JP2009240038A - 線路電圧降下補償器の整定方法、系統電圧管理の支障判定方法、線路電圧降下補償器の管理装置、および、配電自動化システム - Google Patents

線路電圧降下補償器の整定方法、系統電圧管理の支障判定方法、線路電圧降下補償器の管理装置、および、配電自動化システム Download PDF

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Abstract

【課題】電圧上昇が生じる配電線を含む配電系統において、線路電圧降下補償器の整定を適切に行なうための技術を提供する。
【解決手段】複数の配電線の中に電圧上昇配電線が存在する場合において、電圧上昇配電線における最高電圧点での電圧と、配電用変圧器からの距離に応じて電圧が降下する電圧分布を有する配電線における最低電圧点での電圧とに基づいて、配電用変圧器からの仮の送出電圧を算出する。詳細には、変圧器の送出電圧から最高電圧点の電圧までの電圧上昇幅Vkと、変圧器の送出電圧から最低電圧点の電圧までの電圧下降幅Vjとを加算した電圧変動範囲の中心値が、Vdcとなるように、送出電圧Vacを選定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、配電用変電所に設けられた線路電圧降下補償器を整定するための技術に関し、特に、配電用変圧器に共通に接続された複数の配電線の中に電圧上昇配電線が含まれる場合の整定に関する。
変電所においては、配電線負荷への供給電圧をなるべく一定範囲に保つべく送出電圧(変圧器二次側電圧)が調整されている。通常、送出電圧の調整は、以下のように行なわれる。変圧器二次側の母線電圧を計測して、その計測電圧値が予め設定された整定電圧値よりも大きければ、変圧器のタップを母線電圧が低くなる側に切り換え、計測電圧値が整定電圧値よりも小さい場合には、変圧器のタップを母線電圧が高くなる側に切り換える。母線電圧の制御にあたっては、計測電圧値と整定電圧値とを比較し、その比較結果結果に基づいて変圧器タップに対する昇圧指令もしくは降圧指令信号を出力する電圧調整継電器が用いられている。
母線に接続される各配電線の需給点電圧を一定に保つためには、配電線に負荷電流が流れた際に線路インピーダンスにより生じる電圧降下を補償する必要がある。すなわち、母線電圧はその電圧降下分を上乗せした電圧となることが望ましい。このような電圧降下を補償する目的で、電圧調整継電器に線路電圧降下補償器(LDC;Line Drop Compensator)が設けられる。
線路電圧降下補償器は、線路電流を検出して線路電流に比例した電流を流す変流器の二次側に設けられ、抵抗RとリアクタンスXでなるインピーダンス回路として形成される。したがってインピーダンス回路両端に発生する電圧は、負荷電流に応じて変化する。抵抗Rの値およびリアクタンスXの値は、変圧器の負荷中心点までのインピーダンスに対応する。
インピーダンス回路両端に発生する電圧と計器用変圧器の二次電圧とのベクトル和が、その時点の所定の需給点電圧に対応した模擬需給点電圧となるよう整定される。インピーダンス回路両端に発生する電圧により、負荷電流に応じて変化する変圧器二次側から需給点までの電圧降下分が補償される。
電圧調整継電器は、インピーダンス回路両端に電圧降下分が補償された模擬需給点電圧と、予め設定された整定電圧値とを比較することによって、変圧器タップに対する昇圧指令もしくは降圧指令信号を出力する。線路電圧降下補償器の整定は、抵抗Rの値またはリアクタンスXの値を変更することによって行なわれる。
母線電圧の制御方法に関する技術が、たとえば特許第2631547号公報(特許文献1)に開示されている。この文献に開示される変電所においては、変圧器の二次側に負荷曲線が異なる複数の枝状配電線を持つ母線が接続される。変電所では、この母線に流れる負荷電流及び母線電圧が計測され、その計測された母線電圧値と負荷電流に対応する整定電圧値とが比較される。両者の偏差が予め定められた電圧不感帯幅を越えているときに、この偏差を小さくするように変圧器のタップが切り換わることにより母線電圧が調整される。
上記文献に開示された母線電圧制御方法は、任意の時間幅で複数に分けられた1日の各
時間帯毎の最高重負荷時の整定電圧値と整定電流値、および、各時間帯毎の最低軽負荷時の整定電圧値と整定電流値とが予め整定されており、上記母線の負荷電流が入力される時間の属する時間帯における最高重負荷時の整定電圧値と整定電流値、および、最低軽負荷時の整定電圧値と整定電流値、ならびに、その入力される負荷電流値とを用いて所定の演算を行なって、該当時間帯における負荷電流値に対応する整定電圧値を得ることを特徴とする。
特許第2631547号公報
従来、整定値の決定に際しては、変圧器二次側の全配電線(バンク)の力率が遅れ力率であり、かつ、負荷状態によらず、その力率が不変であることを前提としていた。しかしながら、現実には、配電線ごとの力率は個々に異なり、極端な場合、その力率が進み力率となる配電線がバンクに含まれる場合も存在する。したがって、上述した前提に基づいて整定値を設定した場合、現在の負荷の実態に応じた適切な整定値を求めることができなくなる可能性が考えられる。さらに、適切な整定値が得られないことにより、系統電圧を適切に制御できなくなる可能性も考えられる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電圧上昇が生じる配電線を含む配電系統において、線路電圧降下補償器の整定を適切に行なうための技術を提供することである。
