JP2009248611A - 船舶の摩擦抵抗低減装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】船舶の航行状況や船舶状況によって適宜、気泡の気泡発生箇所や発生量を変えることが可能で、外乱があっても的確に気泡を噴出することで有効に摩擦抵抗を低減でき、また気泡発生の作用を利用できる船舶の摩擦抵抗低減装置を提供する。
【解決手段】船舶1と、この船舶の船底に気泡を噴出する複数の気体噴出口21、22、23、24、25と、この複数の気体噴出口に気体を送気する前記複数の気体噴出口に対応して設けた複数のブロワー11、12、13、14、15と、この複数の送気手段を駆動する電動機と、船舶の航行状態を検出する航行状態検出部A110、航行状態検出部B115と、これら航行状態検出部の検出結果に応じてブロワーを制御し送気状態を変える比較部140やコントローラ150を備え、波等の外乱に対して変動を抑えて気泡を噴出し、航行状態に応じて気体噴出口数や気泡の噴出量を変えて正味の摩擦抵抗の低減効果を増す。
【選択図】図7

Description

本発明は、水中に気泡を噴出して船体の摩擦抵抗を低減する船舶の摩擦抵抗低減装置に関するものである。
船舶の抵抗低減の研究として、造波抵抗については数多くの成果が得られているが、大型船で全抵抗の約8割摩擦を占めるといわれる摩擦抵抗については、複雑な乱流現象が関係するため、今まで目立った成果が得られていなかった。船舶の航行時においては、喫水線以下の船体表面に沿って乱流境界層が発達することにより、船体表面に摩擦抵抗が作用し、船舶の推進性能を低下させる。このような船体表面の摩擦抵抗を低減する手段として、表面に沿う境界層中に微細な気泡を注入することにより低減させるマイクロバブル式が、近年、有望な摩擦抵抗低減策として注目され、研究されて来ている。マイクロバブル式は、その摩擦抵抗低減効果が顕著であること、比較的汚損に強いこと、海洋や水圏に対する環境汚染の問題が無いことから、今後の省エネルギーが希求される時代の有望な摩擦抵抗低減装置と考えられている。
ただ、このマイクロバブル式は、水面下の船側や船底から水圧に打ち勝って気泡を発生させているため動力を要し、摩擦抵抗低減効果と気泡発生動力の双方を考慮した正味の低減効果を増すような配慮が必要であった。また、海洋や河川等を航行する船舶は、波や流れ等様々な外乱を受け、また積荷の状態や航行状態等にも影響を受ける中で、如何に有効に摩擦抵抗を低減するかが課題とされていた。今迄の研究は主として実験室レベルや模型船を用いた研究が主であり、これらの外乱や航行状態を考慮に入れた研究とはなっていなかった。本願発明者らは、こういった研究の現状に対し実船を用い、この船体に気体噴出装置を装備し、船舶状況、航行状態、海象状況等、実際に近い状況の中で、気泡噴出と摩擦抵抗低減効果の関係を調査し、正味の低減効果を増すことを模索し、数多くの知見を得てきている。
一方、特許の分野においては、このような船舶の摩擦抵抗を微細な気泡を用いて低減するために、例えば、特許文献1、2、3,4に示すような対策が取られてきた。
この特許文献1は、船体船首部の舷側に、ブロワに接続した空気吹き出し器を組み付け、船体船首部の船底にコンプレッサに接続された空気吹き出し器を組み付け、ブロワの空気吹き出し器で発生させた微小気泡によって船底の舷方向両端部付近と船側を覆い、コンプレッサの空気吹き出し器で発生させた微小気泡によって船底の舷方向中央部付近を覆い、船体浸水部表面を全面的に被覆させたというものである。
こうした構成をとっていたため、船側あるいは船底ではそれぞれの面に対して一つの空気吹き出し口しか有していなく、船の航行状態に応じて気泡の吹き出し方を制御できるものではなく、摩擦抵抗の低減に限界があった。また、一般のブロワは波の上下動による圧力変動に対して、送気量が変化し空気吹き出し量が変動するところから安定した摩擦抵抗低減につながらず、また、コンプレッサでは送る空気量に制限があった。
また、特許文献2は、船体外板の静圧の異なる上下段位置に複数の開口部を設け、この開口部にそれぞれ空気吹き出し器を組み付け、船首部の甲板上に、吐出圧の小さいブロワと吐出圧の大きいブロワを備えた抽気式ブロワ装置を設置し、上段の空気吹き出し器と吐出圧の小さいブロワとを空気送気管により接続し、下段の空気吹き出し器と吐出圧の大きいブロワとを別の空気送気管により接続したものである。
こうした構成をとっていたため、特に、一つの電動機によって二つのブロワを駆動していたため、船の航行状態に応じて気泡の吹き出し方を制御できるものではなく、摩擦抵抗の低減に限界があった。また、船側の上下に吹き出し口を配置していることから、特に上部の吹き出し口は、波の上下動により気泡の発生に影響を受け易く、ブロワは波の上下動による圧力変動に対して、送気量が変化し空気吹き出し量が変動するところから、安定した有効な摩擦抵抗低減策とはなっていなかった。
また、特許文献3は、航行中に船首近傍から水中へ気体を噴出することにより、船体外板上に微小気泡を介在させて船体と水との摩擦抵抗を低減させるための複数の吹出口を船首近傍の限定領域にまとめて設け、吹出口近傍で生じる静水圧によって船底に気泡を拡散させるというものである。
こういう構成をとっていたため、船首部のバルブ下部の曲面部の吹出口からの気泡が、船の航行状態により影響を受け易く、また受動的な気泡拡散方式であるため、船の航行状態に応じて積極的に気泡の発生を制御し、摩擦抵抗を効果的に低減できるものではなかった。また、吹出口は船首部の限定された領域に下流側に向かって円弧上に配置されていたため、船首部の抵抗を有効に低減できていなかつた。
また、特許文献4は、エアーインジェクション制御ユニットを介してノズルより空気を噴出するエアーインジェクションユニットを設け、また船体の底部にはその放出したエアーバブルやエアーシートを検出するセンサーを設け、このセンサーの信号を船体運動計測ユニットに入力し、この船体運動計測ユニットに、波情報・相対波情報、変位・運動速度・加速度、方位、泡の状態検出と風速・風向を入力し、船底圧力情報、泡分布情報、摩擦力情報、船体抵抗情報により泡の状態検出を行い、放出空気膜、泡の状態を最適に制御したというものである。
こういった構成をとっていたため、各種検出情報も限られた情報のみであり、船舶の水との相対速度や喫水状態等の航行状況や船舶の運転状態や機関状態等の船舶状況を判断して制御を行っているものではなかった。また、複数のエアーインジェクションユニツトの数を各種検出情報に応じて制御するものではなかった。
特開平10−24891号公報 特開平10−100983号公報 特開2000−296795号公報 特開2004−188993号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するもので、船舶の航行状況や船舶状況によって適宜、気泡の気泡発生箇所や発生量を変えることが可能で、外乱があっても的確に気泡を噴出することによって有効に摩擦抵抗を低減でき、また気泡発生の作用を利用できる船舶の摩擦抵抗低減装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の請求項1に対応した船舶の摩擦抵抗低減装置は、船舶の船底に気泡を噴出する複数の気体噴出口と、この複数の気体噴出口に気体を送気する前記複数の気体噴出口に対応して設けた複数の送気手段と、この複数の送気手段を駆動する駆動装置と、前記船舶の航行状態を検出する航行状態検出手段と、この航行状態検出手段の検出結果に応じて前記駆動装置を制御し送気状態を変える制御装置を備えて構成される。
ここで、送気手段とは気泡発生に有効な量の送気量が確保できる、ブロワーやタービン駆動のコンプレッサー、船舶に予め装備されている空気圧供給源、機関の排気ガスを加圧したもの等を言い、特に吐出側圧力が変動しても、その送気量の変動が少ないものが好ましい。
