JP2009249593A - 含珪素化合物、低誘電率材料、膜および半導体デバイス - Google Patents

含珪素化合物、低誘電率材料、膜および半導体デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、且つ有機溶媒に可溶で、加工性、機械強度、基板密着性に優れ、絶縁材料、半導体用低誘電率材料、気体分離膜、電子デバイス封止剤、建設用シーリング材料などに用いることが可能な含珪素化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で示される可溶性低誘電率含珪素化合物。またはその可溶性低誘電率含珪素共重合体。さらに、これらを含んでなる低誘電率層間絶縁膜。
Figure 2009249593

【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れ、且つ有機溶媒に可溶で、加工性、基板密着性に優れ、絶縁材料、半導体用低誘電率材料、気体分離膜、電子デバイス封止剤、建設用シーリング材料などに有用な含珪素化合物と、それを用いた低誘電率材料、膜および半導体デバイスに関する。
現在、大規模集積回路(LSI)の高速演算対応配線の微細化および多層化が急速に進められている。そのため、伝播速度の向上、伝送損失の低減、伝送密度の向上、クロストークの最小化、誘電体の薄層化を実現する低誘電率材料が求められている。今後更なる配線の微細化が進められると、RC遅延と呼ばれる信号遅延が大きな問題となることが予想される。
このRC遅延速度は、
RC遅延速度=R・L・k/t
(ここで、R:金属配線の抵抗、L:配線の長さ、k:層間絶縁膜の比誘電率、t:配線間距離)
で表されるが、RC遅延を防止するには、金属配線の抵抗を小さくするか、層間絶縁膜の比誘電率kを小さくする必要がある。
金属配線の抵抗を小さくするために、最近ではCu配線が使用されている。一方、層間絶縁膜は従来用いられてきたSiO(k=4)に代わり多くの材料が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
低誘電率化のための第一の方策は、フッ素を導入することである(例えば、非特許文献2参照)。
フッ素含有量の増大とともに比誘電率は低下するが、フッ素含有率が12質量%を超えると吸湿性が増大するため、実際に可能な比誘電率は3.4程度となることが指摘されている。
第二の方策は、籠状シロキサン化合物、例えば、水素化シルセスキオキサン、メチルシルセスキオキサンなどを利用することである(例えば、特許文献1参照)。
これらの材料の誘電率は2.8程度であるが、高分子量体を得ることが難しく、シリコンウエハー上に薄膜を形成した場合には、膜のクラック、剥離を生じるという問題があった。さらには、Si−H結合が酸化されやすいため取り扱いに注意が必要であった。
第三の方策は、ナノメートルサイズの孔をSiO中に作製することである(例えば、特許文献2参照)。
ナノメートルサイズの孔を持つSiOの比誘電率は3.0以下と比較的低いが、CMP(Chemical Mechanical Polishing)による平坦化工程を適用するには機械強度が不足するという問題がある。一方、高分子材料としては、耐熱性に優れている、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾールなどの検討が進んでいるが、熱膨張係数や表面自由エネルギーがシリコンウエハーと大きく異なるため、熱処理過程での薄膜の剥離が大きな問題となっている。
非特許文献3には、低い比誘電率を示し耐熱性に優れた、全芳香族骨格を有するポリシルアリーレンシロキサンが開示されている。しかし、これらのポリマーは有機溶媒に不溶であり、加工性が悪いという欠点がある。
新しい半導体製造プロセスと材料、大見忠弘、シーエムシー出版、p.29(2000). H.Miyajima,et al.,Proc.of 16th Symp.on Dry process.,p.133(1994). 特開平6−345417号公報 特開2007−36291号公報 H.Ito,et al.,Polym. J., Vol.,38, No. 2, p.109 (2006). P.R.Dvornic,et el,"High Temperature Siloxane Elastomers",Huthig & Wepf,New York,(1990).