本発明は要約すれば、配電線において生じる電圧降下を補償する線路電圧降下補償器の整定方法であって、配電用変圧器に対して共通に電気的に接続された複数の配電線の中に、配電用変圧器からの距離に応じて電圧が上昇する電圧分布を有する電圧上昇配電線が存在するか否かを判定するステップと、複数の配電線の中に電圧上昇配電線が存在する場合において、電圧上昇配電線における最高電圧点での電圧と、配電用変圧器からの距離に応じて電圧が降下する電圧分布を有する配電線における最低電圧点での電圧とに基づいて、配電用変圧器からの仮の送出電圧を算出するステップと、仮の送出電圧に基づいて、線路電圧降下補償器の整定値を算出するステップとを備える。
好ましくは、仮の送出電圧を算出するステップは、所定の時間における変圧器の送出電圧を基準電圧として、基準電圧から最高電圧点の電圧までの電圧上昇幅と、基準電圧から最低電圧点の電圧までの電圧下降幅とを算出するステップと、電圧上昇幅と、電圧下降幅と、所定の電圧目標値とに基づいて、仮の送出電圧からの電圧上昇幅と仮の送出電圧からの電圧下降幅とを加算した電圧変動範囲の中心値が、所定の電圧目標値となるように、仮の送出電圧を選定するステップとを含む。
好ましくは、線路電圧降下補償器の整定方法は、複数の配電線中に電圧上昇配電線が存在しない場合には、所定の時間において、配電用変圧器の送出電圧からの電圧降下が最小となる複数の配電線上の点の電圧と、配電用変圧器の送出電圧からの電圧降下が最大となる複数の配電線上の点の電圧とに基づいて、仮の送出電圧を算出するステップをさらに備える。
より好ましくは、整定値は、3つの整定対象値を含む。所定の時間は、配電用変圧器の負荷が最大となる第1の時間と、配電用変圧器の負荷が最小となる第2の時間と、第1および第2の時間と異なる第3の時間とを含む。整定値を算出するステップは、第1から第3の時間の各々において、仮の送出電圧と3つの整定対象値との関係を示す3つの方程式を作成するステップと、3つの方程式から3つの整定対象値を算出するステップとを含む
本発明の他の局面に従うと、系統電圧管理の支障判定方法であって、上述のいずれかに記載の線路電圧降下補償器の整定方法によって算出された整定値が所定の範囲に含まれない場合に、複数の配電線の電圧管理に支障が生じる可能性が高いと判定するステップを備える。
本発明のさらに他の局面に従うと、配電線において生じる電圧降下を補償する線路電圧降下補償器の管理装置であって、配電用変圧器に対して共通に電気的に接続された複数の配電線の中に、配電用変圧器からの距離に応じて電圧が上昇する電圧分布を有する電圧上昇配電線が存在するか否かを判定する第1の判定手段と、複数の配電線の中に電圧上昇配電線が存在する場合において、電圧上昇配電線における最高電圧点での電圧と、配電用変圧器からの距離に応じて電圧が降下する電圧分布を有する配電線における最低電圧点での電圧とに基づいて、配電用変圧器からの仮の送出電圧を算出する第1の算出手段と、仮の送出電圧に基づいて、線路電圧降下補償器の整定値を算出する第2の算出手段とを備える。
好ましくは、第1の算出手段は、所定の時間における変圧器の送出電圧を基準電圧として、基準電圧から最高電圧点の電圧までの電圧上昇幅と、基準電圧から最低電圧点の電圧までの電圧下降幅とを算出する手段と、電圧上昇幅と電圧下降幅とを加算した電圧変動幅の中心が、配電用変圧器からの送出電圧の目標値となるように、電圧上昇幅と、電圧下降幅と、目標値とに基づいて仮の送出電圧を選定する手段とを含む。
好ましくは、線路電圧降下補償器の管理装置は、第1の判定手段が、複数の配電線中に電圧上昇配電線が存在しないと判定した場合には、所定の時間において、配電用変圧器の送出電圧からの電圧降下が最小となる複数の配電線上の点の電圧と、配電用変圧器の送出電圧からの電圧降下が最大となる複数の配電線上の点の電圧とに基づいて、仮の送出電圧を算出する第3の算出手段をさらに備える。
より好ましくは、整定値は、3つの整定対象値を含む。所定の時間は、配電用変圧器の負荷が最大となる第1の時間と、配電用変圧器の負荷が最小となる第2の時間と、第1および第2の時間と異なる第3の時間とを含む。第2の算出手段は、第1から第3の時間の各々において、仮の送出電圧と3つの整定対象値との関係を示す3つの方程式を作成する手段と、3つの方程式から3つの整定対象値を算出する手段とを含む。
さらに好ましくは、線路電圧降下補償器の管理装置は、整定値が所定の範囲に含まれない場合に、複数の配電線の電圧管理に支障が生じる可能性が高いと判定する第2の判定手段をさらに備える。
さらに好ましくは、算出された整定値を用いて、線路電圧降下補償器を整定する整定手段をさらに備える。
本発明のさらに他の局面に従うと、配電自動化システムであって、上述の管理装置を備える。
本発明によれば、電圧上昇が生じる配電線を含む配電系統において、配電線路電圧の電圧降下を補償するための電圧調整装置の整定値を適切に定めることが可能になる。
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、配電用変電所における配電系統電圧の制御に関する構成の概略を示した図である。図1を参照して、配電用変電所には、発電所の発電機から送電線を介して送電された電力を降圧する配電用変圧器11が設けられる。配電用変圧器11には母線12が接続される。配電用変電所には、さらに、電圧調整継電器100と、計器用変圧器101と、線路電圧降下補償器103と、変流器104とが設けられる。
電圧調整継電器100は、計器用変圧器101の二次側から取り出される入力電圧値Vpと、予め設定された整定電圧値Vsとを比較して、その比較結果に基づいて昇圧指令信号または降圧指令信号を出力する。電圧調整継電器100は、入力電圧Vpが整定電圧値Vsより高い場合には、配電用変圧器11のタップ(図示せず)を電圧降圧側に切り換えるための降圧指令信号を出力する。一方、電圧調整継電器100は、入力電圧Vpが整定電圧値Vsより低い場合には、タップを電圧昇圧側に切り換えるための昇圧指令信号を出力する。
