携帯電話機等の電子機器に実装される、比較的小型な配線基板部材を成すFPCあるいはFFCは、各種電気部品が取り付けられる主印刷配線基板への取付けが、それに設けられた接続端子が主印刷配線基板に電気的に接続されて行われるが、斯かるFPCあるいはFFCの主印刷配線基板への取付けは、当該主印刷配線基板に電気的接続がなされて固着されたコネクタ装置が用いられて行われるものとされることが多い。このようなコネクタ装置は、FPCあるいはFFCに設けられた接続端子に接触する導電コンタクトを有していて、その導電コンタクトを介して、FPCあるいはFFCに設けられた接続端子を、主印刷配線基板に設けられた回路配線部に電気的に接続する。
既に実用に供されているFPCあるいはFFCの主印刷配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置は、例えば、FPCあるいはFFCが差し込まれる差込み部が設けられた絶縁ハウジングを有したものとされる。そして、その絶縁ハウジング内に配列配置されて設けられ、FPCあるいはFFCが差込み部を通じて絶縁ハウジングに差し込まれるとき、そのFPCあるいはFFCに設けられた複数の接続端子に夫々接触接続される複数の導電コンタクトと、絶縁ハウジングに回動可能に設けられ、複数の導電コンタクトの夫々に係合して、回動せしめられるとき複数の導電コンタクトの夫々における接触作動部を変位させる、複数の導電コンタクトに共通のアクチュエータとが備えられる。
複数の導電コンタクトの各々は、導電性弾性材料で形成され、絶縁ハウジングに固定される部分である固定部と可動部とを有するものとされる。そして、固定部は、主印刷配線基板に設けられた回路配線部に電気的に接続され、また、可動部は、アクチュエータにより変位せしめられる接触作動部を構成する。
斯かるコネクタ装置にあっては、絶縁ハウジングに差込み部を通じてFPCあるいはFFCが差し込まれたもとで、アクチュエータが所定の方向に回動せしめられると、当該アクチュエータが、複数の導電コンタクトの夫々における接触作動部を変位させて、当該接触作動部にFPCあるいはFFCに設けられた複数の接続端子のうちの対応するものに対する押圧接触状態をとらせる。また、複数の導電コンタクトの各々における接触作動部がFPCあるいはFFCに設けられた複数の接続端子のうちの対応するものに押圧接触する状態をとるもとで、アクチュエータが上述の所定の方向とは逆の方向に回動せしめられると、当該アクチュエータが、複数の導電コンタクトの夫々における接触作動部を変位させて、当該接触作動部にFPCあるいはFFCに設けられた複数の接続端子のうちの対応するものに対する押圧接触状態から解放する。
このようなアクチュエータの回動動作を伴うコネクタ装置を使用して、FPCあるいはFFCをコネクタ装置が固着された主印刷配線基板に取り付ける際においては、一般的には、先ず、絶縁ハウジングに差込み部を通じてFPCあるいはFFCを差し込む操作を行い、それに続いて、アクチュエータを所定の方向に回動させる操作を行って、それにより、複数の導電コンタクトの夫々における接触作動部に、FPCあるいはFFCに設けられた複数の接続端子のうちの対応するものに対する押圧接触状態をとらせることになる。従って、絶縁ハウジングに差込み部を通じてFPCあるいはFFCを差し込む操作とアクチュエータを所定の方向に回動させる操作とを個別に行うことが要されて、使用者が煩わしさを覚えることになってしまう。
そこで、従来、上述のようなアクチュエータの回動動作を伴うコネクタ装置であって、それを使用してFPCあるいはFFCを当該コネクタ装置が固着された主印刷配線基板に取り付けるにあたり、絶縁ハウジングに差込み部を通じてFPCあるいはFFCを差し込む操作とアクチュエータを所定の方向に回動させる操作とを個別に行うことが要されず、絶縁ハウジングに差込み部を通じてFPCあるいはFFCを差し込む操作だけで足りるようにされたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に示されるようなコネクタ装置においては、絶縁ハウジング(筐体)に、複数の導電コンタクト(接触片)が配列配置されるとともに、アクチュエータが、絶縁ハウジング内へのFFCの差込み方向に直交する方向(複数の導電コンタクトの配列方向)に沿って伸びる回動軸を回動中心として回動するものとされて設けられている。このアクチュエータは、その主要部分が所定の方向(絶縁ハウジングに設けられたFFC差込み部に向かう方向)に回動せしめられると、複数の導電コンタクトの夫々における接触作動部(接触ビーム)に、FFCにおける複数の導体のうちの対応するものに対する押圧接触状態をとらせる。
