプランジャ5Bが配置されている。また、弁室71の軸心に対して流出口78の位置と反対側の位置の上方には、補助プランジャ501が対応して配置されている。つまり、プランジャ5Bと補助プランジャ501とは、前述のように、弁室71の軸心に対して対称位置に配置されて、それぞれ揺動弁72を押圧又は揺動弁72から離隔することによってダイアフラム8Bが弁座77に着座したり離隔したりして流出口78の開閉を行うこととなる。
次に、上述のように構成されたダイアフラムバルブ1Bの作用について説明する。
実施形態のダイアフラムバルブ1Bでは、複数の液体を分析装置で分析するために、出力ポート74から流出された液体を取り出すことになる。
図9に示すように、ソレノイド2Bのコイル6Bが励磁していない平常時では、プランジャ5Bはコイルばね7Bの付勢力で揺動弁72を押圧しダイアフラム8Bを介して流出口78を塞いでいる。揺動弁72は中央部を中心に上下方向に揺動するから、揺動弁72における反対側の部位が上昇して、補助プランジャ501をコイルばね7Bの付勢力より弱く設定されたコイルばね7Cの付勢力に抗して上方に移動させている。
一方、流入ポート73から選択された液体が流入され、2個の流入側流路76、76を通って2個の流入口75、75から弁室71内に流入している。流出口78は、ダイアフラム8Bによって塞がれているから、流出口78には流れない。
プランジャ5Bが固定鉄心4Bに吸着されることによって、図10に示すように、流出口78が開口され、弁室71内の液体が流出口78に向かって流れ、流出側流路79を通って流出ポート74に流れることとなる。この際、弁室71内においては、流入口75、75が弁室71の軸心に対して対称位置に2個配置されているから、それぞれの流入口75、75から弁室71に流れ込む液体は、略同一の流速で流出口78に向かって流れる。流出口78に流入された液体は流出側流路79を通って流出ポート74に向かって流れることとなる。
選択された前の液体を流し終えると、次の新たな液体が流入ポート73から流入される。実施形態のダイアフラムバルブ1Bでは、弁室71内において、弁室71内に残されている前の液体は、新たな液体を弁室71の軸心に対して対称位置にある2個の流入口75、75から流入することによって、新たな液体で押し出されて流出口78に向かって流れることになるから、従来と比べて、新たな液体に置換する時間を短時間で行うことができる。従来の場合には、流入口が1個に形成されていたことから、流入口の反対側に流れる液体は緩速になり、流出口に向かう液体がデッドボリュームに溜まりやすい。従って、実施形態のように弁室71の軸心に対して対称位置に2個の流入口75、75を形成することにより、液体の流れを急速にして流出口78にスムーズに向かうことができるから、弁室71内に液体を溜まりにくくすることができる。
次に、流入口を2個有する第4の形態の3方弁のダイアフラムバルブについて、図11〜12に基づいて説明する。
第4の形態のダイアフラムバルブ1Cにおいて、バルブボディ70Cには1個の流入ポート73Cから2個の流入側流路76Cを介して連通する2個の流入口75C、75Cと、2個の流出口78C1、78C2を備えている。一方の流出口78C1は、ダイアフラム8Cを介してプランジャ5Cと対応する位置にあり、流出側流路79C1を介して流出ポート74C1に連通している。他方の流出口78C2は、ダイアフラム8Cを介して補助プランジャ501と対応する位置にあり、流出側流路79C2を介して流出ポート74C2に連通している。その他の部位については、第3の形態と同様であるから、符号も同様の符号を付記する。
従って、プランジャ5Cが揺動弁72を押圧する際には、図11に示すように、ダイアフラム8Cを介して流出口78C1を塞ぎ、補助プランジャ501が上昇して流出口78C2を開放する。流入口75C、75Cから弁室71内に流入された液体は、流出口78C2から流出側流路79C2を通って流出ポート74C2に流れることとなる。
また、図12に示すように、プランジャ5Cが揺動弁72から離隔すると、流出口78C1が開放され、補助プランジャ501がダイアフラム8Cを押圧して流出口78C2を塞ぐ。流入口75C、75Cから弁室71内に流入された液体は、流出口78C1から流出側流路79C1を通って流出ポート74C1に流れることとなる。
液体の流れは、第3の形態と同様であり、新たな液体が流入されると、弁室71に残されていた前の液体が押し出されて流出口78C1又は78C2に向かってスムーズ流れることとなる。そのため、前述の形態と同様、弁室71に残された液体は、新たな液体に押し出されていずれかの流出口78Cに向かうことになり、新たな液体に短時間で置換されることとなる。
なお、この形態では、2方弁NOタイプのダイアフラムバルブでも同様の効果を得ることができる。
次に、第3の形態の2方弁のダイアフラムバルブ1Cの形態における、流入口と流出口の位置を変更した別の形態(2方弁NCタイプのダイアフラムバルブ)を、図13〜14に基づいて説明する。
この形態のダイアフラムバルブ1Dにおいては、バルブボディ70Dの弁室71に形成される一対の流入口75D、75Dは、流入ポート73Dから分離された一対の流入側流路76D、76Dを介して連通されている。一方の流入口75Dが、弁室71の軸心部に形成され、他方の流入口75Dが、弁室71内における補助プランジャ501に対向する位置付近に形成されている。流出口78Dは、弁室71におけるプランジャ5Dと対向する位置に形成されている。流出口78Dは、流出側流路79Dを介して流出ポート74Dに連通されている。
