JP2009254064A - リニアモータの可動子、およびその製造方法 - Google Patents

リニアモータの可動子、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ホットメルト樹脂によるケース体成形用の金型5を利用してケース体33を成型する工程に、コイル32などの部材を組付ける工程を組み込んで略一工程で可動子3を製作する。
【解決手段】可動子を製作するにあたり、予めコイル32が巻着された筒状ボビン31の両側に、コイル32端面から広幅に延出形成された余長部31a、31aを設けて、これを金型5内にセットし、金型5の囲繞空間内にホットメルト樹脂を注入して、コイル32と両側余長部31a、31aの外周面域に密着被覆した角柱形状に一体形成された樹脂製のケース体33を成型することで、両側余長部31a、31aを、その外周面域に形成されるケース体33の両側部を肉厚に補強し、支持する補強支持面として構成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、可動子をシャフトに沿って直線的に駆動させるシャフト型リニアモータの可動子およびその製造方法に関する。
近年、直線駆動する電気アクチュエータとしてシャフト型リニアモータが注目されている。この種リニアモータは、複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフトと、該シャフトにスライド自在に外嵌する可動子とを備え、該可動子の内周部に設けられるコイルの励磁によって、可動子を直線的に駆動させる。このような構成によれば、コギングや速度ムラが少ないので、様々な分野での応用が検討されている。
リニアモータの可動子は、一般的に、シャフトに外嵌される筒状ボビンと、該筒状ボビンの胴部に巻着されるコイルと、該コイルが内装されるケース体によって構成されている。ケース体は、通常、アルミニウムや鉄などの金属製の箱型に成形されたものが用いられ、コイルは、筒状ボビンの全長に巻着され、その両端を軸受部に支持させて、箱型ケース体に内装されている(特許文献1参照)。また、このものでは、箱型ケース体内の空間部にシリコンゴム等の樹脂部材により成形された熱媒体層(フレーム)を、コイル外周面とケース内周面に接触させて、ケース体内の空間部を無くすように収めることで、励磁により生じるコイルの熱が内部にこもってしまうことを防止している。
しかしながら、この様な箱型のケース体を用いて可動子を製作すると、ケース体自体を金型などを用いてケース本体とケース蓋とを成型する工程と、ケース本体及び蓋にコイルや軸受等の部材を組付けするのに必要な孔やリブ加工を行う工程と、ケース本体内にコイルを収容し、軸受を介して装着し、蓋をセットする組付け工程とを要し、成型、加工、組付けの工程をそれぞれ別々の作業工程として行わなければならず、作業工数が多くなるばかりか、部品点数も多くなり、製作作業に手間がかかってコストアップを招来するという問題ある。
一方、実装済みの基板、コネクタなどの電子部品を、熱可塑性のポリアミド系樹脂などのホットメルト樹脂によりモールディングして、接着性、防水性、防滴性、絶縁性、保護性を高める方法が知られている。
しかしながら、このホットメルト樹脂によるモールディングは、専ら電子部品の凹凸表面に沿って密着被覆するに止まり、電子部品を収容するケース体として機能するものではなかった。

特開平11−206099号公報
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、可動子を製作するにあたり、ホットメルト樹脂によるモールディング成形方法を利用して、樹脂製のケース体を成型する工程に、コイルなどの部材を組付ける工程を組み込んで略一工程で製作することができ、作業工数の簡素化と部品点数の削減が図られた安価なものとして提供できるようにし、しかも、硬化後のホットメルト樹脂が半硬質のものであっても、ワークへの取り付けなどケース体としての機能を備えたリニアモータの可動子、およびその製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明のリニアモータの可動子は、複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフトにスライド自在に外嵌され、その内周部に設けられるコイルの励磁によって直線的に駆動するよう構成されたリニアモータの可動子であって、該