JP2008249851A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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Abstract

【課題】赤外線レーザーによる書き込みが可能であり、感光層の重合阻害を抑制し、現像除去性に優れ、更に、平版印刷版原版を積層した場合にも、感光層側最表面と、隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着が抑制され、また、感光層表面とアルミニウム支持体裏面との間で生じるこすりキズの発生を抑制しうる平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】粗面化されたアルミニウム支持体の片面に、(A)赤外線吸収剤、(B)ボレート化合物、(C)ラジカル重合開始剤、(D)不飽和エチレン性二重結合を有する重合性化合物、(E)バインダーポリマー、及び(F)ポリマー微粒子を含有する感光層を有し、前記粗面化されたアルミニウム支持体の感光層非形成面に、有機高分子化合物を含有するバックコート層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
【選択図】なし

Description

本発明は、赤外線レーザー光での直接描画、高速製版可能なネガ型の平版印刷版原版、及びその製造方法に関する。
従来、平版印刷版原版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。近年、画像情報をコンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、デジタル化技術が広く普及してきている。そして、そのようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すこと無く、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版原版としては、親水性支持体上にレーザー露光によりラジカルやブレンステッド酸などの活性種を発生しうる感光性化合物を含有した親油性感光性樹脂層(以下、感光層ともいう)を設けた構成が提案され、既に上市されている。この平版印刷版原版をデジタル情報に基づきレーザー走査し活性種を発生せしめ、その作用によって感光層に物理的、或いは化学的な変化を起こし不溶化させ、引き続き現像処理することによってネガ型の平版印刷版を得ることができる。
特に、親水性支持体上に、感光スピードに優れる光重合開始剤、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、及びアルカリ現像液に可溶なバインダーポリマーを含有する光重合型の感光層、並びに必要に応じて酸素遮断性の保護層を設けた平版印刷版原版(例えば、特許文献1参照)は、生産性に優れ、更に現像処理が簡便であり、解像度や着肉性もよいといった利点から、望ましい印刷性能を有するものである。
また、より生産性を向上させるため、つまり、製版スピードを向上させるために、特定の構造を有するシアニン色素、ヨードニウム塩及びエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物よりなる光重合性組成物を感光層に用い、画像様露光後の加熱処理を必要としない記録材料が提案されているが(例えば、特許文献2参照。)、この記録材料は、重合反応時に空気中の酸素による重合阻害がおこり、感度の低下や、形成された画像部の強度が不充分であるという問題があった。
この問題に対し、感光層上に水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法、或いは、無機質の層状化合物と水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。これらの保護層の存在により、重合阻害が防止され、感光層の硬化反応が促進され、画像部の強度を向上させることが可能となる。
一方、現像処理が簡便である光重合型の平版印刷版原版の製版作業における生産性としては、露光工程にかかる時間短縮が重要となってくる。露光工程には、通常、原版と原版の間に、原版同士の接着防止機能や、比較的軟らかい保護層の表面がアルミニウム支持体とこすれて生じるキズ防止機能を有する合紙が挿入された積層体として供給される。そのため、露光工程での合紙除去時間が非効率の原因となっていた。この露光工程での効率化を図るためには、原版間に合紙を挿入しない積層体を用いることで、合紙除去の工程を省略すればよく、このことから、平版印刷版原版同士の耐接着性と保護層表面がアルミニウム支持体とこすれて生じるキズについての改良が望まれていた。平版印刷版原版同士の耐接着性の向上に関しては、前述の無機質の層状化合物と水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法が有効であるが、保護層表面がアルミニウム支持体とこすれる場合には、むしろキズつき易くなる。
以上のことより、感光層の重合阻害を抑制し、原版間に合紙を挿入しない積層体を用いても、平版印刷版原版同士の耐接着性と保護層表面がアルミニウム支持体とこすれて生じるキズが改良された、製版作業における生産性を向上しうる平版印刷版原版が望まれていた。
一方、ネガ型CTPシステムにおいて、感光層にポリマー微粒子を添加し耐傷性、耐ブロッキング性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)。しかしながら合紙なしでアルミ支持体裏面と直接接触させて集積した場合、ポリマー微粒子の変形、割れ、抜けが発生し充分な耐ブロッキング性を確保することが困難である事が分かった。又、集積時の過重によりポリマー微粒子が感光層中で移動し物理的皮膜破壊を引き起こすことで露光後の画像部の硬化が不十分となり、現像過程で溶解してしまい、ピンホール状の抜けが発生してしまうなど問題があった。
特開平10−228109号公報 特公平7−103171号公報 特開平11−38633号公報 特開2005−275031号公報 特開2006−215119号公報 特表2006−516758号公報
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、赤外線レーザーによる書き込みが可能であり、製版作業における生産性を向上しうる平版印刷版原版を提供することにある。
より具体的には、本発明の目的は、赤外線レーザーによる書き込みが可能であり、感光層の重合阻害を抑制し、現像除去性に優れ、更に、平版印刷版原版を積層した場合にも、感光層側最表面と、隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着が抑制され、また、感光層表面とアルミニウム支持体裏面との間で生じるこすりキズの発生を抑制しうる平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリマー微粒子及びボレート化合物を含んでなる感光層と、特定の樹脂を含有するバックコート層とを設けることで、上記目的が達成されることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> 粗面化されたアルミニウム支持体の片面に、(A)赤外線吸収剤、(B)ボレート化合物、(C)ラジカル重合開始剤、(D)不飽和エチレン性二重結合を有する重合性化合物、(E)バインダーポリマー、及び(F)ポリマー微粒子を含有する感光層を有し、前記粗面化されたアルミニウム支持体の感光層非形成面に、有機高分子化合物を含有するバックコート層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
<2> 前記(C)ラジカル重合開始剤が、オニウム塩であることを特徴とする<1>に記載の平版印刷版原版。
<3> 前記有機高分子化合物が、軟化点が70℃以上である有機高分子化合物からなることを特徴とする<1>又は<2>に記載の平版印刷版原版。
<4> 前記バックコート層が、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする<1>〜<3>の何れか1つに記載の平版印刷版原版。
<5> 前記(F)ポリマー微粒子が、シリカ被覆微粒子であることを特徴とする<1>〜<4>の何れか1つに記載の平版印刷版原版。
<6> 前記(E)バインダーポリマーが、アクリル樹脂又はウレタン樹脂を含有することを特徴とする<1>〜<5>の何れか1つに記載の平版印刷版原版。
<7> 前記感光層が最表面を形成することを特徴とする<1>〜<6>の何れか1つに記載の平版印刷版原版。
本発明によれば、赤外線レーザーによる書き込みが可能な平版印刷版原版であって、製版作業における生産性を向上しうる平版印刷版原版を提供することができる。
より具体的には、本発明によれば、赤外線レーザーによる書き込みが可能であり、感光層の重合阻害を抑制し、現像除去性に優れ、更に、平版印刷版原版を積層した場合にも、感光層側最表面と、隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着が抑制され、また、感光層表面とアルミニウム支持体裏面との間で生じるこすりキズの発生を抑制しうる平版印刷版原版を提供することができる。
<平版印刷版原版>
本発明の平版印刷版原版は、粗面化されたアルミニウム支持体の片面に、(A)赤外線吸収剤、(B)ボレート化合物、(C)ラジカル重合開始剤、(D)不飽和エチレン性二重結合を有する重合性化合物、(E)バインダーポリマー、及び(F)ポリマー微粒子を含有する感光層を有し、前記粗面化されたアルミニウム支持体の感光層非形成面に、有機高分子化合物を含有するバックコート層を有することを特徴とする。
<感光層>
本発明に係る平版印刷版原版の感光層は、必須成分として、(A)赤外線吸収剤、(B)ボレート化合物、(C)ラジカル重合開始剤、(D)不飽和エチレン性二重結合を有する重合性化合物、(E)バインダーポリマー、及び(F)ポリマー微粒子を含有し、更に必要に応じて、着色剤や他の任意成分を含む重合性ネガ型の感光層であり、粗面化されたアルミニウム支持体上に形成される。
以下に、本発明に係る感光層を構成する各成分について説明する。
本発明における重合性ネガ型の感光層は、赤外光に感応するため、CTPに有用な赤外線レーザーに感光することができる。ここに含まれる赤外線吸収剤は、赤外線レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、感光層中に併存する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に化学変化を生起させてラジカルを生成させる。
ラジカルの生成機構としては、1.赤外線吸収剤の光熱変換機能により発生した熱が、後述する重合開始剤(例えば、スルホニウム塩)を熱分解しラジカルを発生させる、2.赤外線吸収剤が発生した励起電子が、重合開始剤(例えば、活性ハロゲン化合物)に移動しラジカルをさせる、3.励起した赤外線吸収剤に重合開始剤(例えば、ボレート化合物)から電子移動してラジカルが発生する、等が挙げられる。そして、生成したラジカルにより重合性化合物が重合反応を起こし、露光部が硬化して画像部となる。
以下、感光層を構成するこれらの各構成要素について説明する。
((F)ポリマー微粒子)
本発明におけるポリマー微粒子は、感光層側最表面と、隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着を抑制し、また、感光層表面とアルミニウム支持体裏面との間で生じるこすりキズを抑制する、つまりマット剤として働かせるために添加するものである。このような、マット剤として働く微粒子に望まれる基本的特性は、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、空気中の湿分や、温度によって、軟化したり、ベトついたりする事が無い、感光層表面に適当な、凹凸を付与し、接着表面積を減少させるものが好ましい。
また、こすりキズ抑制の観点からは、ポリマー微粒子は、硬いアルミニウム面とこすれた時に生じる応力を緩和できるものが好ましい。ポリマー微粒子の粒径は、平均粒径が2.0μm〜15μmが好ましく、より好ましくは3.0μm〜12μmである。ポリマー微粒子の粒径の分布は、単分散でも多分散でもよいが、単分散が好ましい。このような特性を備えた、ポリマー微粒子を構成する有機樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリスチレン及びその誘導体、ポリアミド類、ポリイミド類、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、などのポリオレフィン類、及びそれらとポリビニルアルコールとの共重合体、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル類などの合成樹脂粒子、及びキチン、キトサン、セルロース、架橋澱粉、架橋セルロース等の天然高分子微粒子が挙げられる。中でも、合成樹脂微粒子は、粒子サイズ制御の容易さや、表面改質により所望の表面特性を制御し易いなどの利点がある。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」等の記載は、「アクリル」及び「メタクリル」等を意味するものとする。
ポリマー微粒子を構成する合成樹脂は、耐荷重性の点で、硬度が0.01〜0.50GPaであることが好ましく、0.05〜0.30GPaであることがより好ましい。
更に、製造安定性付与の点で、軟化点が40〜400℃であることが好ましく、60〜300℃であることがより好ましい。
上述のような有機樹脂により構成されるポリマー微粒子(有機樹脂微粒子)の製造方法は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類のような比較的に硬い樹脂では、破砕法による微粒子化も可能であるが、乳化・懸濁重合法により粒子を合成する方法が、粒子径制御の容易性、精度から現在主流に採用されている。これらポリマー微粒子の製造方法は、「超微粒子と材料」日本材料科学会編、裳華房1993年発刊、「微粒子・粉体の作製と応用」川口春馬監修、シーエムシー出版2005年発刊等に詳細に記載されている。
これら有機樹脂微粒子の市販品としては、綜研化学株式会社製架橋アクリル樹脂MX−300、MX−500、MX−1000、MX−1500H、MR−2HG、MR−7HG,MR−10HG、MR−3GSN、MR−5GSN、MR−7G、MR−10G、MR−5C、MR−7GC、スチリル樹脂系のSX−350H、SX−500H、積水化成品工業製アクリル樹脂、MBX−5、MBX−8、MBX−12MBX−15、MBX−20,MB20X−5、MB30X−5、MB30X−8、MB30X−20、SBX−6、SBX−8、SBX−12、SBX−17三井化学製ポリオレフィン樹脂、ケミパールW100、W200、W300、W308、W310、W400、W401、W405、W410、W500、WF640、W700、W800、W900、W950、WP100などが挙げられる。
これらのポリマー微粒子は、粉体で供給されるものは、ホモジナイザーや、ホモミキサー、ボールミル、ペイントシェーカーなどの簡易な分散機により分散する。このとき必要により界面活性剤を加え、分散する。界面活性剤を加え、分散した微粒子はより安定化する。
上記の分散に用いる界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、何れも使用可能である。ノニオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルエステル類、ポリエチレングリコールアリールエーテル類などが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキルまたはアリールスルホン酸塩型、アルキルまたはアリール硫酸エステル塩型、アルキルまたはアリールリン酸塩エステル型、アルキルまたはアリールカルボン酸塩型の界面活性剤が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩型、アルキルピリジニウム塩型、アルキルアンモニウム塩型界面活性剤が挙げられる。これら界面活性剤の更に多くの具体例については「最新・界面活性剤の機能創製・素材開発・応用技術」堀内照夫、鈴木敏幸編集 技術教育出版社に記載されるものを挙げることができる。
