JP2009240879A - 揮発性有機化合物処理システム及び揮発性有機化合物の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】処理対象ガスに含まれるVOCを吸着剤10に吸着させ、吸着剤10に吸着されたVOCを加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して水蒸気に混入させる吸着・脱着装置1と、VOCが混入した水蒸気を燃焼させるガスタービン2とを有する揮発性有機化合物処理システムAであって、VOCが混入した水蒸気を凝縮・液化して液体とする凝縮器5と、凝縮器5で液化した液体を貯溜する貯溜装置6と、ガスタービン2の稼働状況に応じて、配管X4を介して流出するVOCが混入した水蒸気を、ガスタービン2に供給する配管X4aに導入させる、あるいは、凝縮器5に供給する配管X4bに導入させるよう切り替える切替装置8とを有するという構成を採用する。
【選択図】図1
Description
このような処理システムとして、特許文献1には、処理対象ガスを吸着・脱着装置に供給して揮発性有機化合物を活性炭等の吸着剤に吸着させ、また吸着剤が吸着した揮発性有機化合物を水蒸気で吸着剤から脱着して揮発性有機化合物を水蒸気に混入させる。そして、揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービンやボイラ等の燃焼装置により燃焼させて揮発性有機化合物を分解・無害化すると共に揮発性有機化合物が有する化学エネルギーを有効利用して処理する揮発性有機化合物処理システムが開示されている。
このような構成を採用することによって、本発明では、燃焼装置の稼働状況に応じて、揮発性有機化合物が混入した水蒸気の供給経路を切り替えることで、燃焼装置あるいは液化装置にて揮発性有機化合物が混入した水蒸気を処理することができる。
このような構成を採用することによって、本発明では、燃焼装置が、例えば、不可避的なメンテナンスにより停止している場合や、立上り時間等の燃焼できない停止状態にあるときに、他方の液化装置で揮発性有機化合物が混入した水蒸気を処理することができる。
このような構成を採用することによって、本発明では、貯溜装置にて貯留した揮発性有機化合物が混入した液体を廃棄処理することなく再利用して、揮発性有機化合物が有する化学エネルギーを有効に活用できる。
このような構成を採用することによって、本発明では、揮発性有機化合物が混入した液体の混合量を変化させることで、例えば、燃焼装置の負荷変動に対応することができる。
このような構成を採用することによって、本発明では、揮発性有機化合物の有する非水溶性の特性を利用して、水と分離し、分離した揮発性有機化合物を含む第2液体のみを処理することができるため、揮発性有機化合物の処理効率を向上させることができる。また、第2液体では分離前より揮発性有機化合物の含有割合が大きいため、燃焼装置での燃焼効率を向上させることができる。
このような処理方法を採用することによって、本発明では、燃焼装置の稼働状況に応じて、揮発性有機化合物が混入した水蒸気の処理を切り替えることで、燃焼工程あるいは液化工程にて揮発性有機化合物が混入した水蒸気を処理することができる。
したがって、本発明は、燃焼処理できない間においても揮発性有機化合物を処理することができる効果がある。
したがって、本発明は、燃焼処理できない間においても揮発性有機化合物を処理することができる効果がある。
図1は、本発明の実施形態における揮発性有機化合物処理システムAの概要を示す模式図である。
揮発性有機化合物処理システムAは、トルエンやキシレン等の各種揮発性有機化合物の処理を必要とする工場内に構築されるものであり、図1に示すように、吸着・脱着装置1、ガスタービン(燃焼装置)2、熱交換器3、ドレン排出系4、凝縮器(液化装置)5、貯溜装置6、蒸気混合装置7、切替装置8及び不図示の制御装置を備えている。
なお、配管X4は、分岐位置110で2つに分岐しており、一方はVOCが混入した水蒸気をガスタービン2に供給する配管(燃焼経路)X4aに、他方はVOCが混入した水蒸気を凝縮器5に供給する配管(液化経路)X4bに分岐する構成となっている。
圧縮機21は、外部から吸気した空気を加圧して圧縮空気とし、燃焼器22に供給する構成となっている。燃焼器22は、圧縮機21から供給される圧縮空気と燃料ガスとを混合して燃焼させ、タービン23へ排出する。また、燃焼器22には、吸着・脱着装置1から出力されたVOCが混入した水蒸気が配管X4及び配管X4aを介して供給され、この水蒸気を燃料ガスと共に燃焼させる構成となっている。タービン23は、燃焼器22から供給される燃焼ガスの運動エネルギー及び圧力エネルギーによって回転駆動されて、圧縮機21の駆動力と、ガスタービン2外部の発電機等の負荷25の駆動力とを発生する構成となっている。そして、ガスタービン2から排出される燃焼ガス(排ガス)は、熱交換器3へ排出される構成となっている。
