JP2009251467A - 電気的状態計算装置、電気的状態の計算方法、画像形成装置の製造方法、情報処理プログラム及び記録媒体 - Google Patents

電気的状態計算装置、電気的状態の計算方法、画像形成装置の製造方法、情報処理プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真方式を用いた画像形成装置内の顕色剤に影響する電気的状態を計算する計算方法において、容易に高精度な計算を可能とすること
【解決手段】本発明の一態様は、電気的状態を計算する電気的状態計算装置であって、条件情報を取得する条件情報取得部101と、トナー粒子Qが含まれる空気中と誘電体201と金属電極202を含む系においてトナー粒子Qの電荷に応じて金属電極202内に複数誘起される鏡像電荷に基づいて電気的状態を計算するトナー電界計算部102とを有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気的状態計算装置、電気的状態の計算方法、画像形成装置の製造方法、情報処理プログラム及び記録媒体に関し、特に電子写真方式を用いた画像形成装置の顕色剤に影響する電気的状態の計算に関する。
近年、粉体や粒体等を扱う分野においては、シミュレーションを用いた設計方法が急速に普及し始めている。これは大幅なコンピュータ性能の向上と、汎用性の高い電磁場解析ソフトや気流解析ソフトが数多く市販されていることによるものである。例えば、電子写真プロセスの現像プロセスや転写プロセスにおいては、荷電粒子であるトナーの挙動が重要であるため、3次元の粒子挙動シミュレーションを用いる動きが活発である。
このような粒子挙動のシミュレーションにおいては、所定の数値計算手法を用いて所定領域での電位分布を算出し、さらに電位分布を空間微分することで電界強度を算出している。個々の粒子に作用する力Fは、得られた電界強度Eと粉体粒子の帯電量Qから、以下の式(6)を用いて計算される。
Figure 2009251467
このように個々の粒子に作用する力Fを計算し、ニュートンの運動方程式に基づいて粒子挙動を計算するのが一般的である。
しかしながら、トナー電荷による電界の乱れを考慮して電界計算を行い、その電界にしたがってトナーの軌跡を計算するような詳細な解析は困難であり、市販のシミュレータでは対応できない。従って、該プロセスに特化した専用シミュレータを作成して対応を行っているのが現状である。帯電した荷電粒子であるトナー粒子の挙動をシミュレーションする方法として、一部の領域における粒子の挙動を計算し、その計算結果を他の領域に展開する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された方法は、電子写真プロセスにおいて粒子挙動の解析対象となる領域には粒子挙動が類似する領域が多く存在することに着目し、一部の領域について計算した計算結果を他の領域に展開する際に、粒子挙動の類似する領域についてはグループ化して一の計算結果を適用することが開示されている。これにより、全領域の解析を完了するまでの計算量を削減することが可能となる。
特開2007−33134公報
特許文献1に開示された方法において、高精度な解析を行なうためには、粒子挙動を計算する領域を細かく設定し、さらに収束条件を厳しくして、より厳密な電位分布や電界強度分布を算出する必要がある。電界を計算する際に、電位分布を空間で数値微分するために非常に誤差が大きいといった欠点があり、可能な限り小さな計算メッシュを用いる必要がある。しかしながら近年トナーは小粒径化の傾向にあり、5μm〜6μmのトナーが主流となりつつあり、高精度な解析を行なうために、上記計算領域は1μm以下、より好適には数100nm程度のサイズとする必要がある。これは領域分割法である、差分法、有限要素法に共通の課題である。一方、精度のよい計算手法として、境界分割法があげられるが、トナーが移動するたびに仮想電荷の配置を考慮して連立方程式を計算するために、非常に時間がかかるといった欠点が挙げられる。
例えばトナー飛散やトナーチリといった転写特有の現象は、トナー間のクーロン反発力の影響が大きいと考えられているが、この現象を詳細に解析するには電界計算を精度よく行なうか、またはクーロン反発力を精度よく見積もる必要がある。我々はトナー電荷が形成する電位や電界について理論面で詳細な検討を行い、多数のトナーが存在する場合でもトナー近傍の電位、電界を精度よく計算可能な方法を考案するに至った。この手法を用いて電界計算を行なえば、より精度のよい解析が可能となり、より精度よくトナーに働く力を予測可能となり、現象解析の精度向上が期待される。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、電子写真方式を用いた画像形成装置内の顕色剤に影響する電気的状態を計算する計算方法において、容易に高精度な計算を可能とすることを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置において顕色剤に影響する電気的状態を計算する電気的状態計算装置であって、前記計算における条件の情報である条件情報を取得する条件情報取得部と、前記取得した条件情報に基づき、前記顕色剤が含まれる第1の誘電層と前記第1の誘電層に接する第2の誘電層と前記第1の誘電層とは反対側において前記第2の誘電層に接する金属体を含む系において前記顕色剤の電荷に応じて前記金属体内に複数誘起される鏡像電荷に基づいて前記電気的状態を計算する電気的状態計算部とを有し、前記電気的状態計算部は、前記顕色剤の電荷に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第1の金属体鏡像電荷と、前記第1の鏡像電荷が前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界において生ずる影響に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第2の金属体鏡像電荷とに基づいて前記電気的状態を計算することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気的状態計算装置において、前記電気的状態計算部は、前記金属体内に誘起される金属体鏡像電荷が前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界において生ずる影響に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に鏡像電荷が誘起されることにより、前記金属体内に無限に誘起される金属体鏡像電荷のうち、前記第2の誘電層に近い側から所定数の前記金属体鏡像電荷に基づいて前記電気的状態を計算することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電気的状態計算装置において、前記電気的状態計算部は、前記電気的状態の計算において用いる前記金属体鏡像電荷の数を、m個の前記金属体鏡像電荷に基づいて前記電気的状態を計算した第1の計算結果と、m+1個の前記金属体鏡像電荷に基づいて前記電気的状態を計算した第2の計算結果との差異が所定の範囲内となる最小のmに基づいて決定することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電気的状態計算装置において、前記条件情報取得部は、前記顕色剤の電荷量を示す顕色剤電荷情報と前記顕色剤の位置を示す顕色剤位置情報と前記第1の誘電層の誘電率を示す第1の誘電率情報と前記第2の誘電層の誘電率を示す第2の誘電率情報と前記第2の誘電層の幅を示す誘電層幅情報とを取得することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電気的状態計算装置において、前記電気的状態計算部は、前記顕色剤電荷情報と前記第1の誘電率情報と前記第2の誘電率情報とに基づいて前記金属体鏡像電荷の電荷量を示す金属体鏡像電荷情報を計算することを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電気的状態計算装置において、前記電気的状態計算部は、前記顕色剤の電荷量をQ、前記第1の誘電率情報が示す誘電率をε1、前記第2の誘電率情報が示す誘電率をε2とすると、前記複数誘起される金属体鏡像電荷のうち前記第2の誘電層に近い側からk番目の前記金属体鏡像電荷の電荷量Qn=kを以下の式(7)に基づいて計算することを特徴とする。
