JP2009244422A - 平版印刷版原版および平版印刷版の製版方法 - Google Patents

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重克 藤井
Takanori Taguchi
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Abstract

【課題】保存安定性に優れ、かつ耐刷性にも優れた平版印刷版原版を提供する。また、環境に低負荷であり、低コストでもある非アルカリでの現像が可能な平版印刷版の製版方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、(A)重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)バインダーポリマーおよび(D)増感色素を含有する画像記録層を有する感光性平版印刷版において、前記(C)バインダーポリマーが、側鎖にアミノ基および/またはアンモニウム塩を有する構造であり、かつ、前記(C)バインダーポリマーのTg(ガラス転移温度)が50℃以上であることを特徴とする平版印刷版原版。該原版を、画像様露光により露光部の画像記録層を硬化させた後、pH2.0〜8.0の現像処理液にて現像を行う平版印刷版の製版方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版原版および平版印刷版の製版方法に関するものであり、詳しくは、特定のバインダーポリマーを画像記録層(以下、「感光層」とも称する)に含む平版印刷版原版と、pH2〜8の現像処理液(以下、適宜、「処理液」または「現像液」とも称する)を用いた平版印刷版の製版方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷とは、水と印刷インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(感光層、画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
このように従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、環境および安全上、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。従って、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
平版印刷版原版の画像記録層に適した高感度なラジカル重合系の記録材料としては、通常、アルカリ可溶性ポリマーバインダーと重合性化合物(モノマー、オリゴマー)の組み合わせが使用されている。重合性化合物を使用することにより、感度が向上する。しかしながら、重合性化合物の導入により、それを含む重合性組成物が熱的に不安定となり、特に、高温高湿下で保存した際に、保存安定性が劣化するという問題点があった。この問題点を解決すべく、例えば特許文献1には、側鎖にスチレン基とアルカリ可溶性基とを有し、且つ、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上であるラジカル架橋性アルカリ可溶性ポリマーを含有することを特徴とする重合性組成物が提案されている。しかしながら、特許文献1には、本発明で使用する特定のバインダーポリマーの開示はない。また、特許文献1に記載の技術は、アルカリ可溶性ポリマーを用いてアルカリ現像を行なうものであり、酸性〜中性領域の現像液を用いて現像する平版印刷版原版の製版方法について、開示も示唆もない。
特開2005−257955号公報
従って、本発明の目的は、保存安定性に優れ、かつ耐刷性にも優れた平版印刷版原版を提供することにある。
また本発明の別の目的は、環境に低負荷であり、低コストでもある非アルカリでの現像が可能な平版印刷版の製版方法を提供することにある。
本発明は以下のとおりである。
1.支持体上に、(A)重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)バインダーポリマーおよび(D)増感色素を含有する画像記録層を有する感光性平版印刷版において、前記(C)バインダーポリマーが、側鎖にアミノ基および/またはアンモニウム塩を有する構造であり、かつ、前記(C)バインダーポリマーのTg(ガラス転移温度)が50℃以上であることを特徴とする平版印刷版原版。
2.前記(B)重合性化合物と(C)バインダーポリマーとの質量比((B)/(C))が1.5以上であることを特徴とする前記1に記載の平版印刷版原版。
3.前記(C)バインダーポリマーが主鎖にウレタン結合を有することを特徴とする前記1に記載の平版印刷版原版。
4.前記1〜3のいずれかに記載の平版印刷版原版を、画像様露光により露光部の画像記録層を硬化させた後、pH2.0〜8.0の現像処理液にて現像を行う平版印刷版の製版方法。
5.前記現像工程が、1液処理であることを特徴とする前記4に記載の平版印刷版の製版方法。
6.前記現像工程が、1浴処理であることを特徴とする前記4または5に記載の平版印刷版の製版方法。
7.前記現像処理液が、ガム成分を含有することを特徴とする前記4〜6のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
本発明によれば、保存安定性に優れ、かつ耐刷性にも優れた平版印刷版原版が提供される。
また本発明によれば、環境に低負荷であり、低コストでもある非アルカリでの現像が可能な平版印刷版の製版方法が提供される。
〔感光層〕
本発明の平版印刷版原版の感光層は、(A)重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)バインダーポリマーおよび(D)増感色素を含有する。
以下に、感光層を構成する成分について、さらに詳細に説明する。
(重合開始剤)
本発明の感光層には重合開始剤(以下、開始剤化合物とも称する)を含有する。開始剤化合物は増感色素の電子励起状態に起因する電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用をうけて、化学変化を生じ、ラジカル、酸及び塩基から選択される少なくとも1種を生成する化合物である。以下、このようにして生じたラジカル、酸、塩基を単に活性種と呼ぶ。開始剤化合物が存在しない場合や、開始剤化合物のみを単独で用いた場合には、実用上十分な感度が得られない。増感色素と開始剤化合物を併用する一つの態様として、これらを、適切な化学的方法(増感色素と開始剤化合物との化学結合による連結等)によって単
一の化合物として利用することも可能である。
通常これらの開始剤化合物の多くは、次の(1)から(3)に代表される初期化学プロセスをへて、活性種を生成するものと考えられる。即ち、(1)増感色素の電子励起状態から開始剤化合物への電子移動反応に基づく、開始剤化合物の還元的分解、(2)開始剤化合物から増感色素の電子励起状態への電子移動に基づく、開始剤化合物の酸化的分解、(3)増感色素の電子励起状態から開始剤化合物へのエネルギー移動に基づく、開始剤化合物の電子励起状態からの分解である。個々の開始剤化合物が(1)から(3)のどのタイプに属するかに関しては、曖昧な場合も多いが、本発明における増感色素は、これら何れのタイプの開始剤化合物と組み合わせても非常に高い増感効果を示す。
本発明における開始剤化合物としては、当業者間で公知のものを制限なく使用でき、具体的には、例えば、トリハロメチル化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、鉄アレーン錯体が挙げられる。なかでも、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、オニウム塩、トリハロメチル化合物およびメタロセン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、特にヘキサアリールビイミダゾール系化合物が好ましい。上記の重合開始剤は、2種以上を適宜併用することもできる。
ヘキサアリールビイミダゾール系化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号の各公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール系化合物は、300〜450nmに極大吸収を有する増感色素と併用して用いられることが特に好ましい。
本発明において好適に用いられるオニウム塩(本発明においては、酸発生剤としてではなく、イオン性の重合開始剤として機能する)は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z11 -は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオンおよびスルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21およびAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z21 -は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32およびR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオア
ルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z31 -は1価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
オニウム塩は、750〜1400nmに極大吸収を有する赤外線吸収剤と併用して用いられることが特に好ましい。
その他の重合開始剤としては、特開2007-171406、特開2007-206216、特開2007-206217、特開2007-225701、特開2007-225702、特開2007-316582、特開2007-328243号の各公報に記載の重合開始剤を好ましく用いることができる。
本発明における重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
本発明における感光層中の重合開始剤の使用量は感光層全固形分の質量に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%である。さらに好ましくは1.0質量%〜10質量%である。
(重合性化合物)
本発明における感光層に用いる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの共重合体、またはそれらの混合物などの化学的形態をもつ。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタ
エリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (A)
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体や後述の保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。そのほか、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も考慮され得る。
上記の重合性化合物は、感光層の全固形分に対して、好ましくは5〜75質量%、更に好ましくは25〜70質量%、特に好ましくは30〜60質量%の範囲で使用される。
(バインダーポリマー)
本発明のアミノ基および/またはアンモニウム基を有するバインダーポリマー(以下、適宜、「特定バインダーポリマー」と称する。)とは、ポリマー鎖の側鎖部分にアミノ基および/またはアンモニウム基を有するポリマーであれば任意の化合物でよい。アミノ基およびアンモニウム基としては下記一般式<1>または<2>で表される構造が好ましい。側鎖に下記一般式<1>または<2>で表される基を有するバインダーポリマーとしては、一般式<1>または<2>で表される構造を含む少なくとも一つの基を繰返し単位としてもつ高分子化合物であれば、任意の化合物でよい。
また、導入部位の例としては、上述のようにランダムな側鎖への導入、ブロック的な側鎖への導入、末端キャップ化しポリマー末端へ導入、マクロモノマーを合成しグラフト化して導入等が挙げられ、現像性の観点から、ランダムやブロックでの側鎖への導入、グラフト化しての導入が好ましい。
ここで一般式<1>〜<2>中、R1、R2、およびR4〜R6は、各々独立して1価の有機基を表す。ここで1価の有機基とは、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる置換基である。R3およびR7は2価の有機基を表す。ここで2価の有機基とは、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる連結基である。R3およびR7は無くてもよい。また、R1〜R3、R4〜R7のうち任意の2つは、互いに結合して環を形成してもよい。さらに、R1〜R3、R4〜R7のうちの任意の1つが窒素原子と二重結合を形成してもよい。その場合、<1>ではR1またはR2が、<2>ではR4〜R6のうちの1つがない構造となる。また、一般式<1>〜<2>中、Xはアニオンである。式中、*はポリマー主鎖に連結する位置を示す。