図示しないが、母線12からは遮断器を介して配電線が引き出されている。線路電圧降下補償器103は、配電線に負荷電流が流れた際に、配電線のインピーダンスにより降下する電圧を補償するために設けられる。なお、1つの変圧器に対して共通に電気的に接続される一群の配電線を以下の説明では「バンク」と呼ぶことにする。
変流器104は、配電用変圧器11の二次電流を所定比率で変流する。線路電圧降下補償器103は、変流器104の二次側に設けられ、抵抗RとリアクタンスXでなるインピーダンス回路として形成されている。このインピーダンス回路両端に発生する電圧は負荷電流に応じて変化する。抵抗Rの値とリアクタンスXの値とは、配電用変圧器11の負荷中心点までのインピーダンスに対応する。インピーダンス回路両端に発生する電圧と計器用変圧器101の二次電圧とのベクトル和は、その時点の所定の需給点電圧に対応した模擬需給点電圧となるよう整定されている。変圧器二次側から需給点までの電圧降下分は負荷電流に応じて変化するが、この電圧降下分はインピーダンス回路両端に発生する電圧によって補償される。このようにして電圧降下分を補償された模擬需給点電圧値すなわち入力電圧値Vpが、電圧調整継電器100において所定の整定電圧値Vsと比較される。
バンクの最大負荷時およびバンクの最小負荷時の各々において、配電線の最大電圧点での電圧と、最低電圧点での電圧とが、ともに管理値内に入るように、線路電圧降下補償器(インピーダンス回路)における整定値(R,X)ならびに基準電圧値Vrefが決定される。線路電圧降下補償器103には、たとえば抵抗Rの値およびリアクタンスXの値ならびに基準電圧値Vrefの各々を変更するためのつまみが設けられ、そのつまみが操作されることによって整定値が調整される。
<バンクの全配電線の力率が一定の遅れ力率である場合の整定方法>
図2は、バンクの全配電線の力率が一定の遅れ力率である場合の電圧分布を示した図である。図2を参照して、直線k1は、バンクの負荷が最大となる時間帯(t1)における配電線上の電圧分布を示し、直線k2は、バンクの負荷が最小となる時間帯(t2)における配電線上の電圧分布を示す。
送出電圧Vac1,Vac2は、それぞれ、時間帯t1,t2における配電用変電所(配電用変圧器11)からの送出電圧を表す。α(t1),β(t1),α(t2),β(t2)はいずれも送出電圧からの電圧降下分であり、下記のように定義される。
α(t1):変圧器に最も近い配電線上の端点(最近端点)における送出電圧Vac1からの電圧降下分
β(t1):変圧器から最も遠い配電線上の端点(最遠端点)における送出電圧Vac1からの電圧降下分
α(t2):最近端点における送出電圧Vac2からの電圧降下分
β(t2):最遠端点における送出電圧Vac2からの電圧降下分
なおα(t1),β(t1),α(t2),β(t2)は、たとえば、送出電圧を基準として、その基準電圧と配電線の電圧との電圧差を計測する電圧センサによって把握できる。
直線k1,k2の交点に対応する配電線上の点を電圧降下中心点とし、電圧降下中心点における電圧をVdcとする。送出電圧Vacと、最近端における電圧降下分αと、最遠端における電圧降下分βと、電圧Vdcとの間には、以下の式(1)に示す関係が成立する。
Vac=Vdc+(1/2)×(α+β) …(1)
式(1)から、送出電圧Vac1,Vac2は、それぞれ以下の式(2)および式(3)に従って表される。
Vac1=Vdc+(1/2)×{α(t1)+β(t1)} …(2)
Vac2=Vdc+(1/2)×{α(t2)+β(t2)} …(3)
Vdcは固定値であり、たとえば以下のようにして求められる。日本では電気事業法により、引込口における電灯線電圧を101V±6V以内に維持することが定められている。また、この配電系統におけるすべての柱上変圧器タップが6600V:105Vに設定されているとする。これらによって、電圧Vdcは以下の式(4)により表すことができる。
Vdc=101×(6600/105) …(4)
一方、送出電圧Vacとバンクの負荷状態との間には、以下の式(5)に示した電圧降下推定式が成立するものと推定される。
Vac=Z×I+Vref …(5)
Zは、線路電圧降下補償器103のインピーダンスであり、R,Xにより構成される。Vrefは、配電用変圧器11の負荷中心点の目標電圧である。インピーダンスZをRおよびXに分解することにより、式(5)は近似的に式(6)のように表される。
Vac=√3(Rcosθ+Xsinθ)×I+Vref …(6)
θは力率角である。この整定方法では力率を不変としているので力率角θはある固定値となる。
等価配電線の抵抗値をReffとし、等価配電線のリアクタンス値をXeffとする。式(2),(3),(6)から、以下の式(7),(8)が成立する。
Reff=(Vac1−Vac2)×cosθ/{√3(Ia1−Ia2)} …(7)
Xeff=(Vac1−Vac2)×sinθ/{√3(Ia1−Ia2)} …(8)
Ia1,Ia2は、送出電圧がそれぞれVac1,Vac2であるときのバンク電流であり、たとえば計測によって求められる。式(7),(8)からReffおよびXeffを求めることができる。
このように、バンクの全配線の力率が遅れ力率であり、かつ負荷状態によらず力率が不変であれば、式(7),(8)に従って、整定値(R,X)を求めることができる。しかしながら、現実には同一バンクにおいて時間帯により力率が変化することが起こりうる。
図3は、同一バンクに属する配電線の電圧分布の一例を示す図である。図3(A)は、バンクの負荷が最大時の配電線の電圧分布の例を示した図である。図3(A)に示されるように、どの配電線においても送出電圧からの電圧降下が生じている。図3(A)に示した状態では、バンクの力率および配線力率ともに遅れ力率である。したがって、図3(A)に示される電圧分布では、最近端の電圧が最大となり、最遠端の電圧が最小となる。この場合には、配電線の電圧分布の傾向が、整定の前提事項とほぼ同じとなる。したがって、整定に際しては、最近端電圧と最遠端電圧との差および電圧降下分の総和のみを考慮すればよい。