そして、アクチュエータには、回動軸から離隔した周縁部分に、絶縁ハウジング内に挿入されるFFCの先端部が当接して押圧するものとされる突出部であるアクチュエータ突片部が設けられている。
このようなもとで、FFCが絶縁ハウジングに設けられたFFC差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれるとき、差込み途中にあるFFCの先端部が、アクチュエータ突片部に当接し、FFCの差込みに従って、アクチュエータ突片部をFFCの差込み方向に押圧移動させる。それにより、アクチュエータが、回動軸を回動中心として、その主要部分を絶縁ハウジングに設けられたFFC差込み部に向かわせる方向に回動せしめられる。そして、このアクチュエータの回動により、複数の導電コンタクトの夫々における接触作動部が、絶縁ハウジング内に差し込まれたFFCにおける複数の導体のうちの対応するものに対する押圧接触状態をとるものとされる。
即ち、FFCが絶縁ハウジングに設けられたFFC差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれると、それに伴って、自動的に、アクチュエータが、その主要部分を絶縁ハウジングに設けられたFFC差込み部に向かわせる方向に回動させて、複数の導電コンタクトの夫々における接触作動部に、FFCにおける複数の導体のうちの対応するものに対する押圧接触状態をとらせるのである。従って、特許文献1に示されるようなコネクタ装置にあっては、FFCを当該コネクタ装置が固着された主印刷配線基板に取り付けるにあたり、絶縁ハウジングにFFC差込み部を通じてFFCを差し込む操作だけで足りることになる。
特開2006−134581号公報(第4〜6頁、図4〜図6)
上述の特許文献1に示されるようなFFCの主印刷配線基板への取付けに用いられる従来のコネクタ装置にあっては、複数の導電コンタクトの夫々における接触作動部のFFCにおける複数の導体のうちの対応するものに対する押圧接触状態を確実なものとするためには、絶縁ハウジング内に差し込まれるFFCによりアクチュエータが回動せしめられて、複数の導電コンタクトの夫々における接触作動部がFFCに対する押圧接触状態をとるものとされたもとで、引き続きFFCを絶縁ハウジング内の奥まで到達させるべく、FFCの更なる差込みを行うことが必要とされる。その際、複数の導電コンタクトの夫々における接触作動部がFFCの表面との摺動を生じることになり、それにより、FFCに損傷が加えられることになってしまう虞がある。
さらに、特許文献1に示されるような従来のコネクタ装置にあっては、絶縁ハウジングに設けられたFFC差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれるFFCによって、アクチュエータの主要部分がFFC差込み部に向かう方向に回動せしめられるので、FFCを絶縁ハウジング内の奥まで差し込むための操作が、作業性が良くないものとされてしまう。
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、例えば、FPC,FFC等の部分とされる配線板状部材の主印刷配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられた絶縁ハウジングと、その絶縁ハウジング内に配列配置されて設けられる複数の導電コンタクトと、絶縁ハウジングに回動可能に設けられて、回動により、複数の導電コンタクトに絶縁ハウジング内に差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子に夫々当接する状態をとらせるアクチュエータとを備えたコネクタ装置であって、配線板状部材を当該コネクタ装置が固着された主印刷配線基板に取り付ける場合等において、絶縁ハウジング内に板状部材差込み部を通じて配線板状部材を差し込む操作だけで目的を達成でき、しかも、複数の導電コンタクトの配線板状部材の表面との摺動により配線板状部材に損傷が加えられる虞がなく、さらに、配線板状部材を絶縁ハウジング内の奥まで差し込むための操作が作業性の良いものとされるものを提供する。
