しかしながら、上述した特許文献1に係る技術では、反転画像や全黒画像及び全白画像を書き込むため、次の画像が表示されるまでの書き換え回数が増加する。よって、書き換え回数が増加する分、消費電力が高くなってしまうという技術的問題点がある。また、特許文献2に係る技術においても、白を表示させるための書き込み及び黒を表示させるための書き込みを別々に行うため、書き換え回数が増加する。よって同様に、消費電力が高くなってしまうという技術的問題点がある。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、好適に消費電力を低減することが可能な電気泳動表示装置及びその駆動方法、並びに電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気泳動表示装置は上記課題を解決するために、互いに対向する画素電極及び共通電極間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子が夫々設けられた複数の画素を含む表示部と、前記画素電極に画素電位を供給すると共に、前記共通電極に共通電位を供給することによって、前記表示部を駆動する駆動手段と、前記駆動手段の動作モードを、通常動作を行う通常動作モードと該通常動作モードよりも消費電力の低い低消費電力モードとの間で切り替えるモード切替手段とを備える。
本発明の電気泳動表示装置によれば、その動作時に、駆動手段によって、表示部に含まれる複数の画素の各々における画素電極に画素電位が供給され、共通電極に共通電位が供給される。尚、駆動手段による動作には、実際に画素電位及び共通電位を供給する動作の他、そのような動作を行うための様々な制御動作が含まれてもよい。即ち、表示部において画像を表示させるための各部位における動作や、例えばクロック信号やタイミング信号等を供給する動作等も駆動手段による動作に含まれてもよい。画素電位及び共通電位が供給されることにより、画素電極及び共通電極間には画像データに応じた電圧が印加され、画素電極及び共通電極間に設けられた電気泳動素子に含まれる電気泳動粒子が画素電極及び共通電極間で移動される。表示部には、移動された電気泳動粒子に応じた画像が表示される。
画素電極は、例えば互いに交差するように設けられたデータ線及び走査線の交差に対応してマトリクス状に複数設けられている。画素電極が設けられる画素の各々には、画素毎に画素スイッチング素子としてのトランジスタが設けられ、アクティブマトリクス駆動可能に構成される。一方、共通電極は、複数の画素電極に対向するように例えばベタ状に設けられる。電気泳動素子は、例えばマイクロカプセルであり、内部に電気泳動粒子として、例えば負に帯電された複数の白色粒子と正に帯電された複数の黒色粒子とが含まれている。電気泳動素子では、画素電極及び共通電極間に印加される電圧に応じて、負に帯電された複数の白色粒子及び正に帯電された複数の黒色粒子のうち一方が画素電極側に移動(即ち、泳動)し、他方が共通電極側に移動する。画像は、典型的には、表示部の共通電極側に表示される。
本発明では特に、モード切替手段によって、上述した駆動手段の動作モードが、通常動作を行う通常動作モードと通常動作モードよりも消費電力の低い低消費電力モードとの間で切り替えられる。よって、例えば表示される画像の画質の向上より、低消費電力を優先させたい場合等に、確実に消費電力を低減させることができる。尚、装置の駆動に合わせて適切なモード切換が行われるようにすることで、通常動作モードにおける効果及び低消費電力モードにおける効果を、夫々より好適に発揮させることが可能である。
本発明の電気泳動表示装置の一態様では、前記駆動手段に電源を供給する電池と、該電池の残量を監視する監視手段とを更に備え、前記モード切替手段は、前記電池の残量が所定値以下であることが前記監視手段によって検出された場合には、前記動作モードを前記通常動作モードから前記低消費電力モードに切り替える。
この態様によれば、駆動手段には電池によって電源が供給される。電池の残量は、監視手段によって、例えばデジタル値として監視されている。監視手段は、常に電池の残量を監視するようにされてもよいし、例えば画像を書き換える際などの電力を要する動作が求められた場合にのみ、残量を検出するようにしてもよい。監視手段によって、電池の残量が所定値以下であることが検出された場合には、モード切替手段によって、駆動手段の動作モードが通常動作モードから低消費電力モードへと切り換えられる。よって、消費電力が低減され、通常動作モードで動作を続けるより、長い時間駆動させることが可能となる。尚、電池が充電又は交換されるなどして、残量が所定値を超えた場合には、低消費電力モードから通常動作モードに切換えられるようにしてもよい。
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、ユーザによる操作に応じて前記動作モードを切り替えるべき旨を示す切替信号を前記モード切替手段に出力する切替信号出力手段を更に備え、前記モード切替手段は、前記切替信号に基づいて、前記動作モードを切り替える。
この態様によれば、ユーザが、例えばボタンや切換スイッチ等を操作した場合に、切換え信号出力手段によって、駆動手段の動作モードを切り替えるべき旨を示す切替信号が出力される。切換信号が出力されると、モード切替手段によって、駆動手段の動作モードが切換えられる。よって、ユーザは好適に通常動作モード及び低消費電力モードを切換えることが可能である。
尚、切換信号は、例えばモードを切り換えるという情報のみを有する信号であってもよいし、通常動作モード及び低消費電力モードのいずれのモードに切り換えるのかという情報を有する信号であってもよい。
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記モード切替手段は、前記低消費電力モードにおける前記画素電極及び前記共通電極間に印加される駆動電圧が、前記通常動作モードにおける前記駆動電圧よりも小さくなるように、前記駆動手段を制御することで、前記動作モードを前記通常動作モードから前記低消費電力モードに切り替える。
この態様によれば、駆動手段の動作モードが通常動作モードから低消費電力モードに切換えられる際には、画素電極及び共通電極間に印加される駆動電圧が、通常動作モードにおける駆動電圧よりも小さくなるように駆動手段が制御される。尚、ここでの「駆動電圧」には、書き換え後の画像に応じた電圧の他、例えば書き換え後の画像の表示に先立って行われる、書き換え前の画像の消去の際などに印加される電圧も含まれる。また、小さくされる駆動電圧は、書き換えにおける一部の駆動電圧であってもよい。即ち、複数回書き込みが行われることによって画像が書き換えられる際には、少なくとも1回の書き込みにおける駆動電圧が小さくされればよい。駆動電圧が小さくされることによって、消費電力は確実に小さくなる。従って、好適に消費電力を低減させることが可能である。
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記駆動手段は、一の画像に係る前記画素電位及び前記共通電位を所定回数供給することで、前記表示部に前記一の画像が表示されるように、前記表示部を駆動し、前記モード切替手段は、前記低消費電力モードにおける前記所定回数が前記通常動作モードにおける前記所定回数より小さくなるように、前記駆動手段を制御することで、前記動作モードを前記通常動作モードから前記低消費電力モードに切り替える。