なお、ガスタービン2が停止状態にあるときは、熱交換器3は水蒸気を生成することができないため、揮発性有機化合物処理システムAは、補助的に設けられている不図示の補助ボイラ等で水蒸気を生成する構成となっている。
ドレントラップ44は、バイパス配管X41aの上流側にてドレンを滞留させると共に、所定量のドレンが滞留すると余剰のドレンを自動的に下流側に排出する構成となっている。ドレントラップ44は、フロート式、バイメタル式、ベローズ式等の各種方式を採用することができるが、本実施形態ではドレンが滞留することによる温度変化で開閉するバイメタル式のドレントラップを採用している。
また、分離水槽63には、分離水を底部から排水する配管X63が設けられ、VOC槽62には、VOC液を蒸気混合装置7の蒸気・VOC混合器71に供給する配管X62が設けられる構成となっている。
なお、デカンタ61は、VOCが混入した液体が分離水配管X61aを介して分離水槽63内に流入するのを防止するために、予め、内部に水を導入して、分離水配管X61aの一端が配置される位置よりも高い位置に水位がくるように水を貯溜する必要がある。本実施形態では、初期状態でデカンタ61には、分離水配管X61aの屈曲する位置つまり、オーバーフローする程度まで水を貯溜している。
蒸気・VOC混合器71は、配管X8の流路上に設けられ、電動ポンプ72で圧送されるVOC液を不図示の噴霧ノズルにてミスト化して側方から噴霧することで、配管X8を流通する水蒸気にVOC液を混入させる構成となっている。
このような制御装置は、例えば、配管X2に設けられた開閉弁Y2、配管X3に設けられた開閉弁Y3、配管X4aに設けられた開閉弁Y4a、配管X4bに設けられた開閉弁Y4b及び配管X5に設けられた開閉弁Y5の開放/閉塞の動作を各々制御する構成となっている。また、制御装置は、配管X1に設けられた調節弁Y1、配管X4に設けられた調節弁Y4、配管X4aに設けられた調節弁Y4a1、配管X8に設けられた調節弁Y8の開放/閉塞、さらにこれらの当該開放量を調節することで流体の供給量を各々制御することができる構成となっている。
図2〜図6は、吸着・脱着装置1による吸着・脱着工程の各工程における様子を示す模式図であって、図2は吸着工程を、図3は加圧・加温工程を、図4はガスタービン2が稼動しているときの脱着工程を、図5はガスタービン2が停止状態にあるときの脱着工程を、図6は冷却工程を示している。吸着・脱着装置1は、吸着工程、加圧・加温工程、脱着工程、冷却工程の各工程を順次繰り返し行うことにより、処理対象ガスからVOCを除去して処理する。
なお、図2〜図6において、各弁の白抜き表示は「開状態」にあることを示し、各弁の黒抜き表示は「閉状態」にあることを示している。
不図示の制御装置は、図2に示すように、開閉弁Y4a、開閉弁Y4b、開閉弁Y5、調節弁Y1、調節弁Y4を閉状態とすると共に、開閉弁Y2及び開閉弁Y3を開状態とする。開閉弁Y2及び開閉弁Y3が開状態となることで、吸着・脱着装置1にVOCを含んだ処理対象ガスが配管X3を介して下側から順次入力され、中段に設けられた吸着剤10を通過して上側の配管X2から順次出力される。この吸着工程において、処理対象ガスは、吸着剤10を通過する際にVOCが活性炭に吸着されるために浄化され、処理済ガスとして配管X2を介して外部に排出されることとなる。
次に、制御装置は、加圧・加温工程を行うべく、図3に示すように、開閉弁Y2、開閉弁Y3、開閉弁Y4a、開閉弁Y4b、開閉弁Y5及び調節弁Y4を閉状態とすると共に、調節弁Y1を開状態とする。調節弁Y1が開状態となることで、吸着・脱着装置1に水蒸気が配管X1を介して上側から順次入力され、浄化容器11内が加圧・加温状態となり、吸着剤10の雰囲気が加温されることとなる。
このとき、常温状態にあった吸着・脱着装置1に、加圧・加温用の水蒸気を供給することによって当該水蒸気の一部が凝縮して液体のドレンとなる。そして、このドレンには、吸着工程によって吸着剤10に付着したVOCが微量ながら溶け込んでいる。
なお、ガスタービン2が稼動している場合では、吸着・脱着装置1は、熱交換器3で生成した水蒸気の供給を受け、対して、ガスタービン2が停止状態にある場合では、吸着・脱着装置1は、不図示の補助ボイラで生成した水蒸気の供給を受けて加圧・加温されることとなる。
