JP2009236149A - 潤滑構造が設けられたチェーン伝動装置 - Google Patents

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昭 藤原
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Abstract

【課題】チェーンにおいて連結ピンの外周面の潤滑性を向上させることにより、連結ピンの外周面での摩耗を低減することでチェーンの伸びを抑制しながら、チェーンのメンテナンスの容易化およびコスト削減を図る。
【解決手段】チェーン伝動装置に設けられる潤滑構造Aは、リンクプレート21,22を鎖状に連結する連結ピン30に設けられてチェーンCの走行時にオイルジェット60から供給された潤滑油が流入可能な給油孔40と、連結ピン30に設けられて給油孔40内の潤滑油を外周面30cに導く注油孔50と、給油孔40に流入する潤滑油を供給するオイルジェット60とから構成される。給油孔40は、連結ピン30の一端部31および他端部32の間で軸線方向に延びていると共に、一端部31にて開放している入口部41と、他端部32にて開放している空気抜き孔42とを有する貫通孔である。
【選択図】図6

Description

本発明は、サイレントチェーンを含むチェーンを備えるチェーン伝動装置に関し、詳細には、チェーンのリンクプレート同士を連結する連結ピンの外周面での摺動部を潤滑するための潤滑構造に関する。
チェーンを備えるチェーン伝動装置において、チェーンを構成するリンクプレート同士を連結する連結ピンの外周面を潤滑するために、連結ピンに、グリース(潤滑剤)を溜めるグリース溜孔と、該グリース溜孔と連結ピンの外周面を連通させる小径孔とが設けられたものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
また、内燃機関に備えられたチェーン伝動装置において、チェーンに潤滑油を供給するために、シリンダブロックに設けられた油路に連通するオイルジェット管から、チェーンのスプロケットに対する噛み込み部よりも上手位置に潤滑油を噴射するものが知られている。(例えば、特許文献2参照)
特開2000−186749号公報 特開平9−273408号公報
連結ピンの外周面に潤滑剤を供給することにより、該外周面の摩耗が抑制されて、チェーンの伸びが抑制される。しかしながら、連結ピンの外周側には、ローラチェーンにおいてはブッシュやローラが配置され、サイレントチェーンにおいては連結ピンの軸線方向に複数のリンクプレートが積層されて配置されるために、連結ピンの外周面に外側から十分な潤滑剤を供給することは困難である。
このため、連結ピンの内部から外周面に潤滑剤を供給することは、連結ピンの潤滑性を向上する点で効果的である。しかしながら、連結ピンがその内部に密封状態で貯留された潤滑剤により潤滑される場合には、部品点数の増加や、潤滑剤を注入し、かつ密封するための工程が必要になって、コスト増加の原因になる。また、密封された潤滑剤が、摺動部の僅かな隙間からの漏出により減少したり、塵埃などの混入により劣化することがあるため、そのメンテナンスを綿密に行う必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜7記載の発明は、チェーンにおいて連結ピンの外周面の潤滑性を向上させることにより、連結ピンの外周面での摩耗を低減することでチェーンの伸びを抑制しながら、チェーンのメンテナンスの容易化およびコスト削減を図ることを目的とする。そして、請求項2記載の発明は、さらに、オイル供給手段の配置の自由度を大きくして、チェーン伝動装置に対する潤滑構造の適用性を向上させることを目的とし、請求項3記載の発明は、さらに、連結ピンの給油孔内への潤滑油の流入を容易にしながら、給油孔内に貯留する潤滑油量を増加させることを目的とし、請求項4〜6記載の発明は、サイレントチェーンにおいて連結ピンの外周面での潤滑性を向上させることを目的とし、請求項5,6記載の発明は、さらに、少ない給油量でサイレントチェーンの伸びの抑制効果を高めること、および、給油孔および注油孔が設けられた連結ピンの強度を高めることを目的とし、請求項7記載の発明は、さらに、オイル供給手段から連結ピンの給油孔へ供給される潤滑油の一部を利用して、チェーンとスプロケットとの噛合に起因する騒音を低減することを目的とする。