この態様によれば、通常動作モードにおいて一の画像を表示する際には、駆動手段によって、画素電位及び共通電位が所定回数供給される。即ち、一の画像を表示するために、同じ画像を表示させるような画素電位及び共通電位が複数回供給され、画像がより確実に表示部に表示されるような駆動が行われている。
本態様では特に、駆動手段の動作モードが通常動作モードから低消費電力モードに切換えられる際には、モード切替手段によって、低消費電力モードにおける所定回数が通常動作モードにおける所定回数より小さくなるように駆動手段が制御される。即ち、通常動作モードから低消費電力モードに切換えられると、一の画像を表示させるために画素電位及び共通電位が供給される回数が小さくされる。
低消費電力モードでは、通常動作モードに比べて画像を書き換える際などにおける書き込み回数が減少する。よって、例えば電気泳動素子に駆動電圧をかけて応答させる時間が短くなり、電気泳動素子に流れる正味の電流を小さくすることができる。また、書き込み回数が減少することにより、減少した書き込み回数の分だけ消費電力を低減させることができる。尚、低消費電力モードにおける所定回数は、典型的には1回とされるが、それ以上の回数であっても通常動作モードにおける所定回数と比べて小さければ、上述した効果は発揮される。
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記駆動手段は、前記表示部に表示された第1画像を第2画像へと書き換える際に、前記画素電極に前記第2画像に応じた前記画素電位を供給する前段において、前記共通電極に共通電位を供給すると共に前記複数の画素の各々における前記画素電極に一の電位を所定期間供給することで、前記表示部に消去画像が表示されるように、前記表示部を駆動し、前記モード切替手段は、前記低消費電力モードにおける前記所定期間が前記通常動作モードにおける前記所定期間より短くなるように、前記駆動手段を制御することで、前記動作モードを前記通常動作モードから前記低消費電力モードに切り替える。
この態様によれば、通常動作モードにおいて、表示部に表示された第1画像を第2画像へと書き換える際には、画素電極に第2画像に応じた画素電位を供給する前段において、共通電極に共通電位が供給されると共に複数の画素の各々における画素電極に一の電位が所定期間供給される。これにより、表示部には一の電位に対応する階調のベタ画像が表示され、第1の画像は消去される。第2画像は、第1画像が消去された後に書き込まれる。このような書き換えを行うように駆動すれば、例えば第2画像に第1の画像の残像が表示されてしまうことを低減できる。尚、一の電位に対応する階調のベタ画像を表示させた後に、一の電位とは異なる他の電位に対応する階調のベタ画像を表示させてから第2画像を書き込むようにしてもよい。
本態様では特に、駆動手段の動作モードが通常動作モードから低消費電力モードに切換えられる際には、モード切替手段によって、一の電位を供給する所定期間が、通常動作モードにおける所定期間より小さくなるように駆動手段が制御される。即ち、低消費電力モードでは、通常動作モードと比べて第1の画像を消去するための電位を供給する期間が短くされる。
尚、1回の書き換えにおいて一の電位が複数回供給される場合には、ここでの所定期間は、一の電位を供給する回数として考えることもできる。即ち、一の電位を供給する期間を短くすることに代えて、一の電位を供給する回数を減らすようにしてもよい。
所定期間が短くされることで、電気泳動素子に駆動電圧をかけて応答させる時間が短くなり、電気泳動素子に流れる正味の電流を小さくすることができる。また、電位を供給する期間が減少することにより、減少した供給期間の分だけ消費電力を低減させることができる。低消費電力モードにおける所定期間は、上述した残像を低減させる効果と消費電力を低減させる効果を夫々効果的に得るためには、通常動作モードにおける所定期間の半分又は3分の1程度とされるのが好ましいが、低消費電力のみを目的とする場合にはゼロとされても構わない。即ち、第2画像の表示に先立って、第1画像を消去しないようにしてもよい。
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記駆動手段は、前記表示部に表示された第1画像を第2画像へと書き換える際に、前記画素電極に前記第2画像に応じた前記画素電位を供給する前段において、前記共通電極に共通電位を供給すると共に、前記第1画像を書き込む際に第1の階調に応じた第1の電位が供給された画素に前記第1の階調と異なる第2の階調に応じた第2の電位を供給する第1反転駆動及び前記第1画像を書き込む際に前記第2の電位が供給された画素に前記第1の電位を供給する第2反転駆動のうち少なくとも一方を行うことで、前記表示部に表示されている前記第1画像の反転消去が行われるように、前記表示部を駆動し、前記モード切替手段は、前記低消費電力モードにおいて前記反転消去が少なくとも部分的に行われないように、前記駆動手段を制御することで、前記動作モードを前記通常動作モードから前記低消費電力モードに切り替える。
この態様によれば、通常動作モードにおいて、表示部に表示された第1画像を第2画像へと書き換える際には、画素電極に第2画像に応じた画素電位を供給する前段において、共通電極に共通電位が供給されると共に第1画像を書き込む際に第1の階調に応じた第1の電位が供給された画素に第1の階調と異なる第2の階調に応じた第2の電位が供給される第1反転駆動、及び共通電極に共通電位が供給されると共に第1画像を書き込む際に第2の電位が供給された画素に第1の電位が供給される第2反転駆動のうち少なくとも一方が行われる。具体的には、例えば第1の画像において黒を表示していた画素に白を表示するための電位が供給され、これに加えて又は代えて、第1の画像において白を表示していた画素に黒を表示するための電位が供給される。即ち、表示部における各画素には、それまで表示されていた階調とは異なる階調を示す電位が供給される。よって、第1画像は全く或いは殆ど見えないまでに反転消去される。第2画像は、第1画像が反転消去された後に書き込まれる。このような書き換えを行うように駆動すれば、例えば第2画像に第1の画像の残像が表示されてしまうことを低減できる。
本態様では特に、駆動手段の動作モードが通常動作モードから低消費電力モードに切換えられる際には、モード切替手段によって、上述した反転消去が少なくとも部分的に行われないように駆動手段が制御される。即ち、低消費電力モードでは、反転消去を書き換えの度に行わないように駆動手段が制御される。言い換えれば、反転消去が行う頻度が減らされる。また、1回の反転消去における電位の供給(即ち、第1及び第2反転駆動)が複数回行われるような場合には、電位を供給する回数を減らすようにしてもよい。
反転消去が少なくとも部分的に行われないようにされることで、反転消去に要していた電力を低減させることができる。低消費電力モードにおける反転消去の頻度は、上述した残像を低減させる効果と消費電力を低減させる効果を夫々効果的に得るためには、通常動作モードにおける頻度の半分又は3分の1程度とされるのが好ましいが、低消費電力のみを目的とする場合には反転消去を全く行わないようにしてもよい。
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記駆動手段は、前記画素電極に対する前記画素電位の供給を、所定周波数のクロック信号に基づいて行うことで、前記表示部を駆動し、前記モード切替手段は、前記低消費電力モードにおける前記所定周波数が前記通常動作モードにおける前記所定周波数よりも小さくなるように、前記駆動手段を制御することで、前記動作モードを前記通常動作モードから前記低消費電力モードに切り替える。
