JP2009250138A - 往復動内燃機関 - Google Patents

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Isao Shirayanagi
伊佐雄 白柳
Yosuke Shirayanagi
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Abstract

【課題】
従来の往復動内燃機関におけるピストンクランク機構では、燃焼室内の燃焼圧力が最高に達する時期に、クランク軸の角度が適正でないため、ピストンの側面に大きな側圧を生じ摩擦抵抗となって燃焼効率をロスしていた。
【解決手段】
シリンダ内へ摺動可能に嵌挿されたピストンと、クランクケースに支持されるクランク軸とをコンロッドによって連結し、前記ピストンの上面に作用する燃料の燃焼圧力によってクランク軸を回転駆動するピストンクランク機構を有し、前記ピストンクランク機構をなすシリンダの軸線をクランク軸の軸線の一側へ偏芯させたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリンダ内へ摺動可能に嵌挿されたピストンを、コンロッドを介してクランク軸へ連結し、ピストンの上面に作用する燃料の燃焼圧力によってクランク軸を回転駆動するようにした往復動内燃機関に関する。
一般に、この種の往復動内燃機関にはクランク軸の1回転ごとに1個の燃焼行程のある2行程機関と、クランク軸の2回転ごとに1個の燃焼行程のある4行程機関が含まれ、それらのシリンダ、ピストンおよびクランク軸の位置関係は、シリンダの軸線とクランク軸の軸線とが、おおむね同一平面上で直交する構成となっている(特許文献1参照)。
近年、エンジンの速度、出力あたりの燃料消費量(以下、単に燃費という)削減の強い要求があり、そのための手段が数多く提案されている。しかし、それらの提案の多くは、燃焼室における燃焼の改良、若しくは、燃焼室の構成や燃料の供給手段の改良に主眼が置かれ、それなりの成果をあげているが、その改良も限度に近づいている。
発明者らは、従来の燃費改良技術とは視点を変え、往復動内燃機関を構成するピストンクランク機構の配置を改良することによって、ピストンの摺動に際して生じる摩擦抵抗を減じること、および、燃焼ガスの圧力を受けたピストンの押し下げ力を効率よくクランク軸に作用させる着想を得た。
特開2006−83805号公報
解決しようとする問題点は、従来の往復動内燃機関におけるピストンクランク機構では、燃焼室内の燃焼圧力が最高に達する時期に、クランク軸が上死点から離れた位置に移動している(コンロッドの長手方向の軸線がピストンの進行方向、すなわちシリンダの軸線の方向から大きく傾いた位置に達している)ため、ピストンの側面に大きな側圧を生じピストンの摺動が制止されることと、燃焼ガスによるピストンの押し下げ力が前記側圧によって消費されクランク軸を回転させる方向に作用する力が減殺されることにある。
本願発明は、シリンダ内へ摺動可能に嵌挿されたピストンと、クランクケースに支持されるクランク軸とをコンロッドによって連結し、前記ピストンの上面に作用する燃料の燃焼圧力によってクランク軸を回転駆動するピストンクランク機構において、前記ピストンクランク機構をなすシリンダの軸線をクランク軸の軸線から一側へ偏芯させて構成したことを最も主要な特徴とする。
本発明に係る往復動内燃機関によれば、燃焼室内の燃焼圧力が略最大となるクランク角において、シリンダの軸線方向とコンロッドの軸方向がおおむね一致するので、ピストンが燃焼圧力を受けたとき大きな側圧を生じない。よって、燃焼圧力がクランク軸を回転させるのに効率よく作用するばかりか、側圧に起因する大きな摩擦抵抗の発生が抑制されエンジンの損失馬力を減じる。
また、ピストンの上昇行程と下降行程とのクランク角が非対称となり、かつ、クランク軸の回転方向を下降行程のクランク角が大きくなるように設定されているので、ピストンの下降行程である膨張行程においてピストンがクランク軸を駆動する時間、および、吸入行程において吸気の吸入時間が長くなり、エンジンの熱効率を向上させる。