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項3までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係るコネクタ装置は、板状部材差込み部が設けられた絶縁ハウジングと、絶縁ハウジング内に配列配置され、各々が板状部材差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれた配線板状部材を挟む一対の腕状部を有して、配線板状部材に配列配置された複数の接続端子に夫々対応する位置をとる複数の導電コンタクトと、絶縁ハウジングに板状部材差込み部への配線板状部材の差込み方向への直線移動及び回動が可能とされて設けられ、複数の導電コンタクトに係合して、当該複数の導電コンタクトに、配線板状部材の絶縁ハウジング内への差込みを妨げない状態をとらせる第1の姿勢と、複数の導電コンタクトの夫々における一対の腕状部のいずれかに、配線板状部材に配列配置された複数の接続端子のうちの対応するものに対する接触状態をとらせる第2の姿勢とを選択的にとるアクチュエータとを備えて成り、アクチュエータがカム部を有し、そのカム部が、複数の導電コンタクトの夫々における一対の腕状部の間に複数の導電コンタクトの配列方向に直交する面内の断面形状が角が丸められた三角形状を成すものとして配されて、一対の腕状部の各々に当接するもとで、板状部材差込み部への配線板状部材の差込み方向への直線移動及び回動が可能なものとされ、また、複数の導電コンタクトの夫々における一対の腕状部の一方における他方に対向する縁部に切欠き部が設けられて、板状部材差込み部に配線板状部材が差し込まれるとき、アクチュエータが有するカム部が、その一部が導電コンタクトに設けられた切欠き部に落ち込んでいない状態から、差し込まれる配線板状部材により押圧されて移動せしめられて、その一部が導電コンタクトに設けられた切欠き部に落ち込んで回動する状態に移行せしめられることにより、アクチュエータが第1の姿勢から第2の姿勢に移行せしめられることを特徴とするものとされる。
特に、本発明のうちの請求項2に記載された発明に係るコネクタ装置にあっては、アクチュエータが第2の姿勢から第1の姿勢へと移行せしめられるとき、アクチュエータが有するカム部が、その一部が導電コンタクトに設けられた切欠き部に落ち込んだ状態からその一部が導電コンタクトに設けられた切欠き部に落ち込んでいない状態に移行せしめられることを特徴とするものとされる。
上述のように構成される本発明に係るコネクタ装置にあっては、アクチュエータが有するカム部が、その一部が導電コンタクトに設けられた切欠き部に落ち込んでいない状態におかれ、アクチュエータが、複数の導電コンタクトに配線板状部材の絶縁ハウジング内への差込みを妨げない状態をとらせる第1の姿勢をとるものとされたもとで、絶縁ハウジング内に板状部材差込み部を通じて、例えば、FPCの部分とされる配線板状部材が差し込まれる。絶縁ハウジング内に配線板状部材が差し込まれると、カム部が、差し込まれる配線板状部材により押圧されて、配線板状部材の差込み方向に直線移動せしめられて、その一部が導電コンタクトに設けられた切欠き部に落ち込んでいない状態から、その一部が導電コンタクトに設けられた切欠き部に落ち込んで回動する状態に移行せしめられる。それにより、カム部を有するアクチュエータが、カム部の回動に伴って回動するものとされ、第1の姿勢から第2の姿勢に移行せしめられて、自動的に第2の姿勢をとるものとされる。第2の姿勢をとるアクチュエータは、複数の導電コンタクトの夫々における一対の腕状部のいずれかに、配線板状部材に配列配置された複数の接続端子のうちの対応するものに対する接触状態をとらせる。
従って、アクチュエータが第1の姿勢をとるものとされたもとで、絶縁ハウジング内に配線板状部材が差し込まれるとき、それに伴って、アクチュエータが、自動的に、第2の姿勢をとるものとされることになり、それにより、絶縁ハウジング内に配列配置された複数の導電コンタクトが、絶縁ハウジング内に差し込まれた配線板状部材に配列配置された複数の接続端子に夫々当接する状態に置かれる。その結果、例えば、配線板状部材に配列配置された複数の接続端子が、複数の導電コンタクトを介して、複数の導電コンタクトが接続された回路基板の回路配線部等に電気的に接続されることになる。