請求項1記載の発明は、1対の第1ピン孔(21a)が設けられた複数の第1リンクプレート(21)と、1対の第2ピン孔(22a)が設けられた複数の第2リンクプレート(22)と、前記第1ピン孔(21a)および前記第2ピン孔(22a)に挿入されて前記第1リンクプレート(21)および前記第2リンクプレート(22)を連結する複数の連結ピン(30)とを有し、前記連結ピン(30)を介して前記第1リンクプレート(21)および前記第2リンクプレート(22)が交互に鎖状に連結されたチェーン(C)を備えるチェーン伝動装置であって、前記連結ピン(30)の外周面(30c)を潤滑するための潤滑構造(A)が設けられたチェーン伝動装置において、前記潤滑構造(A)は、前記連結ピン(30)に設けられて潤滑油が前記チェーン(C)の走行時に流入可能な給油孔(40)と、前記連結ピン(30)に設けられて前記給油孔(40)に連通すると共に前記給油孔(40)内の潤滑油を前記外周面(30c)に導く注油孔(50)と、前記給油孔(40)に流入する潤滑油を供給するオイル供給手段(60,60,60)とから構成され、前記給油孔(40)は、前記連結ピン(30)の軸線方向での前記連結ピン(30)の一端部(31)および他端部(32)の間で前記軸線方向に延びていると共に、前記一端部(31)にて開放している入口部(41)と、前記他端部(32)にて開放している開放部(42)とを有する貫通孔であり、前記オイル供給手段(60)から供給された潤滑油は、前記チェーン(C)の走行時に前記入口部(41)から前記給油孔(40)に流入するチェーン伝動装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のチェーン伝動装置において、前記入口部(41)は、前記一端部(31)において前記軸線方向での前記連結ピン(30)の端面(31a)に開口し、前記オイル供給手段(60,60,60)は、前記入口部(41)に向かって潤滑油を前記軸線方向に噴射するものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のチェーン伝動装置において、前記開放部(42)は、前記給油孔(40)内の空気を排出する空気抜き孔(42)であり、前記開放部(42)での潤滑油の流通抵抗は、前記入口部(41)での潤滑油の流通抵抗よりも大きいものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載のチェーン伝動装置において、前記チェーン(C)は、前記軸線方向に配列されると共にスプロケット(13,14)と噛合する歯(21b)を有する1または複数の前記第1リンクプレート(21)により構成されるリンク体(CL)と、前記軸線方向で前記リンク体(CL)を挟んで配置されると共に前記連結ピン(30)が挿入される1対の第3ピン孔(23a)が設けられた1対のガイドプレート(23)および前記スプロケット(13,14)と噛合する歯(22b)を有する1または複数の前記第2リンクプレート(22)により構成されるガイド列(CG)とを有するサイレントチェーン(C)であり、前記第1リンクプレート(21)および前記第2リンクプレート(22)のそれぞれは、前記連結ピン(30)の前記外周面(30c)において摺動可能であり、前記注油孔(50)は、前記第1ピン孔(21a)または前記第2ピン孔(22a)と前記軸線方向での同じ位置で開放しているものである。
請求項5記載の発明は、請求項4記載のチェーン伝動装置において、前記連結ピン(30)は、前記1対のガイドプレート(23)に固定されており、前記注油孔(50)は、前記第1ピン孔(21a)および前記第2ピン孔(22a)のうちの前記第1ピン孔(21a)のみと前記軸線方向での同じ位置で開放しているものである。
