JP2009237038A - 被着性に優れた液晶フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】他のフィルム等への被着性に優れ、かつ耐熱性に優れた液晶フィルムを提供する。
【解決手段】オキセタニル基を有する液晶性化合物からなる液晶材料を配向後に重合せしめた膜と、水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物を含有する接着剤組成物とから少なくともなることを特徴とする液晶フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤や接着剤との被着性を向上させた液晶フィルムに関する。
近年、液晶材料を光学用途に適用するための研究開発が活発に行われており、液晶高分子を配向してフィルム化した液晶フィルムは、液晶表示装置の色補償用途や視野角拡大用途などに実用化されている。液晶高分子をフィルムする方法としては種々の方法が知られている。例えば、液晶材料を配向能を有する基板上に薄膜を形成せしめ、ガラス転移点(Tg)以上の温度に加熱して液晶を配向させた後、急冷することで液晶配向を固定化し、配向フィルムを作製する方法(特許文献1、2)、液晶組成物中に架橋しうる基を導入し、配向能を有する基板上に液晶組成物の薄膜を形成し、Tg以上の温度に加熱して液晶を配向させた後、光照射などの手段で架橋することで液晶配向を固定化し、配向フィルムを作製する方法(特許文献3〜6)などが知られている。
このようにして液晶配向状態を維持した配向フィルムが製造できるが、この配向フィルムは、基板上に形成されたままの形態(基板/(配向膜)/配向フィルム)、基板とは異なる透明基板フィルム等に粘着剤または接着剤を介して配向フィルムを転写した形態(透明基板フィルム/粘着剤または接着剤/配向フィルム)などがある(特許文献7、8)。
これらの配向フィルムは、他の位相差フィルムや偏光板などに粘着剤または接着剤を介して複合化した形態にすることで液晶表示装置などに用いられる。液晶表示装置の普及に伴い、これら複合されたフィルムに対して、より厳しい使用環境、具体的には、高温下での耐熱能、高湿下での耐湿能などが求められている。そのため、配向フィルムと粘・接着剤との密着力が高いことが強く求められており、各種の改良が検討されている(特許文献9、10)。
また、配向フィルムを透明基板に転写する際に使用する粘着剤や接着剤(以下、粘・接着剤という)も同様である。これら粘・接着剤と配向フィルムとの密着力が不十分な場合は、配向フィルムの十分な転写ができなくなるなど不都合が生じる。従来は、積層あるいは転写に使用される粘・接着剤は光学グレードのものであれば特に制限はなかったが、広範な性能を有するものが製造でき、取り扱いの容易性などから(メタ)アクリル系の粘・接着剤がよく用いられるようになってきた。前述のように液晶表示装置の耐環境性への要求から液晶化合物を用いた配向フィルムと(メタ)アクリル系粘・接着剤との密着力のさらなる向上も強く求められていた。
そこで、このような密着力のさらなる向上を目指して、液晶高分子自体を(メタ)アクリル系の側鎖型高分子を選び、(メタ)アクリル系粘・接着剤を介して複合化した形態の液晶フィルムが製造できるようになった(特許文献11)。しかしながら、このようにして製造できる液晶フィルムでは、所定の光学性能に優れるものの、十分な接着力が得られないといった避けがたい問題を有していた。
一方、このような液晶フィルムと透明基板との間の接着力が低下するといった問題に対し、多くの改良方法が提案されている。例えば、基板を火炎処理(特許文献12)、コロナ処理(特許文献13)といった表面改質による方法が提案されている。しかしながら、これらの手法はいずれも煩雑な製造工程となるばかりか、均質かつ安定した接着力を得ることが困難な状況にあった。
最近では、側鎖型液晶性高分子を重合して得る際に少量の接着促進剤を含有させることで、接着力を向上させる手法が提案されてきた。例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)のような極性基を有する低級アルキルアクリレートを含有して重合させることで、分子構造中に水酸基を有する側鎖型液晶性高分子を得、この水酸基が基板との接着力の向上に寄与するといった手法が提案されている(特許文献14)。
しかしながら、この手法に代表されるように、側鎖型液晶性高分子の分子構造内に極性基を導入することは基板への初期接着にある程度は有効に働くものの、長期的な接着力の維持にはほぼ遠い状態であった。また、HEAのように単独重合性の強いモノマーを共存させると、目的とする側鎖型液晶性高分子とは別の重合体が存在することになり、これが液晶フィルムの品質劣化へと繋がるため好ましいものではなかった。
一方、エポキシ基等の水酸基との間で反応性を有する官能基(水酸基反応性官能基)を導入して基板との密着性を向上させる手法が提案されている(特許文献15)が、この手法も特許文献11で触れた問題と同様に、十分な接着力の発現に欠けるといった問題を有していた。
特開平3−9326号公報 特開平6-20434号公報 特開平9−73081号公報 特開2002−146353号公報 特開2002−308832号公報 特開2003−139953号公報 特開平4−57017号公報 特開平8−278491号公報 特開2000−321426号公報 特開2001−49205号公報 特開2004-123597号公報 US2,795,820号 DE1,128,644号 特表2007−506813号公報 特開2007−332237号公報
本発明は、上記課題を解決した他のフィルム等への被着性に優れ、かつ耐熱性に優れた液晶フィルムを提供するものである。
本発明者らは、被着性および耐熱性に優れた液晶フィルムを提供するための研究を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
〔1〕 オキセタニル基を有する液晶性化合物からなる液晶材料を配向後に重合せしめた膜と、水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物を含有する接着剤組成物から少なくともなることを特徴とする液晶フィルム。
〔2〕 前記液晶性化合物を液晶材料中に少なくとも10質量%以上含有することを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶フィルム。
〔3〕 前記液晶性化合物が液晶性高分子であることを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶フィルム。
〔4〕 前記液晶性化合物が式(1)で表されるユニットを含むことを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶フィルム。
Figure 2009237038
(式(1)中、Rは水素またはメチル基を表し、Rは水素、メチル基またはエチル基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−、または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(2)、式(3)または式(4)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
−P−L−P−L−P− (2)
−P−L−P− (3)
−P− (4)
式(2)、式(3)および式(4)中、PおよびPはそれぞれ個別に式(5)から選ばれる基を表し、Pは式(6)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。)
Figure 2009237038
Figure 2009237038
〔5〕 前記液晶性化合物が、前記式(1)で表されるユニットを5〜100モル%含むことを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶フィルム。
