JP2008139813A - 平版印刷版原版及び平版印刷版原版積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザー露光による書き込みが可能な平版印刷版原版であり、また、合紙を挟み込むことなく積層した際の版材同士の接触による感光性記録層側の擦りキズの発生、及び版材同士の滑りを防止しうる平版印刷版原版、並びに該平版印刷版原版の積層体を提供する。
【解決手段】支持体上の一方の面に感光性記録層を有し、前記支持体の他方の面にロジンを含有するバックコート層を有することを特徴とする平版印刷版原版、及び該平版印刷版原版の積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー光での直接描画が可能な平版印刷版原版及びその積層体に関する。
従来、平版印刷版原版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。
近年、画像情報をコンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、デジタル化技術が広く普及してきている。そして、そのようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すこと無く、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版原版としては、親水性支持体上にレーザー露光によりラジカルやブレンステッド酸などの活性種を発生しうる感光性化合物を含有した親油性感光性樹脂層(以下、記録層ともいう)を設けた構成が提案され、既に上市されている。この平版印刷版原版をデジタル情報に基づきレーザー走査し活性種を発生せしめ、その作用によって記録層に物理的、或いは化学的な変化を起こし不溶化させ、引き続き現像処理することによってネガ型の平版印刷版を得ることができる。
特に、親水性支持体上に、感光スピードに優れる光重合開始剤、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、及びアルカリ現像液に可溶なバインダーポリマーを含有する光重合型の記録層、並びに必要に応じて酸素遮断性の保護層を設けた平版印刷版原版(例えば、特許文献1参照)は、生産性に優れ、更に現像処理が簡便であり、解像度や着肉性もよいといった利点から、望ましい印刷性能を有するものである。
一方、現像処理が簡便である光重合型の平版印刷版原版の製版作業における生産性としては、露光工程にかかる時間短縮が重要となってくる。露光工程には、通常、原版と原版の間に、原版同士の接着防止機能や、比較的軟らかい感光層又は感光層上に設けられた保護層表面がアルミニウム支持体や支持体裏面に設けられたバックコート層と擦れて生じるキズ防止機能を有する合紙が挿入された積層体として供給される。そのため、露光工程での合紙除去時間が非効率の原因となっていた。この露光工程での効率化を図るためには、原版間に合紙を挿入しない積層体を用いることで、合紙除去の工程を省略すればよく、このことから、平版印刷版原版同士の耐接着性と保護層表面がアルミニウム支持体とこすれて生じるキズについての改良が望まれていた。
ここでいうキズとは、表面側(感光層又は保護層を有する側)のキズを意味する。非画像部にキズが付いた場合の感光層の硬化による印刷汚れや、画像部にキズが付いた場合の印刷抜け(白抜け)などが生じてしまうという大きな問題がある。
このようなキズの改良について、Tgが20℃以上のバックコート層を設ける方法(例えば、特許文献2参照)や、ポジ型の感光層に対してのバックコート層として、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂を用いる方法(例えば、特許文献3参照)などが知られているが、更なる改良が求められている。
また、平版印刷版原版の加工においては、平版印刷版原版のウェブを加工機によって切断し、自動搬送させて積層していく。この時、積層した版がスベリを起こすことが問題となっていた。さらに、積層された平版印刷版原版の輸送時や製版作業時においても、版がスベリを起こすことが問題となっていた。
以上のように、合紙を挟み込まずに積層した場合に、平版印刷版原版同士が擦れて生じるキズ及びスベリが改良され、製版作業における生産性を向上しうる平版印刷版原版が望まれているが、未だ提供されていないのが現状である。
特開平10−228109号公報 特開平6−332155号公報 特開2005−62456号公報
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、レーザー露光による書き込みが可能な平版印刷版原版であり、また、合紙を挟み込むことなく積層した際の版材同士の接触による感光性記録層側の擦りキズの発生、及び版材同士の滑りを防止しうる平版印刷版原版を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、合紙を挟み込むことなく積層した場合であっても、隣接する版材同士の接触による感光性記録層側の擦りキズの発生及び版材同士の滑りが抑制され、平版印刷版原版の製造工程や製版工程における生産性を向上しうる平版印刷版原版の積層体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ロジンを含有するバックコート層により前記課題を解決しうることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 支持体の一方の面に感光性記録層を有し、前記支持体の他方の面にロジンを含有するバックコート層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
<2> 前記ロジンが、ロジンエステル及びロジン変性フェノール樹脂から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>に記載の平版印刷版原版。
<3> 前記バックコート層が、更に、前記ロジン以外の樹脂を少なくとも1種含むことを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の平版印刷版原版。
<4> 前記ロジン以外の樹脂が、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリアセタール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする前記<3>に記載の平版印刷版原版。
<5> 前記ロジンの含有量が、前記バックコート層の全質量に対して0.1〜50質量%であることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<6> 前記ロジンの含有量が、前記バックコート層の全質量に対して0.5〜30質量%の範囲であることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<7> 前記感光性記録層が、重合開始剤、増感色素、重合性化合物、及びバインダーポリマーを含有し、且つ、前記感光性記録層上に酸素遮断性を有する保護層を有することを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<8> 前記保護層がフィラーを含有することを特徴とする前記<7>に記載の平版印刷版原版。
<9> 前記フィラーが、無機フィラー及び/又は有機フィラーであることを特徴とする前記<8>に記載の平版印刷版原版
<10> 前記感光性記録層が、赤外線吸収剤、重合開始剤、分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー、及びビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体を含有することを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<11> 前記感光性記録層が、0.7meq/g〜8.0meq/gのアリル基を含むバインダーポリマーを含有することを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<12> 前記<1>〜<11>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、感光性記録層側の最表面とバックコート層側の最表面とを直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする平版印刷版原版積層体。
本発明によれば、レーザー露光による書き込みが可能な平版印刷版原版であり、また、合紙を挟み込むことなく積層した際の版材同士の接触による感光性記録層側の擦りキズの発生、及び版材同士の滑りを防止しうる平版印刷版原版を提供することができる。
また、本発明によれば、合紙を挟み込むことなく積層した場合であっても、隣接する版材同士の接触による感光性記録層側の擦りキズの発生及び版材同士の滑りが抑制され、平版印刷版原版の製造工程や製版工程における生産性を向上しうる平版印刷版原版の積層体を提供することができる。
<平版印刷版原版>
本発明の平版印刷版原版は、支持体の一方の面に感光性記録層を有し、前記支持体の他方の面にロジンを含有するバックコート層を有することを特徴とする。
以下、本発明の平版印刷版原版における必須の構成要素である、支持体、感光性記録層、及びバックコート層について説明する。
〔バックコート層〕
本発明におけるバックコート層は、ロジンを含有していることが必須である。また、種々の特性を向上させるために、その他の樹脂や、添加剤を併用してもよい。
以下、本発明におけるバックコート層について詳述する。
(ロジン)
本発明で用いられるロジンとしては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;該天然ロジンから誘導される重合ロジン;該天然ロジンや重合ロジンを不均化又は水素添加して得られる安定化ロジン;該天然ロジンや重合ロジンに不飽和カルボン酸類を付加して得られる不飽和酸変性ロジンなどが挙げられる。
上記不飽和酸変性ロジンとしては、例えば、マレイン酸変性ロジン、無水マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、イタコン酸変性ロジン、クロトン酸変性ロジン、ケイ皮酸変性ロジン、アクリル酸変性ロジン、メタクリル酸変性ロジンなど、或いはこれらに対応する酸変性重合ロジンが挙げられる。
このようなロジンのなかでも、ロジンエステル及びロジン変性フェノール樹脂から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記ロジンエステル(エステルガム)は、ロジンの主成分であるアビエチン酸などのロジン酸をエステル化したものである。ロジンエステルとしては、アビエチン酸を、メチルエステル化、エチルエステル化、又はグリセリンエステル化したものが、特に好ましく用いられる。
前記ロジン変性フェノール樹脂は、ガムロジンを、p−オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるレゾール型フェノール樹脂オリゴマーとを反応させてロジン化レゾール樹脂を合成し、更にその末端ロジン酸部分のカルボキシル基をグリセリンとエステル化することによって高分子量化して得られたものである。ロジン変性フェノール樹脂としては、以下に挙げる市販品が好ましく用いられる。
前記ロジンエステルとしては、市販品を用いてもよく、スーパーエステルE−720、スーパーエステルE−730−55、スーパーエステルE−650、スーパーエステルE−786−60、タマノルE−100、エマルジョンAM−1002、エマルジョンSE−50(以上全て商品名、特殊ロジンエステルエマルジョン、荒川化学工業株式会社製)、スーパーエステルL、スーパーエステルA−18、スーパーエステルA−75、スーパーエステルA−100、スーパーエステルA−115、スーパーエステルA−125、スーパーエステルT−125(以上全て商品名、特殊ロジンエステル、荒川化学工業株式会社製)等を好ましく用いることができる。
また、前記ロジンエステルとしては、エステルガムAAG、エステルガムAAL、エステルガムA、エステルガムAAV、エステルガム105、エステルガムHS、エステルガムAT、エステルガムH、エステルガムHP、エステルガムHD、ペンセルA、ペンセルAD、ペンセルAZ、ペンセルC、ペンセルD−125、ペンセルD−135、ペンセルD−160、ペンセルKK(以上全て商品名、荒川化学工業株式会社製)、も好ましく用いることができる。
前記ロジン変性フェノール樹脂としては、タマノル135、タマノル145、タマノル340、タマノル350、タマノル351、タマノル352、タマノル353、タマノル354、タマノル359、タマノル361、タマノル362、タマノル366、タマノル374、タマノル379、タマノル380、タマノル381、タマノル384、タマノル386、タマノル387、タマノル388、タマノル392、タマノル394、タマノル395、タマノル396、タマノル405、タマノル406、タマノル409、タマノル410、タマノル414、タマノル415(以上全て商品名、ロジン変性フェノール樹脂、荒川化学工業株式会社製)、を好ましく用いることができる。
更に、その他のロジンとしては、ロンヂスR、ロンヂスK−25、ロンヂスK−80、ロンヂスK−18(以上全て商品名、ロジン誘導体、荒川化学工業株式会社製)パインクリスタルKR−85、パインクリスタルKR−612、パインクリスタルKR−614、パインクリスタルKE−100、パインクリスタルKE−311、パインクリスタルKE−359、パインクリスタルKE−604、パインクリスタル30PX、パインクリスタルD−6011、パインクリスタルD−6154、パインクリスタルD−6240、パインクリスタルKM−1500、パインクリスタルKM−1550(以上全て商品名、超淡色系ロジン誘導体、荒川化学工業株式会社製)等が挙げられる。
本発明におけるロジンの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で、500以上が好ましく、1,000〜500,000がより好ましく、1,000〜200,000が更に好ましく、1,000〜100,000が特に好ましい。
ロジンのバックコート層中の含有量は、バックコート層の全質量に対して、0.1〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜30質量%の範囲であることがより好ましい。
また、バックコート層に含有される全樹脂中におけるロジンの含有量としては、1〜90質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましく、2.5〜30質量%が更に好ましい。
(併用可能な他の樹脂)
本発明におけるバックコート層は、ロジン以外の樹脂(以下、適宜「他の樹脂」と称する。)を少なくとも1種含有することが好ましい。他の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリブタジエン、ナイロン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリエステル、エポキシ樹脂、アルキルフェノールのアルデヒド縮合樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、フェノール性水酸基を有する樹脂、アクリル系樹脂及びこれらの共重合樹脂、ヒドロキシセルロース、ポリビニルアルコール、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロース、等が好ましい。
中でも、他の樹脂としては、皮膜性、感光性記録層側の最表面との耐接着性の観点から、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリアセタール樹脂から選択される少なくとも1種であることが好ましく、エポキシ樹脂が特に好ましい。
これらの他の樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、500以上が好ましく、1,000〜500,000がより好ましく、1,000〜200,000がさらに好ましく、1,000〜100,000が特に好ましい。
−エポキシ樹脂−
エポキシ樹脂としては、多価アルコールや多価フェノールなどとエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル化合物若しくはそのプレポリマー、更に、アクリル酸又はメタクリ酸グリシジルの重合体又は共重合体等を挙げることができる。
好適な化合物の具体例としては、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レソルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル若しくはエピクロロヒドリン重付加物、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル若しくはエピクロロヒドリン重付加物、ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル若しくはエピクロロヒドリン重付加物、ビフェニル型ビスフェノールのジグリシジルエーテル若しくはエピクロロヒドリン重付加物、ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等、更に、メタクリ酸メチル/メタクリ酸グリシジル共重合体、メタクリ酸エチル/メタクリ酸グリシジル共重合体等が挙げられる。
上記の化合物の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のjER1001(分子量約900、エポキシ当量450〜500)、jER1002(分子量約1600、エポキシ当量600〜700)、jER1004(分子量約1060、エポキシ当量875〜975)、jER1007(分子量約2900、エポキシ当量2000)、jER1009(分子量約3750、エポキシ当量3000)、jER1010(分子量約5500、エポキシ当量4000)、jER1100L(エポキシ当量4000)、jERYX31575(エポキシ当量1200)、住友化学(株)製のスミエポキシESCN−195XHN、ESCN−195Xl、ESCN−195XF等を挙げることができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、1000以上が好ましく、1,000〜500,000がより好ましく、1,000〜200,000が更に好ましく、1,000〜100,000が特に好ましい。
−ポリエステル樹脂−
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸ユニットとジオールユニットからなる。
ジカルボン酸ユニットとしては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、蓚酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
ジオールユニットとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどの脂肪族鎖式ジオール;1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノールジオキシエチルエーテル、ビスフェノールジオキシプロピルエーテルなどの環式ジオールなどが挙げられる。
これらのジカルボン酸及びジオールユニットは、それぞれ少なくとも一種以上で、かつどちらかが二種以上の共重合ユニットとして用いられることが好ましく、共重合組成及び分子量により共重合体の性状が決定する。
ポリエステル樹脂としては、市販品を用いることもでき、例えば、東レ(株)のケミット1294等が挙げられる。
本発明におけるバックコート層は、後述するように、溶液からの塗布により形成することが薄層を効率よく設ける上で好ましい。従って、本発明で用いうるポリエステル樹脂としては、非結晶性で工業用各種有機溶剤に溶け易いものが好ましい。
−ポリアセタール樹脂−
ポリアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドやホルムアルデヒドの様なアルデヒドでアセタール化した樹脂である。ポリアセタール樹脂は、アセタール化度、水酸基、アセチル基の組成比、及び重合度により物理的性質、化学的性質が異なる。本発明におけるバックコート層には、アセタール化度60モル%以上、アセチル基5モル%以下、重合度300以上の樹脂が好ましく用いられる。
ポリアセタール樹脂としては、市販品を用いることもでき、例えば、積水化学工業(株)製のエスレックBX−1、エスレックBX−3、エスレックBX−5、エスレックKS−1、エスレックKS−3、エスレックKS−5、エスレックKS−10、等を挙げることができる。
−フェノール性水酸基を有する樹脂−
フェノール性水酸基を有する樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、又はm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂や、ピロガロールとアセトンとの縮重合体であるピロガロール樹脂を挙げることができる。
また、フェノール性水酸基を有する樹脂として、フェノール性水酸基を有する化合物を共重合させた共重合体を用いることもできる。
ここで、フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
(その他の成分)
本発明におけるバックコート層には、皮膜性向上のため、有機又は無機の高分子化合物を添加したり、また、バックコート層に可とう性を持たせたり、滑り性を調整する目的で可塑剤、界面活性剤、その他の添加物を必要により添加できる。
バックコート層に用いうる好ましい可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレートなどのフタル酸エステル類、ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステルなどのグリコールエステル類、トリクレジールホスフェート、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル類、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエートなどの脂肪族二塩基酸エステル類、ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチルなどが有効である。これらの可塑剤はバックコート層がべとつかない範囲で加えられる。
バックコート層に用いうる界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられる。
以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含される。
更に好ましい界面活性剤は、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤である。かかるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型及びパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。
上記の界面活性剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができ、バックコート層中に、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.001〜5質量%の範囲で添加される。
本発明におけるバックコート層には、更に、o−ナフトキノンジアジド化合物、感光性アジド化合物、不飽和二重結合含有モノマーを主成分とする光重合性組成物、桂皮酸やジメチルマレイミド基を含む光架橋性化合物、及びジアゾニウム塩モノマーや芳香族ジアゾニウム塩と反応性カルボニル基含有有機縮合剤(特に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類又はアセタール類)とを酸性媒体中で縮合したジアゾ樹脂を耐薬品性の向上などのために添加することができる。このうちポジ型の感光性化合物として知られるo−ナフトキノンジアジド化合物類が好適に用いられる。
本発明におけるバックコート層は、フイルムの熱圧着や溶融ラミネーション法、塗布法によって設けることができる。溶液からの塗布が薄層を効率よく設ける上でより好ましい。
従って、本発明において、バックコート層に用いられる樹脂としては、非結晶性で、工業用各種有機溶剤に溶け易いものが好ましい。
バックコート層を形成する際に用いられる溶剤としては、セトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、バックコート層形成用塗布液中の固形分の濃度は、0.5〜50質量%が適当である。
本発明におけるバックコート層の被覆量は、主に、静摩擦係数、擦りキズの発生に影響し得るもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量少なすぎる場合には、バックコート層の静摩擦係数、擦りキズの発生の効果が充分でなくなる。一方、被覆量が、多すぎる場合には、バックコート層の支持体に対する密着が悪化し、取り扱い時に剥離してしまう場合がある。
従って、バックコート層の被覆量は、乾燥後の質量で0.01〜10g/mの範囲が好ましく、0.05〜7g/mの範囲がより好ましく、0.1〜5g/mの範囲が更に好ましい。
本発明の平版印刷版原版は、上述したバックコート層を有することにより、合紙を挟み込むことなく積層した際における各版材間の滑りを効果的に抑制することができる。
各版材間における滑りの抑制は、バックコート層の静摩擦係数をその指標とすることができる。具体的には、本発明の平版印刷版原版において、感光性記録層側の最表面に対するバックコート層の静摩擦係数が0.35〜1.00の範囲であることが好ましく、0.40〜1.00の範囲であることがより好ましい。
静摩擦係数が上記の範囲にあることで、版材間で滑りが起こらず、安定な積層体を形成することができる。また、静摩擦係数が上記の範囲にあることで、版材間の摩擦を低減することもできるため、擦りキズの発生を更に抑制することもできる。
〔感光性記録層〕
本発明の平版印刷版原版は、支持体のバックコート層を有する面とは反対側の面に、感光性記録層を有する。
本発明における感光性記録層は、ポジ型であってもよく、ネガ型であってもよい。
ポジ型の感光性記録層としては、露光部が現像されて、未露光部が記録部(画像部)となる記録層であれば特に限定されないが、o−キノンジアジドを用いた記録層や、化学増幅機構を用いた記録層等が挙げられる。
また、ネガ型の感光性記録層としては、露光部が硬化して記録部(画像部)となる記録層であれば特に限定されないが、ラジカル重合性化合物を有する重合性感光層、酸架橋性物質を有する酸架橋性感光層等が挙げられる。
なお、平版印刷版原版表面がキズを受けることによって特に問題となるのは、キズ部分が硬化することによって印刷物の汚れの原因となるネガ型であり、本発明におけるバックコート層の効果がより顕著に現れる点から、特に、本発明における感光性記録層は、重合性ネガ型感光層であることが好ましい。
以下、本発明の感光性記録層として好適な重合性ネガ型感光層について詳述する。
〔重合性ネガ型感光層〕
本発明に係る重合性ネガ型感光層(以下、単に「感光層」と称する場合がある。)は、増感色素、重合開始剤、重合性化合物、及びバインダーポリマーを含有し、更に必要に応じて、着色剤や他の任意成分を含むことが好ましい。
本発明における重合性ネガ型感光層は、増感色素に応じたレーザに感応するため、CTPに有用な種々のレーザに感光することができる。例えば、増感色素として赤外線吸収剤を用いた場合について述べれば、重合性ネガ型感光層中に含まれる赤外線吸収剤は、赤外線レーザの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、感光層中に併存する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に化学変化を生起させてラジカルを生成させる。
この場合のラジカルの生成機構としては、1.赤外線吸収剤の光熱変換機能により発生した熱が、後述する重合開始剤(例えば、スルホニウム塩)を熱分解しラジカルを発生させる、2.赤外線吸収剤が発生した励起電子が、重合開始剤(例えば、活性ハロゲン化合物)に移動しラジカルをさせる、3.励起した赤外線吸収剤に重合開始剤(例えば、ボレート化合物)から電子移動してラジカルが発生する、等が挙げられる。そして、生成したラジカルにより重合性化合物が重合反応を起こし、露光部が硬化して画像部となる。
上記態様の平版印刷版原版は、重合性ネガ型感光層が増感色素として赤外線吸収剤を含有することにより、750nm〜1400nmの波長を有する赤外線レーザ光での直接描画される製版に特に好適であり、従来の平版印刷版原版に比べ、高い画像形成性を発現することができる。
本発明においては、赤外線吸収剤、重合開始剤(光又は熱によりラジカルを発生する化合物)、分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー、及びビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体を含有する重合性ネガ型感光層が、高感度である点から、好ましい態様である。
以下に、本発明に係る重合性ネガ型感光層を構成する各成分について説明する。
(増感色素)
本発明に係る感光層は、感度の観点から、レーザ露光における露光波長に適合する所定の波長の光を吸収する増感色素を含有する。
この増感色素が吸収し得る波長の露光により後述する重合開始剤のラジカル発生反応や、それによる重合性化合物の重合反応が促進されるものである。このような増感色素としては、公知の分光増感色素又は染料、又は光を吸収して光重合開始剤と相互作用する染料又は顔料が挙げられる。この増感色素が適合する波長のレーザ露光により高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動などが、後述する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に高感度で化学変化を生起させてラジカルを生成させるのに有用である。
増感色素の吸収する光の波長により、本発明における感光層は、紫外線から可視光線及び赤外線まで種々の波長に感応することができる。例えば、増感色素として赤外線吸収剤を用いる場合には、波長760nmから1200nmの赤外光に対して感応することになる。また、波長350nmから450nmに極大吸収波長を有する色素を用いることで、青色〜紫の可視光に対して感応することになる。
本発明に用いられる増感色素として好ましい分光増感色素又は染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)等が挙げられ、これらは、例えば、特開2005−250438公報の段落番号〔0188〕〜〔0258〕に詳細に記載され、ここに記載の化合物を適宜選択して本発明における増感色素として使用することができる。
中でも、本発明における感光層には、増感色素として、以下に詳述する赤外線吸収剤を含有することが好ましい。
赤外線吸収剤は、赤外線レーザの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、先にのべた電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動に加え、光熱変換機能により熱エネルギーが生成されるため、重合開始剤により高感度で化学変化を生起させるのに有用である。
本発明において使用される特に好ましい増感色素である赤外線吸収剤としては、750nm〜1400nmの波長に吸収極大を有する染料又は顔料が好ましく挙げられる。
染料としては、市販の染料及び例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明における赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2008139813
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2008139813
一般式(a)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、−NPh、X−L又は以下に示す基を表す。ここで、Xは酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、Lは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。
以下に示す基において、X は後述するZ と同様に定義され、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 2008139813
及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層形成用塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、RとRとは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar、Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y、Yは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Z は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZ は必要ない。好ましいZ は、感光層形成用塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例として更に、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
但し、対イオンとして、ハロゲンイオンを含有してないものが特に好ましい。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。この好ましい粒径の範囲において、感光層中における顔料の優れた分散安定性が得られ、均一な感光層が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤は、本発明に係る感光層に用いる場合、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
これらの増感色素、好ましくは赤外線吸収剤の添加量は、感光層中における均一性や感光層の耐久性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%の範囲であり、増感色素として染料を用いる場合には、特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料を用いる場合には、特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
(重合開始剤)
本発明に用いられる重合開始剤は、後述する重合性化合物の硬化反応を開始、進行させる機能を有し、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤、赤外線吸収剤の励起電子を受容してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤、又は、励起した赤外線吸収剤に電子移動してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤など、エネルギー(例えば、熱又は光)を付与することでラジカルを生成させるものであればいかなる化合物を用いてもよい。例えば、オニウム塩、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ボレート化合物などが挙げられる。これらは併用してもよい。本発明ではオニウム塩が好ましく、中でも、スルホニウム塩が特に好ましい。
本発明において好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤としては、下記一般式(I)で表されるオニウム塩が挙げられる。
Figure 2008139813
一般式(I)中、R11、R12及びR13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z11は有機又は無機の対イオンを表し、例えば、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンや該対イオンを構造内に有するものが好ましく、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンや、該対イオンを構造内に有するものである。
以下に、一般式(I)で表されるオニウム塩の具体例([OS−1]〜[OS−13])を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008139813
Figure 2008139813
上記したものの他、特開2002−148790公報、特開2002−148790公報、特開2002−350207公報、特開2002−6482公報に記載の特定の芳香族スルホニウム塩も好適に用いられる。
本発明においては、上記スルホニウム塩重合開始剤の他にも、他の重合開始剤(他のラジカル発生剤)を用いることができる。他のラジカル発生剤としては、スルホニウム塩以外の他のオニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などが挙げられ、中でも、高感度であることから、オニウム塩が好ましい。また、上記のスルホニウム塩重合開始剤を必須成分として、これらの重合開始剤(ラジカル発生剤)を併用することもできる。