Figure 2009251467
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電気的状態計算装置において、前記電気的状態計算部は、前記顕色剤電荷情報と前記顕色剤位置情報とに基づいて前記顕色剤の電荷による電位を示す顕色剤電位情報を計算し、前記顕色剤電荷情報と前記第1の誘電率情報と前記第2の誘電率情報とに基づいて前記顕色剤の電荷に応じて前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界を鏡面として前記第2の誘電層内に誘起される誘電層鏡像電荷を示す誘電層鏡像電荷情報を計算し、前記誘電層鏡像電荷情報と前記顕色剤位置情報とに基づいて前記誘電層鏡像電荷による電位を示す誘電層鏡像電荷電位情報を計算し、前記金属体鏡像電荷情報と前記顕色剤位置情報と前記誘電層幅情報とに基づいて前記金属体鏡像電荷による電位を示す金属体鏡像電荷電位情報を計算し、前記顕色剤電位情報と前記誘電層鏡像電荷電位情報と前記金属体鏡像電荷電位情報とに基づいて前記第1の誘電層における任意の位置の電位を前記電気的状態として計算することを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の電気的状態計算装置において、前記電気的状態計算部は、前記誘電層鏡像電荷の電荷量Q1を以下の式(8)に基づいて計算し、
Figure 2009251467
前記第1の誘電層における任意の位置rにおける前記顕色剤との距離をR0、前記rにおける前記誘電層鏡像電荷との距離をR1、前記rにおける前記金属体鏡像電荷との距離であってk番目の前記金属体鏡像電荷との距離をRn=k、前記電気的状態の計算において用いる前記金属体鏡像電荷の数をmとすると、前記第1の誘電層における任意の位置の電位φを以下の式(9)に基づいて計算することを特徴とする。
Figure 2009251467
また、請求項9に記載の発明は、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電気的状態計算装置において、前記的状態計算部は、前記顕色剤電荷情報と前記顕色剤位置情報とに基づいて前記顕色剤の電荷による電界を示す顕色剤電界情報を計算し、前記顕色剤電荷情報と前記第1の誘電率情報と前記第2の誘電率情報とに基づいて前記顕色剤の電荷に応じて前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界を鏡面として前記第2の誘電層内に誘起される誘電層鏡像電荷を示す誘電層鏡像電荷情報を計算し、前記誘電層鏡像電荷情報と前記顕色剤位置情報とに基づいて前記誘電層鏡像電荷による電界を示す誘電層鏡像電荷電界情報を計算し、前記金属体鏡像電荷情報と前記顕色剤位置情報と前記誘電層幅情報とに基づいて前記金属体鏡像電荷による電界を示す金属体鏡像電荷電界情報を計算し、前記顕色剤電界情報と前記誘電層鏡像電荷電界情報と前記金属体鏡像電荷電界情報とに基づいて前記第1の誘電層における任意の位置の電界を前記電気的状態として計算することを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の電気的状態計算装置において、前記電気的状態計算部は、前記誘電層鏡像電荷の電荷量Q1を以下の式(10)に基づいて計算し、
Figure 2009251467
前記第1の誘電層における任意の位置rにおける前記顕色剤との距離をR0、前記rにおける前記誘電層鏡像電荷との距離をR1、前記rにおける前記金属体鏡像電荷との距離であってk番目の前記金属体鏡像電荷との距離をRn=k、前記電気的状態の計算において用いる前記金属体鏡像電荷の数をmとすると、前記第1の誘電層における任意の位置の電界Εを以下の式(11)に基づいて計算することを特徴とする。
Figure 2009251467
また、請求項11に記載の発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置内の顕色剤が含まれる第1の誘電層と前記第1の誘電層に接する第2の誘電層と前記第1の誘電層とは反対側において前記第2の誘電層に接する金属体を含む系において前記顕色剤に影響する電気的状態を計算する電気的状態の計算方法であって、前記計算における条件の情報である条件情報を取得し、前記取得した条件情報に基づいて前記顕色剤の電荷によって生ずる第1の電気的状態を計算し、前記顕色剤の電荷に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第1の金属体鏡像電荷によって生ずる第2の電気的状態を計算し、前記第1の鏡像電荷が前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界において生ずる影響に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第2の金属体鏡像電荷によって生ずる第3の電気的状態を計算し、前記第1の電気的状態、第2の電気的状態、第3の電気的状態に基づいて前記顕色剤に影響する電気的状態を算出することを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置の製造方法であって、前記画像形成装置内の顕色剤が含まれる第1の誘電層と前記第1の誘電層に接する第2の誘電層と前記第1の誘電層とは反対側において前記第2の誘電層に接する金属体を含む系において前記顕色剤に影響する電気的状態を計算する電気的状態の計算方法を含み、前記電気的状態の計算方法は、前記計算における条件の情報である条件情報を取得し、前記取得した条件情報に基づいて前記顕色剤の電荷によって生ずる第1の電気的状態を計算し、前記顕色剤の電荷に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第1の鏡像電荷によって生ずる第2の電気的状態を計算し、前記顕色剤鏡像電荷が前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界において生ずる影響に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第2の鏡像電荷によって生ずる第3の電気的状態を計算し、前記第1の電気的状態、第2の電気的状態、第3の電気的状態に基づいて前記顕色剤に影響する電気的状態を算出する工程を含み、前記算出された電気的状態に基づいて前記第1の誘電層における前記顕色剤の挙動を計算し、前記計算された前記顕色剤の挙動に基づいて前記画像形成装置の動作を制御する制御部が電子写真機構を制御するパラメータを決定することを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、情報処理プログラムであって、請求項11または12に記載の方法を情報処理装置に実行させることを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、記録媒体であって、請求項13に記載の情報処理プログラムを情報処理装置が読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする。
本発明によれば、電子写真方式を用いた画像形成装置内の顕色剤に影響する電気的状態を計算する計算方法において、容易に高精度な計算が可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態においては、荷電粒子である顕色剤(トナー)近傍の電位、電界等の電気状態を精度良く算出するための解析方法を採用した電気的状態計算装置を含むトナー挙動解析装置を例として説明する。