本発明は前記事情に鑑みてなされ、半導体デバイス向けの層間絶縁膜として使用するのに十分低い比誘電率、高い熱分解温度、高いガラス転移温度または融点を有し、有機溶媒に可溶であって、スピンコーティング法やキャスト法によって薄膜を容易に形成でき、かつ基板への密着性が良く、機械的強度に優れ、加えて疎水性を有する新規な含珪素化合物の提供を目的とする。
本発明者は、熱分解温度および融点が高い、全芳香族骨格を有するポリシルアリーレンシロキサンの主鎖に柔軟なエーテル結合を導入することにより、溶媒への可溶性と高耐熱性、並びに低い比誘電率を示す含珪素化合物が得られるのではないかということを着想した。
研究の結果、主鎖にフェニレンオキシフェニレン基を導入した全芳香族骨格を有するポリシルアリーレンシロキサンが、有機溶媒に可溶であり、且つ熱分解温度と融点が高く、基板への密着性、機械的強度、疎水性に優れた低誘電率材料であることを見出し、本発明を完成させた。
ポリシルアリーレンシロキサンについては、様々な側鎖、主鎖構造を持つ合成例が報告されている(非特許文献4)が、側鎖にフェニル基、主鎖にフェニレンオキシフェニレン基を導入したポリマーは合成例が存在しない。また、そのような構造が、有機溶媒に可溶であると同時に低い比誘電率を示すという点については、何らの記載も示唆も発見できなかった(非特許文献4参照)。
すなわち、本発明は、有機溶媒に可溶であり、スピンコーティング法またはキャスト法により薄膜が作製可能で、且つ熱分解温度、融点が高く、加えて基板への密着性、機械的強度に優れ、疎水性で、低い比誘電率を示す、次式(1)で表される新規な含珪素化合物を提供するものである。
Figure 2009249593
ただし、nは1〜50000の範囲の整数を表す。
また、本発明は、式(1)の繰り返し単位を、一部に有している次式(2)で表される共重合体を提供するものである。
Figure 2009249593
ただし、Rは二価の芳香族基であり、基中にハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エーテル基からなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基を有していても良い。二価の芳香族基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アンスリレン基、ピレニレン基、フルオレニレン基、フェナンスリレン基、フェロセン基、ピリジネディル基、チオフェネディリル基、フルオロフェニレン基、クロロフェニレン基、メチルフェニレン基、シリルフェニレン基、ヒドロキシフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、アミノフェニレン基、フェニレンメチレンフェニレン基、フェニレンオキシフェニレン基、フェニレンプロピリデンフェニレン基、フェニレン(ヘキサフルオロプロピリデン)フェニレン基等が挙げられる。RおよびRは一価の炭化水素基である。式(2)中、n、mは1〜50000の範囲の整数である。含珪素化合物の製膜性、耐熱性を考慮すると、nとmの比率(n:m)は、50:50〜95:5の範囲であることが好ましい。
また、本発明は、式(1)または式(2)で表される化合物を一部または全部に用いることにより、半導体デバイス用の層間絶縁膜として優れた低誘電率材料を提供することができる。なお、本発明による低誘電率材料は、従来のシリコン半導体のみならず、化合物半導体、有機半導体などにも用いることができる。
本発明により、有機溶媒に可溶であり、スピンコーティング法またはキャスト法により薄膜を容易に作製でき、且つ熱分解温度が高く、ガラス転移温度と融点が高く、基板への密着性に優れ、疎水性を示す低誘電率材料を提供することができる。
また、本発明の含珪素化合物は、気体透過係数が小さいため、シーリング材料としても利用することができる。
[第1の含珪素化合物]
本発明に係る第1の含珪素化合物は、式(1)で表される構造を有している。ただし、nは1〜50000の範囲の整数であり、製膜性の点からnは2〜5000の範囲が好ましい。
Figure 2009249593
式(1)の含珪素化合物は、例えば下記反応式に従って製造することができる。
Figure 2009249593
(ただし、XはClまたはIである。)
