JP2009242468A - インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材への密着性および硬化感度が良好なインク組成物を提供することにある。
【解決手段】(A−1)フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマー、(A−2)炭素数6以上のアルキル基と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマー、(B)分子量が1000以下の重合性化合物、および(C)光重合開始剤、を含有することを特徴とする活性放射線硬化型インク組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用として好適に用いられるインク組成物に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型および溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。中でも、インクジェット方式は、安価な装置で実施可能であり、且つ、必要とされる画像部のみにインクを射出して被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
インクジェット方式によれば、普通紙のみならずプラスチックシート、金属板など非吸水性の被記録媒体にも印字可能であるが、印字する際の高速化および高画質化が重要な課題となっており、印字後の液滴の乾燥、硬化に要する時間が、印刷物の生産性や印字画像の鮮鋭度に大きく影響する性質を有している。
インクジェット方式の一つとして、放射線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、インク射出後直ちにまたは一定の時間後に放射線照射し、インク液滴を硬化させることで、印字の生産性が向上し、鮮鋭な画像を形成することができる。
紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェット記録用インクの高感度化を達成することにより、放射線に対し高い硬化性が付与され、インクジェット記録の生産性向上、消費電力低減、放射線発生器への負荷軽減による高寿命化、不充分硬化に基づく低分子物質の揮発発生の防止など、多くの利益が生じる。また、高感度化は、特にインクジェット記録用インクにより形成された画像の強度を向上させ、特に、平版印刷版の形成に応用した場合、画像部の硬化強度が高まることになり、高耐刷性が得られることになる。
このような放射線、例えば、紫外線による硬化型インクジェット方式は、比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い被記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつある。
また3員環、4員環などの環状エーテル化合物は、高い反応性を示すことが知られており、光カチオン重合や酸無水物を用いる熱重合が適用される硬化性組成物に含まれる重合性化合物として利用されている。なかでも高感度で硬化し、硬化物が十分な柔軟性を有しうる硬化性組成物を提供することを目的として、直鎖状アルキル基および環状エーテルを含有する硬化性組成物が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、高感度で柔軟性を有し、かつ基材への密着性が良好な硬化性組成物は、未だ提供されていないのが現状である。
特開2007−238647号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、基材への密着性および硬化感度が良好なインク組成物を提供することにある。
前記目的を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1>(A−1)フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマー、(A−2)炭素数6以上のアルキル基と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマー、(B)分子量が1000以下の重合性化合物、および(C)光重合開始剤、を含有することを特徴とする活性放射線硬化型インク組成物。
<2>前記(A−1)フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマーのガラス転移温度が、20℃以上であり、前記(A−2)炭素数6以上のアルキル基と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマーのガラス転移温度が、20℃以下であることを特徴とする、前記<1>に記載の活性放射線硬化型インク組成物。
<3>前記(A−1)フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマーが、さらに環状オレフィン骨格を側鎖に有することを特徴とする前記<1>または<2>に記載の活性放射線硬化型インク組成物。
<4>前記(B)重量平均分子量が1000以下の重合性化合物が、ラジカル重合性化合物であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の活性放射線硬化型インク組成物。
<5>前記(B)重量平均分子量が1000以下の重合性化合物が、カチオン重合性化合物であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の活性放射線硬化型インク組成物。
<6>前記(B)重量平均分子量が1000以下の重合性化合物が、重合性基を1つのみ有する単官能モノマーを含み、該重合性化合物中の該単官能モノマーの含有量が、60質量%以上100質量%以下であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載の活性放射線硬化型インク組成物。
<7>インクジェット記録用であることを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれかに記載の活性放射線硬化型インク組成物。
本発明によれば、基材への密着性および硬化感度が良好なインク組成物を提供することができる。
本発明のインク組成物は、フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有するポリマー、および、炭素数6以上のアルキル基と、重合性基と、を側鎖に有するポリマーを含有することを特徴とする。該ポリマーは側鎖に重合性基を有することから、インク組成物表面の重合性基の密度を高くすることができる。さらに複数の重合性基を含むポリマーが効率的に、酸素阻害により最も硬化しにくい表面に偏析し、架橋反応が効率よく進行し、速やかに硬化して強固な被膜を形成する。またフルオロアルキル基、シロキサン結合を含む部分構造が、表面エネルギーを下げる効果を有し、これらがあいまって、インク画像表面は耐擦過性、耐ブロッキング性に優れたものとなり、通常の多官能モノマーの添加に比べ、内部の架橋密度が低くなるため、柔軟性と硬化性、耐擦過性とが両立するものと考えられる。さらに、炭素数6以上のアルキル基(長鎖アルキル基)を有するポリマーを本発明のインク組成物に含有させることで、基材との密着性が向上する。
本発明は、このような構成要件とすることで、硬化感度と密着性が両立した組成物を得ることができたものである。
なお本発明のインク組成物をインクジェット用インクとして用いた場合には、フルオロアルキル基、シロキサン結合を含む部分構造が表面配向性基として作用することにより、これらは組成物の表面に偏析し、インク液滴の表面張力を吐出に適正な範囲に調整でき、インクの吐出性が改良されるものと考えられる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<インク組成物>
本発明のインク組成物は、(A−1)フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマー、(A−2)炭素数6以上のアルキル基と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマー、(B)分子量が1000以下の重合性化合物、および(C)光重合開始剤、を含有することを特徴とする。
本発明のインク組成物は、放射線の照射により硬化が可能なインク組成物である。ここで、本発明で言う「放射線」とは、その照射により組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度および装置の入手容易性の観点からは、紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、本発明のインク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物であることが好ましい。なお、本発明のインク組成物は、上記特定ポリマーを含有することから、高感度であり、露光光源として、発光ダイオードのような低露光量の光源によっても十分硬化するため、このような用途に適用すると本発明の効果が著しいといえる。
また、本発明のインク組成物は、前記放射線により硬化して画像を形成するため着色剤を含有することが好ましい。
以下、本発明のインク組成物に含有される各成分について、詳細に説明する。
[(A−1)フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマー]
本発明のインク組成物は、(A−1)フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマー(以下適宜、(A−1)特定フルオロアルキルポリマー、または、(A−1)特定シロキサンポリマーと称する場合がある。なお(A−1)特定フルオロアルキルポリマーおよび(A−1)特定シロキサンポリマーをまとめて(A−1)特定ポリマーと称する場合がある。)を含有する。
(A−1)特定フルオロアルキルポリマーにおける側鎖に存在するフルオロアルキル基について、以下に説明する。
<フルオロアルキル基>
本発明のインク組成物に含有される(A−1)特定フルオロアルキルポリマーにおける特定部位としてのフルオロアルキル基とは、アルキル基における少なくとも一つの水素原子をフッ素原子に置換したフルオロアルキル基であればよく、アルキル基のすべての水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロアルキル基がより好ましい。
アルキル基としては、炭素数3〜12が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数4〜6が更に好ましい。
本発明におけるフルオロアルキル基の具体的な態様について説明する。
a)(A−1)特定フルオロアルキルポリマーが有する好ましいフルオロアルキル基として、下記(A)または(B)に示すものが挙げられる。
(A)テロメリゼーション法またはオリゴメリゼーション法により製造されたフルオロ脂肪族化合物から誘導される置換基(フルオロ脂肪族基ともいう)
(B)下記(一般式I)で表される構成を有する置換基
Figure 2009242468
(一般式I)中、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基を、Xは共有結合または2価の連結基(有機基)を、mは0以上の整数を、nは1以上の整数を表す。尚、mが2以上の場合、互いに隣接する炭素上の官能基(即ち、隣り合う炭素にそれぞれ結合しているR同士やR同士)は結合して脂肪族環を形成してもよい。
この(一般式I)で表される置換基は、*の部分でポリマーの主鎖に連結される。
(A)テロメリゼーション法またはオリゴメリゼーション法により製造されたフルオロ脂肪族化合物から誘導される置換基
本発明におけるこのようなフルオロアルキル基は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)またはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれる基であることが好ましい。上記フルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747〜752ページに記載されている。
テロメリゼーション法とは、ヨウ化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である。具体例として、下記合成例1を示す。