図1は、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス80を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60及び操作部70が接続されている。
CPU10は演算手段であり、トナー挙動解析装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザがトナー挙動解析装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザがトナー挙動解析装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。このように、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1は、一般的なPC等の情報処理装置に、専用のソフトウェアをインストールすることによって実現される。
次に、図2を参照して、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1は、解析制御部100、情報入力部110及び表示部120を有する。また、解析制御部100は、条件情報取得部101、トナー電界計算部102、電極電界計算部103、電界合算部104、トナー挙動計算部105及び表示情報生成部106を有する。
情報入力部110は、ユーザがトナー挙動解析装置1に情報を入力するための構成であり、図1に示す操作部70によって実現される。表示部120は、トナー挙動解析装置1によって解析された解析結果を表示するための構成であり、図1に示LCD60によって実現される。解析制御部100は、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1の要旨となる構成であり、情報入力部110から入力された情報に基づいてトナーの挙動を解析するために必要な計算を実行する。解析制御部100は、図2に示すROM30やHDD40等の不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20にロードされ、CPU10の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによって構成される。
条件情報取得部101は、情報入力部110から入力された情報を取得する。条件情報取得部101ガ取得する情報は、解析制御部100がトナーの挙動を計算する際の条件となる情報である。条件情報取得部101が取得した情報は、トナー電界計算部102及び電極電界計算部103に入力される。トナー電界計算部102は、条件情報取得部101から入力された情報に基づき、トナーの電荷によって発生する電界及び電位を計算する。電極電界計算部103は、条件情報取得部101から入力された情報に基づき、電極によって発生する電界及び電位を計算する。
電界合算部104は、トナー電界計算部102及び電極電界計算部103が計算した電界及び電位を重ね合わせの原理により計算する。トナー挙動計算部105は、電界合算部104による合算処理によって生成された電界及び電位の情報に基づき、トナー粒子に加わる力を計算することにより、トナーの挙動を計算する。表示情報生成部106は、トナー挙動計算部105による計算結果を表示部120に表示するための表示情報を生成する。
このようなトナー挙動解析装置1において、本実施形態に係る要旨は、解析制御部100による計算方法にある。本実施形態に係る解析制御部100は、図3に示すように、金属電極202の表面に誘電率“ε”、厚さ“T”の誘電体201が積層された感光体ドラム200の近傍であって誘電体表面から“z”離れた位置に、電荷“Q”のトナー粒子Qが存在する場合の電界及び電位を計算する。尚、図3において、トナー粒子Qが存在するのは空気中であるが、空気中も誘電体の層(空気層)であり、空気層と誘電体201の層とが接している。また、図3に示すように、金属電極202は、空気層とは反対側において誘電体201と接している。以降、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1の動作について説明する。図4は、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1の動作を示すフローチャートである。
本実施形態に係るトナー挙動の解析においては、まずユーザが情報入力部110を介してトナーの挙動解析における条件の情報(以降、条件情報とする)を入力し、条件情報取得部101がその情報を取得する(S401)。S401においてユーザによって入力される情報(パラメータ)には、電極電界計算部で用いるメッシュモデル、トナー配置やトナー電荷量分布などの必要なパラメータがある。ここで、条件情報取得部101がS401において取得する条件情報に含まれる情報の例について、図5を参照して説明する。
図5は、条件情報に含まれる情報の例を示す図である。図5に示すように、条件情報は、トナー粒子Qの位置“z”(顕色剤位置情報)、トナー粒子の電荷量“Q”(顕色剤電荷情報)、誘電体201の厚さ“T”(誘電層幅情報)、トナーが存在する領域の誘電率“ε1”(第1の誘電率情報)、誘電体201の誘電率“ε2”(第2の誘電率情報)、計算において考慮する鏡像電荷の個数“n”の情報を含む。上記の記号“z”、“Q”、“T”、“ε”は、夫々図3に示す記号に該当する。鏡像電荷の個数“n”については、後に詳述する。条件情報取得部101は、情報入力部110から条件情報を取得すると、トナー電界計算部102及び電極電界計算部103に取得した条件情報を入力する。
条件情報取得部101から条件情報を入力されたトナー電界計算部102は、入力された条件情報に基づき、トナー粒子Qが生成する電界及び電位を算出する(S402)。即ち、トナー電界計算部102が電気的状態計算部として機能する。ここで、トナー粒子Qが生成する電界及び電位とは、トナー粒子Q自体が生成する電界及び電位に加え、トナー粒子Qの存在によって誘電体201及び金属電極202内部に生成される鏡像電荷が生成する電界及び電位を含む。トナー電界計算部102はこれらの電界及び電位を足し合わせて計算する。
荷電粒子の周囲の電位、電界は、計算領域内での電位指定点である金属が形成する電位、電界と、注目する荷電粒子自身が形成する電位、電界と、他の荷電粒子が形成する電位、電界との足し合わせで計算可能なことは、電磁気学初歩の重ね合わせ理論から明白である。しかしながら荷電粒子が形成する電位、電界を算出する際に、単にクーロンの法則から得られる電位、電界を重ね合わせるだけでは不十分であり、荷電粒子が周囲の誘電体や金属電極に誘起する鏡像電荷を考慮する必要がある。しかしながら金属電極と誘電体が混在する系での鏡像電荷の影響を考慮する理論は公知資料内には見当たらない。本実施形態に係る解析方法は、トナー電界計算部102が鏡像電荷の影響を考慮して計算を実行することに特徴を有する。
トナー電界計算部102による電界及び電位の算出方法について詳細に説明する。まず、本実施形態に係る計算方法の基本原理を説明する。まず鏡像電荷に関してよく知られた理論を説明する。図6は、金属電極近傍に電荷量Q0の電荷Q0が存在する場合の、電荷Q0近傍の電位や電界を考えるための図である。金属電極外部の誘電率ε1と金属電極が接した領域において、金属電極表面に電荷Q0が存在する。金属電極表面から電荷Q0までの距離をLとする。この場合には、金属電極内部に表面から距離Lの位置に鏡像電荷Qm1を置く。電荷Q0近傍の電位や電界は、系全体を誘電率ε1と置き換え、Q0とQm1が形成する電位や電界となる。ここで、金属電極外部の空気中の誘電率ε1を1とすると、鏡像電荷Qm1は、以下の式(12)で表すことができる。