また、駆動装置とは、電気により駆動される電動機、液体燃料やガス燃料により駆動されるエンジン等の他、船舶の機関からの排気を利用して回転力を得るタービン、また油圧や空気圧で駆動される油圧モータや空気圧モータ等を言う。
また、航行状態検出手段とは、船舶の航行に応じて変化する物理量である水と船体との相対速度を検出する相対速度検出器、船舶の喫水の大小を検出する喫水検出器、船体の傾きを検出する傾斜検出器、船体に働く剪断力を検出する剪断力センサー等を言う。
また、制御装置とは、電気的に制御されるものが一般であるが、電気制御回路以外に、制御目的を達成するためのプログラム、アルゴリズムやこれらを記憶した電子媒体、またプログラム、アルゴリズムを実行するためのコンピュータ等を含む概念であり、電気制御系以外に、空気圧系、油圧系で制御されるもの、またこれらを組み合わせたもの全てを含むものとする。
上記のように構成されることで、船舶の航行状態を航行状態検出手段で検出し、この検出結果に応じて制御装置にて駆動装置を制御し、船底に気泡を噴出する複数の気体噴出口の噴出口数および/または気体噴出量を変え、船舶の航行状態に応じて有効に船底に気泡を噴出する制御を行うものである。
また、前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置は、前記気体噴出口を船体の平面中心線に対して対称的に配置し、前記航行状態検出手段の検出結果に応じて前記複数の送気手段による気体の送気を対称的に制御して構成するものである。
このように構成されることで、船体の平面中心線に対して対称的に配置された気体噴出口に対して送気手段による気体の送気も対称的に制御され、気体噴出口の噴出口数および/または気体噴出量が対称的に制御されて噴出されるものである。
また、前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置は、前記送気手段を船体上部に設け、前記送気手段からの気体を送気管で船底部に導き船底部で略直角に曲げて前記気体噴出口に導いて構成するものである。
このように構成されることで、船体上部に設けた送気手段から船底に気体を噴出する気体噴出口に対して送気管の容積が緩衝効果をもって気体を導き、船底部で直角に曲げることにより気体を全方位に均等に拡散させ得るものである。
また、前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置においては、前記気体噴出口は複数の開孔を有した多孔板を複数枚、その開孔位置をずらして直列に配設して構成するものである。
このように構成されることで、送気手段から送られた気体が、複数の開孔を有し、孔位置をずらして直列に配設した複数枚の多孔板により流路を屈曲され、抵抗に抗して通り抜けて噴出されるものである。
また、前記前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置は、前記送気手段を容積型の送気装置として構成するものである。
このように構成されることで、船底に噴出される気体が容積型の送気装置で送気され、先に設けられた気体噴出口部にかかる圧力に変動があっても、略一定の量で供給され、噴出されるものである。
また、前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置は、前記複数の気体噴出口を船底の前部形状に沿って配設して構成するものである。
このように構成されることで、船底のいわゆる舟形を成した前部形状に沿って配設された気体噴出口から船体の船底に沿って、気体が噴出できるものである。
また、前記目的を達成するために、本発明の請求項7に対応した船舶の摩擦抵抗低減装置は、船舶の少なくとも船底に気泡を噴出する複数の気体噴出口と、この複数の気体噴出口に気体を送気する送気手段と、この送気手段を駆動する駆動装置と、前記気体噴出口からの気体噴出を制御する気体調節手段と、少なくとも前記船舶の航行状態を検出する航行状態検出手段と、この航行状態検出手段の検出結果に応じて前記気体噴出調節手段を制御して前記気体噴出口からの気体の噴出状態を変える制御装置を備えて構成するものである。
ここで、気体調節手段とは、駆動装置の駆動を制御する電動機のインバータや回転調節装置、気体の供給開始/停止や気体の量の調節を行うバルブやダンパー、またこれらを駆動する電動機やソレノイド、油圧系、空気圧系の駆動装置一般を言う。
このように構成されることで、船舶の航行状態を航行状態検出手段で検出し、この検出結果に応じて制御装置が、船底に気泡を噴出する複数の気体噴出口の噴出数および/または気体噴出量を、気体調節手段を調節して変え、船舶の航行状態に応じて有効に船底に気泡を噴出する制御を行うものである。
また、前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置においては、前記航行状態検出手段は、前記船体と水との相対速度を検出する相対速度検出器とし、相対速度の増減に応じ前記気体噴出口数および/または気体噴出量を増減して構成するものである。
このように構成されることで、船体の対地絶対速度でなく、船体と海水や河川水等の水系との相対速度の増減に応じて気体噴出口の噴出口数および/または気体噴出量が制御されるものである。
また、前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置は、前記相対速度検出器を、船体の波と気泡の影響を受けない箇所に付設して構成するものである。
このように構成されることで、相対速度検出器が付設された船体と海水や河川水等の流れがある水流との相対速度を、相対速度検出器が検出するものである。
また、前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置は、前記航行状態検出器は、前記船体の傾斜を検出する傾斜検出器とし、傾斜に応じて前記船舶の左右に配設した前記気体噴出口数および/または気体噴出量を制御して構成するものである。
このように構成することにより、傾斜検出器で検出された船体の傾斜度に応じて、気体調節装置を制御して、旋回時やローリング時等に気体噴出口の噴出口数および/または気体噴出量を適宜、調節するものである。
また、前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置においては、前記航行状態検出器は、船体に働く剪断力を検出する剪断力検出器とし、剪断力に応じて前記気体噴出口の噴出口数および/または気体噴出量を制御して構成するものであ。
このように構成することで、剪断力検出器で船体に働く水や気泡による剪断力を検出して、気泡噴出による剪断力の変化を確認して、剪断力の変化に応じて気体噴出口の噴出口数および/または気体噴出量を制御するものである。
また、前記目的を達成するために、本発明の請求項13に対応した船舶の摩擦抵抗低減装置は、船舶の少なくとも船底に気泡を噴出する複数の気体噴出口と、この複数の気体噴出口に気体を送気する送気手段と、前記気体噴出口からの気体噴出を制御する気体調節手段と、前記船舶の航行状態を検出する航行状態検出手段および/または船舶状況判断手段の状態に応じて前記気体調節手段を調節し前記気体噴出口からの気体の噴出を開始/停止する制御を行う制御装置を備えて構成される。
ここで、船舶状況判断手段とは、船舶の機関の運転状態や機関の燃料消費率、どこの海域や場所にいるかを検出するGPS(Global Positioning System)、ジャイロ、レーダ、積載量計測等広く船舶の置かれた状況を判断する手段、装置、機器全般を言う。
このように構成されることにより、船舶の航行状態を航行状態検出手段で検出および/または船舶の置かれた状況を船舶状況判断手段で判断し、この検出結果および/または判断結果に基づいて気体調節手段を調節し、気体噴出口から気体を噴出したり、止めたりして航行状態や船舶状況に応じて有効に気泡の噴出制御を行うものである。