浄化容器11内が十分に加圧・加温されると、制御装置は、脱着工程を行うべく、図4及び図5に示すように、開閉弁Y2、開閉弁Y3、開閉弁Y5及び調節弁Y8を閉状態とすると共に、調節弁Y1及び調節弁Y4を開状態とする。調節弁Y1及び調節弁Y4が開状態となることで、吸着・脱着装置1に水蒸気が配管X1を介して上側から順次入力されると共に、中段に設けられた吸着剤10を通過してVOCが混入した水蒸気が下側の配管X4を介して順次出力される。この脱着工程では、吸着剤10の活性炭に吸着されたVOCは、所定温度に加温された環境下において、吸着剤10を通過する水蒸気によって活性炭から脱着され、水蒸気に混入した状態で配管X4を介して排出されることとなる。
当該ドレンは、切替装置8の上流側の配管X4に設けられたドレン排出系4にて回収された後、デカンタ61に導入される。より詳しくは、先ず、ドレンは、配管X4aから分岐して設けられたドレン配管X41に導入される。次に、ドレンは、ドレン配管X41からバイパス配管X41に流動すると共に、ドレントラップ44の上流側に滞留する。ドレントラップ44は、所定量のドレンを滞留させると、ドレンが滞留することによる温度変化で開閉するバイメタル構造が動作し、余剰のドレンを自動的に下流側に排出することでドレンのみを回収する。そして、ドレンは、ドレン配管X41を介してデカンタ61に導入されることとなる。
そして、時間の経過と共にデカンタ61にVOCが混入した液体が順次導入されると、デカンタ61内の液位がそれに伴って上昇する。当該液位が、VOC液配管X61bが設けられる位置まで上昇すると、VOC液は、VOC液配管X61bを介してデカンタ61から自動的に流出し、VOC槽62内に貯溜される。一方、VOCが混入した液体が順次導入されることでデカンタ61底部の液圧が大きくなると、分離水は、デカンタ61底部近傍に一端が配置された分離水配管X61aを介してデカンタ61から自動的に流出し、分離水槽63内に貯溜される(比重分離工程)。このように、VOCが混入した液体を順次比重分離して流出させることで、デカンタ61内の液位は一定に維持される。
なお、分離水はVOCをほとんど含まないため、配管X63を介して排水、あるいは処理業者に回収された後処理されることとなる。一方、VOC液は、その化学エネルギーを燃焼エネルギーとして有効活用するため、ガスタービン2が稼動し燃焼が可能となるまでVOC槽62に貯溜される。
上記脱着工程の後、制御装置は、冷却工程を行うべく、図6に示すように、開閉弁Y3、開閉弁Y4a、開閉弁Y4b、調節弁Y1及び調節弁Y4を閉状態とすると共に、開閉弁Y2及び開閉弁Y5を開状態とする。開閉弁Y2及び開閉弁Y5が開状態となることで、吸着・脱着装置1に空気が配管X5を介して下側から順次入力され、中段に設けられた吸着剤10を通過して上側の配管X2から順次出力される。この冷却工程では、開閉弁Y2を開状態にすることで浄化容器11内を減圧させ常圧に戻し、空気が吸着剤10を通過することによって活性炭の雰囲気を冷却することで常態に戻すこととなる。
ガスタービン2が稼動している場合は、例えば、図2、図3及び図6に示すように、調節弁Y8及び調節弁Y4a1は、配管X8及び配管X4aを介して常時一定量の水蒸気をガスタービン2に供給するよう開放量を調節した開状態となっている。
このとき制御装置は、所定のタイミングで、蒸気混合装置7を駆動させ、VOC槽62に貯溜されている所定の量のVOC液を、電動ポンプ72を用いて配管X62を介して蒸気・VOC混合器71に圧送する。蒸気・VOC混合器71に圧送されたVOC液は、不図示の噴霧ノズルにて噴霧されることでミスト化し、配管X8を流通する水蒸気と混合された後、ガスタービン2に供給され燃焼されることとなる。
なお、蒸気混合装置7は、制御装置の制御の下、配管X62に設けられた不図示の調節弁の開放量を調節し、電動ポンプ72によるVOC液の供給量を変化させることで、水蒸気と混合させるVOC液の混合量を変化させることができる。また、例えば、制御装置により、電動ポンプ72の交流モータをインバータ制御し、電動ポンプ72の駆動回転数を変えることで、VOC液の供給量を変化させても良い。
したがって、ガスタービン2における負荷25の急激な負荷変動が生じた場合には、負荷変動に応じてVOC液の混合量を増加あるは減少させて調節することで、VOCの有する化学エネルギーを利用して燃焼効率を向上させ当該負荷変動に対応することとなる。
したがって、本実施形態は、燃焼処理できない間においてもVOCを処理することができる揮発性有機化合物処理システムAが得られる効果がある。
したがって、本実施形態は、燃焼処理できない間においてもVOCを処理することができる効果がある。
例えば、VOCがアルコール等の水溶性のものである場合は、デカンタ61にて比重分離せずに、そのままVOCが混入した液体を蒸気混合装置7に供給する構成であっても良い。
