JP2000102171A - 電力系統電圧制御方法および装置 - Google Patents

電力系統電圧制御方法および装置

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JP2000102171A
JP2000102171A JP10268216A JP26821698A JP2000102171A JP 2000102171 A JP2000102171 A JP 2000102171A JP 10268216 A JP10268216 A JP 10268216A JP 26821698 A JP26821698 A JP 26821698A JP 2000102171 A JP2000102171 A JP 2000102171A
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Japan
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voltage
control
monitoring area
voltage monitoring
determination unit
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JP10268216A
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English (en)
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Fumitaka Okochi
文隆 大河内
Katsuhisa Kametani
勝久 亀谷
Michio Takenaka
道夫 竹中
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Fuji Electric Co Ltd
FFC Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
FFC Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電力系統内の電圧制御機器を、干渉や不要な
操作を抑制しながら操作し、電力系統の電圧が適切に維
持されるように制御する。 【解決手段】 系統パターン判定手段240は、オンラ
インデータベース210から系統構成情報を取得し、知
識ベース220を検索して、電力系統10の現在の系統
パターンを得る。電圧状態指標作成手段250は、オン
ラインデータベース210から各監視点の電圧を取得
し、該現在の系統パターンを基に、知識ベース220を
検索して各電圧監視領域の電圧値を示す電圧状態の指標
値データを作成する。制御知識選択手段260は、該現
在の系統パターンを基に、知識ベース220を検索して
制御知識を取得する。機器操作判定・実施手段270
は、該電圧状態の指標値データと該制御知識を基に、電
圧制御機器の操作を判断し、必要に応じて、適切な電圧
制御機器を操作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統電圧制御
方法及びその装置に関し、特に、電力系統の電圧が適正
に維持されるように制御する電力系統電圧制御方法及び
その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電力系統は、発電から流通、消費に至ま
での巨大なシステムであり、その使命は「良質な電気を
経済的に供給する」ことである。ここで、良質な電気の
一定義として、「電圧の変動が少ない」ことが挙げられ
る。
【0003】系統電圧の適正維持は、サービスの基本で
あるばかりでなく、電力系統の安定運転を維持するうえ
で基本となるものである。このため、電圧調整設備及び
調相設備を設置して適切な電圧維持を図ることが必要と
なっている。
【0004】このため、電力系統の各所に各種の電圧調
整装置を配置し、電力系統の電圧調整を行っている。主
な電圧調整装置としては、変圧機器と調相機器がある。
該変圧機器の代表的なものには負荷時タップ切替付変圧
器(LRT:Load−ratio Control
Transformer)があり、また、該調相機器の
代表的なものには電力用コンデンサ(SC:Stati
c Condenser),分路リアクトル等がある。
【0005】負荷時タップ切替付変圧器(以下、LRT
と記載)は、タップ切替により段階的に二次側電圧を調
整する。電力用コンデンサは、無効電力を発生させ、そ
の電圧調整は段階的となる。分路リアクトルは、電力用
コンデンサとは逆に、無効電力を吸収し、電圧上昇の防
止に用いられる。
【0006】従来の電力系統電圧制御装置には、系統内
の電圧状態に応じてLRTのタップや調相機器を、単独
に制御するものがあった(ローカル制御方式)。しかし
ながら、このように、LRTのタップや調相機器を、単
独に制御する場合には、各制御機器間の干渉防止が課題
となり、これを解決する発明として、例えば、特開平6
−284577号公報に記載の電力系統電圧制御方法及
び装置がある。
【0007】また、対象となる電力系統内の全変圧設備
と全調相設備との状態を一箇所でまとめて管理する集中
型の制御方式も考えられており、このような方式とし
て、経済性や制御効果を表す目的関数を定め、この目的
関数を、ある時間断面において最適化するための設備状
態を求める方法(佐々木他「電圧・無効電力制御支援シ
ステムの開発」平成7年電気全国学会、No.134
4)や、最適潮流計算方法(OPF:Optical
PowerFlow)の概念を適用した電圧・無効電力
制御支援システムの開発方式(佐々木他「電圧・無効電
力制御支援システムの開発II」平成7年電気学会研究
会、PE・95・166)が提示されている。最適潮流
計算方法とは、多数の等式制約、不等式制約を満足しな
がら目的関数(評価関数)を最小化するアルゴリズムで
ある。この方法は、上記のような評価関数を定めて、こ
の関数値が最小となるような機器状態の組み合わせを探
索(発見)することを特徴としている。
【0008】簡単な評価関数の例としては、例えば、各
電気所電圧の目標電圧からの絶対値の誤差の和や送電線
の電力損失の和などが考えられる。評価関数を最小とす
る制御機器の状態の組み合わせを決定するためには、膨
大な組み合わせの中から、制約条件を満足する組み合わ
せを探索する。この探索の手順は、ニュートン法や遺伝
的アルゴリズム等の各種最適化手法を用いて、最良と思
われる候補を選出し、これが、制約条件を満足している
か否かのチェックを、繰り返し、行うというものであ
る。
【0009】また、電力系統では、急激な電圧変化に素
早く対応でき、かつ、制御機器(LRTや調相機器等)
の操作回数を最小限にすることが求められている。この
ような要請に対応した従来の技術としては、特開平6−
43947号公報に記載の電圧無効電力制御装置があ
る。この電圧無効電力制御装置では、将来の電圧状態を
予測して、電圧調整用の機器制御を行っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のローカルな
系統電圧制御方式の場合、電力系統内の複数の制御機器
間の調和を保つ機能が不足しているという問題点があっ
た。このため、各制御機器同士が矛盾する動作をした
り、干渉しあう、さらには、不要な制御動作が行われる
という問題が発生していた。このため、系統電圧の変動
が発生し、一定領域内の系統電圧の調和を図ることが困
難であった。
【0011】一方、従来の集中制御型の系統電圧制御方
式は、以下に述べるような問題があった。まず、系統全
体が、ある目的関数(評価関数)に合致するようになる
ことを保証するものであるが、局所的な電圧のバランス
などは考慮されなかった。また、ある時間断面における
系統全体の最適性を計算しているが、次の計算周期にお
ける時間断面において、今回の計算結果に反するような
制御機器の状態(制御機器のハンチング)を導出する懸
念がある。何故ならば、各個別の制御機器の操作方針が
規定されておらず、発見的な探索方法に基づいて、個別
の機器状態の組み合わせを見つけ、この得られた組み合
わせが、前回の操作に反するかは考慮されないからであ
る。
【0012】また、従来の集中制御型の系統電圧制御方
式は、さらに、探索した機器状態の組み合わせの妥当性
をチェックするため、制御対象系統のモデルを内部に持
ち、潮流計算によって制御を行った後の状態の評価を行
っている。このため、最新の系統構成情報(インピーダ
ンスなどを含む)などを常に保持する必要があり、ま
た、繰り返し演算を行うため、多くの計算時間を要す
る。
【0013】また、電力系統では、系統運用の形態によ
って、系統構成が変化することがあり、この場合には、
電圧安定化を図る対象である電気所が制御対象外となっ
たり、あるいは、当該制御機器に監視点が新たに加わる
場合がある。このような場合、従来の電力系統電圧の制
御方式では、適切に電圧制御を行うことが困難であっ
た。
【0014】本発明の目的は、上記のような問題を解決
するために、電力系統システムにおいて、系統内の制御
機器の不要な操作を防止しながら、系統内の電圧が適切
に維持されるように、効率的に制御する電力系統電圧制
御方法及びその装置を提供することである。また、さら
に、系統構成の変化が生じた場合にも、系統内の電圧が
適切に維持されるように、効率的に制御する電力系統電
圧制御方法及びその装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の電力系統電圧制
御方法は、電力系統を複数の制御判定単位系統に分割
し、さらに、各制御判定単位系統を上位側の電圧監視領
域と下位側の電圧監視領域に分割するステップ(a)
と、各制御判定単位系統毎に、各電圧監視領域内の監視
点の電圧を基に、該各電圧監視領域の電圧を算出するス
テップ(b)と、該各電圧監視領域の電圧を基に、電圧
が正常な範囲を逸脱している電圧監視領域を判断するス
テップと、該正常な範囲を逸脱している電圧監視領域の
電圧レベルを調整するように、適切な電圧制御機器を操
作するステップ(d)とを有する。
【0016】上記本発明の電力系統電圧制御方法によれ
ば、電力系統を複数の制御判定単位系統に分割し、更
に、各制御判定単位系統を、さらに、上位側の電圧監視
領域と下位側の電圧監視領域に分割し、各電圧監視領域
の電圧を基に、該各電圧監視領域の電圧が適正に維持さ
れるように制御するので、各電圧監視領域の電圧を調整
する電圧制御機器同士の干渉を防止し、該電圧制御機器
の不要な操作を防止することができる。
【0017】また、本発明の電力系統電圧制御方法の一
態様においては、ステップ(c)において、電圧が正常
な範囲を逸脱している下位側の電圧監視領域が存在する