図3(B)は、バンクの負荷が最小時の配電線の電圧分布の例を示した図である。この例においては、配電線の力率に進み力率と遅れ力率とが混在するとともに、バンク力率は進み力率となる。このため、送出電圧からの電圧上昇が生じる配電線と、送出電圧からの電圧降下が生じる配電線とが混在する。図3(B)に示される電圧分布では、負荷力率に応じて配電線の電圧分布が異なるとともに、同一バンク内で配電線の電圧分布のばらつきが大きくなる。
たとえば工場においては、力率悪化を改善するために、容量性リアクタンスである進相コンデンサを負荷に並列に配電線に接続して、進相コンデンサの進み電力で負荷の遅れ電力を打ち消す方法が採用されている。しかし軽負荷時(たとえば夜間)においてもコンデンサが配電線に接続されたままとなると、配電線力率が進み力率となってしまう。この場合、フェランチ効果によって配電線の電圧が上昇する。したがって、図3(B)に示したような電圧分布が得られることがある。
図3(B)に示したような電圧分布が得られる状態においては、整定の前提事項(バンクの全配線の力率が遅れ力率であり、かつ負荷状態によらず力率が不変)と、配電線の電圧分布の現実の傾向とが乖離している。したがって、系統電圧の適切な制御のためには、この乖離を補償する必要がある。
本実施の形態によれば、進み力率となる配電線を含む場合においては、下記の方法により送出電圧を算出し、その算出した送出電圧に基づいて、線路電圧降下補償器の整定値を算出する。
<進み力率となる配電線を含む場合の送出電圧の算出方法>
図4は、進み力率となる配電線の電圧分布と遅れ力率となる配電線の電圧分布とを示した図である。図4を参照して、直線k3は進み力率となる配電線の電圧分布を示し、直線k4は遅れ力率となる配電線の電圧分布を示す。Vkは、送出電圧Vac#から最高電圧点における電圧までの電圧上昇幅を示し、Vjは、送出電圧Vac#から最低電圧点における電圧までの電圧降下幅を示す。Vk,Vjは、たとえばα,βと同様に、送出電圧Vac#を基準として、その基準電圧と配電線の電圧との電圧差を計測する電圧センサによって把握される。
この算出方法では、電圧上昇幅Vkと、電圧下降幅Vjと、電圧Vdc(電圧目標値)とに基づいて、送出電圧Vacを選定する。具体的には、送出電圧Vacからの電圧上昇幅Vkと、送出電圧Vacからの電圧下降幅Vjとを加算した電圧変動範囲の中心値が電圧Vdcとなるように、送出電圧Vacを選定する。この送出電圧Vacは整定値の算出
に用いられる送出電圧であり、本発明の「仮の送出電圧」に相当する。
送出電圧Vacは、電圧変動範囲の中心である電圧Vdcから電圧Vsifだけずれた電圧に相当する。送出電圧Vacは以下の式(9)および式(10)に従って表される。
Vac=Vdc−Vsif …(9)
Vsif=(Vk−Vj)/2 …(10)
これにより、図4に示されるように、配電線の電圧はVdc±(Vk+Vj)/2の範囲で変動することになる。
式(1)に従う送出電圧の算出方法は、「電圧降下」の中心点がVdcとなるように、送出電圧Vacを算出するものである。これに対し、本算出方法は、「電圧降下」が生じる配電線と「電圧上昇」とが生じる配電線が存在するため、「電圧降下」と「電圧上昇」との中心点がVdcとなるように、送出電圧Vacを決定するものである。このようにして送出電圧Vacを決定することにより、バンクに進み力率となる配電線を含む場合においても、電圧降下推定式(式(5))から整定値を算出することが可能になる。
<本実施の形態に係る整定方法>
本実施の形態に係る整定方法では、バンク負荷および配電線負荷の傾向から、特徴的な3つの時間帯を抽出する。具体的には、バンク負荷が最大となる時間帯、バンク負荷が最小となる時間帯、これら2つのいずれとも異なるが配電線が重負荷となる時間帯の3つである。
図5は、日負荷曲線の一例を示す図である。図5(A)は、工場負荷の変動を示す日負荷曲線の例を示した図である。図5(B)は、住宅負荷の変動を示す日負荷曲線の例を示した図である。図5を参照して、たとえば「14時」を、バンク負荷の最大の時間帯として抽出する。また、たとえば「3時」をバンク負荷が最小の時間帯として抽出する。また、配電線の負荷が大きくなる時間帯として、たとえば、配電線固有の最大負荷(工場負荷および住宅負荷がともに最大となる)を示す時間帯である「18時」が抽出される。
次に、式(5)に示した電圧降下の推定式を上記3つの時間帯に適用する。これにより以下の式(11)から式(13)が成立する。
Vac1=√3(Rcosθ1+Xsinθ1)×I1+Vref …(11)
Vac2=√3(Rcosθ2+Xsinθ2)×I2+Vref …(12)
Vac3=√3(Rcosθ3+Xsinθ3)×I3+Vref …(13)
ここで、θ1〜θ3は、各時間帯におけるバンク力率の力率角であり、I1〜I3は各時間帯におけるバンク電流であり、たとえば計測により求められる。
送出電圧Vac1〜Vac3の各々は、式(9)および式(10)に従って算出される。なお、力率角θ1〜θ3は、たとえば電圧および電流を計測しておき、それら電圧および電流の位相差から求められる。
式(11)から式(13)は、R,X,Vrefを用いた3元1次連立方程式となる。この方程式を解くことによって、整定値(R,X,Vref)を求めることができる。
なお、3つの時間帯のいずれにおいても、進み力率となる配電線が含まれない場合も考えられる。この場合には、式(1)に従って、各時間帯における送出電圧を算出し、その送出電圧と、各時間帯におけるバンク電流I1〜I3と、力率角θ1〜θ3とを式(11)〜式(12)に代入する。この場合にも式(11)から式(13)を解くことによって
整定値(R,X,Vref)を求めることができる。