また、前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置は、前記航行状態検出手段および/または船舶状況判断手段で船舶が止まっていることを検出/判断したときは、前記送気手段を停止して構成するものである。
このように構成することで、船舶が止まっていることを検出/判断したときは、制御装置が送気手段を停止して、気体噴出口からの気体の噴出を停止するものである。
また、前記構成に加え、本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置は、前記航行状態検出手段および/または船舶状況判断手段で少なくとも船舶が止まっていることを検出/判断したときは、条件設定指示に基づいて気泡の噴出を行い喫水の制御を行うことをもって構成するものである。
このように構成することで、少なくとも船舶の停泊時に、加えて航行時に喫水を調節したい要望があるときは、条件設定指示に基づいて気泡を噴出し、水と気泡による見かけ上の密度の低下を利用し喫水を調整するものである。
本発明によれば、航行状態に応じて、船底に設けた複数の気体噴出口から、これに対応して設けた複数の送気手段を制御して気泡が噴出されるため、船側のみに設けた場合に比べ、気泡の上昇が船底自身によって阻害され気泡保持効果が持続でき、少ない気泡量で有効に摩擦抵抗が低減できる。また、船側のみに設けた場合は水深が浅いことから船舶を海洋で用いる場合は、波の影響が無視できなかったが、船底ではこの波の影響が緩和され、安定して気泡を噴出させることが可能となり、有効に摩擦抵抗低減効果に結び付けることができる。また、一つの気体噴出口に対して一つの送気手段が対応して設けられているため、個別の気体噴出口ごと気泡噴出制御が容易にでき、波による気泡噴出量の変動の問題も緩和できる。さらに、航行検出手段の検出結果に応じて送気状態が制御できるため、一定に気体を噴出する場合に比べて、航行状況に応じてきめ細かに気泡の噴出が制御でき、一層の摩擦抵抗低減効果が期待できる。
また、本発明によれば、船体の平面中心線に対して対称的に配置した気体噴出口から、航行状態検出手段の検出結果に応じて気体の送気が対称的に制御されるため、特に直進時においては均一の摩擦抵抗低減効果が期待でき、気泡噴出により直進性が悪くなることが防止できる。また、左右に位置した気体噴出口に対して制御が対称的に行われるため、左右、同一構成の回路、あるいは同一回路や同一ポート出力で制御ができ制御の容易化と回路の合理化が図れる。
また、本発明によれば、送気手段を船体上部に設け、送気手段からの気体を送気管で船底部に導くことにより、海で用いた場合の波の影響による圧力変動に伴う、気泡噴出量の変動が、送気管の容積による緩衝作用により低減できる。これは、送気管が船体上部から船底部に至るまでの相当な容積を有していることから、この容積空間に介在している気体が、圧縮、減圧される際の弾性効果により緩和され、波の高低に伴う気体噴出口部での圧力変動が低減されることを指す。また、船底部で略直角に曲げることにより、気体が方向を変え平面的に広がろうとする作用が発生するが、これを気体噴出口へ導くことにより、気体噴出口部における特に船底に平行な方向に対する気体の流速分布が悪くなる問題が解決できる。
また、本発明によれば、複数の開孔を有した多孔板を複数枚、その開孔位置をずらして直列に配設して気体噴出口を構成することにより、複数の多孔板が気体の流れを屈曲させ、いわゆる邪魔板の効果を生じさせ得る。この邪魔板効果により、ずれた複数枚の多孔板が抵抗を付与する効果を生じ、気体を均一な状態で気体噴出口から噴出できる。また、多孔板は複数枚を同一孔ピッチのものを利用することが可能となり、工業的にも量産効果が期待でき、安価に提供することが可能となる。
また、本発明によれば、送気手段を容積型の送気装置とすることにより、特に海洋で用いた場合に発生する、波の影響による気体噴出口部の圧力変動に伴う噴出気泡量の変動の問題や、積載量すなわち喫水の大小に伴う気体噴出口部にかかる圧力変動の問題に対して、一層安定して気体を送気することが可能となる。この結果、波の高低や喫水の大小による、噴出気泡量の変動に伴う、摩擦低減効果の低下が防止できる。波が高くなった場合は、見かけの喫水が深くなるため、摩擦抵抗が増す傾向になり気泡による摩擦抵抗低減がより期待されるが、従来の方法では、気泡噴出口部の圧力が上昇するため、逆に気泡量が減少してしまう現象があった。また、貨物の積載量が増え、喫水が深くなると船体の接触面積が増えるため、より摩擦抵抗の低減が期待されるが、同様に気泡の量が減少してしまう問題があった。こういった現象に対して、容積型の送気装置を用いることにより、また、各気体噴出口に対して各々に送気装置を用い、船底に気体噴出口を配設することと相俟って、波や喫水の影響を受けず、安定した量の気泡を噴出することが可能となる。
また、本発明によれば、複数の気体噴出口を船底の前部形状に沿って配設することにより、船底に空いた無駄な平面を作ることなく、気体を噴出させることが可能となり、摩擦低減効果を一層推進することができる。特に船首部の船底は、いわゆる船形の先端に当たるため、この部分に左右に複数の気体噴出口を配設し、気体の噴出を制御することにより、特に船舶の相対速度が遅いときや喫水が浅いときには、少ない気泡量で満遍なく船底を、また水中を上昇する気泡により船側を覆うことが可能となり、摩擦抵抗低減の効果を一層推進することができる。
また、本発明によれば、船舶の航行状態を検出する航行状態検出手段の検出結果に応じて、気体調節手段で少なくとも船底に設けた複数の気体噴出口から気体を調節して噴出しているため、船側のみに気体噴出口を設けたものに比べ、気泡の上昇が船底自身によって阻害され気泡の保持効果が持続でき、少ない気泡量で有効に摩擦抵抗が低減できる。特に波や喫水の影響が考えられる場合は、船底の気体噴出口を主に利用し、これらの影響を緩和することができる。また、個別の気体噴出口ごとに、気泡噴出制御が気体調節手段にて容易にでき、特に海洋で用いた場合に、波による気泡噴出量の変動の問題も、圧力変動を予測して送気を調節し、緩和することができる。さらに、航行検出手段の検出結果に応じて気体調節手段で、送気状態が制御できるため、一律に気体を噴出する場合に比べて、航行状況に応じきめ細かに気泡の噴出が制御でき、一層の摩擦抵抗低減効果が期待できる。
また、本発明によれば、船体と水との相対速度を相対速度検出器で検出し、相対速度の増減に応じて気体噴出口数および/または気体噴出量を増減しているため、船舶の航行状態に応じたきめ細かな摩擦抵抗の低減ができる。摩擦抵抗の低減は、船舶の航行速度としてGPSやビーコン等を利用した対地速度でなく、海における潮流や河川における水の流れと船体との相対速度によって決まってくる。従って、船体と水との相対速度に基づいて相対速度の大きいときは気体噴出口数および/または気体噴出量を増し、相対速度の小さいときは気体噴出口数および/または気体噴出量を減じることによって、摩擦抵抗の正味の低減効果を増すことができる。
また、本発明によれば、相対速度検出器を船体の波および/または気泡の影響を受けない箇所に付設しているため、特に海洋で用いる船舶において相対速度に誤差を生じることを防止できる。相対速度検出器は例えば、超音波式、電磁式、熱線式等各種のものが考えられるが、何れも気泡が介在すると誤差を生じ、また波の影響によっても誤差を生じる。従って、相対速度検出器をこれらの影響の無い箇所に付設することにより、これらの誤差を無くし、的確な気体噴出制御に繋げることができる。