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載のチェーン伝動装置において、前記第1リンクプレート(21)および前記第2リンクプレート(22)のうちの一方のリンクプレートは他方のリンクプレートよりも大きな板厚を有し、前記注油孔(50)は、前記第1ピン孔(21a)および前記第2ピン孔(22a)のうちの前記一方のリンクプレートのピン孔のみと前記軸線方向での同じ位置で開放しているものである。
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項記載のチェーン伝動装置において、前記オイル供給手段(60,60)において潤滑油を噴射する噴口(62a)は、前記軸線方向から見て、前記チェーン(C)の軌道と重なる位置にあり、かつ、前記チェーン(C)が巻き掛けられるスプロケット(13,14)との前記チェーン(C)の噛合開始部(C1,C2)と重なるように、または前記噛合開始部(C1,C2)付近であって前記噛合開始部(C1,C2)よりもチェーン(C)の走行方向(D)での後方位置で重なるように配置されるものである。
請求項1記載の発明によれば、連結ピンに設けられた給油孔にはチェーンの走行中にオイル供給手段から供給された潤滑油が供給され、その供給された潤滑油が給油孔から注油孔を通って連結ピンの外周面に供給されるので、該外周面での摺動部には連結ピンの内部から潤滑油が供給されること、および、給油孔は一端部および他端部で開放している貫通孔であるので、給油孔の奥部が閉塞されているものに比べて、オイル供給手段から供給された潤滑油の、給油孔への流入が容易になり、給油孔に十分な量の潤滑油を貯留できることから、連結ピンの外周面での潤滑性が向上して、連結ピンの外周面での摩耗が低減し、チェーンの伸びが抑制される。
また、給油孔への潤滑油への供給は、チェーンの走行時にオイル供給手段により行われるので、潤滑油の不足や劣化が防止されて、チェーンのメンテナンスが容易になる。
さらに、潤滑油が貯留される給油孔が貫通孔であることにより、給油孔を塞ぐための閉塞部材が不要になるために部品点数が削減されること、および該閉塞部材を連結ピンに組み付ける工程が不要になることから、チェーンのコストが削減される。
請求項2記載の事項によれば、オイル供給手段は、軸線方向での連結ピンの端面に開口している入口部に向けて軸線方向に潤滑油を噴射することが可能な位置に配置されればよいので、オイル供給手段をチェーンの軌道に沿う広い範囲内の位置に配置することができる。この結果、オイル供給手段の配置の自由度が大きくなって、オイル供給手段に対するチェーン伝動装置の周辺構造による制約が少なくなるので、チェーン伝動装置に対する潤滑構造の適用性が向上する。
請求項3記載の発明によれば、オイル供給手段から供給される潤滑油が入口部から給油孔に流入するとき、空気抜き孔を通じて給油孔内の空気が給油孔の外部に排出されるので、給油孔内に潤滑油が流入しやすくなると共に、空気抜き孔での潤滑油の流通抵抗は入口部の流通抵抗よりも大きいので、空気抜き孔からの潤滑油の流出量が抑制される。この結果、給油孔内に貯留する潤滑油の量を増加させることができるので、連結ピンの外周面での潤滑性が向上して、連結ピンの外周面での摩耗の低減効果、したがってチェーンの伸びの抑制効果が向上する。
請求項4記載の事項によれば、サイレントチェーンにおいて、連結ピンに設けられた給油孔および注油孔を通じて第1,第2リンクプレートの第1ピン孔または第2ピン孔に潤滑油が供給されるので、連結ピンの外周面での摺動部および第1リンクプレートまたは第2リンクプレートの摺動部である第1ピン孔または第2ピン孔の周面での摩耗が低減して、サイレントチェーンの伸びが抑制される。
請求項5記載の事項によれば、連結ピンが固定されたガイドプレートと共にガイド列を構成しているために該ガイドプレートとほぼ同じ動きをする第2リンクプレートに比べて、連結ピンとの間での回動量が大きくなることから連結ピンとの間で摩耗が生じやすい第1リンクプレートに対して、給油孔の潤滑油が注油孔を通じて第1ピン孔に効率よく供給されるので、給油孔に対する給油量を少なくした場合でも、第1ピン孔内における連結ピンの外周面での潤滑性を向上させることができ、したがって第1ピン孔の周面および連結ピンの外周面の摩耗を低減できる。この結果、給油孔に対する少ない給油量で、第2リンクプレートの第2ピン孔に注油孔が開口している場合に比べてサイレントチェーンの伸びの抑制効果を高めることができる。しかも、注油孔の数を、第1,第2リンクプレートのうち、ガイド列を構成する第2リンクプレートを除く第1リンクプレートの数に制限することにより、注油孔の数を減少させることができるので、連結ピンの外周面での所要の潤滑性を確保しながら、連結ピンの強度を高めることができる。