上記一般式<1>および<2>において、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン、ケイ素から選ばれる原子の少なくとも1種からなる置換基とは、−H、−F、−Cl、−Br、−I、>C<、=C<、≡C−、−O−、O=、−N<、−N=、≡N、−S−、S=、>S<、≡S≡、−P<、≡P<、>Si<、=Si<、≡Si−およびこれらを組み合わせて形成される置換基である。1価の置換基としては、水素原子、アルキル基〔例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イ
ソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2-ノルボルニル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、2-クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N-シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N-フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N-メチルベンゾイルアミノプロピル基、2-オキソエチル基、2-オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N-メチルカルバモイルエチル基、N,N-ジプロピルカルバモイルメチル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N-メチル-N-(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N-エチルスルファモイルメチル基、N,N-ジプロピルスルフ
ァモイルプロピル基、N-トリルスルファモイルプロピル基、N-メチル-N-(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、p-メチルベンジル基等〕、アリール基〔例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N-フェニルカルバモイルフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等〕、ヘテロアリール基〔例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジン等のへテロ環から誘導される基〕、アルケニル基〔例えばビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、シンナミル基、アリル基、1-プロペニルメチル基、1-ブテニル基、2-メチルアリル基、2-メチルプロペニルメチル基、2-クロロ-1-エテニル基等〕、アルキニル基〔例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等〕、ハロゲン原子〔-F、-Br、-Cl、-I〕、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキルウレイド基、N'-アリールウレイド基、N',N'-ジアリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリールウレイド基、N-アルキルウレイド基、N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアルキル-N-アルキルウレイド基、N′,N′-ジアルキル-N-アリールウレイド基、N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アリール-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアリール-N-アルキルウレイド基、N′,N′-ジアリール-N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(-SO3
)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N-アルキルスルフィナモイル基、N,N-ジアルキルスルフィナモイル基、N-アリールスルフィナモイル基、N,アリールスルフィナモイル基、N-アルキル-N-アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N,N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(-PO32)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(-PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(-PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(-PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(-PO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(-PO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(-OPO32)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(-OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(-OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(-OPO3H(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(-OPO3H(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が好ましい。2価の連結基は、特に限定されないが、アルキレン基、アリーレン基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含む連結基、及びこれらの組み合わせが好ましい。
一般式<1>中、pH2.0〜8.0での現像性の観点から、R1、R2がそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、または、アリール基であることが好ましい。R1、R2の炭素数の合計が0〜24であるのがより好ましく、R1、R2の炭素数の合計が0〜12であるのが特に好ましい。ただし、炭素数の合計が0の場合はR1、R2の両方共が水素原子の場合である。
また、一般式<2>中、pH2.0〜8.0での現像性の観点から、R4、R5、R6がそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、または、アリール基であることが好ましい。R4、R5、R6の炭素数の合計が0〜36であるのがより好ましく、R4、R5、R6の炭素数の合計が0〜18であるのが特に好ましい。ただし、炭素数の合計が0の場合はR4、R5、R6の全てが水素原子の場合である。
また、一般式<1>〜<2>中、Xはアニオンであり、具体例としては、ハロゲンアニオン、ハロゲンオキソ酸アニオン(ClO4 -, IO3 -, BrO3 -, など)、ハロゲノ錯イオン(BF4 -, PF6 -, AlCl4 -, など)、硫酸アニオン、硝酸アニオン、リン酸アニオン、ボレートアニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、金属錯体アニオン([Fe(CN)6]-, など)等が挙げられる。pH2.0〜8.0での現像性の観点から、中でも、ハロゲンアニオン、ハロゲノ錯イオン、ボレートアニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオンが好ましく、ハロゲノ錯イオン、ボレートアニオン、スルホン酸アニオンが更に好ましい。
アミノ基、アンモニウム塩のポリマーへの導入方法は、任意の手法を用いてよいが、例えば、〔化3〕に例示される第4級アンモニウム基含有アクリレート系モノマーを他のビニル系化合物と共重合させる方法、〔化4〕に例示される第3級アミン含有アクリレート系モノマーを他のビニル系化合物と共重合させた後、酸により中和して第3級アンモニウム塩化、あるいは、アルキル化剤により第4級アンモニウム塩化する方法、〔化5〕に例示される第4級アンモニウム基含有ジオール化合物をイソシアネート、カルボン酸、カルボン酸誘導体と共重合させる方法、〔化6〕に例示される第3級アミン含有ジオールをイ
ソシアネート、カルボン酸、カルボン酸誘導体と共重合させた後、酸により中和して第3級アンモニウム塩化、あるいは、アルキル化剤により第4級アンモニウム塩化する方法が挙げられる。
酸により中和して第三級アンモニウム塩とするために用いられる酸の具体例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等のハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸等の鉱酸、テトラフルオロホウ酸、ペンタフルオロリン酸等のハロゲノ酢イオン、過塩素酸等のハロゲンオキソ酸、安息香酸、2,5−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、4−メトキシ安息香酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、4−ブロモ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジエチルアミノ安息香酸、1−ナフトエ酸、4−ニトロ安息香酸、4−フェニル安息香酸、トルイル酸、ベンゾイル蟻酸、酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル酸、ベヘン酸、ステアリル酸、ノナン酸、3−シクロヘキサンブタン酸、等のカルボン酸、4-アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸、ダンシル酸、p−キシレン−2−スルホン酸、2,4−ジニトロベンゼン酸メタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、4−ニトロベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、アミノエタンスルホン酸、2−シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸、(+)-10−カンファースルホン酸、3−ヒドロキシプロパンスルホン酸、等のスルホン酸、硫酸水素2−アミノエチル等のアルキル硫酸、エチルホスフェート、ブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、フェニルホスホン酸等のリン酸等が挙げられる。その中でも、画像形成の安定性の観点から、不揮発性のカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸が好ましい。また、耐刷性の観点から中和酸のlogP値は、6以下、好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下を有していることが望ましい(ここで、logP値とは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある有機化合物が油(一般的には 1-オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値である logP = log(Coil/Cwater) Coil=油相中のモル濃度 Cwater=水相中のモル濃度)。また、感度の観点から、中和酸のpKaは、−5〜8であることが好ましく、−3〜6であることが更に好ましく、−1〜4であることが更に好ましい。これらを満たす中和酸の具体例として、安息香酸、2,5−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、ベンゾイル蟻酸、ラウリル酸のカルボン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、(+)-10−カンファースルホン酸のスルホン酸が更に好ましい。