また、アクチュエータが第2の姿勢をとるものとされ、絶縁ハウジング内に配列配置された複数の導電コンタクトが、絶縁ハウジング内に差し込まれた配線板状部材に配列配置された複数の接続端子に夫々当接する状態に置かれたもとで、アクチュエータを、第2の姿勢から第1の姿勢へと回動させる操作が行われると、アクチュエータが有するカム部が、その一部が導電コンタクトに設けられた切欠き部に落ち込んだ状態からその一部が導電コンタクトに設けられた切欠き部に落ち込んでいない状態に移行せしめられる。それにより、複数の導電コンタクトが、配線板状部材の絶縁ハウジング内への差込みを妨げない状態をとるものとされる。その後、必要に応じて、配線板状部材が絶縁ハウジングから板状部材差込み部を通じて離脱せしめられる。
上述のような本発明に係るコネクタ装置にあっては、例えば、FPC,FFC等の部分とされる配線板状部材を当該コネクタ装置が固着された主印刷配線基板に取り付ける場合等において、配線板状部材における複数の接続端子が絶縁ハウジング内の複数の導電コンタクトに接続される状態を得べく、アクチュエータが第1の姿勢をとるもとで、配線板状部材が絶縁ハウジング内に板状部材差込み部を通じて差し込まれるとき、配線板状部材の絶縁ハウジング内への差込みに伴って、アクチュエータが、自動的に回動するものとされ、第1の姿勢から第2の姿勢に移行せしめられて第2の姿勢をとり、それにより、複数の導電コンタクトが絶縁ハウジング内に差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子に夫々当接するものとされる。従って、本発明に係るコネクタ装置によれば、配線板状部材における複数の接続端子が絶縁ハウジング内の複数の導電コンタクトに接続される状態を得るにあたり、配線板状部材を絶縁ハウジング内に板状部材差込み部を通じて差し込む操作だけで足り、アクチュエータを回動させる操作は必要とされないので、極めて簡単な操作をもって確実に目的を達成することができる。
また、本発明に係るコネクタ装置によれば、絶縁ハウジング内における複数の導電コンタクトが絶縁ハウジング内に差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子に夫々当接するものとされる状態は、配線板状部材が絶縁ハウジング内の奥まで差し込まれて所定の位置に配されたもとでとられるので、複数の導電コンタクトの配線板状部材の表面との摺動により配線板状部材に損傷が加えられるという虞もなく、かつ、絶縁ハウジング内における複数の導電コンタクトが絶縁ハウジング内に差し込まれた配線板状部材における複数の接続端子に適正に当接した状態を、絶縁ハウジング内への配線板状部材の差込み状態をもって確認することができる。
さらに、本発明に係るコネクタ装置によれば、配線板状部材の絶縁ハウジング内への差込みに伴うアクチュエータの自動的な回動が、絶縁ハウジングにおける板状部材差込み部が設けられた端部に対向する端部に向かう方向に行われるので、配線板状部材を絶縁ハウジング内の奥まで差し込むための操作が、アクチュエータに煩わされることのない、作業性の良いものとされることになる。
図1は、本発明に係るコネクタ装置の一例を、それに差し込まれる配線板状部材とされるFPCの部分と共に示す。
図1において、本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成された絶縁ハウジング11を備えており、絶縁ハウジング11には、板状部材差込み部12が設けられている。この絶縁ハウジング11には、例えば、FPC13の部分が、配線板状部材を成すものとして、板状部材差込み部12を通じて、その内部に差し込まれる。そして、コネクタ装置10は、例えば、絶縁ハウジング11が図示されていない回路基板に取り付けられて、当該回路基板に固着される。その際には、絶縁ハウジング11の長手方向の両端部に取付金具(ホールドダウン:図示されていない。)が取り付けられ、絶縁ハウジング11が、取付金具を介して、回路基板に取り付けられる。