か判断し、該電圧逸脱している下位側の電圧監視領域が
存在すれば、その電圧逸脱の原因が制御判定単位系統全
体の電圧レベルに問題があるのか、該下位側の電圧監視
領域とそれに対応する上位側の電圧監視領域の電圧差に
問題があるのかを判断し、ステップ(c)において制御
判定単位系統全体の電圧レベルに問題があると判断され
た場合、ステップ(d)において該制御判定単位系統全
体の電圧レベルを調整する役割を有する電圧制御機器を
操作し、ステップ(c)において該下位側の電圧監視領
域とそれに対応する上位側の電圧監視領域の電圧差に問
題があると判断された場合、ステップ(d)において該
下位側の電圧監視領域とそれに対応する上位側の電圧監
視領域の電圧差を調整する役割を有する電圧制御機器を
操作する。
【0018】このように、電圧逸脱の原因に対応して、
電圧制御機器の操作の仕方を変えることにより、適切
に、電圧制御機器を操作して、不要な電圧制御機器の操
作を防止できる。例えば、電圧逸脱の原因が制御判定単
位系統全体の電圧レベルに問題があれば、上位側の電圧
監視領域の電圧を調整する電圧制御機器(変圧機器また
は調相機器)を操作して、制御判定単位系統全体の電圧
レベルを調整する。一方、下位側の電圧監視領域とそれ
に対応する上位側の電圧監視領域の電圧差(電圧勾配)
に問題があれば、制御判定単位系統の電圧バランスが悪
いと判断し、まず、該下位側の電圧監視領域の電圧を調
整する電圧制御機器(調相機器)を操作して、該下位側
の電圧監視領域の電圧レベルを調整する。
【0019】また、さらに、本発明の電力系統電圧制御
方法の他の態様によれば、ステップ(c)において、電
圧が上限逸脱している下位側の電圧監視領域があり、か
つ、該下位側の電圧監視領域とそれに対応する上位側の
電圧監視領域の電圧差が所定の閾値よりも大きく、か
つ、制御判定単位系統内に、電圧が下限電圧に近い下位
側の電圧監視領域が存在する場合には、ステップ(d)
において、いずれの電圧制御機器も操作しない。
【0020】このことにより、例えば、不要に、上位側
の電圧監視領域の電圧を調整する電圧制御機器(変圧機
器または調相機器)を操作して、該電圧が下限電圧に近
い下位側の電圧監視領域が下限逸脱してしまうという、
さらに、悪い状態が発生してしまう事態を防止すること
ができる。
【0021】また、さらに、本発明の電力系統電圧制御
方法の他の態様によれば、さらに、電力系統の構成に係
わる系統構成情報を取得し、該系統構成情報に応じて、
電力系統の構成を示す系統パターンを判定するステップ
(e)を備え、ステップ(a)において、該系統パター
ンに応じて、該電力系統を制御判定単位系統に分割する
形式と、該制御判定単位系統を上位側の電圧監視領域と
下位側の電圧監視領域に分割する形式を、動的に変更す
る。
【0022】このことにより、電力系統の構成が変化し
ても、電圧制御機器の不要な操作を防止しながら、電力
系統の各電圧監視領域の電圧を適切に調整することがで
きる。
【0023】また、さらに、本発明の電力系統電圧制御
方法の他の態様によれば、さらに、電力系統の構成に係
わる系統構成情報を取得し、該系統構成情報に応じて、
電力系統の構成を示す系統パターンを判定するステップ
(e)と、該系統パターンに応じて、各制御判定単位系
統内の電圧制御に関する入力情報定義及び制御知識を選
択するステップ(f)とを備え、ステップ(a)におい
て、該系統パターンに応じて、制御判定単位系統の分割
形式と、該制御判定単位系統内の上位側の電圧監視領域
と下位側の電圧監視領域の分割形式を、動的に変更し、
ステップ(b)において、該系統パターンに応じて分割
される各電圧監視領域の電圧を、該入力情報定義を基に
算出し、ステップ(d)において、該系統パターンに応
じて分割された各電圧監視領域の電圧を基に、電圧が正
常な範囲を逸脱している電圧監視領域を判断し、ステッ
プ(e)において、該系統パターンに応じた制御知識に
基づいて、該正常な範囲を逸脱している電圧監視領域の
電圧レベルを調整するように、適切な電圧制御機器を操
作する。
【0024】このことにより、例えば、前記入力情報定
義により、各電圧監視領域に属する監視点を正確に判断
し、各電圧監視領域の電圧を適切に算出することが可能
となる。そして、さらに、前記制御知識を用いて、各電
圧制御機器の操作をより正確に実施でき、不要な電圧制
御機器の操作を防止できる。
【0025】本発明の電力系統電圧制御装置は、電力系
統を複数の制御判定単位系統に分割し、さらに、各制御
判定単位系統を上位側の電圧監視領域と下位側の電圧監
視領域に分割することによって得られる、該電力系統の
構成を示す系統パターンを判定する系統パターン判定手
段と、該電力系統の全ての監視点の電圧を基に、該系統
パターン判定手段によって判定された系統パターンによ
って規定される各制御判定単位系統の全ての電圧監視領
域の電圧を算出し、該各制御判定単位系統内の各電圧監
視領域の電圧を電圧状態の指標値データとして出力する
電圧状態指標作成手段と、該電圧状態指標作成手段によ
って作成された該電圧状態の指標値データを基に、各制
御判定単位系統の全体の電圧レベルと各制御判定単位系
統の上位側の電圧監視領域と下位側の電圧監視領域の電
圧差の状況を把握し、該状況に応じて、各制御判定単位
系統内の各電圧監視領域の電圧が適正になるように制御
可能な電圧制御機器を判断し、該電圧制御機器の操作を
実施する機器操作判定・実施手段とを具備する。
【0026】上記構成の電力系統電圧制御装置によれ
ば、電力系統を複数の制御判定単位系統に分割し、さら
に、各制御判定単位系統を上位側の電圧監視領域と下位
側の電圧監視領域に分割し、各制御判定単位系統毎に、
個別に、制御判定単位系統全体の電圧レベルと制御判定
単位系統内のの上位側の電圧監視領域と下位側の電圧監
視領域の電圧差の状況を把握しながら、各制御判定単位
系統内の各電圧監視領域の電圧が適正になるように,該
各制御判定単位系統内の電圧制御機器(変圧機器または
調相機器)を選択操作するので、電圧制御機器の動作を
協調させながら、電圧制御機器を操作することが可能と
なり、電圧制御機器同士の干渉を防止できると共に、電
圧制御機器の不要な操作を防止することができる。
【0027】また、本発明の電力系統電圧制御装置の他
の態様においては、前記機器操作判定手段は、電圧が正
常な範囲を逸脱している下位側の電圧監視領域が存在す
るか判断し、該電圧逸脱している下位側の電圧監視領域
が存在すれば、その電圧逸脱の原因が制御判定単位系統
全体の電圧レベルに問題があるのか、該下位側の電圧監
視領域と上位側の電圧監視領域の電圧差に問題があるの
かを判断し、制御判定単位系統全体の電圧レベルに問題
があると判断した場合、該制御判定単位系統全体の電圧
レベルを調整する役割を有する電圧制御機器を操作し、
一方、該下位側の電圧監視領域と上位側の電圧監視領域
の電圧差に問題があると判断した場合、該下位側の電圧
監視領域とそれに対応する上位側の電圧監視領域の電圧
差を調整する役割を有する電圧制御機器を操作する。
【0028】このように、電圧逸脱の原因を詳細に判断
して、電圧制御機器を個々の原因に対応して適切に操作
することにより、不要な電圧制御機器の操作を防止でき
る。また、本発明の電力系統電圧制御装置の他の態様に
おいては、前記機器操作判定手段は、電圧が上限逸脱し
ている下位側の電圧監視領域があり、かつ、該下位側の
電圧監視領域と上位側の電圧監視領域の電圧差が所定の
閾値よりも大きく、かつ、制御判定単位系統内に、電圧
が下限電圧に近い下位側の電圧監視領域が存在する場合
には、いずれの電圧制御機器も操作しない。
【0029】このことにより、例えば、不要に、上位側
の電圧監視領域の電圧を調整する電圧制御機器(変圧機
器または調相機器)を操作して、該電圧が下限電圧に近
い下位側の電圧監視領域が下限逸脱してしまうという、
さらに、悪い状態が発生してしまう事態を、未然に、防
止することができる。
【0030】また、本発明の電力系統電圧制御装置の他
の態様においては、さらに、電力系統の各分離点におけ
る接続条件を示す系統構成情報(分離点に設置されたサ
ーキット・ブレーカ等の遮断器のオン(「入」)/オフ
(「切」)状態)に応じて変化する、該電力系統の系統
パターン毎に、制御判定単位系統の各電圧監視領域の電
圧を求めるために必要となる入力情報定義を格納する知
識ベースを備え、前記系統パターン判定手段は、取得さ
れる電力系統の系統構成情報を基に、前記知識ベースを
検索して、電力系統の系統パターンを判定し、前記電圧
状態指標作成手段は、該系統パターン判定手段によって
判定された系統パターンに基づいて、前記知識ベースを
検索して、前記知識ベースから該系統パターンに対応す
る入力情報定義を取得し、該入力情報定義に基づいて、
該系統パターンに対応する各制御判定単位系統の各電圧
監視領域に属する監視点を選択し、該各監視点の電圧デ
ータを基に、制御判定単位系統の電圧状態の指標値デー
タとなる該制御判定単位系統内の各電圧監視領域の電圧
を算出し、前記機器操作判定・実施手段は、前記電圧状
態指標作成手段によって作成された電圧状態の指標値デ
ータを基に、各制御判定単位系統毎に、個別に、制御判
定単位系統全体の電圧レベルと上位側の電圧監視領域と
下位側の電圧監視領域の電圧差の状況を把握し、該状況
に応じて、各制御判定単位系統内の各電圧監視領域の電
圧が適正になるように制御可能な電圧制御機器を判断
し、該電圧制御機器の操作を実施する。
【0031】このように、知識ベースに、電力系統の前
記系統構成情報の各系統パターン判毎の入力情報定義を
格納するようにしたので、電力系統の制御判定単位系統
の構成が変化しても、該知識ベースを検索することによ
り、継続して、電力系統の各制御判定単位系統の各電圧
監視領域の電圧を、電圧制御機器の不要な操作を防止し
ながら、適切に、調整することができる。
【0032】また、本発明の電力系統電圧制御方法の他
の態様においては、前記知識ベースは、さらに、電力系
統の各系統パターン毎に、各系統パターンにおける各制
御判定単位系統の電圧制御に必要な制御知識を格納す
る。そして、さらに、前記系統パターン判定手段によっ
て判定された系統パターンを基に、前記知識ベースを検
索して、前記各制御判定単位系統内の各電圧監視領域の
電圧を制御するために必要な制御知識を取得する制御知
識選択手段を備える。このような構成において、前記機
器操作判定・実施手段は、前記制御知識選択手段によっ
て取得された制御知識と前記電圧状態指標作成手段によ
って作成された電圧状態の指標値データを基に、各制御
判定単位系統毎に、個別に、制御判定単位系統全体の電
圧レベルと上位側の電圧監視領域と下位側の電圧監視領
域の電圧差の状況を把握し、該状況に応じて、各制御判
定単位系統内の各電圧監視領域の電圧が適正になるよう
に制御可能な電圧制御機器を判断し、該電圧制御機器の