更に、アリルオキシプロピオン酸、アクリルアミドヘキサン酸、3−ブテン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、4−ビニル安息香酸、等のラジカル重合性不飽和二重結合を有するカルボン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸等のラジカル重合性不飽和二重結合を有するスルホン酸は、感度と耐刷性の観点から更に好ましい。
また、アルキル化剤により第四級アンモニウム塩とするために用いられるアルキル化剤としては、塩素化物(R−Cl)、臭素化物(R−Br)、ヨウ素化物(R−I)、硫酸エステル(R’O−SO 2 −OR’)、スルホン酸エステル(R’−SO 2 −OR)等が包含される。これらのアルキル化剤の具体例としては、ジアルキル硫酸、パラトルエン
スルホン酸アルキル、アルキル−トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホン酸アルキル(トリフラート)、メタンスルホン酸アルキル(メシラート)等が挙げられる。このようなアルキル化剤の具体例としては、クロロメタン、クロロ酢酸、、クロロプロピオン酸、ヨードメタン、1−ヨードエタン、1−ヨードオクタン、ブロモメタン、1−ブロモエタン、1−ブロモヘキサン、3−ブロモプロピオン酸n−メチル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジブチル硫酸、ジアミル硫酸、ジヘキシル硫酸、ジオクチル硫酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸n−ヘキシル、p−トルエンスルホン酸n−オクチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸n−ヘキシル、などが挙げられ、ヨードメタン、1−ヨードエタン、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチルが4級アンモニウム塩の疎水性およびカウンターアニオンの観点から好ましい。
特定バインダーポリマーの骨格構造としては、主鎖および/または側鎖に前記一般式<1>や<2>で表されるようなアミノ基および/またはアンモニウム基を少なくとも1つ有していれば任意の高分子化合物でよいが、連鎖重合系樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、逐次重合系樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレア樹脂から選ばれる高分子化合物が好ましく、合成適性、膜物性、耐刷性、現像性の観点から、連鎖重合系樹脂では、(メタ)アクリル樹脂、スチレン系樹脂が、逐次重合系樹脂としては、ポリウレタン樹脂がさらに好ましい。
本発明の特定バインダーポリマーは、前記一般式<1>または<2>で表される基を少なくとも1つ有する化合物と、前記一般式<1>または<2>で表される構造をもたないその他の共重合可能な化合物との共重合体であってもよい。かかる共重合可能な化合物のうち連鎖重合系化合物としては、下記(m1)〜(m11)に挙げる化合物を例示することができる。
(m1)例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、およびメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
また、前記一般式<1>または<2>で表される基を少なくとも1つ有する化合物と共重合可能な逐次重合系化合物の例としては、以下にあげる二官能性の化合物(ジアミン化合物、ジカルボン酸またはその誘導体、ジイソシアネート化合物、ジオール化合物)がある。
ジアミン化合物としては、以下に示すものを例として挙げる事ができる。
エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,5−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデセン、4,4' −メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、2,2' −(エチレンジオキシ)−ビス(エチレンアミン)、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、などの脂肪族ジアミン、1,2−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、4,4‘−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアミン、2,3−ジアミノナフタレン、1
,5―ジアミノナフタレン、p−キシレンジアミン、4−アミノベンジルアミン、2−(4−アミノフェニル)エチレンアミン、ビス(4−アミノフェニルメタン)、ビス(4−アミノフェニル)エーテルなどの芳香族ジアミン等が挙げられ、中でも、芳香族を有するジアミン化合物、炭素数2〜10の脂肪族ジアミン化合物が特に好ましい。
ジカルボン酸またはその誘導体としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロモフタル酸、テトラクロロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、カルボキシノルボルナン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ヒドロキシベンジリデンマロン酸、3−ヒドロキシフタル酸などのジカルボン酸またはその誘導体等が挙げられ、中でも、芳香族を有するジカルボン酸またはその誘導体、炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体が特に好ましい。
ジイソシアネート化合物としては、一般式(5)で表される。ジオール化合物としては、一般式(6)で表され、一般式(5)および(6)中、X0、Y0は、それぞれ独立に2価の有機残基を表す。
OCN−X0−NCO (5)
HO−Y0−OH (6)
上記一般式(5)で表されるジイソシアネート化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。 すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物; ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物; イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物; 1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;等が挙げられる。
上記一般式(6)で表されるジオール化合物としては、広くは、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物等が挙げられる。
ポリエーテルジオール化合物としては、下記式(7)、(8)、(9)、(10)、(11)で表される化合物、および、末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体が挙げられる。
式(7)〜(11)中、R14は水素原子またはメチル基を表し、X1は、以下の基を表
す。また、a、b、c、d、e、fおよびgは、それぞれ2以上の整数を表し、好ましくは2〜100の整数である。
上記式(7)、(8)で表されるポリエーテルジオール化合物としては具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、質量平均分子量1000のポリエチレングリコール、質量平均分子量1500のポリエチレングリコール、質量平均分子量2000のポリエチレングリコール、質量平均分子量3000のポリエチレングリコール、質量平均分子量7500のポリエチレングリコール、質量平均分子量400のポリプロピレングリコール、質量平均分子量700のポリプロピレングリコール、質量平均分子量1000のポリプロピレングリコール、質量平均分子量2000のポリプロピレングリコール、質量平均分子量3000のポリプロピレングリコール、質量平均分子量4000のポリプロピレングリコール等である。
上記式(9)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)PTMG650、PTMG1000、PTMG2000、PTMG3000等である。
上記式(10)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示
すものが挙げられる。すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールPE−61、ニューポールPE−62、ニューポールPE−64、ニューポールPE−68、ニューポールPE−71、ニューポールPE−74、ニューポールPE−75、ニューポールPE−78、ニューポールPE−108、ニューポールPE−128、ニューポールPE−61等である。
上記式(11)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBPE−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P等である。
末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等である。
ポリエステルジオール化合物としては、式(12)、(13)で表される化合物が挙げられる。

式(12)、(13)中、L2、L3およびL4ではそれぞれ同一でも相違してもよく2
価の脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、L5は2価の脂肪族炭化水素基を表す。好ま
しくは、L2〜L4は、それぞれアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリレン基を表し、L5はアルキレン基を表す。またL2〜L5中にはイソシアネート基と反応し
ない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基またはハロゲン原子等が存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を表す。
ポリカーボネートジオール化合物としては、式(14)で表される化合物がある。
式(14)中、L6はそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族または芳香族炭化
水素基を表す。好ましくは、L6はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、ア
リレン基を表す。またL6中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基またはハロゲン原子等が存在していてもよい。n3は2以上の整数であり、好ましくは2〜l00の整数を表す。
上記式(12)、(13)または(14)で表されるジオール化合物としては具体的には以下に示す(例示化合物No.1)〜(例示化合物No.18)が含まれる。具体例中のnは2以上の整数を表す。
さらに特定バインダーポリマーに、画像部の被膜強度を向上するために架橋性を持たせることができる。特定バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
ここで架橋性官能基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程でバインダーポリマーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性官能基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記一般式(i)〜(iii)で表される官能基が特に好ましい。

上記一般式(i)において、Rl〜R3はそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表すが、R1としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基
などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、または1価の有機基を表す。ここで、1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、R12は、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。