可動子は、前記シャフトに外嵌される筒状ボビンと、該筒状ボビンの胴部に巻着されるコイルと、該コイルが内装されるケース体とからなり、前記筒状ボビンは、その両側に、前記コイル端面から広幅に延出形成された余長部を備える一方、前記ケース体は、前記コイルと両側余長部がセットされた囲繞空間内にホットメルト樹脂を注入するケース体成形用の金型を介して、該コイルと両側余長部の外周面域に密着被覆して所定の外観形状に一体形成された樹脂製のケース体で構成せしめ、前記両側余長部を、その外周面域に形成されるケース体の両側部を肉厚に補強し、支持する補強支持面に構成してあることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために本発明のリニアモータの可動子製造方法は、複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフトにスライド自在に外嵌される筒状ボビンと、その胴部に巻着されたコイルと、筒状ボビンおよびコイルを内装するケース体とを備え、前記コイルの励磁によって直線的に駆動するよう構成されたリニアモータの可動子を製造する方法であって、前記筒状ボビンには、予めその両側に、前記コイル端面から広幅に延出する余長部を形成させておき、前記コイルと両側余長部を、これらが収納可能な囲繞空間を有するケース体成形用の金型内にセットして、該金型の囲繞空間内にホットメルト樹脂を注入し、該注入されたホットメルト樹脂によって、コイルと両側余長部の外周面域に密着被覆させ、かつ、前記両側余長部を、その外周面域に形成されるケース体の両側部を肉厚に補強し、支持させた構造をもって、所定の外観形状を有する樹脂製のケース体を一体形成することで可動子を製造することを特徴とする。
本発明は、上記のように構成したことにより、可動子を製作するにあたり、ホットメルト樹脂によるモールディング成形方法を利用して、樹脂製のケース体を金型により成型する工程に、コイルなどの部材を組付ける工程を組み込んで略一工程で製作することが可能となり、箱型ケース体における加工工程を不要なものとして作業工数の簡素化が図れると共に、軸受等の部材も不要なものとして部品点数の削減が図られた安価なものを提供することができる。しかも、ケース体の両側部が筒状ボビンの余長部によって肉厚に補強支持されているため、ケース体の両側部にワークへの取り付けなどが行えるインサートナット等を埋設することができ、硬化後のホットメルト樹脂が半硬質のものであってもケース体としての機能を損なうことがなく、防水性や防滴性の機能を兼ね備えることができる。
以下、本発明の実施の形態を好適な実施の形態として例示するリニアモータの可動子を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、シャフト型リニアモータの斜視図である。この図に示すように、シャフト型リニアモータ1は、0.5mm程度のステンレス管内に複数のドーナツ棒状磁石2aが直列状に配列されたシャフト2と、該シャフト2にスライド自在に外嵌する可動子3とを備え、基台4に装着されており、該可動子3の内周部に設けられるコイルの励磁により、可動子3を直線的に駆動させる。
前記基台4は、シャフト2の両端部を持設する支持部41、41と、該支持部41、41間に設けられたガイドレール42と、可動子3を案内支持してガイドレール42上を走行する走行台43により構成される。走行台43には、両側からガイドレール42を挟持する状態でスライド走行自在に案内支持されるガイド片431、431が設けられており、シャフト2は、前記支持部41、41間に両端支持されている。
図2(A)は、本発明の実施形態に係る可動子3の断面詳細図、図2(B)は、側面図である。この図に示すように、可動子3は、シャフト2に外嵌される筒状ボビン31と、該筒状ボビン31の胴部に巻着されるコイル32と、筒状ボビン31とコイル32が内装される樹脂製(ゴム等を含む)のケース体33と、その上面側に埋設された所定のワーク(XYZ軸テーブルなど)を取り付けするためのインサートナット34(通しナット)を備えて構成される。
筒状ボビン31は、その両側に、捲線されたコイル32の端面から広幅に突出して延出形成された余長部31a、31aが設けられており、ケース体33は、コイル32と両側の余長部31a、31a、および配線32aを含め、熱可塑性ポリアミド系樹脂などのホットメルト樹脂により、その外周面域に密着被覆した状態で角柱の外観形状に一体形成された半硬質の樹脂製のケース体によって構成されている。