Figure 2009251467
図7は、誘電体近傍に電荷Q0が存在する場合の、電荷Q近傍の電位や電界を考えるための図である。誘電率ε1の誘電体と誘電率ε2の誘電体が接した領域で、境界近傍のε1の領域に電荷Q0が存在する。境界面から電荷Q0までの距離をLとすると、ε2内部に表面から距離Lの位置に鏡像電荷Qm2を置く。電荷Q0近傍の電位や電界は、系全体をε1とみなして、Q0とQm2が形成する電位や電界となる。この場合、鏡像電荷Qm2は、以下の式(13)で表すことができる。
Figure 2009251467
図8は、誘電体近傍に電荷Q0が存在する場合の、誘電体内部の電位や電界を考えるための図である。図8は、図7の場合において、誘電体内部の電荷として考える場合の図である。この場合、電荷Q0を電荷Qm3と置き換えて、さらに全体を誘電体ε2とみなす。誘電体内部の電位、電界は、電荷Q0とQm3の影響の重ね合わせで計算する。この場合、電荷Qm3は、以下の式(14)で表すことができる。
Figure 2009251467
上記式(12)〜(14)は、一般的な電磁気学の教科書に記載されており、公知の式である。しかしながら、上記ルールには誘電体厚さの影響が加味されていない。これは誘電体厚さを無限大と仮定しているからである。電子写真の現像や転写プロセスでは、例えば感光体の厚さが20〜30μm、紙の厚さが100μmである。従って、これらの近傍に荷電粒子であるトナーが存在する場合、感光体や紙の厚さを無限大と仮定するには無理がある。よって、重ね合わせの理論で電位や電界を算出する場合には、有限厚さをもった誘電体近傍の荷電粒子近傍の電位、電界を算出する理論が必要となる。
図9は、有限厚さをもった誘電体における鏡像電荷を考えるための図であり、本実施形態に係るトナー電界計算部102による電界及び電位の計算方法を考えるための図である。図9は、図3において説明した場合において、考慮すべき鏡像電荷の態様が示されている。図9に示すように、本実施形態においては、金属電極202の上に誘電率ε、厚さTの誘電体201としてポリカーボネート(以降、ポリカとする)をコーティングし、さらにその上に荷電粒子であるトナー粒子Qが存在する場合を例に説明する。ポリカ内部に誘起される鏡像電荷Q1は、荷電粒子であるトナー粒子Qの電荷がQであるので、式(13)を適用することにより、以下の式(15)で表すことができる。
Figure 2009251467
鏡像電荷Q1は、トナー粒子Qの電荷に応じて空気層と誘電体201との境界を鏡面として誘電体201内に誘起される鏡像電荷であり、誘電層鏡像電荷と言うことができる。
図9に示すように、ポリカ表面からトナーまでの間隔がzであるので、鏡像電荷Q1の位置はポリカ表面から内部に−zである。ポリカ内部の電界は式(14)に示すようにQをQm3と置き換え、空間を誘電体とみなせば計算できる。よってポリカの下の電極に誘起される鏡像電荷Q2は計算領域全体を誘電体とみなし、式(12)によってQm3と逆極性で等量の電荷量となる。また、鏡像電荷Q2の位置は電極表面から内部に−(z+T)であり、以下の式(16)で表すことができる。
Figure 2009251467
この時点で、トナー近傍の任意点の電位は、Q、Q1及びQ2の影響を考慮して考えることができる。しかしながら、Q2の影響は空間を全て誘電体とみなして計算するのに対し、Q及びQ1は、空間を空気と想定しているため矛盾する。従って、空間を空気とみなせるように式(14)を用いてQ2を変換する必要がある。図9に示す金属電極202内の鏡像電荷Q2がポリカより外の空気中に形成する電位・電界を記述するための電荷Q3は式(14)を適用し、位置はQ2と同じ位置で全体を空気とみなすことにより、以下の式(17)で表すことができる。
Figure 2009251467
n=1は、トナー粒子Qの電荷に応じて誘電体201と金属電極202との境界を鏡面として金属電極202内に誘起される鏡像電荷であり、金属体鏡像電荷と言うことができる。また、Qn=1は、トナー粒子Qの電荷に応じて最初に金属電極202内に誘起される第1の鏡像電荷である。
トナー粒子Q近傍の任意点の電位はQ、Q1及びQ3(=Qn=1)が空気中に形成する電位となる。上記モデルではQ2が誘電体と空気の界面によって誘電体内部の電界を乱す効果が入っていない。この効果によって金属電極202の電位が乱されるため、この効果を考慮して金属電極202の電位を補正する。尚、Q3は、空間を誘電体201から空気中に変換しているため、Q3ではなくQ2を用いる。
まず計算領域全体を誘電体201、即ち誘電率εとみなし、誘電体201と空気との界面に対して電荷Q2と対象の位置、即ち、ポリカ表面より上z+2Tの位置にある電荷Q4を式(14)を用いて考えると、電荷Q4は以下の式(18)によって表される。
Figure 2009251467
このQ4が金属電極202の電位を乱す。即ち、Q4は、金属体鏡像電荷であるQ2が、空気層と誘電体201との境界において生ずる影響を示す。この影響を補正するための鏡像電荷Q5を考える。鏡像電荷Q5は、式(12)によってQ4と逆極性で等量の電荷量となる。また、鏡像電荷Q5の位置は金属電極202の表面から内部に−(z+3T)であり、その電荷量は以下の式(19)で表すことができる。
Figure 2009251467
式(19)に示すQ5はQが形成する電界の一部によって金属電極202の表面に誘起される電荷を表現しているため、この電荷によって誘電体201より外の空気中に影響をおよぼす。Q5がトナー粒子Q近傍におよぼす影響はQ2がトナー粒子Q近傍に及ぼす影響と同じであるため、Q2をQ3に変換する式(17)と同様の処理により、Q5が空気中に及ぼす影響を記述する電荷Q6(=Qn=2)を以下の式(20)により表すことができる。尚、Q6は電極内部でQ5と同じ位置に存在する。
Figure 2009251467
n=2は、金属体鏡像電荷であるQ2が、空気層と誘電体201との境界において生ずる影響であるQ4に応じて誘電体201と金属電極202との境界を鏡面として金属電極202内に誘起される鏡像電荷である。即ち、Qn=1と同様に金属体鏡像電荷と言うことができる。また、Qn=2は、第1の鏡像電荷であるQn=1の次に金属電極202内に誘起される第2の鏡像電荷である。
5が誘電体201と空気の界面によって誘電体201内部の電解を乱す効果を記述する電荷Qn=3は、上記式(18)〜式(20)と同様の計算により、下記の式(21)によって表すことができる。
Figure 2009251467
このように、式(18)〜(20)の計算を繰り返すことにより生成される金属電極202内の金属体鏡像電荷Qn=i(i=1、2、3、4)は、以下の式(22)〜(25)によって表すことができる。


Figure 2009251467

Figure 2009251467


Figure 2009251467

Figure 2009251467
前述の理論から、金属体鏡像電荷は無限個となるため、任意のnに対する式が必要となる。ここで、i=kとして一般化すると、一般化された金属体鏡像電荷Qn=kは、以下の式(26)によって表すことができる。
Figure 2009251467
また、鏡像電荷Qn=kの位置Pkは、以下の式(27)で表すことができる。
Figure 2009251467
鏡像電荷は理論的には無限個であるが、現実問題としては有限個となる。金属電極202内部の鏡像電荷をm次まで考えると、トナー粒子Q周囲の電位はQ、Q1、Qn=1、・・・・、Qn=mの電荷の影響を考えることになる。また、誘電体201、即ちポリカより上部の空間のみを解析対象とし、領域は空気で満たされていると仮定する。尚、上記説明においては、誘電体201であるポリカと空気の例であるが、2つの誘電体1、誘電体2(夫々の誘電率ε1、ε2)が接し、ε1側に荷電粒子が存在する場合の鏡像電荷Qn=k及びQ1は、夫々以下の式(28)、(29)によって表すことができる。ここで、上記の説明においては、トナー粒子Qが存在する空間は空気中であるため、ε1=1として計算されている。