また、本発明によれば、船舶の喫水を検出する喫水検出器にて喫水の大小に応じ気体噴出口の噴出口数および/または気体噴出量を増減することにより、船舶の航行状態に応じたきめ細かな摩擦抵抗の低減ができる。すなわち、船舶への積載量が多かった場合に、喫水が大きく(深く)なるがこの場合は、水と船体の接触面積が増える。この場合は、気体噴出口数および/または気体噴出量を増すことにより、より有効に摩擦抵抗の低減が図れる。反対に積載量が少なく、バラスト水でバランスを取っている喫水が小さく(浅く)なっている状態では、気体噴出口の噴出口数および/または気体噴出量を減じることにより、無駄に駆動装置の動力を使うこと無くバランスを取った摩擦抵抗の正味の低減が図れる。
また、本発明によれば、船体の傾斜を傾斜検出器で検出して船舶の左右に配設した気体噴出口の噴出口数および/または気体噴出量を制御することにより、船舶の旋回時やローリング時に動力を無駄に使うこと無く、有効に摩擦抵抗の低減が図れる。すなわち、旋回やローリングにより片側船底が持ち上がった状態では、持ち上がった側の船体の水との接触面積は沈み込んだ反対側よりも小さくなる。従って、気体の噴出を適正に配分するには、持ち上がった側の気体噴出口数と気体噴出量を減じることが望ましく、反対側は増すことが望ましい。この場合、気体噴出口数のみあるいは気体噴出量のみの制御でもよく、また双方を同時に行ってもよい。いずれにしても、船体を傾斜検出器で検出して気体調節手段で気体の噴出を調節することにより、無駄な動力を使用せずに、自動的に的確に摩擦抵抗の正味の低減が図れる。
また、本発明によれば、少なくとも船底に気泡を噴出する複数の気体噴出口に対して、船舶の航行状態および/または船舶状況に応じて気体調節手段を調節して気体の噴出を開始/停止する制御を行っているため、特に気体の噴出による摩擦抵抗の低減効果が期待できない場合は、気泡の噴出を止めて、低減効果が期待できる場合は、気泡の噴出を行い、無駄な動力を使用することを防止し、有効に摩擦抵抗の正味の低減が図れる。船体の摩擦抵抗は、船体と水の相対速度の略2乗に比例する。従って、船体と水との相対速度が低くなると急激に摩擦抵抗は減少し、送気手段で消費する動力やエネルギーが摩擦低減効果を上回るようになる。この様な場合は、気体の噴出を停止した方が、総合的に得策である。従って、ある所定の速度以下になった場合や、入港が近づいた場合等では、気体の噴出を停止し、ある所定の速度以上になった場合や、出港し所定時間がたった場合などに、期待の噴出を開始する。これらの判断を、航行状態検出手段および/または船舶状況判断手段により行い、気泡の噴出を開始/停止しているため、的確な制御が可能となる。
また、本発明によれば、船舶が止まっていることを検出/判断したときは、送気手段を停止し、気体噴出口からの気泡の噴出を停止しているため、摩擦抵抗の低減が不要なときに、気体を送気する送気手段を止められ、無駄な動力やエネルギーを消費することが無くなり、総合的にエネルギー効率が高く経済的な船舶の摩擦抵抗低減装置が実現できる。
また、本発明によれば、少なくとも船舶が止まっているときに、気泡の噴出を行うことにより、条件設定指示に基づいて喫水レベルの制御ができる。これは、港での船舶への荷積みの場合や、上部に構造物がある場所での停泊、あるいはこういった構造物の下を通過する場合に有効である。この原理は、気泡と水が混在することにより、水の見かけ上の密度が減少することに基づく。船舶は浮体であり、アルキメデスの原理により排斥した水の量に応じて喫水が決まってくるが、見かけの水の密度が減少すると、浮力が小さくなって船舶は通常よりも沈み込むことになる。この原理を利用し、必要なときに気泡量を増すことにより、目的に応じた喫水レベルの制御が可能となる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明する。なお、以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る摩擦抵抗低減装置を、海洋で使用する船舶に適用した実施例を示す。図1(a)は、当該船舶の側面図を、図1(b)は、その上面図を、図1(c)は下面図を示すもので、一部説明のために要部構成を露出させて表現している。
船舶1の甲板2上に、送気手段としてのブロワー11、12、13、14、15が並べて設置されている。これらのブロワー11、12、13、14、15は甲板2上で、船首で破砕された潮の飛沫を避けるため格納庫に入れられて設置されていて、少しでも飛沫を避ける意味から気体である空気の取り込みを、船体の進行方向の反対側から行っている。
ブロワー11、12、13、14、15に取り込まれた空気がそれぞれ加圧され、屈曲部を有した送気管16、17、18、19、20を通って、船底3の近傍に設置された気体噴出口21、22、23、24、25に導かれる。この気体噴出口21、22、23、24、25は、この実施例の場合、船底3の前部で船体4の平面中心線CLに対して対称的に、略一列に配置されている。気体噴出口21、22、23、24、25を船底3に設けることは、噴出した気泡の船底3部への滞在を長引かせ、波等による圧力変動を緩和する狙いからであり、また船底3の前部に設けることは、噴出した気泡を船底3へ極力全体に亘って滞在させる目的からである。
また、気体噴出口21、22、23、24、25を略一列に配置することは、構成を簡素化し、対応して設けたブロワー11、12、13、14、15や送気管16、17、18、19、20等の配置も容易化するためである。また、気体噴出口21、22、23、24、25は、この例の場合、奇数個の5個としているため、真中の一つ(気体噴出口23)を平面中心線CL上に持ってくることにより、船舶1の直進性を有した上での、気泡の1箇所噴出が実現できる。
船底3には、気体噴出口21、22、23、24、25から噴出された気泡を逃さないように気泡のガイドを行う端板5、5´、6、6´、7、7´がこれも船体4の平面中心線CLに対して対称に配置されている。船底3にはこの他、海水や気泡による船体4に作用する剪断力を検出する剪断力検出器である剪断力センサー50、51、52、53、54が船尾側に設けられている。
また、相対速度検出器である相対速度センサー55、56が船尾側に設けられている。船側8には、別の相対速度センサー57が設けられている。これらの相対速度センサー55、56は、気体噴出口21、22、23、24、25から離して、あるいは相対速度センサー57は、近くても船側8の気泡の影響が無い箇所に設けられている。特に、相対速度センサー57は、船側8でも波の影響を受けない下方に設置されている。これらの相対速度センサー55、56、57は、超音波式を採用しており、水中での使用を可能として、波や潮による影響を少なくしている。
また、船底3の後部と前部には、噴出された気泡の状態を監視するビデオカメラ58、59が設けられている。このビデオカメラ58、59の撮影した映像を、人が監視し、気泡の噴出状態を解析することに役立てている。
図2は、ブロワー11、12、13、14、15の詳細図面である。図2(a)は正面図を、図2(b)は側面図を、図2(c)は一部内部構造を表現した断面図を示す。このブロワー11、12、13、14、15は、ルーツ式の容積型ブロワーであり、駆動装置であるインバータ型の電動機60により、ベルト61を介してブロワー内部の2つのロータ62、63が回転され、ブロワー内壁64とロータ62、63の間に取り込まれた空気がロータ62、63の回転に伴い圧縮され、供給される構造である。ブロワー11、12、13、14、15は容積型であるため、先での圧力変動があっても安定して決まった量の空気を供給できるものとなっている。また、このルーツ式ブロワーは、同じ容積型であってもピストン式と異なりほぼ連続的に空気の加圧が行われるため脈動が少なく、圧力平滑化のためのタンク等も廃止することが可能である。さらに、回転が滑らかで振動や騒音が少ないため、甲板2上にブロワー11、12、13、14、15が配置されても、下部の船室で共鳴音が発生しにくいものとなっている。