操作を実施する。
【0033】このように、知識ベースに、さらに、電力
系統の各系統パターンにおける各制御判定単位系統の電
圧制御に必要な制御知識を格納するようにしたので、電
力系統の制御判定単位系統の構成が変化しても、該知識
ベースを検索することにより、各制御判定単位系統の特
性に対応しながら、各電圧監視領域の電圧の調整を、電
圧制御機器の不要な操作を防止しながら、適切、かつ、
スムーズに、継続運用することができる。
【0034】本発明の他の電力系統電圧制御装置は、電
力系統を複数の制御判定単位系統に分割し、さらに、各
制御判定単位系統を上位側の電圧監視領域と少なくとも
1つの下位側の電圧監視領域に分割することによって得
られる、該電力系統の各構成を示す各系統パターン、該
各系統パターンに応じて該電力系統内の各電圧監視領域
の電圧を求めるために必要な情報である入力情報定義、
及び該各系統パターン毎の各制御判定単位系統内の各電
圧監視領域の電圧制御に関する制御知識を格納する知識
ベースと、オンラインで収集される、電力系統の構成を
判定するために使用される系統構成情報及び該電力系統
内の全ての監視点の電圧を格納するオンラインデータベ
ースと、該オンラインデータベースから前記系統構成情
報を取得して、その系統構成情報を基に、該知識ベース
を検索して、電力系統の構成を示す系統パターンを判定
する系統パターン判定手段と、前記オンラインデータベ
ースから、電力系統内の全ての監視点の電圧データを取
得し、該系統パターン判定手段によって判定された系統
パターンに基づいて、前記知識ベースから、該系統パタ
ーンに対応する入力情報定義を取得し、該入力情報定義
に基づき、該各電圧監視領域の電圧を、電圧状態指標値
データとして算出する電圧状態指標作成手段と、前記系
統パターン判定手段によって判定された系統パターンを
基に、前記知識ベースを検索して、前記各制御判定単位
系統内の各電圧監視領域の電圧を制御するために必要な
制御知識を取得する制御知識選択手段と、該制御知識選
択手段によって取得された制御知識と前記電圧状態指標
作成手段によって作成された電圧状態の指標値データを
基に、電力系統内の各電圧制御機器の操作の必要性の有
無を各制御判定単位系統毎に判定して、その判定結果に
基づいて、該各制御判定単位系統内の各電圧制御機器
を、必要に応じて、適切に操作し、各制御判定単位系統
毎に、個別に、該各制御判定単位系統内の各電圧監視領
域の電圧を調整する機器操作判定・実施手段とを備え
る。
【0035】このように、電力系統の系統構成情報と各
監視点の電圧データを、オンラインでオンラインデータ
ベースに収集するので、オンラインデータベースと知識
ベースを検索することにより、電力系統の系統パターン
が変化しても、そのの変化を即時に認識して、電力系統
の系統パターンの変化にリアルタイムで対応しながら、
各電圧監視領域の電圧の適切な調整を、電圧制御機器の
不要な操作を防止しながら継続して実施することがで
き、さらに、該電圧制御機器の操作を、より適切、か
つ、緻密に、実施することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しなら、本発明
の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態の
電力系統電圧制御装置のシステム構成を示すブロック図
である。
【0037】電力系統10は、発電所と該発電所で生成
された電力を需要家まで配電する電力流通設備から成る
電力システムである。該電力流通設備は、架空送電線、
地中送電線、及び変電所等の各構成要素から成る。
【0038】図2は、電力系統10の一構成例を示す図
である。同図において、A−1,A−2,・・・、A−
9及びB−1,B−2,・・・、B−8は、電気所(変
電所)を示している。LRT等の変圧機器Tr1,Tr
2及び電力用コンデンサ(SC:Static Con
denser)から成る調相機器SC1,SC2,・・
・、SC5は、適切な変電所に設置される。
【0039】一般に、電力系統は、同図に示すように、
発電所(不図示)を頂点として、各分岐点に送電用変電
所や配電用変電所が設置される放射形状のシステムであ
る。発電所と各分岐点に設置される変電所は、相互に、
送電線並びに配電線等で、主に、樹枝状に接続されなが
ら、階層構成のシステムを構成している。したがって、
本実施形態では、系統内に設置された変圧機器の二次側
母線を制御判定単位系統の上端とし、そこから下って次
の変圧機器の一次側母線または負荷端までを制御判定単
位系統の下端とする。さらに、常時は、分離されている
連絡線がある場合には、その連絡線の分離点をもって、
制御判定単位系統を区分する。
【0040】上記の区分定義に基づき、図2の電力系統
10を、制御判定単位系統110(以下、便宜上、制御
判定単位系統1と記載)と制御判定単位系統120(以
下、便宜上、制御判定単位系統2と記載)に区分する。
同図の電力系統10では、分離点131に設置された遮
断器であるサーキット・ブレーカCB1(CB:Cir
cuit Breaker)は、常時、切断(オフ)さ
れているものとする。一方、他の分離点132に設置さ
れたサーキット・ブレーカCB2は、常時、接続(オ
ン)されているものとする。本実施形態では、このよう
に、上記区分定義に基づき、電力系統10を、2つの制
御判定単位系統1、2に分けて、各制御判定単位系統
1、2毎に、個別に、電圧制御するものである。
【0041】また、さらに、後述する方法により、各制
御判定単位系統1、2を、上位側の電圧監視領域と下位
側の電圧監視領域に区分する。具体的には、制御判定単
位系統1を、第1の上位側の電圧監視領域111と第1
の下位側の電圧監視領域113(下位側の電圧監視領域
1)及び第2の下位側の電圧監視領域114(下位側の
電圧監視領域2)に区分する。また、同様にして、制御
判定単位系統2を、第2の上位側の電圧監視領域121
と第3の下位側の電圧監視領域115a(下位側の電圧
監視領域3)に区分する。尚、第2の上位側の電圧監視
領域121と第3の下位側の電圧監視領域115aは、
上述したように、サーキット・ブレーカCB2を介し
て,常時、接続(連絡)されているものとする。また、
図2では、省略しているが、電気所(変電所)B−7,
B−8も、不図示の調相機器によって、電圧制御が実施
される下位側の電圧監視領域に属することになる。
【0042】電力系統においては、分離点には、例え
ば、サーキット・ブレーカのような遮断器が設置され、
この遮断器をオン/オフ(切/入)することにより、相
互の制御判定単位系統または相互の電圧監視領域を、電
気的に接続/遮断可能である。また、この遮断器のオン
/オフは、電力会社の担当者が、現地で、直接、操作す
るのが一般的である。尚、この遮断器のオン/オフ状態
は、監視データとして、オンライン制御により、リアル
タイムで、所定の変電所に設置された制御所(集中監視
制御装置)、すなわち、本実施形態の電力系統電圧制御
装置20が設けられる制御所に収集されるようになって
いる。
【0043】上述したように、制御判定単位系統は、分
離点に設置されたサーキット・ブレーカのような遮断器
のオン/オフによって、明確に区分されるのに対し、電
圧監視領域は、現実には、互いに、オーバーラップす
る。本実施形態では、調相機器(SC)の制御感度が、
該調相機器(SC)から、物理的に、距離が遠くに離れ
るほど小さくなることに着目して、例えば、ある調相機
器(SC)の制御感度がある一定値以上の領域を、該調
相機器(SC)の電圧監視領域と定義する。この制御感
度に応じた電圧監視領域の分割例を図3に示す。
【0044】図3に示された例では、ある調相機器(S
C)の操作に対する電圧変化量(感度)が0.5KV
(キロ・ボルト)以上の領域を、該調相機器(SC)の
電圧監視領域と定義している。尚、制御感度は、例え
ば、実際の計測値やシミュレーション等による計算結果
など、予め、求められたものを使用する。
【0045】図3に示す例においては、電気所(変電
所)1、2は、調相機器SC11の操作による電圧変化
量(KV)がそれぞれ、1.2KV,1.0KVであ
り、かつ、調相機器SC12の操作による電圧変化量
(KV)がそれぞれ、0.1KV,0.3KVであるた
め、調相機器SC11の監視領域である電圧監視領域1
に属することになる。また、電気所(変電所)4、5
は、調相機器SC12の操作による電圧変化量(KV)
がそれぞれ、1.3KV,0.9KVであり、かつ、調
相機器SC11の操作による電圧変化量(KV)がそれ
ぞれ、0.1KV,0.2KVであるため、調相機器S
C12の監視領域である電圧監視領域2に属することに
なる。また、電気所(変電所)3は、調相機器SC11
の操作による電圧変化量(KV)が0.6KVであり、
かつ、調相機器SC12の操作による電圧変化量(K
V)が0.5KVであるため、調相機器SC11の監視
領域である電圧監視領域1と調相機器SC12の監視領
域である電圧監視領域2の両方に属することになる。
【0046】図3に示すような分割方式により、図2に
示す制御判定単位系統1において、変電所A−4は、第
1の上位側の電圧監視領域111と第2の下位側の電圧
監視領域114(下位側の電圧監視領域2)の両方に属
することになる。
【0047】次に、各制御判定単位系統内に設置された
変圧機器及び調相機器の役割の区分方法について説明す
る。制御判定単位系統の上端(上位側の電圧監視領域)
に設置された変圧機器やその二次側母線に接続された調
相機器の制御効果は当該制御判定単位系統全体に及ぶた
め、これらの機器を系統全体の電圧レベルを調整する役
割(機能)を持つ機器と定義する。
【0048】図2の電力系統10では、変圧機器Tr
1、Tr2、調相機器SC1,SC5が、このような機
器に該当する。また、上記以外の電圧制御機器の制御効
果は、主に、当該制御判定単位系統の末端付近に及ぶた
め、これらの機器を上位側の電圧監視領域と下位側の電
圧監視領域の電圧差、すなわち、上位側の電圧監視領域
と下位側の電圧監視領域の電圧勾配を調整する役割(機
能)を持つ機器と定義する。図2の電力系統10では、
調相機器SC2,SC3,SC4が、このような機器に
該当する。
【0049】上述した、制御判定単位系統及び電圧監視
領域の区分方法により、図2の電力系統10は、制御判
定単位系統1、2の2つの制御判定単位系統に区分され
る。そして、さらに、制御判定単位系統1が、第1の上
位側の電圧監視領域111と第1及び第2の下位側の電
圧監視領域113、114に区分される。また、制御判
定単位系統2が、第2の上位側の電圧監視領域121と
第3の下位側の電圧監視領域115a等に区分される。
【0050】制御判定単位系統1の第1の上位側の電圧
監視領域111には、変圧機器Tr1と調相機器SC1