本発明において好適に用い得る他のオニウム塩としては、ヨードニウム塩及びジアゾニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。
本発明における他のオニウム塩としては、下記一般式(II)及び(III)で表されるオニウム塩が挙げられる。
Figure 2008139813
一般式(II)中、Ar21とAr22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z21は(Z11と同義の対イオンを表す。
一般式(III)中、Ar31は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。(Z31は(Z11と同義の対イオンを表す。
以下に、本発明において、好適に用いることのできる一般式(II)で示されるオニウム塩([OI−1]〜[OI−11])、及び一般式(III)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008139813
Figure 2008139813
Figure 2008139813
本発明において重合開始剤(ラジカル発生剤)として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133696号公報に記載されたもの等を挙げることができる。
本発明においては、重合開始剤として、有機ホウ素塩や、トリハロアルキル置換化合物が好ましく用いられる。より好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物とを組み合わせて用いることである。また、有機ホウ素塩とオニウム塩の組み合わせも好ましく用いられる。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式(1)で表される。
Figure 2008139813
一般式(1)中、R11、R12、R13及びR14は、各々同じであっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R11、R12、R13及びR14の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンと同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、オニウムイオン及びカチオン性増感色素が挙げられる。
オニウムイオンとしては、アンモニウムイオン、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオン及びホスホニウムイオンが挙げられる。
有機ホウ素塩として、有機ホウ素アニオンとアルカリ金属イオン又はオニウムイオンとの塩を用いる場合には、別に増感色素を添加することで、色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与することが行われる。また、有機ホウ素塩として、カチオン性増感色素の対アニオンを有機ホウ素アニオンとした塩を用いる場合には、該カチオン性増感色素の吸収波長に応じて感光性が付与される。しかし、後者の場合は、更に、アルカリ金属イオン又はオニウムイオンと有機ホウ素アニオンとの塩を併せて含有するのが好ましい。
本発明に用いられる有機ホウ素塩としては、前記一般式(1)で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオン及びオニウムイオンが好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとオニウムイオンとの塩であり、具体的には、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。
特に好ましい有機ホウ素塩の具体例(BC−1)〜(BC−6)を下記に示す。
Figure 2008139813
Figure 2008139813
本発明において用いられるトリハロアルキル置換化合物とは、具体的には、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物として、s−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物の特に好ましい具体例(T−1)〜(T−15)、及び、トリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい具体例(BS−1)〜(BS−10)を下記に示す。
Figure 2008139813
Figure 2008139813
Figure 2008139813
本発明においては、重合開始剤として、有機過酸化物を用いることもできる。有機過酸化物としては、例えば、クメンヒドロペルオキシド、第3ブチルヒドロペルオキシド、ジクロルペルオキシド、ジ第3ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、及び下記に示す構造を有する化合物等が挙げられる。
Figure 2008139813
なお、本発明において用いられる重合開始剤(ラジカル発生剤)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
本発明における重合開始剤の総含有量は、感度及び印刷時の非画像部に汚れの発生の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。
本発明における重合開始剤としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合は、例えば、好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤のみを複数種用いてもよいし、スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用してもよい。
スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用する場合、その含有比(質量比)としては、100/1〜100/50が好ましく、100/5〜100/25がより好ましい。
また、重合開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
本発明における感光層に、重合開始剤として好ましい、高感度のスルホニウム塩重合開始剤を用いる場合、ラジカル重合反応が効果的に進行し、形成された画像部の強度が非常に高いものとなる。従って、後述する保護層の高い酸素遮断機能とあいまって、高い画像部強度を有する平版印刷版を作製することができ、その結果、耐刷性が一層向上する。また、スルホニウム塩重合開始剤はそれ自体が経時安定性に優れていることから、作製された平版印刷版原版を保存した際にも、所望されない重合反応の発生が効果的に抑制されるという利点をも有することになる。
(重合性化合物)
本発明に用いられる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(IV)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH・・・一般式(IV)
(ただし、R及びRは、H又はCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
本発明における重合性化合物としては、ビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー(以下、適宜、特定モノマーと称する。)も好ましく用いることができる。
前述した重合開始剤(ラジカル発生剤)より発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により効果的に架橋を行うため、この成分を含むことで、高感度で、加熱処理を必要としないネガ型の感光層とすることができる。
本発明における特定モノマーは、代表的には、下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2008139813
一般式(3)中、Zは連結基を表し、R21、R22、及びR23は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。R24は置換可能な基又は原子を表す。mは0〜4の整数を表し、kは2以上の整数を表す。
一般式(3)で表される化合物について更に詳細に説明する。Zの連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R)−、−C(O)−O−、−C(R)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環構造、及びベンゼン環構造等の単独若しくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR及びRは、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
で表される連結基を構成する複素環構造としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環構造は更に、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。
また、R24で表される置換可能な基又は原子としては、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、更に、これらの基又は原子は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。
上記一般式(3)で表される化合物の中でも、下記に示す構造を有するものが好ましい。即ち、一般式(3)におけるR21及びR22は水素原子で、R23は水素原子若しくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、kは2〜10の整数である化合物が好ましい。
以下に、一般式(3)で表される化合物の具体例(C−1)〜(C−11)を示すが、これらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008139813
Figure 2008139813
Figure 2008139813
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部、即ち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、感光層を構成する他の成分(例えば、バインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させ得ることがある。
また、本発明の平版印刷版原版では、後述の支持体や保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
感光層中の付加重合性化合物の含有量に関しては、感度、相分離の発生、感光層の粘着性、更には、現像液からの析出性の観点から、感光層中の固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは40〜75質量%の範囲で使用される。
また、付加重合性化合物は単独で用いても2種以上併用してもよい。その他、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。更に、本発明の平版印刷版原版では、下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
(バインダーポリマー)
本発明に用いられるバインダーポリマーは、膜性向上の観点から含有されるものであって、膜性を向上させる機能を有していれば、種々のものを使用することがすることができる。
−特定バインダーポリマー(1)−
本発明において好適なバインダーポリマーとしては、下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーが挙げられる。
以下、一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを、適宜、特定バインダーポリマー(1)と称し、詳細に説明する。
Figure 2008139813
一般式(i)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR−を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。
まず、一般式(i)におけるRは、水素原子又はメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。
一般式(i)におけるRで表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す総原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。より具体的には、Rで表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(i)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
また、より具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレンなどが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有していてもよい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
この中でも、一般式(i)におけるRで表される連結基は、炭素原子数3から30までの脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものを挙げることができる。また、Rは、置換基を含めて炭素数3から30であることが好ましい。
脂肪族環状構造を構成する化合物の任意の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で、一個以上置き換えられていてもよい。耐刷性の点で、Rは縮合多環脂肪族炭化水素、橋架け環脂肪族炭化水素、スピロ脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素原子数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
で表される連結基としては、特に、連結基の主骨格を構成する原子数が5〜10のものが好ましく、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl))、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl))、ヒドロキシシリル基(−Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl))、ジアリールボリル基(−B(aryl))、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH))及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
本発明の平版印刷版原版では、感光層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これら置換基は可能であるならば、置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(i)におけるAがNR−である場合のRは、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。このRで表される炭素数1〜10までの一価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。Rが有してもよい置換基としては、Rが導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、Rの炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(i)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
一般式(i)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
以下に、一般式(i)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008139813
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一般式(i)で表される繰り返し単位は、バインダーポリマー中に1種類だけであってもよいし、2種類以上含有していてもよい。本発明における特定バインダーポリマー(1)は、一般式(i)で表される繰り返し単位だけからなるポリマーであってもよいが、通常、他の共重合成分と組み合わされ、コポリマーとして使用される。コポリマーにおける一般式(i)で表される繰り返し単位の総含有量は、その構造や、感光層組成物の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜99モル%、より好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは5〜20モル%の範囲で含有される。
コポリマーとして用いる場合の共重合成分としては、ラジカル重合可能なモノマーであれば従来公知のものを制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマー類が挙げられる。このような共重合成分は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における特定バインダーポリマー(1)の分子量は、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定される。好ましい分子量としては、2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000の範囲である。
また、特定バインダーポリマー(1)の酸価(meq/g)としては、2.00〜3.60の範囲であることが好ましい。
本発明おける特定バインダーポリマー(1)は単独で使用してもよいし、他のバインダーポリマーを1種以上併用して、混合物として用いてもよい。
併用されるバインダーポリマーは、バインダーポリマー成分の総質量に対し1〜60質量%、好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%の範囲で用いられる。 併用できるバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダーや、ウレタンバインダー等や、後述するラジカル重合性基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