〔6〕 前記液晶性高分子の重量平均分子量が2,000〜100,000であることを特徴とする上記〔3〕に記載の液晶フィルム。
〔7〕 前記液晶材料中に光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤を含むことを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶フィルム。
〔8〕 前記水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物が、接着剤組成物に1〜50質量%含まれることを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶フィルム。
〔9〕 前記水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物が、分子内に重合可能な不飽和結合およびイソシアネート基を有する化合物であることを特徴とする上記〔1〕に記載の液晶フィルム。
オキセタニル基を有する液晶性化合物からなる液晶材料を重合せしめて得られる硬化膜と特定の接着剤組成物からなる液晶フィルムは、耐熱性に優れ、かつフィルム層間の接着強度に優れており、各種の液晶表示装置用の光学フィルムとして有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、オキセタニル基を有する液晶性化合物からなる液晶材料を配向後に重合せしめた膜と、水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物を含有する接着剤組成物から少なくともなることを特徴とする液晶フィルム、である。
本発明におけるオキセタニル基を有する液晶性化合物としては、含有するオキセタニル基が1個以上、通常1〜4個、好ましくは1〜2個含むものであり、低分子化合物でも高分子化合物でも液晶性を示せば特に制限は無いが、好ましくは液晶性高分子化合物である。オキセタニル基は液晶性高分子の分子構造において内部でも末端でもいかなる部位に配置されても良い。
特に好ましいオキセタニル基を有する液晶性化合物としては、オキセタニル基と(メタ)アクリル基を有する化合物の(メタ)アクリル基の単独重合もしくは、他の(メタ)アクリル化合物と共重合することによって得られる、下記式(1)で表されるユニットを含む側鎖型液晶性高分子が例示できる。
Figure 2009237038
式(1)中、Rは水素またはメチル基を表し、Rは水素、メチル基またはエチル基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−、または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(2)、式(3)または式(4)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
−P−L−P−L−P− (2)
−P−L−P− (3)
−P− (4)
式(2)、式(3)および式(4)中、PおよびPはそれぞれ個別に式(5)から選ばれる基を表し、Pは式(6)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。
Figure 2009237038
Figure 2009237038
上記式(1)で表されるユニットを含む側鎖型液晶性高分子は、芳香族エステルなどからなるメソゲン部分とそれに結合した炭化水素鎖からなるスペーサー部分と、片末端の反応性のオキセタニル基、他方の片末端を(メタ)アクリル基を構成単位として含み、この化合物の(メタ)アクリル基を単独もしくは他の(メタ)アクリル化合物と共重合して得られる高分子が液晶性を示すことを特徴とする。
次に、各構成単位について説明する。
本発明におけるオキセタニル基を有する側鎖型液晶性高分子のメソゲン部分は、式(1)における「−L−M−L−」で表され、さらにMは、「−P−L−P−L−P−」、「−P−L−P−」または「−P−」で表される。当該メソゲン部分は、1個ないし3個の芳香環またはシクロヘキサン環が、直接結合(単結合)、エーテル結合(−O−)あるいはエステル結合(−CO−O−)を介して、スペーサ部分、オキセタニル基あるいは(メタ)アクリル基と結合した構造を有している。式(1)において、L、L、LおよびLは、それぞれ独立に、単結合(ここでは、Lで表される基を介さずに直接両側の基が結合する場合を意味する。)、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−のいずれかを表し、PおよびPは、それぞれ独立に前記した式(5)から選ばれるいずれかの基を表し、またPは前記した式(6)から選ばれるいずれかの基を表す。
本発明のオキセタニル基を有する側鎖型液晶性高分子のメソゲン部分としては、前記した各種の組み合わせから任意に選択することができるが、下記式で表される構造の基が特に好ましい例として挙げることができる。
Figure 2009237038
式(1)中の「−(CH−」および「−(CH−」で表されるスペーサー部分は、単結合(ここでは、nまたはmが0の場合を意味する。)または炭素数が1〜10(すなわち、nまたはmが1〜10)の2価の直鎖状炭化水素基である。目的とする化合物が液晶性を示す場合、メソゲン部分とオキセタニル基部分および(メタ)アクリル基部分がスペーサー部分を介さず直接結合(単結合)していてもよく、エーテル結合(−O−)あるいはエステル結合(−CO−O−)を介して結合していてもよい。一般に、メソゲン部分と(メタ)アクリル基部分の間のスペーサー部分が短すぎると液晶性を発現する温度領域が狭くなることがある。またスペーサー部分が長い場合には、液晶フィルムとした場合の耐熱性に悪影響を及ぼすことがある。これらのことからメソゲン部分と(メタ)アクリル基部分の間のスペーサー部分の炭素数は通常1〜8、好ましくは2〜6であることが望ましい。また、メソゲン部分とオキセタニル基部分の間のスペーサ部分は、長すぎると液晶フィルムとした場合の耐熱性に悪影響を及ぼすことがある。そこでメソゲン部分とオキセタニル基部分の間のスペーサー部分の炭素数は通常0〜6、好ましくは0〜4であることが望ましい。ここで炭素数0とは、メソゲン部分とオキセタニル基部分が直接単結合でつながっている場合を指す。
本発明において用いられるオキセタニル基を有する側鎖型液晶性高分子は、カチオン重合性基であるオキセタニル基と、ラジカル重合性またはアニオン重合性の(メタ)アクリル基の両方を有する2官能性の化合物(モノマー)を用い、ラジカル重合またはアニオン重合で(メタ)アクリル基のみを(共)重合させることにより、カチオン重合性基であるオキセタニル基を持つ側鎖型液晶性高分子を得ることができる。
すなわち、重合性反応基としてカチオン性以外の条件では反応性が低いオキセタニル基をカチオン重合性基として用いることにより、ラジカル重合もしくはアニオン重合でまず(メタ)アクリル基を重合することによって、本発明の側鎖型液晶性高分子化合物が得られる。式(1)で表されるユニットを含む側鎖型液晶性高分子では、当該ユニット内の(メタ)アクリル基部分をラジカル重合またはアニオン重合の手法で、単独もしくは他の(メタ)アクリル化合物と共重合することにより容易に合成することができる。重合条件は特に限定されるものではなく、通常の条件を採用することができる。
例えば、ラジカル重合の例としては、(メタ)アクリル化合物をジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒に溶かし、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や過酸化ベンゾイル(BPO)などを開始剤として、80〜90℃で数時間反応させる方法が挙げられる。また、液晶相を安定に出現させるために、臭化銅(I)/2,2’−ビピリジル系やTEMPO系などを開始剤としたリビングラジカル重合を行い、分子量分布を制御する方法も有効である。これらのラジカル重合は厳密に脱酸素条件で行う必要がある。