図3は、気体噴出口21、22、23、24、25の詳細構造を概念的に示す斜視図である。この図3では、説明の簡略化のため、複数ある送気管や気体噴出口の代表例を示している。送気管16を通ってブロワーから送られた空気は、送気管16に接続された気体噴出口21のチャンバー部70で直角に曲げられる。この送気管16の接続部の直下には、送気された空気を分散させる三角形の断面を有した分配部品71が設けられていて、この部分で直角に曲げられるとともに、分配部品71によって空気が左右に分散される構成をとっている。空気は直角に曲げられることで、水平面方向に一様に広がろうとするが、チャンバー部70の奥と左右、上下の内壁により、空気は前方の多孔板72、73の方にのみ流れようとするが、この際に分配部品71の存在により、一層、多孔板72、73の左右方向の空気の分布が均一化される。
多孔板72、73には、多数の孔74、75が開けられているが、多孔板72と73で孔の左右方向の位置がずれていて、開孔位置をずらした配列となっている。この多孔板72、73は、この実施例では2枚使用した例を示しているが、3枚、4枚といったこれ以外の複数枚であってもよい。多孔板72、73が、その開孔位置をずらして配置されることにより、多孔板72、73が、空気の流れを屈曲させ抵抗を付けるいわゆる邪魔板の作用をすることとなり、さらなる左右方向の空気の均一化に加えて、上下方向の空気も均一化されて、前面の噴出開口76から噴出させることが可能となる。
ここで、多孔板72、73はステンレス等の耐食性を有した板金を連続的にプレスで丸孔をあけて生産し、カッティングによって開孔位置をずらした配列を実現できるので、生産性に優れたものとなる。このステンレス材で構成された場合、開孔が丸孔であることにより、エッジ部がなくなり、角孔などのようにプレス時の応力集中が起こりにくく、海水中で用いてもエッジ部から応力腐食が進行することが軽減できる。多孔板72、73は、樹脂を使用し、成型によって生産してもよい。この樹脂を用いた場合は、腐食面からは特に孔の形状はこだわらないが、成形型からも丸孔が好ましい。
図4は、送気管16で導かれた空気が、略直角に曲げられて広がり、ずらして直列に配設された多孔板72、73を介して噴出される、上記構成の作用を概念的に示した概念図である。
図5に、この実施例における気体噴出口21を船底3に取り付けた、断面図を示す。この図では、説明の簡略化のため、複数ある送気管や気体噴出口他の代表例を示している。チャンバー部70は、船底63の平面より突出して設けられ、送気管16が船底3を貫通して、チャンバー部70に接続され、噴出開口76が水流に対して下流側に開いている。チャンバー部70の前面には、抵抗低減板80が設けられ、水流によってチャンバー部70が抵抗にならないように配慮されて構成されている。
図6は気体噴出口21の船底3への取付けの他の実施例を示す。この他の実施例においては、船底3の形状をチャンバー部70が介在しても略同一平面となるように配慮して設計しており、この場合、先の実施例のように抵抗低減板80を設ける必要はないが、気体噴出口21の下流側の船底3を曲面で構成し、噴出開口76から噴出した気泡が流れ易く、また船底3に付着し易く、かつ抵抗が増加しないように配慮されている。
図5の先の実施例は、気体噴出口21の後付けを含めて、船底3への装着が実施し易い効果を有し、図6の他の実施例は、抵抗低減板80等を特に設ける必要がなく、気体噴出口21の取り付けに伴う、摩擦抵抗の増加を抑えることが期待できる効果を有する。
図7は本実施例の制御ブロック線図である。
船舶状況判断部100には、船の位置を検出するGPS101、船舶の機関の燃料消費量を計測する燃料計測部102、船舶の機関の運転状態を検出する機関運転検出部103が設けられている。この船舶状況判断部100は、特に船舶の現況を判断する部分であり、航行中に変化が少ない、あるいは変化が緩慢な船舶の現況を判断するものである。例えば、GPS101は船の地図上の位置を把握し、港や目的地までの距離や対地の絶対速度等を検出している。
これは、どういった地図上の位置や場所で、気泡を噴出したらよいか、また止めたらよいかの判断に利用される。また、対地の絶対速度計測は、相対速度センサー55、56、57を補完する目的でも使用される。燃料計測部102は、機関がどれだけ所定時間当たりの燃料を消費しているかを計測し、所定の燃費を下回ったら気泡の噴出を止めること等に利用される。機関運転検出部103は、船舶の機関の運転状態を検出し、機関の運転が停止しているときには、気泡の噴出を止める、あるいは運転を開始し所定時間経ったら気泡の噴出を開始する等の情報を得ることに利用される。また、機関の回転数を検出して気体噴出口数および/あるいは気泡噴出量を変えることなどにも利用される。この船舶状況判断部100には、この他機関の出力検出器、ジャイロ、レーダ、積載量計測、バラスト水状態等広く船舶の置かれた状況を判断する手段が含まれていて、目的に応じて気泡噴出制御に利用可能となっている。
航行状態検出部A110は相対速度センサー55、56、57、船体の喫水レベルを検出する喫水センサー111、船体の進行方向に対しての左右の傾きいわゆるローリングを検出する傾斜センサー112で構成される。これとは別に、剪断力センサー51、52、53、54、55が航行状態検出部B115を構成している。これら航行状態検出部A、航行状態検出部Bは、船舶の航行に伴い比較的変化し易い、あるいは変化をさせる目的で制御される物理量を検出している。剪断力センサー51、52、53、54、55の構成については、後で詳しく触れる。この航行状態検出部には、この他、船体4の左右揺れ(スウェイング)、縦揺れ(ピッチング)、前後揺れ(サージング)、上下揺れ(ヒービング)、船首揺れ(ヨーイング)を検出するセンサー等が含まれる。
また、海象判断部120は、波センサー121、風センサー122、潮流センサー123で構成されている。波センサー121は、波の波高や方向、また周期等を検出している。風センサー122は、風の風速や方向等を検出している。潮流センサー123は、潮の潮速や方向、また高さ等を検出している。この海象判断部は、この他一般の天候等の情報も含めて、波、風、潮等の情報に天候等も加味し、例えば、海象が荒れているときは気泡の噴出を止め、回復したら気泡を発生させるなどの判断を行うことに利用される。
このような船舶状況判断部100の情報、海象判断部120の情報は、条件設定部130に伝えられ、この条件設定部で総合的に船底3へ気泡を噴出する条件が設定される。この条件とは、気泡の噴出開始/停止、複数ある気体噴出口21、22、23、24、25のどれとどれから気泡を噴出させるか、噴出量をどうするか、噴出のタイミングをどうするか、また時間的な気泡噴出シーケンスをどう組むか、いつ噴出させていつ止めるか等である。また設定部においては、気泡噴出の条件は、船体に働く剪断力、船体の相対速度、喫水、傾斜等の条件も加味されたものとして設定され、これらの信号により制御を行うための条件設定も併せて行われる。なお、この条件設定部においては、摩擦抵抗の低減のための条件設定指示131に従った条件設定の他、後述する気泡噴出による喫水レベルの調整の条件設定指示132に従った条件設定も行われる。
この条件設定部130の設定に従って、比較器140で信号の比較が行われ、コントローラ150を介してブロワー11、12、13、14、15が制御される。これら比較部140とコントローラ150で制御器が構成されている。コントローラ150は、ブロワー11、12、13、14、15の吐出側に設けたバルブ161、162、163、164、165も制御している。これはブロワー11、12、13、14、15のインバータによる電動機の制御範囲を下回る空気量を制御する場合や喫水センサー111の信号を利用して素早い喫水レベルの調節を行う場合に、これらバルブ161、162、163、164、165を調節して所望の空気量を得る目的で付加されている。また、気泡の噴出が気体噴出口21、22、23、24、25から行われている状況について、気泡の噴出状態や船底3への滞在状態をビデオカメラ58、59で撮影し、空気の噴出条件の解析、検討に役立てている。