まず、式(3)で表されるジハロゲン化合物に、式(4)で表されるクロロシランから調製されたグリニャール試薬を、好ましくは2倍モル相当量以上、不活性ガス雰囲気下にて、脱水溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル)中で加え、0℃〜各溶媒の沸点の温度範囲になるように加熱し、次いで、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの常法に従って単離、精製することにより、ビスヒドロシリル化合物を合成する。
式(5)で表されるビスヒドロシリル化合物は、アルキルリチウム化合物、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウムなどを用いて、式(3)の化合物をリチオ化し、式(4)で表されるクロロシラン化合物を加え、還流しても得ることができる。
その後、式(5)で表されるビスヒドロシリル化合物を有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、クロロホルム)に溶解させ、5質量%パラジウムカーボン触媒と、ビスヒドロシリル化合物に対して3倍モル相当量の純水を加え、25〜80℃に加熱し、数時間程度撹拌する。その後、セライトを用いて反応液をろ過することにより、触媒を取り除き、再結晶精製などの常法によって単離、精製することにより、ビスヒドロキシシリル化合物(6)を合成することができる。
また、ビスヒドロキシシリル化合物(6)は、ビスヒドロシリル化合物(5)を、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコールに溶解させ、金属ナトリウムを加えてビスアルコキシ化合物を合成し、例えば、水酸化ナトリウムなどを加えて加水分解したのちに、リン酸二水素カリウム水溶液を加えて中和し、析出した沈殿物を再結晶精製などの常法によって単離、精製することによっても得られる。
その後、式(6)で表されるビスヒドロキシリル化合物を、例えば、トルエン、テトラヒドロフランなどの有機溶媒に溶解させ、脱水重縮合によって生成する水を系外に排出できる装置、好ましくはジーンスタークトラップを備えた反応器に投入し、塩基性触媒、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、より好ましくは、テトラメチルグアニジン−ジ−2−エチルヘキサノエートを適量加え、好ましくは2〜48時間撹拌した後、反応液を、ビスヒドロキシシリル化合物(6)を良く溶解し且つ生成した重合物を溶解しない溶媒、好ましくはメタノールに投入し、再沈殿精製などの常法により単離、精製することにより、含珪素化合物(1)を合成することができる。
この含珪素化合物(1)は、全芳香族骨格を有しているため、nが十分に大きい場合には空気中の熱分解温度が450℃以上と耐熱性が高い。また、含珪素化合物(1)は結晶性を有し、nが十分に大きい場合には、その融点は350℃と高い。さらに、従来の材料と異なり主鎖に柔軟なエーテル結合を有しているために、有機溶媒に可溶であり加工性にも優れている。従って、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムなどの有機溶媒にこの含珪素化合物を溶解させ、好ましくは、0.1〜10質量%、より好ましくは、1〜5質量%の溶液とし、スピンコーターで好ましくは、200〜2000rpm、より好ましくは、500〜1000rpmで回転させたシリコンウエハー上に新規含珪素化合物からなる厚さ数十〜数百nmの薄膜を形成することができる。
形成した薄膜は必要に応じて、適温で熱処理を加えてもよい。その際には、結晶成長が促進され、結晶化度を向上でき、耐熱性と機械的強度を高めることができる。この含珪素化合物は比誘電率が2.78と低いため、比誘電率が3.0以下の層間絶縁膜として半導体デバイスに利用できる。さらに、全芳香族骨格を有するために、従来のシロキサン化合物とは異なり、密度が高く、緻密であり、気体透過係数が小さいという特徴を有している。加えて、表面自由エネルギーが小さいことから、シリコンウエハー上に塗布しやすく、かつシリコンウエハーへの密着性が高いという特徴を有している。
[第2の含珪素化合物]
本発明に係る第2の含珪素化合物は、式(1)の繰り返し単位を一部に有する式(2)で表される構造を有している。
Figure 2009249593