が設けられている。また、制御判定単位系統1の第1及
び第2の下位側の電圧監視領域113、114には、そ
れぞれ、調相機器SC2,3が設けられている。また、
制御判定単位系統2の第2の上位側の電圧監視領域12
1には、変圧機器Tr2と調相機器SC5が設けられて
いる。また、制御判定単位系統2の第3の下位側の電圧
監視領域115aには、調相機器SC4が設けられてい
る。
【0051】電力系統10内の各電圧監視領域内には、
複数の電圧監視点が設けられており、それらの電圧監視
点で測定された各電気所(変電所)の電圧値を基に、各
電圧監視領域の重み付きの平均電圧値が、「電圧監視領
域」の電圧値として電力系統電圧制御装置20で算出さ
れる。各「電圧監視領域」の電圧値は、下記の式(1)
により、算出される。
【0052】 「電圧監視領域」の電圧値={Σ(Vi・Wi}/ΣWi} ・・・(1) 但し、Vi:電気所(変電所)iの電圧 Wi:電気所(変電所)iの重み係数 各電気所i(i=1,2,・・・)の電圧値Viは、当
該監視点に設置された測定器により計測され、オンライ
ンデータとして、定期的に、有線または無線の通信回線
を介して電力系統電圧制御装置20に送信される。ま
た、電力系統10の各サーキット・ブレーカのステイタ
スデータ(遮断または接続を示すデータ)もオンライン
データとして、電力系統電圧制御装置20に送信され
る。各電気所iの電圧値Viは、電力系統電圧制御装置
10が、各電圧監視領域の電圧値を算出するために使用
される。また、各サーキット・ブレーカCBj(j=
1、2、・・・)のステイタスデータ(系統構成情報)
は、後述するように、電力系統電圧制御装置20が、電
力系統10の制御判定単位系統を認識(区分)するため
の情報として利用される。
【0053】次に、図1の電力系統電圧制御装置20の
構成について、説明する。電力系統電圧制御装置20
は、コンピュータや電力系統10から送信されるオンラ
インデータ収集用の通信制御装置、さらには外部記憶装
置等を備えた情報処理システムである。
【0054】該外部記憶装置には、オンラインデータベ
ース210及び知識ベース220のデータ格納ファイル
が実装されている。オンラインデータベース210に
は、該通信制御装置を介して、電力系統10から送信さ
れる前記オンラインデータ(各電気所iの電圧値Vi及
びサーキット・ブレーカCBjのステイタスデータ)が
逐次、蓄積・更新される。知識ベース220は、データ
間のリンク情報、系統の接続条件、及び各電圧制御機器
(変圧機器、調相機器)の制御に必要な入力情報定義並
びに制御知識を格納している。該入力情報定義並びに該
制御知識は、監視点名(電気所名)、各監視点(電気
所)の重み係数、各電圧制御機器が担当する電圧監視領
域の目標電圧、上限電圧、下限電圧並びに閾値(第1及
び第2の閾値)等から成る。尚、データ間のリンク情報
は、知識ベース220内の互いに関係するデータ項目間
をリンクするポインタ情報である。
【0055】オンラインデータベース210及び知識ベ
ース220は、それぞれ、専用のDBMS(データベー
ス管理システム)により、維持・運用される。図4は、
知識ベース220の構成の一部を示す図である。
【0056】同図に示す様に、知識ベース220には、
電力系統10における2種類の「系統の接続条件」,す
なわち、{(サーキット・ブレーカCB1=〔O
N〕)かつ(サーキット・ブレーカCB2=〔OF
F〕)}、{(サーキット・ブレーカCB1=〔OF
F〕)かつ(サーキット・ブレーカCB2=〔O
N〕)}のそれぞれに対応する系統パターンが、パター
ン1、2である旨の知識が格納されている。図1の電力
系統10は、パターン2に対応するものである。したが
って、ここでは、パターン2に関する知識情報について
説明する。
【0057】知識ベース220には、パターン2が、図
2に示す制御判定単位系統1と制御判定単位系統2から
構成される旨の知識が格納されている。また、さらに、
制御判定単位系統1及び制御判定単位系統2内に設けら
れた全ての電圧制御機器(制御機器)の名称(制御知識
番号)、及び機器操作判定・実施手段270が、それら
の電圧制御機器を制御するために必要な「制御知識」も
格納されている。すなわち、制御判定単位系統1に関し
ては、変圧機器の名称Tr1(2−1)、調相機器の名
称SC1(2−2)〜SC3(2−4)に関する制御知
識が格納されている。また、制御判定単位系統2に関し
ては、変圧機器の名称Tr2(2−6)、調相機器の名
称SC4(2−5)、SC5(2−7)に関する制御知
識が格納されている。また、知識ベース220には、さ
らに、電圧状態指標作成手段250が、電力系統10の
系統パターンに応じて、各電圧監視領域の電圧を算出す
るために使用する「入力情報定義」も、格納されてい
る。
【0058】次に、知識ベース220に格納されてい
る、各電圧制御機器に関する「制御知識」及び上記各電
圧監視領域の電圧を算出するために使用される「入力情
報定義」について、説明する。
【0059】まず、各電圧制御機器が属する電圧監視領
域に関する知識が、その名称(制御知識番号)に対応付
けられて格納されている。この知識により、変圧機器T
r1と調相機器SC1が制御判定単位系統1の上位側の
電圧監視領域111に設置され、調相機器SC2が制御
判定単位系統1の下位側の電圧監視領域2(第2の下位
側の電圧監視領域114)に、調相機器SC3が制御判
定単位系統1の下位側の電圧監視領域1(第1の下位側
の電圧監視領域113)に、変圧機器Tr2と調相機器
SC5が制御判定単位系統2の上位側の電圧監視領域1
21に、調相機器SC4が制御判定単位系統2の下位側
の電圧監視領域3(第3の下位側の電圧監視領域11
5)に設置されていることを知ることができる。
【0060】知識ベース220には、さらに、各電圧制
御機器の属する電圧監視領域に関する知識も格納されて
いる。すなわち、制御判定単位系統1に関しては、上位
側の電圧監視領域111内には、監視点として変電所A
−3,A−4が存在し、下位側の電圧監視領域2には変
電所A−4,A−6、A−1,A−2が存在し、下位側
の電圧監視領域1には変電所A−5〜A−9が存在する
旨の知識が格納されている。同様にして、制御判定単位
系統2に関しては、上位側の電圧監視領域121内に
は、監視点として変電所B−5,B−6が存在し、下位
側の電圧監視領域3には変電所B−1〜B−4が存在す
る旨の知識が格納されている。この知識により、各電圧
監視領域内に存在する監視点(変電所)に関する情報を
取得することができる。
【0061】また、知識ベース220には、上記各監視
点(変電所)の重み係数Wi(前記式(1)で用いられ
る係数)に関する知識も格納されている。監視点(変電
所)A−1、A−2、A−6、B−1、B−2の重み係
数Wiは“1”、監視点(変電所)A−4、A−5、B
−3、B−4、B−5の重み係数Wiは“2”、監視点
(変電所)A−3、A−7、A−8の重み係数Wiは
“3”に設定されている。この知識により、前記式
(1)を用いて、各電圧監視領域の重み付き平均電圧を
算出することができる。
【0062】ところで、上述した、各系統パターン毎
の、「各電圧監視領域に属する監視点に関する知識」及
び「該監視点の重み係数Wi」は、電圧状態指標作成手
段250が、電力系統10の系統パターンに応じて、各
電圧監視領域の電圧を算出するために用いられる「入力
情報定義」である。
【0063】また、さらに、知識ベース220には、制
御知識として、各電圧制御機器が制御を担当する電圧監
視領域以外に、各電圧監視領域に関する、目標電圧、上
限電圧、及び下限電圧に関する知識が格納されている。
制御判定単位系統1に関しては、上位側の電圧監視領域
111の目標電圧、上限電圧、下限電圧は、それぞれ、
67〔KV〕、68〔KV〕、66〔KV〕に、下位側
の電圧監視領域1の目標電圧、上限電圧、下限電圧は、
それぞれ、66〔KV〕、67〔KV〕、65〔KV〕
に、下位側の電圧監視領域2の目標電圧、上限電圧、下
限電圧は、それぞれ、66〔KV〕、67〔KV〕、6
5〔KV〕に、設定されている。また、制御判定単位系
統2に関しては、上位側の電圧監視領域121の目標電
圧、上限電圧、下限電圧は、それぞれ、67〔KV〕、
68〔KV〕、66〔KV〕に、下位側の電圧監視領域
3の目標電圧、上限電圧、下限電圧は、それぞれ、66
〔KV〕、67〔KV〕、65〔KV〕に設定されてい
る。この制御知識により、各電圧監視領域の下限逸脱、
上限逸脱を判断できると共に、各電圧監視領域の適正な
電圧を知ることができる。
【0064】また、図4には図示されていないが、知識
ベース220には、さらに、他の制御知識として、各制
御判定単位系統内に下限逸脱または上限逸脱している下
位側の電圧監視領域が存在する場合において、電圧制御
機器(変圧機器、調相機器)の操作を判断するための指
標値として用いられる閾値(第1の閾値Th1、第2の
閾値Th2)も格納されている。この閾値の利用方法に
ついては、後述する。
【0065】同様にして、パターン1の系統パターンに
関しても、上記入力情報定義及び制御知識が格納されて
いる。尚、上記閾値は、電力系統10内で一元的に設け
られてもよく、また、各制御判定単位系統毎に、個別
に、設けられてもよく、様々な設定方法が考えられう
る。
【0066】尚、図4は、知識ベース220の一例であ
り、実際には、知識ベース220には、電力系統10の
とりうる全ての接続条件の数(系統パターン数)に応じ
て、各系統パターンに関する知識情報(制御知識、入力
情報定義等)が格納される。
【0067】系統パターン判定手段240は、オンライ
ンデータベース210から、現在の系統構成情報(サー
キット・ブレーカのステイタスデータ)を取得して、こ
れを上述した知識ベース220に格納されている「系統
の接続条件」項目と照合することにより、電力系統10
の現在の系統パターンを判定し、該系統パターンを電圧
状態指標作成手段250と制御知識選択手段260に出
力する。
【0068】電圧状態指標作成手段250は、系統パタ
ーン判定手段240から現在の系統パターン情報を入力
すると、オンラインデータベース210から、電力系統
10内の各監視点(電気所)の電圧値を読みだすと共
に、知識ベース220から該各監視点(電気所)の重み
係数Wiを入力し、電力系統10内の各電圧監視領域の
電圧値を、前記式(1)により算出する。そして、該各
電圧監視領域の電圧値を、電圧状態の指標値データとし
て機器操作判定・実施手段270に出力する。
【0069】制御知識選択手段260は、系統パターン
判定手段240から現在の系統パターン情報を入力する
と、該系統パターン情報をキーとして、知識ベース22
0を検索して、該知識ベース220から、電力系統10
内の各電圧監視領域の電圧値を調整するために使用する