Figure 2009242468
得られた、末端ヨウ素化テロマーは、通常、例えば下記合成例2のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、さらに所望のモノマー構造へと変換され、フルオロ脂肪族基含有ポリマーの製造に使用される。
Figure 2009242468
上記テロマー法によって合成されるモノマーとしては、下記一般式[TM−1]で表されるモノマーが好ましく、このようなモノマーを本発明の(A−1)特定フルオロアルキルポリマーに導入することができる。
Figure 2009242468
上記一般式[TM−1]中、Tは下記(T群)から選択される1種の基、Zは下記(Z群)から選択される1種の基、nは0から20の整数を表し、Zにおける二重結合により本発明の特定フルオロアルキルポリマーに共重合することができる。
Figure 2009242468
Figure 2009242468
尚、上記一般式[TM−1]中、Zで表される基が、下記(Z’群)から選択される1種の基である化合物は、分子末端のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するため、ビニル重合により簡便に前述のフルオロ脂肪族化合物から誘導される基を側鎖に有するポリマー(即ち本発明における(A−1)特定フルオロアルキルポリマー)を得ることができる為、特に好ましい。
Figure 2009242468
本発明における(A−1)特定フルオロアルキルポリマーの側鎖に導かれる化合物として好適な、上記テロマー法により製造された化合物の具体例(上記一般式[TM−1]で表されるモノマーを主成分とする化合物)としては、例えば、ダイキン化成品販売株式会社で販売されている、フッ素系化学製品A−1110,A−1210,A−1310,A−1420,A−1620,A−1820,A−2020,A−1260,A−1460,A−1660,A−1860,A−1435,A−1635,A−1835,A−1473,A−1637,A−1837,A−1514,A−3420,A−3620,A−3820,A−4020,A−3260,A−3460,A−3660,A−3860,A−3637,A−3837,A−5210,A−5410,A−5610,A−5810,A−7110,A−7210,A−7310,A−9211,C−1100,C−1200,C−1300,C−1400,C−1500,C−1600,C−1700,C−1800,C−1900,C−2000,C−5200,C−5400,C−5600,C−5800,C−5208,C−5408,C−5608,C−6008,C−8200,C−8300,C−8500,C−9211,C−8208,C−8308,C−8508,C−9216,E−1430,E−1630,E−1830,E−2030,E−3430,E−3630,E−3830,E−4030,E−5244,E−5444,E−5644,E−5844,F−1420,F−1620,F−1820,F−2020、I−1200、I−1300,I−1400,I−1600,I−1700,I−1800,I−2000,I−1420,I−1620,I−1820,I−2020,I−3200,I−3400,I−3600,I−3800,I−4000,I−3620,I−3820,I−4020,I−5200,I−5400,I−5600,I−8208,I−8207,I−8407,I−8607,M−1110,M−1210,M−1420,M−1620,M−1820,M−2020,M−3420,M−3620,M−3820,M−4020,M−3433,M−3633,M−3833,M−4033,M−5210,M−5410,M−5610,M−5810,M−6010,M−7210,M−7310,R−1110,R−1210,R−1420,R−1620,R−1820,R−2020,R−1433,R−1633,R−1833,R−3420,R−3620,R−3820,R−4020,R−3433,R−5210,R−5410,R−5610,R−5810,6010,R−7210,R−7310,U−1310,U−1710や、また、日本メクトロン株式会社にて製造される、CHEMINOX FA、FA−M,FAAC、FAAC−M,FAMAC、FAMAC−M等が挙げられる。
上記テロマー法により製造された化合物は、当業者間で公知の方法により、側鎖にフルオロ脂肪族基を有するポリマーへと容易に導くことができる。
本発明においては、オリゴメリゼーション法(オリゴマー法)により製造されたフルオロ脂肪族化合物も好ましい。オリゴメリゼーション法とはテトラフルオロエチレンをフッ化カリウムやフッ化セシウムなどを触媒として、ジグライム等の極性溶媒中でカチオン重合してオリゴマーを製造する方法である。具体例として、下記合成例3を示す。オリゴマー法によって得られるフルオロ脂肪族化合物は、先述のテロマー法による化合物と同様、重合により得られるオリゴマー中の反応性基(不飽和結合)等を利用し、適切な化学修飾を経て、フルオロ脂肪族化合物から誘導される基を側鎖に有するポリマー(即ち本発明における(A−1)特定フルオロアルキルポリマー)に導くことができる。
Figure 2009242468
(B)(一般式I)で表される構成を有する置換基
本発明においては、(A−1)特定フルオロアルキルポリマーは、インク表面への偏在性の観点から、下記(一般式I)で表される部分構造を有と、重合性基とを有するポリマーであることが好ましい。
Figure 2009242468
(一般式I)中、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基を、*は高分子鎖への連結部位を、Xは共有結合または2価の連結基(有機基)を、mは0以上の整数を、nは1以上の整数を表す。尚、mが2以上の場合、互いに隣接する炭素上の官能基(即ち、隣り合う炭素にそれぞれ結合しているR同士やR同士)は結合して脂肪族環を形成してもよい。
なお、上記(一般式I)で表される構成を有する本発明におけるフルオロアルキル基の中でも、(一般式I)における「n」が1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2,3であることが特に好ましい。
すなわち、本発明における(A−1)特定フルオロアルキルポリマーとしては、高分子鎖に結合する側鎖部分の構造が下記(一般式IB)で表される構造であり、特に、n=2,3であることが極めて良好な性能と安全性を両立することを見出した。
Figure 2009242468
((一般式IB)中、RおよびR、X、m、nはいずれも(一般式I)におけるRおよびR、X、m、nと同義である)
(一般式I)および(一般式IB)においてRおよびRで表される炭素数1〜4個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、RおよびRとして好ましくは水素原子、メチル基であり、より好ましくは水素原子である。
(一般式I)および(一般式IB)において、Xで表される共有結合とは、即ちポリマー主鎖と直接結合する場合を表す。また、2価の連結基(有機基)としては、−O−、−S−、−N(R)−、−CO−等が挙げられる。これらの中でも−O−がより好ましい。
また、上記Rは水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、Rとして好ましくは水素原子、メチル基である。
mは0以上の整数を表し、2〜8の整数が好ましく、m=2が特に好ましい。また、mが2以上の場合、互いに隣接する炭素上の官能基は結合して脂肪族環を形成してもよい。
nは1以上の整数を表し、1〜10の整数が好ましい。ここでnは、特に1〜4が好ましく、さらに本発明における(A−1)特定フルオロアルキルポリマー中、nが2、3であることが好ましい。
(一般式I)において、*は高分子鎖との連結部位を表すが、当該高分子鎖としては、以下のような例が挙げられる。
具体的な形態としては、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、スチリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド縮合樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、無水マレイン酸/α−オレフィン樹脂、α−ヘテロ置換メタクリル樹脂などを用いることができる。その中でも、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、スチリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が有用であり、特にアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が有用である。
本発明におけるフルオロアルキル基を有する特定フルオロアルキルポリマーは、例えば、前記(A)フルオロ脂肪族基を有するモノマーや(B)前記(一般式I)で表される構成を有する置換基を有するモノマーを適宜選択し、縮重合または付加重合、開環重合等の、当業者にとって公知の方法で容易に得ることができる。また、更に必要に応じてこれらのモノマーを混合するか重合後のポリマーを混合することにより製造できる。
(重合性基を有するフッ素基含有モノマー)
本発明では、前記(A)または(B)に記載の置換基、および、重合性基を有するモノマーを用いて、本発明の(A−1)特定フルオロアルキルポリマーと共重合することができる。
前記(A)または(B)に記載の置換基、および、重合性基を有する好ましいモノマーとしては下記(一般式II)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 2009242468
(一般式II)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基または置換基を有してもよいエチル基を表す。また、R、R、X、m、およびnはいずれも(一般式IB)におけるR、R、X、m、およびnと同義である。
尚、(一般式II)においてRで表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
次いで、本発明に用いられる前記(一般式II)で表されるモノマーの具体例を以下に示す。
Figure 2009242468
Figure 2009242468
Figure 2009242468
Figure 2009242468
本発明における(A−1)特定フルオロアルキルポリマーの製造に用いるモノマーとしては、上記(一般式II)で表されるモノマーの中でも、(一般式II)における「n」が1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2,3であることが特に好ましい。
前記(A−1)特定フルオロアルキルポリマー中、前記フルオロアルキル基の含有率は、溶解性とブロッキング抑制能の観点から3mol%〜40mol%、より好ましくは5mol%〜30mol%、最も好ましくは5mol%〜20mol%である。
(A−1)特定シロキサンポリマーにおける側鎖に存在するシロキサン結合部位について、以下に説明する。
(シロキサン構造)
前記(A−1)特定ポリマーが含有する「シロキサン構造」は、シロキサン結合を有する構造として特定ポリマーの側鎖に含まれていればよく、シロキサン結合の数量、シロキサン結合のSi原子に結合する原子や官能基等に特に制限はない。前記(A−1)特定ポリマーの側鎖にシロキサン構造を持つことで、分子内に導入しうるシロキサン構造を有する末端基の数が増え、後述するラジカル重合性化合物への溶解性が向上する。前記(A−1)特定ポリマーを含む本発明のインク組成物が液滴である時は、吐出性を向上し、本発明のインク組成物を塗膜とした時には偏析性が高いポリマーが得られる。
なお、偏析性(表面偏析性)とは、特定ポリマーの表面張力が小さいことにより、空気とインク組成物との界面において、ポリマーが高濃度で偏在することをいう。
シロキサン化合物は、インク組成物の吐出安定性を上げ、インク組成物を塗膜としたときの表面偏析性を高くする観点から、下記構造式(A)で表される化合物(以下、「特定シロキサン化合物」ともいう)が重合したポリシロキサンであることが好ましい。構造式中、Rはシロキサン結合のSi原子との連結基として導入される。
Figure 2009242468
前記構造式(A)中、Rは、炭素数が2〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、または下記構造式(B)で表される2価の連結基を示す。