このようにして求められた整定値を用いて線路電圧降下補償器の整定を行なうことによって、電圧上昇配電線を含むバンクにおける電圧を適切に制御できる。たとえば電圧上昇配電線がバンクに存在する場合において、その最高点での電圧を目標範囲内に制御することが可能になる。
<系統電圧管理の支障判定方法>
バンクに電圧上昇配電線が含まれる場合、式(11)〜式(13)より求められた整定値(R,X,Vref)が、現実の線路電圧降下補償器103における整定値の設定範囲を逸脱することが考えられる。したがって、算出された整定値が設定範囲に含まれるか否かを判定することによって、系統電圧管理の支障の有無の可能性を判定することが可能になる。
<装置の構成>
図6は、本発明の実施の形態に従う整定方法および支障判定方法を実行するコンピュータ110の構成の一例を示した図である。図6を参照して、コンピュータ110には、ユーザによる各種情報や指示の入力装置として、マウス124と、キーボード126が接続される。また、コンピュータ110には、出力装置として、ディスプレイ128が接続される。
コンピュータ110は、CPU(Central Processing Unit)112と、オペレーティングシステムに送られたプログラムなどを不揮発的に記憶したROM(Read Only Memory)114と、実行されるプログラムをロードするための、およびプログラム実行中のデータを一時的に記憶するためのRAM(Random Access Memory)116と、ハードディスク(HDD)118と、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)ドライブ120とを備える。CD−ROMドライブ120には、CD−ROM122が装着される。CPU112と、ROM114と、RAM116と、ハードディスク118と、CD−ROMドライブ120とは、バス130を介して相互に情報を授受する。
整定値を演算するためのプログラムおよび、電圧管理の支障判定プログラムはCD−ROM122に記録される。一般的にこうしたプログラムは、CD−ROM122などの記録媒体に記憶されて流通し、CD−ROMドライブ120などにより記録媒体から読取られてハードディスク118に一旦記憶される。プログラムは、ハードディスク118からRAM116に読出されてCPU112により実行される。
コンピュータ110は、そのプログラムがCPU112で実行されることにより、本実施の形態に従う整定装置あるいは判定装置として機能する。従って以下に示す処理はCPU112の処理であるとして説明する。なお、整定値を演算するためのプログラム、電圧管理の支障判定プログラム、および、これらのプログラムを記録したCD−ROMも本発明の1つの実施態様である。
図7は、図6に示したコンピュータ110により実行される整定方法を示すフローチャートである。図7に示したフローチャートを実行するためのプログラムは、CPU112に予め格納されているものとする。
図7および図6を参照して、処理が開始されると、ステップS1において、負荷曲線(図5参照)から、バンク負荷が最大となる時間帯、バンク負荷が最小となる時間帯、およびこれらの時間帯と異なる時間帯(配電線が重負荷となる時間帯)が決定される。なお、これらの時間帯は、日負荷曲線に対応するデータ(時間帯と負荷電力とが対応付けられた
データ)に基づいてCPU112が決定してもよいし、コンピュータ110のユーザが入力装置を介してCPU112に入力してもよい。
ステップS2では、CPU112は、配電線力率(遅れ力率または進み力率)に応じた方法に従って、上記の3つの時間帯に対応した送出電圧Vacを算出する。なお、ステップS2の処理については後に詳しく説明する。
ステップS3において、CPU112は、ステップS2において算出された送出電圧Vacおよび、電圧降下推定式(式(5))から、式(11)から式(13)に示した、整定値(R,X,Vref)を含む3元1次連立方程式を立てる。ステップS4において、CPU112は、その3元1次連立方程式を解くことにより、整定値(R,X,Vref)を算出する。なお、CPU112による3元1次連立方程式の解法については、種々の公知の方法(たとえば行列式を用いる方法)を用いることができる。
ステップS5において、CPU112は算出した整定値(R,X,Vref)を、たとえばディスプレイ128を介して出力する。ステップS5の処理が終了すると、全体の処理が終了する。
図8は、図7のフローチャートにおけるステップS2の処理を説明するフローチャートである。図8および図6を参照して、処理が開始されると、ステップS11においてCPU112は、バンクの全配電線の力率が遅れ力率であるかどうかを判定する。バンクの全配線の力率が遅れ力率である場合(ステップS11においてYES)、処理はステップS12,S13の順に進む。一方、バンクの全配電線の中に、その力率が進み力率である配電線が含まれる場合(ステップS11においてNO)、処理はステップS14,S15の順に進む。
ステップS12において、CPU112は、たとえばコンピュータ110のユーザから入力装置を介して、最近端点における電圧降下分α、および、最遠端点における電圧降下分βを受付ける。続いてステップS13において、CPU112は、第1の算出パターンに従って送出電圧を算出する。この場合、CPU112は式(1)に従って、各時間帯における送出電圧を算出する。
一方、ステップS14において、CPU112は、たとえばコンピュータ110のユーザから入力装置を介して送出電圧からの電圧上昇幅Vk、および、送出電圧からの電圧下降幅Vjを受付ける。続いてステップS15において、CPU112は、第2の算出パターンに従って送出電圧を算出する。この場合、CPU112は式(9)および式(10)に従って、各時間帯における送出電圧を算出する。
ステップS13またはステップS15の処理が終了すると、ステップS2の処理が終了する。