本発明におけるポリマー微粒子としては、シリカ成分を含有するものであることが好ましく、中でも、ポリマー微粒子の表面の一部がシリカ層で被覆されたシリカ被覆微粒子であることが特に好ましい。ポリマー微粒子の表面の少なくとも一部にシリカが存在することで、ポリマー微粒子と、後述する(E)バインダーポリマーとの親和性向上が達成され、保護層に対して外部応力を受けた場合でも有機樹脂微粒子の脱落が抑制され、優れた耐傷性、耐接着性を維持することができる。
尚、本発明における「シリカ被覆」とは、上述のようにポリマー微粒子の表面の少なくとも一部にシリカが存在する状態を包含するものとする。
本発明に係るポリマー微粒子がシリカ被覆微粒子の場合、コアとなるポリマー微粒子を構成する有機樹脂としては、先に述べたようなポリマー微粒子に求められる物性を有する有機樹脂であれば制限なく使用することができ、具体的には、例えば、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポシキ系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
中でも、本発明の平版印刷版原版が保護層を有する場合、該保護層の好ましいバインダーであるポリビニルアルコールとの親和性の観点から、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びメラミン樹脂などが好ましい。
また、ポリマー微粒子表面を被覆するシリカ層を形成する材料としては、アルコキシシロキサン系化合物の縮合物などのアルコキシシリル基を有する化合物、特に、ゾル−ゲル方にて使用するシロキサン系材料、シリカゾル、コロイダルシリカ、シリカナノ粒子などのシリカ微粒子などが好ましく挙げられる。
シリカ被覆微粒子の構成としては、有機樹脂微粒子表面にシリカ微粒子が固体成分として付着しているものであっても、アルコキシシロキサン系化合物を縮合反応させて有機樹脂微粒子表面にシロキサン系化合物層を形成したものであってもよい。
シリカは必ずしも有機樹脂微粒子表面全域を被覆している必要はなく、少なくとも有機樹脂微粒子に対し、0.5質量%以上の量で表面被覆していれば、上述の効果を得ることができる。
シリカの表面被覆状態は、走査型電子顕微鏡(TEM)等による形態観察により確認することができ、また、シリカの被覆量は、蛍光X線分析などの元素分析によりSi原子を検知し、そこに存在するシリカの量を算出することで確認することができる。
本発明におけるシリカ被覆微粒子の製造方法としては特に制限はなく、シリカ微粒子或いはシリカ前駆体化合物を、ポリマー微粒子の原料となるモノマー成分と共存させてポリマー微粒子形成と同時にシリカ表面被覆層を形成させる方法であってもよく、また、ポリマー微粒子を形成した後、シリカ微粒子を物理的に表面に付着させ、その後、固定化する方法をとってもよい。
シリカ被覆微粒子の製造方法の一例を挙げれば、まず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリル酸などの水溶性高分子やリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機系懸濁剤などから適宜選択される懸濁安定剤を含む水中に、シリカと、原料樹脂(より具体的には、前記した有機樹脂を構成する、懸濁重合が可能なモノマー、懸濁架橋が可能なプレポリマー、又は樹脂液などの原料樹脂)と、を添加、攪拌、混合して、シリカと疎水性原料樹脂とを分散させてなる懸濁液を調製する。その際、懸濁安定剤の種類、その濃度、攪拌回転数などを調節することにより、目的の粒径を有するエマルジョン(懸濁液)を形成することができる。
次いで、この懸濁液を加温して反応を開始させ、樹脂原料を、懸濁重合又は懸濁架橋させることにより樹脂粒子を生成させる。このとき、共存するシリカが重合或いは架橋反応により硬化する。特に、その物性に起因してシリカが微粒子表面近傍に、固定化される。その後、これを固液分離し、洗浄により粒子に付着している懸濁安定剤を取り除いて、乾燥させる。これにより、シリカが固定化された所望粒径の略球状のポリマー微粒子が得られる。
このように、懸濁重合、或いは懸濁架橋の際に条件を制御して所望の大きさの樹脂を得ることもできるが、このような制御を厳密に行うことなくシリカ付着有機樹脂微粒子を生成した後、メッシュ濾過法により所望の大きさのシリカ被覆微粒子を得ることもできる。
上述の方法によりシリカ被覆微粒子を製造する際の混合物における原料の好ましい添加量及び製造方法としては、原料樹脂とシリカとの総量が100質量部の場合、まず、分散媒である水200〜800質量部に懸濁安定剤0.1〜20質量部を添加し、十分に溶解又は分散させ、その液中に、前記した100質量部の原料樹脂とシリカとの混合物を投入し、分散粒子が所定の粒度になるように攪拌速度を調整しながら攪拌し、この粒度調整を行った後に液温を30〜90℃に昇温し、1〜8時間反応させればよい。
シリカ被覆微粒子の製造方法については、前記した方法はその一例であり、例えば、特開2002−327036号公報、特開2002−173410号公報、特開2004−307837号公報、及び、特開2006−38246号公報などに詳細に記載された方法も適用することができる。また、ここに記載の方法により得られるシリカ被覆微粒子はいずれも本発明に好適に使用することができる。
また、本発明に使用しうるシリカ被覆微粒子は市販品としても入手可能であり、具体的な例としては、シリカ/メラミン複合微粒子としては、日産化学工業(株)オプトビーズ2000M,オプトビーズ3500M,オプトビーズ6500M,オプトビーズ10500M,オプトビーズ3500S,オプトビーズ6500Sが挙げられる。シリカ/アクリル複合微粒子としては、根上工業(株)アートパールG−200透明,アートパールG−400透明,アートパールG−800透明,アートパールGR−400透明,アートパールGR−600透明,アートパールGR−800透明,アートパールJ−7Pが挙げられる。シリカ/ウレタン複合微粒子としては、根上工業(株)アートパールC−400透明,C−800透明,P−800T,U−600T,U−800T,CF−600T,CF800T,大日精化(株)ダイナミックビーズCN5070D,ダンプラコートTHUが挙げられる。
本発明における感光層には、ポリマー微粒子は1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、ポリマー微粒子とシリカ被覆微粒子を併用してもよい。
以下、本発明のポリマー微粒子の好ましい物性について説明する。
本発明に係るポリマー微粒子(シリカ被覆微粒子)の硬度(H)は、後述する保護層(酸素遮断層)を有する場合、該酸素遮断層の硬度(H)と同じか、低ければ、特に限定されないが、好ましくは、ビーゴ製Multimode AFMにHysitron社製Triboscopeを接続した装置で測定した場合で、0.0005〜0.20GPaであり、より好ましくは0.001〜0.15Gpaであり、最も好ましくは0.003〜0.010Gpaである。
なお、この硬度は、有機樹脂微粒子の材質やシリカ層の被覆量等により、適宜、調整することができる。
本発明に係るポリマー微粒子がシリカ被覆微粒子の場合、好ましい平均粒子径は1〜30μmφであり、更に好ましくは、1.5〜20μmφであり、もっとも好ましくは、2〜15μmφである。該平均粒子径が1〜30μmφであると、十分なスペーサー機能、マット性能を発現することができ、保護層表面への固定化が容易で、外部からの接触応力に対しても優れた保持機能を有する。
ポリマー微粒子の真比重は、0.90から1.30の範囲にあり、平均粒子径が2.0〜15μmであることが好ましく、真比重が、0.90から1.20の範囲にあり、3.0〜12μmであることがより好ましい。
ポリマー微粒子の感光層固形分中の含有量は、1.0質量%〜20質量%が好ましく、2.0質量%〜10質量%がより好ましい。前記ポリマー微粒子の含有量が1.0質量%以上であると、表面マット効果が充分に発現し、接着防止効果や、耐キズ性効果がより向上する。また、20質量%以下であると、感度低下や、感光層表面から粒子が離脱して、故障の原因となることもない。
(A)赤外線吸収剤
本発明の平版印刷版原版は、本発明に係る感光層が、エネルギー移動機能(電子移動)や光熱変換機能などの発現を目的にして、赤外線吸収剤を含有する。
感光層が赤外線吸収剤を含有することにより、750nm〜1400nmの波長を有する赤外線レーザー光での直接描画される製版に特に好適であり、従来の平版印刷版原版に比べ、高い画像形成性を発現することができる。
赤外線吸収剤は、赤外線レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、後述する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に高感度で化学変化を生起させてラジカルを生成させるのに有用である。
本発明において使用される赤外線吸収剤は、750nm〜1400nmの波長に吸収極大を有する染料又は顔料であることが好ましい。
前記染料としては、市販の染料及び例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明における赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2008249851
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2008249851
一般式(a)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、−NPh、X−L又は以下に示す基を表す。ここで、Xは酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、Lは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xaは後述するZaと同様に定義され、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 2008249851
一般式(a)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、RとRとは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar、Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y、Yは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Zaは、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZaは必要ない。好ましいZaは、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例として更に、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
但し、対イオンとして、ハロゲンイオンを含有してないものが特に好ましい。
その他、染料の好ましい例としては、下記に示すジインモニウム色素、アミニウム色素が挙げられる。
Figure 2008249851
本発明において、赤外線吸収剤として使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。この好ましい粒径の範囲において、感光層中における顔料の優れた分散安定性が得られ、均一な感光層が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤は、本発明に係る感光層に用いる場合、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
これらの赤外線吸収剤は、感光層中における均一性や感光層の耐久性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
(C)ラジカル重合開始剤
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は、後述する不飽和エチレン性二重結合を有する重合性化合物の硬化反応を開始、進行させる機能を有し、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤、赤外線吸収剤の励起電子を受容してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤、又は、励起した赤外線吸収剤に電子移動してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤など、エネルギーを付与することでラジカルを生成させるものであればいかなる化合物を用いてもよい。例えば、オニウム塩、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ボレート化合物、トリアジン化合物などが挙げられる。これらは併用してもよい。
本発明ではラジカル重合開始剤として、オニウム塩が好ましく、中でも、ヨードニウム塩及び/又はスルホニウム塩を、後述する(B)ボレート化合物併用して用いることが特に好ましい。
本発明において好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤としては、下記一般式(1)で表されるスルホニウム塩が挙げられる。
Figure 2008249851
一般式(1)中、R11、R12及びR13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z11は、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
以下に、一般式(1)で表されるスルホニウム塩の具体例として、例示化合物[OS−1]〜[OS−12]を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008249851
Figure 2008249851
上記したものの他、特開2002−148790号公報、特開2002−148790号公報、特開2002−350207号公報、特開2002−6482号公報に記載の特定の芳香族スルホニウム塩も好適に用いられる。
本発明においては、上記スルホニウム塩重合開始剤の他にも、他のラジカル重合開始剤(他のラジカル発生剤)を用いることができる。他のラジカル発生剤としては、スルホニウム塩以外の他のオニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物などが挙げられ、中でも、高感度であることから、オニウム塩が好ましい。また、上記のスルホニウム塩重合開始剤を必須成分として、これらの重合開始剤(ラジカル発生剤)を併用することもできる。
本発明において好適に用い得る他のオニウム塩としては、ヨードニウム塩及びジアゾニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。
本発明における他のオニウム塩としては、下記一般式(2)及び(3)で表されるオニウム塩が挙げられる。
Figure 2008249851
一般式(2)中、Ar21とAr22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z21は前記(Z11と同義の対イオンを表す。
一般式(3)中、Ar31は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。(Z31は前記(Z11と同義の対イオンを表す。
以下に、本発明において、好適に用いることのできる一般式(2)で示されるオニウム塩の具体例として、[OI−1]〜[OI−10]を、及び一般式(3)で示されるオニウム塩の具体例として、[ON−1]〜[ON−5]を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
ラジカル重合開始剤のもうひとつの好ましい例としては、トリアジン化合物と後述するボレート系化合物の併用である。
前記トリアジン化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008249851