アニオン重合の例としては、(メタ)アクリル化合物をテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒に溶かし、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、グリニャール試薬などの強塩基を開始剤として、反応させる方法が挙げられる。また、開始剤や反応温度を最適化することでリビングアニオン重合とし、分子量分布を制御することもできる。これらのアニオン重合は、厳密に脱水かつ脱酸素条件で行う必要がある。
また、このとき共重合する(メタ)アクリル化合物は特に限定されるものではなく、合成される高分子が液晶性を示せば何でもよいが、合成される高分子の液晶性を高めるため、メソゲン基を有する(メタ)アクリル化合物が好ましい。下記式で示されるような(メタ)アクリル化合物が特に好ましい。
Figure 2009237038
このようにして得られる側鎖型液晶性高分子の重量平均分子量は2,000〜100,000であるものが好ましく、5,000〜50,000のものが特に好ましい。
なお、本発明の側鎖型液晶性高分子は、主鎖型液晶性高分子と比べてTgが低いため配向し易く、容易に低い温度で配向することができる。側鎖型液晶性高分子を配向処理した後、次にカチオンの存在でオキセタニル基を重合(硬化/架橋)させることで、Tgが上昇し、耐熱性や機械的強度が向上した液晶フィルムを製造することができる。続けて、その製造方法について説明する。
まず、本発明において用いられる液晶材料では、前記の側鎖型液晶性高分子を少なくとも10質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上含むものを用いる。側鎖型液晶性高分子の含有量が10質量%未満では材料中に占めるオキセタニル基濃度が低くなり、重合後の機械的強度が不十分となるため好ましくない。
また、前記側鎖型液晶性高分子の他に、液晶性を損なわずに混和し得る種々の化合物を含有することができる。含有することができる化合物としては、フィルム形成能を有する各種の高分子、ネマチック液晶性、コレステリック液晶性あるいはディスコティック液晶性を示す各種の低分子液晶性化合物や液晶性高分子化合物などが挙げられる。また、本発明の液晶材料にコレステリック液晶性を発現させる目的で、液晶性の有無を問わず各種の光学活性化合物を配合することもできる。
次に、本発明の液晶フィルムの製造方法について説明する。
液晶フィルムの製造方法としてはこれらに限定されるものではないが、液晶材料を配向基板上に展開し、当該液晶材料層を適宜な温度下で配向させた後、光照射および/または加熱処理することにより当該配向状態を固定化し、液晶材料層上に水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物を含有する接着剤組成物の硬化層を形成することにより製造することができる。
配向基板としては、平滑な平面を有するものが好ましく、有機高分子材料からなるフィルムやシート、ガラス板、金属板などを挙げることができる。コストや連続生産性の観点からは有機高分子からなる材料を用いることが好ましい。有機高分子材料の例としては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー類、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。これらはブレンド物であってもよい。また前記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物、具体的には、下記式(7)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
Figure 2009237038
前記式(7)中、R〜Rは、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R〜Rは、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC10アルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。
前記式(7)中、Zは、例えば、C20の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下記式(8)で表される基である。
Figure 2009237038
前記式(8)中、Z’は、例えば、共有結合、C(R基、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(C基、または、NR基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。また、wは、1から10までの整数を表す。Rは、それぞれ独立に、水素またはC(Rである。Rは、水素、炭素原子数1〜約20のアルキル基、またはC20アリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。Rは、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素である。
これらのフィルムは製造方法によっては、液晶材料に対して充分な配向能を示し、そのまま配向基板として用いることができるものもあるが、多くはラビング、延伸、偏光光照射、斜め光照射などの操作を行うことで配向能を発現もしくは強化させて用いられる。延伸したフィルムを用いる場合は、位相差フィルムとして使用されているものを用いることもできる。
また、これらの基板フィルム上に、ポリイミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルシンナメート、ポリビニルアルコールなどの公知の配向膜を設けて、ラビング、延伸、偏光光照射、斜め光照射などの操作を行うことで配向能を発現することもできる。さらに、酸化ケイ素の斜方蒸着処理による方法や配向基板上へのシランカップリング剤等による処理も例示できる。これらの操作や処理は適宜組み合わせて行うこともできる。
液晶の分野においては、基板に対して布等で一定方向に擦るラビング処理を行うことが一般的であり、液晶材料を塗布したときのはじき抑制の観点からは弱いラビング処理を施すことがより好ましい。しかし、面内に配向規制力を必要としない液晶配向を実現させる場合は必ずしもラビングを必要としない。
配向膜を形成する材料は溶液状態にしての塗布が、配向膜厚や表面性の制御から好ましい。当該溶液は、当該材料を溶解できる溶媒を用いて適宜行うことができる。例えばアルキル基変性ポリビニルアルコール(PVA)の溶液を調製する溶媒は、当該PVAを溶解できる溶媒であれば特に制限はなく、通常は水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールやこれらの混合物が使用される。
なお、溶解に当たっては塗布や液晶の配向に悪影響を及ぼさない各種の添加剤を添加してもよい。また、溶解を促進するために加温してもよい。
基材上に配向膜を形成するために使用される塗布方式は特に制限はなく、特に大面積の配向膜の塗布方法は、フレキソ印刷方式、ディスペンサー方式、グラビアコート方式、マイクログラビア方式、スクリーン印刷方式、リップコート方式、ダイコート方式など挙げることができる。これらの中でグラビアコート方式、リップコート方式やダイコート方式が好ましい。
塗布された配向膜は、必要により乾燥を行う。乾燥温度は、通常、PVAの場合はその耐熱性から限定されるが、目的によってはそれ以上であってもよい。一般には、50℃〜180℃、好ましくは80℃〜160℃である。また乾燥時間も特に制限はないが、通常は、10秒〜60分、好ましくは1分〜30分がよい。被乾燥膜と乾燥風との相対的な移動速度は相対風速で60m/min〜1200m/minが好ましい。