電圧制御機器(変圧機器、調相機器)の制御知識を取得
する。
【0070】機器操作判定・実施手段270は、電圧状
態指標作成手段250から定期的に入力される上記電圧
状態の指標値データと制御知識選択手段260から入力
される制御知識を基に、電力系統10内の各電圧監視領
域の電圧値が適切に維持されるように、電力系統10内
の電圧制御機器を制御する。この制御は、適切な電圧制
御機器に操作指令信号を送信するオンライン制御によっ
て実施される。
【0071】次に、上記構成の電力系統電圧制御装置2
0の動作を説明する。まず、図5のフローチャート、及
び図6乃至図12を参照しながら、機器操作判定・実施
手段270の動作を説明する。図5は、機器操作判定・
実施手段270の制御操作フローを示す図であり、この
フローチャートに示す処理は、所定の周期で実施され
る。
【0072】図5のフローチャートの説明を始める前
に、機器操作判定・実施手段270が電圧制御機器(変
圧機器及び調相機器)を制御する際に使用する指標値で
ある第1の閾値Th1及び第2の閾値Th2について説
明する。これらの閾値は知識ベース220に格納されて
いる制御知識である。
【0073】図6は第1の閾値Th1及び第2の閾値T
h2を説明するための図である。第1の閾値Th1は、
機器操作判定・実施手段270が、「下位側の電圧監
視領域n(n=1,2,・・・)の電圧が下限逸脱して
いても、上位側の電圧監視領域の電圧は下限逸脱してい
ない」状態を判定するために用いる指標値である。
【0074】図6(a)に示すように、第1の閾値Th
1は、例えば、下記の式(2)によって定義される。 第1の閾値Th1=[上位側の電圧監視領域の下限電圧]−[下位側の電圧監 視領域の下限電圧]+a ・・・(2) 尚、aは正の数値であり、第1の閾値Th1>0とな
る。
【0075】機器操作判定・実施手段270は、この第
1の閾値Th1を用いることにより、上位側の電圧監視
領域の電圧は直接には判定せず、上位側の電圧監視領域
と下位側の電圧監視領域の電圧差によって、間接的に上
記の状態を判定する。
【0076】図6(a)に示す状態においては、上位側
の電圧監視領域の電圧は正常であるが、下位側の電圧監
視領域nは下限逸脱を示しており、上位側の電圧監視領
域と下位側の電圧監視領域nの電圧差V1は、第1の閾
値Th1よりも大きくなっている。
【0077】第2の閾値Th2は、機器操作判定・実施
手段270が、「下位側の電圧監視領域の電圧が上限
逸脱を示している場合には、上位側の電圧監視領域の電
圧も当然上限逸脱しているであろう」という状態を判定
するために用いる指標値である。
【0078】図6(b)に示すように、第2の閾値Th
2は、例えば、下記の式(3)によって定義される。 第2の閾値Th2=[上位側の電圧監視領域の上限電圧]−[下位側の電圧監 視領域の上限電圧]+b ・・・(3) 尚、bは正の数値であり、第2の閾値Th2>0とな
る。
【0079】機器操作判定・実施手段270は、この第
2の閾値Th2を用いることにより、上位側の電圧監視
領域の電圧は直接には判定せず、上位側の電圧監視領域
と下位側の電圧監視領域の電圧差によって、上記の状
態を判定する。
【0080】図6(b)に示す状態においては、下位側
の電圧監視領域nの電圧は上限逸脱を示しており、上位
側の電圧監視領域の電圧も上限逸脱を示しており、上位
側の電圧監視領域と下位側の電圧監視領域nの電圧差V
2は、第2の閾値Th2よりも大きくなっている。
【0081】第1の閾値Th1と第2の閾値Th2の大
小関係は、実際に設定してある、上限電圧、下限電圧
や、電力系統10の運用方針等によって変化するが、電
力系統の運用においては、一般に、上限逸脱よりも、下
限逸脱が発生することを警戒するので、「第2の閾値T
h2<第1の閾値Th1」と設定されるのが望ましいと
考えられる。
【0082】上記説明から知れるように、第1の閾値T
h1及び第2の閾値Th2は、共に、上位側の電圧監視
領域と下位側の電圧監視領域の電圧差を図るための尺度
である。
【0083】次に、図5のフローチャートの説明を、図
7乃至図12を参照しながら説明する。まず、「電圧
が下限逸脱を示している下位側の電圧監視領域が存在す
るか」を判断し(ステップSA1)、存在すれば(ステ
ップSA1,YES),「該下限逸脱した下位側の電
圧監視領域と当該上位側の電圧監視領域の電圧差が第1
の閾値Th1よりも大きいか」判断する(ステップSA
2)。大きければ(ステップSA2,YES)、前記下
位側の電圧監視領域の電圧と前記上位側の電圧監視領域
の電圧が、系統状態6にあると判断し、「下位側の電圧
監視領域の電圧を調整する調相機器の内、前記下限逸脱
を発生している下位側の電圧監視領域に最も高い制御効
果を及ぼす調相機器を操作して、前記上位側の電圧監視
領域と前記下位側の電圧監視領域の電圧差が小さくなる
ように制御する操作C」を実施し(ステップSA3)、
処理を終了する。
【0084】上記ステップSA1〜SA3の処理を、図
7に示す具体例により、説明する。図7(a)は、前記
系統状態6を示す図であり、図2の制御判定単位系統1
において、第1の下位側の電圧監視領域113(下位側
の電圧監視領域1)が下限逸脱を示しており、第1の上
位側の電圧監視領域111と第1の下位側の電圧監視領
域113の電圧差は第1の閾値Th1よりも大きくなっ
ている。このような場合、機器操作判定・実施手段27
0は、ステップSA3において、調相機器SC3を制御
して、図7(b)に示すように、第1の下位側の電圧監
視領域113の電圧レベルを上げて、該第1の下位側の
電圧監視領域113の電圧が正常(上限電圧と下限電圧
の範囲内)となるように制御する(操作C)。操作Cを
実施後の図7(b)に示す状態においては、第1の下位
側の電圧監視領域113の下限逸脱は解消され、電圧は
正常に戻っている。
【0085】再び、図5のフローチャートの説明に戻
る。ステップSA2において、前記下限逸脱した下位側
の電圧監視領域と当該上位側の電圧監視領域との電圧差
が第1の閾値Th1以下の場合には(ステップSA2,
NO),系統状態5にあると判断し、「上位側の電圧監
視領域の変圧機器または調相機器を制御して、該上位側
の電圧監視領域の電圧レベルを上げる操作D」を実施し
(ステップSA4)、処理を終了する。
【0086】上記ステップSA1、SA2、SA4の処
理を、図8に示す具体例により、説明する。図8(a)
は、前記系統状態5を示す図であり、図2の制御判定単
位系統1において、第1の下位側の電圧監視領域113
(下位側の電圧監視領域1)が下限逸脱を示しており、
第1の上位側の電圧監視領域111と第1の下位側の電
圧監視領域113の電圧差は第1の閾値Th1よりも小
さくなっている。すなわち、制御判定単位系統1の全体
の電圧レベルが低い状態になっている。
【0087】このような場合、機器操作判定・実施手段
270は、ステップSA4において、変圧機器Tr1ま
たは調相機器SC1を制御して、図8(b)に示すよう
に、制御判定単位系統1の全体の電圧レベルを上げるこ
とにより、第1の上位側の電圧監視領域111及び第1
の下位側の電圧監視領域113の電圧レベルを上げて、
該第1の上位側の電圧監視領域111及び該第1の下位
側の電圧監視領域113の電圧が正常(上限電圧と下限
電圧の範囲内)となるように制御する(操作D)。操作
Dを実施後の図8(b)に示す状態においては、第1の
上位側の電圧監視領域111の電圧と第1の下位側の電
圧監視領域113は正常になったものの、第2の下位側
の電圧監視領域114の電圧が上限逸脱の状態となって
しまっている。この状態において、第1の上位側の電圧
監視領域111と第2の下位側の電圧監視領域113の
電圧差は第2の閾値Th2よりも小さくなっている(系
統状態4)。
【0088】このように、操作Dの実施により、系統状
態4に遷移した場合には、機器操作判定・実施手段27
0は、次回に、後述する操作Aを実施して、第2の下位
側の電圧監視領域114の電圧が正常になるように制御
する。
【0089】再び、図5のフローチャートの説明に戻
る。ステップSA1において、電圧が下限逸脱を示して
いる下位側の電圧監視領域が存在しないと判断した場合
には(ステップSA1,NO),次に、「電圧が上限
逸脱を示している下位側の電圧監視領域が存在するか」
を判断する(ステップSA5)。そして、存在する場合
(ステップSA5,YES),「該上限逸脱している
下位側の電圧監視領域と当該上位側の電圧監視領域の電
圧差が第2の閾値Th2よりも小さいか」を判断する
(ステップSA6)。小さければ(ステップSA6,Y
ES)、前記系統状態4にあると判断して、「下位側の
電圧監視領域の調相機器の内、前記上限逸脱を発生して
いる下位側の電圧監視領域の電圧に最も高い制御効果を
及ぼす調相機器を操作して、該下位側の電圧監視領域と
前記当該上位側の電圧監視領域との電圧差を大きくする
ように制御する操作Aを実施し(ステップSA7)、処
理を終了する。
【0090】上記ステップSA1、SA5、SA6、S
A7の処理を、図9に示す具体例により、説明する。図
9(a)は、前記系統状態4を示す図であり、図2の制
御判定単位系統1において、第1の下位側の電圧監視領
域113(下位側の電圧監視領域1)が上限逸脱を示し
ており、第1の上位側の電圧監視領域111と第1の下
位側の電圧監視領域113の電圧差は第2の閾値Th2
よりも小さくなっている。こような場合、機器操作判定
・実施手段270は、ステップSA7において、調相機
器SC3を制御して、図9(b)に示すように、第1の
下位側の電圧監視領域113の電圧レベルを下げて、該
第1の下位側の電圧監視領域113の電圧が正常(上限
電圧と下限電圧の範囲内)となるように制御する(操作
A)。操作Aを実施後の図9(b)に示す状態において
は、第1の上位側の電圧監視領域111と第1の下位側
の電圧監視領域113の電圧差が大きくなり、両領域
共、電圧が正常になっている。
【0091】再び、図5のフローチャートの説明に戻
る。ステップSA6において、該上限逸脱している下位
側の電圧監視領域と当該上位側の電圧監視領域の電圧差
が第2の閾値Th2よりも小さくなければ(ステップS
A6、NO)、次に、「電圧が下限電圧(下限値)に
近い電圧監視領域は存在しない」かを判断する(ステッ
プSA8)。存在しなければ(ステップSA8、YE
S)、系統状態3にあると判断して、「上位側の電圧監
視領域の変圧機器または調相機器を操作して、制御判定
単位系統全体の電圧レベルを下げる操作Bを実施し(ス
テップSA9)、処理を終了する。
【0092】上記ステップSA1、SA5、SA6、S
A8、SA9の処理を、図10に示す具体例により、説
明する。図10(a)は、前記系統状態3を示す図であ
り、図2の制御判定単位系統1において、第1の下位側