また、船底3には剪断力センサー51、52、53、54、55が、船底3の下流に気体噴出口21、22、23、24、25に取り付けられているが、気泡噴出による剪断力変化の解析を深めるために対応した数が取り付けてある。この剪断力センサー51、52、53、54、55の信号は、比較部140にフィードバックされ、予め条件設定部130で設定された剪断力値と比較され、その偏差に応じた所定のルール、アルゴリズム、定数に従って、コントローラ150を介してブロワー11、12、13、14、15の運転状態が微調整される。また、船体と海水との相対速度を相対速度センサー55、56、57で検出し、所定の統計的処理をして代表値が比較部140に送られる。また、喫水センサー111、傾斜センサー112の信号も比較部140に送られる。
比較部110に於いて、まず相対速度センサー55、56、57の処理された代表値と予め条件設定部130で設定された、条件設定値の比較が行われる。例えば船体の相対速度が設定値を上回ったときは、その偏差に応じて気体噴出口の数を増したり、気泡量を増したり、その双方を増したりする制御を行う。また、下回ったときは、気体噴出口の数を減らしたり、気泡量を減らしたり、その双方を減らしたりする制御を行う。気体噴出口の数を減らす場合に好ましくは、外側の気体噴出口を止めることが望ましい。
例えば、気体噴出口21と気体噴出口25を止める。また、気体噴出口21、22と気体噴出口25、24を止める等である。また、気泡の噴出量についても同様である。気体噴出口21と気体噴出口25の気泡噴出量を同量だけ減らす/増やす、さらに気体噴出口22と気体噴出口24の気泡噴出量を同量だけ減らす/増やす等である。このように、船体の平面中心線CLに対称に配置された気体噴出口の口数や気泡噴出量を対称的に制御することにより、特に多い直進航行時には均一な摩擦抵抗低減効果が得られ、船の直進性が維持でき、燃料消費量も少ないものとなる。また、制御装置としての回路構成や制御方法も容易なものとなる。
また、比較部140では、喫水センサー111で検出された値と、予め条件設定部130で設定された条件設定値の比較が行われる。例えば、船体4の喫水が設定値を上回ったとき(積荷量が多く喫水が深くなった場合)は、その偏差に応じて気体噴出口の数を増したり、気泡量を増したり、その双方を増したりする制御を行う。また、下回ったとき(積荷を下ろしバラスト水状態となった場合)は、気体噴出口の数を減らしたり、気泡量を減らしたり、その双方を減らしたりする制御を行う。この減らす場合には、上記と同様に制御することが望ましい。
また、大きな波のうねりが来た場合は、喫水センサー111の信号を利用し、バルブ161、162、163、164、165を制御して、即座に気体噴出口21、22、23、24、25にかかる圧力を増減微調節し、気泡噴出量が変化することをさらに緩和している。
なお、喫水センサーの特別な使い方として、船舶1への積荷の積載量を推定することにも使用できるが、この実施例では次のような利用もしている。船舶が港湾等で停止した状態で積荷を容易化にする目的や船体の上部に位置する他の障害物を避ける場合、また航行中でも船舶の上部に位置するゲートや橋などの建造物を避ける場合に、気泡を噴出させることにより、船体の喫水を変えることができる。これは、気泡の噴出により、船側、船底が気泡で覆われ、周囲の海水に気泡が混じった状態となり、見かけ上の海水の密度が減る。このためアルキメデスの原理に基づき、船体の排斥する排水量に応じて決まってくる船体に作用する浮力が減ることになる。この結果、船体の喫水を制御することが可能となる。この喫水センサー111はこの用途においても、この喫水レベルの調整の条件設定指示132に基づいた条件設定値と喫水センサー111の検出値を比較部140で比較して、喫水レベルを調節するため気体噴出口数や気泡量が制御される構成となっている。
また、比較部140では、傾斜センサー112で検出された船体の傾斜値と、予め条件設定部130で設定された条件設定値の比較が行われる。例えば、船体の傾きが船舶の旋回やローリングによって設定値を上回ったときは、その偏差に応じて気体噴出口の噴出箇所を変えたり、気泡量の増減を行う。例えば、進行方向から見て船体が左に傾いた場合、船底は右側が持ち上がる。この場合、見かけの喫水が深くなった左側の気体噴出口の数を増したり、噴出量を増したり、その双方を増す制御を行い、右側の気体噴出口の数を減したり、噴出量を減らしたり、その双方を減らす制御を行うことにより、無駄に気泡を噴出することなく、有効に船体の摩擦抵抗を低減できる。なお、傾斜センサー112は、気泡の噴出制御への使用以外にも、船体4の傾斜を検出しバランスを取るためのバラスト水調整等にも共用できる。
図8に代表して剪断力センサー51の概略を模式的に示す。
船底3と略同一高さに検出板200が設けられていて、この検出板200は、板ばね201、202により吊り下げられて構成されている。板ばね201、202は支点203、204で支持されている。検出板200には、検出器205が取り付けられていて、検出器205の他端は、ケーシング206に固定されている。流れが生じると検出板200の表面に図8の下方に示すような流速分布が生ずるが、この流速分布により作用する検出板200への剪断力に応じ、板ばね201、202が撓み、検出器205も変位される。
この検出器205の変位を電気的に検出し、剪断力を検出する。流れが速くなると検出値が高くなり、遅くなると検出値が低くなる。海水に気泡が混ざった状態では、気泡が混じらない海水だけの状態と比較して、検出板200に作用する剪断力が低下し検出値が低くなる。予め、気泡の混じらない海水での相対速度と剪断力の関係と、気泡の混じった海水で気泡混入量と相対速度と剪断力の関係を計測しておくことにより、船底3に有効に作用している気泡の混入状態が推定できる。また、剪断力から船底3や船体全体に作用する摩擦抵抗も推定できる。この剪断力は、剪断力センサーの数を増すことにより、より正確に計測ができるが、経済的な面もあり、限られた船底3の領域に複数個設けることにより、全体が推定できる。
本実施形態においては、この剪断力センサー51、52、53、54、55の値を、航行状態検出部B115で統計的に処理し、代表値を比較部140にフィードバックしている。このフィードバックされた剪断力センサーの代表値と、条件設定部130で設定した条件設定値を比較部140で比較し、その偏差に応じて、コントローラ150を介してブロワー11、12、13、14、15を制御し、気体噴出口21、22、23、24、25から噴出される気泡の量を制御する。剪断力が設定値よりも大きいとき、すなわち偏差が大きいときは、気体噴出口21と気体噴出口25の気泡噴出量を増すように制御し、偏差が小さいときは減らすように制御する。そしてフィードバック制御により、所望の条件設定された剪断力を得ている。また、この剪断力センサー51、52、53、54、55の検出値は、摩擦抵抗の低減効果を確認する指標としても利用されている。
ここで、気体の噴出を開始/停止する制御を行う制御についてまとめると、主として船舶状況判断部110の判断に従う場合、海象判断部120の判断に従う場合、航行状態検出部A、航行状態検出部Bの検出結果に従う場合がある。船舶状況判断部110に従う場合は、例えば、GPS101で港や目的地が近くなると判断すると気泡の噴出を止め、出港すると気泡の噴出を開始し、海域として渦潮域が近付いたら止め、外れたら開始する。また、機関の運転が停止されたら、気泡の噴出も止め、機関が動き出し所定時間たったら気泡の噴出を開始する。燃料検出部102で検出される燃費が予定より下回ったら気泡の噴出を止める。また、燃費の改善が予測される場合は、気泡の噴出を開始する。また、海象判断部120で台風や時化等の荒天の場合は、気泡の噴出を停止し、回復したら開始する。
