JP2009236258A - 帯電防止ホース - Google Patents

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【課題】本発明は優れた帯電防止性を有する帯電防止ホースを提供する。
【解決手段】内層11、及び前記内層11の外周を覆う外層12と、前記外層12の外周を覆う補強層13と、前記補強層13の外周を覆う被覆層14とを有する帯電防止ホースであって、
前記外層12が、導電性物質及びポリウレタン系熱可塑性エラストマーからなり、
前記導電性物質の含有量が、前記ポリウレタン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して、5〜30質量部であり、且つ
前記外層12の外表面積に対する前記補強層13の被覆面積率が、50〜80%であることを特徴とする帯電防止ホース。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電気による帯電を防止することが可能な帯電防止ホースに関する。
従来から、半導体製造装置、検査装置、自動車等の燃料〔ガソリン、アルコール混合ガソリン(ガソホール)、アルコール、水素、軽油、バイオディーゼル燃料、ジメチルエーテル、LPG、CNG等〕の輸送において、配管としてホースが使用されている。例えば、半導体製造装置などでは、冷却又は洗浄のために、ホース内にフッ素系不活性液体など絶縁性流体が流される。また、燃料電池自動車では、燃料タンクに貯留した圧縮水素又は液体水素などの可燃性流体を、ホースを介して燃料電池に供給することが行われている。
このような流体輸送用ホースとしては、一般的に、ゴム、フッ素系樹脂又は熱可塑性エラストマーを主体とし、管状の内層及びその内層の外側を被覆する外層とを備えた2層構造を有する内面チューブと、前記内面チューブの外周をステンレス鋼線やナイロン、ポリエステル等の繊維で補強した補強層を有するホースが用いられている。また、補強層を保護するために、補強層上には熱可塑性樹脂からなる被覆層などが配置される。
流体輸送用ホースに流体を流した際に、流体とホース内面との接触や流体と他の部材との接触により静電気が発生した場合、ホース内面に静電気が帯電する。そして、かかる静電気が徐々に溜まり電位差が大きくなった際にスパークが発生する場合がある。
そこで、従来の流体輸送用ホースでは、カーボンなどの導電性物質を用いて導電性を付与することにより、帯電を防止している。例えば、特許文献1では、被覆層としてのポリエチレンシートにカーボンを分散させたホースが開示されている。
特開2000−130648号公報
従来のホースでは十分な帯電防止性を有しているとは言えず、更なる帯電防止性の向上が必要とされている。そこで、流体と接触するホースの内層に導電性物質を配合して、導電性をさらに向上させる手段も考えられる。しかしながら、このようなホースでは、内層から導電性物質や導電性物質に含まれる油分などの不純物が流体中に流出する恐れがあり望ましくない。
したがって、本発明は優れた帯電防止性を有し、不純物の流出が抑制された帯電防止ホースを提供することを目的とする。
本発明は、管状の内層と、及び前記内層の外周を覆う外層と、前記外層の外周を覆う補強層と、前記補強層の外周を覆う被覆層とを有する帯電防止ホースであって、
前記外層が、導電性物質及びポリウレタン系熱可塑性エラストマーからなり、
前記導電性物質の含有量が、前記ポリウレタン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して、5〜30質量部であり、且つ
前記外層の外表面積に対する前記補強層の被覆面積率が、50〜80%であることを特徴とする帯電防止ホースにより上記課題を解決する。
本発明の帯電防止ホースは、導電性物質や導電性物質に含まれる油分などの不純物の流出が抑制されるとともに、静電気の帯電を高く防止することができる。したがって、前記帯電ホースは、静電気の帯電により生じるスパークの発生が高く抑制され、安全性、耐久性に優れる。
まず、本発明の帯電防止ホースの切吹斜視図を図1に示す。
本発明の帯電防止ホースは、図1に示すように、管状の内層11と、前記内層11の外周を覆う外層12と、外層12の外周を覆う補強層13と、前記補強層13の外周に配置される被覆層14とを有する。
このような本発明の帯電防止ホースは、外層に導電性物質及びポリウレタン系熱可塑性エラストマーを使用し、前記導電性物質の含有量を前記ポリウレタン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して、5〜30質量部とすることにより、ホースに高い導電性を付与することができる。また、内層には導電性物質を含有させないため、ホース内を流れる流体へ導電性物質や油分(例えば、カーボンに含まれる油剤)などの不純物が流出するのを抑制することができる。さらに、本発明の帯電防止ホースでは、外層の外表面積に対する前記補強層の被覆面積率を50〜80%とすることにより、外層と被覆層とを接触させることができ、静電気を外部へ放電することができる。このように、本発明の帯電防止ホースは、導電性物質の添加により導電性を付与するだけではなく、さらに静電気を外部へ放電することができ、優れた帯電防止性を有する。
(外層)
外層は、上述した通り、導電性物質及びポリウレタン系熱可塑性エラストマーを含む。
外層における導電性物質の含有量は、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して、5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部である。これにより、ホース内を流れる流体へ導電性物質が流出するのを防止しつつ、高い導電性をホースに付与することができる。また、導電性物質の含有量が上記範囲を超える場合には、ホースの成形性、柔軟性が低下する恐れがある。
前記導電性物質としては、カーボン粒子、カーボンナノチューブ、グラファイト、金属粒子、金属繊維などが挙げられる。なかでも、カーボン粒子を使用するのが好ましい。カーボン粒子としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、及びサーマルブラックなどのカーボンブラックからなるものが好ましい。