ただし、Rは二価の芳香族基であり、基中にハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エーテル基からなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基を有しても良い。具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アンスリレン基、ピレニレン基、フルオレニレン基、フェナンスリレン基、フェロセン基、ピリジネディル基、チオフェネディリル基、フルオロフェニレン基、クロロフェニレン基、メチルフェニレン基、シリルフェニレン基、ヒドロキシフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、アミノフェニレン基、フェニレンメチレンフェニレン基、フェニレンオキシフェニレン基、フェニレンプロピリデンフェニレン基、フェニレン(ヘキサフルオロプロピリデン)フェニレン基等が挙げられる。RおよびRは一価の炭化水素基であり、例えば、メチル基、フェニル基、ビニル基が挙げられる。
この式(2)で表される第2の含珪素高分子化合物は、式(1)で表される繰り返し単位を有していることから、耐熱性に優れ、かつ低い比誘電率を示す。式(2)中、n、mは1〜50000の範囲の整数である。ただし、含珪素化合物の製膜性、耐熱性を考慮すると、n、mは2〜5000の整数が好ましく、nとmの比率(n:m)は、50:50〜95:5の範囲であることが好ましい。
式(2)で表される含珪素化合物は、例えば下記反応式に従って合成することができる。
Figure 2009249593
式(2)で表される含珪素化合物は、前記の式(6)で表されるビスヒドロキシシリル化合物と式(7)で表されるビスヒドロキシシリル化合物を、例えば、トルエン、テトラヒドロフランなどの有機溶媒に溶解させ、塩基性触媒、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、好ましくは、テトラメチルグアニジン−ジ−2−エチルヘキサノエートを適量加え、好ましくは2〜48時間撹拌した後、反応液をビスヒドロキシシリル化合物(6)、(7)を良く溶解し且つ生成した重合物を溶解しない溶媒、好ましくはメタノールに投入し、再沈殿精製など、常法により単離、精製することにより得られる。
ビスヒドロキシシリル化合物(6)、(7)を同時に溶媒中に溶解させることによって、ランダム共重合体を合成することができる。また、必要に応じて、一方のビスヒドロキシシリル化合物を溶解させ重合させた後に、もう一方のビスヒドロキシシリル化合物を加えることにより、その共重合体にブロック性を持たせることも可能である。すなわち、ブロック共重合体を合成することもできる。また、含珪素化合物を構成するnとmの比率は、重合の際に使用するビスヒドロキシシリル化合物(6)、(7)のモル分率によって調整することができる。
反応に用いる、ビスヒドロキシシリル化合物(7)のRは二価の芳香族基であり、基中にハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エーテル基の置換基を有しても良い。具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アンスリレン基、ピレニレン基、フルオレニレン基、フェナンスリレン基、フェロセン基、ピリジネディル基、チオフェネディリル基、フルオロフェニレン基、クロロフェニレン基、メチルフェニレン基、シリルフェニレン基、ヒドロキシフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、アミノフェニレン基、フェニレンメチレンフェニレン基、フェニレンオキシフェニレン基、フェニレンプロピリデンフェニレン基、フェニレン(ヘキサフルオロプロピリデン)フェニレン基等が挙げられる。RおよびRは一価の炭化水素基であり、メチル基、フェニル基、ビニル基等が挙げられる。
ビスヒドロキシシリル化合物(7)は、前記の式(6)で表されるビスヒドロキシシリル化合物と同様の手順で合成することができる。この含珪素化合物(2)は、式(1)の含珪素化合物と同様に、耐熱性に優れ、比誘電率が3.0以下と低いため、層間絶縁膜として利用できる。さらに、一部に全芳香族骨格を有するために、従来のシロキサン化合物とは異なり、密度が高く、緻密であり、気体透過係数が小さいという特徴がある。加えて、表面自由エネルギーが小さいことから、シリコンウエハー上に塗布しやすく、かつシリコンウエハーへの密着性が高いという特徴を有している。