上記一般式(ii)において、R4〜R8は、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を表すが、R4〜R8は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(i)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表す。R12は、一般式(i)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
上記一般式(iii)において、R9としては、水素原子または1価の有機基を表し、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(i)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
架橋性を有する特定バインダーポリマーとしては、上記の中でも、側鎖に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸共重合体およびポリウレタンがより好ましい。
架橋性を有する特定バインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、架橋性官能基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
特定バインダーポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。特定バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
バインダーポリマーの質量平均分子量は表中の質量平均分子量(Mw)はポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
本発明では、バインダーポリマーのTg(ガラス転移温度)は、保存安定性と現像性の観点から、50℃以上であり、好ましくは60〜200℃、より好ましくは80〜160℃、特に好ましくは100〜130℃である。
また、耐刷性および保存安定性の観点から、前記(B)重合性化合物と(C)バインダーポリマーとの質量比((B)/(C))が1.5以上が好ましく、1.5〜5.0がさらに好ましく、1.5〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0がとくに好ましい。
本発明では、バインダーポリマーのTgは、側鎖にアミノ基を有するバインダーを使用することにより達せられるが、バインダーポリマーのTgの観点から、アンモニウム塩は、pKaが−2〜3の酸の塩が好ましく、特に1価のスルホン酸((+)-10−カンフ
ァースルホン酸、p−トルエンスルホン酸、や2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など)の塩が好ましい。
特定バインダーポリマーは、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
特定バインダーポリマーの含有量は、感光層の全固形分に対して、5〜90質量%が好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましく、10〜60質量%であるのがさらに好ましい。
一般式<1>または<2>で表される構造を繰返し単位中に含む特定バインダーポリマーの具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
表中の分子量は質量平均分子量である。
また、PB−1〜50bにおいて、化合物と共に記載される数値は各構成成分の反応比(モル%)であり、表中、例えば「PPG1000」とは平均分子量1000のポリプロピレングリコールを表す。
以下に、本発明の特定バインダーポリマーの合成例を示す。
<例示化合物(PA−43)の合成>
コンデンサーおよび撹拌機を取り付けた500mL三口フラスコに、1-メトキシ−2−プロパノール56gを入れ70℃に加熱した。窒素気流下、アクリル酸メチル25.83g、3−(メタクリロイロキシ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド44.34g、V−65(商品名:和光純薬製重合開始剤)0.62gを1-メトキシ-2-プロパノール56gで溶解した溶液を2時間半かけて滴下した。さらに70℃で2時間反応させた。次に反応溶液を水に投じ、共重合体を析出させた。これをろ取、洗浄、乾燥し、バインダーポリマー(PA−43)を得た。目的物であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、GPCから確認した。
<例示化合物(PB−16)の合成>
(3-(3-(2,3-ジヒドロキシプロピルチオ)プロパンアミド)-N,N,N-トリメチルプロパンアンモニウムクロリドの合成)
300mLナス型フラスコに、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール54.08gを導入し、滴下漏斗を用いて、3−(アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドの75質量%水溶液を滴下し、室温下、3時間攪拌した。NMR、HPLC、IRスペクトル、質量分析スペクトルより、反応終了を確認し、反応液中の水分を加熱・減圧乾燥することにより除き、得られたモノマーはそのまま次の反応に用いた。
((PB−16)の合成)
コンデンサーおよび攪拌機を取り付けた500mL三口フラスコに、DMAc 42g、ポリプロピレングリコール(平均分子量1000)20.0g、3-(3-(2,3-ジヒドロキシプロピルチオ)プロパンアミド)-N,N,N-トリメチルプロパンアンモニウムクロリド9.45g、4,4’-ジイソシアン酸メチレンジフェニル13.13gを導入し、反応液を50℃とし、均一溶液とした。該反応溶液にネオスタン(日東化成(株)製:ビスマス触媒)を2滴追加し、80℃、4時間反応させた。反応溶液にメタノール3.00gを投入し、反応をクエンチした後、反応溶液を水2Lにあけ、ポリウレタンを析出させた。これを濾取。洗浄、乾燥し、バインダーポリマー(PB−16)を得た。目的物であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、GPCから確認した。
<例示化合物(PB−30)の合成>
コンデンサーおよび攪拌機を取り付けた500mL三口フラスコに、THF 55g、ポリプロピレングリコール(平均分子量1000)20.0g、3-(N,N-ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオール6.15g、ブレンマーGLM(日本油脂社製)4.55g、4,4’-ジイソシアン酸メチレンジフェニル20.60g、ジイソシアン酸ヘキサメチレン3.46g、ベンゾキノン0.0884gを導入し、反応液を50℃とし、均一溶液とした。該反応溶液にネオスタン(日東化成(株)製:ビスマス触媒)を2滴追加し、80℃、4時間反応させた。反応溶液にメタノール3.00gを投入し、反応をクエンチした後、塩酸5.26gを添加した。反応溶液を酢酸エチル2Lにあけ、ポリウレタンを析出させた。これを濾取。洗浄、乾燥し、バインダーポリマー(PB−30)を得た。目的物であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、GPCから確認した。
(増感色素)
本発明の感光層には、増感色素を含有させることが好ましい。例えば300〜450nmに極大吸収を有する増感色素や、500〜600nmに極大吸収を有する増感色素、750〜1400nmに極大吸収を有する赤外線吸収剤を添加することで、各々、当業界で通常用いられている405nmのバイオレットレーザ、532nmのグリーンレーザ、803nmのIRレーザに対応した高感度な平版印刷版を提供することができる。
まず、350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素について説明する。この様な増感色素としては、例えば、メロシアニン色素類、ベンゾピラン類、クマリン類、芳香族ケトン類、アントラセン類、等を挙げることができる。
360nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記一般式(IX)で表される色素である。
(一般式(IX)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環基またはヘテロ環基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはN−(R3)をあらわす。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、AとR1およびR2とR3はそれぞれ互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。)
一般式(IX)について更に詳しく説明する。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団であり、好ましくは、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の芳香族複素環残基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子を表す。
次に、一般式(IX)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい芳香族環基またはヘテロ環基を表し、置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環の具体例としては、一般式(IX)中のR1、R2およびR3で記載したものと同様のものが挙げられる。
このような増感色素の具体例としては特開2007−58170号公報の0047〜0053に記載の化合物が好ましく用いられる。
さらに、下記一般式(V)〜(VII)で示される増感色素も用いることができる。
式(V)中、R1〜R14は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。但し、R1〜R10の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
式(VI)中、R15〜R32は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。但し、R15〜R24の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
式(VII)中、R1、R2およびR3は各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、−NR45基または−OR6基を表し、R4、R5およびR6は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、k、mおよびnは各々0〜5の整数を表す。
また、特開2007-171406、特開2007-206216、特開2007-206217、特開2007-225701、特開2007-225702、特開2007-316582、特開2007-328243号の各公報に記載の増感色素も好ましく用いることができる。
増感色素の好ましい添加量は、感光層の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、更に好ましくは0.1〜20質量部、最も好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
続いて、本発明にて好適に用いられる750〜1400nmに極大吸収を有する増感色素について詳述する。
ここに使用される増感色素は、赤外線レーザの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、感光層中に併存する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に化学変化を生起させ
てラジカルを生成させるものと推定されている。いずれせよ、750〜1400nmに極大吸収を有する増感色素を添加することは、750nm〜1400nmの波長を有する赤外線レーザ光での直接描画される製版に特に好適であり、従来の平版印刷版原版に比べ、高い画像形成性を発現することができる。
赤外線吸収剤は、750nm〜1400nmの波長に吸収極大を有する染料または顔料であることが好ましい。
染料としては、市販の染料および例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
一般式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1または以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa -は後述するZa -と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基