図9は、図6に示したコンピュータ110により実行される系統電圧管理の支障判定方法を示すフローチャートである。図9に示したフローチャートを実行するためのプログラムは、CPU112に予め格納されているものとする。図9および図6を参照して、処理が開始されると、ステップS21において、CPU112は、図7および図8のフローチャートに示される処理を実行することにより算出された整定値(R,X,Vref)の各々が、設定可能な整定値の範囲内に入っているか否かを判定する。この設定範囲の情報は、たとえばハードディスク118に予め記憶されている。
各整定値が設定範囲内に入っている場合(ステップS21においてYES)、ステップ
S22において、CPU112は、系統電圧管理に支障が生じる可能性がないと判断する。一方、R,X,Vrefの少なくとも1つがその設定範囲内に入っていない場合(ステップS21においてNO)、ステップS23において、CPU112は系統電圧管理に支障が生じる可能性があると判断する。ステップS22またはステップS23の処理が終了すると、ステップS24において、CPU112は、その判断結果を、たとえばディスプレイ128を介して出力する。ステップS24の処理が終了すると全体の処理が終了する。
以上のように、本実施の形態によれば、線路電圧の上昇、時間帯による力率の変化に対して整定を的確に実行できる。工場負荷が接続された配電線では、軽負荷時(たとえば夜間)において、その力率が顕著な進み力率になっているために配電線の電圧上昇が生じる場合が多い。さらに、近年では電力自由化の進展に伴い、たとえば風力発電や太陽光発電などといった種々の分散型電源が、配電系統に多数台連系されている。これらの分散電源からの逆方向の潮流(逆潮流)によっても配電線の電圧が上昇する。このような場合においても、本実施の形態では、的確な整定を実行することによって、従来より高品質の電圧供給が可能になる。したがって、本実施の形態によれば、配電用変電所からの電圧供給の支障が生じる可能性を減少させることが可能になる。
さらに、本実施の形態によれば、算出された整定値が、線路電圧降下補償器の設定範囲に含まれるか否かが判定される。これにより、配電用変電所では、供給電圧の支障が生じる可能性を低くするための適切な処置を行なうことができる。たとえば算出された整定値が線路電圧降下補償器の設定範囲内であれば、その整定値がそのまま採用される。一方、算出された整定値が設定範囲外であれば、整定以外の方策を検討することが可能になる。これによって、配電用変電所からの電圧供給の支障が生じる可能性をより減少させることが可能になる。
なお、本発明の「第1の算出手段」は、ステップS13の処理によって実現され、本発明の「第2の算出手段」は、ステップS3,S4の処理によって実現され、本発明の「第3の算出手段」は、ステップS15の処理によって実現される。また、本発明の「第1の判定手段」は、ステップS11の処理によって実現され、本発明の「第2の判定手段」は、ステップS21〜S23の処理によって実現される。
<応用例>
図10は、本実施の形態に従う整定方法および系統電圧管理の支障判定方法を実行する装置を含む配電自動化システム1の構成を概略的に示す図である。
図10を参照して、配電系統200は、発電所の発電機2から送電線3を介して送電された電力を降圧する配電用変圧器11と、配電用変圧器11に接続された母線12と、母線12に接続された複数の遮断器CBと、継電器14とを含む。配電用変圧器11、母線12、継電器14、および遮断器CBは変電所に設置される。遮断器CBは、配電線Fに短絡または地絡などの故障が生じたときに、配電線Fに供給される電力を遮断する。故障時における遮断器CBの遮断および再閉路を制御するために継電器14が設けられる。
配電系統200は、さらに、母線12から遮断器CBを介して引き出された複数の配電線Fと、各配電線Fに設けられた複数の区分開閉器SWと、各配電線Fを相互に連系するための結合開閉器TSWとを含む。
区分開閉器SWは、電磁石の励磁により閉路し、減磁により開路する接点を有する。通常の送電時は、接点が閉路したオン状態(入状態、投入状態)になる。配電線Fの故障時に、配電線電圧が消滅すると減磁によって接点が開路して、区分開閉器SWはオフ状態(
切状態、開放状態)になる。
この区分開閉器SWによって、配電線Fは複数の区間Sに分割される。図10の例では、3回線の配電線FI,FII,FIIが、母線12から遮断器CBI,CBII,CBIIIを介してそれぞれ引き出される。そして、引き出された各配電線Fは、2個の区分開閉器SWによって、3区間Sに分割される。たとえば、第1番目の配電線FIでは、遮断器CBIに近接する側から、区分開閉器SWI−1および区分開閉器SWI−2が設置される。これによって、配電線FIは、遮断器CBIに近接する側から、区間SI−1、区間SI−2、区間SI−3の3区間に分割される。配電線FII,FIIIについても同様である。ローマ数字I,II,IIIによって、回線番号を区別する。
結合開閉器TSWは、通常はオフ状態で用いられる。結合開閉器TSWは、配電線の故障時に故障区間を回避して健全区間へ送電するために接点が閉路する。結合開閉器TSWを介して、複数の配電線Fは相互に接続される。図10の例では、区間SI−2と区間SII−2とは、結合開閉器TSW−1を介して接続される。また、区間SII−3と区間SIII−2とは、結合開閉器TSW−2を介して接続される。また、区間SI−3と区間SIII−3とは、結合開閉器TSW−3を介して接続される。
電圧調整継電器100と、計器用変圧器101と、線路電圧降下補償器103と、変流器104とは、図1に示したものと同様である。したがって、これらについての詳細な説明は繰返さない。