−併用可能な他のバインダーポリマー−
前記特定バインダーポリマー(1)と併用可能な他のバインダーポリマーは、ラジカル重合性基を有するバインダーポリマーであることが好ましい。
そのラジカル重合性基としては、ラジカルにより重合することが可能であれば特に限定されないが、α−置換メチルアクリル基[−OC(=O)−C(−CHZ)=CH、Z=ヘテロ原子から始まる炭化水素基]、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基が挙げられ、この中でも、アクリル基、メタクリル基が好ましい。
かかるバインダーポリマー中のラジカル重合性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、感度や保存性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
また、併用可能な他のバインダーポリマーは、更に、アルカリ可溶性基を有するものが好ましい。バインダーポリマー中のアルカリ可溶性基の含有量(中和滴定による酸価)は、現像カスの析出性や耐刷性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜3.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmol、最も好ましくは0.45〜1.0mmolである。
このようなバインダーポリマーの重量平均分子量は、皮膜性(耐刷性)や、塗布溶剤への溶解性の観点から、好ましくは2,000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜300,000、最も好ましくは20,000〜200,000の範囲である。
また、このようなバインダーポリマーのガラス転移点(Tg)は、保存安定性、耐刷性、及び感度の観点から、好ましくは70〜300℃、より好ましくは80〜250℃、最も好ましくは90〜200℃の範囲である。
バインダーポリマーのガラス転移点を高めるため手段としては、その分子中に、アミド基やイミド基を含有することが好ましく、特に、メタクリルアミドやメタクリルアミド誘導体を含有することが好ましい。
本発明において、更に、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号の各公報、特願平11−352691号明細書等に記載される、酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーを用いることもできる。バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
また、特開平11−171907号公報記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度を併せもち、好適である。
更に、この他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるために、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
好ましい実施様態においてバインダーポリマーは実質的に水不要でアルカリに可溶なものが用いられる。そうすることで、現像液として、環境上好ましくない有機溶剤を用いないか若しくは非常に少ない使用量に制限できる。このような使用法においてはバインダーポリマーの酸価(ポリマー1g当たりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり、好ましい分子量は質量平均分子量で3000から50万の範囲であり、より好ましくは、酸価が0.6〜2.0、分子量が1万から30万の範囲である。
なお、これらのバインダーポリマーは、必要に応じて、後述する特定バインダーポリマー(2)や特定バインダーポリマー(3)と併用することができる。
−特定バインダーポリマー(2)−
また、本発明におけるバインダーポリマーとしては、ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有するバインダーポリマー(以下、適宜、特定バインダーポリマー(2)と称する。)も好適に用いることができる。
ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有するバインダーポリマーとは、ビニル基が置換したフェニル基が直接若しくは連結基を介して主鎖と結合したものである。該連結基としては、特に限定されず、任意の基、原子、又はそれらの複合した基が挙げられる。また、前記フェニル基は、当該ビニル基の他に、置換可能な基若しくは原子で置換されていてもよく、かかる置換可能な基若しくは原子としては、具体的には、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基などが挙げられる。更に、前記ビニル基は、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていてもよい。
特定バインダーポリマー(2)としては、下記一般式(2)で表される基を側鎖に有するバインダーポリマーであることが好ましい。
Figure 2008139813
一般式(2)中、Zは連結基を表し、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等を表し、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。Rは置換可能な基又は原子を表す。nは0又は1を表し、mは0〜4の整数を表し、kは1〜4の整数を表す。
上記一般式(2)について更に詳細に説明する。
としては水素原子が好ましい。
また、Zで表される連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R)−、−C(O)−O−、−C(R)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基、及び下記構造式で表される基等の単独若しくは2以上が複合した基が挙げられる。ここで、R及びRは、それぞれ、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
Figure 2008139813
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していてもよい。
前記一般式(2)で表される基を側鎖に有するバインダーポリマーの具体例としては、下記に示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、構造式中、数字は、共重合体の全組成100質量%中における各繰り返し単位の質量%を表す。
Figure 2008139813
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特定バインダーポリマー(2)の重量平均分子量としては、5000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜500,000であることがより好ましく、20,000〜300,000であることが更に好ましい。
−特定バインダーポリマー(3)−
また、アリル基を有する有機ポリマーも、本発明におけるバインダーポリマーとして好適に用いることができる。
特に、0.7meq/g〜8.0meq/gのアリル基(即ち、1グラム当たり7×10−4モル〜8.0×10−3モルのアリル基)を含有するバインダーポリマーが好ましい。以下、このバインダーポリマーを特定バインダーポリマー(3)と称して説明する。
特定バインダーポリマー(3)は、アクリル酸アリル、及び/又は、メタクリル酸アリルのポリマー又はコポリマーであることが好ましい。
より具体的には、ポリメタクリル酸アリル等のホモポリマー、上記アクリル酸アリル、及び/又は、メタクリル酸アリルと、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、これらのアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレン、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の他のモノマーと、のコポリマーが含まれる。
特定バインダーポリマー(3)の別の好ましい例としては、ペンダントアリル基、又は末端アリル基のいずれでもよいアリル基を有するポリウレタン(以下、アリル基含有ポリウレタンと称する。)が挙げられる。
アリル基を有するポリウレタンは、ジイソシアナートを過剰のアリル基を有するジオールと反応させてポリウレタンを生成させることにより調製することができる。
また、ジイソシアナートをジメチロールプロピオン酸等のカルボキシル基を有するジオールと反応させることにより、カルボキシル基を有するポリウレタンを調製し、このカルボキシル基を、例えば、アリルアルコールとエステル化することによりアリルエステル基に転化することで、アリル基を有するポリウレタンを得ることができる。
アリル基を有するジオールとしては、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、及びトリメチロールプロパンアリルエーテルが挙げられる。また、アリルエステル基を有するジオールとしては、アリル4,4−ビス(ヒドロキシエチルオキシフェニル)−ペンタノアート、及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパノアートが挙げられる。好ましいジオールは、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール:(HO)CH−CH(OH)−CH−O−CH−CH=CHである。
これらのアリル基を有するジオールは、単独又は組み合わせで、或いは、更にアリル基を含まないジオールとの組み合わせで用いることができる。但し、これらのジオールは、得られるポリマー中に0.7meq/g〜8.0meq/gの範囲でアリル基が存在するような条件のもとで、使用される。
なお、本発明において用いられる、アリル基を含まないジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。
アリル基を有するポリウレタンは、酸基、すなわちpKが7以下の基(例えば、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基)を含んでいてもよい。このようなポリウレタンは、アリル基を有するジオールと1つ又は複数の酸基を含むジオールとの混合物の過剰量を、上記のようにジイソシアナートと反応させることによって得られる。1つ又は複数の酸基を含む有用なジオールとしては、例えば、ジアルカノールアルキルスルホン酸、ジアルカノールアルキルリン酸、及びジアルカノールアルキルホスホン酸が挙げられる。
アリル基及び酸基を有するポリウレタンは、カルボキシル基及びアリル基を有するポリウレタンであることが好ましい。カルボキシル基及びアリル基を有するポリウレタンは、ジイソシアナートを、過剰の、アリル基を有するジオール及びカルボキシル基を有するジオールの混合物と反応させて、ポリウレタンを生成させることによって得られる。
このジオールの混合物における混合比は、得られるポリマー中に0.7meq/g〜8.0meq/gの範囲でアリル基が存在するような条件のもとで、決定される。
カルボキシル基を有するジオールとして有用なものは、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、(2,2−ジメチロールプロパン酸)、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロパン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタン酸、及び酒石酸等のジアルカノールアルカン酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等のジヒドロキシ安息香酸、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、又は2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等の酸二無水物と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオールと、の反応生成物のような酸二無水物に、ジオールを反応させることにより得られるジヒドロキシジカルボン酸が挙げられる。
また、ポリウレタンを合成する際に用いられるイソシアナートとしては、芳香族及び/又は脂肪族ジイソシアナートを使用することができる。
芳香族ジイソシアナートとしては、例えば、2,4−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、p−キシレンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、及び3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアナートが挙げられる。
脂肪族ジイソシアナートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、4,4−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアナート)、メチルシクロヘキサン−2,4−及び2,6−ジイソシアナート、及び1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
なお、本発明においては、芳香族ジイソシアナートの方が好ましく用いられる。
以上のような特定バインダーポリマー(3)は、ゲルパーミエーショオンクロマトグラフィーにより測定して、5,000〜1,000,000、好ましくは100,000以下、より好ましくは75,000以下、更により好ましくは50,000以下の重量平均分子量を有する。
特定バインダーポリマー(3)分子は、線状分子又は枝分かれ分子であってよく、好ましくは、1から5の多分散性を有するものである。
また、特定バインダーポリマー(3)は、0〜70mgKOH/gの酸価を有することが好ましく、0〜50mgKOH/gの酸価を有することがより好ましく、0〜30mgKOH/gの酸価を有することが更に好ましい。
本発明において、感光層中のバインダーポリマーの総量は、適宜決めることができるが、感光層中の不揮発性成分の総質量に対し、通常、10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
また、後述する重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
(その他の成分)
本発明に係る感光層には、以上の基本成分の他に、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
−着色剤−
本発明に係る感光層には、その着色を目的として、染料若しくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての製版後の画像の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料があり、中でも、カチオン性染料が好ましい。
また、着色剤としては、上記のような検版性に加え、重合禁止効果を有する吸収極大を500nm〜700nmの範囲に有する染料を用いてもよい。この染料としては、特開2005−107389号公報の段落番号〔0013〕〜〔0017〕に記載のものが用いられる。
着色剤としての染料及び顔料の添加量は、感光層中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
−重合禁止剤−
本発明に係る感光層や、感光層を形成する際に用いられる感光層形成用塗布液においては、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合禁止剤の添加量は、感光層(又は感光層形成用塗布液)中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層(又は感光層形成用塗布液)中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
−重量平均分子量が3,000以下であり、かつ、カルボン酸基少なくとも1つ有する化合物−
本発明に係る感光層には、重量平均分子量が3,000以下であり、かつ、カルボン酸基少なくとも1つ有する化合物(以下、適宜、特定カルボン酸化合物と称する。)を含有させてもよい。この特定カルボン酸化合物は、例えば、置換基を有していてもよい脂肪族カルボン酸、置換基を有してもよい芳香族カルボン酸、及び、置換基を有していてもよい複素環に直接連結したカルボン酸等の化合物から選択することができる。これらの中でも、フタル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、ピロメリト酸誘導体、コハク酸誘導体、安息香酸誘導体、及びグリシン誘導体等が好適に挙げられる。
本発明において、特定カルボン酸化合物の重量平均分子量は3000以下であり、60〜2000の範囲であることがより好ましく、100〜1500の範囲であることが更に好ましい。重量平均分子量が3000を越えると、特定カルボン酸化合物が支持体に吸着する場合があり好ましくない。
以下に、本発明に好適に用いられる特定カルボン酸化合物の具体例(化合物No.1〜No.20)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008139813
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特定カルボン酸化合物の含有量は、感光層を構成する全固形分に対して、0.5質量%〜30質量%が好ましく、2質量%〜20質量%がより好ましい。
なお、特定カルボン酸化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
−その他の添加剤−
更に、本発明に係る感光層には、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が挙げられる。
これらの可塑剤、バインダーポリマーと重合性化合物との合計質量に対し一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。
また、本発明に係る感光層において、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するために、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加も行うことができる。