請求項6記載の事項によれば、板厚が大きいために、ピン孔内での連結ピンとリンクプレートとの隙間から軸線方向での中央部に潤滑油が供給されにくい一方のリンクプレートのピン孔に、給油孔の潤滑油が注油孔を通じて供給されるので、板厚が大きい一方のリンクプレートのピン孔に供給される潤滑油量が増加して、該ピン孔の周面の摩耗および該一方のリンクプレートが摺接する連結ピンの外周面の摩耗が低減して、サイレントチェーンの伸びが抑制される。しかも、注油孔の数を、第1,第2リンクプレートおよびガイドプレートのうちで板厚が大きい第1リンクプレートの数に制限することで、注油孔の数を減少させることができるので、連結ピンの外周面での所要の潤滑性を確保しながら、連結ピンの強度を高めることができる。
請求項7記載の事項によれば、オイル供給手段から噴射された潤滑油は、給油孔に供給されるほかに、チェーンにおけるスプロケットとの噛合開始部にも供給される。この結果、オイル供給手段から連結ピンの給油孔に向けて噴射される潤滑油の一部を利用して、チェーンとスプロケットとの噛合に起因する騒音を低減できる。
以下、本発明の実施形態を図1〜図7を参照して説明する。
図1,図2を参照すると、本発明が適用されたチェーン伝動装置10は、機械としての内燃機関Eに備えられて、該内燃機関Eが備える動弁装置を駆動する。
車両に搭載される多気筒4ストローク内燃機関Eは、複数のピストンが往復動可能に嵌合するシリンダブロック1と、シリンダブロック1の上端部に結合されて吸気弁および排気弁が設けられるシリンダヘッド2と、シリンダヘッド2の上端部に結合されて前記吸気弁および前記排気弁を開閉駆動する前記動弁装置が収容される動弁室をシリンダヘッド2と協働して形成するヘッドカバー3と、シリンダブロック1の下端部に結合されるロアブロック4と、ロアブロック4の下端部に結合されるオイルパン5とから構成される機関本体を備える。
シリンダブロック1およびロアブロック4は、燃焼室内での混合気の燃焼により発生する燃焼ガスの圧力で駆動される前記ピストンがコンロッド6を介して回転駆動するクランク軸7を、主軸受8を介して回転可能に支持する。
前記動弁装置は、シリンダヘッド2に回転可能に支持されると共に前記吸気弁および前記排気弁をクランク軸7に同期して開閉駆動するカム軸9を備える。被動回転軸としてのカム軸9を駆動回転軸としてのクランク軸7のトルクにより回転駆動するための動弁用の伝動装置10は、機関本体を構成するシリンダブロック1、シリンダヘッド2およびロアブロック4において、回転方向Rに回転するクランク軸7の回転中心線方向での一方の端部1a,2a,4aに形成される収容空間であるチェーン室11内に収容される。チェーン室11は、機関本体の前記各端部1a,2a,4aと、それら端部1a,2a,4aにその合わせ面1b,2b,4bにおいて結合されるチェーンカバー12とをそれぞれ形成部材として、該機関本体およびチェーンカバー12により形成される。
伝動装置10は、クランク軸7の軸端部に一体に設けられる駆動スプロケット13と、カム軸9の軸端部に一体に設けられる被動スプロケット14と、端部1aに回転可能に支持されるアイドルスプロケット15と、各スプロケット13,14,15に巻き掛けられる無端のチェーンとしてのサイレントチェーンCと、テンショナ16およびチェーンガイド17,18とを備える。
図3〜図5を参照すると、駆動スプロケット13(図1参照)で駆動されることにより走行方向Dに走行して循環するチェーンCは、1対の第1ピン孔21aが設けられた複数の第1リンクプレート21と、1対の第2ピン孔22aが設けられた複数の第2リンクプレート22と、1対の第3ピン孔23aが設けられた複数のガイドプレート23と、第1〜第3ピン孔21a〜23aに挿入されて第1リンクプレート21と第2リンクプレート22とガイドプレート23とを連結する複数の連結ピン30とを有し、該連結ピン30を介して第1リンクプレート21と、第2リンクプレート22およびガイドプレート23とが、交互に鎖状に連結されている。