この態様によれば、駆動手段による画素電極に対する画素電位の供給は、所定周波数のクロック信号に基づいて行われる。具体的には、例えばクロック信号生成手段等から出力されたクロック信号が駆動手段に入力され、駆動手段は、入力されたクロック信号の周波数に基づいて駆動を行う。
本態様では特に、駆動手段の動作モードが通常動作モードから低消費電力モードに切換えられる際には、モード切替手段によって、クロック信号の周波数が通常動作モードにおける所定周波数より小さくなるように駆動手段が制御される。即ち、低消費電力モードにおいては、通常動作モードにおける所定周波数よりも小さい周波数のクロック信号によって、表示部が駆動される。尚、クロック信号の周波数を小さくする際には、生成されるクロック信号の周波数を小さいものとしてもよいし、生成されたクロック信号の周波数を小さくするように調整してもよい。
クロック信号の周波数が小さくされることで、駆動手段による画素電位の供給速度は遅くなる。よって、駆動手段を構成する各部位における動作を遅くし、ピーク電流を低減することが可能となる。また、画素電位の供給速度が遅くなることにより、例えば各画素に供給されるべき電位をまとめて供給する電位供給線等において、電流が重畳されてしまうことを低減できる。即ち、周期的に流れる電流が互いに重なってしまい、ピーク値が上昇してしまうことを低減できる。よって、消費電力を低減することができる。
更に、装置の電源が電池である場合には、電池が消耗し電圧が低下している場合であっても、上述したように電流のピーク値が低減されることで、電池に含まれる内部抵抗に起因した電圧降下を抑制することができる。これにより、電流が供給される回路全体の動作を安定させることができ、動作不可能となってしまうような電圧の下限を下げることができる。従って、より長時間駆動させることが可能となる。
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記画素には、前記画素電極に対する前記画素電位の供給をスイッチング制御する画素スイッチング素子と、前記画素電極に電気的に接続され前記画素電位を一時的に保持する保持手段とが設けられ、前記モード切替手段は、前記低消費電力モードにおける前記画素スイッチング素子がオン状態とされ前記画素電極に前記画素電位が供給される供給期間が、前記通常動作モードにおける前記供給期間よりも短くなるように、前記駆動手段を制御することで、前記動作モードを前記通常動作モードから前記低消費電力モードに切り替える。
この態様によれば、画素には、例えば薄膜トランジスタ等の画素スイッチング素子が設けられており、画素電極に対する画素電位の供給がスイッチング制御される。即ち、画素スイッチング素子のオンオフが制御されることによって、画素電位が供給されるか否かが制御される。また、画素電極には例えばコンデンサ等の保持手段が電気的に接続されており、画素電極に供給される画素電位は一時的に保持手段に保持される。保持手段を備えることで、画素の電位保持特性は向上し、例えばコントラスト向上等の効果が得られる。
本態様では特に、駆動手段の動作モードが通常動作モードから低消費電力モードに切換えられる際には、モード切替手段によって、画素スイッチング素子がオン状態とされ画素電極に画素電位が供給される供給期間が、通常動作モードにおける供給期間より短くなるように駆動手段が制御される。尚、このような制御は、例えばクロック周波数を大きくすることによっても可能であるが、クロック周波数を変化させずに、画素電位の供給期間を規定するイネーブルパルスの幅を小さくする方が好ましい。
画素電極に画素電位が供給される供給期間が短くされることによって、保持手段に一時的に保持される電荷は減少する。よって、消費電力を低減することが可能である。
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記駆動手段は、前記通常動作モードでは前記共通電位を所定の変更期間毎に変更し、前記モード切替手段は、前記低消費電力モードにおいて前記共通電位が変更されず一定に保たれるように、駆動手段を制御することで、前記動作モードを前記通常動作モードから前記低消費電力モードに切り替える。
この態様によれば、通常動作モードにおいては、共通電極に供給される共通電位が所定の変更期間毎に変更されている。共通電位は、典型的には2つの値(例えば、0Vと15Vの2つの値)を交互にとるように変更され、画素電位は共通電位の2つの値の各々に対応する電位(例えば、0V又は15V)として供給される。上述した駆動(以下、適宜「片極駆動」と称する。)によれば、画像の書き込みが、第1の階調に対応する書き込み及び第1の階調と異なる第2の階調に対応する書き込みの2回に分けて行われる。
本態様では特に、駆動手段の動作モードが通常動作モードから低消費電力モードに切換えられる際には、モード切替手段によって、共通電位が変更されず一定に保たれるように駆動手段が制御される。このため、画像を書き込む際に、第1の階調及び第2の階調を同時に書き込むことが可能となる。よって、低消費電力モードにおける共通電位を一定に保つ駆動(以下、適宜「両極駆動」と称する。)によれば、上述した通常動作モードにおける片極駆動と比べて、書き込み回数を減らすことができる。従って、片極駆動を両極駆動へと変更させることで、消費電力を低減することができる。
本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は上記課題を解決するために、互いに対向する画素電極及び共通電極間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子が夫々設けられた複数の画素を含む表示部と、前記画素電極に画素電位を供給すると共に、前記共通電極に共通電位を供給することによって、前記表示部を駆動する駆動手段とを備える電気泳動表示装置を駆動する電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記駆動手段の動作モードを、通常動作を行う通常動作モードと該通常動作モードよりも消費電力の低い低消費電力モードとの間で切り替えるモード切替ステップを含む。
本発明の電気泳動表示装置の駆動方法によれば、上述した本発明の電気泳動表示装置の場合と同様に、モード切替ステップにおいて、駆動手段の動作モードが通常動作モードと低消費電力モード間で切り換えられる。よって、好適に消費電力を低減させることが可能である。
尚、本発明の電気泳動表示装置の駆動方法においても、上述した本発明の電気泳動表示装置における各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気泳動表示装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気泳動表示装置を具備してなるので、好適に消費電力を低減することが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
先ず、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