Figure 2009251467

Figure 2009251467

上記Qn=kは、金属電極202内に複数誘起される付随鏡像電荷のうち、誘電体201に近い側からk番目の付随鏡像電荷の電荷量を示す。
ここで、電荷Qの鏡像電荷は、上記説明したように、誘電体2内部であって誘電体1界面からZ内側の位置の鏡像電荷Q1及び設置電極内部に、電極表面からZ+(1×n−1)×T内側の位置の鏡像電荷Qn=kである(但し、n=1、2、・・・、m)。また、複数の荷電粒子としてのトナーが存在する場合には、各トナーについて上記鏡像電荷を考え、その相互作用を全て積算する。
本実施形態に係るトナー電界計算部102は、図4のS402において、上記式(28)の計算によって金属電極202内に生成される鏡像電荷を算出し、上記式(29)の計算によって誘電体201内に生成される鏡像電荷を算出する。上述したように、トナー粒子Qによる電位φ及び電位Εは、トナー粒子Q自体が生成する電界及び電位に加え、鏡像電荷Q1及び鏡像電荷Qn=k(k=1、2、3、・・・、m)が生成する電界及び電位の足し合わせにより、以下の式(30)、(31)によって表すことができる。


Figure 2009251467

Figure 2009251467
ここで、R0は電荷であるトナー粒子Qからの距離、R1は鏡像電荷Q1からの距離、Rn=kは、は鏡像電荷Qn=kからの距離であり、S401において条件情報取得部101が取得したトナー位置“z”及び誘電体厚さ“T”に基づいて決定される。また、誘電率“ε”は、空気の場合ε0(=1)、誘電体1の場合ε1である。このように、本実施形態においては、トナー粒子Qに影響する電位及び電界等の電気的状態を、トナー粒子Qの電荷、誘電層鏡像電荷及び複数の金属体像電荷に基づいて計算する。
上記式(30)及び式(31)において、第1項は、トナー粒子Qの電荷によって生成される電位及び電界である。即ち、上記式(30)、(31)における第1項は、夫々顕色剤電位情報、顕色剤電界情報として用いられる。また、上記式(30)、(31)における第2項は、誘電体201内に誘起される誘電層鏡像電荷Q1によって生成される電位及び電界である。即ち、上記式(30)、(31)における第2項は、夫々誘電層鏡像電荷電位情報、誘電層鏡像電荷電界情報として用いられる。
また、上記式(30)、(31)における第3項は、金属電極202内に誘起される金属体鏡像電荷Qn=k(k=1、2、3、・・・、m)によって生成される電位及び電解である。即ち、上記式(30)、(31)における第3項は、夫々金属体鏡像電荷電位情報、金属体鏡像電荷電界情報として用いられる。トナー電界計算部102は、上記式(30)及び式(31)の式を用いて電位及び電界を計算すると、その計算結果を電界合算部104に入力する。
他方、図4に戻り、条件情報取得部101から条件情報を入力された電極電界計算部103は、入力された条件情報に基づき、金属電極202が生成する電界及び電位を算出する(S403)。S403における計算において、電極電界計算部103は、従来の差分法や有限要素法を用い、トナー層を除いた系での電界計算を実行する。電極電界計算部103は、上記計算を実行すると、その計算結果を電界合算部104に入力する。
トナー電界計算部102及び電極電界計算部103による計算が完了し、電界合算部104に計算結果が入力されると、電界合算部104は、トナー電界計算部102及び電極電界計算部103から入力された計算結果を合算する(S404)。電界合算部104は、合算処理を完了すると、その結果をトナー挙動計算部105に入力する。
トナー挙動計算部105は、電界合算部104から入力された合算結果に基づき、トナー粒子Qに加わる力を計算し、それによってトナーの挙動を計算する(S405)。トナー挙動計算部105による計算処理は、既存の計算手法を用いることが可能であり、詳細な説明を省略する。トナー挙動計算部105は、トナー挙動の計算を完了すると、その結果を表示情報生成部106に入力する。表示情報生成部106は、トナー挙動計算部105から入力された合算結果に基づき、トナー挙動の解析結果を表示部120に表示するための表示情報を生成し、表示部120に解析結果を表示する(S406)。このような処理により、本実施形態に係るトナー挙動解析装置1の動作が完了する。
次に、考慮すべき鏡像電荷の個数“m”についての考察を行なう。図10は、上記説明した計算手法を用いて、考慮する鏡像電位の数を変化させて誘電体201とトナー領域との界面における電位を計算した結果を示すグラフである。図10の例においては、領域200(μm)×300(μm)に、乱数を用いて帯電量Q/M=21.1(μC/g)、平均粒径6.7(μm)のトナーを立体的に配置する。そして、上記理論式に従って、付着量0.567(mg/cm2)の場合のトナー層の電位を計算した結果が示されている。
ここで、図10の横軸は金属電極内に設定した鏡像電荷の個数である。金属内の鏡像電荷個数5個以上で、電位はほぼ収束していることがわかる。実際には、金属電極内の鏡像電荷に加えて、誘電体内に1個鏡像電荷があるため、1個のトナーに対して計6個の鏡像電荷が必要である。例えばトナーが100個あれば、100×6=600個の鏡像電荷を考慮することになる。実際、図10ではトナー粒子が2125個であり、考慮すべき鏡像電荷は12750個であった。
なお図10から考慮する鏡像電荷の数が不十分だと、正しい結果を与えないことがわかる。理論上は無限個の粒子を考慮すべきであるが、現実問題としては結果が変化しなくなる個数でよい。よって、電極内部の鏡像電荷の個数nは一定値ではなく、計算条件によって変更可能であり、n=mにおける電位・電界とn=m+1における電位・電界の変化が、所定の変化量以下になるようにnの値を決めれば良い。例えば上記変化量が1%以下となる“m”を用いる。なお電位と電界では考慮すべき鏡像電荷の数は異なり、一般に電界の方が少ない個数で十分な精度が得られる。これは、電界は距離の2乗に反比例するのに対して、電位は距離の1乗に反比例するからである。
次に、本実施形態に係る計算方法、従来の計算方法及び実験結果との比較について、図11を参照して説明する。図11は、多数のトナー粒子が感光体表面に存在する場合のトナー層表面の電位を計算した結果を実験と比較する図である。図11においては、本実施形態に係る計算方法を用いて計算した結果を示すグラフ11a、従来の計算方法を用いて計算した結果を示すグラフ11b及び実験結果を示すグラフ11cが夫々プロットされている。
図11のグラフ11a及びグラフ11bは、厚さ6μm、比誘電率3であって背面に接地電極が配置された誘電体の上にトナーを付着させて電位を計測した結果であり、横軸はトナーの付着量(mg/cm2)、縦軸はトナー層の表面電位(V)を夫々示す。また、図11のグラフ11cは、上記と同様の条件において実験を行なった結果である。実験での誤差を加味すると、グラフ11a〜グラフ11cの3つの結果は十分によい精度で一致しており、平均電位としては本実施形態に係る計算結果が正しいことがわかる。
次にミクロな電位分布を精査する。図12(a)〜(d)は差分法と本実施形態に係る計算方法を用いて求めたトナー層内部の電位分布である。図12(a)は、差分法による電位の3次元表示であり、図12(b)は、図12(a)の例において適当な面の電位分布を2次元で表示した結果である。他方、図12(c)は本実施形態に係る計算方法により求めた3次元の電位分布表示であり、図12(d)は、図12(c)の場合において図12(b)と同じ場所の電位を表示した結果である。
図12(c)、(d)に示すように、本実施形態に係る計算方法による結果では、図12(a)、(b)に比べてトナーの位置での電位が負に急峻に落ち込んでおり、明らかに本実施形態に係る計算方法による結果の方が詳細な電位分布が得られていることが理解できる。