つまり、両側の余長部31a、31aは、その幅をもって外周面域に形成されるケース体33の左右両側部33a、33aを肉厚に形成することで補強し、支持する補強支持面として機能するようになっており、コイル32の円弧状面とケース体33の平面部に形成される肉薄な被覆面を有していても、その4隅部に形成される肉厚な角部と共にケース体形状を維持している。インサートナット34は、この肉厚なケース体33の左右両側部33a、33aに埋設されている。
次に、可動子3の成形方法を、図3、図4に基づいて説明する。図3はケース体成型用の金型の斜視図、図4は筒状ボビンと共にコイルをセットした状態を示す断面図である。この図において、5はケース体成型用の金型であって、該金型5は、上下に2分した状態で上型51と下型52により構成され、それぞれ横幅が筒状ボビン31の全長と等しく、内周面がコイル32の外径よりも大きめの凹状空域5aをもって、これらが収容可能な箱型に形成されている。上型51と下型52の中心部の両側には、シャフト2の外径と略等しい半円弧状の円弧溝53が、一側面側には配線32aの配線引出し溝54がそれぞれ形成されている。また、上型51には、その中心に漏斗状のホットメルト樹脂の注入口51aと、4つの下型52へのボルト止め孔51bが穿設されており、下型52の内部には、インサートナット34をセットする凸部52aが角部付近に4つ設けられている。なお、本実施例における金型において、インサートナット34は、短尺のものを片面に配設するようにしたが、上下両面に達する長尺のもの(通しナット)を用いても良い。
さて、上記のように、予め所定の可動子3の角柱形状のホットメルト樹脂注入空域5aと、インサートナット34などの部材セットが行えるように型形成された金型5を用いて、ケース体33の成形するには、まず、筒状ボビン31に芯棒6を挿入し、これを下型52にセットする。その際、コイル32の配線32aを樹脂テープ材などを用いて束ね、角隅空域5a部分に配置させ、そのリード線を配線引出し溝54から引き出しておく。次いで、4つのインサートナット34をそれぞれの凸部52aに立設セットし、上型51を被せてボルト止め孔51bより下型52とボルト止めする。その後、上型51と下型52により形成される囲繞空間(内部空域5a)内に、注入口51aよりホットメルト樹脂を空域5a内全体に注入する。注入したホットメルト樹脂が硬化したら上型51を外して金型5から芯棒6を持って取り出し、芯棒6を引き抜けば、ホットメルト樹脂がコイル32と両側余長部31a、31aの外周面域に密着被覆した状態で、角柱状のケース体33が成形されると共に可動子3自体の成形が完了する。なお、ケース体33の外観形状を変更するには、金型5の内部空域5aを角柱や円柱等の任意の形状に成形しておけばよい。また、本実施例では、ホットメルト樹脂として、接着性、防水性、防滴性、絶縁性、保護性を有する熱可塑性のポリアミド系樹脂を用いたが、ケース体に適した種々の樹脂(ゴムを含む)を用いてもよい。
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、可動子3は、シャフト2に外嵌される筒状ボビン31と、筒状ボビン31の胴部に巻着されるコイル32と、該コイル32が内装されるケース体とにより構成されるのであるが、本発明におけるコイル32が巻着された筒状ボビン31の両側には、コイル32端面から広幅に延出形成された余長部31a、31aが設けられており、ケース体33は、コイル32と両側余長部31a、31aがセットされた囲繞空間(内部空域5a)内にホットメルト樹脂を注入するケース体成形用の金型5を介して、コイル32と両側余長部31a、31aの外周面域に密着被覆して角柱の外観形状に一体形成された樹脂製のケース体で構成せしめることで、両側余長部31a、31aを、その外周面域に形成されるケース体33の両側部33a、33aを肉厚に補強し、支持する補強支持面として構成させている。