図1において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、表示部3と、コントローラ10と、走査線駆動回路60と、データ線駆動回路70と、共通電位供給回路220と、電池310と、高圧系電源320と、モード切替部400と、A/D(Analog to Digital)コンバータ410と、操作部420と、VRAM500とを備えている。
表示部3には、m行×n列分の画素20がマトリクス状(二次元平面的)に配列されている。また、表示部3には、m本の走査線40(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本のデータ線50(即ち、データ線X1、X2、…、Xn)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線40は、行方向(即ち、X方向)に延在し、n本のデータ線50は、列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線40とn本のデータ線50との交差に対応して画素20が配置されている。
コントローラ10は、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220の動作を制御する。コントローラ10は、例えば、クロック信号、スタートパルス等のタイミング信号を各回路に供給する。
走査線駆動回路60は、コントローラ10から供給されるタイミング信号に基づいて、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号をパルス的に順次供給する。
データ線駆動回路70は、コントローラ10から供給されるタイミング信号に基づいて、データ線X1、X2、…、Xnに画像信号を供給する。画像信号は、高電位VH(例えば15V)又は低電位VL(例えば0V)の2値的な電位をとる。尚、本実施形態では、白色が表示されるべき画素20に対して低電位VLの画像信号が供給され、黒色が表示されるべき画素20に対して高電位VHの画像信号が供給される。
共通電位供給回路220は、共通電位線93に共通電位Vcomを供給する。尚、共通電位Vcomは一定の電位であってもよいし、例えば書き込む階調に応じて変化してもよい。
電池310は、高圧系電源320に対して電源電位を供給している。
高圧系電源320は、電池310から供給された電源電位を昇圧し、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220に対して、高電位VH及び低電位VLとして供給する。
モード切替部400は、本発明の「モード切替手段」の一例であり、例えばマイクロコンピュータ等を含んで構成されている。モード切替部400は、コントローラ10に対して制御信号を出力可能とされている。
A/Dコンバータ410は、電池310の電圧値をデジタル値に変換してモード切替部400に出力する。
操作部420は、本発明の「切換信号出力手段」の一例であり、ユーザの操作に応じて切換信号をモード切替部400に出力する。操作部420は、例えばボタンや切換えスイッチ等の入力機器を含む回路である。
VRAM(Video Random Access Memory)500は、表示させる画像に係る画像データを一時的に格納する記憶装置である。尚、画像データは、図示しないフラッシュROM(Read Only Memory)等の記憶装置に予め蓄積されており、VRAM500を介してコントローラ10に出力される。
尚、上述したコントローラ10、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70、共通電位供給回路220及び高圧系電源320は、本発明の「駆動手段」の一例を構成している。また、コントローラ10、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70、共通電位供給回路220には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のないものについては説明を省略する。
図2は、画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
図2において、画素20は、画素スイッチング用トランジスタ24と、画素電極21と、共通電極22と、電気泳動素子23と、保持容量27とを備えている。
画素スイッチング用トランジスタ24は、本発明の「画素スイッチング素子」の一例であり、例えばN型トランジスタで構成されている。画素スイッチング用トランジスタ24は、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースがデータ線50に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21及び保持容量27に電気的に接続されている。画素スイッチング用トランジスタ24は、データ線駆動回路70(図1参照)からデータ線50を介して供給される画像信号を、走査線駆動回路60(図1参照)から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極21及び保持容量27に出力する。
画素電極21には、データ線駆動回路70からデータ線50及び画素スイッチング用トランジスタ24を介して、画像信号が供給される。画素電極21は、電気泳動素子23を介して共通電極22と互いに対向するように配置されている。
共通電極22は、共通電位Vcomが供給される共通電位線93に電気的に接続されている。
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。
保持容量27は、本発明の「保持手段」の一例であり、誘電体膜を介して対向配置された一対の電極からなり、一方の電極が、画素電極21及び画素スイッチング用トランジスタ24に電気的に接続され、他方の電極が共通電位線93に電気的に接続されている。保持容量27によって画像信号を一定期間だけ維持することができる。
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の具体的な構成について、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
図3において、表示部3は、素子基板28と対向基板29との間に電気泳動素子23が挟持される構成となっている。尚、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
素子基板28は、例えばガラスやプラスチック等からなる基板である。素子基板28上には、ここでは図示を省略するが、図2を参照して上述した画素スイッチング用トランジスタ24、保持容量27、走査線40、データ線50、共通電位線93等が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の上層側に複数の画素電極21がマトリクス状に設けられている。
対向基板29は、例えばガラスやプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29における素子基板28との対向面上には、共通電極22が複数の画素電極9aと対向してベタ状に形成されている。共通電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によって素子基板28及び対向基板29間で固定されている。尚、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動素子23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極21等が形成された素子基板28側に接着層31によって接着されて構成されている。