前記構造式(A)中、x、x2、は、x、x、xの合計が1〜100となる整数である。yは、1〜10の整数である。
前記構造式(A)中、Xはなくてもよく、ある場合は、下記構造式(C)で表わされる二価の基である。
Figure 2009242468
前記構造式(B)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、nは、1〜50の整数を表わす。
Figure 2009242468
前記構造式(C)中、Zは、酸素原子、硫黄原子またはNRを表わし、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。前記構造式(C)中、Zは、前記構造式(A)におけるRに結合する。前記構造式(C)中、Rは、脂肪族または脂環族ジイソシアナート構造を含む炭素数6〜10の2価の基を表す。
前記構造式(A)中、Yは、下記構造式(D)〜下記構造式(F)で表される1価の基を表す。
Figure 2009242468
Figure 2009242468
Figure 2009242468
前記構造式(D)〜(F)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表わし、Rは、直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Rは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基を表わす。
前記(A−1)特定ポリマーを、前記特定シロキサン化合物を用いて得ると、前記構造式(A)におけるY部分に主鎖が形成され、シロキサン構造を含む側鎖は、Xを介して(A−1)特定ポリマーの主鎖と結合する。すなわち、シロキサン構造の部位は、(A−1)特定ポリマーの主鎖からある程度の距離をもって存在する。そのため、特定シロキサン化合物由来の(A−1)特定ポリマーを本発明のインク組成物に用いると、インク液滴表面に前記シロキサン構造の部位が表面配向し易くなり、表面張力が低下し易く、また表面偏析が高くなり易い。
前記構造式(A)におけるRは、炭素数1〜6の直鎖のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基、またはプロピレン基であることがより好ましい。
前記構造式(A)におけるxとxとxの合計は、1〜100の整数であることが好ましく、1〜10の整数であることがより好ましい。
前記構造式(A)におけるyは、1〜10の整数であることが好ましい。
前記構造式(B)におけるRは、水素であることが好ましい。前記構造式(B)におけるnは、4〜16の整数であることが好ましく、4〜8の整数であることがより好ましい。
前記構造式(C)におけるZは、酸素原子、NRであることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。さらに前記ZがNRであるとき、該Rは、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
また、前記構造式(C)におけるRは、脂肪族または脂環族、または芳香族のジイソシアナート構造を含む炭素数6〜10の2価の基であることが好ましく、脂肪族、または芳香族のジイソシアナート構造を含む炭素数6〜8の2価の基であることがより好ましい。
前記構造式(D)におけるRは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基
であることが好ましく、炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。また、前記構造式(D)におけるRは、水素原子、メチル基、シクロヘキシル基であることが好ましく、水素原子、メチル基であることがより好ましい。
前記構造式(E)におけるRは、水素原子、メチル基、エチル基、であることが好ましく、水素原子、であることがより好ましい。
前記構造式(F)におけるRは、炭素数4〜12の直鎖アルキル基であることが好ましく、炭素数8〜12の直鎖アルキル基、であることがより好ましい。
前記構造式(A)におけるYは、構造式(D)または構造式(F)であることが好ましく、構造式(D)であることがより好ましい。
また、前記構造式(A)におけるR、X、Y、Z、x、x、x及びyの好ましい組み合わせ、前記構造式(B)におけるRとnとの好ましい組み合わせ、並びに、前記構造式(D)におけるRとRとの好ましい組み合わせは、前記各好ましい範囲の組み合わせである。
本発明における(A−1)特定ポリマーのシロキサン構造を形成し得るシロキサン化合物は、上記特定シロキサン化合物分子内のアクリル基、メタクリル基、フマル基、マレイン基、イタコン基(前記Yで表される構造:前記構造式(D))、アリル基(前記Yで表される構造:前記構造式(E))、またはビニルエーテル基(前記Yで表される構造:前記構造式(F))の各ビニル基が、エステル結合によって結合されるポリシロキサンであることが好ましい。
(A−1)特定ポリマーの分子内にシロキサン構造を導入するさいに有用なシロキサン化合物は、市販品として入手することができ、例えば、チッソ株式会社製サイラプレーンシリーズ(FM−0711,FM−0721、FM0725、TM−0701、TM−0701T等)や、信越化学社製X−22−2404、X−24−8201、X−22−174DX、X−22−2426などの片末端反応性シリコーンが挙げられる。
また、に記載の様に、反応性末端を有するシロキサンとラジカル重合性基をもつ化合物を反応させて、合成する事ができる。
前記特定シロキサン化合物の具体例および(A−1)特定ポリマーのシロキサン構造を形成し得るシロキサン化合物の重合体(ポリシロキサン)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009242468
前記(A−1)特定ポリマー中、前記シロキサン化合物に由来する部位(シロキサン構造の構造単位)の含有率は、インク組成物の表面張力の調整、溶解性、インク粘度等の観点から、1wt%〜50wt%、であり、より好ましくは2wt%〜40wt%であり、最も好ましくは3wt%〜30wt%である。
前記(A−1)特定ポリマー中、前記シロキサン化合物に由来する部位(シロキサン構造の構造単位)の分子量は、特定ポリマーがインク液滴の表面配向性を向上する観点から、300〜10,000であることが好ましく、300〜3,000であることがより好ましい。
前記(A−1)特定ポリマー中、前記シロキサン化合物に由来する部位(シロキサン構造の構造単位)の分子量は、特定ポリマーがインク液滴の表面配向性を向上する観点から、300〜10000あることが好ましく、300〜3000であることがより好ましい。
<重合性基>
前記(A−1)特定フルオロアルキルポリマー、または、(A−1)特定シロキサンポリマーに含まれる重合性基は、ラジカル重合性基でも、カチオン重合性基でもよい。
ラジカル重合性基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基が挙げられ、ポリマー側鎖にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する置換基であればどのようなものでもよい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基の例としては、アクリル酸エステル基、メタクリル酸エステル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基等の不飽和カルボン酸エステル基、およびスチレン基等のラジカル重合性基が挙げられる。中でも、メタクリル酸エステル基、アクリル酸エステル基が好ましい。
ラジカル重合性基を(A−1)特定フルオロアルキルポリマー、または、(A−1)特定シロキサンポリマーに導入する方法としては、ラジカル重合性基の二重結合前駆体を保護基を用いて反応を封止し、共重合させ、保護基を取り除いて二重結合とする方法や、特開2004−149699号公報に記載の如く、ラジカル重合性基を有する低分子化合物を(A−1)特定ポリマーに高分子反応で導入する方法が挙げられる。
カチオン重合性基としては、カチオン重合可能な環状エーテル基を有する重合性基が挙げられ、ポリマー側鎖にカチオン重合可能な環状エーテル基を少なくとも1つ有する置換基であればどのようなものでもよい。カチオン重合可能な環状エーテル基を有する重合性基の例としては、それぞれ置換、未置換のグリシジルエーテル基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基、ジオキソラン基、などが挙げられる。
カチオン重合性基を導入する方法としては、グリシジルメタクリレートのようなラジカル重合性基、カチオン重合性基の両方を有するモノマーをラジカル共重合する方法や、ラジカル重合性基同様に高分子反応により導入する方法が挙げられる。
カチオン重合性基を導入するのに適した化合物としては、グリシジルメタクリレート、最クロマーM−100,サイクロマーA−200(ダイセル化学工業(株)社製)、4HBAGE(日本化薬社製)、MEDOL10,MEDOL30、MIBDOL10,CHDOL10(大阪有機化学社製)、Epoxy DCPAcrylate,Epoxy DCP Oxyethyl Methacrylate、EpoxyDCPMethacrylate(ARKEMA社製)、などの化成品を好適に用いる事ができる。
このように、(A−1)特定ポリマーに重合性基を導入する際に用いる、重合性モノマーの含有率は、延伸率とブロッキング抑制能の観点から、前記(A−1)特定フルオロアルキルポリマーまたは(A−1)特定シロキサンポリマー中、15mol%〜90mol%、より好ましくは20mol%〜70mol%、最も好ましくは30mol%〜60mol%である。
本発明における(A−1)特定フルオロアルキルポリマーおよび(A−1)特定シロキサンポリマーは、いずれもガラス転移温度が20℃以上であることが好ましく、20〜120℃であることがより好ましく、20〜80℃であることが更に好ましい。ガラス転移温度を当該範囲とすることで、室温でのインクの柔軟性と硬化感度の向上が見込め、また耐ブロッキング性、耐傷性の向上が得られる。
また、本発明の(A−1)特定ポリマーは、溶解性向上の観点から、1種類以上のラジカル重合性モノマーを共重合してもよい。
ラジカル重合性モノマーとしては、硬化後の表面偏析性を向上させるため、環状オレフィンを有するモノマーが好ましい。
共重合に好ましいモノマーの具体例としては例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)メタクリレート、ジシクロペンニル(メタ)アクリレート、2−エチルアダマンチルメタクリレート、2−メチルアダマンチルメタクリレート、2−アクリロイル−2−エチルアダマンタン、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、t−ブチル−α−トリメフルオロメチルアクリレート、ジヒドロシクロペンタジエニルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、2−メトキシブチルアダマンチルメタクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルメタクリレート、2−(1−アダマンチル)−2−プロピルメタクリレート、2−メトキシブチルアダマンチルアクリレート、などが挙げられる。
中でも、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)メタクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートが表面偏析性の観点から好ましい。
上述したように(A−1)特定フルオロアルキルポリマーおよび(A−1)特定シロキサンポリマーは、さらに環状オレフィン骨格を側鎖に有することが好ましい。
環状オレフィン骨格としては、特に制限されないが、炭素数3〜12のオレフィンが好ましく、5〜10のオレフィンがより好ましく、6〜9のオレフィンが更に好ましい。員数としては3〜8が好ましく、5〜8がより好ましく、6〜8が更に好ましい。
なお、環構造としては縮環構造を形成していてもよい。
前記(A−1)特定ポリマー中、前記環状オレフィン骨格部位の含有率は、延伸率とブロッキング抑制能の観点から15mol%〜90mol%、より好ましくは20mol%〜70mol%、最も好ましくは30mol%〜60mol%である。
以下、本発明における(A−1)特定ポリマーの具体例を挙げるが、本発明は何らこれらに限定されない。