板状部材差込み部12を通じて絶縁ハウジング11内に差し込まれるFPC13の部分には、その相互対向する二面の一方(図1において上方となる面。以下、上面という。)に、各々が短冊形を成すものとされた導電性材料で成る複数の接続端子14が、配列配置されて設けられている。複数の接続端子14の夫々は、図示が省略された、FPC13に設けられた印刷配線部に連結されている。
コネクタ装置10の絶縁ハウジング11内には、複数の導電コンタクト15が配列配置されている。これらの複数の導電コンタクト15は、各々が、絶縁ハウジング11に対するFPC13の部分の差込み及び抜出し方向に沿う方向に伸びるものとされ、FPC13の部分が板状部材差込み部12を通じて絶縁ハウジング11内に差し込まれるとき、差し込まれたFPC13の部分に配列配置された複数の接続端子14に夫々対応する位置をとるものとされている。
複数の導電コンタクト15の夫々は、図2に示されるように、弾性を有した導電性材料で形成された、全体が略「U」字状を成す部材とされている。斯かる導電コンタクト15における、連結部16によって連結されて相互対向する一対の腕状部17及び18のうち、腕状部17が固定部とされ、腕状部18が変位可能な可動部とされている。そして、固定部を成す腕状部17は、その一端部に、絶縁ハウジング11内に差し込まれたFPC13の部分に当接する当接部17aが設けられ、また、その他端部に、絶縁ハウジング11が取り付けられる回路基板に設けられた回路配線部(図示が省略されている)に接続される接続部17bが設けられたものとされる。また、可動部を成す腕状部18は、連結部16から伸び、その一端部に、絶縁ハウジング11内に差し込まれたFPC13の部分に配列配置された複数の接続端子14のうちの対応するものに押圧当接する押圧当接部18aが設けられたものとされる。腕状部17の一端部に設けられた当接部17aと腕状部18の一端部に設けられた押圧当接部18aとは、相互対向する位置に置かれている。
さらに、複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部17における腕状部18に対向する縁部には、切欠き部17cが、複数の導電コンタクト15の配列方向に沿う極めて短い溝状部を成すものとして設けられている。一方、複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部18における腕状部17に対向する縁部には、後述されるアクチュエータのカム部に係合する係合部18bが設けられている。
そして、FPC13の部分が板状部材差込み部12を通じて絶縁ハウジング11内に差し込まれるときには、絶縁ハウジング11内に配列配置された複数の導電コンタクト15の夫々における腕状部17と腕状部18とが、絶縁ハウジング11内に差し込まれた、複数の接続端子14が配列配置されて設けられたFPC13の部分を挟むものとされる。その際、複数の導電コンタクト15における腕状部18は、FPC13の部分の上面に設けられた複数の接続端子14に夫々対応するものとなる。
また、絶縁ハウジング11には、それにおける板状部材差込み部12が設けられた端部に対向する端部側に配置されたアクチュエータ20が設けられている。アクチュエータ20は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されて、その全体が、絶縁ハウジング11における複数の導電コンタクト15の配列方向に伸びる形状をしており、図3に示されるように、アクチュエータ20を回動させる操作に供される操作部21、及び、絶縁ハウジング11内に配列配置された複数の導電コンタクト15の配列方向に沿って伸びて、複数の導電コンタクト15に当接する状態をとるカム部22を有している。このカム部22は、後述される図4に示されるように、絶縁ハウジング11内に配列配置された複数の導電コンタクト15の夫々における腕状部17と腕状部18との間に配されるものとされ、複数の導電コンタクト15の配列方向に直交する面内の断面形状が、角が丸められた三角形状を成すものとされている。