液晶材料を配向基板上に展開して液晶材料層を形成する方法としては、液晶材料を溶融状態で直接配向基板上に塗布する方法や、液晶材料の溶液を配向基板上に塗布後、塗膜を乾燥して溶媒を留去させる方法が挙げられる。溶液の調製に用いる溶媒に関しては、本発明の液晶材料を構成する成分や適宜添加してもよい各種化合物を溶解でき適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限はなく、一般的にアセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ブトキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノールなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系などやこれらの混合系が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単一でもよいし、また複数種類を混合して用いてもかまわない。また、前述の各種化合物としては配向基板上に均一な塗膜を形成するために用いられる界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、二色性色素などが挙げられる。これらの各種化合物の添加量は本発明の液晶性組成物の構成成分の構造やそれらの組成比により変化するため一概には決定できないが、通常は、0.01質量%から10質量%程度である。
液晶材料を直接塗布する方法でも、溶液を塗布する方法でも、塗布方法については、塗膜の均一性が確保される方法であれば、特に限定されることはなく公知の方法を採用することができる。例えば、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ロールコート法などが挙げられる。
液晶材料層は1枚の配向基板表面上に塗布された形態、すなわち液晶材料層はその表面が空気に曝された状態であってもよく、また溶媒を除去した後にもう1枚の別の基板で表面を覆い液晶材料層を2枚の基板でサンドウィッチ状とした形態でもよい。このときもう1枚の別の基板は当初の配向基板と必ずしも同一である必要はない。
液晶材料の溶液を塗布する方法では、塗布後に溶媒を除去するための乾燥工程を入れることが好ましい。この乾燥工程は、塗膜の均一性が維持される方法であれば、特に限定されることなく公知の方法を採用することができる。例えば、ヒーター(炉)、温風吹きつけなどの方法が挙げられる。
続いて、配向基板上に形成された液晶材料層を、熱処理などの方法で液晶配向を形成し、光照射および/または加熱処理で硬化を行い固定化する。最初の熱処理では、液晶材料層を液晶相発現温度範囲に加熱することで、該液晶材料が本来有する自己配向能により液晶層を配向させる。熱処理の条件としては、用いる液晶材料の液晶相挙動温度(転移温度)により最適条件や限界値が異なるため一概には言えないが、通常10〜250℃、好ましくは30℃〜160℃の範囲であり、該液晶材料のガラス転移点(Tg)以上の温度、さらに好ましくはTgより10℃以上高い温度で熱処理するのが好ましい。あまり低温では、液晶配向が充分に進行しないおそれがあり、また高温では液晶材料中のカチオン重合性反応基や配向基板に悪影響を与えるおそれがある。また、熱処理時間については、通常3秒〜30分、好ましくは10秒〜10分の範囲である。3秒より短い熱処理時間では、液晶配向が充分に完成しないおそれがあり、また30分を超える熱処理時間では、生産性が悪くなるため、どちらの場合も好ましくない。
上述した液晶材料層は熱処理などの方法で種々の液晶相や配向形態を形成させることができる。発現できる液晶相として、ネマチック相、ねじれネマチック相、スメクチック相、コレステリック相等が挙げられる。配向形態としては、ホモジニアス配向、チルト配向、ハイブリッド配向、ホメオトロピック配向等が挙げられる。ねじれネマチック相およびコレステリック相を発現させる場合は液晶材料中に光学活性な化合物を必要とする。光学活性な化合物は、別途添加する形態でも、主鎖型または側鎖型液晶性高分子化合物中に共重合成分として組み込まれた形態でもよく、光学活性な化合物としては特に制限はないが、例えば、光学活性な脂肪族アルコール(C2n+1OH、たただしnは4から14の整数を表す。)、光学活性な脂肪族基を結合したアルコキシ安息香酸(C2n+1O−Ph−COOH、ただしnは4から14の整数、Phはフェニル基を表す。)、メントール、カンファー酸、ナプロキセン誘導体、ビナフトール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルブタンジオール、2−クロロブタンジオール、酒石酸、メチルコハク酸、3−メチルアジピン酸、イソソルビド、イソマンニドなどを挙げることができる。これらのなかでも少ない量で効果の大きいビナフトール、イソソルビド、イソマンニド等が好ましい。
次いで配向させた液晶材料層について、該材料中に含有されるオキセタニル基のカチオン重合による硬化(架橋)反応させることで配向状態がより固定化され、耐熱性の向上した強固な膜に変性する。
このオキセタニル基の硬化(架橋)反応ではカチオン重合開始剤(カチオン発生剤)を用いるのが好ましい。重合開始剤としては、熱カチオン発生剤より光カチオン発生剤の使用が好ましい。光カチオン発生剤を用いた場合、光カチオン発生剤の添加後、液晶材料の配向のための熱処理までの工程を暗条件(光カチオン発生剤が解離しない程度の光遮断条件)で行えば、液晶材料は配向段階までは硬化することなく、充分な流動性をもって配向することができる。この後、適当な波長の光を発する光源からの光を照射することによりカチオンを発生させ、液晶材料層を硬化させる。
光カチオン発生剤とは、適当な波長の光を照射することによりカチオンを発生できる化合物を意味し、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などを例示することが出来る。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェート、ボレートなどが好ましく用いられる。具体的な化合物としては、ArSbF 、ArBF 、ArPF (ただし、Arはフェニル基または置換フェニル基を示す。)などが挙げられる。また、スルホン酸エステル類、トリアジン類、ジアゾメタン類、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、ベンゾインスルホナートなども用いることができる。
熱カチオン発生剤とは、適当な温度に加熱されることによりカチオンを発生できる化合物であり、例えば、ベンジルスルホニウム塩類、ベンジルアンモニウム塩類、ベンジルピリジニウム塩類、ベンジルホスホニウム塩類、ヒドラジニウム塩類、カルボン酸エステル類、スルホン酸エステル類、アミンイミド類、五塩化アンチモン−塩化アセチル錯体、ジアリールヨードニウム塩−ジベンジルオキシ銅、ハロゲン化ホウ素−三級アミン付加物などを挙げることができる。
これらのカチオン発生剤の液晶材料中への添加量は、用いる側鎖型液晶性高分子を構成するメソゲン部分やスペーサ部分の構造や、オキセタニル基当量、液晶の配向条件などにより異なるため一概には言えないが、側鎖型液晶性高分子に対し、通常100質量ppm〜20質量%、好ましくは1000質量ppm〜10質量%、より好ましくは0.2質量%〜7質量%の範囲である。100質量ppmよりも少ない場合には、発生するカチオンの量が十分でなく重合が進行しないおそれがあり、また20質量%よりも多い場合には、液晶フィルム中に残存するカチオン発生剤の分解残存物等が多くなり耐光性などが悪化するおそれがあるため好ましくない。
光照射の方法としては、用いる光カチオン発生剤の吸収波長領域にスペクトルを有するようなメタルハライドランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、アークランプ、レーザーなどの光源からの光を照射し、光カチオン発生剤を開裂させる。1平方センチメートルあたりの照射量としては、積算照射量として通常1〜2000mJ、好ましくは10〜1000mJの範囲である。ただし、光カチオン発生剤の吸収領域と光源のスペクトルが著しく異なる場合や、液晶性組成物自身に光源波長の吸収能がある場合などはこの限りではない。これらの場合には、適当な光増感剤や、吸収波長の異なる2種以上の光カチオン発生剤を混合して用いるなどの方法を採ることもできる。