さらに、ピストンの上昇行程である圧縮行程では吸気を圧縮する時間が短いので、燃焼室中における吸気の乱れが激しくなり、引き続いて行われる燃焼行程で高い燃焼温度が得られる上、排気行程も短時間に終了するので発生するブローバイガスが最少になる。
などの効果がある。
以下、図示した本願発明の実施例を説明する。図1中、10は本願発明に係る往復動内燃機関を示す。往復動内燃機関10はシリンダ12とオイルパン14との間に回転可能に軸支されたクランク軸16と、前記シリンダ12に設けたシリンダ孔13へ摺動可能に嵌挿したピストン18とを有し、前記クランク軸16とピストン18とは連接棒、いわゆるコンロッド20によって連結されてピストンクランク機構を構成する。なお、前記往復動内燃機関には2行程機関と4行程機関とが含まれることは前述した通りである。
コンロッド20は小端部がピストン18に支持されたピストンピン19と、大端部が前記クランク軸16の一部をなすクランクピン17とに、それぞれ回動可能に軸受けされている。
また、前記シリンダ12に設けられたシリンダ孔13の頂部開口はシリンダヘッド22によって閉じられており、その内面のピストン18との間に燃焼室24を形成している。なお、この基本的な構成は、従来から慣用されている往復動内燃機関と大差はない。
本願発明の実施例では、前記シリンダ孔13の軸線13aとクランク軸16の軸線16aとが、従来のエンジンのように交差することがなく、符号Xで示す偏芯距離だけ離隔している。
すなわち、図1で示す第1実施例、および図2で示す第2実施例から明らかなように、クランク軸16の軸線方向から見て、前記シリンダ孔13の軸線13aとその軸線13aと平行で、かつクランク軸16の軸線16aと交差する軸線16bとの距離Xが前記偏芯距離を示している。
従来の往復動内燃機関を模式的に図3で示す。同図(a)で示すように、ピストン18が上死点にあるとき、クランク軸16とクランクピン17、およびピストンピン19が、シリンダ孔13の軸線13a上に一直線に並ぶ。
そして、燃焼室24内の圧力が最高に上昇するときには、同図(b)で示すように、クランクピン17がクランク角θにして上死点後10度前後の位置に移動し、コンロッド20がシリンダ孔13の軸線13aに対して角度γだけ傾斜する。
ピストン18の頂面に作用するシリンダ孔13の軸線13a方向の燃焼圧力Zの、コンロッド20の傾斜による分力が、シリンダ孔13の内面力Yと同じ大きさで方向が反対のピストン外面力Y(単に側圧力ともいう)として作用する。この力Yに摩擦係数μを乗じた摩擦力(摩擦抵抗)を生ずる。
そこで、前記分力Yを発生させない、あるいは最小にするため、この発明では同図(c)の二点鎖線で示すように、シリンダ13の軸線13aを予めコンロッド20の長手方向の軸線と略一致する位置まで角度γだけ傾けて配置してある。
そのためシリンダ13の軸線13aがクランク軸の軸線16上から離れ、前記偏芯距離Xが発生する。
一般に内燃機関は、クランクピン17の偏芯量をR、コンロッド20の大端孔芯と小端孔芯との距離をLとすると、L対Rの比は2.8〜3.6に設計されている。
このため、図1、図2において、ピストン18が二点鎖線で示す下死点まで降下した位置では、偏芯距離Xによりコンロッド20の長手方向の角度は上死点の場合の略2倍の角度略2γだけ傾斜する。
また、偏芯距離Xは、傾斜角度γと燃焼室24内の圧力が最高に上昇する上死点後のクランク角θなどを使って表すと
X = R・sin(γ+θ)=(L+R)・sinγ (数式1)
となる。この式から、摩擦ロスを最小にしようとするときのγは、θの大略3分の1であることが計算できる。
一般的にガソリンエンジンでθは5°〜15°、ディーゼルエンジンは10°〜20°である。傾斜角度γに置き換えると2°から7°の範囲で使うことになる。
図1の第1実施例は、γ=5°として作図したもので、圧力が最高に上昇する上死点後のクランク角θ=15°位のエンジンの摩擦ロスを最小にしようとした構成である。その結果、ピストン18の下降行程のクランク角αと、上昇行程のクランク角βとすると、この第1実施例ではα=185°、β=175°と、10°の差が生ずる。