配電自動化システム1は、このような配電系統200に配備される複数の区分開閉器SWおよび結合開閉器TSWのそれぞれに対応して設けられる複数の子局20,30と、複数の区分開閉器SWにそれぞれ対応して設けられる複数の計測ユニット45と、コンピュータ110と、子局20,30とコンピュータ110との間を接続する通信路である自動化伝送路41とを含む。
子局20,30はコンピュータ110によって制御され、区分開閉器SWおよび結合開閉器TSWの開閉を監視および制御する。さらに、子局20は、計測ユニット45を介して配電線の電流および電圧を計測する。子局20は、その計測結果を、自動化伝送路41を介してコンピュータ110に送信する。
自動化伝送路41には、光ファイバケーブル、メタルケーブルなどが用いられる。通信用の専用線である自動化伝送路41を用いる代わりに、インターネット情報網、電力線搬送または無線方式によってコンピュータ110と子局20,30との間の通信を行なってもよい。
コンピュータ110は、子局20が計測した配電線の電流および電圧に基づいて力率を算出する。さらに、コンピュータ110は、子局20が計測した配電線の電流および電圧を受ける。コンピュータ110は、これらの電流、電圧に基づいて、子局20,30を監視制御する。さらに、コンピュータ110は、これらの電流、電圧、および力率に基づいて、図7および図8のフローチャートに示した整定処理を実行する。変圧器母線における同様の情報についても、変流器104、計器用変圧器101により計測し、整定処理に使用される。
線路電圧降下補償器103は、その整定値が、コンピュータ110により調整可能なように構成される。
この配電自動化システムでは、整定処理として、データ取得による配電系統の状態把握
(電圧上昇配電線の発見、電圧上昇あるいは降下幅の把握等)、そのデータの使用による整定値の算出、整定値の判定、および整定値の変更が実行される。これらの処理は主としてコンピュータ110により実行される。
図11は、コンピュータ110による整定処理を示すフローチャートである。図11に示したフローチャートを実行するためのプログラムは、CPU112に予め格納されているものとする。図11および図6を参照して、処理が開始されると、配電自動化システムによるデータ取得およびその取得したデータによる配電系統全体の状態の把握が行なわれる(ステップS30)。次に、コンピュータ110は、図7および図8のフローチャートに示した処理を実行することによって、整定値を算出する。そして、算出した整定値が設定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS31)。算出した整定値が設定範囲内にある場合(ステップS31においてYES)、コンピュータ110は、その算出した整定値に従って線路電圧降下補償器103を制御することにより整定を行なう(ステップS32)。これにより、実際の整定値(R,X,Vref)は、その算出した整定値となる。一方、算出した整定値が設定範囲内にない場合(ステップS31においてNO)、コンピュータ110はディスプレイ128に警告を出力する(ステップS33)。この場合には、たとえば整定以外の方法を実行することにより、送出電圧の管理が行なわれる。ステップS31またはステップS32の処理が終了すると、全体の処理が終了する。なお、本発明の「整定手段」は、ステップS32の処理によって実現される。
このように、本実施の形態に従う整定方法および判定方法を実行する装置を配電自動化システム1に含めることによって、たとえば所定の期間ごと(あるいは任意のタイミング)で整定を行なうことが可能になる。これにより、配電用変電所からの電圧供給の支障が発生する可能性をより小さくすることができるので、高品質の電力供給を可能にすることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
配電用変電所における配電系統電圧の制御に関する構成の概略を示した図である。 バンクの全配電線の力率が一定の遅れ力率である場合の電圧分布を示した図である。 同一バンクに属する配電線の電圧分布の一例を示す図である。 進み力率となる配電線の電圧分布と遅れ力率となる配電線の電圧分布とを示した図である。 日負荷曲線の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に従う整定方法および支障判定方法を実行するコンピュータ110の構成の一例を示した図である。 図6に示したコンピュータ110により実行される整定方法を示すフローチャートである。 図7のフローチャートにおけるステップS2の処理を説明するフローチャートである。 図6に示したコンピュータ110により実行される系統電圧管理の支障判定方法を示すフローチャートである。 本実施の形態に従う整定方法および系統電圧管理の支障判定方法を実行する装置を含む配電自動化システム1の構成を概略的に示す図である。 コンピュータ110による整定処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 配電自動化システム、2 発電機、3 送電線、11 配電用変圧器、12 母線、14 継電器、20,30 子局、41 自動化伝送路、45 計測ユニット、100
電圧調整継電器、101 計器用変圧器、103 線路電圧降下補償器、104 変流器、110 コンピュータ、112 CPU、114 ROM、116 RAM、118
ハードディスク、120 CD−ROMドライブ、122 CD−ROM、124 マウス、126 キーボード、128 ディスプレイ、130 バス、200 配電系統、CB,CBI,CBII,CBIII 遮断器、F,FI,FII,FII 配電線、k1〜k4 直線、SW 区分開閉器、TSW 結合開閉器。

Claims (12)

  1. 配電線において生じる電圧降下を補償する線路電圧降下補償器の整定方法であって、