斯かるアクチュエータ20が有するカム部22は、絶縁ハウジング11内に配列配置された複数の導電コンタクト15の夫々における腕状部17及び腕状部18の各々に当接するもとで、絶縁ハウジング11に対するFPC13の部分の差込み方向及びその逆の方向への直線移動と回動とが可能とされている。そして、カム部22が、絶縁ハウジング11内に配列配置された複数の導電コンタクト15の夫々における腕状部17及び腕状部18の各々に当接するもとで、絶縁ハウジング11に対するFPC13の部分の差込み方向及びその逆の方向への直線移動と回動とが可能とされていることによって、カム部22を有するアクチュエータ20が、絶縁ハウジング11に対しての、絶縁ハウジング11に対するFPC13の部分の差込み方向及びその逆の方向への直線移動と回動とが、可能とされていることになる。
上述のようなアクチュエータ20は、図1に示されるように、絶縁ハウジング11における板状部材差込み部12が設けられた端部に対向する端部側から所定の角度をもって起き上がった第1の姿勢をとることができる。図1におけるIV−IV線断面をあらわす図4に示されるように、アクチュエータ20が第1の姿勢をとるときには、アクチュエータ20が有するカム部22が、絶縁ハウジング11内に配列配置された複数の導電コンタクト15の夫々における腕状部17及び腕状部18の各々に当接するとともに、その一部が腕状部17に設けられた切欠き部17cに落ち込んでいない状態に置かれる。そして、このとき、腕状部18に設けられた係合部18bが、カム部22に係合して、カム部22の位置決めを行っている。
その一部が切欠き部17cに落ち込んでいず、係合部18bによる位置決めが行われた状態にあるカム部22は、その一部が切欠き部17cに落ち込んだ状態にあるときに比して、腕状部18を腕状部17から離隔させる方向に移動させている。それにより、カム部22の一部が切欠き部17cに落ち込んでいないときには、カム部22の一部が切欠き部17cに落ち込んでいるときに比して、腕状部17の一端部に設けられた当接部17aと腕状部18の一端部に設けられた押圧当接部18aとの間の間隔が広げられていることになる。その結果、絶縁ハウジング11内に配列配置された複数の導電コンタクト15が、FPC13の部分の絶縁ハウジング11内への板状部材差込み部12を通じた差込みを妨げない状態におかれることになる。即ち、アクチュエータ20は、第1の姿勢をとるときには、カム部22をもって絶縁ハウジング11内に配列配置された複数の導電コンタクト15に係合し、そのカム22によって、複数の導電コンタクト15に、FPC13の部分の絶縁ハウジング11内への板状部材差込み部12を通じた差込みを妨げない状態をとらせるのである。
配線板状部材を成すFPC13の部分のコネクタ装置10への差込みがなされるにあたっては、上述のようにしてアクチュエータ20が第1の姿勢をとるもとにおいて、図5に示されるように、配線板状部材を成すFPC13の部分が、絶縁ハウジング11に設けられた板状部材差込み部12を通じて絶縁ハウジング11内に差し込まれる。このとき、差し込まれるFPC13の部分は、複数の接続端子14が配列配置された上面とは反対側の面(以下、下面という。)に、絶縁ハウジング11内に配列配置された複数の導電コンタクト15の夫々における腕状部17に設けられた当接部17aが当接するものとされる。そして、FPC13の部分が絶縁ハウジング11内に差し込まれるに従って、図5に示されるように、差し込まれたFPC13の部分の先端が、絶縁ハウジング11内において複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部17と腕状部18との間に配され、腕状部18に設けられた係合部18bにより位置決めされたカム部22に当接する。
その後、配線板状部材を成すFPC13の部分が絶縁ハウジング11内に引き続いて差し込まれることにより、図6に示されるように、カム部22に当接したFPC13の部分の先端がカム部22を押圧し、カム部22に、腕状部18に設けられた係合部18bにより位置決めされた状態を脱して、絶縁ハウジング11に対するFPC13の部分の差込み方向に直線移動する状態をとらせる。このとき、カム部22の直線移動に伴って、カム部22を有したアクチュエータ20の全体も、絶縁ハウジング11に対するFPC13の部分の差込み方向に直線移動せしめられる。