カーボン粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1〜30μmである。これにより、外層中にカーボン粒子を高分散させることができ、高い導電性を均一に付与することができる。なお、カーボン粒子の平均粒子径は、ホースの断面を透過型電子顕微鏡により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個のカーボンの面積円相当径を求めた数平均値とする。
外層において、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーを使用することにより、ホースの柔軟性を向上させることができる。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリウレタン成分と、ソフトセグメントとしてのポリエステル成分又はポリエーテル成分とを含む。ポリウレタン成分の硬化剤としては、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートが例示される。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、パンデックスT−8180、T−8185、T−8190、T−8195、T−8198、T−8190、デスモパンKA−8333(登録商標、DIC・バイエルポリマー社製)、ミラクトランE380、E385、E390,E395、E398、P390、P395(登録商標、日本ミラクトラン社製)、クラミロンU―9180、U―9185、U―9190、U―9195(登録商標、クラレ社製)などの市販品を使用することができる。
外層の厚さは、0.5〜3.0mm、特に1.0〜2.0mmとするのが好ましい。
(内層)
内層には、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリブテン樹脂、或いは架橋ポリエチレン樹脂を使用するのが好ましい。なかでも、電気的絶縁性が低く、成形性及びホースの柔軟性に優れることから、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを使用するのが好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、ポリブチレンナフタレート(PBN)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂をハードセグメントとし、ポリエーテル、ポリエステルまたはジカルボン酸をソフトセグメントとして用いたものが挙げられる。
上記ポリエーテルとしては、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)等が挙げられる。上記ポリエステルとしては、ポリブチレンアジペート、ポリ−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハイトレル4056、ハイトレル4057、ハイトレル4068、ハイトレル5577、ハイトレル5612JB、ハイトレル6347M、ハイトレルG3548L(登録商標、東レ・デュポン株式会社製)、E660MZAA(日本ミラクトラン株式会社製)などの市販品を使用することができる。
内層の厚さは、好ましくは0.1〜0.5mm、より好ましくは0.1〜0.3mmである。内層の厚さを前記範囲内とすることにより、内層に帯電した静電気が外層、被覆層を介して外部へ移動するのを促進させることができる。
管状の内層の内径は、帯電防止ホースの用途に応じて決定すればよいが、配管として使用するための柔軟性を考慮すると、5〜25mm、特に10〜20mmとするのが好ましい。
(補強層)
外層の外周に配置される補強層は、外層の外表面積に対する被覆面積率が、50〜80%、好ましくは50〜75%である。従来のホースでは、通常、耐圧性などを考慮して100%以上もの被覆面積率で外層を被覆している。しかしながら、本発明の帯電防止ホースでは、補強層の被覆面積率を上記範囲内とすることにより、補強層の網目の隙間において外層と被覆層とを接触させることができ、静電気を外部へ放電することができる。外層及び被覆層を介して流れた静電気は、例えば、締結用の継手金具などを介して外部へ放電される。
補強層の被覆面積率は、次の通り、式(3)により算出した値とする。すなわち、補強層の繊維の太さをA[mm]、引き揃え数をB[本]、編み上げ角度をθ[°](絶対静止角)とすると補強層の周上の長を下記式(1)により算出できる。
Figure 2009236258
ここで補強層において編み上げられた繊維は交互に重なり合う部分が生じるため、実際に補強層が外層の外周を占める面積は下記式(2)により算出できる。
Figure 2009236258
一方、補強層が被覆する外層の外径をC[mm]とすると、外層の外周長さは2πC[mm]となる。以上から、外層の外表面積に対する補強層の被覆面積率[%]は、下記式(3)により算出した値とする。
Figure 2009236258
なお、編み上げ角度θは、一般的には、50〜60°、特に54.7°である。
補強層は、補強糸を、1種を単独で、或いは2種以上を併用して、ブレード構造に編み上げる、またはスパイラル構造に巻回させることにより得られる。
補強層を構成する補強糸としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレススチール等の合金等の金属硬線や、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、その他カーボン繊維等の有機繊維や無機繊維を用いることができる。なかでも、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が好ましい。
補強層は、上述した補強糸を、1000〜4500デニール、撚り数3〜15回/10cm、引揃本数1〜3本、立本数12〜24本、編上角度50〜60°、特に53〜56°、さらに54.7°で編み上げられてなるのがよい。これはホースの使用条件、例えば必要とされる耐圧力によって好適に選択される。尚、前記編上角度は繊維の静止角(54.7°)を狙ったものである。
(被覆層)
補強層の外周に配置される被覆層の材料としては、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー又はポリエステル系熱可塑性エラストマーを使用することができる。外層と被覆層との材料を同一にすることで静電気の移動を促進させることができることから、被覆層にはポリウレタン系熱可塑性エラストマーを使用するのが好ましい。