Figure 2009242468
Figure 2009242468
(A−1)特定ポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン換算で10,000以上500,000以下、より好ましくは20,000以上200,000以下、最も好ましくは30,000以上100,000以下である。分子量が10,000以下では、十分なブロッキング抑制効果が得られず、500,000以上では十分な吐出性安定性を得るのが困難となる。
本発明の(A−1)特定ポリマーのインク組成物全固形分中における添加量は、粘度とブロッキング抑制の観点から0.5質量%から10質量%、より好ましくは1質量%〜5質量%、最も好ましくは1質量%〜3質量%である。
[(A−2)側鎖に炭素数6以上のアルキル基と、重合性基と、を有する重合性ポリマー]
本発明のインク組成物は、(A−2)側鎖に炭素数6以上のアルキル基と、重合性基と、を有する重合性ポリマー(以下適宜、(A−2)特定アルキルポリマーと称する場合がある。)を含有する。
(A−2)特定アルキルポリマーにおける側鎖に存在する炭素数6以上のアルキル基について、以下に説明する。
<炭素数6以上のアルキル基>
本発明の(A−2)特定アルキルポリマーの側鎖に存在するアルキル基は、炭素数が6以上のアルキル基であれば特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。炭素数は好ましくは6〜40であり、より好ましくは6〜18であり、更に好ましくは6〜12である。
本発明のインク組成物に含有される(A−2)特定アルキルポリマーにおける側鎖に存在する炭素数6以上のアルキル基とは、下記一般式(1)における−C2n+1で表される置換基であり、一般式(I)に示される形式でポリマーに導入されることが好ましい。
Figure 2009242468
式(1)中、nは6〜40の整数を表し、6〜18が好ましく、6〜12が基材密着性の観点でより好ましい。
Yは3価の連結基を表し、この連結基に−C2n+1(炭素数6以上のアルキル基)が結合する。
このようにポリマーの側鎖に、−C2n+1を導入することで本発明の特定アルキルポリマーが得られる。
このような一般式(1)で表される構造単位として好ましいものを下記一般式(1−2)に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009242468
式(1−2)中、n=6〜40の整数を表す。Wは2価の連結基を表し、Z、Z、Zはそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。
また、このような炭素数6以上のアルキル基を構造単位中に複数有していてもよく、その場合、Z、又は、Zの位置に連結基Wを介して炭素数6以上のアルキル基が結合する態様や、連結基Wが分岐構造を有し、その先端に別の炭素数6以上のアルキル基が連結している態様をとることができる。
上記Wとしては、炭素数1〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキレン、炭素数2〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルケニレン、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリーレン(単環、複素環)、−OC(=O)−、−OC(=O)Ar−、−OC(=O)O−、−OC(=O)OAr−、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−SONR−、−SONAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシ)、−OAr−アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−C(=O)Ar−、−C(=O)−、−SOO−、−SOOAr−、−OSO−、−OSOAr−、−NRSO−、−NArSO−、−NRC(=O)−、−NArC(=O)−、−NRC(=O)O−、−NArC(=O)O−、−OC(=O)NR−、−OC(=O)NAr−、−NAr−、−NR−、−N+RR’−、−N+RAr−、−N+ArAr’−、−S−、−SAr−、−ArS−、ヘテロ環基(ヘテロ原子としては例えば、窒素、酸素およびイオウ等を少なくとも1個以上含み、3ないし12員環の単環、縮合環)、−OC(=S)−、−OC(=S)Ar−、−C(=S)O−、−C(=S)OAr−、−C(=S)OAr−、−C(=O)S−、−C(=O)SAr−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)NR−、−ArC(=O)NAr−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)S−、−ArC(=S)O−、−ArO−、−ArNR−等が挙げられる。
なお、上記R、R’は、水素原子、直鎖または分岐のアルキル基、鎖状または環状のアルキル基、直鎖または分岐のアルケニル基、鎖状または環状のアルケニル基、直鎖または分岐のアルキニル基、鎖状または環状のアルキニル基を表し、Ar、Ar’はアリール基を表す。
このような連結基の中でも炭素数6〜20のアリーレン(単環、複素環)、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシ)、−OAr−(アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−C(=O)−、−C(=O)Ar−、−S−、−SAr−、−ArS−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArO−、−ArNR−等が好ましく、炭素数6〜20のアリーレン(単環、複素環)、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシ)、−OAr−(アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−SAr−、−ArS−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArO−、−ArNR−等がより好ましい。
また、本発明において、上記Wで表される連結基としては、ここで挙げた連結基を2種類以上組み合わせたものであってもよい。
式(1−2)中、Z、Z、Zとしてはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ヘプタフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル等)、炭素数2〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルケニル基(例えばビニル、1−メチルビニル、シクロヘキセン−1−イル等)、炭素数2〜20のアルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル等)、炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントリル等)、炭素数1〜20のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、テトラデカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、2−メトキシエトキシカルボニルオキシ基など)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ基など)、炭素数1〜20のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ等)、炭素数1〜20のカルボンアミド基(例えば、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、ベンツアミド等)、炭素数1〜20のスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ドデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド等)、炭素数1〜20のカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メシルカルバモイル等)、炭素数0〜20のスルファモイル基(例えば、N−ブチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)スルファモイル等)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、オクチルオキシ、t−オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エトキシ、ポリアルキレンオキシ等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、4−メトキシフェノキシ、ナフトキシ等)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル等)、
炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等)、炭素数1〜20のN−アシルスルファモイル基(例えば、N−テトラデカノイルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル等)、炭素数1〜20のN−スルファモイルカルバモイル基(例えばN−メタンスルホニルカルバモイル基など)、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクチルスルホニル、2−メトキシエチルスルホニル、2−ヘキシルデシルスルホニル等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、4−フェニルスルホニルフェニルスルホニル等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基(例えば、エトキシカルボニルアミノ等)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、ナフトキシカルボニルアミノ等)、炭素数0〜20のアミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、アニリノ、モルホリノ等)、炭素数3〜20のアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ基、ジメチルベンジルアンモニオ基など)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル、オクタンスルフィニル等)、炭素数6〜20のアリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル、4−クロロフェニルスルフィニル、p−トルエンスルフィニル等)、炭素数1〜20のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ等)、炭素数6〜20のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、炭素数1〜20のウレイド基(例えば、3−メチルウレイド、3,3−ジメチルウレイド、1,3−ジフェニルウレイド等)、炭素数2〜20のヘテロ環基(ヘテロ原子としては例えば、窒素、酸素およびイオウ等を少なくとも1個以上含み、3ないし12員環の単環、縮合環で、例えば、2−フリル、2−ピラニル、2−ピリジル、2−チエニル、2−イミダゾリル、モルホリノ、2−キノリル、2−ベンツイミダゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル等)、炭素数1〜20のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル等)、炭素数0〜20のスルファモイルアミノ基(例えば、N−ブチルスルファモイルアミノ、N−フェニルスルファモイルアミノ等)、炭素数3〜50のシリル基(例えば、トリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、トリフェニルシリル等)、アゾ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)が挙げられる。