また、波センサーで検出される波高が所定値以上になったら気泡の噴出を停止し、所定値以下になったら開始する。航行状態検出部A、航行状態検出部Bの検出結果を設定された値と比較して偏差の大小に基づき、この偏差が予め定めた閾値以下で停止し、閾値を越えたら開始する。例えば、相対速度センサー55、56、57の値は、統計的処理をされ、代表値が比較部140に送られるが、船舶1の速度が落ち、この値が条件設定部130で設定された所定の閾値を下回ると、気泡の噴出を止め、上回ると開始している。相対速度センサー55、56、57の統計的処理をされた代表値の時間変化に基づき、船舶1が動きだし加速をしているときは、この閾値を下げ早めに気泡を噴出し、有効に気泡による摩擦抵抗低減効果を発揮し、減速しているときは速度が落ちてまだ船底3に滞在している気泡があるため、閾値を上げて気泡の噴出を早めに止めてもよい。
これら、気体の噴出を開始/停止する制御を行う条件については、優先順位を付けて制御を行い、検出誤差や故障、予測し得なかった事態のときに補完的に他の条件を用いて制御してもよい。いずれにしても、所定の条件下で気泡の噴出を開始/停止すること、船舶が止まっていることを検出/判断したときは噴出を停止することにより、実質の摩擦抵抗低減効果を考慮した、気泡の噴出が実現できる。
(第2の実施形態)
図9に本発明の実施形態における第2の実施形態を示す。この第2の実施形態については、第1の実施形態との相違点のみを説明し、他の部分は実施例1と同様な構成をとるものとする。
図9において、船舶1の船底3には、気体噴出口21、22、23、24、25が図に示すように配置されている。すなわちこの船底3前部の平面部は点線で示すようないわゆる舟形に構成されているが、気体噴出口21、22、23、24、25は、船体4の平面中心線CLに対して対称的に、かつ船底3の前部形状に沿うように配置されている。
このため、気体噴出口21、22、23、24、25から噴出された気泡が、船底3を全面にわたり、一番有効に覆うように噴出することが可能となる。また、前部形状に沿っているため船尾に向けても一番気泡が長く滞在できる位置から噴出ができ摩擦抵抗の削減が一層向上できるとともに、摩擦抵抗が大きい前部を有効に覆うことが可能となっている。また、この場合、複数の気体噴出口21、22、23、24、25は、奇数個であるため、いわゆる舟形の先端部に真ん中の気体噴出口23を配設することが可能となり、船舶1の直進性を維持しつつ、1個の気体噴出口23からの気泡の噴出が可能となり、かつ船底3部を最も有効に気泡で覆うことが可能となる。
以上のように、これらの実施形態においては、船舶1の船底3に複数の気体噴出口21、22、23、24、25と、この複数の気体噴出口21、22、23、24、25に気体としての空気を送気する複数のブロワー11、12、13、14、15を設け、この各ブロワーは駆動装置としてのインバータ型の各電動機60で駆動される構成を取っている。また、船舶1の航行状態を検出する航行状態検出手段として航行状態検出部Aに相対速度センサー55、56、57、喫水センサー111、傾斜センサー112を備え、また航行状態検出部B115に剪断力センサー51、52、53、54、55を備えて構成し、この航行状態検出部A110,航行状態検出部B115の検出結果に応じて、各ブロワーの各電動機60を制御装置で制御して構成しているものである。
このような構成により、気泡の上昇が船底3自身によって阻害され気泡の保持効果が持続でき、少ない気泡量で有効に摩擦抵抗が低減できる。また、船底3に設けた気体噴出口21、22、23、24、25では船側に設けた場合と比較して波の影響が緩和されるため、安定して気泡を噴出でき、結果として安定した船体の摩擦抵抗低減効果に結び付けることができる。また、一つ気体噴出口に対して一つのブロワーが対応して設けられているため、個別の気体噴出口21、22、23、24、25ごとの気泡噴出制御が容易にでき、特に海洋で用いた場合に、波による気泡噴出量の変動の問題も緩和できる。さらに、航行状態検出部A110、航行状態検出部B115の検出結果に応じて送気状態が制御できるため、一定に気体を噴出する場合に比べて、航行状況に応じてきめ細やかに気泡の噴出が可変制御でき、一層の正味の低減効果を増す摩擦抵抗低減が期待できる。
また、気体噴出口21、22、23、24、25を略一列に配置することにより、構成を簡素化し、対応して設けたブロワー11、12、13、14、15や送気管16、17、18、19、20等の配置も容易化できる。また、気体噴出口21、22、23、24、25を奇数個とすることにより、真中の一つ(気体噴出口23)を平面中心線CL上に配設することが可能となり、船舶の直進性を有した上で、気泡の1箇所噴出が実現できる。
また、送気管16の接続部の直下に、送気された空気を分散させる三角形の断面を有した分配部品71が設けることにより、分配部品71によって空気が左右に分散され均一化される。
また、気体噴出口21、22、23、24、25に用いられる多孔板72、73の開孔を丸孔で構成することにより、エッジ部がなくなりステンレス材を用いた場合、プレス時の応力集中が起こりにくく、海水中で用いても応力腐食が進行することが軽減できる。
また、気体の送気手段としてルーツ式ブロワーを用いているため、同じ容積型であってもピストン式と異なり、ほぼ連続的に空気の加圧が行われるため脈動が少なく、圧力平滑化のためのタンク等も廃止することができる。また、回転が滑らかで振動や騒音が少ないため、甲板2上にブロワー11、12、13、14、15が配置されても、下部の船室における共鳴音の発生が防止できる。
また、複数の気体噴出口21、22、23、24、25は、奇数個であるため、いわゆる舟形の先端部に真ん中の気体噴出口23を配設することが可能となり、船舶1の直進性を維持しつつ、1個の気体噴出口23からの気泡の噴出が可能となり、かつ船底3部を最も有効に気泡で覆うことが可能となる。
また、気体噴出口21、22、23、24、25からの気体噴出を制御する気体調節手段として、電動機60のインバータやコントローラ150により制御されるバルブ161、162、163、164、165を設けることにより、気泡の噴出開始/停止や気泡噴出量と言った空気の噴出状態が任意に制御可能となり、有効に正味摩擦抵抗が低減できている。
また、相対速度センサー55、56、57は、超音波式を採用しており、水中での使用を可能として、波や潮による影響を少なくできる。
また、海水との相対速度を相対速度センサー55、56、57で検出し、所定の統計的処理をして代表値が比較部140に送って利用しているため、検出誤差が少なく、正確な制御に繋げることができる。
また、気泡の噴出制御に使用される喫水センサーは、船舶1への積荷の積載量の推定や船舶1の喫水量調節にも利用できる。
また、傾斜センサー112は、気泡の噴出制御への使用以外にも、船体4の傾斜を検出しバランスを取るためのバラスト水調整等にも共用できる。
また、剪断力センサー51、52、53、54、55で予め、気泡の混じらない海水での相対速度と剪断力の関係と、気泡の混じった海水で気泡混入量と相対速度と剪断力の関係を計測しておくことにより、船底3に有効に作用している気泡の混入状態が推定できる。また、剪断力から船底3や船体全体に作用する摩擦抵抗も推定できる。
また、航行状態検出部A110、航行状態検出部B115に加え、船舶状況判断部100を備え、これらの検出/判断状況に応じて気体噴出口21、22、23、24、25からの気体の噴出を開始/停止する制御を行っているものである。