の電圧監視領域113(下位側の電圧監視領域1)が上
限逸脱を示しており、第2の下位側の電圧監視領域11
4(下位側の電圧監視領域2)の電圧は目標電圧に近
く、下限電圧には近くなっていない。このように、制御
判定単位系統1の全体の電圧レベルが高く、かつ、下限
電圧に近い電圧監視領域が存在しない場合には、機器操
作判定・実施手段270は、ステップSA9において、
変圧機器Tr1または調相機器SC1を制御して、図1
0(b)に示すように、制御判定単位系統1の全体の電
圧レベルを下げて、制御判定単位系統1内の全ての電圧
監視領域の電圧を正常(上限電圧と下限電圧の範囲内)
となるように制御する(操作B)。操作Bを実施後の図
10(b)に示す状態においては、第1の上位側の電圧
監視領域111及び第1の下位側の電圧監視領域113
の上限逸脱が解消され、第1の上位側の電圧監視領域1
11、第1の下位側の電圧監視領域113、及び第2の
下位側の電圧監視領域114の電圧は、全て、正常にな
っている。
【0093】再び、図5のフローチャートの説明に戻
る。ステップSA8において、電圧が下限電圧(下限
値)に近い電圧監視領域が存在すれば(ステップSA
8、NO)、系統状態2にあると判断して、処理を終了
する。ここで、図11に系統状態2の具体例を示す。
【0094】図2に示す制御判定単位系統1の系統状態
2においては、第1の上位側の電圧監視領域111と第
1の下位側の電圧監視領域113との電圧差が第2の閾
値Th2よりも大きく、かつ、第2の下位側の電圧監視
領域114の電圧が下限電圧に近くなっている。系統状
態2において、機器操作判定・実施手段270が、いか
なる操作も実施しない理由については、後述する。
【0095】再び、図5のフローチャートの説明に戻
る。ステップSA5において、電圧が上限逸脱している
下位側の電圧監視領域が存在しなければ(ステップSA
5、NO)、系統状態1にあると判断して、処理を終了
する。ここで、図12に系統状態1の具体例を示す。
【0096】系統状態1は、図12に示すように、制御
判定単位系統内の全ての電圧監視領域が正常である状態
である。したがって、この場合、機器操作判定・実施手
段270は、何ら、操作を実施する必要はない。
【0097】次に。系統状態2において、機器操作判定
・実施手段270が、いかなる操作も実施しない理由を
説明する。系統状態2は、図11にも示されているよう
に、「制御判定単位系統において、下限電圧に近い電圧
監視領域が存在し、かつ、上限逸脱を示している電圧監
視領域が存在する状態」である。このような状態におい
て、上限逸脱を示している電圧監視領域の電圧を降下さ
せる操作を実施すると、該下限電圧に近い電圧監視領域
が下限逸脱を起こす可能性があり、さらに、悪い状態に
遷移する懸念がある。前述したように、調相機器の制御
感度は、当該電圧監視領域外でもゼロとはならないから
である。
【0098】また、このような系統状態2が変化して、
上位側の電圧監視領域の電圧レベルが正常な値まで下が
り、上位側の電圧監視領域と上限逸脱している下位側の
電圧監視領域の電圧差が第2の閾値Th2よりも小さく
なり、系統状態4に移行すれば(図9(a)参照)、機
器操作判定・実施手段270による前記操作Aによっ
て、系統状態1に戻る。また、さらに、このような系統
状態2が変化して、電圧が下限電圧に近い電圧監視領域
の電圧が目標電圧に近くなり、系統状態3に移行すれば
(図10(a)参照)、機器操作判定・実施手段270
が操作Bを実施することにより、系統状態1に戻る。ま
た、さらに、このような系統状態2が変化して、上位側
の電圧監視領域の電圧が正常なレベルにまで降下し、下
位側の電圧監視領域の電圧レベルもそれに伴って下が
り、系統状態6に移行した場合には(図7(a)参
照)、機器操作判定・実施手段270が操作Cを実施す
ることにより、系統状態1に戻る。
【0099】尚、系統状態2から系統状態4へ遷移する
要因としては、下限電圧に近い電圧監視領域の負荷が減
少して、その電圧が上昇する場合などがある。また、系
統状態2から系統状態6へ遷移する要因としては、上限
逸脱している電圧監視領域の負荷が増大して、その電圧
が降下する場合などがある。
【0100】このように、電力系統の運用においては、
電圧監視領域の上限逸脱よりも下限逸脱の方が危険であ
るため、系統状態2のときには、電圧制御機器を操作す
るよりも、操作しない方が好ましい。実際のシステムで
は、系統状態2が一定時間以上、経過した場合には、警
報を鳴らすまたは警告メッセージを表示するなどして、
システム運用者に異常な状態を報知して、システム運用
者の判断に委ねるのが妥当である。
【0101】上述したように、本実施形態では、制御判
定単位系統の状態を判断するとき、「下位側の電圧監視
領域の電圧」と「上位側の電圧監視領域と下位側の電圧
監視領域の電圧差」を用いるようにしている。例えば、
下位側の電圧監視領域の電圧が上限逸脱しており、か
つ、上記電圧差が第2の閾値Th2よりも大きいとき
は、上位側の電圧監視領域の電圧も上限逸脱していると
判断する。上位側及び下位側の電圧監視領域の電圧を、
直接に、用いても、上記と同様な論理的判断が可能であ
るが、次に、述べる(a),(b)の理由から、本実施
形態では、上記電圧差を上記判断の基準に用いている。
【0102】(a) 上位側の電圧監視領域と下位側の
電圧監視領域の電圧差は、厳密には、各電気所(変電
所)毎に、さらに、昼夜間の時間帯において異なってお
り、「下位側の電圧監視領域の電圧が適正で、かつ、上
記電圧差が適正である場合」には、上位側の電圧監視領
域の電圧が、多少、不適正であっても、許容される場合
が多い。
【0103】(b) 下位側の電圧監視領域の電圧が、
最終的に、消費者(ユーザ)に供給される電圧であり、
このため、下位側の電圧監視領域の電圧がユーザに対す
るサービスという観点から重要である。
【0104】機器操作判定・実施手段270は、図5の
フローチャートに示された処理を、例えば、所定の周期
で実行する。すなわち、該周期において、各制御判定単
位系統内で一つの電圧制御機器(変圧機器または調相機
器)を操作する。尚、電力系統10の系統パターンが変
化した場合には、機器操作判定・実施手段270は、系
統パターン判定手段240から入力される系統パターン
情報の変化をトリガーとして、図5のフローチャートに
示す処理を,直ちに,実施するようにしてもよい。電力
系統10の系統パターンが変化した場合、各電圧監視領
域の電圧も変動する可能性が高いからである。
【0105】図13は、上述した図5のフローチャート
の動作全体をまとめた図である。機器操作判定・実施手
段270は、同図において、実線の矢印で示すように、
制御判定単位系統が、系統状態4にあるときは操作A
を、系統状態3にあるときは操作Bを、系統状態6にあ
るときは操作Cを、系統状態3にあるときは操作Bを、
系統状態5にあるときは操作Cを実施して、制御判定単
位系統を正常な状態(系統状態1)に回復させる。尚、
系統状態2にあるときには、機器操作判定・実施手段2
70は、電圧制御機器の操作には関与せず、同図におい
て破線の矢印で示されているように、制御判定単位系統
が系統状態2から系統状態3、系統状態4または系統状
態6に遷移するまで待機する。次に、電力系統10の現
在の系統パターンに応じて、電力系統10内の全ての電
圧制御機器(変圧機器、調相機器)の電圧の指標値デー
タを作成する、系統パターン判定手段240及び電圧状
態指標作成手段250の動作を、図14のフローチャー
トを参照しながら説明する。
【0106】まず、系統パターン判定手段240は、オ
ンラインデータベース210から電力系統10の現在の
系統構成情報(サーキット・ブレーカCB1,CB2の
ステイタスデータ)を取得し、該系統構成情報をキーと
して、知識ベース220を検索し、電力系統10の現在
の系統パターンを判定する。すなわち、該系統構成情報
を知識ベース220内の「系の接続条件」と照合するこ
とにより、電力系統10の現在の系統パターンを判定す
る。そして、その系統パターンを、電圧状態指標作成手
段250及び制御知識選択手段260に出力する(ステ
ップSB1)。
【0107】図15は、サーキット・ブレーカCB1,
CB2のステイタス(オン/オフ状態)による、電力系
統10の系統パターンの変化を示す図ある。同図(a)
に示す電力系統10においては、サーキット・ブレーカ
CB1がオフ(切)、サーキット・ブレーカCB2がオ
ン(入)の状態になっている。この系統構成情報がパタ
ーン2に対応するという知識は、前述したように、知識
ベース220に格納されている(図4参照)。また、同
図(b)に示す電力系統10においては、サーキット・
ブレーカCB1がオン(入)、サーキット・ブレーカC
B2がオフ(切)の状態になっている。この系統構成情
報がパターン1に対応するという知識は、前述したよう
に、知識ベース220に格納されている(図4参照)。
したがって、系統パターン判定手段240は、オンライ
ンデータベース210に格納されている電力系統10の
現在の系統構成情報(サーキット・ブレーカCB1,C
B2のステイタスデータ)を取得することにより、電力
系統10の現在の系統パターンを判定できる。
【0108】再び、図14のフローチャートの説明に戻
る。電圧状態指標作成手段250は、系統パターン判定
手段240から系統パターン情報を入力すると、オンラ
インデータベース210から電力系統10の全ての監視
点(変電所)の電圧データを取得する(ステップSB
2)。
【0109】電圧状態指標作成手段250は、次に、該
入力された系統パターン情報の示す電力系統10の現在
の系統パターンにおける電力系統10内の全ての監視点
(変電所)の重み係数を取得する(ステップSB3)。
【0110】電圧状態指標作成手段250は、続いて、
ステップSB2で取得した監視点(変電所)の電圧デー
タとステップSB3で取得した該監視点(変電所)の重
み係数を基に、前記式(1)の演算を実行して、現在の
系統パターンにおける電力系統10内の全ての電圧監視
領域の重み付け電圧平均値を算出して、これらを、電力
系統10の電圧状態の指標値とする。そして、この該電
圧状態の指標値を、電圧制御機器i(iは制御知識番
号)の入力データとし、機器操作判定・実施手段270
に出力する。機器操作判定・実施手段270は、入力さ
れる各電圧制御機器(変圧機器Tまたは調相機器)iの
電圧状態の指標値データを記憶装置280に格納する
(ステップSB4)。
【0111】次に、電圧状態指標作成手段250は、全
ての電圧制御機器に対して、電圧状態の指標値データを
作成したかを判別する(ステップSB5)。そして、ま
だ、全ての電圧制御機器に関する電圧状態の指標値デー
タを作成していなければ(ステップSB5、NO)、ス
テップSB2に戻って、残りの電圧制御機器の電圧状態