光照射時の温度は、該液晶材料層が液晶配向をとる温度範囲である必要がある。また、硬化の効果を充分にあげるためには、該液晶材料のTg以上の温度で光照射を行うのが好ましい。
以上のような製造方法によって本発明のオキセタニル基が硬化反応を受けた際に、その開始基となったオキセタニル基自体が下式に示されるように水酸基に変換される。反応機構は、例えば、東亞合成研究年報(1999年)第2号等の文献等から知られている。
Figure 2009237038
また、オキセタニル基の硬化反応によってメソゲンが3次元的に結合され、硬化前と比べて耐熱性(液晶配向保持の上限温度)が向上するのみでなく、耐スクラッチ性、耐磨耗性、耐クラック性などの機械的強度に関しても大幅に向上する。また、同時に液晶性高分子の分子内には水酸基が形成され、この水酸基が次の工程以降の転写(接着)工程で最大限に活用することができる。また、このような形成方法は、特表2007-506813号公報のように低級ヒドロキシアルキルアクリレートを含有した組成物を共重合させて導入する手法とは異なり、液晶フィルムの成分である液晶性高分子に均質に水酸基が形成される利点があり、液晶性能や接着の安定にとって有利となる。
また、液晶材料の硬化により形成される水酸基の量は、液晶材料中に含有されるオキセタニル基を有する液晶性化合物の量に依存する。したがって、例えば側鎖型液晶性高分子を用いた場合は、前記式(1)で表されるユニットが5〜100モル%であることが好ましく、10〜100モル%含ませることが特に好ましい。
硬化した液晶材料層単体の膜厚は、本発明の液晶フィルムの用途や目的に依存することから一概には言えないが、通常0.2μm〜20μm、好ましくは0.3μm〜10μm、さらに好ましくは0.5μm〜5μmである。膜厚が0.2μmより薄い場合、例えば液晶表示装置に適用した場合、十分な視野角改良や輝度向上の効果を得ることができない恐れがある。また20μmを越えると、配向が悪化したり液晶表示装置に不必要な着色が見られる恐れがある。
上記の硬化した液晶材料層上に、水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物を含有する接着剤組成物の層を形成し、必要により接着剤組成物層表面に、配向基板とは異なる光学的に透明な基板(以下、第2の基板という)や表面を保護するための仮基板を積層して接着剤組成物層に硬化処理を施し、必要により配向基板を剥離することにより本発明の液晶フィルムが得られる。
水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物を含有する接着剤組成物とは、液晶材料中のオキセタニル基のカチオン重合により生成する水酸基に、水酸基と適宜な条件で反応しうる反応性基を有する化合物を少なくとも1種以上含有する組成物である。
水酸基と反応しうる反応性基とは、縮合あるいは付加反応等により、硬化した液晶材料層中に存在する水酸基との間で化学結合を生成することのできる官能基のことである。具体的には、エポキシ基、イソシアネート基、酸アミド基、酸ハライド基等を例示することができる。また、ブロックイソシアネート基、ブロックアミノ基のように、上記官能基が何らかのブロック剤でマスクされており、熱、紫外線等の要因によって反応性を発現するような官能基も含まれる。
これらの官能基を有する化合物は分子内に重合可能な不飽和結合およびイソシアネート基を有する化合物が好ましく、ビニルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−またはp−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
また、水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物は、接着剤組成物中に1〜50質量%含むように調整される。1質量%より少ないと接着力の向上効果が見られず、50質量%より多いと不経済であったり、水酸基と反応しうる反応性基が残存するので好ましくない。水酸基と反応しうる反応性基を含む化合物の添加時期は、液晶材料層上に接着剤組成物層を形成する前ならばどの段階でもよい。
接着剤組成物層の硬化は、通常は加熱および/または光照射により行われる。加熱および/または光照射の条件は、液晶材料層の構成や接着剤組成物の構成等により適宜決めることができるが、加熱硬化の場合は、60〜150℃、好ましくは80〜140℃で、30秒〜60分程度である。また、光照射による硬化の場合は、前記のオキセタニル基の硬化条件と同一でよい。
前記の第2の基板や仮基板としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1樹脂等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリケトンサルファイド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセタール、一軸延伸ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂等のフィルムが使用できる。
とりわけ、光学的欠陥の検査性に優れる透明性で光学的に等方性のフィルムとしては、4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、あるいはエポキシ樹脂などの各フィルムが例示できる。
これらのプラスチックフィルムには、適度な再剥離性を持たせるために、予めその表面にシリコーンをコートしておくことができ、あるいは有機薄膜又は無機薄膜を形成しておくことができる。また、同様な目的で、プラスチックフィルムの表面にけん化処理などの化学処理を施すか、あるいはコロナ処理のような物理的処理を施しておくこともできる。
さらに、第2の基板として、偏光素子、偏光板や前記のプラスチックフィルムを延伸して得られる位相差フィルムを用いることもできる。
これらのフィルムは第2の基板や仮基板上の液晶材料層と粘着剤や接着剤を介して積層したのち、必要により第2の基板や仮基板を剥離することにより、楕円偏光板や光学補償板とすることもできる。
また、第2の基板の剥離性を調整するために、上記のプラスチックフィルムに滑剤や表面改質剤を含有させることもできる。前記滑剤としては、光学的欠陥の検査性や剥離性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、種類、添加量に特に制限は無い。滑剤の具体例としては、微細シリカ、微細アルミナ等が挙げられ、添加量の指標としては、基板のヘイズ値が通常50%以下、好ましくは30%以下となるようにすればよい。添加量が少なすぎると添加効果が認められず、一方、多すぎる場合には、光学的欠陥の検査性が悪化し好ましくない。また、必要に応じてその他の公知の各種添加剤、例えば、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤などを含有させてもよい。
前記の偏光素子としては、特に制限されず、各種のものを使用でき、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
また、偏光板としては、通常、偏光素子の片側または両側に保護フィルムを有するものが使用される。