そして、配線板状部材を成すFPC13の部分が絶縁ハウジング11内に更に差し込まれると、図7に示されるように、FPC13の部分の先端により押圧されて、絶縁ハウジング11に対するFPC13の部分の差込み方向に直線移動するカム部22が、その一部が複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部17に設けられた切欠き部17cに落ち込み、その落込みと同時に回動するものとされる。このカム部22の回動に伴って、カム部22を有したアクチュエータ20の全体も回動せしめられ、アクチュエータ20が、図1及び図4〜図6に示される第1の姿勢をとる状態から、図7及び図8に示されるように、絶縁ハウジング11における板状部材差込み部12が設けられた端部に対向する端部に向かって倒れた第2の姿勢をとる状態に移行せしめられる。即ち、配線板状部材を成すFPC13の部分が絶縁ハウジング11内に更に差し込まれることにより、アクチュエータ20が自動的に回動して第2の姿勢をとるものとされるのである。そして、アクチュエータ20は、第1の姿勢と第2の姿勢とを選択的にとることになる。
第2の姿勢をとるものとされたアクチュエータ20は、一部が複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部17に設けられた切欠き部17cに落ち込んだカム部22が、複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部18に当接してその腕状部18からの押圧力を受ける状態におかれることにより、第2の姿勢を継続的に維持するものとされる。
このようにして、カム部22が、その一部が複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部17に設けられた切欠き部17cに落ち込んだ状態とされて、アクチュエータ20が、第2の姿勢をとるときには、複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部18が、一部が切欠き部17cに落ち込んでいない状態にあるカム部22により腕状部17から離隔する方向に移動せしめられた状態から開放されて、自身の弾性により、一部が複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部17に設けられた切欠き部17cに落ち込んだカム部22との当接状態を維持しつつ、腕状部17に近接する方向に移動する。それにより、腕状部18に設けられた押圧当接部18aが、腕状部17に設けられた当接部17aが下面に当接しているFPC13の部分の上面に配列配置された複数の接続端子14のうちの対応するものに押圧当接するものとされる。その結果、FPC13の部分の上面に配列配置された複数の接続端子14が、複数の導電コンタクト15に夫々接続されて、コネクタ装置10が固着された回路基板に設けられた回路配線部に電気的に接続される状態におかれる。
上述のようにして、配線板状部材を成すFPC13の部分が絶縁ハウジング11内に差し込まれるとき、アクチュエータ20が自動的に回動して第2の姿勢をとるものとされて、複数の導電コンタクト15の夫々における腕状部18に設けられた押圧当接部18aが、FPC13の部分の上面に配列配置された複数の接続端子14のうちの対応するものに押圧当接するものとされ、それにより、FPC13の部分の上面に配列配置された複数の接続端子14が、複数の導電コンタクト15に夫々接続されて、コネクタ装置10が固着された回路基板に設けられた回路配線部に電気的に接続されることになる。
アクチュエータ20が有するカム部22が、その一部が複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部17に設けられた切欠き部17cに落ち込んだ状態とされて、アクチュエータ20が第2の姿勢をとるものとされ、絶縁ハウジング11内に配列配置された複数の導電コンタクト15の夫々における腕状部18に設けられた押圧当接部18aが、絶縁ハウジング11内に差し込まれたFPC13の部分の上面に配列配置された複数の接続端子14のうちの対応するものに押圧当接する状態に置かれたもとで、アクチュエータ20を、カム部22が受ける複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部18からの押圧力に抗して、第2の姿勢から第1の姿勢へと回動させる操作が行われると、カム部22が、その一部が複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部17に設けられた切欠き部17cに落ち込んだ状態からその一部が複数の導電コンタクト15の夫々の腕状部17に設けられた切欠き部17cに落ち込んでいない状態へと移行せしめられるとともに、絶縁ハウジング11に対するFPC13の部分の差込み方向とは逆の方向、即ち、絶縁ハウジング11に対するFPC13の部分の抜出し方向に直線移動せしめられる。