マイクロカプセル80は、画素電極21及び共通電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
図4は、マイクロカプセルの構成を示す模式図である。尚、図4では、マイクロカプセルの断面を模式的に示している。
図4において、マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。尚、白色粒子82及び黒色粒子83は、本発明に係る「電気泳動粒子」の一例である。
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム、ゼラチン等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と共通電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
図3及び図4において、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に共通電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられると共に、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、共通電極22側)には白色粒子82が集まることになり、表示部3の表示面にはこの白色粒子82の色(即ち、白色)が表示されることとなる。逆に、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられると共に、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側には黒色粒子83が集まることになり、表示部3の表示面にはこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)が表示されることとなる。
尚、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等を表示することができる。
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法について、図5から図19を参照して説明する。尚、以下では、電気泳動表示装置が初期状態において通常動作モードで動作されていることを前提に説明を進める。
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法について、図5から図8を参照して説明する。
図5は、第1実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法における一連の処理を示すフローチャートである。
図5において、第1実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、表示部3において表示されている第1画像が第2画像に書き換えられるように制御されると(ステップS10:YES)、先ずモード切替部400(図1参照)が、A/Dコンバータ410から出力される電池310の電圧値に基づいて、電池310の残量が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS11)。尚、このステップS11は、例えば操作部420から切換信号が出力されたか否かという判定ステップに置き換えることも可能である。即ち、ここで行われる判定は、動作モードを通常動作モードから低消費電力モードに切り換えるか否かの判定であり、以降の実施形態においても同様である。
電池310の残量が所定値以下でない場合(ステップS11:NO)、電気泳動表示装置は通常動作モードで駆動される。即ち、先ずコントローラ10が高圧系電源320を制御して電圧値を15Vに設定する(ステップS12)。具体的には、例えば高電位VHが15Vとされ、低電位VLが0Vとされる。続いて、データ線駆動回路70が、各画素20に画素電位として高電位VH又は低電位VLを供給すると共に、共通電位供給回路220が共通電位Vcomを供給することで、電圧値15Vにて(即ち、画素電極21及び共通電極22間の電位差が15Vとなるようにして)第1画像を反転消去する(ステップS13)。
図6及び図7は夫々、第1画像及び第1画像の階調を反転消去した画像を示す平面図である。
図6に示すように、第1画像を反転消去する際には、例えば第1画像において黒を表示している領域(即ち、アルファベット“K”の文字を構成する領域)に白を表示するための電位が供給される。一方、第1画像において白を表示している領域(即ち、アルファベット“K”の周囲の領域)には、共通電極22に供給される共通電位Vcomと同一の電位が供給される。これにより、反転消去後に表示される画像は、全白画像或いは全白画像に極めて近い画像とされる。
図7に示すように、第1画像を反転消去する際には、図6で示した場合と逆に第1画像において白を表示している領域(即ち、アルファベット“K”の周囲の領域)の階調を反転させるようにしてもよい。この場合、第1画像において白を表示している領域(即ち、アルファベット“K”の周囲の領域)に黒を表示するための電位が供給される。一方、第1画像において黒を表示している領域(即ち、アルファベット“K”の文字を構成する領域)には、共通電極22に供給される共通電位Vcomと同一の電位が供給される。これにより、反転消去後に表示される画像は、全黒画像或いは全黒画像に極めて近い画像とされる。
図8は、全黒消去及び全白消去を行う際に表示部に表示される画像を、順を追って示す工程図である。
図5に戻り、第1画像が反転消去されると、コントローラ10は、各画素に画素電位及び共通電位Vcomを供給するようにデータ線駆動回路70及び共通電位供給回路220を制御して、電圧値15Vにて全黒消去を行う(ステップS14−1)。即ち、表示部3には黒のベタ画像が表示されるような電圧が印加される。続いて、同様に電圧値15Vにて全白消去を行う(ステップS14−2)。即ち、表示部3には白のベタ画像が表示されるような電圧が印加される。
図8に示すように、全白消去及び全黒消去を行うことで、例えば反転消去が不完全なために表示されてしまった残像を確実に消去することができる。また、全白消去及び全黒消去を交互に複数回行うことによって、上述した効果を高めることも可能である。
全白/全黒消去が終了すると、VRAM500から第2画像に係る画像データが出力され、第2画像に係る画像データが電圧値15Vにて書き込まれる(ステップS15)。よって、全白消去を行う際には、表示部3において表示される画像は、図7に示すように変化する。一方、全黒消去を行う際には、表示部3において表示される画像は、図8に示すように変化する。
図5に戻り、電池310の残量が所定値以下である場合(ステップS11:YES)、電気泳動表示装置は低消費電力モードで駆動される。低消費電力モードでは、先ずコントローラ10が、高圧系電源320を制御して、電源の電圧値を通常動作モードの半分の値である7.5Vに設定する(ステップS16)。具体的には、例えば高電位VHが7.5Vとされ、低電位VLが0Vとされる。