、アリール基、置換または無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環または6員環を形成していることが
特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環およびナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。尚、対イオンとして、ハロゲンイオンを含有してないものが特に好ましい。
好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特開2002−278057号に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ま
しい。この好ましい粒径の範囲において、感光層中における顔料の優れた分散安定性が得られ、均一な感光層が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
これらの赤外線吸収剤は、感光層中における均一性や感光層の耐久性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
<マイクロカプセル>
本発明においては、上記の感光層構成成分および後述のその他の構成成分を感光層に含有させる方法として、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、該構成成分の一部をマイクロカプセルに内包させて感光層に添加することができる。その場合、各構成成分はマイクロカプセル内および外に、任意の比率で含有させることが可能である。
感光層構成成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、上記の非水溶性高分子に導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
上記のマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
<その他の感光層成分>
本発明の感光層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、現像性の促進および塗布面状を向上させるための界面活性剤、現像性の向上やマイクロカプセルの分散安定性向上などのための親水性ポリマー、画像部と非画像部を視認するための着色剤や焼き出し剤、感光層の製造中または保存中のラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するための重合禁止剤、酸素による重合阻害を防止するための高級脂肪誘導体、画像部の硬化皮膜強度向上のための無機微粒子、現像性向上のための親水性低分子化合物、感度向上の為の共増感剤や連鎖移動剤、可塑性向上のための可塑剤等を添加することができる。これの化合物はいずれも公知のものを使用でき、例えば、特開2007-171406、特開2007-206216、特開2007-206217、特開2007-225701、特開2007-225702、特開2007-316582、特開2007-328243に記載の化合物を使用することができる。
連鎖移動剤として作用する化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。
本発明の感光層には、特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンズオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類、等)を連鎖移動剤として好ましく用いることができる。
なかでも、下記一般式(I)で表されるチオール化合物が特に好適に使用される。連鎖移動剤としてこのチオール化合物を用いることによって、臭気の問題、および感光層から蒸発や他の層への拡散による感度減少を回避し、保存安定性に優れ、さらには高感度で高耐刷の平版印刷版原版が得られる。
一般式(I)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表し、AはN=C−N部分と共に炭素原子を有する5員環または6員環のヘテロ環を形成する原子団を表し、Aはさらに置換基を有してもよい。
さらに好ましくは下記一般式(IA)または一般式(IB)で表されるものが使用される。
一般式(IA)および式(IB)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表し、Xはハロゲン原子、アルコキシル基、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表す。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これらのチオール化合物の使用量は感光層の全固形分の質量に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%である。さらに好ましくは1.0〜10質量%である。
<感光層の形成>
本発明の感光層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の感光層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能で
ある。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲内で、良好な感度と感光層の良好な皮膜特性が得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
<保護層>
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、感光層上に保護層(酸素遮断層)が設けられることが好ましい。本発明に用いられる保護層は25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(mL/m2・day)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(mL/m2・day)未満で極端に低い場合は、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。逆に、酸素透過性Aが20(mL/ m2・day)を超えて高すぎる場合は感度の低下を招く。酸素透過性Aは、より好ましくは1.5≦A≦12(mL/m2・day)、更に好ましくは2.0≦A≦10.0(mL/m2・day)の範囲である。また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素透過性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。この様な保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100モル%加水分解され、重合繰り返し単位が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。好ましい態様としてはポリビニルアルコールの保護層中の含有率が20〜95質量%、より好ましくは、30〜90質量%である。
また、公知の変性ポリビニルアルコールも好ましく用いることができる。例えば、カルボキシル基、スルホ基等のアニオンで変性されたアニオン変性部位、アミノ基、アンモニウム基等のカチオンで変性されたカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性
部位等種々の親水性変性部位をランダムに有す各種重合度のポリビニルアルコール、前記のアニオン変性部位、前記のカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位、更にはアルコキシル変性部位、スルフィド変性部位、ビニルアルコールと各種有機酸とのエステル変性部位、前記アニオン変性部位とアルコール類等とのエステル変性部位、エポキシ変性部位等種々の変性部位をポリマー鎖末端に有す各種重合度のポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコールと混合して使用する成分としてはポリビニルピロリドンまたはその変性物が酸素遮断性、現像除去性といった観点から好ましく、保護層中の含有率が3.5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。上記ポリビニルアルコール(PVA)等の(共)重合体の分子量は、2000〜1000万の範囲のものが使用でき、好ましくは2万〜300万範囲のものが適当である。
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を(共)重合体に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を(共)重合体に対して数質量%添加することができる。
また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
さらに、本発明の平版印刷版原版における保護層には、酸素遮断性や感光層表面保護性を向上させる目的で、無機質の層状化合物を含有させることも好ましい。
ここで無機質の層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式
A(B,C)2-5410(OH,F,O)2
〔ただし、AはK,Na,Caの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
本発明においては、上記の無機質の層状化合物の中でも、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性合成雲母が特に有用である。
本発明の無機質の層状化合物のアスペクト比は、好ましくは20以上であり、さらに好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
本発明で使用する無機質の層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の質量比であることが好ましい。
保護層に用いる無機質層状化合物の分散方法は、特開2007-171406、特開2007-206216、特開2007-206217、特開2007-225701、特開2007-225702、特開2007-316582、特開2007-328243等に記載の方法が用いられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.05〜10g/m2 の範囲であることが好ましく、無機質の層状化合物を含有する場合には、0.1〜0.5g/m2の範囲であることがさらに好ましく、無機質の層状化合物を含有しない場合には、0.5〜5g/m2の範囲であることがさらに好ましい。
(支持体)
本発明で使用され得る支持体は、表面が親水性であれば如何なるものでも使用され得るが、寸度的に安定な板状物が好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む。)、亜鉛、銅等のような金属またはその合金(例えばケイ素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルとの合金)の板、更に、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等のようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属または合金がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。これらの支持体のうち、アルミニウム板は寸度的に著しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。通常その厚さは0.05mm〜1mm程度である。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、後述する砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは隔極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ましい。
[砂目立て処理]
砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的砂目立て、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て方法、およびアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法のような機械的砂目立て法を用いることができ、上記砂目立て方法を単独あるいは組み合わせて用いることもできる。