前記の式(1)および式(2)で表される含珪素化合物は、種々の有機溶媒に可溶であるため、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムなどに溶解させ、公知の製膜方法、例えば、溶媒キャスト法、スピンコーティング法、転写法、印刷法等による製膜方法のほか、必要に応じて加熱処理や、圧延、延伸などの機械的処理を組み合わせて、膜状に成型することができる。これらの膜は従来の含珪素高分子膜と比較して、気体透過係数が小さいことから、シーリング材料としても使用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、H−NMRスペクトル、29Si−NMRスペクトル、FT−IRスペクトル、ポリマーの分子量測定、膜厚測定、比誘電率測定、5%質量減少温度、ガラス転移温度、融点は下記のように測定した。
H−NMR、29Si−NMRスペクトル>
核磁気共鳴装置(BurkerBiospin社製、 AVNCE DRX 400)を用いて測定した。なお、29Si−NMR測定においては、スピン緩和剤として、トリス(2,4−ペンタンジオナト)クロミウム(III)を0.05mol/Lとなるように加えた。
<FT−IRスペクトル>
FT−IR測定装置(PERKINELMER社製、PARAGON FT−IR)を用いてKBrディスク法により測定した。
<ポリマーの分子量測定>
ポリマーの分子量は、得られたポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー社製、HLC−8220−GPC)により、数平均分子量及び質量平均分子量を測定した。溶離液にはTHFを用い、標準試料としてポリスチレンを用いた。
<比誘電率測定>
2cm×2cmのシリコンウエハーをスピンコーター(Active社製、ACT−300A)を用いて500rpmで回転させ、ポリマーの1質量%トルエン溶液0.1mLをシリコンウエハーに塗布した。作製した薄膜を真空乾燥機で60℃、12時間乾燥させた後、エリプソメーター(溝尻光学社製、DHX−XAS)にて屈折率と膜厚を測定した。下記の式(8)を用いて誘電率を算出した。
〔ポリマーの比誘電率〕=〔ポリマーの屈折率〕 ・・・(8)
<5%質量減少温度、融点、ガラス転移温度>
ポリマーの5%質量減少温度は熱分析装置(島津製作所社製、DTG 60A)により求めた。また、示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC 60)によりガラス転移温度および融点を求めた。なお、測定は窒素雰囲気下で行い、窒素ガスの流速は50mL/minとした。
(実施例1)
〔ビス(4−ジフェニルシリルフェニル)エーテルの合成〕
Figure 2009249593
300mL三口フラスコに窒素気流下で、削状マグネシウム2.0g(84mmol)を量り取り、テトラヒドロフラン(以下THF)30mL、ヨウ素一片を加え、激しく撹拌した。その後、ジフェニルクロロシラン11mL(56mmol)を加えた。さらに、4−ブロモフェニルエーテル6.1g(19mmol)を予めTHF35mLに溶解させたものを、滴下漏斗により加え24時間還流した。その後純水2mLを加え反応を停止させた。セライトを用いてろ過を行い、ろ液をエバポレートした。シリカゲルカラムクロマトグラフ(溶媒:ヘキサン)を用いて精製したところ、透明油状のビス(4−ジフェニルシリルフェニル)エーテル2.1gを得た(収率:21%)。H−NMR、FT−IRスペクトルを下記に示す。
H−NMR,δ(ppm,d−アセトン,400MHz):5.58(2H,s,Si−H×2),7.05(4H,d,J=8.4Hz,Ph),7.38(8H,m,Ph),7.41(4H,m,Ph),7.60(4H,d,J=8.4Hz,Ph),7.64(8H,d,Ph).
IR,ν(cm−1,KBr disk):3069(s,arC−H),3050(s),3018(m,C−H),2134(s,Si−H),1580(s,arC−C),1493(s,arC−C),1429(s),1268(s),1240(s),1175(s),1113(s),870(m),800(s),732(s),698(s),486(s).