以上より、本計算手法ではトナーが形成する電位分布を、空間をメッシュに分割する必要なく、解析的に算出可能である。また、電界についても、従来はポアソン方程式から電位分布を計算し、その分布の空間微分(−gradφ)を計算することで電界分布を計算しているが、計算メッシュ分割の誤差や数値微分の誤差が発生するため、精度はあまり高くない。しかしながら本実施形態に係る計算方法では、電界も微分を用いることなく解析的に計算できるため、非常に高精度な電界分布が算出できる。
以上は誘電体の背面の電極が接地の場合であった。しかし実際には背面電極の電位は必ずしも接地(0V)ではなく、ある所定の電位を有している場合がある。さらには、背面電極が複数に分割されており、各々異なる電位を有している場合がある。次にこのような構成に対しての計算方法を説明する。
図13(a)のような系の電位分布を計算する場合を考える。電極1は+100(V)電極1は−100(V)、電極3は+100(V)、トナーは負に帯電している。理論上は、このような系でも電極内部の真電荷やその真電荷が誘電体に誘起する電荷を考慮することで、同様の手法で計算可能であるが、非常に煩雑となり得策ではない。一方、重ね合わせの理論から図13(a)の電位分布は図13(b)と図13(d)の電位分布との足し合わせで得られる。
ここで図13(d)の電位分布は良く知られた計算手法、たとえば差分法や有限要素法で容易に算出可能である。トナーが存在しないため、詳細なメッシュ分割は必要とせず、電極が形成する電位や電界が計算できれば十分である。よってトナー粒子に依存せず、細かいメッシュ分割が不要となる。また図13(b)の電位分布は、電極間距離が小さい場合は、図13(c)と略等価である。図13(c)の電位分布は上記説明した本実施形態に係る計算手法で精度よく計算可能である。電位だけでなく電界も、上記説明した本実施形態に係る計算方法で得た図13(c)の電界強度分布と、従来の計算手法で得られた図13(d)の電界強度分布を足し合わせることで得られる。
本実施形態に係る計算方法は、電子写真方式を採用する画像形成装置において、トナーを帯電させる帯電電位、感光体ドラムを帯電させる帯電電位、感光体ドラムに現像されたトナー像を転写紙に転写する転写電位等のパラメータを計算して決定するためのパラメータ計算方法として用いられる。以下、本実施形態に係るパラメータ計算方法を用いて製造される画像形成装置について図を参照して説明する。
図14は、本実施形態に係るパラメータ計算方法を用いてパラメータが決定され、製造された画像形成装置300の全体構成を示すブロック図である。図14に示すように、本実施例に係る画像形成装置300は、コントローラ310、ADF(Auto Document Feeder:原稿自動搬送装置)301、スキャナユニット302、排紙トレイ303、ディスプレイパネル304、給紙テーブル305、プリントエンジン306、排紙トレイ307及びネットワークI/F308を有する。また、コントローラ310は、主制御部311、エンジン制御部312、入出力制御部313、画像処理部314及び操作表示制御部315を有する。尚、図14においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙若しくは文書束の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル304は、画像形成装置300の状態を視覚的に表示する表示部として機能すると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置300を直接操作し若しくは画像形成装置300に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F308は、画像形成装置300がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
コントローラ310は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM(Read Only Memory)や不揮発性メモリ並びにHDD(Hard Disk Drive)や光学ディスク等の不揮発性記憶媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU(Central Processing Unit)の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ310が構成される。コントローラ310は、画像形成装置300全体を制御する制御部として機能する。
主制御部311は、コントローラ310に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ310の各部に命令を与える。エンジン制御部312は、プリントエンジン306やスキャナユニット302等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。本実施形態に係るパラメータ計算方法によって計算されて決定されたパラメータは、このエンジン制御部312に記憶されている。エンジン制御部312は、それらのパラメータに基づき、プリントエンジン306を制御する。エンジン制御部312に記憶されているパラメータの情報について、図を参照して説明する。
図15は、本実施形態に係るエンジン制御部312に記憶されているパラメータ情報の例を示す図である。図15に示すように、本実施形態に係るエンジン制御部312は、プリントエンジン306を制御するためのパラメータ情報として、トナー帯電電位、感光体ドラム帯電電位、転写電位の情報を記憶している。尚、図15に示す態様の他、本実施形態に係る計算方法に基づいて決定可能なパラメータ情報であれば、他の情報を含んでも良い。
入出力制御部313は、ネットワークI/F308を介して入力される信号や命令を主制御部311に入力する。また、主制御部311は、入出力制御部313を制御し、ネットワークI/F308及びネットワークを介して他の装置にアクセスする。
画像処理部314は、主制御部311の制御に従い、印刷出力すべき画像情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン306が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、画像処理部314は、スキャナユニット302から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置300に格納され若しくはネットワークI/F308を介して他の装置に送信される情報である。操作表示制御部315は、ディスプレイパネル304に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル304を介して入力された情報を主制御部311に通知する。
画像形成装置300がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部313がネットワークI/F308を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部313は、受信した印刷ジョブを主制御部311に転送する。主制御部311は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部314を制御して印刷ジョブに含まれる文書情報若しくは画像情報に基づいて描画情報を生成する。画像処理部314によって描画情報が生成されると、エンジン制御部312は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル305から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。プリントエンジン306の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。プリントエンジン306によって画像形成が施された文書は排紙トレイ307に排紙される。