その中でも本発明において有用に使用される表面粗さを作る方法は、塩酸または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化学的方法であり、適する電流密度は100C/dm2〜400C/dm2の範囲である。さらに具体的には、0.1〜50%の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で電解を行うことが好ましい。
このように砂目立て処理されたアルミニウム支持体は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングされる。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造を破壊するのに時間がかかり、工業的に本発明を適用するに際しては不利であるが、アルカリをエッチング剤として用いることにより改善できる。
本発明において好適に用いられるアルカリ剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃であり、アルミニウムの溶解量が5〜20g/m3となるような条件が好ましい。
エッチングの後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が挙げられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度で15〜65質量%の硫酸と接触させる方法、および、特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。
尚、本発明において好ましいアルミニウム支持体の表面粗さ(Ra)は、0.3〜0.7μmである。
[陽極酸化処理]
以上のようにして処理されたアルミニウム支持体は、さらに陽極酸化処理を施してもよい。
陽極酸化処理は、当該技術分野において従来から行われている方法で行うことができる。
具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフォン酸等あるいはこれらの二種以上を組み合わせて、水溶液または非水溶液中でアルミニウムに直流または交流を流すと、アルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜を形成することができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液の濃度が1〜80%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100V、電解時間10〜100秒の範囲が適当である。
これらの陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸中、高電流密度で陽極酸化する方法、および、米国特許第3,511,661号明細書に記載されているリン酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。
本発明においては、陽極酸化皮膜は1〜10g/m2であることが好ましく、1g/m2未満であると版に傷が入りやすく、10g/m2を超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利である。好ましくは、1.5〜7g/m2であり、更に好ましくは、2〜5g/m2である。
更に、本発明においては、支持体は、砂目立て処理および陽極酸化後に、封孔処理を施されてもよい。かかる封孔処理は、熱水および無機塩または有機塩を含む熱水溶液への基板の浸漬並びに水蒸気浴などによって行われる。また本発明で使用される支持体には、アルカリ金属珪酸塩によるシリケート処理以外の処理、たとえば弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理などの表面処理が施されてもよい。
本発明においては、支持体(アルミニウムの場合には、上記の如く適宜表面処理を施されたアルミニウムが好ましい)上に、例えば感光層を塗工し、次いで保護層を塗工することで、平版印刷版原版が形成されるが、感光層を塗工する前に必要に応じて有機または無機の下塗り層を設けてもよいし、特開平7−159983号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理を施してもよい。
有機下塗層を形成する物質としては、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等が挙げられる。
更に具体的には、有機下塗層に用いられる有機化合物としては例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、ポリビニルホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸等の有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニン等のアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、二種以上混合して用いてもよい。
この有機下塗層は次のような方法で設けることが出来る。即ち、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液を支持体上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメタノール、タノール、メチルエチルケトン等の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、支持体を浸漬して上記有機化合物を吸着させ、しかる後、水等によって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布等いずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。
これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウム等の塩基性物質や、塩酸、リン酸等の酸性物質によりpHを調節し、pH1〜12の範囲で使用することもできる。また、光重合型感光性平版印刷版の調子再現性改良のために、黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2より少ないと十分な耐刷性が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
また、無機下塗り層に用いられる物質としては、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、フッ化チタン酸カリウム等の無機塩等が挙げられ、この無機下塗り層の設け方は、上記した有機下塗り層と同様である。
〔バックコート層〕
支持体に表面処理を施した後または下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 4 、Si(OC2 5 4 、Si(OC3 7 4 、Si(OC4 9 4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
〔現像処理液〕
本発明の平版印刷版用現像処理液(以下、単に処理液とも称する)は、窒素原子含有の界面活性剤を含み、pH2.0〜8.0であるものが好ましい。
窒素原子含有の界面活性剤としては、下記式<3>〜<6>で表されるいずれかの化合物が好ましい。
式<3>中、R8はアルキル基または連結基を含有するアルキル基、R9、R10は、Hまたはアルキル基を表し、R11はアルキレン基または置換基を含有するアルキレン基を表し、Aは、カルボン酸イオンを含有する基である。
式<4>中、R12は、H、アルキル基または連結基を含有するアルキル基を表し、R13、R14はアルキレン基、置換基を含有するアルキレン基またはポリアルキレンオキシド基を表し、B、Cは、ヒドロキシル基、カルボン酸基、カルボン酸塩を含有する基である。
式<5>中、R15、R16は、H、アルキル基または連結基を含有するアルキル基を表し、R17はアルキレン基または置換基を含有するアルキレン基を表し、Dはカルボン酸基、カルボン酸塩を含有する基である。
式<6>中、R18、R19、R20は、Hまたはアルキル基を表す。
上記式<3>に該当する化合物において、R8はアルキル基または連結基を含有するアルキル基、R9、R10は、Hまたはアルキル基を表し、R11はアルキレン基または置換基を含有するアルキレン基を表し、Aは、カルボン酸イオンを含有する基である。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好
ましい。また、置換基としては、ヒドロキシル基などが好ましい。
化合物<3>において、総炭素数値が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の現像液への溶解が困難となる。この場合、溶解を助ける有機溶剤、アルコール等の溶解助剤を水に混合することにより、良化はするが、総炭素数値が大きくなりすぎた場合、適正混合範囲内で界面活性剤を溶解することはできない。従って、R8〜R11の炭素数の総和は好ましくは、8〜25であり、より好ましくは11〜21であり、特に好ましくは13〜15である。
ここで、上述したR8〜R11がアルキル基である場合、その構造は直鎖であってもよく、分枝であっても構わない。
これらの化合物(界面活性剤)中のR8〜R11の炭素数は、感光層に用いる材料、とりわけバインダーの影響をうける。親水度の高いバインダーの場合、R8〜R11の炭素数は比較的小さいものが好ましい傾向にあり、用いるバインダーの親水度の低いものは、R8〜R11の炭素数の大きいものが好ましい。
上記式<4>に該当する化合物において、R12は、H、アルキル基または連結基を含有するアルキル基を表し、R13、R14はアルキレン基、置換基を含有するアルキレン基またはポリアルキレンオキシド基を表し、B、Cは、ヒドロキシル基、カルボン酸基、カルボン酸塩を含有する基である。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好ましい。また、置換基としては、ヒドロキシル基などが好ましい。
化合物<4>において、総炭素数値が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の現像液への溶解が困難となる。この場合、溶解を助ける有機溶剤、アルコール等の溶解助剤を水に混合することにより、良化はするが、総炭素数値が大きくなりすぎた場合、適正混合範囲内で界面活性剤を溶解することはできない。従って、式<4>中、R13、R14がアルキレン基の場合、R12〜R14の炭素数の総和は好ましくは、8〜25であり、より好ましくは11〜22であり、特に好ましくは14〜16である。式<4>中、R13、R14がポリアルキレンオキシド基である場合、その繰り返し単位数を表すm、nについては2〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。
ここで、上述したR12〜R14がアルキル基である場合、その構造は直鎖であってもよく、分枝であっても構わない。
これらの化合物(界面活性剤)中のR12〜R14の炭素数は、感光層に用いる材料、とりわけバインダーの影響をうける。親水度の高いバインダーの場合、R12〜R14の炭素数は比較的小さいものが好ましい傾向にあり、用いるバインダーの親水度の低いものは、R12〜R14の炭素数の大きいものが好ましい。アルキレンオキサイドの数を表すm、nについては、大きくなると親水度が高まり、水中での安定性が高まる。m、nは同数でも良いし、異なる数でも構わない。
上記式<5>に該当する化合物において、R15、R16は、H、アルキル基または連結基を含有するアルキル基を表し、R17はアルキレン基または連結基を含有するアルキレン基を表し、Dはカルボン酸基、カルボン酸塩を含有する基である。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好ましい。また、置換基としては、ヒドロキシル基などが好ましい。
化合物<5>において、総炭素数値が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の現像液への溶解が困難となる。この場合、溶解を助ける有機溶剤、アルコール等の溶解助剤を水に混合することにより、良化はするが、総炭素数値が大きくなりすぎた場合、適正混合範囲内で界面活性剤を溶解することはできない。従って、R15〜R17の炭素数の総和は、好ましくは8〜30であり、より好ましくは9〜23である。特に好ましくは12〜14である。
ここで、上述したR15〜R17がアルキル基である場合、その構造は直鎖であってもよく、分枝であっても構わない。
これらの化合物(界面活性剤)中のR15〜R17の炭素数は、感光層に用いる材料、とりわけバインダーの影響をうける。親水度の高いバインダーの場合、R8〜R11の炭素数は比較的小さいものが好ましい傾向にあり、用いるバインダーの親水度の低いものは、R15〜R17の炭素数の大きいものが好ましい。