一般式(4)中、Xはハロゲン原子を表す。Yは−CX、−NH、−NHR32−NR32または−OR32を表す。ここでR32はアルキル基、置換アルキル基、アリール基または置換アリール基を表す。R31は−CX、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基または置換アルケニル基を表す。
一般式(4)で表されるようなトリアジン化合物の具体例としては、たとえば、若林ら著、Bull. Chem. Soc. Japan,42、2924(1969)記載の化合物、たとえば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2′,4′−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。
その他、英国特許1,388,492号明細書記載の化合物、たとえば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、たとえば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン)、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3,337,024号明細書記載の化合物、たとえば、下記例示化合物(T−1)〜(T−8)等を挙げることができる。
Figure 2008249851
Figure 2008249851
また、F. C. Schaefer等によるJ. Org. Chem. 29、1527(1964)記載の化合物、たとえば2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。
さらに特開昭62−58241号記載の化合物、たとえば、例示化合物(T−9)〜(T−14)等を挙げることができる。
Figure 2008249851
さらに、特開平5−281728号記載の化合物、例えば、例示化合物(T−15)〜(T−22)等を挙げることができる。
Figure 2008249851
(B)ボレート化合物
本発明に係る平版印刷版原版の感光層は、ボレート化合物を含有する。好適に用いられるボレート系化合物は、下記一般式(5)で表される化合物である。本発明において、ボレート化合物は、励起色素へ電子注入した後、ラジカルを発生させる電子注入型ラジカル発生剤の機能を有し、既述のラジカル重合開始剤(好ましくはオニウム塩化合物)との併用において、優れた重合開始機能を発現させうる。
Figure 2008249851
一般式(5)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に有機基を表す。但し、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、アルキル基である。Zn+は、n価のカチオンを表し、nは1〜6の整数を表す。
以下、一般式(5)について詳しく説明する。
、R、RおよびRの例としては、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アシル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基および置換アルキニル基、ヘテロ環基が挙げられる。但し、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは置換または非置換のアルキル基である。
、R、RおよびRで表されるアルキル基としては、炭素原子数が1〜20までの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1〜12までの直鎖状、炭素原子数3〜12までの分岐状、ならびに炭素原子数5〜10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基(以下、カルボキシラートと称す)、アルコキシカルボニル基、
アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(allyl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(allyl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(O alkyl))、アリーロキシシリル基(−Si(O allyl))、ヒドロキシシリル基(−Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基などを挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
上述のアシル基(R4aCO−)としては、R4aが水素原子及び上記のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を挙げることができる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、
アリルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルフェニルメチル基、トリクロロメチルカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基及び以下に示す基等を挙げることができる。
Figure 2008249851
アリール基としては1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
置換アリール基は、置換基がアリール基に結合したものであり、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
これらの置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
アルケニル基としては、前記導入可能な置換基において説明したアルケニル基と同様のものを挙げることができる。置換アルケニル基は、置換基がアルケニル基の水素原子と置き換わり結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方、アルケニル基は上述のアルケニル基を用いることができる。好ましい置換アルケニル基の例としては、下記構造で示すもの等を挙げることができる。
Figure 2008249851
アルキニル基としては、前記導入可能な置換基において説明したアルキニル基と同様のものを挙げることができる。置換アルキニル基は、置換基がアルキニル基の水素原子と置き換わり、結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられ、一方、アルキニル基は上述のアルキニル基を用いることができる。
ヘテロ環基とは、ヘテロ環上の水素を1つ除した一価の基及びこの一価の基からさらに水素を1つ除し、上述の置換アルキル基における置換基が結合してできた一価の基(置換ヘテロ環基)である。好ましいヘテロ環の例としては、下記構造で示すものが挙げられる。
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
次に、RとR、RとRが互いに結合して環を形成する場合の例を示す。RとR、RとRが互いに結合して形成する脂肪族環としては、5員環、6員環、7員環及び8員環の脂肪族環を挙げることができ、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環を挙げることができる。
これらはさらに、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していても良く、置換基の例としては、前述の置換アルキル基上の置換基を挙げることができる。また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていても良い。またさらに、この脂肪族環の一部が芳香族環の一部を形成していても良い。
また、n価のカチオンであるZn+の例としては、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、ピリジニウム、キノリニウム、ジアゾニウム、モノホリニウム、テトラゾリウム、アクリジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、オキソスルホニウム、硫黄、酸素、炭素ハロゲニウム、Cu、Ag、Hg、Pd、Fe、Co、Sn、Mo、Cr、Ni、As、Seなどが挙げられ、より好ましくは第4級アンモニウムである。
以下に一般式(5)で表される化合物の好ましい具体例〔(I−1)〜(I−101)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、下記化合物中、(I−38)で表される例示化合物は、化合物(I−34)、テトラメチルアンモニウメチル−トリス(トリメチルシリルメチル)−ボレートおよびテトラメチルアンモニウムジメチルビス(トリメチルシリルメチル)ボレートおよびテトラメチルアンモニウムジメチルビス(トリメチルシリルメチル)ボレートの3:10:1の混合物である。
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
上記のボレート化合物のうち、m−位にフッ素置換されたフェニル基を少なくとも1つ含む化合物がより好ましい。
なお、本発明において用いられるラジカル重合開始剤(ラジカル発生剤)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
既述のラジカル重合開始剤及びボレート化合物の総含有量は、感度及び印刷時の非画像部に汚れの発生の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。
また、本発明におけるボレート化合物の含有量は、感度と白灯下の取扱い性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明における重合開始剤としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合は、例えば、好適に用いられるヨードニウム塩重合開始剤のみを複数種用いてもよいし、ヨードニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用してもよい。
ヨードニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用する場合、その含有比(質量比)としては、100/1〜100/50が好ましく、100/5〜100/25がより好ましい。
また、重合開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
本発明における感光層に、重合開始剤として好ましい、高感度のヨードニウム塩重合開始剤を用いる場合、ラジカル重合反応が効果的に進行し、形成された画像部の強度が非常に高いものとなる。従って、本発明の平版印刷版原版が保護層を有する場合、該保護層の高い酸素遮断機能とあいまって、高い画像部強度を有する平版印刷版を作製することができ、その結果、耐刷性が一層向上する。また、ヨードニウム塩重合開始剤はそれ自体が経時安定性に優れていることから、作製された平版印刷版原版を保存した際にも、所望されない重合反応の発生が効果的に抑制されるという利点をも有することになる。
(D)不飽和エチレン性二重結合を有する重合性化合物
本発明に用いられる不飽和エチレン性二重結合を有する重合性化合物(以下、単に「付加重合性化合物」という場合がある。)は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH・・・一般式
(ただし、R及びRは、H又はCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部、即ち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。
大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、感光層組成物中の他の成分(例えば、バインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させ得ることがある。
また、本発明の平版印刷版原版では、後述の支持体や保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
感光層組成物中の付加重合性化合物の含有量に関しては、感度、相分離の発生、感光層の粘着性、更には、現像液からの析出性の観点から、感光層組成物中の固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは40〜75質量%の範囲で使用される。
また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。その他、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。更に、本発明の平版印刷版原版では、下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
(E)バインダーポリマー
本発明に用いられるバインダーポリマーは、膜性向上の観点から含有されるものであって、膜性を向上させる機能を有していれば、種々のものを使用することがすることができる。中でも、本発明において好適なバインダーポリマーとしては、下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーである。以下、一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを、適宜、特定バインダーポリマーと称し、詳細に説明する。
Figure 2008249851
一般式(i)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR−を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。
まず、一般式(i)におけるRは、水素原子又はメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。
一般式(i)におけるRで表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す総原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。より具体的には、Rで表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(i)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
また、より具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレンなどが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有していてもよい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
この中でも、一般式(i)におけるRで表される連結基は、炭素原子数3から30までの脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものを挙げることができる。また、Rは、置換基を含めて炭素数3から30であることが好ましい。
脂肪族環状構造を構成する化合物の任意の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で、一個以上置き換えられていてもよい。耐刷性の点で、Rは縮合多環脂肪族炭化水素、橋架け環脂肪族炭化水素、スピロ脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素原子数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
で表される連結基としては、特に、連結基の主骨格を構成する原子数が5〜10のものが好ましく、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、
アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl))、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl))、ヒドロキシシリル基(−Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl))、ジアリールボリル基(−B(aryl))、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH))及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
本発明の平版印刷版原版では、感光層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これら置換基は可能であるならば、置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(i)におけるAがNR−である場合のRは、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。このRで表される炭素数1〜10までの一価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
この場合のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。Rが有してもよい置換基としては、Rが導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、Rの炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(i)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
一般式(i)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
以下に、一般式(i)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008249851
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一般式(i)で表される繰り返し単位は、バインダーポリマー中に1種類だけであってもよいし、2種類以上含有していてもよい。本発明に用いられるバインダーポリマーは、一般式(i)で表される繰り返し単位だけからなるポリマーであってもよいが、通常、他の共重合成分と組み合わされ、コポリマーとして使用される。コポリマーにおける一般式(i)で表される繰り返し単位の総含有量は、その構造や、感光層組成物の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜99モル%、より好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは5〜20モル%の範囲で含有される。
コポリマーとして用いる場合の共重合成分としては、ラジカル重合可能なモノマーであれば従来公知のものを制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマー類が挙げられる。このような共重合成分は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
以上のバインダーポリマーの分子量は、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定される。好ましい分子量としては,重量平均分子量として2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000の範囲である。
本発明おいて用いられるバインダーポリマーは、以上の特定バインダーポリマー単独であってもよいし、他のバインダーポリマーを1種以上併用して、混合物として用いてもよい。併用されるバインダーポリマーは、バインダーポリマー成分の総質量に対し1〜60質量%、好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%の範囲で用いられる。併用できるバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダー(アクリル樹脂)や、ウレタンバインダー(ウレタン樹脂)が好ましく用いられる。
感光層組成物中での特定バインダーポリマー及び併用してもよい他のバインダーポリマーの合計量は、適宜決めることができるが、感光層組成物中の不揮発性成分の総質量に対し、通常、10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
また、このようなバインダーポリマーの酸価(meg/g)としては、2.00〜3.60の範囲であることが好ましい。
−併用可能な他のバインダーポリマー−
本発明におけるバインダーポリマーとしては、バインダーポリマーと共に、他のバインダーポリマーを併用して用いることも好ましい態様である。前記併用可能な他のバインダーポリマーは、ラジカル重合性基を有するバインダーポリマー(アクリル樹脂)であることが好ましい。
そのラジカル重合性基としては、ラジカルにより重合することが可能であれば特に限定されないが、α−置換メチルアクリル基[−OC(=O)−C(−CHZ)=CH、Z=ヘテロ原子から始まる炭化水素基]、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基が挙げられ、この中でも、アクリル基、メタクリル基が好ましい。
かかるバインダーポリマー中のラジカル重合性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、感度や保存性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。また、好ましい例としてウレタンバインダーを用いても良い。
また、前記併用可能な他のバインダーポリマーとしては、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているもの、すなわち、側鎖にアリル基、(メタ)アクリロイル基などの架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられる。
更に、前記併用可能
な他のバインダーポリマーとしては、ウレタン樹脂が好ましい。
また、側鎖に上記架橋性基とカルボキシル基を有する、ウレタン樹脂、酸性セルロース誘導体および水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
上記の中でも、(メタ)アクリル酸共重合体およびウレタン樹脂がより好ましい。特に、ウレタン樹脂は、感光層の酸価が低くとも未露光部の現像性を低下させることなく、露光部の現像ダメージを抑制することができ、良好な汚れ性と高い耐刷性を兼ね備えることができる点で好ましい。
以下に、特に好ましい側鎖に架橋性基を有するウレタン樹脂について、さらに詳しく説明する。
前記側鎖に架橋性基を有するウレタン樹脂は、(i)ジイソシアネート化合物、(ii)少なくとも1つのカルボキシル基を有するジオール化合物、(iii)架橋性基を有するジイソシアネート化合物、および必要であれば(iv)カルボキシル基を有さないジオール化合物、を重付加反応させることにより得ることができる。
以下に上記ウレタン樹脂の原料であるジイソシアネート化合物およびジオール化合物について説明する。
(i)ジイソシアネート化合物
ジイソシアネート化合物としては、一般式(6)で表されるジイソシアネート化合物が挙げられる。
OCN−L−NCO 一般式(6)
一般式(6)中、Lは置換基を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。必要に応じ、Lはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド基を有していてもよい。より具体的にはLは、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。また必要に応じ、L中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していてもよい。
Lとしては、具体的に以下に示すものが挙げられる。2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環式ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
ジイソシアネート化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。耐刷性と汚れ性のバランスの点で、2種以上を組み合わせて用いるのが好ましく、芳香族ジイソシアネート化合物(Lが芳香族基)と脂肪族ジイソシアネート化合物(Lが脂肪族基)をそれぞれ少なくとも1種ずつ用いることが特に好ましい。
ジイソシアネートの使用量は、ジオール化合物に対してモル比で好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.9〜1.1である。ジイソシアネート化合物をジオール化合物に対して過剰に用い、ポリマー末端にイソシアネート基が残存するような場合には、ウレタン化反応終了後にアルコール類またはアミン類等で処理することにより、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成されることが好ましい。
(ii)少なくとも1つのカルボキシル基を有するジオール化合物
少なくとも1つのカルボキシル基を有するジオール化合物としては、一般式(7)、(8)、(9)のジオール化合物、および/または、テトラカルボン酸2無水物をジオール化合物で開環させた化合物が挙げられる。カルボン酸2無水物を開環させるために使用されるジオール化合物を使用することができる。
Figure 2008249851
一般式(7)、(8)、(9)において、Rは水素原子、置換基(例えば、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、−CONH、−COOR113、−OR113、−NHCONHR113、−NHCOOR113、−NHCOR113、−OCONHR113(ここで、R113は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基を示す。)などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。
一般式(7)、(8)、(9)において、L10、L11、L12はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリレン基、さらに好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を示す。また必要に応じ、L10、L11、L12中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基を有していてもよい。なおR、L10、L11、L12のうちの2または3個で環を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。
一般式(7)、(8)または(9)で示されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等が挙げられる。
また、少なくとも1つのカルボキシル基を有する少なくとも1種のジオール化合物の生成において用いられる好ましいテトラカルボン酸2無水物としては、一般式(10)、(11)、(12)で示されるものが挙げられる。
Figure 2008249851
一般式(10)、(11)、(12)中、L21は単結合、置換基(例えばアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノ、エステル、アミドの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族または芳香族炭化水素基、−CO−、−SO−、−SO−、−O−または−S−を示す。好ましくは単結合、炭素数1〜15個の二価の脂肪族炭化水素基、−CO−、−SO−、−O−または−S−を示す。
また、R、Rは同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、またはハロゲノ基を示す。好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール、炭素数1〜8個のアルコキシ、またはハロゲノ基を示す。またL21、R、Rのうちの2つが結合して環を形成してもよい。
、Rは同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル、アラルキル、アリールまたはハロゲノ基を示す。好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、または炭素数6〜15個のアリール基を示す。またL21、R、Rのうちの2つが結合して環を形成してもよい。L22、L23は同一でも相違していてもよく、単結合、二重結合、または二価の脂肪族炭化水素基を示す。好ましくは単結合、二重結合、またはメチレン基を示す。Aは単核または多核の芳香環を示す。好ましくは炭素数6〜18個の芳香環を示す。
一般式(10)、(11)または(12)で示される化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−[3,3’−(アルキルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミ
ノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、ヒドロキノンジアセテートとトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンとトリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環することにより、(ii)少なくとも一つのカルボキシル基を有する少なくとも1種のジオール化合物を合成することができる。ただし、ジオール化合物と(i)ジイソシアネート化合物との反応を初めに行い、この反応物と上記テトラカルボン酸二無水物とを反応させることにより本発明のウレタン樹脂を合成することも可能であり、この方法も本発明の観点に包含される。すなわち、テトラカルボン酸二無水物とジオール化合物から由来する構造単位をウレタン樹脂中に導入する方法としては、以下の方法がある。
a)テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させて得られたアルコール末端の化合物と、ジイソシアネート化合物とを反応させる方法。
b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法。
少なくとも1つのカルボキシル基を有する少なくとも1種のジオール化合物のうち、一般式(7)で表される化合物は、溶剤溶解性が高く、合成が容易であるためより好ましい。また、少なくとも1つのカルボキシル基を有する少なくとも1種のジオール化合物は、該ウレタン樹脂バインダーがカルボキシル基を0.2〜4.0meq/g、好ましくは0.3〜3.0meq/g、さらに好ましくは0.4〜2.0meq/g、特に好ましくは0.5〜1.5meq/g、最も好ましくは0.6〜1.2meq/gの範囲で有するような量においてウレタン樹脂バインダーに導入される。従って、少なくとも一つのカルボキシル基を有する少なくとも1種のジオール化合物由来の構造のウレタン樹脂バインダー中における含有量は、カルボキシル基の数、他のジオール成分として何を用いるか、得られるウレタン樹脂バインダーの酸価や分子量、現像液の組成やpH等によって適宜選択されるが、例えば、5〜45モル%、好ましくは10〜40モル%、より好ましくは15〜35モル%である。
(iii)架橋性基を有するジイソシアネート化合物
架橋性基を有するジイソシアネート化合物としては、例えば、トリイソシアネート化合物と、架橋性基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させて得られる生成物がある。
トリイソシアネート化合物としては、例えば下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2008249851