以降では、上述した通常動作モードにおける処理が夫々電圧値7.5Vによって行われる。即ち、電圧値7.5Vにて反転消去が行われ(ステップS17)、電圧値7.5Vにて全黒消去(ステップS18−1)及び全白消去(ステップS18−2)が行われる。そして、全白/全黒消去が終了すると、VRAM500から第2画像に係る画像データが出力され、第2画像に係る画像データが電圧値7.5Vにて書き込まれる(ステップS19)。
以上説明したように、低消費電力モードでは、電圧値が通常動作モードの半分の値とされているため、消費電力が通常動作モードに比べて低減される。また、低消費電力モードへの切り換えは、高圧系電源320における出力電圧を制御するだけで足りるので、比較的簡単な構成で実現可能である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法について、図9を参照して説明する。尚、第2実施形態は、上述の第1実施形態と比べて、低消費電力モードにおける動作が異なり、装置構成等については概ね同様である。このため第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。
図9は、第2実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法における一連の処理を示すフローチャートである。
図9において、第2実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、表示部3において表示されている第1画像が第2画像に書き換えられるように制御されると(ステップS20:YES)、先ずモード切替部400(図1参照)が、A/Dコンバータ410から出力される電池310の電圧値に基づいて、電池310の残量が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS21)。
電池310の残量が所定値以下でない場合(ステップS21:NO)、電気泳動表示装置は通常動作モードで駆動される。通常動作モードでは、先ずフレーム数(即ち、画像を表示させるために画像データを書き込む回数)が3回に設定される(ステップS22)。よって、反転消去を行う際には、図6に示した反転画像が3回書き込まれる(ステップS23)。また、全黒消去においては全黒画像が3回書き込まれ(ステップS24−1)、全白消去においては全白画像が3回書き込まれる(ステップS24−2)。第2画像を書き込む際にも、第2画像に係る画像データが3回書き込まれる(ステップS25)。
電池310の残量が所定値以下である場合(ステップS21:YES)、電気泳動表示装置は低消費電力モードで駆動される。低消費電力モードでは、先ずフレーム数が1回に設定される(ステップS26)。よって、反転消去を行う際には、図6に示した反転画像が1回書き込まれる(ステップ27)、また、全黒消去においては全黒画像が1回書き込まれ(ステップS28−1)、全白消去においては全白画像が1回書き込まれる(ステップS28−2)。第2画像を書き込む際にも、第2画像に係る画像データが1回書き込まれる(ステップS29)。
以上説明したように、低消費電力モードでは、書き込み回数が通常動作モードと比べて減少させられるため、消費電力を低減させることができる。尚、全白/全黒消去においては、画像データを複数回に分けて書き込まずとも、画素電位の供給期間を長くすることで同様の効果を得ることができる。よって、このような場合には、フレーム数を減らすことに代えて、画素電位の供給期間を短くするようにすれば、同様に消費電力を低減することが可能である。
尚、本実施形態では、反転消去、全白/全黒消去及び第2画像書き込みのフレーム数をモード毎に同じ回数としているが、これらは互いに異なる回数であってもよい。また、反転消去、全白/全黒消去及び第2画像書き込みのいずれかについてのみフレーム数を減らした場合であっても、消費電力は低減できる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法について、図10を参照して説明する。尚、第3実施形態は、上述した各実施形態と比べて、低消費電力モードにおける動作が異なり、装置構成等については概ね同様である。このため第3実施形態では、上述した実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。
図10は、第3実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法における一連の処理を示すフローチャートである。
図10において、第3実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、表示部3において表示されている第1画像が第2画像に書き換えられるように制御されると(ステップS30:YES)、先ずモード切替部400(図1参照)が、A/Dコンバータ410から出力される電池310の電圧値に基づいて、電池310の残量が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS31)。
電池310の残量が所定値以下でない場合(ステップS31:NO)、電気泳動表示装置は通常動作モードで駆動される。通常動作モードでは、上述した実施形態と同様に、反転消去(ステップS32)、全白/全黒消去(ステップS33)及び第2画像の書き込み(ステップS34)が順に行われる。
電池310の残量が所定値以下である場合(ステップS31:YES)、電気泳動表示装置は低消費電力モードで駆動される。低消費電力モードでは、通常動作モードにおける反転消去(ステップS32)が省略され、全白/全黒消去(ステップS35)及び第2画像の書き込み(ステップS36)が順に行われる。
以上説明したように、低消費電力モードでは、反転消去が行われないため、反転消去の際に消費される電力の分だけ、消費電力を低減できる。尚、ここでは反転消去を全く行わないようにする場合について説明したが、例えば反転消去の頻度を減らすだけでも消費電力を低減することができる。また、反転消去に代えて或いは加えて全白/全黒消去を行わないようにすることでも消費電力を低減することが可能である。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法について、図11から図14を参照して説明する。尚、第4実施形態は、上述した各実施形態と比べて、低消費電力モードにおける動作が異なり、装置構成等については概ね同様である。このため第4実施形態では、上述した実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。
図11は、第4実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法における一連の処理を示すフローチャートである。
図11において、第4実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、表示部3において表示されている第1画像が第2画像に書き換えられるように制御されると(ステップS40:YES)、先ずモード切替部400(図1参照)が、A/Dコンバータ410から出力される電池310の電圧値に基づいて、電池310の残量が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS41)。