また、上記Z〜Zが水素原子、またはハロゲン原子以外の場合、これらはさらに置換基を有していてもよく、その置換基の例としては上記具体例として挙げた如き置換基が挙げられる。
上記Z〜Zとしては、水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のカルボンアミド基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数0〜20のアミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数0〜20のアミノ基、シアノ基、ハロゲン原子がより好ましい。
上記一般式(1−2)で表される構造単位は、インク表面への溶解性と基材密着性の観点から、さらに下記一般式(1−3)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 2009242468
式(1−3)中、n=6〜40の整数を表し、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
Wは上記一般式(1−2)で挙げたものと同義である。以下に、このようなWで表される2価の置換基として、インク表面への偏析性の観点から特に好ましい具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009242468
は上記一般式(1−2)で挙げたものと同義である。以下に、このようなZで表される1価の有機基として、インク組成物中の安定溶解性の観点から特に好ましい具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009242468
前記(A−2)特定アルキルポリマー中、前記炭素数6以上のアルキル基を含むモノマーの含有率は、溶解性と密着性の観点から60mol%〜99mol%、より好ましくは65mol%〜99mol%、最も好ましくは70mol%〜95mol%である。
(A−2)特定アルキルポリマーに含有される重合性基としては、上述した(A−1)特定フルオロアルキルポリマー、および、(A−1)特定シロキサンポリマーにおける重合性基と同義である。
また(A−2)特定アルキルポリマーに重合性基を導入する際に用いる、重合性モノマーの含有率は、延伸率の観点から、前記(A−2)特定アルキルポリマー中、1mol%〜40mol%、より好ましくは1mol%〜35mol%、最も好ましくは5mol%〜30mol%である。
本発明における(A−2)特定アルキルポリマーのガラス転移温度は、20℃以下であることが好ましく、−50〜20℃であることがより好ましく、−40〜10℃であることが更に好ましい。
また本発明では、ガラス転移温度(Tg)が40℃以下の重合性アクリルポリマーを添加することが好ましい態様である。ガラス転移温度(Tg)が20℃以下の重合性アクリルポリマーを添加することで、柔軟性と密着性を向上させることができる。特に通常のインク組成物では密着が困難な、ポリプロピレンやポリカーボネートなどの表面エネルギーが低い基材への密着性を向上することができる。
以下、本発明における(A−2)特定アルキルポリマーの具体例を挙げるが、本発明は何らこれらに限定されない。
Figure 2009242468
Figure 2009242468
本発明の(A−2)特定アルキルポリマーのインク組成物全固形分中における添加量は、粘度と密着性発現の観点から0.5質量%から10質量%、より好ましくは1質量%〜5質量%、最も好ましくは1質量%〜3質量%である。
(A−2)特定アルキルポリマーの重量平均分子量は、粘度上昇抑制と密着性の観点から、ポリスチレン換算で5,000〜100,000、より好ましくは10,000〜80,000、最も好ましくは10,000〜50,000である。
なお(A−2)特定アルキルポリマーにおいて、炭素数6以上のアルキル基と、重合性基とは同じ構造単位に存在していてもよいが、互いに異なる構造単位にそれぞれの構造を有することが、導入量制御の観点から好ましい。
[(B)重合性化合物]
本発明のインク組成物は、(B)分子量が1000以下の重合性化合物(以下、単に(B)重合性化合物と称する場合がある。)を含有する。
該(B)重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であっても、カチオン重合性化合物であってもよい。まず、ラジカル重合性化合物について説明する。
(B−1)ラジカル重合性化合物
本発明に適用しうるラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリデシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のアクリル酸誘導体;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体;その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体、が挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
これらのアクリレート類及びメタクリレート類の中でも、硬化性と硬化後の膜物性の観点から、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート等のエーテル酸素原子を有するアルコールのアクリレートが好ましいものとして挙げられる。また、同様の理由から、脂環構造を有するアルコールのアクリレートも好ましく、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のビシクロ環構造又はトリシクロ環構造を有するアクリレートが好ましいものの具体例として挙げられ、中でも、脂環構造内に二重結合を有する、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートが特に好ましいものとして挙げられる。
また、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号、特表2004−514014公報等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物が知られており、これらも本発明のインク組成物に適用することができる
更に、ラジカル重合性化合物としては、ビニルエーテル化合物を用いることが好ましい。好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、Rapi−Cure DVE−3、Rapi−Cure DVE−2(いずれも、ISP Europe製)、等の市販品を用いることもできる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、接着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、他の重合性化合物としては、(メタ)アクリル系モノマー或いはプレポリマー、エポキシ系モノマー或いはプレポリマー、ウレタン系モノマー或いはプレポリマー等の(メタ)アクリル酸エステル(以下、適宜、アクリレート化合物と称する。)を用いてもよく下記に示す化合物が化合物例として挙げられる。
即ち、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートトリレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、ラクトン変性可撓性アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラクトン変性アクリレート、等が挙げられる。
これらのアクリレート化合物は、UV硬化型インクに用いられてきた重合性化合物として、皮膚刺激性や感作性(かぶれ易さ)が小さく、比較的低粘度で安定したインク吐出性が得られ、重合感度、被記録媒体との接着性が良好であるため好ましい。
ここで他の重合性化合物として列挙されているモノマーは、低分子量であっても感作性が小さいものであり、かつ、反応性が高く、粘度が低く、記録媒体への接着性に優れる。
感度、滲み、被記録媒体との接着性をより改善するためには、他の重合性化合物成分として、モノアクリレートと、分子量400以上、好ましくは500以上の多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーを併用することが好ましい態様である。
特に、PETフィルムやPPフィルムといった柔軟な被記録媒体への記録に使用するインク組成物においては、上記化合物群の中から選ばれるモノアクリレート、前述の特定ヘテロ環式化合物から選択される1種と、他の重合性化合物から選択される多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーとの併用は、膜に可撓性を持たせて接着性を高めつつ、膜強度を高められるため好ましい。
更に、単官能、二官能、三官能以上の多官能モノマーの少なくとも3種の重合性化合物を併用する態様が、安全性を維持しつつ、更に、感度、滲み、被記録媒体との接着性をより改善することができるという観点から、好ましい態様として挙げられる。
モノアクリレートとしてはステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミスチルアクリレート、イソステアリルアクリレートが感度も高く、低収縮性でカールの発生を防止できるとともに、滲み防止、印刷物の臭気、照射装置のコストダウンの点で好ましい。
モノアクリレートと併用しうるオリゴマーとしては、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーが特に好ましい。
なお、メタクリレートは、皮膚低刺激性がアクリレートより良好である。
上記化合物の中でもアルコキシアクリレートを70質量%以下の量で使用し、残部をアクリレートとする場合、良好な感度、滲み特性、臭気特性を有するため好ましい。
また、本発明に用いるラジカル重合性化合物として、硬化速度、硬化後の柔軟性および被記録媒体への密着性の観点から、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物が好ましく、窒素原子を含有する(メタ)アクリレート、または、N−ビニルラクタム類から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本発明に使用しうる、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物としては、「分子内にアミド基又はラクタム環を有し、該アミド基又はラクタム環が有する窒素原子がビニル基により置換された構造を有するN−ビニルアミド類」、「分子内にアミド基を有する化合物」、及び「分子内に3級アミン構造を有する(メタ)アクリレート」より選択される化合物が挙げられる。
分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物としては、硬化後における硬化膜の物性、硬化膜と被記録媒体との密着性の観点から、アミド基又はラクタム環が有する窒素原子がビニル基により置換された構造を有するN−ビニルアミド類であることが好ましい。N−ビニルアミド類の中でも、安全性や入手性の観点からは、ラクタム環が有する窒素原子がビニル基により置換された構造を有するN−ビニルラクタム類がより好ましい。
分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物が、N−ビニルラクタム類である場合、該N−ビニルラクタム類が、有するラクタム環の員数は、化合物の安定性、インク組成物への溶解性、入手性等の観点から、5〜7であることが好ましくい。このようなN−ビニルラクタム類として具体的には、5員環構造を有するN−ビニルピロリドン、又は7員環構造を有するN−ビニルカプロラクタムが好ましく、N−ビニルカプロラクタムが特に好ましい。
また、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物として用いうるN−ビニルアミド類の他の例としては、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、等が挙げられる。
一方、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物として用いうる、分子内に3級アミン構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−メタクリルオキシピペリジン(日立化成工業製のFA−711MM)、アミン変性アクリレート類(例えば、Sartomer社製のCN2100、CN501、CN550、CN551など)が好ましいものとして挙げられる。
