JP2009249196A - ガス発生剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 延焼温度が低く、排ガスもきれいなガス発生剤組成物の提供。
【解決手段】 燃料5〜60質量%と酸化剤40〜95質量%を含有しており、前記酸化剤として塩基性硝酸マグネシウムを60質量%以上含んでいるガス発生剤組成物。前記酸化剤は、塩基性硝酸マグネシウム単独であるか、又は塩基性硝酸マグネシウムと、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガンから選ばれる1又は2以上との組み合わせからなるものを用いることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、車両用のエアバッグ装置のインフレータ等に使用できるガス発生剤組成物に関する。
車両のエアバッグ装置のインフレータの内、ガス発生源としてガス発生剤を使用するものは、燃焼ガスを冷却するためのクーラントフィルタを備えている。クーラントフィルタは金属線からなるものが汎用されているが、インフレータの質量増加の最大要因となっており、軽量化の観点から、クーラントフィルタの減量化が求められている。クーラントフィルタを減量化する方法として、下記の各発明では、ガス発生剤の燃焼温度を低下させることが知られている。
特許文献1及び2には、低エネルギー燃料であるメラミン又はメラミンシアヌレートを燃料として使用することで燃焼温度を低下させる発明が記載されている。
特許文献3は、(a)テトラゾール誘導体等から選ばれる1種以上のグアニジン誘導体並びに(b)塩基性金属硝酸塩を含有するガス発生剤組成物であり、(b)成分の塩基性金属硝酸塩として、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガン、塩基性硝酸鉄、塩基性硝酸モリブデン、塩基性硝酸ビスマス及び塩基性硝酸セリウムから選ばれる1種以上が例示されている。
特許文献4は、テトラゾ−ル類又はグアニジン類、硝酸塩又は過塩素酸塩及び塩基性炭酸塩を含有し、塩基性炭酸塩の含有量が20重量%を超え、40重量%以下であるガス発生剤組成物であり、塩基性炭酸塩として、塩基性炭酸コバルト、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸カルシウム、塩基性炭酸ニッケル、塩基性炭酸マグネシウム又は塩基性炭酸銅が例示されている。
特許文献5には、グアニジン硝酸塩と塩基性硝酸銅を含むガス発生剤にAl(OH)及び過塩素酸塩等を添加して排ガスの清浄化を行う発明が記載されている。
特開2001−220282号公報 特開2004−67424号公報 特開2002−12493号公報 特開2006−76849号公報 WO 2004/024652
本発明は、燃焼温度を低下させることができ、ガス発生効率が大きく、さらに排ガスがクリーンな車両のエアバッグ装置のインフレータ等に使用できるガス発生剤組成物を提供することを課題とする。
本発明は、課題の解決手段として、下記の各発明を提供する。
1.燃料5〜60質量%と酸化剤40〜95質量%を含有しており、前記酸化剤として塩基性硝酸マグネシウムを60質量%以上含んでいる、ガス発生剤組成物。
2.燃料の含有量が20〜50質量%、酸化剤の含有量が50〜80質量%であり、前記酸化剤中の塩基性硝酸マグネシウムの含有量が70〜100質量%である、請求項1記載のガス発生剤組成物。
3.前記酸化剤が、塩基性硝酸マグネシウムと、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガンから選ばれる1又は2以上との組み合わせからなるものである、請求項1又は2記載のガス発生剤組成物。
4.前記酸化剤が、塩基性硝酸マグネシウムと塩基性硝酸銅の組み合わせからなるものである、請求項1又は2記載のガス発生剤組成物。
5.前記酸化剤が、塩基性硝酸マグネシウム70〜100質量%と塩基性硝酸銅0〜30質量%の組み合わせからなるものである、請求項1又は2記載のガス発生剤組成物。
本発明のガス発生剤組成物は、低エネルギー酸化剤である塩基性硝酸マグネシウムを酸化剤として使用することにより、燃焼温度が低いにも拘わらず、従来のガス発生剤組成物よりガス発生効率が大きく、さらに排ガスの清浄化度を高めることができる。
本発明のガス発生剤組成物は、燃料として、5−アミノテトラゾール、ビテトラゾールアンモニウムを含むテトラゾール類化合物;ニトログアニジン、グアニジン硝酸塩、ジシアンジアミドを含むグアニジン類化合物;メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンの硝酸塩、メラミンの過塩素酸塩、トリヒドラジノトリアジン、メラミンのニトロ化化合物を含むトリアジン類化合物から選ばれる1種類以上を使用する。これらの中でも、グアニジン硝酸塩が、ガス発生剤組成物の燃焼温度を好適な範囲に調整できるため好ましい。