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架橋性基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物としては、例えば下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2008249851
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Figure 2008249851
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ここで、ウレタン樹脂の側鎖に架橋性基を導入する方法としては、ウレタン樹脂製造の原料として、側鎖に架橋性基を含有するジイソシアネート化合物を用いる方法が好適である。トリイソシアネート化合物と架橋性基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させることにより得ることできるジイソシアネート化合物であって、側鎖に架橋性基を有するものとしては、例えば、下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2008249851
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(iv)その他のジオール化合物
ウレタン樹脂の側鎖に不飽和基を導入する方法としては、前述の方法の他に、ウレタン樹脂製造の原料として、側鎖に不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法も好適である。そのようなジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物と、不飽和基を含有するカルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。これら化合物の具体的な例として、下記に示す化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
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さらに別のその他のジオール化合物としては下記一般式(A’)で表されるエチレング
リコール化合物を挙げることができる。
HO−(CHCHO)−H (A’)
(式中、nは1以上の整数を表す。)
また、末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体やブロック共重合体も挙げられる。
さらに、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が27以上100以下)、ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が22以上100以下)、水添ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が23以上100以下)、水添ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が18以上100以下)も用いることができる。 より具体的には、一般式(A’)で表されるエチレングリコール化合物が汚れ性の点で好ましく、nが2〜50のエチレングリコール化合物がより好ましく、nが3〜30のエチレングリコール化合物がさらに好ましく、nが4〜10のエチレングリコール化合物が特に好ましい。
具体的には、1,2−プロピレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、平均分子量400のポリプロピレングリコール、平均分子量700のポリプロピレングリコール、平均分子量1000のポリプロピレングリコール、平均分子量2000のポリプロピレングリコール、平均分子量3000のポリプロピレングリコール、平均分子量4000のポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が26以下)、ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が21以下)、水添ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が22以下)、水添ビスフェノールFのエチレンオキシド付加体(エチレンオキシドの付加数が17以下)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
また、下記一般式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)で表される化合物のポリエーテルジオール化合物も好適に用いることができる。
Figure 2008249851
一般式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。ただし、式(A)において、Rはメチル基を表す。また、Xは、以下の基を表す。
Figure 2008249851
上記a,b,c,d,e,f,gはそれぞれ2以上の整数を示す。好ましくは2〜100の整数である。
さらに、一般式(13)、(14)で表されるポリエステルジオール化合物も具体例として挙げることができる。
Figure 2008249851
一般式(13)、(14)中、L、LおよびLはそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、Lは2価の脂肪族炭化水素基を示す。好ましくは、L、L、Lはそれぞれアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリレン基を示し、Lはアルキレン基を示す。またL、L、L、L中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基またはハロゲン原子等が存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を示す。
さらに、一般式(15)で表されるポリカーボネートジオール化合物も具体例として挙げることができる。
Figure 2008249851
一般式(15)中、Lはそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族または芳香族炭化水素基を示す。好ましくは、Lはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリレン基を示す。またL中にはイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエーテル、カルボニル、エステル、シアノ、オレフィン、ウレタン、アミド、ウレイド基またはハロゲン原子等が存在していてもよい。n3はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を示す。
一般式(13)、(14)または(15)で示されるジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。具体例中のnは2以上の整数である。
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
また更に、カルボキシル基を有せず、イソシアネートと反応しない他の置換基を有してもよいジオール化合物を用いることもできる。
このようなジオール化合物としては、以下に示す一般式(16)及び(17)で表されるものが含まれる。
HO−L−O−CO−L−CO−O−L−OH (16)
HO−L−CO−O−L−OH (17)
一般式(16)、(17)中、L、Lはそれぞれ同一でも相違していてもよく、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、L、L中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド基などを有していてもよい。なおL、Lで環を形成してもよい。
一般式(16)または(17)で表される化合物の具体例としては以下に示すものが含まれる。
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
また、下記に示す一般式(18)〜(20)で表されるジオール化合物も好適に使用できる。
Figure 2008249851
一般式(18)〜(20)中、R、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよいアルキル基、好ましくは、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、−CONH、−COOR、−OR、(ここで、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアリ−ル基、アラルキル基を示す。)などの各基を置換基として有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
一般式(18)で示されるジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
Figure 2008249851
一般式(19)としては、2−ブチン−1,4−ジオール、式(18)としては、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール等が挙げられる。
また、下記一般式(21)、(22)に示すジオール化合物も好適に使用できる。
HO−L−NH−CO−L−CO−NH−L−OH (21)
HO−L−CO−NH−L−OH (22)
一般式(21)、(22)中、L、Lはそれぞれ同一でも相違していてもよく、置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、L、L中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド基などを有していてもよい。なおL、Lで環を形成してもよい。
一般式(21)または(22)で示される化合物の具体例としては以下に示すものが含まれる。
Figure 2008249851
Figure 2008249851
さらに、下記一般式(23)、(24)に示すジオール化合物も好適に使用できる。
HO−Ar−(L16−Ar−OH (23)
HO−Ar−L16−OH (24)
一般式(23)、(24)中、L16は置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲノの各基が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を示す。必要に応じ、L16中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばエステル、ウレタン、アミド、ウレイド基を有していてもよい。
Ar、Arは同一でも相違していてもよく、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。nは0〜10の整数を示す。
一般式(23)または(24)で示されるジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、4−メチルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−アセチルカテコール、3−メトキシカテコール、4−フェニルカテコール、4−メチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、4−t−ブチルレゾルシン、4−ヘキシルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、4−ベンジルレゾルシン、4−アセチルレゾルシン、4−カルボメトキシレゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、テトラクロロハイドロキノン、メチルカルボアミノハイドロキノン、メチルウレイドハイドロキノン、メチルチオハイドロキノン、ベンゾノルボルネン−3,6−ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、3,3’−ジクロロビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−チオジフェノール、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,4−ビス(2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルアミン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、2−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルアルコール、4−ヒドロキシフェネチルアルコール、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−ヒドロキシエチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、レゾルシンモノ−2−ヒドロキシエチルエーテル等が挙げられる。下記に示すジオール化合物も好適に使用できる。
(v)その他のアミノ基含有化合物
本発明におけるウレタン樹脂バインダーにおいて、さらに下記一般式(31)、(32)に示すアミノ基含有化合物を組み合わせてジイソシアネート化合物と反応させ、ウレア構造を形成してウレタン樹脂の構造に組み込んでもよい。
Figure 2008249851
一般式(31)、(32)中、R106、R106’はそれぞれ同一でも相違していてもよく、水素原子、置換基(例えばアルコキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、エステル、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリール基を示し、好ましくは水素原子、置換基としてカルボキシル基を有していてもよい炭素数1〜8個のアルキル、炭素数6〜15個のアリール基を示す。L17は置換基(例えば、アルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリーロキシ、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br、−I)、カルボキシル基などの各基が含まれる。)を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を示す。必要に応じ、L17中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド基などを有していてもよい。なおR106、L17、R106’のうちの2個で環を形成してもよい。
一般式(31)、(32)で示される化合物の具体例としては以下に示すものが含まれる。