保護フィルムには、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。前記保護フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、シクロオレフィンポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物などが保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。その他、アクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型樹脂などをフィルム化したものなどが挙げられる。保護フィルムの厚さは、一般には500μm以下であり、1〜300μmが好ましい。特に5〜200μmとするのが好ましい。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーやシクロオレフィンポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光素子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光素子と保護フィルムとは通常、粘着剤等を介して密着している。
接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
前記保護フィルムには、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
前記位相差フィルムとしては、適宜なポリマーからなるフィルムを一軸あるいは二軸延伸処理する手法や特開平5−157911号公報に示されるような熱収縮フィルムにより長尺フィルムの幅方向を熱収縮させて厚み方向に位相差を大きくする手法により製造した複屈折フィルムが好ましく、上記原料としては例えば、有機高分子材料からなるフィルムやシートを挙げることができる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。さらに塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなども挙げられる。これらのなかでも、光学フィルムとして用いられるトリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン等のプラスチックフィルムが賞用される。有機高分子材料のフィルムとしては、特に、ゼオノア(商品名,日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(商品名,日本ゼオン(株)製)、アートン(商品名,JSR(株)製)などのノルボルネン構造を有するポリマー物質からなるプラスチックフィルムが好適に用いられる。
延伸等により得られる位相差フィルムの膜厚は、上述のようにRe2やRth2に依存するが、通常は5μm〜100μm、好ましくは10μm〜80μmである。
また、位相差フィルムとして液晶ポリマーなどの液晶材料からなる配向フィルムを用いることもでき、当該配向フィルムとしては、均一でモノドメインなネマチック配向性を示し、かつその配向状態を容易に固定化できる液晶性高分子を基板上、もしくは配向膜を塗布した基板上で熱処理し、均一、モノドメインなネマチック構造を形成させたのち冷却することによって液晶状態における配向を損なうことなく固定化して製造される配向フィルムや、前記液晶性高分子に光重合性液晶化合物を配合して液晶性組成物とし基板上もしくは配向膜を塗布した基板上に塗布・配向し重合させた配向フィルムを挙げることができる。
前記の偏光素子、偏光板や位相差フィルムと本発明の液晶フィルムの貼合に使用することができる粘着剤や接着剤(粘・接着剤)としては、貼合される両界面に適度な接着力を有する光学グレードのものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル重合体系、エポキシ樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系およびこれらの混合物系や、熱硬化型および/または光硬化型、電子線硬化型等の各種反応性のものを挙げることができるが、光硬化型が処理の容易さなどから好ましい。
光硬化型の粘・接着剤には、ラジカル重合系やカチオン重合系が知られているが、ラジカル重合系である(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主体とする粘・接着剤(以下、アクリル系粘・接着剤という。)からなるものが好ましく、アクリル系粘・接着剤は、通常の市販されている紫外線(UV)硬化型粘・接着剤や液晶性組成物の接着性に応じて適宜変性したものが使用できる。
そのアクリル系粘・接着剤の配合としては、市販されている各種(メタ)アクリル系の単官能モノマーや多官能モノマー、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマーに光重合開始剤、粘度調整剤(増粘剤)、界面活性剤や分散剤等の添加剤等を適宜添加して行うことができる。
さらに光の拡散や散乱を目的としてアクリル系粘・接着剤とは屈折率の異なる(微)粒子を添加してもよい。前記(微)粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、ITO、銀や各種の(架橋)プラスチック等を挙げることができる。これらの添加量は、その種類、構成成分、機能などにより一概には決定できないが、通常は、アクリル系粘・接着剤に対して0.01質量%〜20質量%が好ましい。
また、アクリル系粘・接着剤の反応(硬化)条件では、粘・接着剤を構成する成分、粘度や反応温度等の条件により変化するため、それぞれに適した条件を選択して行えばよく、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線が利用できる。照射する活性エネルギー線の量は光重合開始剤がラジカルを発生する範囲であれば任意であるが、200〜400nmの紫外線を0.1〜1000mJ/cm、好ましくは10〜600mJ/cmの範囲で照射する。電子線硬化型の場合の加速電圧は、通常10kV〜200kV、好ましくは25kV〜100kVである。
光重合開始剤は、紫外線等の活性エネルギー線によりラジカルを発生するものであれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、従来からの紫外線硬化型の接着剤や塗料等に使用されているアセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、アシルフォスフィンオキシド系開始剤、ビスイミダゾール系開始剤やトリハロメチル系開始剤等を挙げることができる。
光重合開始剤の添加量は、粘・接着剤の構成成分100質量部に対して0.01〜15質量部、好ましくは0.1〜7質量部である。これらの光重合開始剤は二種以上を併用してもよい。また、ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミノ基を有する増感剤を併用してもよい。
粘・接着剤層の形成は、適宜な方式で行うことができる。その例としては、例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40質量%程度の粘・接着剤の溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で前記の直線偏光板、位相差フィルム、液晶層や光学異方性層上に直接付設する方式、あるいは前記に準じ、セパレータ上に粘・接着剤層を形成してそれを前記の直線偏光板、位相差フィルム、液晶層や光学異方性層上に移着する方式などが挙げられる。また、粘・接着剤層には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘・接着剤に添加されることのある添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘・接着剤層などであってもよい。
粘・接着剤層の厚さは、貼着する部材を貼着し、かつ十分な密着力を維持できる限り特に膜厚に制限はなく、粘・接着剤の特性や粘・接着される部材により適宜選定することができる。得られる積層体(フィルム)の総厚の低減要求の強いことから、粘・接着剤の厚さは薄いほうが好ましいが、通常は2〜80μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜40μmである。この範囲外では、接着力が不足したり、積層時や積層体の保存時に端部から滲み出すなどして好ましくない。