また、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物として用いうる、分子内にアミド基を有する化合物としては、例えば、4−アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、ジイソプロピルアクリルアミド、等が挙げられる。
本発明のインク組成物における、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物の含有量は、硬化速度、硬化膜と被記録媒体との密着性、及び、硬化後における硬化膜の膜物性の観点から、インク組成物全体の質量に対して、1質量%〜35質量%の範囲であることが好ましく、3質量%〜30質量%の範囲がより好ましく、5質量%〜26質量%の範囲が更に好ましい。
(B−2)カチオン重合性化合物
本発明で用いることができるカチオン重合性化合物は、光酸発生剤から発生する酸により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性化合物として知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性化合物としては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、同2001−40068、同2001−55507、同2001−310938、同2001−310937、同2001−220526などの各公報に記載されている、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、芳香族エポキシドなどが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等が挙げられる。その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
エポキシ化合物は、単官能であっても多官能であってもよい。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物は、単官能であっても多官能であってもよい。
具体的には、単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明におけるオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物を指し、特開2001−220526、同2001−310937、同2003−341217の各公報に記載される如き、公知オキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
本発明の活性放射線硬化型重合性組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後の組成物と被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
分子内に1〜2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2009242468
上記一般式(1)〜(3)中、Ra1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基、又はチエニル基を表す。分子内に2つのRa1が存在する場合、それらは同じであっても異なるものであってもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
上記一般式(1)中、Ra2は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数2〜6個のアルケニル基、芳香環を有する基、炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられる。芳香環を有する基としては、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。アルキルカルボニル基としては、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が挙げられる。アルキコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
N−アルキルカルバモイル基としては、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等が挙げられる。
上記一般式(2)中、Ra3は、線状又は分枝状アルキレン基、線状又は分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、線状又は分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基又はカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、又は、以下に示す基を表す。アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。ポリ(アルキレンオキシ)基としては、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等が挙げられる。不飽和炭化水素基としては、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
Figure 2009242468

上記多価基において、Ra4は、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基を表す。
a5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO、C(CF、又は、C(CHを表す。
a6は、炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基を表し、nは0〜2000の整数である。
a7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、又は、下記構造を有する1価の基を表す。
Figure 2009242468

上記一価の基において、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基であり、mは0〜100の整数である。
3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009242468

一般式(4)において、Ra1は、前記一般式(1)におけるRa1と同義である。また、Ra9は多価連結基であり、例えば、下記(J)〜(L)で示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記(M)で示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記(N)で示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
Figure 2009242468
上記(J)において、Ra10は、メチル基、エチル基、又はプロピル基を表す。また、上記(M)において、pは1〜10の整数である。
また、本発明に好適に使用しうるオキセタン化合物の別の態様として、側鎖にオキセタン環を有する下記一般式(5)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009242468
一般式(5)において、Ra1は、前記一般式(1)におけるRa1と同義である。Ra8は、上記一価の基におけるRa8と同義である。Ra11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
このようなオキセタン環を有する化合物については、前記特開2003−341217公報、段落番号〔0021〕乃至〔0084〕に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に使用しうる。
本発明で使用するオキセタン化合物のなかでも、組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個有する化合物を使用することが好ましい。
上記(B−1)ラジカル重合性化合物、および、(B−2)カチオン重合性化合物は、それぞれ、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物における(B−1)ラジカル重合性化合物、および、(B−2)カチオン重合性化合物の含有量は、それぞれ、硬化速度、硬化膜の被記録媒体への密着性、及び、硬化後の膜物性の観点から、インク組成物全固形分中、60質量%〜90質量%の範囲であることが好ましく、65質量%〜90質量%の範囲がより好ましく、70質量%〜85質量%の範囲が更に好ましい。また、塗膜の柔軟性を維持するため多官能モノマーの添加量は、インク組成物全固形分中0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。
さらに本発明の(B)重合性化合物は、重合性基を1つのみ有する単官能モノマーを含有するのが好ましく、柔軟性と硬化性の両立の観点から、重合性化合物全量中、単官能モノマーの含有量は、60〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。
[(C)光重合開始剤]
本発明のインク組成物は、(C)光重合開始剤を含有する。
(C)光重合開始剤としては、公知の重合開始剤を、併用する重合性化合物の種類、インク組成物の使用目的に応じて、適宜選択して使用することができる。
本発明のインク組成物に使用する(C)光重合開始剤は、外部エネルギー(光)を吸収して重合開始種を生成する化合物である。光には、活性放射線、すなわち、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
(C)光重合開始剤は公知の化合物が使用できるが、本発明で使用し得る好ましい(C)光開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
本発明において(C)光重合開始剤は単独で用いてもよいし、併用してもよい。効果の観点からは、2種以上の(C)光重合開始剤を併用することが好ましい。
本発明に用いる(C)光重合開始剤としては具体的には例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、4、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム))等が挙げられる。さらに、これら以外の分子開裂型開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用してもよい。さらに、水素引き抜き型光開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
本発明における(C)光重合開始剤の含有量は、本発明のインク組成物の全固形分に対して、1質量%〜50質量%の範囲が好ましく、2質量%〜40質量%の範囲がより好ましく、5質量%〜35質量%の範囲が更に好ましい。
[その他の成分]
本発明のインク組成物には、前記(A)〜(C)の必須成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、物性向上などの目的で、他の成分を併用することができる。
以下、これら任意の成分について以下に説明する。
[着色剤]
本発明のインク組成物は、着色剤を添加することで、可視画像を形成することができる。例えば、平版印刷版の画像部領域を形成する場合などには、必ずしも添加する必要はないが、得られた平版印刷版の検版性の観点からは着色剤を用いることも好ましい。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の色材、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。染料としては、水溶性染料及び油溶性染料のいずれも使用できるが、油溶性染料が好ましい。
(顔料)