上記式<6>に該当する化合物において、R18、R19、R20は、Hまたはアルキル基を表す。
化合物<6>において、総炭素数値が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の現像液への溶解が困難となる。この場合、溶解を助ける有機溶剤、アルコール等の溶解助剤を水に混合することにより、良化はするが、総炭素数値が大きくなりすぎた場合、適正混合範囲内で界面活性剤を溶解することはできない。従って、R18〜R20の炭素数の総和は好ましくは、8〜22であり、より好ましくは10〜20であり、特に好ましくは12〜14である。
ここで、上述したR18〜R20がアルキル基である場合、その構造は直鎖であってもよく、分枝であっても構わない。
これらの化合物(界面活性剤)中のR18〜R20の炭素数は、感光層に用いる材料、とりわけバインダーの影響をうける。親水度の高いバインダーの場合、R18〜R20の炭素数は比較的小さいものが好ましい傾向にあり、用いるバインダーの親水度の低いものは、R18〜R20の炭素数の大きいものが好ましい。
上記式<3>〜<6>で表される化合物(以下、界面活性剤とも称する)としては、特に限定されないが、下記に代表的なものを示す。
以上の界面活性剤は、通常、本発明の現像処理液中で、総量が2質量%で効果を発現す
るが、界面活性剤の種類によっては許容レベルであって、満足レベルでない場合もある。好ましくは5質量%以上の添加量が必要である。また、界面活性剤濃度(有効成分濃度)が20質量%を越えると、実施には現像浴にこれを用いた場合には、部材が侵され、装置故障の原因となる事がある。従って、有効成分濃度は20質量%以下にするのが好ましい。
本発明の現像処理液には、上記特定の界面活性剤の他に水溶性高分子化合物(ガム成分)を含有することができ、現像処理と同時に、不感脂化処理を行うことができる。勿論、水溶性高分子化合物を含有させない液で感材を現像し、その後、前述した水溶性高分子水溶液にて不感脂化処理を施しても良い。
ここで、用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記大豆多糖類としては、従来知られているものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
上記変性澱粉としては、下記一般式(III)で示されるものが好ましい。一般式(III)で示される澱粉としては、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等のいずれの澱粉も使用できる。これらの澱粉の変性は、酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
(式中、エーテル化度(置換度)はグルコース単位当たり0.05〜1.2の範囲で、nは
3〜30の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。)
上記水溶性高分子化合物の中でも特に好ましいものとして、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の処理液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明において、水溶性高分子化合物は、上記特定の界面活性剤を含有する特定pHの現像処理液に含有して現像処理と同時に、不感脂化処理を行うことができる。また、さらに不感脂化処理を確実にするため、この現像処理液による現像処理後に該水溶性高分子化合物を含有する水溶液と接触させて用いてもよい。
本発明の処理液には上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等が好適に用いられる。これらの湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。一般に、上記湿潤剤は処理液の全質量に基づいて0.1〜5質量%の量で使用される。
防腐剤としては、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 、ベンズトリアゾール誘導体、
アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。
防腐剤の添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用時の処理液に対して0.01〜4質量
%の範囲が好ましく、また種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。
これらキレート剤は処理液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量としては使用時の処理液に対して0.001〜1.0質量%が好適である。
消泡剤としては一般的なシリコン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、界面活性剤ノニオン系のHLBの5以下等の化合物を使用することができる。シリコン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型および可溶化等がいずれも使用できる。
消泡剤の含有量は、使用時の処理液に対して0.001〜1.0質量%の範囲が好適であ
る。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形で用いることもできる。有機酸の含有量は処理液の全質量に基づいて0.01〜0.5質量%の量が好ましい。
含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能であり、現像液に、有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
無機酸および無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。無機塩の含有量は処理液の全質量に基づいて0.01〜0.5質量%の量が好ましい。
本発明で用いられる処理液は、必要に応じて上記各成分を水に溶解または分散することによって得られる。処理剤の固形分濃度は、好ましくは2〜25質量%である。濃縮液を作っておいて、使用時に水で希釈して用いることもできる。
本発明で用いられる処理液のpHは現像性の観点から、2.0〜8.0が許容レベルであって、満足レベルでない場合もある。好ましくは2.0〜7.0、より好ましくは3.0〜6.0、特に好ましくは3.0〜5.0である。
本発明の平版印刷版原版に上記処理剤を接触させる方法としては、手処理、浸漬処理および水平搬送処理等の機械による処理などが挙げられる。
露光された平版印刷版原版は、現像に先立って設けられたプレヒート部で加熱される。
プレヒート部には露光後1分以内に挿入され、加熱されることが好ましく、加熱温度は一般には50〜150℃である。
プレヒート後には、プレ水洗を設け、版を冷却すると共に、保護層の除去が行われる。
以上に述べたプレヒート、及びプレ水洗、後述する現像は、露光用セッターと連結され処理される事が多い。勿論、連結される事に限定されず、切り離した状態で使用しても良い。
以上、プレヒート、プレ水洗について述べたが、この2つの過程を省略した仕様形態もある。これらの過程を省略する事で、処理はシンプルになる。省略の仕方は、材料の性能との兼ね合いになるが、双方、もしくは何れか1方を省略する場合がある。
次に、現像について説明する。手処理の場合は、例えば、スポンジや脱脂綿に十分水溶液を含ませ、版面全体を擦りながら処理し、処理終了後は十分に水洗する方法がある。浸漬処理の場合は、例えば、平版印刷版原版を水溶液の入ったバットや深タンクに約60秒浸して撹拌した後、脱脂綿やスポンジなどで擦りながら十分水洗する方法がある。
現像処理には、本発明の現像方法に従い、構造の簡素化、工程を簡略化した装置が用いられる。従来のアルカリ現像システムに比して、空気中の2酸化炭素の影響を受ける事が少なくなるため、空気と液の密閉度を下げる事ができる。この他、現像と同時に不感脂化処理を行う場合、従来の様な現像の後に水洗、不感脂化処理の工程を必ずしも設ける必要は無く、1浴、多くとも2浴の槽を設ければ十分となる。また、仮に水溶性樹脂等の不感脂化剤を入れないとしても、水洗をなしとして、その後の工程で従来のガム液等により、不感脂化処理を行えば、従来のシステムと同様の性能が得られる。更に、水溶性樹脂等の不感脂化剤を入れない現像液を1液で1浴のみに設け、従来のシステムに比して、表面の保護、不感脂化性は落ちるが、印刷する事は可能であるため、簡易処理としてシステム化することも可能である。即ち、この場合でも2浴設けてやれば、システムを構築できる事になる。この事により、装置コストを下げられ、尚且つこれまでの装置に要していたスペースよりも遥かに小さなスペースで装置を設置する事ができる。更にこれまで処理に用いていた自現機(プレヒート、プレ水洗、現像、水洗、フィニシング工程<ガム引き>)に上述した材料を適用する事もできる。この場合は、現像工程とフィニッシング工程に同じ処理液を使用してもよいが、現像工程に用いる処理液をよりシンプルに設計する事ができる。即ち、水溶性樹脂等の不感脂化剤を入れない現像液を1液で1浴のみに設け、フィニッシング浴には、従来使用していたフィニッシング液(ガム液)を用いる構成である。以上のような構成とする事で、従来使用していた自現機に処理液を適用でき、有効に設備を使用することができる。
一般に、現像処理では、擦り部材は必要不可欠なため、感光層非画像部を除去する現像浴には、ブラシ等の擦り部材が設置される。
本発明に用いられる界面活性剤では、ブラシ等の擦り部材への負荷が大きく軽減される。通常、低アルカリ〜酸性領域の現像液では、非画像部感光層を除去するために強いこすり条件にて、現像しないと非画像部は除去されない。しかしながら、本発明に用いられる界面活性剤を用いた現像液では、通常のアルカリ現像で用いる擦り部材と同程度のもので、かつ同程度の擦り条件(回転数、ブラシ圧)にて現像が可能となる。
勿論、従来PS版およびCTPプレート用に知られているガムコーターや自動現像機も本システムに用いることができる。従来の自動現像機を用いる場合、例えば、現像槽に仕込んだ処理液をポンプで汲み上げてスプレーノズルから吹き付けて処理する方式、処理液が満たされた槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方式、実質的に未使用の処理液を一版毎に必要な分だけ供給して処理するいわゆる使い捨て処理方式のいずれの方式も適用できる。どの方式においても、ブラシやモルトンなどによるこすり機構があるものがより好ましい。また、レーザー露光部と自動現像機部分とが一体
に組み込まれた装置を利用することもできる。
その他、本発明の平版印刷版原版からの平版印刷版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、該感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は100〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
上記の現像処理に先立って、平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光される。
望ましい光源の波長は350nmから450nm又は700nmから1200nmの波長が好ましく用いられる。350nmから450nmの場合は、この領域に吸収極大を有する増感色素を感光層に有する平版印刷版原版が用いられ、700nmから1200nmの場合は、この領域に吸収を有する増感色素である赤外線吸収剤を含有する平版印刷版原版が用いられる。350nmから450nmの光源としては、半導体レーザーが好適である。700nmから1200nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。
露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、ポリマーについて、繰り返し単位の比はモル比率である。
[支持体作製例]
(支持体1:陽極酸化アルミニウム支持体)
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で
、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)陽極酸化処理
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電極部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
(i)10秒間にわたり4g/lのポリビニルホスホン酸を含有する40℃の溶液を用いて後処理し、20℃の脱塩水で2秒間にわたりすすぎそして乾燥した。