〔ビス(4−ヒドロキシジフェニルシリルフェニル)エーテル〕の合成〕
Figure 2009249593
ビス(4−ジフェニルシリルフェニル)エーテル1.8g(3.3mmol)にTHF 3.3mLを加え撹拌した。その後、5%パラジウムカーボン0.071gを加え、純水0.18mLを加え室温で4時間撹拌した。その後、溶液をセライトを用いてろ過し、ろ液をエバポレートして、ベンゼン/ヘキサン溶液中で再結晶精製したところ、白色粉末のビス(4−ヒドロキシジフェニルシリルフェニル)エーテル1.6gを得た(収率:85g)H−NMR、FT−IRスペクトルを下記に示す。
H−NMR,δ(ppm,CDCl,400MHz):7.05(4H,d,J=8.4Hz,Ph),7.41(8H,d,J=6.4Hz,Ph),7.44(4H,d,J=6.4Hz,Ph),7.60(4H,d,J=8.4Hz,Ph),7.63(8H,d,J=6.4Hz,Ph).
IR,ν(cm−1,KBr disk):3272(m,SiO−H),3069(m,arC−H),3024(m,C−H),1589(s,arC−C),1490(s),1429(s),1232(s,C−O−C),1176(s),1118(s),868(s),823(s),701(s),684(s),509(s).
〔含珪素化合物(1)の合成〕
Figure 2009249593
ジーンスタークトラップを備えた50mLナスフラスコに、ビス(4−ヒドロキシジフェニルシリル)エーテル0.5g(0.88mmol)を量り取り、トルエン2.0mLを加え還流し溶解させた。その後、テトラメチルグアニジン−ジ−2−エチルヘキサノエート数滴を加え16時間還流した。得られた反応溶液をメタノール500mL中に投入し沈殿物をろ過し、回収した。さらに、真空乾燥機で12時間乾燥したのち、THFに溶解させメタノール500 mLに投入した。同様の操作を2回繰り返し、本発明に係る式(1)の含珪素高分子化合物0.31gを得た(収率:64%)。
得られた含珪素高分子化合物(1)はTHF、トルエンに可溶であった。H−NMR,29Si−NMRの結果およびGPC測定結果を下記に示す。
H−NMR,δ(ppm,CDCl,400MHz):6.87(4H,d,J=8.0Hz,Ph),7.21(6H,t,J=8.0Hz,Ph),7.25−7.34(6H,m,Ph),7.35−7.40(2H,m,Ph),7.42−7.48(8H,m,Ph),7.52(2H,d,J=8.0Hz,Ph).
29Si−NMR,δ(ppm,CDCl,400MHz):−18.5(−(Ph) Si−O−Si(Ph)−).
GPC測定結果:数平均分子量=8.4×10、質量平均分子量=2.1×10、分散度=2.5
(実施例2)
〔ビス(4−ジメチルシリルフェニル)エーテルの合成〕
Figure 2009249593
ジフェニルクロロシランの代わりに、ジメチルクロロシランを用いる以外は、実施例1でのビス(4−ジフェニルシリルフェニル)エーテルの合成と同様の手順で、ビス(4−ジメチルシリルフェニル)エーテルを合成した。収率は61%であった。H−NMR,FT−IR、GC−MSスペクトルの結果を下記に示す。
H−NMR,δ(ppm,CDCl,400MHz):0.35(12H,d,J=3.6Hz,CH×4),4.43(2H,sep,J=3.6Hz,Si−H×2),7.02(4H,d,J=8.0Hz,Ph),7.52(4H,d,J=8.0Hz,Ph).
IR,ν(cm−1,KBr disk):3069(s,arC−H),3050(s),3018(m,C−H),2124(s,Si−H),1580(s,arC−C),1493(s,arC−C),1429(s),1268(s),1240(s),1175(s),1113(s),870(m),800(s),732(s),698(s),486(s).
GC−MS,(m/z):286(M),271(M−CH,255,227,213,193,135.
〔ビス(4−ヒドロキシジメチルシリルフェニル)エーテルの合成〕
Figure 2009249593
ビス(4−ジフェニルシリルフェニル)エーテルの代わりに、ビス(4−ジメチルシリルフェニル)エーテルを用いる以外は、実施例1でのビス(4−ヒドロキシジフェニルシリルフェニル)エーテルの合成と同様の手順で、ビス(4−ヒドロキシジメチルシリルフェニル)エーテルを合成した。収率は76%であった。H−NMR,FT−IR、GC−MSスペクトルの結果を下記に示す。
H−NMR,δ(ppm,CDCl,400MHz):0.41(12H,s,CH×4),7.03(4H,d,J=8.4Hz,Ph),7.58(4H,d,J=8.4Hz,Ph).