本発明の液晶フィルムは、液晶表示装置の視野角改良や色補償等に、必要に応じて前述の各種フィルムと組み合わせて好適に用いられる。
前記の液晶表示装置に使用される液晶セルとして特に制限はないが、透過型、反射型、半透過型の各種液晶セルを挙げることができる。液晶セルにおける液晶配向によるモードとして例を挙げると、TN型、STN型、VA(vertical alignment)型、MVA(multi-domain vertical alignment)型、OCB(optically compensated bend)型、ECB(electrically controlled biriefringence)型、HAN(hybrid-aligned nematic)型、IPS(in-plane switching)、双安定ネマチック(Bistable Nematic)型、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)型、ハーフトーングレイスケール型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶を利用した表示方式等を挙げることができる。
液晶セルを構成する透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有している透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、ITO等の公知のものが使用できる。電極は通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。
当該液晶配向については、セルの面内で単一の方向性を持つものでも良いし、配向が分割された液晶表示素子等にも用いることができる。さらに液晶セルに電圧を印加する方法で言えば、例えば、ITO電極などを用いるパッシブ方式、TFT(薄膜トランジスター)電極やTFD(薄膜ダイオード)電極などを用いるアクティブ方式等で駆動する液晶表示素子を挙げることができる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板、光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、液晶フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に、偏光板、他の光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
また、前記液晶セルの一方の基板を反射機能を有する領域と透過機能を有する領域とを有する基板とすることにより半透過反射型の液晶表示素子とすることができる。半透過反射型の液晶表示素子に使用する半透過反射性電極に含まれる反射機能を有する領域(以下、反射層ということがある。)としては、特に制限されず、アルミニウム、銀、金、クロム、白金等の金属やそれらを含む合金、酸化マグネシウム等の酸化物、誘電体の多層膜、選択反射を示す液晶又は、これらの組み合わせ等を例示することができる。これら反射層は平面であっても良く、また曲面であっても良い。さらに反射層は、凹凸形状など表面形状に加工を施して拡散反射性を持たせたもの、液晶セルの観察者側と反対側の該電極基板上の電極を兼備させたもの、またそれらを組み合わせたものであっても良い。
液晶表示装置は、前記した構成部材以外にも他の構成部材を付設することができる。例えば、カラーフィルターを液晶表示装置に付設することにより、色純度の高いマルチカラー又はフルカラー表示を行うことができるカラー液晶表示装置を作製することができる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で用いた各分析方法は以下の通りである。
(1)H−NMRの測定
化合物を重水素化クロロホルムに溶解し、400MHzのH−NMR(日本電子社製JNM−GX400)で測定した。
(2)GPCの測定(分子量の測定)
化合物をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー社製8020GPCシステムで、TSK−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000、SuperH4000を直列につなぎ、溶出液としてテトラヒドロフランを用いて測定した。分子量の較正にはポリスチレンスタンダードを用いた。
(3)相挙動の観察
相挙動はメトラー社製ホットステージ上で、試料を加熱しつつ、オリンパス光学社製BH2偏光顕微鏡で観察した。
(4)相転移温度の測定
相転移温度の測定は、Perkin−Elmer社製示差走査熱量計DSC7により測定した。
(5)接着強度(剥離強度)の測定
液晶フィルムから長さ150mm、幅30mmの短冊状試料を切り出し、東洋精機(株)製ストログラフE−Lにより180°剥離強度を測定(温度23℃、剥離速度300mm/min)した。
[参考例1: オキセタニル基を持つアクリル化合物1およびオキセタニル基を持たないアクリル化合物2の合成]
特開2004-123882号公報開示の方法に準拠して合成を行った。オキセタニル基を持つアクリル化合物1およびオキセタニル基を持たないアクリル化合物2の合成は、それぞれ以下に示す合成スキーム1およびスキーム2に従って行った。
アクリル化合物1およびアクリル化合物2のH−NMRスペクトルを図1および図2に示す。なお、図中の「×」印ピークは溶媒や不純物によるものである(以下、同様)。
Figure 2009237038
Figure 2009237038
[参考例2: 側鎖型液晶性ポリアクリレート1の合成]
前記アクリル化合物1を10部(モル比)と、前記アクリル化合物2を90部(モル比)と配合し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、オキセタニル基を持つ側鎖型液晶性ポリアクリレート1(ポリマー1)を合成した。
ポリマー1のH−NMRスペクトルを図3に示す。ポリマー1の重量平均分子量は、9,800であり、Tgは79℃であった。偏光顕微鏡による観察より、Tg以上で液晶相を発現し、スメクチック−ネマチック転移温度が109℃、ネマチック−アイソトロピック転移温度は250℃以上であることを確認した。
[参考例3: 側鎖型液晶性ポリアクリレート2の合成]
アクリル化合物2を、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤、DMFを溶媒として、窒素下、90℃、6時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、オキセタニル基を持たない側鎖型液晶性ポリアクリレート2(ポリマー2)を合成した。
ポリマー2のH−NMRスペクトルを図4に示す。ポリマー2の重量平均分子量は、6,800であり、Tgは74℃であった。偏光顕微鏡による観察より、Tg以上でネマチック相を発現し、ネマチック−アイソトロピック転移温度は250℃以上であることを確認した。
[参考例4: 2官能性オキセタンモノマー3の合成]
スキーム3に従い、2官能性オキセタンモノマー3を合成した。2官能性オキセタンモノマー3のH−NMRスペクトルを図5に示す。DSC測定と偏光顕微鏡による観察より、結晶−69℃−ネマチック相−95℃−アイソトロピック相という相挙動をとることがわかった。
Figure 2009237038
[参考例5: 液晶材料層1の作製]
参考例2で合成したポリマー1の1.0gを、9mlのシクロヘキサノンに溶かし、暗所でトリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート50%プロピレンカーボネート溶液(アルドリッチ社製、試薬)0.05gを加えた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して液晶材料の溶液を調製した。