電池310の残量が所定値以下でない場合(ステップS41:NO)、電気泳動表示装置は通常動作モードで駆動される。通常動作モードでは、先ずコントローラ10から出力されるクロック信号の周波数が“f”となるように設定される(ステップS42)。そして、周波数fのクロック信号によって、走査線駆動回路60及びデータ線駆動回路70等の各構成要素の動作が同期され、反転消去(ステップS43)、全白/全黒消去(ステップS44)、第2画像の書き込み(ステップS45)が行われる。
電池310の残量が所定値以下である場合(ステップS41:YES)、電気泳動表示装置は低消費電力モードで駆動される。低消費電力モードでは、コントローラ10から出力されるクロック信号の周波数が“f/2”(即ち、通常動作モードにおけるクロック信号の周波数fの1/2倍の周波数)となるように設定される(ステップS46)。即ち、通常動作モードと比べてクロック信号の周波数が小さくされる。よって、以降の反転消去(ステップS43)、全白/全黒消去(ステップS44)、第2画像の書き込み(ステップS45)は、夫々通常動作モードより遅いスピードで行われる。具体的には、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号が供給されるスピードが遅くなり、これに合わせて、データ線X1、X2、…、Xnに画像信号(即ち、画素電位)が供給されるスピードも遅くなる。よって、コントローラ10や、VRAM500の動作速度が遅くなり、ピーク電流を低減することが可能となる。
また、走査信号が供給されるスピードが遅くなることで、走査信号の電位を供給する際に、各走査線に対応する電流が互いに重畳されてしまうことを防止できる。以下では、電流の重畳について詳細に説明する。
図12は、走査線駆動回路の具体的な回路構成を示す回路図である。
図12において、走査線駆動回路60は、シフトレジスタ400と、AND回路410と、レベルシフタ420と、バッファ回路430とを備えている。
走査線駆動回路60では、先ずシフトレジスタ400から出力される信号及びイネーブル信号が、AND回路410においてAND演算(即ち、論理積演算)されてタイミング信号として出力される。続いて、後段のレベルシフタ420からは、AND回路410から出力されたタイミング信号に合わせて、電圧がレベルシフトされた信号が出力される。バッファ回路430は、レベルシフタ410から出力された信号を増幅した後、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に出力する。
バッファ回路430には、電位供給線440及び450によって高電位VH及び低電位VLが、レベルシフタ420から信号が入力されるタイミングで供給されている。ここで、仮に信号が入力されるタイミングが短い期間であるとすると、例えば電位供給線440で電流が重畳されてしまうおそれがある。
図13は、第4実施形態に係る通常動作モードにおける、電位供給線の電流値及びイネーブル信号を示す波形図である。
図13において、電位供給線440には、イネーブル信号の立ち上がりにおいてピーク値を持ち、その後緩やかに減衰するような電流が供給される。ここで、AND回路410から出力されるイネーブル信号ENBx(図12参照)のうち、走査線Y1に対応するイネーブル信号ENB1、走査線Y2に対応するイネーブル信号ENB2及び走査線Y2に対応するイネーブル信号ENB3が、図に示すようなタイミングで供給されているとすると、電位供給線440には、電流が減衰してゼロとなる前に次のイネーブル信号に対応する電流が供給されるため、結果的に電流値が重畳される。よって、電流のピーク値が上昇してしまう。
図14は、第4実施形態に係る低消費電力モードにおける、電位供給線の電流値及びイネーブル信号を示す波形図である。
本実施形態に係る低消費電力モードでは、クロック信号の周波数が通常動作モードの1/2とされているため、イネーブル信号の幅は通常動作モードの2倍となる。このため、図に示すように、電流が重畳されてしまうことを防止できる。よって、ピーク電流が上昇してしまうことを防止することができる。
ピーク電流の上昇を防止することで、電池310における電圧降下を抑制することができる。よって、例えば電池310が消耗し、出力される電圧が下がっている場合であっても装置の動作を安定させることが可能である。従って、動作不可能となってしまうような電圧の下限を下げることができ、より長時間の駆動が可能となる。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法について、図15及び図16を参照して説明する。尚、第5実施形態は、上述した各実施形態と比べて、低消費電力モードにおける動作が異なり、装置構成等については概ね同様である。このため第5実施形態では、上述した実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。
図15は、第2実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法における一連の処理を示すフローチャートである。
図15において、第5実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、表示部3において表示されている第1画像が第2画像に書き換えられるように制御されると(ステップS50:YES)、先ずモード切替部400(図1参照)が、A/Dコンバータ410から出力される電池310の電圧値に基づいて、電池310の残量が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS51)。
電池310の残量が所定値以下でない場合(ステップS51:NO)、電気泳動表示装置は通常動作モードで駆動される。通常動作モードでは、先ずイネーブル信号のパルス幅が“t”に設定される(ステップS52)。そして、パルス幅tのイネーブル信号に応じて画素スイッチング用トランジスタ24(図2参照)がオンとされ、反転消去(ステップS53)、全白/全黒消去(ステップS54)、第2画像の書き込み(ステップS55)が行われる。
電池310の残量が所定値以下である場合(ステップS51:YES)、電気泳動表示装置は低消費電力モードで駆動される。低消費電力モードでは、イネーブル信号のパルス幅が“t/2”に設定される(ステップS56)。よって、画素スイッチング用トランジスタ24がオンとされる期間は通常動作モードの半分となり、保持容量27(図2参照)に蓄積される電荷は通常動作モードより小さくなる。従って、消費電力を低減することが可能である。
尚、保持容量27に蓄積される電荷を小さくするという目的だけを考えれば、例えばクロック信号の周波数を大きくすることでも実現可能である。しかしながら、上述した第4実施形態で図13及び図14を参照して説明したように、クロック信号の周波数が大きい場合には、電位供給線440(図12参照)における電流が重畳されてしまうおそれがある。
図16は、第5実施形態に係る低消費電力モードにおける、電位供給線の電流値及びイネーブル信号を示す波形図である。