の指標値データを作成するために、ステップSB2〜S
B4を、再度、実行する。以上のようにして、全ての電
圧制御機器に関する電圧状態の指標値データが作成され
ると、ステップSB5でYESと判別され、処理を終了
する。
【0112】以上のようにして作成された、各電圧制御
機器iの電圧状態の指標値データを用いて、機器操作判
定・実施手段270は、前述した、図5のフローチャー
トの処理を実行する。すなわち、各電圧制御機器iは、
制御判定単位系統内の自身が属する電圧監視領域の電圧
を制御する機器であり、上記電圧状態の指標値データ
は、機器操作判定・実施手段270が、電圧監視領域の
上限逸脱、下限逸脱の判断、さらには、上位側の電圧監
視領域と下位側の電圧監視領域の電圧差を第1の閾値T
h1または第2の閾値Th2と比較するためなどに使用
される。
【0113】ここで、図15を用いて、電力系統10内
に設置されたサーキット・ブレーカCB1,CB2のス
テイタス(オン/オフ),すなわち、系統構成情報の変
化により、電力系統10の制御判定単位系統及び電圧監
視領域が変化する様子を説明する。
【0114】サーキット・ブレーカCB1がオフ
(「切」)でサーキット・ブレーカCB2がオン
(「入」)である場合には、上述した定義に基づいて、
電力系統10は、図15(a)に示すような制御判定単
位系統1と制御判定単位系統2に分割される(パターン
2の系統パターン)。尚、図15(a)は前述した図2
と同様であり、図2の構成については、既に、説明した
ので、ここでは、詳しい説明は省略する。
【0115】一方、サーキット・ブレーカCB1がオン
(「入」)でサーキット・ブレーカCB2がオフ
(「切」)である場合には、上述した定義に基づいて、
電力系統10は、図15(b)に示すような制御判定単
位系統1と制御判定単位系統2に分割される(パターン
1の系統パターン)。また、さらに、パターン1の制御
判定単位系統1は、上位側の電圧監視領域111と3つ
の下位側の電圧監視領域113(下位側の電圧監視領域
1)、114(下位側の電圧監視領域2)、115b
(下位側の電圧監視領域3)に分割される。また、制御
判定単位系統2は、第2の上位側の電圧監視領域121
等に分割される。
【0116】電力系統10の系統パターンが、パターン
2からパターン1に変化したことにより、調相機器SC
4が担当する下位側の電圧監視領域3が制御判定単位系
統2から制御判定単位系統1に変更される。すなわち、
パターン2の場合は、調相機器SC4が担当する下位側
の電圧監視領域115a(下位側の電圧監視領域3)
は、監視点(変電所)として、B−1,B−2,B−
3,B−4を含んでいる。これに対し、パターン1の場
合は、調相機器SC4が担当する下位側の電圧監視領域
115b(下位側の電圧監視領域3)は、監視点(変電
所)として、B−1,B−2,B−3,B−4に加え、
更に、A−1,A−2を含んでいる。
【0117】このような変化は、サーキット・ブレーカ
CB1がオン(「入」)となったことにより、監視点
(変電所)A−1,A−2に、調相機器SC4の制御効
果が波及するようになったことにより生じたものであ
る。また、このことにより、監視点(変電所)A−1,
A−2の電圧は、調相機器SC2と調相機器SC4の双
方により制御されることになる。
【0118】以上述べたような、パターン1及びパター
ン2の系統パターンに関する情報は、図2に示すよう
に、知識ベース220に格納される。したがって、系統
パターン判定手段240は、系統構成情報をキーとし
て、知識ベース220を検索することにより、電力系統
10の現在の系統パターンを判定することができる。ま
た、電圧状態指標作成手段250は、系統パターン判定
手段240から入力される、電力系統10の現在の系統
パターン情報を基に、前述した図14のフローチャート
に示す処理を実行して、電力系統10の各制御判定単位
系統毎に、電圧監視領域の重み付き平均電圧値を算出す
ることができる。また、制御知識選択手段260は、系
統パターン判定手段240から入力される、電力系統1
0の現在の系統パターン情報を基に、電力系統10内の
電圧制御機器(変圧機器、調相機器)の制御知識を取得
することができる。
【0119】次に、図16のフローチャートを参照しな
がら、電力系統10の現在の系統パターンに応じて、電
力系統10内の全ての電圧制御機器(変圧機器、調相機
器)の制御知識を取得する、系統パターン判定手段24
0及び制御知識選択手段260の動作を説明する。
【0120】まず、系統パターン判定手段240は、オ
ンラインデータベース210から、電力系統10の系統
構成情報を取得して、これを、知識ベース220の「系
統の接続条件」と照合することにより、電力系統10の
現在の系統パターンを判定する。そして、判定した系統
パターンを制御知識選択手段260に出力する(ステッ
プSD1)。
【0121】制御知識選択手段260は、系統パターン
判定手段240から電力系統10の現在の系統パターン
情報を入力すると、その現在の系統パターンに応じて、
電力系統10内の電圧制御機器(変圧機器、調相機器)
i(iは、制御知識番号)の制御知識(当該電圧監視領
域、その電圧監視領域の目標電圧、下限電圧並びに上限
電圧、及び第1の閾値Th1並びに第2の閾値Th2
等)を取得する(ステップSD2)。
【0122】制御知識選択手段260は、次に、電力系
統10内の全ての電圧制御機器に対して制御知識を取得
したか否かを判別する(ステップSD3)。そして、ま
だ、全ての電圧制御機器に関して、制御知識を取得して
いなければ、残りの電圧制御機器の制御知識を取得する
ために、ステップSD2に戻り、次の電圧制御機器iの
制御知識を取得する。そして、全ての電圧制御機器の制
御知識が取得されると、制御知識選択手段260は、ス
テップSD3で「YES」と判別して、処理を終了す
る。
【0123】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、電力系統を、複数の制御判定単位系統に分割すると
共に、該制御判定単位系統を、さらに、個々の電圧制御
機器が電圧制御を担当する電圧監視領域に分割し、該電
圧監視領域における電圧の正常な範囲からの逸脱を、そ
の時点で、最も適した電圧制御機器を操作することによ
り解消するようにするので、電圧制御機器同士が矛盾す
る動作をしたり、互いに、干渉しあうことを防止でき
る。このため、電圧の動揺や不要な電圧制御機器の操作
を防止しながら、電力系統の電圧を適切に維持すること
が可能になる。
【0124】また、本発明によれば、電力系統の構成
を、複数の系統パターンに分類し、各系統パターンに対
応する電圧監視領域の分類方法及び電圧制御に関する制
御知識を、知識ベースに登録しておき、電力系統の構成
の変化に応じて、直ちに、電力系統の現在の系統パター
ンに応じた、適切な電圧制御を行うようにしたので、電
力系統の構成が変化する場合にも、継続して、電力系統
の電圧を適切に制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電力系統電圧制御装置のシ
ステム構成を説明するブロック図である。
【図2】電力系統の一構成例を示す図である。
【図3】調相機器の制御感度に応じた、電圧監視領域の
分割例を説明する図である。
【図4】知識ベースの内部構成を示す図である。
【図5】機器操作判定・実施手段の動作を説明するフロ
ーチャートである。
【図6】電圧監視領域の上限電圧並びに下限電圧、及
び、上位側の電圧監視領域と下位側の電圧監視領域の電
圧差に対する第1の閾値並びに第2の閾値を説明する図
である。
【図7】電力系統が系統状態6であるときに実施する操
作Cを説明する図である。
【図8】電力系統が系統状態5であるときに実施する操
作Dを説明する図である。
【図9】電力系統が系統状態4であるときに実施する操
作Aを説明する図である。
【図10】電力系統が系統状態3であるときに実施する
操作Bを説明する図である。
【図11】電力系統の系統状態2を説明する図である。
【図12】電力系統の系統状態1を説明する図である。
【図13】電力系統の、機器操作判定・実施手段の操作
等に伴う系統状態の遷移を説明する図である。
【図14】電圧状態の指標値データを作成する、系統パ
ターン判定手段及び電圧状態指標作成手段の動作を説明
する図である。
【図15】電力系統の系統構成情報の変化に伴う電力系
統の系統パターンの変化を説明する図であり、(a)は
パターン2、(b)はパターン1を示す図である。
【図16】電力系統の全ての電圧制御機器の制御知識を
取得する、系統パターン判定手段及び制御知識選択手段
の動作を説明する図である。
【符号の説明】
10 電力系統 20 電力系統電圧制御装置 210 オンラインデータベース 220 知識ベース 240 系統パターン判定手段 250 電圧状態指標作成手段 260 制御知識選択手段 270 機器操作判定・実施手段 110、120 制御判定単位系統 111、121 上位側の電圧監視領域 113、114、115a,115b 下位側の電圧監
視領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀谷 勝久 東京都日野市富士町1番地 株式会社内エ フ・エフ・シー内 (72)発明者 竹中 道夫 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 Fターム(参考) 5G066 AA09 AD20 AE05 AE09 DA01 DA04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統の電圧を制御する方法であっ
    て、 (a) 電力系統を複数の制御判定単位系統に分割し、
    さらに、各制御判定単位系統を上位側の電圧監視領域と
    下位側の電圧監視領域に分割するステップと、 各制御判定単位系統毎に、 (b) 各電圧監視領域内の監視点の電圧を基に、該各
    電圧監視領域の電圧を算出するステップと、 (c) 該各電圧監視領域の電圧を基に、電圧が正常な
    範囲を逸脱している電圧監視領域を判断するステップ
    と、 (d) 該正常な範囲を逸脱している電圧監視領域の電
    圧レベルを調整するように、適切な電圧制御機器を操作
    するステップと、 を有すことを特徴とする電力系統電圧制御方法。
  2. 【請求項2】 ステップ(c)において、電圧が正常な
    範囲を逸脱している下位側の電圧監視領域が存在するか
    判断し、該電圧逸脱している下位側の電圧監視領域が存
    在すれば、その電圧逸脱の原因が制御判定単位系統全体
    の電圧レベルに問題があるのか、該下位側の電圧監視領
    域とそれに対応する上位側の電圧監視領域の電圧差に問
    題があるのかを判断し、 ステップ(c)において制御判定単位系統全体の電圧レ