本発明に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、又は顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青あるいはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物において、顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記(b)重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明のインク組成物は、放射線硬化型のインクであり、インクを被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、(b)重合性化合物を用い、なかでも、最も粘度が低いラジカル重合性化合物を選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
顔料の平均粒径は、0.02〜0.4μmにするのが好ましく、0.02〜0.1μmとするのがさらに好ましく、より好ましくは、0.02〜0.07μmの範囲である。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
〔染料〕
本発明に用いる染料は、油溶性のものが好ましい。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解する色素の質量)が1g以下であるものを意味し、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下である。従って、所謂、水に不溶性の油溶性染料が好ましく用いられる。
本発明に用いる染料は、インク組成物に必要量溶解させるために上記記載の染料母核に対して油溶化基を導入することも好ましい。
油溶化基としては、長鎖、分岐アルキル基、長鎖、分岐アルコキシ基、長鎖、分岐アルキルチオ基、長鎖、分岐アルキルスルホニル基、長鎖、分岐アシルオキシ基、長鎖、分岐アルコキシカルボニル基、長鎖、分岐アシル基、長鎖、分岐アシルアミノ基長鎖、分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖、分岐アルキルアミノスルホニル基及びこれら長鎖、分岐置換基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
また、カルボン酸、スルホン酸を有する水溶性染料に対して、長鎖、分岐アルコール、アミン、フェノール、アニリン誘導体を用いて油溶化基であるアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基に変換することにより染料を得てもよい。
前記油溶性染料としては、融点が200℃以下のものが好ましく、融点が150℃以下であるものがより好ましく、融点が100℃以下であるものが更に好ましい。融点が低い油溶性染料を用いることにより、インク組成物中での色素の結晶析出が抑制され、インク組成物の保存安定性が良くなる。
また、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が貴である(高い)ことが望ましい。このため、本発明で用いる油溶性染料として、酸化電位が1.0V(vsSCE)以上であるものが好ましく用いられる。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)以上のものがより好ましく、1.15V(vs SCE)以上のものが特に好ましい。
イエロー色の染料としては、特開2004−250483号公報の記載の一般式(Y−I)で表される構造の化合物が好ましい。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]から[0071]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
マゼンタ色の染料としては、特開2002−114930号公報に記載の一般式(3)、(4)で表される構造の化合物が好ましく、具体例としては、特開2002−114930号公報の段落[0054]〜[0073]に記載の化合物が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]から[0122]に記載されている一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]から[0132]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
シアン色の染料としては、特開2001−181547号公報に記載の式(I)〜(IV)で表される染料、特開2002−121414号公報の段落番号[0063]から[0078]に記載されている一般式(IV−1)〜(IV−4)で表される染料が好ましいものとして挙げられ、具体例として特開2001−181547号公報の段落番号[0052]から[0066]、特開2002−121414号公報の段落番号[0079]から[0081]に記載の化合物が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。この具体例としては、特開2002−121414号公報の段落番号[0198]から[0201]に記載の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
(酸化電位)
本発明における染料の酸化電位の値(Eox)は、当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著”New Instrumental Methods in Electrochemistry”(1954年, Interscience Publishers社刊)や、A.J.Bard他著”Electrochemical Methods”(1980年、John Wiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著”電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10−2〜1×10−6モル/リットル溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィー装置により、作用極として炭素(GC)を、対極として回転白金電極を用いて酸化側(貴側)に掃引したときの酸化波を直線で近似して、この直線と残余電流・電位直線との交点と、直線と飽和電流直線との交点(又はピーク電位値を通る縦軸に平行な直線との交点)とで作られる線分の中間電位値をSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。また、用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒については藤嶋昭他著”電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
着色剤はインク組成物中、固形分換算で1質量%〜20質量%添加されることが好ましく、2質量%〜10質量%がより好ましい。
着色剤の含有量を1質量%以上であると色濃度が足らないことがなく、20質量%以下であると硬化性が低下しない傾向となり好ましい。
〔紫外線吸収剤〕
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5質量%〜15質量%程度である。
〔増感剤〕
本発明のインク組成物には、感光波長の長波長化の目的で、必要に応じ、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、光酸発生剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものであれば、何れでもよい。
〔酸化防止剤〕
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1質量%〜8質量%程度である。
〔褪色防止剤〕
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1質量%〜8質量%程度である。
〔導電性塩類〕
本発明のインク組成物には、射出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
〔溶剤〕
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の範囲である。
〔高分子化合物〕
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、前記特定ポリマーとは異なる各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
〔界面活性剤〕
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
本発明のインク組成物は、射出性を考慮し、射出時の温度において、インク粘度が7〜30mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは7〜20mPa・sであり、上記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。なお、25〜30℃でのインク粘度は、35〜500mPa・s、好ましくは35〜200mPa・sである。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を防ぎ、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となり、更にインク液滴着弾時のドット滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。25〜30℃におけるインク粘度が35mPa・s未満では、滲み防止効果が小さく、逆に500mPa・sより大きいと、インク液のデリバリーに問題が生じる。
本発明のインク組成物の構成成分として好ましい組合せは、各構成成分の好ましい例の組合せがより好ましい。
本発明のインク組成物の表面張力は、好ましくは20mN/m〜30mN/m、更に好ましくは23mN/m〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
このようにして調製された本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インクとして用いられる。インクジェット記録用インクとして用いる場合には、インク組成物をインクジェットプリンターにより被記録媒体に射出し、その後、射出されたインク組成物に放射線を照射して硬化して記録を行う。
このインクにより得られた印刷物は、画像部が紫外線などの放射線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
[インクジェット記録方法]
次に、本発明に好適に採用され得るインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置について、以下説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体に、上記した本発明のインク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程と、吐出されたインク組成物に、活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程とを含むことを特徴とする。
インクジェット記録方法においては、上記インク組成物を40℃〜80℃に加熱して、インク組成物の粘度を7mPa・s〜30mPa・sに下げた後、射出することが好ましく、この方法を用いることにより高い射出安定性を実現することができる。一般に、放射線硬化型インク組成物では、概して水性インクより粘度が高いため、インク射出時の温度変動による粘度変動幅が大きい。このインク組成物の粘度変動は、そのまま液滴サイズ、液滴射出速度に対して大きな影響を与え、これにより画質劣化を引き起こすため、インク射出時のインク組成物温度はできるだけ一定に保つことが必要である。インク組成物温度の制御幅は設定温度±5℃とすることが好ましく、より好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが一つの特徴であり、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