画像形成装置300がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル304の操作若しくはネットワークI/F308を介して他の装置から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部315若しくは入出力制御部313が主制御部311にスキャン実行信号を転送する。主制御部311は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部312を制御する。エンジン制御部312は、ADF301を駆動し、ADF301にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット302に搬送する。また、エンジン制御部312は、スキャナユニット302を駆動し、ADF301から搬送される原稿を撮像する。また、ADF301に原稿がセットされておらず、スキャナユニット302に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット302は、エンジン制御部312の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット302が撮像部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット302に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部312は、スキャナユニット302が生成した撮像情報を画像処理部314に転送する。画像処理部314は、主制御部311の制御に従い、エンジン制御部312から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部314が生成した画像情報はHDD等の画像形成装置300に装着された記憶媒体に保存される。
画像処理部314によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD等に格納され若しくは入出力制御部313及びネットワークI/F308を介して外部の装置に送信される。また、画像形成装置300が複写機として動作する場合は、エンジン制御部312がスキャナユニット302から受信した撮像情報若しくは画像処理部314が生成した画像情報に基づき、画像処理部314が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部312がプリントエンジン306を駆動する。
上述したように、本実施形態に係るトナー挙動の解析方法によれば、トナー粒子の挙動を精細に解析することが可能である。従って、本実施形態に係るトナー粒子の挙動解析方法を用いて画像形成装置を製造することにより、エンジン制御部312がプリントエンジン306を制御するためのパラメータ情報を好適に決定することができる。
本発明の実施形態に係るトナー挙動解析装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るトナー挙動解析装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るトナー挙動解析装置が解析するトナー粒子及び感光体ドラムの態様を示す図である。 本発明の実施形態に係るトナー挙動解析装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る条件情報取得部が取得する条件情報に含まれる情報の例を示す図である。 本発明の実施形態に係るトナー電界計算部によるトナー電界の計算方法に係る原理を示す図である。 本発明の実施形態に係るトナー電界計算部によるトナー電界の計算方法に係る原理を示す図である。 本発明の実施形態に係るトナー電界計算部によるトナー電界の計算方法に係る原理を示す図である。 本発明の実施形態に係るトナー挙動解析装置によって解析される鏡像電荷の態様を示す図である。 本発明の実施形態に係るトナー挙動解析装置の計算結果を示すグラフ図である。 本発明の実施形態に係るトナー挙動解析装置の計算結果と実験結果とを比較するグラフ図である。 本発明の実施形態に係るトナー挙動解析装置の計算結果を示すグラフ図である。 本発明の他の実施形態に係るトナー粒子と感光体ドラムとの態様を示す図である。 本発明の実施形態に係る製造方法を用いて製造される画像形成装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置のエンジン制御部に設定されるパラメータ情報の例を示す図である。
符号の説明
1 トナー挙動解析装置、10 CPU、20 RAM、30 ROM、40 HDD、50 I/F、60 LCD、70 操作部、80 バス、100 トナー挙動解析部、101 条件情報取得部、102 トナー電界計算部、103 電極電界計算部、104 電界合算部、105 トナー挙動計算部、106 表示情報生成部、110 情報入力部、120 表示部、200 感光体ドラム、201 誘電体、202 金属電極、300 画像形成装置、301 ADF、302 スキャナユニット、303 排紙トレイ、304 ディスプレイパネル、305 給紙テーブル、306 プリントエンジン、307 排紙トレイ、308 ネットワークI/F、310 コントローラ、311 主制御部、312 エンジン制御部、313 入出力制御部、314 画像処理部、315 操作表示制御部

Claims (14)

  1. 電子写真方式を用いた画像形成装置において顕色剤に影響する電気的状態を計算する電気的状態計算装置であって、
    前記計算における条件の情報である条件情報を取得する条件情報取得部と、
    前記取得した条件情報に基づき、前記顕色剤が含まれる第1の誘電層と前記第1の誘電層に接する第2の誘電層と前記第1の誘電層とは反対側において前記第2の誘電層に接する金属体を含む系において前記顕色剤の電荷に応じて前記金属体内に複数誘起される鏡像電荷に基づいて前記電気的状態を計算する電気的状態計算部とを有し、
    前記電気的状態計算部は、前記顕色剤の電荷に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第1の金属体鏡像電荷と、前記第1の鏡像電荷が前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界において生ずる影響に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第2の金属体鏡像電荷とに基づいて前記電気的状態を計算することを特徴とする、電気的状態計算装置。
  2. 前記電気的状態計算部は、前記金属体内に誘起される金属体鏡像電荷が前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界において生ずる影響に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に鏡像電荷が誘起されることにより、前記金属体内に無限に誘起される金属体鏡像電荷のうち、前記第2の誘電層に近い側から所定数の前記金属体鏡像電荷に基づいて前記電気的状態を計算することを特徴とする、請求項1に記載の電気的状態計算装置。
  3. 前記電気的状態計算部は、前記電気的状態の計算において用いる前記金属体鏡像電荷の数を、m個の前記金属体鏡像電荷に基づいて前記電気的状態を計算した第1の計算結果と、m+1個の前記金属体鏡像電荷に基づいて前記電気的状態を計算した第2の計算結果との差異が所定の範囲内となる最小のmに基づいて決定することを特徴とする、請求項2に記載の電気的状態計算装置。
  4. 前記条件情報取得部は、前記顕色剤の電荷量を示す顕色剤電荷情報と前記顕色剤の位置を示す顕色剤位置情報と前記第1の誘電層の誘電率を示す第1の誘電率情報と前記第2の誘電層の誘電率を示す第2の誘電率情報と前記第2の誘電層の幅を示す誘電層幅情報とを取得することを特徴とする、請求項3に記載の電気的状態計算装置。