この溶液を、表面をレーヨン布によりラビング処理した厚み50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(テオネックスQ−51(帝人社製))上にスピンコート法を用いて塗布し、60℃のホットプレート上で乾燥させた。得られたポリエチレンナフタレートフィルム上の液晶材料層を150℃に加熱しながら、空気雰囲気下、高圧水銀ランプにより積算照射量450mJ/cmの紫外線光を照射した後、冷却して液晶材料層1を得た。
[参考例6: 液晶材料層2の作製]
ポリマー1を0.8gと、参考例4で合成した2官能性オキセタンモノマー3の0.2gを使用すること以外は参考例5と同様の手順にて液晶材料層2を作製した。この得られた液晶層を液晶性組成物層2とした。
[参考例7: 液晶材料層3の作製]
参考例5における液晶材料の溶液調製の際に、ポリマー1の代わりに、参考例3で合成したポリマー2を1gにした以外は、参考例5と同様の手順にて液晶材料層3を作製した。
[実施例1〜4、比較例1〜3]
参考例5〜7で作製した液晶性組成物層1〜3について、表1に示す組成の紫外線硬化型アクリル系接着剤(接着剤A)を用いて液晶フィルムを得た。すなわち、PENフィルム上の硬化された液晶材料層の上に接着剤Aを5μm厚となるように塗布し、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムでラミネートし、TACフィルム側から400mJ/cmの紫外線光を室温で照射して接着剤Aを硬化させた後、PENフィルムを剥離した。
上記のように作製された液晶フィルムの液晶材料層上に、紫外線硬化型アクリル接着剤UV−3400(東亜合成社製品)を5μm厚となるように塗布し、TACフィルムでラミネートして、TACフィルム側から400mJ/cmの紫外線光を照射して硬化させた。TAC/(接着剤A)/液晶材料層/UV−3400/TACの層構成を持つフィルムを得た。
これらのフィルムを東洋精機製ストログラフE−Lを用いて180度剥離試験を行った。測定温度23℃、剥離速度300mm/minのスピードで行った。その際の液晶性組成物層/接着剤A間の剥離力を測定することで、本発明の接着効果を確認した。
Figure 2009237038
表1の結果から明らかなように、比較例1〜3のいずれの条件における剥離力は、実施例1〜4の剥離力に比べて極めて小さいことが判明した。
[実施例5]
実施例1〜4で得られたフィルム(TAC/接着剤A/液晶材料層/UV−3400/TACの層構成)を2mm厚のソーダガラスにノンキャリア型粘着剤を介して貼り付け、その上に液晶の配向軸(ラビング軸)と偏光板の吸収軸を一致させて、偏光板(住友化学社製SQW−862)を貼り付け、性能評価用のサンプルとした。
これらのサンプルをバックライト上、偏光板を介して観察したところ、いずれのサンプルにおいて剥離不良部がなく、偏光顕微鏡下で観察すると、欠陥もなく均一であった。
また、これらのサンプルを90℃の恒温槽中で24時間経過させたのち、取り出して、同様の観察を行ったが、いずれのサンプルにおいて特に変化は見られず、配向の乱れは観測されなかった。
[比較例4]
比較例1〜3で得られたフィルム(TAC/接着剤A/液晶材料層/UV−3400/TACの層構成)を2mm厚のソーダガラスにノンキャリア型粘着剤を介して貼り付け、その上に液晶の配向軸(ラビング軸)と偏光板の吸収軸を一致させて、偏光板(住友化学社製SQW−862)を貼り付け、性能評価用のサンプルとした。
これらのサンプルをバックライト上、偏光板を介して観察したところ、いずれのサンプルにおいて剥離不良部がなく、偏光顕微鏡下で観察すると、欠陥もなく均一であった。
しかしながら、これらのサンプルを90℃の恒温槽中で24時間経過させたのち、取り出して、同様の観察を行った。その結果、比較例1のフィルムを用いて作製したサンプルは、周辺部に剥がれが少し見られた。また比較例2および3のフィルムを用いて作製したサンプルにおいて、周辺部の剥がれに加えて、その部分に液晶配向の乱れに起因すると思われる光漏れ(白抜け)が発生していた。
参考例1で得られたアクリル化合物1のH−NMRスペクトルを示す。 参考例1で得られたアクリル化合物2のH−NMRスペクトルを示す。 参考例2で得られた側鎖型液晶性ポリアクリレート1のH−NMRスペクトルを示す。 参考例3で得られた側鎖型液晶性ポリアクリレート2のH−NMRスペクトルを示す。 参考例4で得られた2官能オキセタンモノマー3のH−NMRスペクトルを示す。

Claims (9)

  1. オキセタニル基を有する液晶性化合物からなる液晶材料を配向後に重合せしめた膜と、水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物を含有する接着剤組成物から少なくともなることを特徴とする液晶フィルム。
  2. 前記液晶性化合物を液晶材料中に少なくとも10質量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の液晶フィルム。
  3. 前記液晶性化合物が液晶性高分子であることを特徴とする請求項1記載の液晶フィルム。
  4. 前記液晶性化合物が式(1)で表されるユニットを含むことを特徴とする請求項1記載の液晶フィルム。
    Figure 2009237038
    (式(1)中、Rは水素またはメチル基を表し、Rは水素、メチル基またはエチル基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−O−、−O−CO−、または−CO−O−のいずれかを表し、Mは式(2)、式(3)または式(4)を表し、nおよびmはそれぞれ0〜10の整数を示す。
    −P−L−P−L−P− (2)
    −P−L−P− (3)
    −P− (4)
    式(2)、式(3)および式(4)中、PおよびPはそれぞれ個別に式(5)から選ばれる基を表し、Pは式(6)から選ばれる基を表し、LおよびLはそれぞれ個別に単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−O−CO−または−CO−O−を表す。)
    Figure 2009237038
    Figure 2009237038
  5. 前記液晶性化合物が、前記式(1)で表されるユニットを5〜100モル%含むことを特徴とする請求項1記載の液晶フィルム。
  6. 前記液晶性高分子の重量平均分子量が2,000〜100,000であることを特徴とする請求項3記載の液晶フィルム。
  7. 前記液晶材料中に光カチオン発生剤および/または熱カチオン発生剤を含むことを特徴とする請求項1記載の液晶フィルム。
  8. 前記水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物が、接着剤組成物に1〜50質量%含まれることを特徴とする請求項1記載の液晶フィルム。
  9. 前記水酸基と反応しうる反応性基を有する化合物が、分子内に重合可能な不飽和結合およびイソシアネート基を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の液晶フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013007887A (ja) * 2011-06-24 2013-01-10 Fujifilm Corp 複屈折性を有する物品の製造方法
JP2015197492A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 富士フイルム株式会社 光学異方性膜とその製造方法、積層体とその製造方法、偏光板、液晶表示装置及び有機el表示装置

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