本発明における重合性ネガ型感光層は、支持体上に、上述の各種成分を適当な溶媒に溶解した塗布液(感光層形成用塗布液)を調製し、これを支持体又は後述する下塗り層上に塗布することにより形成される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、感光層形成用塗布液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
本発明において、感光層の被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響し得るもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。
走査露光に対応しうる平版印刷版原版としては、その被覆量は、乾燥後の質量で約0.1g/m〜約10g/mの範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/mである。
〔保護層〕
本発明の平版印刷版原版は、感光性記録層上に保護層を有していてもよい。以下、保護層について詳述する。
この保護層は、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光性記録層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できるものであることが望ましい。このような保護層に関する工夫は、従来より種々なされており、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。このような保護層を本発明の平版印刷版原版にも適用することができる。
また、本発明の平版印刷版原版における感光性記録層は、前述のように、増感色素、重合開始剤、重合性化合物、及びバインダーポリマーを含有する重合性ネガ型感光層であることが好ましい態様である。この重合性ネガ型感光層上には、露光時において大気中の酸素を遮断して重合阻害作用を呈する酸素遮断能を有する保護層を有することが好ましい。一方で、保存時の安定性或いはセーフライト適性の観点からは、暗重合防止作用を呈する程度の酸素透過能を有することも望ましく、両機能を有する程度の酸素遮断性を有する保護層とすることが望ましい。
(水溶性高分子化合物)
保護層に主成分として用いられる材料としては、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが挙げられる。その他の有用な水溶性高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ゼラチン及びアラビアゴム等が挙げられる。
これらは単独又は併用して用いてもよい。
これらの中で、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性に最も良好な結果を与える。
保護層に使用しうるポリビニルアルコールは、必要とされる酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。
上記の共重合体としては、88〜100%加水分解されたポリビニルアセテートクロロアセテート又はプロピオネート、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール及びそれらの共重合体が挙げられる。
好適に用いられるポリビニルアルコールとしては、ケン化度が71〜100%、分子量が200〜2400の範囲のものを挙げることができる。良好な酸素遮断性、優れた被膜形成性と低接着性表面を有するという観点で、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコールを用いることがより好ましい。
ポリビニルアルコールとしては市販品を用いることもできる。市販のポリビニルアルコールとしては、具体的には、株式会社クラレ製の、PVA−102、PVA−103、PVA−104、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−135H、PVA−HC、PVA−617、PVA−624、PVA−706、PVA−613、PVA−CS、PVA−CST、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、L−8、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセノールNL−05、NM−11、NM−14、AL−06、P−610、C−500、A−300、AH−17、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、JF−04、JF−05、JF−10、JF−17、JF−17L、JM−05、JM−10、JM−17、JM−17L、JT−05、JT−13、JT−15等が挙げられる。
更に、ポリビニルアルコールを酸変性したものも好適に用いられる。具体的には、イタコン酸やマレイン酸変性のカルボキシ変性ポリビニルアルコールやスルホン酸変性ポリビニルアルコールが好適なものとして挙げられる。これら酸変性ポリビニルアルコールもケン化度が91モル%以上のものが、より好ましく使用できる。
具体的な酸変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、株式会社クラレ製の、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、MP−102、R−2105、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセナールCKS−50、T−HS−1、T−215、T−350、T−330、T−330H、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、AF−17、AT−17等が挙げられる。
水溶性高分子化合物は、平版印刷原版の感度や、平版印刷版原版を積層した場合における平版印刷版原版同士の接着の抑制などを考慮すると、保護層中の全固形分量に対して、45〜95質量%の範囲で含有されることが好ましく、50〜90質量%の範囲で含有されることがより好ましい。
また、水溶性高分子化合物は、保護層中に、少なくとも1種を用いればよく、複数種を併用してもよい。複数種の水溶性高分子化合物を併用した場合でも、その合計の量(質量%)が上記の範囲であることが好ましい。
一方で、保護層においては、感光性記録層(重合性ネガ型感光層)の画像部との密着性や、皮膜の均一性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性高分子化合物からなる親水性の層を親油性の感光性記録層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。例えば、米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、記録層の上に積層することにより、充分な接着性が得られることが記載されている。これらの公知の技術をいずれも適用することはもちろん可能である。
本発明においては、感光性記録層(重合性ネガ型感光層)との接着力、感度、不要なカブリの発生性の観点から、保護層にポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを併用してもよい。この場合の添加量比(質量比)は、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドンが、3/1以下であることが好ましい。また、ポリビニルピロリドンの他にも、比較的結晶性に優れている、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、及びこれらの共重合体なども、ポリビニルアルコールと併用することができる。
−フィラー−
本発明における保護層には、前記水溶性高分子化合物に加え、フィラーを含有することが好ましい。フィラーを含有することによって、感光性記録層(重合性ネガ型感光層)の表面の耐キズ性の向上が図れ、更には、平版印刷版原版を、合紙を介することなく積層した場合に生じる隣接する平版印刷版原版との接着が抑制され、平版印刷版原版同士の剥離性を優れたものとすることができる。これにより、ハンドリング性が向上するという利点をも有することになる。
かかるフィラーとしては、有機フィラー、無機フィラー、無機−有機複合フィラー等のいずれでもよく、またこれらのうち、2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは無機フィラーと有機フィラーとの併用である。
フィラーの形状は、目的に応じて適宜選択されるが、例えば、繊維状、針状、板状、球状、粒状(なお、ここで「粒状」とは「不定形状の粒子」を指し、以下、本明細書において同じ意味で用いる。)、テトラポット状及びバルーン状等が挙げられる。これらのうち、好ましいものは板状、球状、粒状である。
有機フィラーとしては、例えば、合成樹脂粒子、天然高分子粒子等が挙げられる。有機フィラーとして好ましくは、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、カルボキシメチルセルロールス、ゼラチン、デンプン、キチン、キトサン等の樹脂粒子であり、より好ましくはアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂粒子が挙げられる。
有機フィラーとしては市販品を用いることもできる。
保護層に添加する有機フィラーに好適な市販のフィラーとしては、具体的には、三井化学製の、ケミパールW100、W200、W300、W308、W310、W400、W401、W4005、W410、W500、WF640、W700、W800、W900、W950、WP100、綜研化学製の、MX−150、MX−180、MX−300、MX−500、MX−1000、MX−1500H、MX−2000、MR−2HG、MR−7HG、MR−10HG、MR−3GSN、MR−5GSN、MR−2G、MR−7G、MR−10G、MR−20G、MR−5C、MR−7GC、SX−130H、SX−350H、SX−500H、SGP−50C、SGP−70C、積水化成品工業製の、MBX−5、MBX−8、MBX−12、MBX−15、MBX−20、MB20X−5、MB30X−5、MB30X−8、MB30X−20、SBX−6、SBX−8、SBX−12、SBX−17等が挙げられる。
フィラーの粒子サイズ分布は、単分散でも多分散でもよいが、単分散が好ましい。フィラーの大きさは、平均粒子径が1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは、平均粒子径が2〜15μm、更に好ましくは、平均粒子径が3〜10μmである。これらの範囲内とすることにより、上記本発明の効果がより有効に発現される。
有機フィラーの含有量は、保護層の全固形分量に対し、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは、2〜10質量%である。
無機フィラーとしては、金属及び金属化合物(例えば、酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、窒化物、炭化物、硫化物及びこれらの少なくとも2種以上の複合化物等)が挙げられ、具体的には、雲母、硝子、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ジルコン、酸化錫、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、硼酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硼酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化チタン、塩基性硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ、炭化珪素、炭化チタン、硫化亜鉛及びこれらの少なくとも2種以上の複合化物等が挙げられる。
無機フィラーとして好ましくは、雲母、硝子、アルミナ、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、硼酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
これらのうち、保護層に特に好適な無機フィラーとしては、雲母に代表される無機質の層状化合物が挙げられる。
保護層中に無機質の層状化合物を用いることにより、酸素遮断性は更に高まり、また、保護層の膜強度が一層向上して耐キズ性が向上する他、保護層にマット性を付与することができる。その結果、保護層は、酸素等の遮断性に加え、変形などによる劣化やキズの発生を抑制することが可能となる。更に、保護層にマット性を付与することによって、平版印刷版原版を積層した場合には、平版印刷版原版の保護層表面と隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着を抑制することが可能となる。
無機質の層状化合物としては、例えば、一般式:A(B,C)−5D10(OH,F,O)〔ただし、Aは、K,Na,Caの何れか、B及びCは、Fe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母などが挙げられる。
雲母として具体的には、天然雲母としては、白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母、及び鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四ケイ素雲母KMg2.5(Si10)F等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si10)F、Na又はLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si10)F等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に、合成スメクタイトも有用である。
雲母の中でも、フッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。即ち、この膨潤性合成雲母は、1〜1.5nm程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に、層間の陽イオンがLi、Naの場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に、膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
雲母の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、例えば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
雲母の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。具体的には、例えば、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは、厚さが1〜50nm、面サイズ(長径)が1〜20μm程度である。
フィラーとして無機質の層状化合物を用いる場合、保護層に含有される無機質の層状化合物の量は、積層した場合の平版印刷版原版同士の接着の抑制やキズ発生の抑制、レーザ露光時の遮断による感度低下、低酸素透過性などの観点から、保護層の全固形分量に対し、5〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜40質量%の範囲が特に好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これらの無機質の層状化合物の合計の量が上記の質量であることが好ましい。
無機質の層状化合物以外の無機フィラーの保護層に含有される量も同様に、保護層の全固形分量に対し、5〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜40質量%の範囲が特に好ましい。
保護層には、有機フィラーと無機フィラーとを混合して使用することも好ましく、混合比率は質量比で、1:1〜1:5の範囲が好適である。この場合における保護層へフィラーの含有量としては、保護層の全固形分量に対し、無機フィラー有機フィラーの合計量で5〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜40質量%の範囲がより好ましい。
保護層には、無機−有機複合フィラーを用いることもできる。無機−有機複合フィラーとしては、例えば、有機フィラーと無機フィラーの複合化物が挙げられ、複合化に用いられる無機フィラーとしては、金属粉体、金属化合物(例えば、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物及びこれらの複合化物等)の粒子が挙げられ、好ましくは酸化物及び硫化物等であり、より好ましくはガラス、SiO、ZnO、Fe、ZrO、SnO、ZnS、CuS等の粒子が挙げられる。
無機−有機複合フィラーの保護層への含有量としては、保護層の全固形分量に対し、5〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜40質量%の範囲がより好ましい。
本発明において用いうる無機−有機複合フィラーとしては、シリカ成分を含有するものであることが好ましく、中でも、フィラーの表面の一部がシリカ層で被覆されたシリカ被覆微粒子であることが特に好ましい。
フィラーの表面の少なくとも一部にシリカが存在することで、フィラーとバインダー(ポリビニルアルコールなど)との親和性向上が達成され、保護層に対して外部応力を受けた場合でもフィラーの脱落が抑制され、優れた耐傷性、耐接着性を維持することができる。本発明における「シリカ被覆」とは、このようにフィラーの表面の少なくとも一部にシリカが存在する状態を包含するものとする。
シリカ被覆微粒子のコアとなる無機−有機複合フィラーを構成する有機樹脂としては、先述べたようなフィラーに求められる物性を有する有機樹脂であれば制限なく使用することができ、具体的には、例えば、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポシキ系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
中でも、保護層の好ましいバインダーであるポリビニルアルコールとの親和性の観点から、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びメラミン樹脂などが好ましい。
また、フィラー表面を被覆するシリカ層を形成する材料としては、アルコキシシロキサン系化合物の縮合物などのアルコキシシリル基を有する化合物、特に、ゾル−ゲル方にて使用するシロキサン系材料、シリカゾル、コロイダルシリカ、シリカナノ粒子などのシリカ微粒子などが好ましく挙げられる。