IR,ν(cm−1,KBr disk):3261(s,br,SiO−H),2957(m,arC−H),1599(m,arC−C),1584(s,arC−C),1496(s,arC−C),1395(w),1271(s),1248(s),1172(s),1114(s),850(s,Si−OH),824(s),774(s),672(m),682(m),516(m).
GC−MS,(m/z):318(M),303(M−CH,229,144,75.
〔含珪素化合物(2)の合成〕
Figure 2009249593
ジーンスタークトラップを備えた50mLナスフラスコに、ビス(4−ヒドロキシジフェニルシリルフェニル)エーテル0.53g(0.94mmol)とビス(4−ヒドロキシジメチルシリルフェニル)エーテル0.3g(0.94mmol)を量り取り、トルエン4.0mLを加え還流して溶解させた。その後、テトラメチルグアニジン−ジ−2−エチルヘキサノエート数滴を加え、16時間還流した。得られた反応溶液をメタノール500mLに投入し、沈殿物をろ過し回収した。さらに、真空乾燥機で12時間乾燥したのち、THFに溶解させメタノール500mLに投入した。同様の操作を2回繰り返し、本発明に係る式(2)の含珪素化合物0.48gを得た(収率:60%)。
得られた含珪素化合物(2)はTHF、トルエンに可溶であった。H−NMR,29Si−NMRの結果およびGPC測定結果を下記に示す。なお、29Si−NMRから求めた共重合比は、n:m=48:52であった。
H−NMR,δ(ppm,CDCl,400MHz):0.31(12H,s,CH×4),6.88(4H,d,J=8.0Hz,Ph),7.00(4H,d,J=8.0Hz,Ph),7.22(4H,m,Ph),7.26−7.39(8H,m,Ph),7.43−7.49(8H,m,Ph),7.50−7.55(8H,m,Ph).
29Si−NMR,δ(ppm,CDCl,400MHz):−20.32(−(Ph) Si−O−Si(CH−),−18.49(−(Ph) Si−O−Si(Ph)−),−1.18(−(CH Si−O−(CH Si−),0.75(−(CH Si−O−Si(Ph)−).
GPC測定結果:数平均分子量=5.1×10、質量平均分子量=1.1×10、分散度=2.2
〔ポリマーの物性〕
前記実施例1で得られた含珪素化合物(以下、ポリマーP−1と記す。)、前記実施例2で得られた含珪素化合物(以下、ポリマーP−2と記す。)の熱物性、膜厚および比誘電率をそれぞれ測定した。その結果を表1に記す。
Figure 2009249593
これらのポリマーP−1及びP−2は、耐熱性、塗膜性に優れ且つ誘電率が小さいことがわかる。
以上のことから、本発明により、有機溶媒に可溶で塗膜性、耐熱性に優れ、且つ誘電率の低い含珪素化合物を提供できることが実証された。

Claims (5)

  1. 次式(1)
    Figure 2009249593
    (ただし、nは1〜50000の範囲の整数を表す。)
    で表される含珪素化合物。
  2. 請求項1に記載の含珪素化合物の繰り返し単位を一部に含有する次式(2)
    Figure 2009249593
    (ただし、Rは二価の芳香族基であり、基中にハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エーテル基からなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換基を有しても良い。RおよびRは一価の炭化水素基である。n、mは1〜50000の範囲の整数である。)
    で表される含珪素化合物。
  3. 請求項1または2に記載の含珪素化合物を含んでなる、比誘電率kが3.0以下である低誘電率材料。
  4. 請求項1または2に記載の含珪素化合物を含んでなる膜。
  5. 請求項3に記載の低誘電率材料からなる層間絶縁膜を有する半導体デバイス。
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