本発明のガス発生剤組成物中、燃料の含有量は5〜60質量%が好ましく、15〜55質量%がより好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。
本発明のガス発生剤組成物で用いる酸化剤は、塩基性硝酸マグネシウム単独か、塩基性硝酸マグネシウムと他の酸化剤との組み合わせからなるものである。
本発明で用いる塩基性硝酸マグネシウムは、一般的にaMg(NO・bMg(OH)・mHO(a、b、mは0以上の整数)の組成式で表される硝酸マグネシウムと水酸化マグネシウムの複塩である。組成物の燃焼温度を低下させる観点からは、Mg(NO・2Mg(OH)・mHOの組成のものが好ましいが、他の組成の塩基性硝酸マグネシウムと組み合わせて使用してもよい。
塩基性硝酸マグネシウムと他の酸化剤との組み合わせるときの他の酸化剤としては、金属硝酸塩、硝酸アンモニウム、金属過塩素酸塩、過塩素酸アンモニウム、金属亜硝酸塩、金属塩素酸塩、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガン等を挙げることができる。これらの中でも、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガンから選ばれる1又は2以上が好ましく、塩基性硝酸銅が特に好ましい。
塩基性硝酸マグネシウムと他の酸化剤を組み合わせるとき、塩基性硝酸マグネシウムの含有量は60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
塩基性硝酸マグネシウムと塩基性硝酸銅を組み合わせるとき、塩基性硝酸マグネシウムの含有量は70〜90質量%が好ましく、70〜85質量%がより好ましく、塩基性硝酸銅の含有量は10〜30質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
本発明のガス発生剤組成物中、酸化剤の含有量は40〜95質量%が好ましく、45〜85質量%がより好ましく、50〜80質量%がさらに好ましい。
本発明のガス発生剤組成物は、さらにバインダーを含有することができる。バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、カルボキシメチルセルロースカリウム塩、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドのアミノ化物、ポリアクリルヒドラジド、アクリルアミド・アクリル酸金属塩共重合体、ポリアクリルアミド・ポリアクリル酸エステル化合物の共重合体、ポリビニルアルコール、アクリルゴム、グアガム、デンプン、シリコーン等を挙げることができる。
バインダーの含有量は、燃料と酸化剤の合計100質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜15質量部がさらに好ましい。
本発明のガス発生剤組成物は、必要に応じて、ガス発生剤組成物に配合される公知の添加剤を含有することができる。公知の添加剤としては、酸化銅、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化ビスマス、シリカ、アルミナを含む金属酸化物;水酸化コバルト、水酸化鉄、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物(但し、水酸化アルミニウムは除く);炭酸コバルト、炭酸カルシウム、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸銅を含む金属炭酸塩又は塩基性金属炭酸塩;酸性白土、カオリン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、ヒドロタルサイトを含む金属酸化物又は水酸化物の複合化合物;リン酸二水素アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、ケイ酸ナトリウム、マイカモリブデン酸塩、モリブデン酸コバルト、モリブデン酸アンモニウム等の金属酸塩、シリコーン、二硫化モリブデン、ステアリン酸カルシウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ホウ酸、メタホウ酸、無水ホウ酸等を挙げることができる。
添加剤の含有量は、燃料と酸化剤の合計100質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、1〜25質量部がより好ましく、2〜20質量部がさらに好ましい。
本発明の組成物は、所望の形状に成型することができ、円柱状、単孔円柱状、多孔円柱状またはペレット状の成型体にすることができる。これらの成型体は、ガス発生剤組成物に水又は有機溶媒を添加混合し、押出成型する方法(円柱状、単孔円柱状、多孔円柱状の成型体)又は打錠機等を用いて圧縮成型する方法(ペレット状の成型体)により製造することができる。