すなわち、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−アミノ−2,2−6,6−テトラメチルピペリジン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、リジン、L−シスチン、イソホロンジアミン等のような脂肪族ジアミン化合物;o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、ベンジジン、o−ジトルイジン、o−ジアニシジン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメトキシ−p−フェニレンジアミン、ビス−(4−アミノフェニル)スルホン、4−カルボキシ−o−フェニレンジアミン、3−カルボキシ−m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、1,8−ナフタレンジアミン等のような芳香族ジアミン化合物;2−アミノイミダゾール、3−アミノトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、4−アミノピラゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−5−カルボキシ−トリアゾール、2,4−ジアミノ−6−メチル−S−トリアジン、2,6−ジアミノピリジン、L−ヒスチジン、DL−トリプトファン、アデニン等のような複素環アミン化合物;エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−アミノエトキシエタノール、2−アミノチオエトキシエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アミノフェノール、4−メチル−2−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−メトキシ−3−アミノフェノール、4−ヒドロキシベンジルアミン、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノサリチル酸、4−ヒドロキシ−N−フェニルグリシン、2−アミノベンジルアルコール、4−アミノフェネチルアルコール、2−カルボキシ−5−アミノ−1−ナフトール、L−チロシン等のようなアミノアルコールまたはアミノフェノール化合物。
併用可能な他のバインダーポリマーとしては、ポリウレタン合成時に側鎖に架橋性基を導入して得られる上記のウレタン樹脂のほかに、特開2003−270775号公報に記載されているようなカルボキシル基を有するポリウレタンに高分子反応で架橋性基を導入して得られるウレタン樹脂を用いることもできる。
併用可能な他のバインダーポリマーの分子量は、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定される。好ましい分子量としては、2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000の範囲である。
併用可能な他のバインダーポリマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、架橋性基をもたない他のバインダーポリマーを1種以上併用して、混合物として用いてもよい。併用できるバインダーポリマーとしては、従来公知のアルカリ可溶性または膨潤性バインダーを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダーや、ウレタンバインダー等が好ましく用いられる。
感光層中でのバインダーポリマー及び併用可能な他のバインダーポリマーの合計量は、適宜決めることができるが、感光層中の不揮発性成分の総質量に対し、通常、10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
また、併用可能な他のバインダーポリマーは、更に、アルカリ可溶性基を有するものが好ましい。バインダーポリマー中のアルカリ可溶性基の含有量(中和滴定による酸価)は、現像カスの析出性や耐刷性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜3.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmol、最も好ましくは0.45〜1.0mmolである。
このようなバインダーポリマーの重量平均分子量は、皮膜性(耐刷性)や、塗布溶剤への溶解性の観点から、好ましくは2,000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜300,000、最も好ましくは20,000〜200,000の範囲である。
また、このようなバインダーポリマーのガラス転移点(Tg)は、保存安定性、耐刷性、及び感度の観点から、好ましくは70〜300℃、より好ましくは80〜250℃、最も好ましくは90〜200℃の範囲である。
バインダーポリマーのガラス転移点を高めるため手段としては、その分子中に、アミド基やイミド基を含有することが好ましく、特に、メタクリルアミドやメタクリルアミド誘導体を含有することが好ましい。
(その他の成分)
本発明に係る感光層には、以上の基本成分の他に、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
−着色剤−
本発明に係る感光層には、その着色を目的として、染料若しくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての製版後の画像の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料があり、中でも、カチオン性染料が好ましい。
着色剤としての染料及び顔料の添加量は、全感光層組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
−重合禁止剤−
本発明に係る感光層においては、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、即ち、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、感光層組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
−その他の添加剤−
更に、本発明に係る感光層には、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーと付加重合性化合物との合計質量に対し一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。
また、本発明に係る感光層において、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するために、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加も行うことができる。
<バックコート層>
本発明の平版印刷版原版は、前記粗面化されたアルミニウム支持体の感光層非形成面に、有機高分子化合物を含有するバックコート層を有する。
有機高分子化合物としては、ヴィカー(Vicat)法(アメリカ材料試験法ASTM D1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が70℃以上(より好ましくは
100〜400℃)の有機高分子物質から選ばれることが好ましい。本発明の平版印刷版原版におけるバックコート層が有機高分子化合物を含有することにより、表面の感光性層に対する耐傷性緩和と耐接着性緩和が両立でき取り扱い性が向上する。
前記バックコート層が含有する好ましい有機高分子化合物としては、例えば、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でも、形成される層の物理的強度が高いという観点から、エポキシ樹脂、及びフェノール樹脂が好ましい。
より具体的には、エポキシ樹脂であれば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂が好ましく挙げられ、フェノール樹脂であれば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。
また、フェノール樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
これら樹脂としては、その重量平均分子量が500以上であることが画像形成性の点で好ましく、1,000〜700,000であることがより好ましい。また、その数平均分子量が500以上であることが好ましく、750〜650,000であることがより好ましい。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1〜10であることが好ましい。
また、これらのフェノール樹脂は単独で用いるのみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。組み合わせる場合には、米国特許第4123279号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、本発明者らが先に提出した特開2000−241972号公報に記載の芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造を有する有機樹脂などを併用してもよい。
本発明におけるバックコート層には、塗布面状性の改良や表面物性制御の目的で、界面活性剤添加することができる。ここで用いられる界面活性剤としては、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル及び燐酸エステルのいずれかを有するアニオン型の界面活性剤;脂肪族アミン、第4級アンモニウム塩のようなカチオン型の界面活性剤;ベタイン型の両性界面活性剤;又は、ポリオキシ化合物の脂肪酸エステル、ポリアルキンレンオキシド縮合型、ポリエチレンイミン縮合型の様なノニオン型界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられるが、特にフッ素系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の添加量は、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、バックコート層中に0.1〜10.0質量%の範囲で添加することができる。
フッ素系界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤が特に好ましい。このようなフッ素系界面活性剤について詳細に述べる。
バックコート層に特に好適に使用しうるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型及びパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。更にこれらの中でも前記フルオロ脂肪族基が下記一般式(40)で表される基であることが好ましい。
Figure 2008249851
(前記一般式(40)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基を表し、Xは単結合若しくはアルキレン基、アリーレン基などから選択される2価の連結基を表し、mは0以上の整数、nは1以上の整数を表す。)
ここで、Xが2価の連結基を表すとき、アルキレン基、アリーレン基等の連結基は、置換基を有するものであってもよく、また、その構造中に、エーテル基、エステル基、アミド基などから選ばれる連結基を有するものであってもよい。アルキレン基、アリーレン基に導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これらは更に置換基を有するものであってもよい。これらのうち、Xとしては、アルキレン基、アリーレン基、又は、エーテル基、エステル基、アミド基などから選ばれる連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、又は、内部にエーテル基或いはエステル基を有するアルキレン基がより好ましく、無置換のアルキレン基、又は、内部にエーテル基或いはエステル基を有するアルキレン基が最も好ましい。
このようなフッ素系界面活性剤をバックコート層中に0.5〜10質量%程度含むことが好ましい。
本発明におけるバックコート層には、塗布乾燥後、樹脂と硬化反応しうる硬化剤を添加することもできる。好ましい例としては2官能以上のメチロール基。又はエポキシ基、アミノ基を有する化合物で、もっとも好ましい例としてはトリメチロールプロパン類である。又、塗布液安定性を考慮して熱や加水分解によってメチロール基が発生する前駆体であっても構わない。硬化剤の添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、バックコート層中に0.1〜10.0質量%の範囲で添加することができる。
本発明におけるバックコート層は、金属酸化物やコロイダルシリカゾルのような硬質の微粒子を含有していないことが好ましい。
有機高分子化合物を含有するバックコート層をアルミニウム支持体の裏面に被覆するには種々の方法が適用できる。バックコート層成分、具体的には、有機高分子化合物を主成分とする各原料に所望によりシリカゲル等の微粒子を添加した後、例えば適当な溶媒に溶解して、又は乳化分散液にして塗布液を調製し、支持体裏面に塗布し、乾燥する方法や、予めフィルム状に成形した有機樹脂膜を接着剤を介して、或いは加熱により、アルミニウム支持体に貼り合わせる方法、溶融押し出し機で溶融皮膜を形成し、支持体に貼り合わせる方法等が挙げられる。中でも、塗布量制御の容易性の観点から最も好ましいのは溶液にして塗布、乾燥する方法である。ここで使用される溶媒としては、特開昭62−251739号公報に記載されているような有機溶剤が単独或いは混合して用いられる。
バックコート層用塗布液を支持体表面に塗布する手段としては、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、或いはカーテンコーター、エクストルーダ、スライドホッパー等公知の計量塗布装置を挙げることができるが、アルミニウム支持体裏面に傷を付け無い点からカーテンコーター、エクストルーダ、スライドホッパー等の非接触型定量コーターが特に好ましい。
本発明におけるバックコート層は、金属酸化物とコロイダルシリカゾルとを併用して含有してもよく、本発明におけるバックコート層の厚さは、金属酸化物とコロイダルシリカゾルとの有無に関わらず、形成された膜厚が0.1〜8μmの範囲であることが好ましい。この厚さの範囲において、アルミ支持体裏面の表面滑り性が向上し、且つ、印刷中、印刷周辺で用いられる薬品によるバックコート層の溶解や膨潤による厚みの変動、及び、それに起因する印圧が変化による印刷特性の劣化を抑制することができる。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版は、酸素遮断、高照度レーザ露光時のアブレーション防止のため、感光層上に保護層を設けても構わないが、現像処理軽減の観点で、保護層を設けない、つまり前記感光層が最表面を形成することが好ましい。
本発明の平版印刷版原版が保護層を有する場合の保護層は、有機樹脂微粒子が分散する分散液と雲母化合物が分散する分散液を攪拌混合し、その分散液と、ポリビニルアルコールを含むバインダー成分(又は、ポリビニルアルコールを含むバインダー成分を溶解した水溶液)と、を配合してなる保護層用塗布液を、感光層上に塗布することで形成される。
保護層に用いる雲母化合物の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に雲母化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性雲母化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した雲母化合物の2〜15質量%の分散物は高粘度或いはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。
この分散物を用いて保護層用塗布液を調製する際には、有機樹脂微粒子の水分散物とを混合し、充分攪拌した後、ポリビニルアルコールを含むバインダー成分(又は、特定ポリビニルアルコールを含むバインダー成分を溶解した水溶液)と配合して調製するのが好ましい。
この保護層用塗布液には、塗布性を向上させための界面活性剤や被膜の物性改良のための水溶性の可塑剤などの公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。更に、この塗布液には、感光層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
本発明に係る保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号又は特開昭55−49729号に記載されている方法を適用することができる。
<支持体>
本発明における支持体は、粗面化されたアルミニウム支持体であり、後述のような親水化処理(粗面化処理)が施されたものが用いられる。このような支持体はアルミニウム板である。アルミニウム板は、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できる。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも本発明における支持体として好ましく用いられる。