図16に示すように、第5実施形態では、クロック信号の周波数は電流が重畳されない程度の値で維持され、イネーブル信号の幅のみを小さくしている。よって、ピーク電流が上昇してしまうことを防止しつつ、消費電力を低減することが可能である。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法について、図17から図19を参照して説明する。尚、第6実施形態は、上述した各実施形態と比べて、低消費電力モードにおける動作が異なり、装置構成等については概ね同様である。このため第6実施形態では、上述した実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略する。
図17は、第6実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法における一連の処理を示すフローチャートである。
図17において、第2実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、表示部3において表示されている第1画像が第2画像に書き換えられるように制御されると(ステップS60:YES)、先ずモード切替部400(図1参照)が、A/Dコンバータ410から出力される電池310の電圧値に基づいて、電池310の残量が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS61)。
電池310の残量が所定値以下でない場合(ステップS61:NO)、電気泳動表示装置は通常動作モードで駆動される。通常動作モードでは、先ず共通電位Vcomを所定期間毎に変更するように共通電位供給回路220が制御される(ステップS62)。画像の書き込みは、画像において白を示す領域のみの書き込み(ステップS63)及び黒を示す領域のみの書き込み(ステップS64)の2段階に分けて行われる。即ち、通常動作モードでは、「片極駆動」が行われる。
図18は、第6実施形態に係る通常動作モードにおいて供給される共通電位及び画素電位の波形を示すタイミングチャートである。
図17及び図18において、白書き込みを行う際には(ステップS63)、共通電極22に対して、共通電位Vcomとして高電位VHが供給される。一方、白を表示すべき画素における画素電極21に対しては、共通電位Vcomと異なる低電位VLが供給され、黒を表示すべき画素20における画素電極21に対しては、共通電位Vcomと同じ高電位VHが供給される。よって、白を表示すべき画素における画素電極21と共通電位22との間にのみ電位差が生じ、黒を表示すべき画素20における画素電極21と共通電位22との間には電位差が生じない。よって、白を表示すべき画素の階調だけが変化する。
黒書き込みを行う際には(ステップS64)、共通電極22に対して、共通電位Vcomとして低電位VLが供給される。一方、白を表示すべき画素における画素電極21に対しては、共通電位Vcomと同じ低電位VLが供給され、黒を表示すべき画素20における画素電極21に対しては、共通電位Vcomと異なる高電位VHが供給される。よって、黒を表示すべき画素における画素電極21と共通電位22との間にのみ電位差が生じ、白を表示すべき画素20における画素電極21と共通電位22との間には電位差が生じない。よって、黒を表示すべき画素の階調だけが変化する。
図17に戻り、電池310の残量が所定値以下である場合(ステップS61:YES)、電気泳動表示装置は低消費電力モードで駆動される。低消費電力モードでは、共通電位Vcomを一定の値に保持するように共通電位供給回路220が制御される(ステップS65)。このため、画像の書き込みは、画像において白を示す領域及び黒を示す領域において同時に行われる(ステップS66)。
図19は、第6実施形態に係る低消費電力モードにおいて供給される共通電位及び画素電位の波形を示すタイミングチャートである。
図19において、低消費電力モードでは、共通電極22に供給される共通電位Vcomは、高電位VH(例えば15V)及び低電位VL(例えば0V)の中間となるような電位(例えば7.5V)とされる。また、白を表示すべき画素における画素電極21に対しては低電位VLが供給され、黒を表示すべき画素20における画素電極21に対しては高電位VHが供給される。よって、白を表示すべき画素20における画素電極21と共通電位22との間、及び黒を表示すべき画素20における画素電極21と共通電位22との間の両方で電位差が生じる。よって、白及び黒を同時に書き込むことができる。即ち、高電位VH及び低電位VLを通常駆動モードにおける値に維持しつつ、共通電位Vcomを高電位VH及び低電位VLの中間となるような電位とすることにより「両極駆動」を行うことで、白及び黒を同時に書き込むことができる。
以上説明したように、低消費電力モードでは、白及び黒を同時に書き込むことができるため、書き込み回数を通常動作モードと比べて減少させることができる。また、上述したように、共通電位Vcomが2つの画素電位の中間値とされることで、画素20に印加される電圧も低下する。よって、消費電力を低減させることができる。尚、第6実施形態では、上述した第1実施形態から第5実施形態で示した反転消去及び全白/全黒消去についての説明を省略したが、これらについても、共通電位Vcomを一定にすることで、画像書き込み同様に書き込み回数を減らすことができる。また、反転消去、全白/全黒消去、画像書き込みのいずれかにおいてのみ共通電位Vcomを一定にするように制御した場合であっても、消費電力を低減させることが可能である。
次に、上述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図20及び図21を参照して説明する。以下では、上述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
図20は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
図20に示すように、電子ペーパー1400は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
図21は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
図21に示すように、電子ノート1500は、図20で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
上述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、消費電力が小さく、高品質な画像表示を行うことが可能である。
尚、これらの他に、腕時計、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部に、上述した本実施形態に係る電気泳動表示装置を適用することができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気泳動表示装置及び該電気泳動表示装置の駆動方法、並びに該電気泳動表示装置を備える電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…コントローラ、21…画素電極、22…共通電極、23…電気泳動素子、24…画素スイッチング用トランジスタ、27…保持容量、28…素子基板、29…対向基板、40…走査線、50…データ線、60…走査線駆動回路、70…データ線駆動回路、80…マイクロカプセル、81…分散媒、82…白色粒子、83…黒色粒子、93…共通電位線、220…共通電位供給回路、310…電池、320…高圧系電源、400…モード切替部、410…A/Dコンバータ、420…操作部、440,450…電位供給線、500…VRAM