さらに、例えば、VOCが水より比重の重いものである場合は、VOC液が下部に、分離水がその上部に比重分離するため、デカンタ61に設けられた分離水配管X61a及びVOC液配管X61bの構成を互いに逆に設計変更する、あるいは、同構成のものをVOC槽62及び分離水槽63のそれぞれに設け、デカンタ61の下部及び上部のいずれか一方から選択的にVOC槽62あるいは分離水槽63に対応する液体を流出させる構成であっても良い。
Claims (10)
- 処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、前記吸着剤に吸着された前記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して前記水蒸気に混入させる吸着・脱着装置と、前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気を燃焼させる燃焼装置とを有する揮発性有機化合物処理システムであって、
前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気を液化する液化装置と、
前記液化装置で液化した液体を貯溜する貯溜装置と、
前記燃焼装置の稼働状況に応じて、前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気の供給経路を、前記燃焼装置に供給する燃焼経路と、前記液化装置に供給する液化経路とに切り替える切替装置とを有することを特徴とする揮発性有機化合物処理システム。 - 前記切替装置は、前記燃焼装置が停止状態にあるときに、前記供給経路を前記液化経路に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の揮発性有機化合物処理システム。
- 前記燃焼装置が稼動しているときに、前記貯溜装置に貯溜した前記液体を水蒸気と混合させて、前記燃焼経路に導入させる蒸気混合装置を有することを特徴とする請求項1または2に記載の揮発性有機化合物処理システム。
- 前記蒸気混合装置は、前記燃焼装置の負荷に応じて、水蒸気と混合させる前記液体の混合量を変化させることを特徴とする請求項3に記載の揮発性有機化合物処理システム。
- 前記貯溜装置で貯留した前記液体から、前記揮発性有機化合物を含有する非水溶性の第2液体を比重分離する比重分離装置を有し、
前記蒸気混合装置は、前記液体として、前記第2液体を水蒸気と混合させることを特徴とする請求項3または4に記載の揮発性有機化合物処理システム。 - 処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、前記吸着剤に吸着された前記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して前記水蒸気に混入させる吸着・脱着工程と、前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気を、燃焼装置を用いて燃焼させる燃焼工程とを有する揮発性有機化合物の処理方法であって、
前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気を液化する液化工程と、
前記液化工程で液化した液体を貯溜する貯溜工程と、
前記燃焼装置の稼働状況に応じて、前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気の処理を、前記燃焼工程と、前記液化工程とに切り替える切替工程とを有することを特徴とする揮発性有機化合物の処理方法。 - 前記切替工程では、前記燃焼装置が停止状態にあるときに、前記処理を前記液化工程に切り替えることを特徴とする請求項6に記載の揮発性有機化合物の処理方法。
- 前記燃焼装置が稼動しているときに、前記貯溜工程にて貯溜した前記液体を水蒸気と混合させて、前記燃焼工程に移行させる蒸気混合工程を有することを特徴とする請求項6または7に記載の揮発性有機化合物の処理方法。
- 前記蒸気混合工程では、前記燃焼装置の負荷に応じて、水蒸気と混合させる前記液体の混合量を変化させることを特徴とする請求項8に記載の揮発性有機化合物の処理方法。
- 前記貯溜工程で貯留した前記液体から、前記揮発性有機化合物を含有する非水溶性の第2液体を比重分離する比重分離工程を有し、
前記蒸気混合工程では、前記液体として、前記第2液体を水蒸気と混合させることを特徴とする請求項8または9に記載の揮発性有機化合物の処理方法。
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