この構成により、気泡の噴出による摩擦抵抗の低減効果が期待できない場合は、気泡の噴出を止めて、低減効果が期待できる場合は、気泡の噴出を行い、無駄な動力を使用することの防止と、有効に摩擦抵抗低減効果を発揮することができる
また、相対速度の統計的処理をした代表値に閾値によって差を設けて、船舶1が止まるときに早めに気泡噴出を止め、残留気泡を有効に利用しているため、実質の摩擦抵抗低減効果を考慮した、気泡の噴出が実現できる。
また、喫水レベルの調整を条件設定指示132に基づいて行っているため、摩擦抵抗の低減のための条件設定指示131と区分ができ、摩擦抵抗低減のための同一の気体噴出口21、22、23、24、25やブロワー11、12、13、14、15を用いて、喫水レベルの調整が可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
また、上述した実施例は、本発明に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本発明に係る技術思想を適用することが可能である。
本発明に係る船舶の摩擦抵抗低減装置は、一般的に海洋での使用に限らず、河川、湖水等あらゆる水系で利用される船舶で使用することが可能である。
また、船舶の形を取らない、水系での航行体、浮体に広く適用でき、摩擦抵抗の低減による省エネルギー効果の貢献をはじめ、喫水調整や利便性の面でも広く社会全般、各種産業全般に対して大きな有益性をもたらすものである。
(a)本発明の一実施例における船舶の摩擦抵抗低減装置を適用した船舶の側面図、(b)同船舶の上面図、(c)同船舶の下面図 (a)本発明の一実施例における船舶の摩擦抵抗低減装置に用いたブロワーの側面図、(b)同ブロワーの側面図、(c)同ブロワー内部構造図 本発明の一実例における船舶の摩擦抵抗低減装置に用いた気体噴出口の斜視図 本発明の一実例における船舶の摩擦抵抗低減装置に用いた気体噴出口の作用概念図 本発明の一実例における船舶の摩擦抵抗低減装置に用いた気体噴出口の船底への取り付断面図 本発明の一実例における船舶の摩擦抵抗低減装置に用いた気体噴出口の船底への 他の取り付け方を示す取付断面図 本発明の一実例における船舶の摩擦抵抗低減装置に用いた制御ブロック線図 本発明の一実例における船舶の摩擦抵抗低減装置に用いた剪断力センサーの断面図 本発明の第二の実施例における船舶の摩擦抵抗低減装置を適用した船舶の下面図
符号の説明
1 船舶、3 船底、11、12、13、14、15 ブロワー(送気手段)、16 送気管、21、22、23、24、25 気体噴出口、60 電動機(駆動装置)、100 船舶状態判断部、110 航行状態検出部A、115 航行状態検出部B、140 比較部(制御装置)、150 コントローラ(制御装置)、161、162、163、164、165 バルブ(気体調節手段)

Claims (15)

  1. 船舶と、この船舶の船底に気泡を噴出する複数の気体噴出口と、この複数の気体噴出口に気体を送気する前記複数の気体噴出口に対応して設けた複数の送気手段と、この複数の送気手段を駆動する駆動装置と、前記船舶の航行状態を検出する航行状態検出手段と、この航行状態検出手段の検出結果に応じて前記駆動装置を制御し送気状態を変える制御装置を備えたことを特徴とする船舶の摩擦抵抗低減装置。
  2. 前記気体噴出口を船体の平面中心線に対して対称的に配置し、前記航行状態検出手段の検出結果に応じて前記複数の送気手段による気体の送気を対称的に制御したことを特徴とする請求項1記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  3. 前記送気手段を船体上部に設け、前記送気手段からの気体を送気管で船底部に導き船底部で略直角に曲げて前記気体噴出口に導いたことを特徴とする請求項1記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  4. 前記気体噴出口は複数の開孔を有した多孔板を複数枚、その開孔位置をずらして直列に配設して構成したことを特徴とする請求項1もしくは3記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  5. 前記送気手段は、容積型の送気装置としたことを特徴とする請求項1記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  6. 前記複数の気体噴出口を船底の前部形状に沿って配設したことを特徴とする請求項1記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  7. 船舶と、この船舶の少なくとも船底に気泡を噴出する複数の気体噴出口と、この複数の気体噴出口に気体を送気する送気手段と、この送気手段を駆動する駆動装置と、前記気体噴出口からの気体噴出を制御する気体調節手段と、少なくとも前記船舶の航行状態を検出する航行状態検出手段と、この航行状態検出手段の検出結果に応じて前記気体調節手段を制御して前記気体噴出口からの気体の噴出状態を変える制御装置を備えたことを特徴とする船舶の摩擦抵抗低減装置。
  8. 前記航行状態検出手段は、前記船体と水との相対速度を検出する相対速度検出器とし、相対速度の増減に応じ前記気体噴出口数および/または気体噴出量を増減したことを特徴とする請求項7記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  9. 前記相対速度検出器は、船体の波および/または気泡の影響を受けない箇所に付設したことを特徴とする請求項8記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  10. 前記航行状態検出手段は、前記船舶の喫水を検出する喫水検出器とし、喫水の大小に応じ前記気体噴出口数および/または気体噴出量を増減したことを特徴とする請求項7記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  11. 前記航行状態検出器は、前記船体の傾斜を検出する傾斜検出器とし、傾斜に応じて前記船舶の左右に配設した前記気体噴出口数および/または気体噴出量を制御したことを特徴とする請求項7記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  12. 前記航行状態検出器は、船体に働く剪断力を検出する剪断力検出器とし、剪断力に応じて前記気体噴出口数および/または気体噴出量を制御したことを特徴とする請求項7記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  13. 船舶と、この船舶の少なくとも船底に気泡を噴出する複数の気体噴出口と、この複数の気体噴出口に気体を送気する送気手段と、前記気体噴出口からの気体噴出を制御する気体調節手段と、前記船舶の航行状態を検出する航行状態検出手段および/または船舶状況判断手段の状態に応じて前記気体調節手段を調節し、前記気体噴出手段からの気体の噴出を開始/停止する制御を行う制御装置を備えたことを特徴とする船舶の摩擦抵抗低減装置。
  14. 前記航行状態検出手段および/または船舶状況判断手段で船舶が止まっていることを検出/判断したときは、前記送気手段を停止することを特徴とする請求項13記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
  15. 前記航行状態検出手段および/または船舶状況判断手段で少なくとも船舶が止まっていることを検出/判断したときは、条件設定指示に基づいて気泡の噴出を行い喫水の制御を行ったことを特徴とする請求項13記載の船舶の摩擦抵抗低減装置。
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