    ベルに問題があると判断された場合、ステップ(d)に
    おいて該制御判定単位系統全体の電圧レベルを調整する
    役割を有する電圧制御機器を操作し、ステップ(c)に
    おいて該下位側の電圧監視領域と対応する上位側の電圧
    監視領域の電圧差に問題があると判断された場合、ステ
    ップ(d)において該下位側の電圧監視領域とそれに対
    応する上位側の電圧監視領域の電圧差を調整する役割を
    有する電圧制御機器を操作すること、 を特徴とする請求項1記載の電力系統電圧制御方法。
  3. 【請求項3】 ステップ(c)において、電圧が上限逸
    脱している下位側の電圧監視領域があり、かつ、該下位
    側の電圧監視領域とそれに対応する上位側の電圧監視領
    域の電圧差が所定の閾値よりも大きく、かつ、制御判定
    単位系統内に、電圧が下限電圧に近い下位側の電圧監視
    領域が存在する場合には、ステップ(d)において、い
    ずれの電圧制御機器も操作しないこと、 を特徴とする請求項1記載の電力系統電圧制御方法。
  4. 【請求項4】 さらに、 (e) 電力系統の構成に係わる系統構成情報を取得
    し、該系統構成情報に応じて、電力系統の構成を示す系
    統パターンを判定するステップを備え、 ステップ(a)において、該系統パターンに応じて、該
    電力系統を制御判定単位系統に分割する形式と、該制御
    判定単位系統を上位側の電圧監視領域と下位側の電圧監
    視領域に分割する形式を、動的に変更すること、 を特徴とする請求項1記載の電力系統電圧制御方法。
  5. 【請求項5】 さらに、 (e) 電力系統の構成に係わる系統構成情報を取得
    し、該系統構成情報に応じて、電力系統の構成を示す系
    統パターンを判定するステップと、 (f) 該系統パターンに応じて、各制御判定単位系統
    内の電圧制御に関する入力情報定義及び制御知識を選択
    するステップとを備え、 ステップ(a)において、該系統パターンに応じて、制
    御判定単位系統の分割形式と、該制御判定単位系統内の
    上位側の電圧監視領域と下位側の電圧監視領域の分割形
    式を、動的に変更し、 ステップ(b)において、該系統パターンに応じて分割
    される各電圧監視領域の電圧を、該入力情報定義を基に
    算出し、 ステップ(d)において、該系統パターンに応じて分割
    された各電圧監視領域の電圧を基に、電圧が正常な範囲
    を逸脱している電圧監視領域を判断し、 ステップ(e)において、該系統パターンに応じた制御
    知識に基づいて、該正常な範囲を逸脱している電圧監視
    領域の電圧レベルを調整するように、適切な電圧制御機
    器を操作すること、 を特徴とする請求項1記載の電力系統電圧制御方法。
  6. 【請求項6】 電力系統の電圧を制御する電力系統電圧
    制御装置であって、 電力系統を複数の制御判定単位系統に分割し、さらに、
    各制御判定単位系統を上位側の電圧監視領域と下位側の
    電圧監視領域に分割することによって得られる、該電力
    系統の構成を示す系統パターンを判定する系統パターン
    判定手段と、 該電力系統の全ての監視点の電圧を基に、該系統パター
    ン判定手段によって判定された系統パターンによって規
    定される各制御判定単位系統の全ての電圧監視領域の電
    圧を算出し、該各制御判定単位系統内の各電圧監視領域
    の電圧を電圧状態の指標値データとして出力する電圧状
    態指標作成手段と、 該電圧状態指標作成手段によって作成された該電圧状態
    の指標値データを基に、各制御判定単位系統の全体の電
    圧レベルと各制御判定単位系統の上位側の電圧監視領域
    と下位側の電圧監視領域の電圧差の状況を把握し、該状
    況に応じて、各制御判定単位系統内の各電圧監視領域の
    電圧が適正になるように制御可能な電圧制御機器を判断
    し、該電圧制御機器の操作を実施する機器操作判定・実
    施手段と、 を具備することを特徴とする電力系統電圧
    制御装置。
  7. 【請求項7】 前記機器操作判定手段は、電圧が正常な
    範囲を逸脱している下位側の電圧監視領域が存在するか
    判断し、該電圧逸脱している下位側の電圧監視領域が存
    在すれば、その電圧逸脱の原因が制御判定単位系統全体
    の電圧レベルに問題があるのか、該下位側の電圧監視領
    域と上位側の電圧監視領域の電圧差に問題があるのかを
    判断し、制御判定単位系統全体の電圧レベルに問題があ
    ると判断した場合、該制御判定単位系統全体の電圧レベ
    ルを調整する役割を有する電圧制御機器を操作し、一
    方、該下位側の電圧監視領域と上位側の電圧監視領域の
    電圧差に問題があると判断した場合、該下位側の電圧監
    視領域と上位側の電圧監視領域の電圧差を調整する役割
    を有する電圧制御機器を操作すること、 を特徴とする請求項6記載の電力系統電圧制御装置。
  8. 【請求項8】 前記機器操作判定手段は、電圧が上限逸
    脱している下位側の電圧監視領域があり、かつ、該下位
    側の電圧監視領域と上位側の電圧監視領域の電圧差が所
    定の閾値よりも大きく、かつ、制御判定単位系統内に、
    電圧が下限電圧に近い下位側の電圧監視領域が存在する
    場合には、いずれの電圧制御機器も操作しないこと、 を特徴とする請求項6記載の電力系統電圧制御装置。
  9. 【請求項9】 さらに、 電力系統の各分離点における接続条件を示す系統構成情
    報に応じて変化する、該電力系統の系統パターン毎に、
    制御判定単位系統の各電圧監視領域の電圧を求めるため
    に必要となる入力情報定義を格納する知識ベースを備
    え、 前記系統パターン判定手段は、取得される電力系統の系
    統構成情報を基に、前記知識ベースを検索して、電力系
    統の系統パターンを判定し、 前記電圧状態指標作成手段は、該系統パターン判定手段
    によって判定された系統パターンに基づいて、前記知識
    ベースを検索して、前記知識ベースから該系統パターン
    に対応する入力情報定義を取得し、該入力情報定義に基
    づいて、該系統パターンに対応する各制御判定単位系統
    の各電圧監視領域に属する監視点を選択し、該各監視点
    の電圧データを基に、制御判定単位系統の電圧状態の指
    標値データとなる該制御判定単位系統内の各電圧監視領
    域の電圧を算出し、 前記機器操作判定・実施手段は、前記電圧状態指標作成
    手段によって作成された電圧状態の指標値データを基
    に、各制御判定単位系統毎に、個別に、制御判定単位系
    統全体の電圧レベルと上位側の電圧監視領域と下位側の
    電圧監視領域の電圧差の状況を把握し、該状況に応じ
    て、各制御判定単位系統内の各電圧監視領域の電圧が適
    正になるように制御可能な電圧制御機器を判断し、該電
    圧制御機器の操作を実施すること、 を特徴とする請求項6記載の電力系統電圧制御装置。
  10. 【請求項10】 前記知識ベースは、さらに、電力系統
    の各系統パターン毎に、各系統パターンにおける各制御
    判定単位系統の電圧制御に必要な制御知識を格納し、 さらに、前記系統パターン判定手段によって判定された
    系統パターンを基に、前記知識ベースを検索して、前記
    各制御判定単位系統内の各電圧監視領域の電圧を制御す
    るために必要な制御知識を取得する制御知識選択手段を
    備え、 前記機器操作判定・実施手段は、前記制御知識選択手段
    によって取得された制御知識と前記電圧状態指標作成手
    段によって作成された電圧状態の指標値データを基に、
    各制御判定単位系統毎に、個別に、制御判定単位系統全
    体の電圧レベルと上位側の電圧監視領域と下位側の電圧
    監視領域の電圧差の状況を把握し、該状況に応じて、各
    制御判定単位系統内の各電圧監視領域の電圧が適正にな
    るように制御可能な電圧制御機器を判断し、該電圧制御
    機器の操作を実施すること、 を特徴とする請求項9記載の電力系統電圧制御装置。
  11. 【請求項11】 電力系統の電圧を制御する電力系統電
    圧制御装置であって、 電力系統を複数の制御判定単位系統に分割し、さらに、
    各制御判定単位系統を上位側の電圧監視領域と少なくと
    も1つの下位側の電圧監視領域に分割することによって
    得られる、該電力系統の各構成を示す各系統パターン、
    該各系統パターンに応じて該電力系統内の各電圧監視領
    域の電圧を求めるために必要な入力情報定義、及び該各
    系統パターン毎の各制御判定単位系統内の各電圧監視領
    域の電圧制御に関する制御知識を格納する知識ベース
    と、 オンラインで収集される、電力系統の構成を判定するた
    めに使用される系統構成情報及び該電力系統内の全ての
    監視点の電圧を格納するオンラインデータベースと、 該オンラインデータベースから前記系統構成情報を取得
    して、その系統構成情報を基に、該知識ベースを検索し
    て、電力系統の構成を示す系統パターンを判定する系統
    パターン判定手段と、 前記オンラインデータベースから、電力系統内の全ての
    監視点の電圧データを取得し、該系統パターン判定手段
    によって判定された系統パターンに基づいて、前記知識
    ベースから、該系統パターンに対応する入力情報定義を
    取得し、該入力情報定義に基づき、該各電圧監視領域の
    電圧を、電圧状態指標値データとして算出する電圧状態
    指標作成手段と、 前記系統パターン判定手段によって判定された系統パタ
    ーンを基に、前記知識ベースを検索して、前記各制御判
    定単位系統内の各電圧監視領域の電圧を制御するために
    必要な制御知識を取得する制御知識選択手段と、 該制御知識選択手段によって取得された制御知識と前記
    電圧状態指標作成手段によって作成された電圧状態の指
    標値データを基に、電力系統内の各電圧制御機器の操作
    の必要性の有無を各制御判定単位系統毎に判定して、そ
    の判定結果に基づいて、該各制御判定単位系統内の各電
    圧制御機器を、必要に応じて、適切に操作し、各制御判
    定単位系統毎に、個別に、該各制御判定単位系統内の各
    電圧監視領域の電圧を調整する機器操作判定・実施手段
    と、 を備えることを特徴とする電力系統電圧制御装置。
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