    配電用変圧器に対して共通に電気的に接続された複数の配電線の中に、前記配電用変圧器からの距離に応じて電圧が上昇する電圧分布を有する電圧上昇配電線が存在するか否かを判定するステップと、
    前記複数の配電線の中に前記電圧上昇配電線が存在する場合において、前記電圧上昇配電線における最高電圧点での電圧と、前記配電用変圧器からの距離に応じて電圧が降下する電圧分布を有する配電線における最低電圧点での電圧とに基づいて、前記配電用変圧器からの仮の送出電圧を算出するステップと、
    前記仮の送出電圧に基づいて、前記線路電圧降下補償器の整定値を算出するステップとを備える、線路電圧降下補償器の整定方法。
  2. 前記仮の送出電圧を算出するステップは、
    所定の時間における前記変圧器の送出電圧を基準電圧として、前記基準電圧から前記最高電圧点の電圧までの電圧上昇幅と、前記基準電圧から前記最低電圧点の電圧までの電圧下降幅とを算出するステップと、
    前記電圧上昇幅と、前記電圧下降幅と、所定の電圧目標値とに基づいて、前記仮の送出電圧からの前記電圧上昇幅と前記仮の送出電圧からの前記電圧下降幅とを加算した電圧変動範囲の中心値が、前記所定の電圧目標値となるように、前記仮の送出電圧を選定するステップとを含む、請求項1に記載の線路電圧降下補償器の整定方法。
  3. 前記複数の配電線中に前記電圧上昇配電線が存在しない場合には、所定の時間において、前記配電用変圧器の送出電圧からの電圧降下が最小となる前記複数の配電線上の点の電圧と、前記配電用変圧器の送出電圧からの電圧降下が最大となる前記複数の配電線上の点の電圧とに基づいて、前記仮の送出電圧を算出するステップをさらに備える、請求項1に記載の線路電圧降下補償器の整定方法。
  4. 前記整定値は、3つの整定対象値を含み、
    前記所定の時間は、
    前記配電用変圧器の負荷が最大となる第1の時間と、
    前記配電用変圧器の負荷が最小となる第2の時間と、
    前記第1および第2の時間帯と異なる第3の時間とを含み、
    前記整定値を算出するステップは、
    前記第1から第3の時間の各々において、前記仮の送出電圧と前記3つの整定対象値との関係を示す3つの方程式を作成するステップと、
    前記3つの方程式から前記3つの整定対象値を算出するステップとを含む、請求項2または3に記載の線路電圧降下補償器の整定方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の線路電圧降下補償器の整定方法によって算出された前記整定値が所定の範囲に含まれない場合に、前記複数の配電線の電圧管理に支障が生じる可能性が高いと判定するステップを備える、系統電圧管理の支障判定方法。
  6. 配電線において生じる電圧降下を補償する線路電圧降下補償器の管理装置であって、
    配電用変圧器に対して共通に電気的に接続された複数の配電線の中に、前記配電用変圧器からの距離に応じて電圧が上昇する電圧分布を有する電圧上昇配電線が存在するか否かを判定する第1の判定手段と、
    前記複数の配電線の中に前記電圧上昇配電線が存在する場合において、前記電圧上昇配電線における最高電圧点での電圧と、前記配電用変圧器からの距離に応じて電圧が降下する電圧分布を有する配電線における最低電圧点での電圧とに基づいて、前記配電用変圧器
    からの仮の送出電圧を算出する第1の算出手段と、
    前記仮の送出電圧に基づいて、前記線路電圧降下補償器の整定値を算出する第2の算出手段とを備える、線路電圧降下補償器の管理装置。
  7. 前記第1の算出手段は、
    所定の時間における前記変圧器の送出電圧を基準電圧として、前記基準電圧から前記最高電圧点の電圧までの電圧上昇幅と、前記基準電圧から前記最低電圧点の電圧までの電圧下降幅とを算出する手段と、
    前記電圧上昇幅と前記電圧下降幅とを加算した電圧変動幅の中心が、前記配電用変圧器からの送出電圧の目標値となるように、前記電圧上昇幅と、前記電圧下降幅と、前記目標値とに基づいて前記仮の送出電圧を選定する手段とを含む、請求項6に記載の線路電圧降下補償器の管理装置。
  8. 前記第1の判定手段が、前記複数の配電線中に前記電圧上昇配電線が存在しないと判定した場合には、所定の時間において、前記配電用変圧器の送出電圧からの電圧降下が最小となる前記複数の配電線上の点の電圧と、前記配電用変圧器の送出電圧からの電圧降下が最大となる前記複数の配電線上の点の電圧とに基づいて、前記仮の送出電圧を算出する第3の算出手段をさらに備える、請求項6に記載の線路電圧降下補償器の管理装置。
  9. 前記整定値は、3つの整定対象値を含み、
    前記所定の時間は、
    前記配電用変圧器の負荷が最大となる第1の時間と、
    前記配電用変圧器の負荷が最小となる第2の時間と、
    前記第1および第2の時間帯と異なる第3の時間とを含み、
    前記第2の算出手段は、
    前記第1から第3の時間の各々において、前記仮の送出電圧と前記3つの整定対象値との関係を示す3つの方程式を作成する手段と、
    前記3つの方程式から前記3つの整定対象値を算出する手段とを含む、請求項7または8に記載の線路電圧降下補償器の管理装置。
  10. 前記整定値が所定の範囲に含まれない場合に、前記複数の配電線の電圧管理に支障が生じる可能性が高いと判定する第2の判定手段をさらに備える、請求項6から9のいずれか1項に記載の線路電圧降下補償器の管理装置。
  11. 算出された前記整定値を用いて、前記線路電圧降下補償器を整定する整定手段をさらに備える、請求項6から10のいずれか1項に記載の線路電圧降下補償器の管理装置。
  12. 請求項11に記載の線路電圧降下補償器の管理装置を備える、配電自動化システム。
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