それにより、複数の導電コンタクト15が、図4〜図6に示されるような、FPC13の部分の絶縁ハウジング11内への差込みを妨げない状態をとるものとされる。その後、必要に応じて、FPC13の部分が絶縁ハウジング11から板状部材差込み部12を通じて離脱せしめられる。
上述のようなコネクタ装置10によれば、FPC13の部分における複数の接続端子14が絶縁ハウジング11内の複数の導電コンタクト15に接続される状態を得るにあたり、FPC13の部分を絶縁ハウジング11内に板状部材差込み部12を通じて差し込む操作だけで足り、アクチュエータ20を回動させる操作は必要とされないので、極めて簡単な操作をもって確実に目的を達成することができることになる。
また、コネクタ装置10によれば、絶縁ハウジング11内における複数の導電コンタクト15が絶縁ハウジング11内に差し込まれたFPC13の部分における複数の接続端子14に夫々押圧当接するものとされる状態は、FPC13の部分が絶縁ハウジング11内の奥まで差し込まれて予め設定された所定の位置に配されたもとでとられるので、複数の導電コンタクト15のFPC13の部分の表面との摺動によりFPC13の部分に損傷が加えられるという虞もなく、かつ、絶縁ハウジング11内における複数の導電コンタクト15が絶縁ハウジング11内に差し込まれたFPC13の部分における複数の接続端子14に適正に押圧当接した状態を、絶縁ハウジング11内へのFPC13の部分の差込み状態をもって確認することができる。
さらに、コネクタ装置10によれば、FPC13の部分の絶縁ハウジング11内への差込みに伴うアクチュエータ20の自動的な回動が、絶縁ハウジング11における板状部材差込み部12が設けられた端部に対向する端部に向かう方向に行われるので、FPC13の部分を絶縁ハウジング11内の奥まで差し込むための操作が、アクチュエータ20に煩わされることのない、作業性の良いものとされることになる。
なお、上述の例においては、FPC13の部分の上面に複数の接続端子14が配列配置されており、FPC13の部分が絶縁ハウジング11内に差し込まれるとき、複数の導電コンタクト15の夫々における可動部とされる腕状部18に設けられた押圧当接部18aが、FPC13の部分の上面における複数の接続端子14のうちの対応するものに押圧当接し、当該導電コンタクト15における固定部とされる腕状部17に設けられた当接部17aが、FPC13の部分の下面に当接するものとされているが、FPC13の部分の下面に複数の接続端子が配列配置されていて、そのFPC13の部分が絶縁ハウジング11内に差し込まれるとき、複数の導電コンタクト15の夫々における可動部とされる腕状部18に設けられた押圧当接部18aが、FPC13の部分の上面に押圧当接し、当該導電コンタクト15における固定部とされる腕状部17に設けられた当接部17aが、FPC13の部分の下面における複数の接続端子に当接するものとされてもよい。
また、上述の例においては、複数の導電コンタクト15の夫々における腕状部17に設けられた当接部17aと腕状部18に設けられた押圧当接部18aとが相互対向する位置に配されているが、斯かる当接部17aと押圧当接部18aとは、絶縁ハウジング11に対するFPC13の部分の差込み及び抜出し方向において位置ずれしているものとされてもよい。
10・・・コネクタ装置, 11・・・絶縁ハウジング, 12・・・板状部材差込み部, 13・・・FPC, 14・・・接続端子, 15・・・導電コンタクト, 16・・・連結部, 17,18・・・腕状部, 17a・・・当接部, 17b・・・接続部, 17c・・・切欠き部, 18a・・・押圧当接部, 18b・・・係合部, 20・・・アクチュエータ, 21・・・操作部, 22・・・カム部