本発明の組成物又はそれから得られる成型体は、例えば、各種乗り物の運転席のエアバッグ用インフレータ、助手席のエアバッグ用インフレータ、サイドエアバッグ用インフレータ、インフレータブルカーテン用インフレータ、ニーボルスター用インフレータ、インフレータブルシートベルト用インフレータ、プリテンショナー用ガス発生器に適用できる。
また、本発明の組成物又はそれから得られる成型体を使用するインフレータは、ガスの供給が、ガス発生剤からだけのパイロタイプと、アルゴン等の圧縮ガスとガス発生剤の両方であるハイブリッドタイプのいずれでもよい。
さらに、本発明の組成物又はそれから得られる成型体は、雷管やスクイブのエネルギーをガス発生剤に伝えるためのエンハンサ剤(又はブースター)等と呼ばれる伝火剤として用いることもできる。
実施例1、2及び比較例1〜5
表1に示す各原料成分を秤量し、前記原料の合計量100質量部に対して15質量部のイオン交換水を添加して、捏和機で捏和した。その後、圧伸機で混練してストランド状に押し出し、ロータリーカッターで円柱状に切断した。切断したものを約110℃で乾燥して、目的とするガス発生剤組成物の成形体を得た。
(燃焼温度、ガス発生効率、理論残渣量)
表1に示す実施例及び比較例の各組成物の燃焼温度、ガス発生効率、理論残渣量は熱化学平衡計算プログラムによるシミュレーションにより算出した。
Figure 2009249196
BMN:塩基性硝酸マグネシウム(Mg(NO・2Mg(OH)
GN:グアニジン硝酸塩
SrN:硝酸ストロンチウム
BCN:塩基性硝酸銅
CMCNa:カルボキシメチルセルロースナトリウム塩
Mel:メラミン
MC:メラミンシアヌレート
表1の結果を見ると、従来の燃料、酸化剤の組合せでは、比較例1及び2のように高いガス発生効率を維持しようとすると、燃焼温度が高温(1800K以上)となり、比較例3〜5のように燃焼温度を低温(1500K)以下にしようとすると、ガス発生効率が著しく低下する。それに対して、実施例1及び2は、燃焼温度が低いにもかかわらず、高いガス発生効率を維持している。
実施例3、比較例6〜8
(ガス濃度の測定法)
実施例及び比較例の組成物質量2.00g(表2に示す各成分からなるもので、成型前の粉状態のもの)を所定の金型の臼側に充填し、杵側端面より油圧ポンプで面圧220.5MPa(2250kgf/cm)にて5秒間圧縮保持させた後に取り出し、外径9.55mmの円柱状ストランドに成型した後、110℃で16時間乾燥した。
次に、サンプルとなる円柱状ストランドを内容積1LのSUS製密閉ボンブ内に設置して、ボンブ内を完全に窒素置換しながら、7MPaにまで加圧安定させた。その後、ストランド端面に接触させたニクロム線に所定の電流を流し、その溶断エネルギーにより着火、燃焼させた。60秒間待機し、ボンブ内のガスが均一になってから、所定の栓付きテドラーバッグの開栓部をボンブガス排出部に連結し、ボンブ内の燃焼ガスを移入させることでサンプリングし、ガステック株式会社製探知器GV-100Sを用いてガステック気体検知管(NO及びNO検知用:No,10、NH検知用:No,3L及び3M)により、NO、NO、NH、CO濃度を測定した。
Figure 2009249196
BMN:塩基性硝酸マグネシウム(Mg(NO・2Mg(OH)
GN:グアニジン硝酸塩
SrN:硝酸ストロンチウム
BCN:塩基性硝酸銅
CMCNa:カルボキシメチルセルロースナトリウム塩
Mel:メラミン
MC:メラミンシアヌレート
表2の結果を見ると、実施例3と比較例6〜8と比べると、発生ガスの有害成分が少なく、従来の燃料、酸化剤の組合せより、排ガスの清浄化において優れていることが分かった。

Claims (5)

  1. 燃料5〜60質量%と酸化剤40〜95質量%を含有しており、前記酸化剤として塩基性硝酸マグネシウムを60質量%以上含んでいる、ガス発生剤組成物。
  2. 燃料の含有量が20〜50質量%、酸化剤の含有量が50〜80質量%であり、前記酸化剤中の塩基性硝酸マグネシウムの含有量が70〜100質量%である、請求項1記載のガス発生剤組成物。
  3. 前記酸化剤が、塩基性硝酸マグネシウムと、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸マンガンから選ばれる1又は2以上との組み合わせからなるものである、請求項1又は2記載のガス発生剤組成物。
  4. 前記酸化剤が、塩基性硝酸マグネシウムと塩基性硝酸銅の組み合わせからなるものである、請求項1又は2記載のガス発生剤組成物。
  5. 前記酸化剤が、塩基性硝酸マグネシウム70〜90質量%と塩基性硝酸銅10〜30質量%の組み合わせからなるものである、請求項1又は2記載のガス発生剤組成物。
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