被覆層は、導電性物質をさらに含有していてもよい。これにより、ホースの帯電防止性をさらに向上させることができる。
被覆層における導電性物質の含有量は、前記ポリウレタン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは10〜20質量部である。
被覆層の厚さは、0.3〜2.0mm、特に0.5〜1.0mmとするのが好ましい。
被覆層に使用されるポリウレタン系熱可塑性エラストマー、導電性物質としては、外層に使用されるのと同様のものを使用することができる。
上述した帯電防止ホースを作製するには、従来公知の方法を使用して行えばよい。例えば、内層と外層とを2層同時に押出成形により形成した後に、この外層の外周面上に補強繊維を巻き付けて補強層を得、さらに前記補強層の外周面上に押出成形することにより被覆層を得る方法などを使用することができる。本発明では、補強層の被覆面積率を50〜80%として編み上げ密度が低くなっているため、押出成形時に補強層の網目の隙間において外層と被覆層とを溶着させることができる。したがって、外層と補強層との間、及び補強層と被覆層との間に接着層を配置する必要がなく、静電気の外部への移動を促進させることができる。
また、導電性物質の分散性を向上させるために、外層及び被覆層の作製にはマスターバッチ法を使用するのが好ましい。マスターバッチ法としては、例えば、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーに高濃度の導電性物質を添加してマスターバッチを作製し、このマスターバッチをさらにポリウレタン系熱可塑性エラストマーと混合し、これにより得られた組成物を外層形成用材料として使用する方法などが用いられる。前記組成物を、上述したように押出成形することにより、導電性物質が高分散された外層を作製することができる。
本発明の帯電防止ホースは、特に制限されないが、絶縁性及び/又は可燃性の流体を輸送するために使用されるのが好ましい。前記流体として具体的には、フッ素系不活性液体などの絶縁性流体、ガソリン、アルコール混合ガソリン(ガソホール)、アルコール、圧縮水素、液体水素、軽油、バイオディーゼル燃料、ジメチルエーテル、LPG、CNGなどの可燃性流体が挙げられる。これらは、例えば、半導体製造装置、検査装置、自動車における配管として使用される。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す構造を有する帯電防止ホースを作製した。まず、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(ハイトレル4057、東レ・デュポン株式会社製)からなる内層形成用材料、及び下記外層形成用材料を共押し出して一体成形することにより、内層(内径16mm、外径16.4mm、厚さ0.2mm)11、及び外層(厚さ1.8mm)12を作製した。
なお、外層形成用材料は、次の手順にしたがって作製した。カーボン粒子(カーボンブラック)50質量部及びポリウレタン系熱可塑性エラストマー(ハイトレル4057、東レ・デュポン株式会社製)100質量部からなるマスターバッチを作製し、このマスターバッチ20質量部に、さらにポリウレタン系熱可塑性エラストマー(ハイトレル4057、東レ・デュポン株式会社製)100質量部を混合してロールミルに供給し、70℃で混練することにより外層形成用材料を作製した。
次に、外層12の外周面上にポリエステル繊維をブレード構造で編み上げたものを巻き付けて、補強層(撚り数5回/10cm、引き揃え本数1本、立本数24本)13を作製した。このとき、外層12の外表面積に対する前記補強層の被覆面積率は70%であった。
被覆層形成用材料としてポリウレタン系熱可塑性エラストマー(パンデックスT−8180、ディーアイシーバイエルポリマー株式会社)を使用し、これを補強層13の外周面上に押し出しすることにより、被覆層(厚さ0.5mm)14を作製した。
(評価)
上記実施例により得られた帯電防止ホースに真鍮金具を挿入し、SAE J2260に準じて電気抵抗を測定することにより、導電性の評価を行った。帯電防止ホースの導電性は、3.0MΩ/mであった。
本発明の帯電防止ホースの切吹斜視図を示す。
符号の説明
11 内層、
12 外層、
13 補強層、
14 被覆層。

Claims (8)

  1. 管状の内層と、前記内層の外周を覆う外層と、前記外層の外周を覆う補強層と、前記補強層の外周を覆う被覆層とを有する帯電防止ホースであって、
    前記外層が、導電性物質及びポリウレタン系熱可塑性エラストマーからなり、
    前記導電性物質の含有量が、前記ポリウレタン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して、5〜30質量部であり、且つ
    前記外層の外表面積に対する前記補強層の被覆面積率が、50〜80%であることを特徴とする帯電防止ホース。
  2. 前記導電性物質が、カーボン粒子であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ホース。
  3. 前記内層が、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電防止ホース。
  4. 前記内層の厚さが、0.1〜0.5mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止ホース。
  5. 前記補強層が、補強糸をブレード構造又はスパイラル構造で編み上げることにより形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止ホース。
  6. 前記補強糸が、ポリエステル繊維及び/又はポリアミド繊維からなることを特徴とする請求項5に記載の帯電防止ホース。
  7. 前記被覆層が、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の帯電防止ホース。
  8. 絶縁性及び/又は可燃性の流体を輸送するために使用される請求項1〜7のいずれか1項に記載の帯電防止ホース。
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