また、第2実施例ではγ=13°として作図したもので、早戻し機構としての性格を顕著にしようとした構成である。下降行程がα=193°、上昇行程がβ=167°と非対称はさらに大になっており、そのため、クランク軸16が一定の速度で回転していると仮定すれば、吸入ならびに膨張行程のための時間が長くなり、圧縮および排気行程の時間が短くなる。
よって、ピストン18が下降する吸気行程中に吸入できる空気量を増やすことが出来るうえに、爆発行程に続く膨張行程においても、ピストン18が燃焼圧力を受ける時間が長くなる、そして断熱圧縮の時間は短縮され、熱の放散が減じるので、エンジンの出力を向上させ、あるいは熱効率を向上させることができる。
また、ピストン18が上昇する圧縮行程では吸気を圧縮する時間が短いので、燃焼室中における吸気の乱れが激しくなり、引き続いて行われる燃焼行程で高い燃焼温度が得られる上、排気行程も短時間に終了するので発生するブローバイガスが最少になる。
また、本願発明の実施例では、シリンダ13を傾斜させ燃焼室24内の圧力が最高に達した位置において、コンロッドの長手方向とシリンダ13の軸線13aとが略一致するから、前記した従来の往復動内燃機関におけるコンロッド20による側圧力Yが発生しないか最小となり、燃焼室24内の圧力が効率よくクランクピン17を回転方向へ駆動する。
さらにこれらの効果はクランク軸16に対するシリンダ13の位置を変更するだけで足り、特に、エンジンの構造を複雑にしたり部品点数を増すなどの不具合を伴うことがない。
なお、ピストン18の外面とシリンダ13との接触する位置はクランク軸の回転とともに変化するので、クランク軸の回転した位置、いわゆるクランク角と前記接触する位置との関係を図4で示すとともに、前記ピストン18がシリンダ13の内面を押圧する力の増減を図5で示した。
本発明の一実施例である往復動内燃機関10の断面図である。 本発明の他の実施例を示す図1相当の断面図である。 従来の往復動内燃機関を示す断面図であり、(a)はピストンが上死点にある状態、(b)はピストンが最高燃焼圧力を受ける位置にある状態、(c)はシリンダをコンロッドの長手方向と一致する位置まで移動した状態をそれぞれ示す。 図1で示す往復動内燃機関10の作動を示す作動説明図である。 ピストンが壁面を押圧する側圧を示す圧力線図である。
符号の説明
10 往復動内燃機関
12 シリンダ
13 シリンダ孔
13a シリンダ孔13の軸線
14 オイルパン
16 クランク軸
16a クランク軸16の軸線
16b 軸線
17 クランクピン
18 ピストン
19 ピストンピン
20 コンロッド(連接棒)
22 シリンダヘッド
24 燃焼室
X 偏芯距離
Y 内面力、外面力(側圧力)

Claims (4)

  1. シリンダ内へ摺動可能に嵌挿されたピストンと、クランクケースに支持されるクランク軸とをコンロッドによって連結し、前記ピストンの上面に作用する燃料の燃焼圧力によってクランク軸を回転駆動するピストンクランク機構において、前記ピストンクランク機構をなすシリンダの軸線をクランク軸の軸線から一側へ偏芯させて構成した往復動内燃機関。
  2. 請求項1において、前記クランク軸の回転方法を上昇行程に比して下降行程のクランク角が大きくなる方向に設定してなる往復動内燃機関。
  3. 請求項1において、燃焼室内の燃焼圧力が略最大になるクランク角において、前記コンロッドの軸線方向とシリンダの軸線方向とが略同方向に設定されている往復動内燃機関。
  4. 請求項3において、前記ピストンクランク機構をなすシリンダの軸線をクランク軸の軸線から一側へ偏芯させる量は、ピストン上死点におけるシリンダの軸線とクランク軸の軸線のなす角度にして、2度から7度の範囲内に設定されている往復動内燃機関。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103256118A (zh) * 2013-04-28 2013-08-21 重庆小康工业集团股份有限公司 活塞式发动机偏置曲轴连杆机构

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