従って、プランジャ5Dが揺動弁72を押圧する際には、図13に示すように、ダイアフラム8Dを介して流出口78Dを塞ぎ、補助プランジャ501が上昇する。流入口75D、75Dから弁室71内に流入された液体は、弁室71内に貯留される。
また、図14に示すように、プランジャ5Dが揺動弁72から離隔すると、流出口78Dが開放される。弁室71内に貯留されている液体は、流出口78Dに向かって流れ、流出口78Dから流出側流路79Dを通って流出ポート74Dに流れることとなる。
弁室71内の液体の流れは、第3の形態と同様であり、新たな液体が流入されると、弁室71内に残されていた前の液体が押し出されて流出口78Dに向かってスムーズ流れることとなる。そのため、前述の形態と同様、弁室71に残された液体は、新たな液体に押し出されて流出口78Dに向かうことになり、新たな液体で短時間に置換されることとなる。
なお、この形態では、2方弁NOタイプのダイアフラムバルブでも同様の効果を得ることができる。
1、ダイアフラムバルブ
2、ソレノイド
4、固定鉄心
5、プランジャ
6、コイル
8、ダイアフラム
84、弁部
10、バルブボディ
11、弁室
13、流入ポート
14、流出ポート
15、流入口
16、流入側流路
17、弁座
18、流出口
19、流出側流路
1B、ダイアフラムバルブ
501、補助プランジャ
70、バルブボディ
71、弁室
72、揺動弁
73、流入ポート
74、流出ポート
75、流入口
76、流入側流路
77、弁座
78、流出口
79、流出側流路
2、ソレノイド
4、固定鉄心
5、プランジャ
6、コイル
8、ダイアフラム
84、弁部
10、バルブボディ
11、弁室
13、流入ポート
14、流出ポート
15、流入口
16、流入側流路
17、弁座
18、流出口
19、流出側流路
1B、ダイアフラムバルブ
501、補助プランジャ
70、バルブボディ
71、弁室
72、揺動弁
73、流入ポート
74、流出ポート
75、流入口
76、流入側流路
77、弁座
78、流出口
79、流出側流路
Claims (3)
- 直動するプランジャを備えたソレノイドと、前記プランジャの先端部に配設されるダイアフラムと、流入ポート及び流出ポートを有して前記ダイアフラムが着座可能な弁座を有するバルブボディと、を備えたダイアフラムバルブであって、
前記バルブボディには、凹状の弁室が形成され、前記弁室内部に複数の流出側流路を有し、それらが合体して一つの流出ポートへと連通することを特徴とするダイアフラムバルブ。 - 前記弁室内に複数形成される前記流出側流路の流出口が、流入ポートから接続された流入口の中心に対して対称位置、又は等角度の位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載のダイアフラムバルブ。
- 直動するプランジャを備えたソレノイドと、前記プランジャの先端部に配設されるダイアフラムと、流入ポート及び流出ポートを有して前記ダイアフラムが着座可能な弁座を有するバルブボディと、を備えたダイアフラムバルブであって、
前記バルブボディには、凹状の弁室が形成され、前記弁室内部に複数の流入側流路を有し、前記流入側流路が一つの流入ポートから連通されていることを特徴とするダイアフラムバルブ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008106061A JP2009257438A (ja) | 2008-04-15 | 2008-04-15 | ダイアフラムバルブ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008106061A JP2009257438A (ja) | 2008-04-15 | 2008-04-15 | ダイアフラムバルブ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=41385117
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008106061A Withdrawn JP2009257438A (ja) | 2008-04-15 | 2008-04-15 | ダイアフラムバルブ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2009257438A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105485402A (zh) * | 2014-10-02 | 2016-04-13 | 高砂电气工业株式会社 | 小型电磁阀 |
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KR20220113368A (ko) | 2019-12-18 | 2022-08-12 | 신와 콘트롤즈 가부시키가이샤 | 다이어프램 부재를 다이어프램 보스에 부착하는 방법 및 다이어프램 부재를 다이어프램 보스에 부착하는 로봇팔 장치 |
-
2008
- 2008-04-15 JP JP2008106061A patent/JP2009257438A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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