シリカ被覆微粒子の構成としては、フィラー表面にシリカ微粒子が固体成分として付着しているものであっても、アルコキシシロキサン系化合物を縮合反応させてフィラー表面にシロキサン系化合物層を形成したものであってもよい。
シリカは必ずしもフィラー表面全域を被覆している必要はなく、少なくともフィラーに対し、0.5質量%以上の量で表面被覆していれば、上述の効果を得ることができる。
シリカの表面被覆状態は、走査型電子顕微鏡(TEM)等による形態観察により確認することができ、また、シリカの被覆量は、蛍光X線分析などの元素分析によりSi原子を検知し、そこに存在するシリカの量を算出することで確認することができる。
シリカ被覆微粒子の製造方法としては特に制限はなく、シリカ微粒子或いはシリカ前駆体化合物を、樹脂微粒子の原料となるモノマー成分と共存させてフィラー形成と同時にシリカ表面被覆層を形成させる方法であってもよく、また、フィラーを形成した後、シリカ微粒子を物理的に表面に付着させ、その後、固定化する方法をとってもよい。
シリカ被覆微粒子の製造方法の一例を挙げれば、まず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリル酸などの水溶性高分子やリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機系懸濁剤などから適宜選択される懸濁安定剤を含む水中に、シリカと、原料樹脂(より具体的には、前記した有機樹脂を構成する、懸濁重合が可能なモノマー、懸濁架橋が可能なプレポリマー、又は樹脂液などの原料樹脂)と、を添加、攪拌、混合して、シリカと疎水性原料樹脂とを分散させてなる懸濁液を調製する。その際、懸濁安定剤の種類、その濃度、攪拌回転数などを調節することにより、目的の粒径を有するエマルジョン(懸濁液)を形成することができる。次いで、この懸濁液を加温して反応を開始させ、樹脂原料を、懸濁重合又は懸濁架橋させることにより樹脂粒子を生成させる。このとき、共存するシリカが重合或いは架橋反応により硬化する樹脂粒子に、特に、その物性に起因して樹脂粒子表面近傍に、固定化される。その後、これを固液分離し、洗浄により粒子に付着している懸濁安定剤を取り除いて、乾燥させる。これにより、シリカが固定化された所望粒径の略球状の有機樹脂粒子が得られる。
このように、懸濁重合、或いは懸濁架橋の際に条件を制御して所望の大きさの樹脂を得ることもできるが、このような制御を厳密に行うことなくシリカ付着無機−有機複合フィラーを生成した後、メッシュ濾過法により所望の大きさのシリカ被覆微粒子を得ることもできる。
上記方法によりシリカ被覆微粒子を製造する際の混合物における原料の添加量としては、原料樹脂とシリカとの総量が100質量部の場合、まず、分散媒である水200〜800重量部に懸濁安定剤0.1〜20質量部を添加し、充分に溶解又は分散させ、その液中に、前記した100質量部の原料樹脂とシリカとの混合物を投入し、分散粒子が所定の粒度になるように攪拌速度を調整しながら攪拌し、この粒度調整を行った後に液温を30〜90℃に昇温し、1〜8時間反応させればよい。
シリカ被覆微粒子の製造方法については、前記した方法はその一例であり、例えば、特開2002−327036公報、特開2002−173410公報、特開2004−307837公報、及び、特開2006−38246公報などに詳細に記載された方法も適用することができる。また、ここに記載の方法により得られるシリカ被覆微粒子はいずれも本発明に好適に使用することができる。
また、本発明に使用しうるシリカ被覆微粒子は市販品としても入手可能であり、具体的な例としては、シリカ/メラミン複合微粒子としては、日産化学工業(株)オプトビーズ2000M,オプトビーズ3500M,オプトビーズ6500M,オプトビーズ10500M,オプトビーズ3500S,オプトビーズ6500Sが挙げられる。シリカ/アクリル複合微粒子としては、根上工業(株)アートパールG−200透明,アートパールG−400透明,アートパールG−800透明,アートパールGR−400透明,アートパールGR−600透明,アートパールGR−800透明,アートパールJ−7Pが挙げられる。シリカ/ウレタン複合微粒子としては、根上工業(株)アートパールC−400透明,C−800透明,P−800T,U−600T,U−800T,CF−600T,CF800T,大日精化(株)ダイナミックビーズCN5070D,ダンプラコートTHUが挙げられる。
シリカ被覆微粒子の硬度は、好ましくは、ビーゴ製Multimode AFMにHysitron社製Triboscopeを接続した装置で測定した場合で、0.0005〜0.20GPaであり、より好ましくは0.001〜0.15Gpaであり、最も好ましい硬度は、0.003〜0.010Gpaである。なお、この硬度は、シリカ被覆微粒子の材質やシリカ層の被覆量等により、適宜、調整することができる。
ここで、本発明における保護層が重層構造を有し、その上部保護層にシリカ被覆微粒子を添加させた場合には、シリカ被覆微粒子の硬度は、下部保護層の硬度と同じか、小さいことが好ましい。
また、シリカ被覆微粒子の形状は、真球状形状が好ましいが、平板形状若しくは楕円形状でもよい。
シリカ被覆微粒子の好ましい平均粒子径は1〜30μmφであり、更に好ましくは、1.5〜20μmφであり、もっとも好ましくは、2〜15μmφである。この範囲において十分なスペーサー機能、マット性能を発現することができ、保護層表面への固定化が容易で、外部からの接触応力に対しても優れた保持機能を有する。
特に、シリカ被覆微粒子の真比重は、0.90から1.30の範囲にあり、且つ、平均粒子径が2.0〜15μmであることが好ましく、真比重が、0.90から1.20の範囲にあり、3.0〜12μmであることがより好ましい。
保護層に対するシリカ被覆微粒子の好ましい添加量は、5〜1000mg/mであり、更に好ましくは、10〜500mg/mであり、もっとも好ましくは、20〜200mg/mである。
より具体的には、シリカ被覆微粒子の保護層固形分中の含有量は、表面マット効果の発現、感度、及び保護層表面からの粒子が離脱することなどの観点から、1.0質量%〜20質量%が好ましく、2.0質量%〜10質量%がより好ましい。
保護層の成分(ポリビニルアルコールや無機質の層状化合物の選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。
本発明において、保護層は単層に限らず、互いに異なる組成を有する複数の保護層を重層構造で設けることも可能である。重層構造の保護層の好ましい態様としては、記録層に近接して無機質の層状化合物を含有する保護層を下部保護層として設け、その表面に無機質の層状化合物と有機フィラーとを含有する保護層を上部保護層として、これらを順次積層する態様が挙げられる。
このような積層構造の保護層を設けることによって、最上層の保護層において、フィラーに起因する耐傷性、耐接着性の利点を十分に生かしながら、下部保護層の優れた酸素遮断性と相俟って、傷の発生及び所望されない酸素透過のいずれに起因する画像欠損も効果的に防止することができる。
本発明における保護層は、25℃−1気圧における酸素透過度が、0.5ml/m・day以上100ml/m・day以下であることが好ましく、このような酸素透過度を達成するように、塗布量を調整することが好ましい。
なお、保護層には、記録層を露光する際に用いる光の透過性に優れ、かつ、露光に関わらない波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(水溶性染料)を添加してもよい。これにより、感度を低下させることなく、セーフライト適性を高めることができる。
(保護層の形成)
保護層の形成は、特に制限されるものではなく、上記成分を含む保護層形成用塗布液を、感光性記録層(重合性ネガ型感光層)上に塗布することで実施される。例えば、米国特許第3,458,311号明細書、又は特開昭55−49729号公報に記載される方法も適用することができる。
以下、保護層の塗布方法の一例として、雲母等の無機質の層状化合物とポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物とを含有する保護層の塗布方法について詳述する。雲母等の無機質の層状化合物が分散する分散液を調製し、その分散液と、上記のポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物(又は、水溶性高分子化合物を溶解した水溶液)とを混合してなる保護層形成用塗布液を、感光性記録層(重合性ネガ型感光層)上に塗布することで保護層が形成される。
ここで、保護層に用いる雲母等の無機質の層状化合物の分散方法の例について述べる。
まず、水100質量部に先に雲母の好ましいものとして挙げた膨潤性雲母を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。一般には、上記の方法で分散した雲母の2〜15質量%の分散物は高粘度或いはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層形成用塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子化合物(又は、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子化合物を溶解した水溶液)と配合して調製するのが好ましい。
この保護層形成用塗布液には、塗布性を向上させための界面活性剤や、得られる被膜の物性改良のための水溶性可塑剤など、公知の添加剤を加えることができる。
水溶性可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。
更に、この塗布液には、記録層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
保護層の塗布量は、得られる保護層の膜強度や耐キズ性、画質の維持、セーフライト適性を付与するための適切な酸素透過性を維持する観点で、0.1g/m〜4.0g/mが好ましく、0.3g/m〜3.0g/mがより好ましい。
また、重層構造の保護層を設ける場合についても、その塗布方法には特に制限はなく、同時重層塗布を行う方法、逐次塗布して重層する方法のいずれも適用することができる。無機質の層状化合物を含有する下部保護層と無機質の層状化合物と有機フィラーとを含有する上部保護層との被覆量は、乾燥後の質量で、下部保護層が0.1g/m〜1.5g/mが好ましく、0.2g/m〜1.0g/mがより好ましく、上部保護層が0.1g/m〜4.0g/mが好ましく、0.2g/m〜3.0g/mがより好ましい。両者のバランスとしては、1:1〜1:5であることが好ましい。
〔支持体〕
本発明における支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は更に好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
本発明において最も好適な支持体としてのアルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。
このような支持体(アルミニウム支持体)には、後述の表面処理が施され、親水化される。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm〜400C/dmの範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm〜400C/dmの条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の表面粗さRaが0.2〜0.5μm程度であれば、特に、方法、条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理され酸化物層を形成したアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/mの範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/mの範囲に入るように処理条件が選択されることが好ましい。
前記支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m、より好ましくは4〜30mg/mで形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
前記親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
〔中間層(下塗り層)〕
本発明に係る平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層(下塗り層)を設けてもよい。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平11−38635号、特開平11−38629号、特開平10−282645号、特開平10−301262号、特開平11−24277号、特開平11−109641号、特開平10−319600号、特開平11−84674号、特開平11−327152号、特開2000−10292号、特開2000−235254号、特開2000−352854号、特開2001−209170号、特願平11−284091号等に記載のものを挙げることができる。
<製版方法>
以下、本発明の平版印刷版原版の製版方法について説明する。
本発明の平版印刷版原版は、記録層側の最表面と、バックコート層側の最表面とを直接接触させて複数枚積層してなる積層体(本発明の平版印刷版原版の積層体)を形成した後、この積層体をプレートセッター内にセットし、該平版印刷版原版を1枚ずつ自動搬送した後に、露光処理した後、現像処理を行なうことで製版できる。
本発明の平版印刷版原版は、版の間に合紙を挟み込むことなく積層しても、平版印刷版原版の間の密着性や、保護層へのキズの発生が抑制されるため、上記のような製版方法に適用することができる。また、その製版方法に、平版印刷版原版を合紙を挟み込むことなく積層した積層体(本発明の平版印刷版原版の積層体)を用いることができることから、合紙の除去が不必要となり、製版工程における生産性が向上する。
本発明の平版印刷版原版が、増感色素として赤外線吸収剤を有する重合性ネガ型感光層上に保護層を設けてなる構成の場合、保護層とバックコート層とを直接接触させて複数枚積層してなる積層体を、プレートセッター内にセットし、該平版印刷版原版を1枚ずつ自動搬送した後に、750nm〜1400nmの波長で露光処理した後、実質的に加熱処理を経ることなく、搬送速度が1.25m/分以上の条件にて現像処理を行なうことで製版できる。
〔露光〕
本発明における露光処理に用いられる光源としては、公知のものを制限なく用いることができる。光源の波長は300nm〜1200nmの範囲が好ましく、具体的には、各種レーザを光源として用いることができ、中でも、波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザを用いることができる。
光源としてはレーザが好ましく、例えば、350〜450nmの波長の入手可能なレーザ光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザとしては、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm,351nm,10mW〜1W)、He−Cdレーザ(441nm,325nm,1mW〜100mW)、固体レーザとして、Nd:YAG(YVO)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355mm、5mW〜1W)、Cr:LiS
AFとSHG結晶の組み合わせ(430nm,10mW)が挙げられる。半導体レーザ系としては、KNbO、リング共振器(430nm,30mW)、導波型波長変換素子と
AlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてNレーザ(337nm、パル
ス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)が挙げられる。
特に、この中でAlGaInN半導体レーザ(市販InGaN系半導体レーザ400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
その他、450nm〜700nmの入手可能な光源としてはArレーザ−(488n
m)、YAG−SHGレーザ(532nm)、He−Neレーザ(633nm)、He―Cdレーザ、赤色半導体レーザ(650〜690nm)があり、700nm〜1200nmの入手可能な光源としては半導体レーザ(800〜850nm)、Nd−YAGレーザ(1064nm)が好適に利用できる。
その他、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、紫外のレーザランプ(ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザなど)、可視の各種レーザランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等、放射線としては電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線なども利用できる。
上記の中でも、像露光に用いられる光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
特に、750nm〜1400nmの波長を露光光源として用いる場合、該波長の光を発するものならば特に際限なく使用できるが、好ましくは750nm〜1400nmの波長の赤外線を放射する固体レーザ、或いは半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。
レーザの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。平版印刷版原版に照射される単位あたりのエネルギー量は10〜300mJ/cmであることが好ましい。
本発明における露光処理では、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.1以上であることが好ましい。
本発明に使用する露光装置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
本発明においては、上述のように露光処理された平版印刷版原版は、加熱処理及び水洗処理を行ってもよい。
また、平版印刷版原版の種類によっては、例えば、重合性ネガ型感光層を有する場合には、特段の加熱処理及び水洗処理を行なうことなく、現像処理に供されてもよい。この加熱処理を行なわないことで、加熱処理に起因する画像の不均一性を抑制することができる。また、加熱処理及び水洗処理を行なわないことで、現像処理において安定な高速処理が可能となる。
〔現像〕
本発明における現像処理では、現像液を用いて、感光層の非画像部を除去する。