  5. 前記電気的状態計算部は、前記顕色剤電荷情報と前記第1の誘電率情報と前記第2の誘電率情報とに基づいて前記金属体鏡像電荷の電荷量を示す金属体鏡像電荷情報を計算することを特徴とする、請求項4に記載の電気的状態計算装置。
  6. 前記電気的状態計算部は、前記顕色剤の電荷量をQ、前記第1の誘電率情報が示す誘電率をε1、前記第2の誘電率情報が示す誘電率をε2とすると、前記複数誘起される金属体鏡像電荷のうち前記第2の誘電層に近い側からk番目の前記金属体鏡像電荷の電荷量Qn=kを以下の式(1)に基づいて計算することを特徴とする、請求項5に記載の電気的状態計算装置。
    Figure 2009251467
  7. 前記電気的状態計算部は、
    前記顕色剤電荷情報と前記顕色剤位置情報とに基づいて前記顕色剤の電荷による電位を示す顕色剤電位情報を計算し、
    前記顕色剤電荷情報と前記第1の誘電率情報と前記第2の誘電率情報とに基づいて前記顕色剤の電荷に応じて前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界を鏡面として前記第2の誘電層内に誘起される誘電層鏡像電荷を示す誘電層鏡像電荷情報を計算し、
    前記誘電層鏡像電荷情報と前記顕色剤位置情報とに基づいて前記誘電層鏡像電荷による電位を示す誘電層鏡像電荷電位情報を計算し、
    前記金属体鏡像電荷情報と前記顕色剤位置情報と前記誘電層幅情報とに基づいて前記金属体鏡像電荷による電位を示す金属体鏡像電荷電位情報を計算し、
    前記顕色剤電位情報と前記誘電層鏡像電荷電位情報と前記金属体鏡像電荷電位情報とに基づいて前記第1の誘電層における任意の位置の電位を前記電気的状態として計算することを特徴とする、請求項6に記載の電気的状態計算装置。
  8. 前記電気的状態計算部は、前記誘電層鏡像電荷の電荷量Q1を以下の式(2)に基づいて計算し、
    Figure 2009251467
    前記第1の誘電層における任意の位置rにおける前記顕色剤との距離をR0、前記rにおける前記誘電層鏡像電荷との距離をR1、前記rにおける前記金属体鏡像電荷との距離であってk番目の前記金属体鏡像電荷との距離をRn=k、前記電気的状態の計算において用いる前記金属体鏡像電荷の数をmとすると、前記第1の誘電層における任意の位置の電位φを以下の式(3)に基づいて計算することを特徴とする、請求項7に記載の電気的状態計算装置。
    Figure 2009251467
  9. 前記的状態計算部は、
    前記顕色剤電荷情報と前記顕色剤位置情報とに基づいて前記顕色剤の電荷による電界を示す顕色剤電界情報を計算し、
    前記顕色剤電荷情報と前記第1の誘電率情報と前記第2の誘電率情報とに基づいて前記顕色剤の電荷に応じて前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界を鏡面として前記第2の誘電層内に誘起される誘電層鏡像電荷を示す誘電層鏡像電荷情報を計算し、
    前記誘電層鏡像電荷情報と前記顕色剤位置情報とに基づいて前記誘電層鏡像電荷による電界を示す誘電層鏡像電荷電界情報を計算し、
    前記金属体鏡像電荷情報と前記顕色剤位置情報と前記誘電層幅情報とに基づいて前記金属体鏡像電荷による電界を示す金属体鏡像電荷電界情報を計算し、
    前記顕色剤電界情報と前記誘電層鏡像電荷電界情報と前記金属体鏡像電荷電界情報とに基づいて前記第1の誘電層における任意の位置の電界を前記電気的状態として計算することを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電気的状態計算装置。
  10. 前記電気的状態計算部は、前記誘電層鏡像電荷の電荷量Q1を以下の式(4)に基づいて計算し、
    Figure 2009251467
    前記第1の誘電層における任意の位置rにおける前記顕色剤との距離をR0、前記rにおける前記誘電層鏡像電荷との距離をR1、前記rにおける前記金属体鏡像電荷との距離であってk番目の前記金属体鏡像電荷との距離をRn=k、前記電気的状態の計算において用いる前記金属体鏡像電荷の数をmとすると、前記第1の誘電層における任意の位置の電界Εを以下の式(5)に基づいて計算することを特徴とする、請求項9に記載の電気的状態計算装置。
    Figure 2009251467
  11. 電子写真方式を用いた画像形成装置内の顕色剤が含まれる第1の誘電層と前記第1の誘電層に接する第2の誘電層と前記第1の誘電層とは反対側において前記第2の誘電層に接する金属体を含む系において前記顕色剤に影響する電気的状態を計算する電気的状態の計算方法であって、
    前記計算における条件の情報である条件情報を取得し、
    前記取得した条件情報に基づいて前記顕色剤の電荷によって生ずる第1の電気的状態を計算し、
    前記顕色剤の電荷に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第1の金属体鏡像電荷によって生ずる第2の電気的状態を計算し、
    前記第1の鏡像電荷が前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界において生ずる影響に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第2の金属体鏡像電荷によって生ずる第3の電気的状態を計算し、
    前記第1の電気的状態、第2の電気的状態、第3の電気的状態に基づいて前記顕色剤に影響する電気的状態を算出することを特徴とする、電気的状態の計算方法。
  12. 電子写真方式を用いた画像形成装置の製造方法であって、
    前記画像形成装置内の顕色剤が含まれる第1の誘電層と前記第1の誘電層に接する第2の誘電層と前記第1の誘電層とは反対側において前記第2の誘電層に接する金属体を含む系において前記顕色剤に影響する電気的状態を計算する電気的状態の計算方法を含み、
    前記電気的状態の計算方法は、
    前記計算における条件の情報である条件情報を取得し、
    前記取得した条件情報に基づいて前記顕色剤の電荷によって生ずる第1の電気的状態を計算し、
    前記顕色剤の電荷に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第1の鏡像電荷によって生ずる第2の電気的状態を計算し、
    前記顕色剤鏡像電荷が前記第1の誘電層と前記第2の誘電層との境界において生ずる影響に応じて前記第2の誘電層と前記金属体との境界を鏡面として前記金属体内に誘起される鏡像電荷である第2の鏡像電荷によって生ずる第3の電気的状態を計算し、
    前記第1の電気的状態、第2の電気的状態、第3の電気的状態に基づいて前記顕色剤に影響する電気的状態を算出する工程を含み、
    前記算出された電気的状態に基づいて前記第1の誘電層における前記顕色剤の挙動を計算し、
    前記計算された前記顕色剤の挙動に基づいて前記画像形成装置の動作を制御する制御部が電子写真機構を制御するパラメータを決定することを特徴とする、画像形成装置の製造方法。
  13. 請求項11または12に記載の方法を情報処理装置に実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
  14. 請求項13に記載の情報処理プログラムを情報処理装置が読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする記録媒体。
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JP2020087953A (ja) * 2018-11-15 2020-06-04 渡辺 浩志 電子デバイスのシミュレーション方法

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