次に、放射線の照射条件について述べる。基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明においては、これらの照射方法を用いることが可能である。
また本発明では、インク組成物を一定温度に加温するとともに、着弾から照射までの時間を0.01秒〜0.5秒とすることが望ましく、好ましくは0.01秒〜0.3秒、更に好ましくは0.01秒〜0.15秒後に放射線を照射することにある。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができる為、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。上記説明したインクジェット記録方法と本発明のインク組成物とを併せて用いることにより、大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が35MP・s〜500MP・sのインク組成物を用いると大きな効果を得ることが出来る。このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクを重ねると、下部のインクまで照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加及び臭気の発生、密着性の劣化が生じやすい。また、照射は、全色を射出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光する方が、硬化促進の観点で好ましい。
本発明に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット記録装置を用いて被記録媒体へ記録することができる。
<被記録媒体>
本発明のインク組成物を適用しうる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
本発明のインク組成物は、硬化時の熱収縮が少なく、基材(被記録媒体)との密着性に優れるため、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいフィルム、例えば、熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムなどにおいても、高精細な画像を形成しうるという利点を有する。さらに本発明のインク組成物は、ポリプロピレンやポリカーボネート等の表面エネルギーが低い基材との密着性に優れている。
本発明のインク組成物を用いて、上記のインクジェット記録方法(本発明のインクジェット記録方法)によって画像が形成された印刷物は、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像を有する印刷物となる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例における形態に限定されるものではない。
(実施例1)
《インクの調整》
・フェノキシエチルアクリレート (分子量192) 36質量部
・Actilane 421 (分子量328)
(Akcros社製、アクリレートモノマー) 16.0質量部
・n−ビニルカプロラクタム (分子量139) 18質量部
・Solsperse 32000(Noveon社製、分散剤) 0.4質量部
・Cinquasia Mazenta RT−355D 3.7質量部
(Ciba Specialty Chemicals社製、顔料)
・Genorad 16(Rahn社製、安定剤) 0.05質量部
・Rapi−Cure DVE−3
(ISP Europe社製、ビニルエーテル) 8.0質量部
・Lucirin TPO(BASF社製、光重合開始剤分) 8.0質量部
・ベンゾフェノン(光重合開始剤) 4.0質量部
・Irgacure 184 4.0質量部
(Ciba Specialty Chemicals社製、光重合開始剤)
・Byk 307(BYK Chemie社製、消泡剤) 0.05質量部
・(A−1)特定ポリマー(表1記載の化合物) 2質量部
・(A−2)特定ポリマー(表1記載の化合物) 2質量部
調整したインク組成物を絶対ろ過精度2μmのフィルターにてろ過した。
(実施例2〜7および比較例1〜3)
実施例1における(A−1)特定ポリマーおよび(A−2)特定ポリマーを表1に記載の化合物に替えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜7および比較例1〜3のインク組成物を得た。
<インクジェット画像記録>
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱および加温を行った。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に70℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8pl〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度100mW/cmに集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度および射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上記調製した各インク組成物を用い、環境温度25℃にて射出し、UV−LEDは、日亜化学製NCCU033を用い紫外線を、各インク毎に照射した。前記LEDは1チップから波長365nmの紫外光を出力するものであって、約500mAの電流を通電することにより、チップから約100mWの光が発光される。これを7mm間隔に複数個配列し、被記録媒体(以下、メディアとも言う。)表面で0.3W/cmのパワーが得られる。 打滴後露光されるまでの時間、及び露光時間はメディアの搬送速度及びヘッドとLEDの搬送方向の距離により変更可能である。本実施例では着弾後、約0.5秒後に露光される。
メディアとの距離及び搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01J/cm〜15J/cmの間で調整することができる。なお、照射時間は、紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなるまでとした。また、被記録媒体としては、軟質塩化ビニルシートを用いた。
この条件で、インクの転写感度、吐出安定性、延伸率、インクを用いて形成した画像のブロッキング感度、耐擦過性および基材への密着性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1中の各評価項目の測定・評価方法は以下の通りである。
(感度の測定)
紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなる露光エネルギー量(mJ/cm)を感度と定義した。数値が小さいものほど高感度であることを表す。
転写感度の許容範囲は750mJ/cm以下であり、より好ましくは350mJ/cm以下である。
(ブロッキング感度評価)
紫外線照射後の形成した画像上に、PET(サイズ:縦横共に画像形成した軟質塩化ビニルシートと同サイズ、重さ:2g/枚)を500枚重ね載せ、一日放置し、PETへの転写を目視評価した。転写が無い場合を○、転写がある場合を×とし、転写が無くなるまでに要した露光エネルギー量(mJ/cm)をブロッキング感度と定義した。
ブロッキング感度の許容範囲は12,000mJ/cm以下であり、より好ましくは6,000mJ/cm以下である。
(耐擦過性評価)
軟質塩化ビニルシートを消しゴム(ホシヤ製K−50 Plastic Eraser Keep)で擦り、消しゴムへの転写を評価した。評価基準は下記のとおりである。
−評価基準−
○ 転写が無い
× 転写がある
(延伸率評価)
積算露光量12,000mJ/cm、照度:2140mW/cmとし、支持体をFassonPE(Fasson社製ポリエチレンフイルム:膜厚100um)を用いる以外は、タックフリ感度と同様にして、硬化膜を作成した。得られた硬化膜を軸長5cm×幅2.5cmにカットし、引っ張り試験機(島津社製)を用いて、速度30cm/minで延伸させ、硬化膜が破断する伸び率を測定した。初期長から2倍の長さまで伸びた状態を伸び率100%と定義した。
延伸率の許容範囲は200%以上であり、より好ましくは300%以上である。
(吐出安定性の評価)
インクのヘッドノズルでの吐出安定性を評価するために、下記の条件でピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置により60分連続吐出におけるノズルロス個数の評価を行った。
実験は、PET基板上にインク組成物を吐出して露光(露光量:1,000mW/cm)を行った場合のノズルロス数(ノズルが詰まってしまった数)を数えた。ノズルロスが0以上5個未満の場合○、ノズルロスが5個以上10個未満を△、10個以上を×とした。
−条件−
チャンネル数:318/ヘッド
駆動周波数:4.8kHz/dot
インク滴:7滴、42pl
温度:45℃
(密着性の評価)
表面未処理のポリプロピレン基板を用いて、クロスハッチテストにより評価した。この試験はJISK5600に基づき、0〜5で評価し、0が最もよく、1が実用上問題ないレベルと評価する。
○:0の範囲
△:1の範囲
×:3以上
Figure 2009242468
表1中の、添加ポリマー(A1−1)〜(A1−5)および(A2−1)〜(A2−7)は、前記した特定ポリマーの例示化合物である。
表1から、本発明における特定ポリマーを含有するインク組成物はいずれも、吐出安定性、転写感度および密着性に優れ、本発明のインク組成物を用いて形成した画像は、耐ブロッキング性、および耐擦過性に優れていることがわかる。本発明のインク組成物を用いれば、感度と基材との密着性を両立することができる。
対して、特定ポリマーを含有しない比較例1は極めて感度が悪く、密着性も劣っている。また表面偏析ポリマーのみを含有する比較例2は、密着性が劣り、表面偏析ポリマーを含有しない比較例3は、感度が劣っていることがわかる。

Claims (7)

  1. (A−1)フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマー、(A−2)炭素数6以上のアルキル基と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマー、(B)分子量が1000以下の重合性化合物、および(C)光重合開始剤、を含有することを特徴とする活性放射線硬化型インク組成物。
  2. 前記(A−1)フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマーのガラス転移温度が、20℃以上であり、前記(A−2)炭素数6以上のアルキル基と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマーのガラス転移温度が、20℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載の活性放射線硬化型インク組成物。
  3. 前記(A−1)フルオロアルキル基またはシロキサン結合を含む部分構造と、重合性基と、を側鎖に有する重合性ポリマーが、さらに環状オレフィン骨格を側鎖に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の活性放射線硬化型インク組成物。
  4. 前記(B)分子量が1000以下の重合性化合物が、ラジカル重合性化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の活性放射線硬化型インク組成物。
  5. 前記(B)分子量が1000以下の重合性化合物が、カチオン重合性化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の活性放射線硬化型インク組成物。
  6. 前記(B)分子量が1000以下の重合性化合物が、重合性基を1つのみ有する単官能モノマーを含み、該重合性化合物中の該単官能モノマーの含有量が、60質量%以上100質量%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の活性放射線硬化型インク組成物。
  7. インクジェット記録用であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の活性放射線硬化型インク組成物。
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