なお、本発明においては、上述のように、増感色素として赤外線吸収剤を有する重合性ネガ型感光層上に保護層を設けてなる構成の平版印刷版原版の場合、現像処理における処理速度、即ち、現像処理における平版印刷版原版の搬送速度(ライン速度)は、1.25m/分以上であることが好ましく、より好ましくは、1.35m/分以上である。また、搬送速度の上限値には特に制限はないが、搬送の安定性の観点からは、3m/分以下であることが好ましい。
以下、本発明に用いられる現像液について説明する。
(現像液)
本発明に用いられる現像液は、pH14以下のアルカリ水溶液であることが好ましく、また、芳香族アニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
(芳香族アニオン界面活性剤)
本発明における現像液に用いられる芳香族アニオン界面活性剤は、現像促進効果、重合性ネガ型の感光層成分及び保護層成分の現像液中での分散安定化効果があり、現像処理安定化において好ましい。中でも、本発明に用いられる芳香族アニオン界面活性剤としては、下記一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2008139813
上記一般式(A)又は一般式(B)において、R、Rは、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、中でも、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。
m、nは、それぞれ独立に、1〜100から選択される整数を表し、中でも、1〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、mが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。同じく、nが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
t、uは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
、Rは、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
p、qはそれぞれ、0〜2から選択される整数を表す。Y、Yは、それぞれ単結合、又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、特に単結合が好ましい。
(Zr+、(Zs+は、それぞれ独立に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、或いは、無置換又はアルキル基で置換されたアンモニウムイオンを表し、具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の範囲の、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基が置換した2級〜4級のアンモニウムイオンなどが挙げられ、特に、ナトリウムイオンが好ましい。r、sはそれぞれ、1又は2を表す。
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008139813
Figure 2008139813
これら芳香族アニオン界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。芳香族アニオン界面活性剤の添加量は、現像液中における芳香族アニオン界面活性剤の濃度が1.0〜10質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%の範囲とすることが効果的である。ここで、含有量が1.0質量%以下であると、現像性低下及び感光層成分の溶解性低下を招き、含有量が10質量%以上であると、印刷版の耐刷性を低下させる。
本発明に係る現像液には、前記芳香族アニオン界面活性剤以外に、その他の界面活性剤を併用してもよい。その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤である。
これらその他の界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で、0.1から10質量%が好ましい。
(2価金属に対するキレート剤)
本発明に係る現像液には、例えば、硬水に含まれるカルシウムイオンなどによる影響を抑制する目的で、2価金属に対するキレート剤を含有させることが好ましい。2価金属に対するキレート剤としては、例えば、Na、Na、Na、NaP(NaOP)PONa、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができ、中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩、;ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩が好ましい。
このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させる。
また、本発明に係る現像液には、現像調整剤として有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類を加えてもよい。例えば、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、クエン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウムなどを単独若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
(アルカリ剤)
本発明に係る現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、及び同リチウムなどの無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤等が挙げられる。本発明においては、これらを単独で用いてもよいし、若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
また、上記以外のアルカリ剤として、アルカリ珪酸塩を挙げることができる。アルカリ珪酸塩は塩基と組み合わせて使用してもよい。使用するアルカリ珪酸塩としては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであって、例えば珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウムなどがある。これらのアルカリ珪酸塩は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる現像液は、支持体の親水化成分としての珪酸塩の成分である酸化ケイ素SiOと、アルカリ成分としてのアルカリ酸化物MO(Mはアルカリ金属又はアンモニウム基を表す)との混合比率、及び濃度の調整により、最適な範囲に容易に調節することができる。酸化ケイ素SiOとアルカリ酸化物MOとの混合比率(SiO/MOのモル比)は、支持体の陽極酸化皮膜が過度に溶解(エッチング)されることに起因する放置汚れや、溶解アルミニウムと珪酸塩との錯体形成に起因する不溶性ガスの発生を抑制するといった観点から、好ましくは0.75〜4.0の範囲であり、より好ましくは0.75〜3.5の範囲で使用される。
また、現像液中のアルカリ珪酸塩の濃度としては、支持体の陽極酸化皮膜の溶解(エッチング)抑制効果、現像性、沈殿や結晶生成の抑制効果、及び廃液時における中和の際のゲル化防止効果などの観点から、現像液の質量に対して、SiO量として、0.01〜1mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mol/Lの範囲で使用される。
本発明において使用される現像液には、上記の成分の他に、必要に応じて以下のような成分を併用することができる。例えば、安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸;プロピレングリコール等の有機溶剤;この他、還元剤、染料、顔料、硬水軟化剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明に用いられる現像液は、25℃におけるpHが10〜12.5の範囲であることが好ましく、pH11〜12.5の範囲であることがより好ましい。本発明における現像液は、前記界面活性剤を含むため、このような低pHの現像液を用いても、非画像部において優れた現像性を発現する。このように、現像液のpHを比較的低い値とすることにより、現像時における画像部へのダメージを軽減するとともに、現像液の取扱い性にも優れる。
また、該現像液の導電率xは、2<x<30mS/cmであることが好ましく、5〜25mS/cmであることがより好ましい。
ここで、導電率を調整するための導電率調整剤として、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類等を添加することが好ましい。
上記の現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液及び現像補充液として用いることができ、自動現像機に適用することが好ましい。自動現像機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の製版方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
更に、自動現像機を用いて、現像液の処理能力を回復させるためには、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も好ましい。
本発明のより好ましい現像補充液は、アルミニウムイオンと水溶性キレート化合物形成能を有するオキシカルボン酸キレート剤と、アルカリ金属の水酸化物と、界面活性剤とを含有し、ケイ酸塩を含有せず、pH11〜13.5の水溶液であることを特徴とする現像補充液である。このような現像補充液を使用することにより、優れた現像性と版材の画像部の強度を損なうことの無い特性を有し、現像液のアルカリによりアルミニウム支持体が溶出されて形成する水酸化アルミニウムの析出が効果的に抑制され、自動現像機の現像浴ローラー表面への水酸化アルミニウムを主成分とする汚れの付着や、引き続く水洗浴内への水酸化アルミニウム析出物の蓄積が低減され、長期間安定に処理することができる。
このようにして現像処理された平版印刷版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。これらの処理を種々組み合わせて行ってもよい。
更に、現像後の平版印刷版は、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱若しくは、全面露光を行うこともできる。
現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。現像後の加熱温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じるおそれがある。
以上の処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、マルチクリーナー、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム(株)製)等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
〔合成例1:重合体(P−1)の合成〕
ビスムチオール(2,5−ジメルカプト−1,3−4−チアジアゾール)150gを600mlのメタノール中に懸濁させ、冷却しながらトリエチルアミン101gを徐々に添加し、均一な溶液を得た。室温下に保ちながらp−クロロメチルスチレン(セイミケミカル製、CMS−14)を10分に亘り滴下し、更に3時間攪拌を続けた。反応生成物が次第に析出し、攪拌後に氷浴に移し内温を10℃まで冷却した後、吸引濾過により生成物を分離した。メタノールにより洗浄を行い、真空乾燥器内で1昼夜乾燥することで収率75%で下記に示す化合物(モノマー)を得た。
Figure 2008139813
上記で得られたモノマー40gを、攪拌機、窒素導入管、温度計、還流冷却管を備えた1リッター4ツ口フラスコ内にとり、メタクリル酸70g及びエタノール200ml、蒸留水50mlを加え、攪拌しながら水浴上でトリエチルアミン110gを添加した。窒素雰囲気下で内温を70℃になるよう加熱し、この温度でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1g添加し、重合を開始した。6時間加熱攪拌を行い、その後重合系を室温まで冷却した。一部を取り出し、希塩酸を加えてpHを3程度に調整し、これを水中にあけることで下記に示す構造の重合体(ポリマー)を得た。
Figure 2008139813
上記の重合体の一部を取り出した残りの重合体溶液中に、1,4−ジオキサン100g及びp−クロロメチルスチレンを23g加え、室温で更に15時間攪拌を続けた。その後、濃塩酸(35〜37%水溶液)80〜90gを加え、系のpHが4以下になったことを確認後、3リッターの蒸留水中に全体を移した。析出した重合体を濾過により分離し、蒸留水にて洗浄を繰り返した後、真空乾燥器内で1昼夜乾燥した。これにより、収率90%で目的とする重合体(P−1)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定により、重量平均分子量9万(ポリスチレン換算)の重合体であり、更に、プロトンNMRによる解析により、重合体(P−1)の構造を支持するものであることが確認された。重合体(P−1)は、一般式(2)で表される基を側鎖に有するバインダーポリマー(特定バインダーポリマー(2))の具体例(P−1)として前記した化合物である。
〔合成例2:モノマー(C−5)の合成〕
チオシアヌル酸89gをメタノール1.5リッターに懸濁し、冷却しながら水酸化カリウム84gを溶解した30%水溶液を徐々に加え、均一な溶液を得た。これに、室温下でp−クロロメチルスチレン230gを内温が40℃を越えないよう徐々に滴下した。添加後まもなく生成物が析出してくるが攪拌を続け、3時間攪拌を行った後に吸引濾過により
生成物を分離した。メタノールにより洗浄を行い、真空乾燥器内で一昼夜乾燥を行った後、90%の収率で、モノマー(C−5)を得た。モノマー(C−5)は、一般式(3)で表される化合物(特定モノマー)の具体例(C−5)として前記した化合物である。
〔合成例3:重合体(P−2)の合成〕
N,N−ジメチルアセトアミド(352.1g)を、マントルヒーター、温度調節器、機械攪拌機、コンデンサー、等圧滴下ロートおよび窒素導入管を取り付けた1リットルの4つ口フラスコに仕込んだ。次いで、4,4’−メチレン−ビス(フェニルイソシアナート)(150.4g)(0.6mol)を、室温で攪拌しながらゆっくりと加えた。10分後、2,2−ジメチロールプロパン酸(40.2g)(0.3mol)を周囲温度で加えた。反応混合物の温度が、57℃まで上昇した。次いで、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール(43.6g)(0.33mol)を30分にわたって加えた。その反応混合物をさらに2時間攪拌し、重合体(P−2)を含む透明溶液を得た。反応の完了は、2275cm−1におけるイソシアナートの赤外吸収帯の消失により判定した。なお、得られた透明溶液は、不揮発分40%においてZの動粘度(ガードナー−ホルト)を有していた。
次いで、重合体(P−2)を含む透明溶液を、シルバーストンモデル#L4RT−A(Silverston Model #L4RT−A)多目的高せん断ラボラトリーミキサーを用いて6000rpmで攪拌しながら水(4.5Kg)と氷(1.5Kg)を加えて、重合体(P−2)を粉末状に沈殿させた。その混合物を、シリーズ2000、モデル#84、ラボラトリーディスパーセータ(Series 2000, Model #84, Laboratory Dispersator)を用いて、約10から15分間、4000rpmで攪拌した。さらに、重合体(P−2)を濾別し、乾燥オーブン中60℃で乾燥した。重合体(P−2)は、該重合体1グラム当たり約1.41meqのアリル基を有していた。また、重合体(P−2)の酸価は、該重合体1グラム当たり57mgのKOHであった。更に、重合体(P−2)の重量平均分子量は100,000である。
この重合体(P−2)は、特定バインダーポリマー(3)に相当する。
〔実施例1〕
(支持体の作製)
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液でエッチング処理を行い、アルミニウム板を5g/m溶解した。その後水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%、アンモニウムイオン0.007質量%含む)、温度30℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/cmであった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後水洗を行った。
(d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液でスプレーによるエッチング処理を35℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)の水溶液中、温度33℃、電流密度が5(A/dm)で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜重量が2.7g/mであった。
このようにして得られたアルミニウム支持体の表面粗さRa、表面積比ΔS、急峻度a45は、それぞれ、Ra=0.27(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)、ΔS=75%、a45=44%(測定機器;セイコーインスツルメンツ社製SPA300/SPI3800N)であった。
(バックコート層の形成)
次に、下記バックコート層塗布液[BC−1]を調製し、上記のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて100℃で70秒間行い、バックコート層を形成した支持体を得た。このバックコート層の全塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.46g/m2であった。
<バックコート層塗布液[BC−1]>
・ロジン変性フェノール樹脂
(商品名:タマノル386、荒川化学工業(株)製) 0.01g
・エポキシ樹脂
(商品名:jER1009、下記構造、
ジャパンエポキシレジン(株)製) 0.99g
Figure 2008139813

・フッ素系界面活性剤
(メガファックF−780−F、大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液) 0.005g