上記(a)〜(h)工程を順に実施したものを支持体1、(a)工程のみ行わなかったものを支持体2、(a)及び(g)工程を行わなかったものを支持体3とした。各支持体
の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、支持体1は0.52μm、支持体2は0.28μm、支持体3は0.25μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
支持体1〜3を作成後、更に(i)工程を行ったものをそれぞれ支持体4〜6とした。
上記支持体1〜3に下記の下塗り液1を、バーコーターを用いて乾燥塗布量11mg/m2となるよう、塗布し、80℃で10秒間乾燥したものをそれぞれ支持体7〜9とした。
〔下塗り液1〕
ポリマー(SP1)(質量平均分子量:80000) 1.79g
純水 100.0g
メタノール 900.0g
上記支持体1〜3に下記の下塗り液2を、バーコーターを用いて乾燥塗布量10mg/m2となるよう、塗布したあと80℃で10秒間乾燥したものをそれぞれ支持体10〜12とした。
〔下塗り液2〕
ポリマー(SP2)(質量平均分子量:88000) 1.63g
純水 100.0g
メタノール 900.0g
[感光層用塗布液作製例]
本実施例では、下記の感光層用塗布液1〜3のいずれかを使用した。以下、説明する。
下記組成の感光層用塗布液1を乾燥塗布質量が1.4g/m 2 となるように支持体上に塗布し、100℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
<感光層用塗布液1>
重合性化合物(M−1) 3.6 質量部
バインダーポリマー(表1に記載の化合物) 2.4 質量部
増感色素(D−1) 0.32質量部
重合開始剤(I−1) 0.61質量部
連鎖移動剤(S−2) 0.57質量部
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩 0.020質量部
ε―フタロシアニン分散物 0.71質量部
フッ素系界面活性剤(F−1) 0.016質量部
メチルエチルケトン 47質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 45質量部
重合性化合物とバンダーポリマーの質量比を変更したときは、6質量部の中で質量比を変更した。
下記感光層用塗布液2を調製し、支持体上にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて125℃で34秒間行った。乾燥後の被覆量は1.4g/mであった。
<感光層用塗布液2>
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.038g
・重合開始剤A(S−1) 0.061g
・重合開始剤B(I−2) 0.094g
・メルカプト化合物(E−1) 0.015g
・重合開始剤(M−2) 0.629g
(商品名:A−BPE−4 新中村化学工業(株))
・バインダーポリマー(表1に記載の化合物) 0.419g
・添加剤(T−1) 0.079g
・重合禁止剤(Q−1) 0.0012g
・エチルバイオレット(EV−1) 0.021g
・フッ素系界面活性剤 (F−1) 0.0081g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 5.886g
・メタノール 2.733g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.886g
重合開始剤とバインダーポリマーの質量比を変更したときは、その両者の合計質量1.048gの中で質量比を変更した。
なお、上記感光層用塗布液2に用いた、赤外線吸収剤(IR−1)、重合開始剤A(S
−1)、重合開始剤B(I−2)、メルカプト化合物(E−1)、重合性化合物(M−2)、添加剤(T−1)、重合禁止剤(Q−1)、及びエチルバイオレット(EV−1)の構造を以下に示す。
下記感光層用塗布液3を調製し、支持体上にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行った。乾燥後の被覆量は1.4g/mであった。
<感光層塗布液3>
・上記重合性化合物(M−1) 4.68質量部
・バインダーポリマー(表1に記載の化合物) 3.12質量部
・上記赤外線吸収剤(IR−1) 0.31質量部
・オニウム塩(OS−12) 1.2質量部
・ε―フタロシアニン分散物 0.92質量部
・フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF780
(大日本インキ化学工業(株)製) 0.05質量部
・メチルエチルケトン 62質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 57質量部
重合開始剤とバインダーポリマーの質量比を変更したときは、その両者の合計7.8質量部の中で質量比を変更した。
[保護層用塗布液作製例]
本実施例では、下記の保護層用塗布液1〜3のいずれかを使用し保護層を形成した。以下、説明する。
<保護層用塗布液1>
PVA105(ケン化度98モル%、平均重合度500、クラレ(株)製)
1.80質量部
ポリビニルピロリドン 0.40質量部
EMALEX710(日本乳化剤(株)製ノニオン界面活性剤) 0.04質量部
パイオニンD230(竹本油脂(株)製界面活性剤) 0.05質量部
ルビスコールV64W(BASF社製) 0.06質量部
純水 36.0質量部
からなる保護層用水溶液を乾燥塗布質量が2.5g/m2となるようにバーコーターで塗布し、120℃で1分間乾燥させた。
<保護層用塗布液2>
上記において、保護層用塗布液1のPVA105をゴーセランCKS−50(日本合成化学(株)製、ケン化度:99モル%、平均重合度:300、変性度:約0.4モル%)に変更した以外、保護層用塗布液1と同様に保護層を作製した。
<保護層用塗布液3>
・下記雲母分散液 0.6g
・スルホン酸変性ポリビニルアルコール 0.8g
(ゴーセランCKS−50、日本合成化学(株)製(ケン化度:99モル%、平均重合度:300、変性度:約0.4モル%))
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))(分子量:7万)0.001g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.002g
・水 13g
(雲母分散液の調製)
水368gに合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル社製、アスペクト比:1000以上)32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになる迄分散し、雲母分散液を得た。
以下、保護層用塗布液1と同様に保護層を作製した。
下記表1に示す支持体、感光層用塗布液、保護層用塗布液の組み合わせによって、平版印刷版原版1〜17を得た。この平版印刷版原版1〜17について、下記の評価を行なった。結果を表1に併せて示す。なお、使用したバインダーポリマーの構造は表2に示す。
<バインダーポリマー(B−2)の合成>
コンデンサーおよび攪拌機を取り付けた500mL三口フラスコに、MEK 56g、ポリプロピレングリコール(平均分子量1000)20.00g、3-(N,N-ジエチルアミノ)-1,2-プロパンジオール7.36g、ブレンマーGLM(日本油脂社製)4.81g、4,4’-ジイソシアン酸メチレンジフェニル20.62g、ジイソシアン酸ヘキサメチレン3.46g、2,5-ジ-tert-ブチルベンゾキノン0.0442gを導入し、反応液を50℃とし、均一溶液とした。該反応溶液にネオスタン(日東化成(株)製:ビスマス触媒)を2滴追加し、70℃、2時間反応させた。反応溶液にメタノール3.00gを投入し、反応をクエンチした後、MEK75g、MFG94g、およびカンファースルホン酸11.62gを添加した。反応溶液を水10Lにあけ、ポリウレタンを析出させた。これを濾取。洗浄、乾燥し、バインダーポリマー(PB−71)を得た。目的物であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、GPCから確認した。
<耐刷性の評価>
平版印刷版を、(株)小森コーポレーション社製印刷機リスロンに取り付け、湿し水(E U−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、耐刷性を評価した。
<露光>
90μJ/cmの露光量で、解像度2438dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数を表す)で、露光を行った。
露光パターンは50%のスクエアドットを使用し、露光装置にはFUJIFILM Electronic Imaging Ltd製Violet半導体レーザーVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm発光/出力30mW)を使用した。
網点面積は、SDG(株)製CCdotを用いて測定し、感度の指標とした。
なお、感光層塗布液2または3を使用した場合、露光は、水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で画像様露光を行った。
<現像>
露光後の平版印刷版原版を、100℃、30秒間のプレヒートを行った後、図1に示すような自動現像処理機を用いて平版印刷版原版を現像処理した。現像液107の液温は30℃に保ち、平版印刷版原版104が現像槽106入口の搬送ローラ対108から搬入されて、現像槽106出口の搬送ローラ対108から搬出されるまでの通過時間が15秒となるように搬送ローラの駆動速度を設定した。また、擦り部材112として回転軸を中心に回転する部材を用い、その回転方向を搬送方向に対して順転方向に駆動するよう設定した。また、擦り部材112の外径はφ50mmとした。現像槽106から搬出された平版印刷版原版は自然乾燥により乾燥させた。
なお、感光層塗布液2または3を使用した場合、100℃、30秒間のプレヒートは行なわなかった。
<現像液>
・水 100g
・竹本油脂(株)製パイオニンC157K 10g
・アラビアガム(Mw=25万) 1g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
・エチレンジアミンテトラ酢酸4ナトリウム塩 0.05g
pH=4.5
<保存安定性の評価>
未露光の平版印刷版原版を60℃/湿度50%の条件で3日間放置したのち、露光、現像し、平版印刷版を得た。
上記と同様の方法で網点面積を測定し、放置前の網点面積との差を算出し、保存安定性の指標とした。
放置前後の差の数値が絶対値で小さいほど(0に近いほど)保存性が良好であることを表す。
なお、Tg測定条件は以下のとおりである。
動的粘弾性により、25℃にて測定。
機器:SII(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社)社製 DMS6100、周波数1Hz時のtanδのピークトップをTgとした。
実施例で使用した自動現像処理機の構造を示す説明図である。
符号の説明
104 平版印刷版原版
106 現像槽
107 現像液
108 搬送ローラ
112 回転ブラシ

Claims (7)

  1. 支持体上に、(A)重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)バインダーポリマーおよび(D)増感色素を含有する画像記録層を有する感光性平版印刷版において、前記(C)バインダーポリマーが、側鎖にアミノ基および/またはアンモニウム塩を有する構造であり、かつ、前記(C)バインダーポリマーのTg(ガラス転移温度)が50℃以上であることを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 前記(B)重合性化合物と(C)バインダーポリマーとの質量比((B)/(C))が1.5以上であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記(C)バインダーポリマーが主鎖にウレタン結合を有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版原版を、画像様露光により露光部の画像記録層を硬化させた後、pH2.0〜8.0の現像処理液にて現像を行う平版印刷版の製版方法。
  5. 前記現像工程が、1液処理であることを特徴とする請求項4に記載の平版印刷版の製版方法。
  6. 前記現像工程が、1浴処理であることを特徴とする請求項4または5に記載の平版印刷版の製版方法。
  7. 前記現像処理液が、ガム成分を含有することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の平版印刷版の製版方法。
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