本発明における支持体としてのアルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。
前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。
このようなアルミニウム支持体には、後述の表面処理(粗面化処理)が施され、親水化される。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm〜400C/dmの範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm〜400C/dmの条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の表面粗さRaが0.2〜0.5μm程度であれば、特に、方法、条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理され酸化物層を形成したアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。
陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/mの範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/mの範囲に入るように処理条件が選択されることが好ましい。
前記支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m、より好ましくは4〜30mg/mで形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
前記親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
〔平版印刷版原版の作製〕
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、感光層を設け、更に必要に応じて、保護層、下塗り層等を設けてなる。かかる平版印刷版原版は、上述の各種成分を含む塗布液を、それぞれ、適当な溶媒に溶かして、支持体上に、順次塗布することにより製造することができる。
感光層を塗設する際には、前記感光層成分を種々の有機溶剤に溶かして、感光層塗布液とし、支持体又は下塗り層上に塗布される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、感光層塗布液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
前記感光層の被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響し得るもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。走査露光用平版印刷版原版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m〜約10g/mの範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/mである。
〔中間層(下塗り層)〕
本発明の平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層(下塗り層)を設けてもよい。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平11−38635号、特開平11−38629号、特開平10−282645号、特開平10−301262号、特開平11−24277号、特開平11−109641号、特開平10−319600号、特開平11−84674号、特開平11−327152号、特開2000−10292号、特開2000−235254号、特開2000−352854号、特開2001−209170号、特願平11−284091号等に記載のものを挙げることができる。
<製版方法>
以下、本発明の平版印刷版の製版方法について説明する。
本発明の平版印刷版の製版方法は、上述の本発明の平版印刷版原版を、保護層とアルミニウム支持体裏面とを直接接触させて複数枚積層してなる積層体を、プレートセッター内にセットし、該平版印刷版原版を1枚づつ自動搬送した後に、750nm〜1400nmの波長で露光処理した後、実質的に加熱処理を経ることなく、搬送速度が1.25m/分以上の条件にて現像処理を行なうことを特徴とする。
上述の本発明の平版印刷版原版は、中間に合紙を挟み込むことなく積層しても、平版印刷版原版の間の密着性や、保護層へのキズの発生が抑制されるため、上記のような製版方法に適用することができる。
本発明の平版印刷版の製版方法によれば、平版印刷版原版を合紙を挟み込むことなく積層した積層体を用いることから、合紙の除去が不必要となり、製版工程における生産性が向上する。
この製版方法は、上述した本発明の平版印刷版原版の製版にも好適であることはいうまでもないが、少なくとも、赤外線吸収剤、重合開始剤、及び重合性化合物を含有し、750nm〜1400nmの波長の露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が低下する重合性ネガ型感光層を備えた平版印刷版原版のいずれにも好適に適用できる。具体的には、本発明に係る平版印刷版原版の感光層を構成する各成分の欄で説明した「赤外線吸収剤、重合開始剤、及び重合性化合物」の各成分を含有する感光層であればよく、バインダーポリマーとしては公知のものを含んでいてもよいし、含まなくてもかまわない。
また、本発明の平版印刷版の製版方法が適用される感光層としては、pH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度が50nF/sec以下である物性を有することが好ましい。この感光層の未露光部の現像速度や硬化後の感光層に対するアルカリ現像液の浸透速度の測定方法は、本出願人が先に出願した特願2004−248535号明細書に記載された方法を用いることができる。感光層の未露光部の現像速度や硬化後の感光層に対するアルカリ現像液の浸透速度の制御は、常法により行うことができるが、代表的なものとしては、前記特定バインダーポリマーを使用する方法の他、未露光部の現像速度の向上には、親水性の化合物の添加が有用であり、露光部への現像液浸透抑制には、疎水性の化合物の添加手段が有用である。
〔露光〕
本発明における露光処理に用いられる光源としては、750nm〜1400nmの波長で露光し得るものであれば、如何なるものでもよいが、赤外線レーザーが好適なものとして挙げられる。中でも、本発明においては、750nm〜1400nmの波長の赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーにより画像露光されることが好ましい。レーザーの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。平版印刷版原版に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cmであることが好ましい。露光のエネルギーが低すぎると感光層の硬化が十分に進行しない。また、露光のエネルギーが高すぎると感光層がレーザーアブレーションされ、画像が損傷することがある。
本発明における露光処理では、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.1以上であることが好ましい。
本発明に使用する露光装置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
本発明においては、上述のように、露光処理された平版印刷版原版は、特段の加熱処理及び水洗処理を行なうことなく、現像処理に供される。この加熱処理を行なわないことで、加熱処理に起因する画像の不均一性を抑制することができる。また、加熱処理及び水洗処理を行なわないことで、現像処理において安定な高速処理が可能となる。
〔現像〕
本発明における現像処理では、現像液を用いて、感光層の非画像部を除去する。
なお、本発明においては、上述のように、現像処理における処理速度、即ち、現像処理における平版印刷版原版の搬送速度(ライン速度)は、1.25m/分以上であることを要し、より好ましくは、1.35m/分以上である。また、搬送速度の上限値には特に制限はないが、搬送の安定性の観点からは、3m/分以下であることが好ましい。
以下、本発明に用いられる現像液について説明する。
(現像液)
本発明に用いられる現像液は、pH14以下のアルカリ水溶液であることが好ましく、また、芳香族アニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
(芳香族アニオン界面活性剤)
本発明における現像液に用いられる芳香族アニオン界面活性剤は、現像促進効果、重合性ネガ型の感光層成分及び保護層成分の現像液中での分散安定化効果があり、現像処理安定化において好ましい。中でも、本発明に用いられる芳香族アニオン界面活性剤としては、下記一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2008249851
上記一般式(A)又は一般式(B)において、R、Rは、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、中でも、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。
m、nは、それぞれ独立に、1〜100から選択される整数を表し、中でも、1〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、mが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。同じく、nが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
t、uは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
、Rは、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
p、qはそれぞれ、0〜2から選択される整数を表す。Y、Yは、それぞれ単結合、又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、特に単結合が好ましい。
(Zr+、(Zs+は、それぞれ独立に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、或いは、無置換又はアルキル基で置換されたアンモニウムイオンを表し、具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の範囲の、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基が置換した2級〜4級のアンモニウムイオンなどが挙げられ、特に、ナトリウムイオンが好ましい。r、sはそれぞれ、1又は2を表す。
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008249851
Figure 2008249851
これら芳香族アニオン界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。芳香族アニオン界面活性剤の添加量は、現像液中における芳香族アニオン界面活性剤の濃度が1.0〜10質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%の範囲とすることが効果的である。ここで、含有量が1.0質量%以下であると、現像性低下及び感光層成分の溶解性低下を招き、含有量が10質量%以上であると、印刷版の耐刷性を低下させる。
本発明に係る現像液には、前記芳香族アニオン界面活性剤以外に、その他の界面活性剤を併用してもよい。その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤である。
これらその他の界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で、0.1から10質量%が好ましい。
(2価金属に対するキレート剤)
本発明に係る現像液には、例えば、硬水に含まれるカルシウムイオンなどによる影響を抑制する目的で、2価金属に対するキレート剤を含有させることが好ましい。2価金属に対するキレート剤としては、例えば、Na、Na、Na、NaP(NaOP)PONa、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができ、中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩、;ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩が好ましい。
このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させる。
また、本発明に係る現像液には、現像調整剤として有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類を加えてもよい。例えば、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、クエン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウムなどを単独若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
(アルカリ剤)
本発明に係る現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、及び同リチウムなどの無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤等が挙げられる。本発明においては、これらを単独で用いてもよいし、若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
また、上記以外のアルカリ剤として、アルカリ珪酸塩を挙げることができる。アルカリ珪酸塩は塩基と組み合わせて使用してもよい。使用するアルカリ珪酸塩としては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであって、例えば珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウムなどがある。これらのアルカリ珪酸塩は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる現像液は、支持体の親水化成分としての珪酸塩の成分である酸化ケイ素SiOと、アルカリ成分としてのアルカリ酸化物MO(Mはアルカリ金属又はアンモニウム基を表す)との混合比率、及び濃度の調整により、最適な範囲に容易に調節することができる。酸化ケイ素SiOとアルカリ酸化物MOとの混合比率(SiO/MOのモル比)は、支持体の陽極酸化皮膜が過度に溶解(エッチング)されることに起因する放置汚れや、溶解アルミニウムと珪酸塩との錯体形成に起因する不溶性ガスの発生を抑制するといった観点から、好ましくは0.75〜4.0の範囲であり、より好ましくは0.75〜3.5の範囲で使用される。
また、現像液中のアルカリ珪酸塩の濃度としては、支持体の陽極酸化皮膜の溶解(エッチング)抑制効果、現像性、沈殿や結晶生成の抑制効果、及び廃液時における中和の際のゲル化防止効果などの観点から、現像液の質量に対して、SiO量として、0.01〜1mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mol/Lの範囲で使用される。
本発明において使用される現像液には、上記の成分の他に、必要に応じて以下のような成分を併用することができる。例えば、安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸;プロピレングリコール等の有機溶剤;この他、還元剤、染料、顔料、硬水軟化剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明に用いられる現像液は、25℃におけるpHが10〜12.5の範囲であることが好ましく、pH11〜12.5の範囲であることがより好ましい。本発明における現像液は、前記界面活性剤を含むため、このような低pHの現像液を用いても、非画像部において優れた現像性を発現する。このように、現像液のpHを比較的低い値とすることにより、現像時における画像部へのダメージを軽減するとともに、現像液の取扱い性にも優れる。