このため、ケース体成形用の金型5内に、コイル32と両側余長部31a、31aをセットした状態から、その囲繞空間内にホットメルト樹脂を注入するだけで、ホットメルト樹脂がコイル32と両側余長部31a、31aの外周面域に密着被覆した状態で、角柱状のケース体33が成形されると共に可動子3自体の成形が一工程で製作することができる。つまり、可動子3を製作するにあたり、ホットメルト樹脂によるモールディング成形方法を利用して、従来の箱型ケース体にコイルなどの部材を組付ける工程を、樹脂製のケース体33を成型する工程に組み込んで略一工程で製作することができると共に、従来の箱型ケース体における、加工工程が不要となる結果、作業工数の大幅な簡素化が図れるばかりか、軸受等の部材が不要となり部品点数の削減が図られた安価なものとして提供することができる。しかも、ケース体33の両側部33a、33aが筒状ボビン31の余長部31a、31aによって肉厚に補強支持されているため、ケース体33の両側部33a、33aにワークへの取り付けなどが行えるインサートナット34等を埋設することができ、硬化後のホットメルト樹脂が半硬質のものであってもケース体としての機能を損なうことがない。さらに、可動子3は、コイル32や両側余長部31a、31aの外周面域に配線32aなどを含めて密着被覆しているので、防水性や防滴性を有することができる。
また、ケース体33は、外観が角柱形状に形成され、その一側面となる両側部には、作動体への取付面とすべくそれぞれにインサートナット34が埋設され、このインサートナット34は、金型5内に予めセットされケース体成型時に埋設することができるので、従来の箱型ケース体にコイルなどの部材を組付ける工程を、樹脂製のケース体33を成型する工程に組み込んで一工程で製作することができる。
本発明の実施形態に係るシャフト型リニアモータの斜視図である。 (A)は可動子の断面図、(B)は可動子の側面図である。 本発明の実施形態に係る可動子のケース体成型用の金型を示す斜視図である。 ケース体成型用の金型内にコイルをセットした状態を示す断面図である。
符号の説明
1 シャフト型リニアモータ
2 シャフト
2a ドーナツ棒状磁石
3 可動子
31 筒状ボビン
31a 余長部
32 コイル
32a 配線
33 ケース体
33a 側部
34 インサートナット
4 基台
41 支持部
42 ガイドレール
43 走行台
431 ガイド片
5 金型
5a 内部空域
51 上型
51a 注入口
51b ボルト止め孔
52 下型
52a 凸部
53 円弧溝
54 配線引出し溝
6 芯棒

Claims (3)

  1. 複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフトにスライド自在に外嵌され、その内周部に設けられるコイルの励磁によって直線的に駆動するよう構成されたリニアモータの可動子であって、
    該可動子は、前記シャフトに外嵌される筒状ボビンと、該筒状ボビンの胴部に巻着されるコイルと、該コイルが内装されるケース体とからなり、
    前記筒状ボビンは、その両側に、前記コイル端面から広幅に延出形成された余長部を備える一方、
    前記ケース体は、前記コイルと両側余長部がセットされた囲繞空間内にホットメルト樹脂を注入するケース体成形用の金型を介して、該コイルと両側余長部の外周面域に密着被覆して所定の外観形状に一体形成された樹脂製のケース体で構成せしめ、
    前記両側余長部を、その外周面域に形成されるケース体の両側部を肉厚に補強し、支持する補強支持面に構成してあることを特徴とするリニアモータの可動子。
  2. 前記樹脂製のケース体は、外観が角柱形状に形成され、その一側面となる両側部には、作動体への取付面とすべくそれぞれにインサートナットが埋設されることを特徴とするリニアモータの可動子。
  3. 複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフトにスライド自在に外嵌される筒状ボビンと、その胴部に巻着されたコイルと、筒状ボビンおよびコイルを内装するケース体とを備え、前記コイルの励磁によって直線的に駆動するよう構成されたリニアモータの可動子を製造する方法であって、
    前記筒状ボビンには、予めその両側に、前記コイル端面から広幅に延出する余長部を形成させておき、
    前記コイルと両側余長部を、これらが収納可能な囲繞空間を有するケース体成形用の金型内にセットして、該金型の囲繞空間内にホットメルト樹脂を注入し、
    該注入されたホットメルト樹脂によって、コイルと両側余長部の外周面域に密着被覆させ、かつ、前記両側余長部を、その外周面域に形成されるケース体の両側部を肉厚に補強し、支持させた構造をもって、所定の外観形状を有する樹脂製のケース体を一体形成することで可動子を製造することを特徴とするリニアモータの可動子製造方法。
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