・メチルエチルケトン 12.3g
・1−メトキシ−2−プロパノール 1.3g
(下塗り層の形成)
次に、アルミニウム支持体の上記バックコート層が形成された面とは反対の面に、下記下塗り層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、100℃10秒間乾燥した。塗布量は10mg/mであった。
<下塗り層用塗布液>
・下記構造の高分子化合物A(重量平均分子量:10,000) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
Figure 2008139813
(感光層の形成)
下記感光層形成用組成物Aを調製し、上記のように形成された下塗り層上に、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の塗布質量が1.4g/mとなるように塗布し、125℃で34秒乾燥させ、感光層A(感光性記録層)を形成した。
<感光層形成用組成物A>
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.038g
・重合開始剤(S−1) 0.061g
・重合開始剤(I−1) 0.094g
・メルカプト化合物(E−1) 0.015g
・重合性化合物(M−1)
(商品名:A−BPE−4、新中村化学工業(株)製) 0.425g
・バインダーポリマー(B−1) 0.311g
・バインダーポリマー(B−2) 0.250g
・バインダーポリマー(B−3) 0.062g
・添加剤(T−1) 0.079g
・重合禁止剤(Q−1) 0.0012g
・エチルバイオレット(EV−1) 0.021g
・フッ素系界面活性剤 0.0081g
(メガファックF−780−F、大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 5.886g
・メタノール 2.733g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.886g
なお、感光層用塗布液Aに用いた、、赤外線吸収剤(IR−1)、重合開始剤(S−1)、重合開始剤(I−1)、メルカプト化合物(E−1)、重合性化合物(M−1)、バインダーポリマー(B−1)、バインダーポリマー(B−2)、バインダーポリマー(B−3)、添加剤(T−1)、重合禁止剤(Q−1)、及びエチルバイオレット(EV−1)の構造を以下に示す。
Figure 2008139813
Figure 2008139813
Figure 2008139813
(下部保護層の形成)
形成された感光層表面に、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業株式会社製)界面活性剤A(日本エマルジョン社製、エマレックス710)及び界面活性剤B(アデカプルロニックP-84:旭電化工業株式会社製)の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で30秒間乾燥させた。
この混合水溶液(保護層用塗布液)中の合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/界面活性剤A/界面活性剤Bの含有量割合は、7.5/89/2/1.5(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/mであった。
(上部保護層の形成)
下部保護層表面に、有機フィラー(アートパールJ−7P、根上工業(株)製)、合成雲母(ソマシフMEB−3L、3.2%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(L−3266:ケン化度87モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業株式会社製)、増粘剤(セロゲンFS−B、第一工業製薬(株)製)、高分子化合物A(前記構造)、及び界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で75秒間乾燥させた。
この混合水溶液(保護層用塗布液)中の有機フィラー/合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/増粘剤/高分子化合物A/界面活性剤の含有量割合は、4.7/2.8/67.4/18.6/2.3/4.2(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は1.2g/mであった。
このようにして、実施例1の平版印刷版原版を得た。
〔実施例2〜12〕
実施例1のバックコート層用塗布液の組成において、ロジン及び併用される他の樹脂について、その種類及び添加率を下記表1に記載されるように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜14の平版印刷版原版を得た。
なお、実施例2〜12に用いたロジン及び他の樹脂の詳細は、以下の通りである。
エステルガムHP:ロジンエステル、荒川化学工業(株)製
ケミット1294:ポリエステル樹脂、東レ株式会社製
エスレックKS−10:ポリアセタール樹脂、積水化学工業株式会社製
〔実施例13〕
実施例3における重合構造の保護層を、下記に示す方法で形成される単層構造の保護層に代えた以外は、実施例3と同様にして、実施例13の平版印刷版原版を得た。
(単層構造の保護層の形成)
感光層表面に、合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)、ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業株式会社製)、及び界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃で75秒間乾燥させた。
この混合水溶液(保護層用塗布液A)中の、合成雲母(固形分)/ポリビニルアルコール/界面活性剤の含有量割合は、16/82/2(質量%)であり、塗布量は(乾燥後の被覆量)は1.6g/m2であった。
〔実施例14〕
実施例13における保護層用塗布液Aから合成雲母を除いた他は、実施例13と同様にして、実施例14の平版印刷版原版を得た。
保護層用塗布液Aは、ポリビニルアルコール/界面活性剤の含有量割合が98/2(質量%)である。
〔実施例15〕
実施例1のバックコート層用塗布液の組成において、ロジン及び併用される他の樹脂について、その種類及び添加率を下記表1に記載されるように変更した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム支持体上にバックコート層を形成した。
次に、アルミニウム支持体の上記バックコート層が形成された面とは反対の面に、下記の感光層形成用塗布液Bを乾燥後の厚みが1.4μmになるように塗布し、70℃の乾燥器内で5分間乾燥を行い、感光層B(感光性記録層)を形成した。
このようにして、実施例15の平版印刷版原版を得た。
<感光層形成用塗布液B>
・重合体(P−1) 10質量部
・重合開始剤(BC−6) 2質量部
・重合開始剤(T−4) 2質量部
・モノマー(C−5) 3.5質量部
・赤外線吸収剤(IR−2) 0.5質量部
・染料(D−4) 0.3質量部
・ジオキサン 70質量部
・シクロヘキサン 20質量部
感光層形成用塗布液Bに用いた、重合体(P−1)は前述の合成例1で得られた重合体であり、また、モノマー(C−5)は前述の合成例2で得られたモノマーである。
重合開始剤(BC−6)、重合開始剤(T−4)、赤外線吸収剤(IR−2)、及び、染料(D−4)の構造を以下に示す。
Figure 2008139813
〔実施例16〕
実施例15において、バックコート層用塗布液の組成中のロジン及び併用される他の樹脂について、その種類及び添加率を下記表1に記載されるように変更した以外は、実施例15と同様にして、実施例16の平版印刷版原版を得た。
〔実施例17〕
実施例1で用いたものと同じアルミニウム板に、ポリ(ビニルホスホン)酸後処理をした電気化学的研磨と陽極酸化により表面処理を行い、アルミニウム支持体を作製した。
次いで、実施例1のバックコート層用塗布液の組成において、ロジン及び併用される他の樹脂について、その種類及び添加率を下記表1に記載されるように変更した以外は、実施例1と同様にして、上記のアルミニウム支持体上にバックコート層を形成した。
次いで、アルミニウム支持体の上記バックコート層が形成された面とは反対の面に、下記の感光層形成用塗布液Cを、ワイヤーを巻き付けた棒により乾燥後の塗布量が2g/mになるように塗布し、Ranarコンベア式オーブン中、約94℃、60秒の滞留時間で乾燥を行い、感光層C(感光性記録層)を形成した。
<感光層形成用塗布液C>
・ウレタンアクリレートA 3.55質量部
・サートマー(Sartomer)355 0.74質量部
・重合体(P−2) 3.24質量部
・2−(4−メトキシフェニル)−4,6−
ビス(トリクロロメチル)−2−トリアジン 0.40質量部
・N−フェニルイミノ二酢酸 0.22質量部
・赤外線吸収剤(IR−3) 0.08質量部
・クリスタルバイオレット 0.10質量部
・Byk 307 0.02質量部
・メチルエチルケトン 13.75質量部
・トルエン 22.91質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 54.99質量部
なお、感光層形成用塗布液Cに用いた重合体(P−2)は前述の合成例3で得られた重合体である。
また、ウレタンアクリレートA、サートマー(Sartomer)355、赤外線吸収剤(IR−3)、Byk 307、の詳細は以下の通りである。
ウレタンアクリレートA: DESMODUR(登録商標)N100とアクリル酸ヒドロキシエチルおよびペンタエリトリトールトリアクリレートを反応させて得られた、イソシアナート基の反応が完了した後二重結合含量が100g当たり0.5である、ウレタンアクリレートの80%メチルエチルケトン溶液
Sartomer 355: ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート多官能アクリルモノマー(Sartomer社製)
赤外線吸収剤(IR−3): 2−[2−[2−トリフェニル−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムクロリド
Byk 307: ポリエトキシ化ジメチルポリシロキサンコポリマー(米国コネチカット州ウォリンフォードのBykChemie社製)
更に、上記により形成された感光層上に、実施例14と同様にして、合成雲母を含有しない単層構造の保護層を形成した。
このようにして、実施例17の平版印刷版原版を得た。
〔実施例18〕
実施例17において、バックコート層用塗布液の組成中のロジン及び併用される他の樹脂について、その種類及び添加率を下記表1に記載されるように変更した以外は、実施例17と同様にして、実施例18の平版印刷版原版を得た。
〔比較例1〕
実施例1におけるバックコート層用塗布液に用いたロジン(タマノル386)及び他の樹脂(jER1009)に代えて、前記ポリエステル樹脂(ケミット1294)のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の平版印刷版原版を得た。
〔比較例2〕
実施例1におけるバックコート層用塗布液に用いたロジン(タマノル386)及び他の樹脂(jER1009)に代えて、前記ポリアセタール樹脂(エスレックKS−10)のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の平版印刷版原版を得た。
〔比較例3〕
実施例15におけるバックコート層用塗布液に用いたロジン(タマノル386)及び他の樹脂(jER1009)に代えて、前記ポリエステル樹脂(ケミット1294)のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の平版印刷版原版を得た。
〔比較例4〕
実施例17におけるバックコート層用塗布液に用いたロジン(タマノル386)及び他の樹脂(jER1009)に代えて、前記ポリエステル樹脂(ケミット1294)のみを用いた以外は、実施例17と同様にして、比較例4の平版印刷版原版を得た。
〔評価〕
(1)面状の観察
得られた平版印刷版原版を61cm×50cmに切断し、このシートのバックコート層の面状を目視にて観察して評価した。
評価は1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。結果を表1に示す。
(2)擦りキズの評価
得られた平版印刷版原版を61cm×50cmに切断し、そのシート20枚の間に合紙を挟むことなく積層して積層体を形成した。この積層体を、既にカセットにセットしてある平版印刷版原版の上にエッジから5cmずらして(積層した20枚の版材がカセット内の版材のエッジから5cm外側へ飛び出した状態で)重ねた後、飛び出した20枚の版材のエッジを水平方向に押し込んで、積層した20枚の一番下の版の裏面アルミニウム支持体が、カセット中の最上の平版印刷版原版の保護層表面をこするようにしながら、カセット内へ設置した。この保護層表面が他の版材のバックコート層側で擦られた版材を、擦りキズ発生の評価用版材とした。
この版材をセッティング部分からオートローダーにて、Creo社製Trendsetter3244に搬送し、解像度2400dpiで50%平網画像を、出力7W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー110mJ/cmで露光した。露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310HIIを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液はDH−Nの1:4水希釈液を用い、現像補充液はFCT−421の1:1.4水希釈、フィニッシャーは富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。得られた平版印刷版の平網画像中に発生したキズの有無を目視評価した。
評価は1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。結果を表1に示す。
(3)静摩擦係数の測定
得られた平版印刷版原版を100mm×150mmのシートに切断し、感光層側を上にして(保護層を上にして)、200mm×350mmの平滑な板の上に水平に固定した。また、得られた平版印刷版原版を35mm×75mmのシートに切断し、バックコート層を上にして、35mm×75mmの平滑な面を持つ500gの重りの平滑面に固定した。重りに固定した平版印刷版原版のバックコート層面を、平版印刷版原版の保護層面の中央に接触させて載せた。この状態で平滑な板の短辺の片方を持ち上げて傾斜させ、重りに固定した平版印刷版原版のバックコート層表面と保護層表面との間で滑りが生じ始めた時の平滑な板の傾斜角度θ°を測定した。静摩擦係数μは、μ=tanθの関係式より算出した。結果を表1に示す。
Figure 2008139813
表1から明らかなように、実施例1〜18の平版印刷版原版、即ち、重合性ネガ型感光層を有する平板印刷版原版の裏面に、ロジンを含有するバックコート層を有する平版印刷版原版は、バックコート層の乾燥後の面状が良好で、平版印刷版原版を積層した際に合紙なしでも擦りキズの発生が防止されており、バックコート層表面と感光層表面との間の静摩擦係数が0.40以上と高く、また、合紙無しで積層した際における平版印刷版原版同士の滑りが見られないことがわかった。
これに対し、ロジンを含有しないバックコート層を有する比較例1、2の平版印刷版原版は、バックコート層の乾燥後の面状が良好で、平版印刷版原版を積層した際に合紙なしでも擦りキズの発生は防止されているものの、バックコート層表面と感光層側の表面との間の静摩擦係数が0.40以下と低く、また、合紙無しで積層した際における平版印刷版原版同士の滑りの抑制に著しく劣っていることが分かった。
また、比較例3、4の平版印刷版原版は、静摩擦係数が高く、合紙無しで積層した際における平版印刷版原版同士の滑りの抑制は発揮できると思われるが、擦りキズの発生著しく、実用上問題のある平版印刷版原版であった。

Claims (12)

  1. 支持体の一方の面に感光性記録層を有し、前記支持体の他方の面にロジンを含有するバックコート層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 前記ロジンが、ロジンエステル及びロジン変性フェノール樹脂から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記バックコート層が、更に、前記ロジン以外の樹脂を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記ロジン以外の樹脂が、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリアセタール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の平版印刷版原版。
  5. 前記ロジンの含有量が、前記バックコート層の全質量に対して0.1〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  6. 前記ロジンの含有量が、前記バックコート層の全質量に対して0.5〜30質量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  7. 前記感光性記録層が、重合開始剤、増感色素、重合性化合物、及びバインダーポリマーを含有し、且つ、前記感光性記録層上に酸素遮断性を有する保護層を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  8. 前記保護層がフィラーを含有することを特徴とする請求項7に記載の平版印刷版原版。
  9. 前記フィラーが、無機フィラー及び/又は有機フィラーであることを特徴とする請求項8に記載の平版印刷版原版
  10. 前記感光性記録層が、赤外線吸収剤、重合開始剤、分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上有するモノマー、及びビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体を含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  11. 前記感光性記録層が、0.7meq/g〜8.0meq/gのアリル基を含むバインダーポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、感光性記録層側の最表面とバックコート層側の最表面とを直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする平版印刷版原版積層体。
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