また、該現像液の導電率xは、2<x<30mS/cmであることが好ましく、5〜25mS/cmであることがより好ましい。
ここで、導電率を調整するための導電率調整剤として、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類等を添加することが好ましい。
上記の現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液及び現像補充液として用いることができ、自動現像機に適用することが好ましい。自動現像機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の製版方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
更に、自動現像機を用いて、現像液の処理能力を回復させるためには、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も好ましい。
本発明のより好ましい現像補充液は、アルミニウムイオンと水溶性キレート化合物形成能を有するオキシカルボン酸キレート剤と、アルカリ金属の水酸化物と、界面活性剤とを含有し、ケイ酸塩を含有せず、pH11〜13.5の水溶液であることを特徴とする現像補充液である。このような現像補充液を使用することにより、優れた現像性と版材の画像部の強度を損なうことの無い特性を有し、現像液のアルカリによりアルミニウム支持体が溶出されて形成する水酸化アルミニウムの析出が効果的に抑制され、自動現像機の現像浴ローラー表面への水酸化アルミニウムを主成分とする汚れの付着や、引き続く水洗浴内への水酸化アルミニウム析出物の蓄積が低減され、長期間安定に処理することができる。
このようにして現像処理された平版印刷版原版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明に係る平版印刷版原版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
本発明の平版印刷版の製版方法においては、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱若しくは、全面露光を行うこともできる。
現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。現像後の加熱温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じるおそれがある。
以上の処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、マルチクリーナー、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(ポリマー微粒子(シリカ被覆微粒子)分散物の作製)
(1)オプトビーズ6500M分散物の調製
メチルエチルケトン 74g中に、分散安定性向上を目的として、ノニオン界面活性剤(日本乳化剤(株)製、エマレックス710)を3.0gと下記構造のアクリル樹脂(BT−1、重量平均分子量:16000、( )の横の数値はモル比率を示す。以下、同様の記載があった場合、何れも( )の横の数値はモル比率を示す。)を3.0g添加溶解する。この溶液に、シリカ複合架橋メラミン樹脂微粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M)20.0gを加え、株式会社日本精機製作所製エースホモジナイザーで、10,000rpmで、15分間分散し、オプトビーズ6500M分散物を得た。
Figure 2008249851
(2)アートパールJ−7P分散物の調製
上記オプトビーズ6500M分散物の調製において、オプトビーズ6500M 20.0gを、シリカ複合架橋アクリル樹脂微粒子(根上工業(株)製アートパールJ−7P)20.0gに代えたほかは、(1)オプトビーズ6500M分散物の調製と同様にしてアートパールJ−7分散物を得た。
(3)アートパールU−800T分散物の調製
上記オプトビーズ6500M分散物の調製において、オプトビーズ6500M 20.0gを、シリカ複合架橋ウレタン樹脂微粒子(根上工業(株)製アートパールU−800T)20.0gに代えたほかは、(1)オプトビーズ6500M分散物の調製と同様にしてアートパールU−800T水分散物を得た。
(支持体の作製)
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でエッチング処理を行い、アルミニウム板を5g/m溶解した。その後水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%、アンモニウムイオン0.007質量%含む)、温度30℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/cmであった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後水洗を行った。
(d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を35℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度33℃、電流密度が5(A/dm)で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜重量が2.7g/mであった。
このようにして得られたアルミニウム支持体の表面粗さRaは0.27(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)であった。
<下塗り層>
次に、表面処理を行ったアルミニウム支持体に下記下塗り層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は10mg/mであった。
(下塗り層用塗布液)
・下記構造の高分子化合物A(重量平均分子量:50000) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
Figure 2008249851
(記録層(感光層)の形成)
下記記録層塗布液[P−1]を調製し、上記のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.4g/mであった。
<記録層塗布液[P−1]>
・赤外線吸収剤(IR−1)[(A)成分] 0.074g
・重合開始剤 前記一般式(1)で表されるスルホニウム塩の例示化合物:
(OS−12)[(C)成分] 0.280g
・添加剤(PM−1) 0.015g
・添加剤(PM−2)[(B)成分(ボレート化合物)] 0.040g
・重合性化合物(AM−1)[(D)成分] 1.00g
・特定バインダーポリマー(BT−1)
重量平均分子量:100000[(E)成分] 0.10g
・特定バインダーポリマー(BT−2)
重量平均分子量:100000[(E)成分] 0.90g
・エチルバイオレット(C−1) 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.015g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 4.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
・ポリマー微粒子分散物(アートパールJ−7P分散物)[(F)成分] 0.30g
Figure 2008249851
Figure 2008249851
Figure 2008249851
(バックコート層の作製)
支持体の裏面に、下記バックコート層塗布液[1]をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃60秒間乾燥させて有機樹脂からなるバックコート層[1]を形成した。
このバックコート層の全塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/mであった。熱軟化温度はTMA(株式会社リガク製熱分析装置 THERMOFLEX TMA8140)を使用して針侵入法熱軟化点測定法で測定を行った。測定条件は荷重5g、昇温速度5℃/minで行った。
<バックコート層塗布液[1]>
・PR55422 (住友ベークライト(株)(フェノール/m−クレゾール
/p−クレゾール=5/3/2 平均分子量 5300 軟化点160℃)
1.0g
・フッ素系界面活性剤(F780F、大日本インキ化学工業(株)) 0.005g
・メチルエチルケトン 25g
〔実施例2〜5〕
実施例1の感光層塗布液の組成において、ポリマー微粒子分散物の種類及び添加量を下記表1のように変えた他は、実施例1と同様にして、実施例2〜5の平版印刷版原版を得た。
〔実施例6〕
実施例1のバックコート層を下記バックコート層塗布液[2]に変更して、バックコート層[2]を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の平版印刷版原版を得た。
このバックコート層[2]の全塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/mであった。
<バックコート層塗布液[2]>
・jER1009(ジャパンエポキシレジン(株)(ビスフェノールA型エポキシ樹脂 軟化点144℃)1.0g
・エステルガムHP (荒川化学(株)ロジンエステル、軟化点:80℃) 0.10g
・フッ素系界面活性剤(F780F、大日本インキ化学工業(株)) 0.005g
・メチルエチルケトン 25g
[実施例7]
実施例6の感光層中のIR色素を下記IR−2に変え、ポリマー微粒子分散物の添加量を変更した以外は実施例6と同様にして、実施例7の平版印刷版原版を得た。
Figure 2008249851
〔比較例1〕
実施例1の感光層塗布液の組成において、ポリマー微粒子分散物を添加しない他は、実施例1と同様にして、比較例1の平版印刷版原版を得た。
〔比較例2〕
実施例1のバックコート層[1]を設けない以外は実施例1と同様にして、比較例2の平版印刷版原版を得た。
〔比較例3〕
実施例1の感光層塗布液の組成においてボレート化合物(PM−2)を添加しない他は、実施例1と同様にして、比較例3の平版印刷版原版を得た。
〔平版印刷版原版の評価〕
(1)感度の評価
得られた平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter800II Quantumにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数200rpm、出力0〜12Wの範囲で、logEで0.15ずつ出力を変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。
露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310HIIを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液はDH−Nの1:4水希釈液を用い、現像補充液はFCT−421の1:1.4水希釈、フィニッシャーは富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.9を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。
なお、評価結果は、実施例1で得られた平版印刷版の感度を70とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が小さいほど、感度が優れていることを意味する。
(2)耐キズ性の評価
得られた平版印刷版原版20枚の間に合紙を挟むことなく積層して積層体を形成した。この積層体を、既にカセットにセットしてある本発明の平版印刷版原版の上にエッジから5cmずらして(積層した20枚の版材がカセット内の版材のエッジから5cm外側へ飛び出した状態で)重ねた後、飛び出した20枚の版材のエッジを水平方向に押し込んで、積層した20枚の一番下の版の裏面アルミニウム支持体が、カセット中の最上の平版印刷版原版の保護層表面をこするようにしながら、カセット内へ設置した。この保護層表面を、アルミニウム支持体裏面でこすられた版材を、耐キズ性の評価用版材とした。
この版材をセッティング部分からオートローダーにて、Creo社製Trendsetter3244に搬送し、解像度2400dpiで50%平網画像を、出力7W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー110mJ/cmで露光した。露光後、上記感度評価と同様に現像処理を行なった。得られた平版印刷版の平網画像中に発生したキズの有無を目視評価した。
評価は1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。
(3)平版印刷版原版同士の接着性の評価
得られた平版印刷版原版(10×10cm)3枚を、25℃75%RHの環境下で2時間調湿後、3枚の原版を同方向に合紙の挟み込みのない状態で順次重ねて積層体を得た。この積層体を、アルミニウムラミネート層を有するクラフト紙で密閉包装し、4kgの荷重をかけた状態で、30℃環境下5日間放置した。その後の積層体について、平版印刷版原版の記録層側表面と隣接する平版印刷版原版の支持体側表面との接着状態を評価した。
平版印刷版原版同士の接着は、1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。以上の結果を表1に示す。
Figure 2008249851
表1から明らかなように、実施例1〜5の平版印刷版原版、は、高感度で、合紙なしでも耐キズ性に優れ、高湿下に置かれた後でも、平版印刷版原版同士の接着が見られないことがわかった。
これに対し、シリカ被覆有機樹脂微粒子を含まない感光層を有する比較例1の平版印刷版原版、及びバックコート層のない比較例2の平版印刷版原版は、感度には優れるものの、高湿下に置かれた後の平版印刷版原版同士に接着が見られ、アルミニウム支持体裏面と保護層表面がこすられた時に発生する耐キズ性が著しく劣っていることが分かった。

Claims (7)

  1. 粗面化されたアルミニウム支持体の片面に、(A)赤外線吸収剤、(B)ボレート化合物、(C)ラジカル重合開始剤、(D)不飽和エチレン性二重結合を有する重合性化合物、(E)バインダーポリマー、及び(F)ポリマー微粒子を含有する感光層を有し、前記粗面化されたアルミニウム支持体の感光層非形成面に、有機高分子化合物を含有するバックコート層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 前記(C)ラジカル重合開始剤が、オニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記有機高分子化合物が、軟化点が70℃以上である有機高分子化合物からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記バックコート層が、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の平版印刷版原版。
  5. 前記(F)ポリマー微粒子が、シリカ被覆微粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の平版印刷版原版。
  6. 前記(E)バインダーポリマーが、アクリル樹脂又はウレタン樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の平版印刷版原版。
  7. 前記感光層が最表面を形成することを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の平版印刷版原版。
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