各第1リンクプレート21および各第2リンクプレート22は、各スプロケット13〜15と噛合する1対の歯21bおよび1対の歯22bをそれぞれ有する。
また、各連結ピン30は、第1,第2ピン孔21a,22aに対して、第1,第2リンクプレート21,22に摺動により相対的に回動可能に嵌合する一方、第3ピン孔23aに対しては各ガイドプレート23に対して相対回動不能となるように、カシメまたは圧入により固定される。
ここで、第1,第2リンクプレート21,22およびガイドプレート23のそれぞれは、チェーンCにおいて、連結ピン30により鎖状に連結される要素プレートである。
図6を併せて参照すると、1つの連結ピン30毎に、連結ピン30の軸線方向に配列される1または複数である第1所定数の、ここでは2つの第1リンクプレート21は、各スプロケット13,14,15に噛合するリンク体としてのリンク列CLを構成する。また、軸線方向でリンク列CLおよび第2ガイドプレート23を挟んで配列される1対のガイドプレート23と、軸線方向で隣接する第1リンクプレート21同士の間に配置される1または複数である第2所定数の、ここでは2つの第2リンクプレート22とは、ガイド列CGを構成する。第1,第2リンクプレート21,22は、軸線方向から見たときに同一形状である。
ここで、軸線方向は、円柱状の連結ピン30の中心軸線Lpまたは連結ピン30の回動中心線に平行な方向であり、径方向は、中心軸線Lp(または該回動中心線)を中心とする径方向であり、周方向は、中心軸線Lp(または該回動中心線)を中心とする周方向である。また、軸線方向はチェーンCの幅方向でもある。
各第1リンクプレート21の板厚t1は、互いに等しい板厚を有する第2リンクプレート22およびガイドプレート23の板厚t2,t3よりも大きい。そして、板厚t1は、軸線方向で隣接する第1リンクプレート21同士の間に配置される1以上の第2リンクプレート22の板厚t2または該板厚t2の総和に等しく、ここでは、板厚t2の2倍である。
したがって、第1リンクプレート21および第2リンクプレート22のうちの一方のリンクプレートである第1リンクプレート21は、他方のリンクプレートである第2リンクプレート22よりも大きな板厚を有する。
伝動装置10には、第1,第2リンクプレート21,22における摺動部および連結ピン30の摺動部を潤滑するための潤滑構造Aが設けられる。これら摺動部のそれぞれは、第1,第2リンクプレート21,22において連結ピン30が挿入される第1,第2ピン孔21a,22aをそれぞれ規定する周面21c,22cであり、連結ピン30の外周面30cにおける第1,第2リンクプレート21,22の(または第1,第2ピン孔21a,22aの)各周面21c,22cとの接触部である。
なお、図6における、連結ピン30の外周面30cと各プレート21〜23の周面21c〜23cとの間の隙間は、周面21c〜23cを示すための便宜上のものであり、実際の状態を示すものではない。
潤滑構造Aは、連結ピン30に設けられて潤滑油がチェーンCの走行時に流入可能な給油孔40と、連結ピン30に設けられて給油孔40に連通すると共に給油孔40内の潤滑油を外周面30c(または、連結ピン30の摺動部)に導く注油孔50と、給油孔40に流入する潤滑油を供給するオイル供給手段としてのオイルジェット60とから構成される。
給油孔40は、軸線方向での連結ピン30の一端部31および他端部32の間で軸線方向に延びていると共に、一端部31にてチェーンCが収容されるチェーン室11に開放している入口部41と、他端部32にてチェーン室11に開放している開放部である空気抜き孔42とを有する。それゆえ、給油孔40は、両端部31,32で開口することによりチェーン室11に開放する軸線方向での貫通孔である。
一端部31は、軸線方向での連結ピン30の一方の端面31aを有すると共に、連結ピン30において軸線方向での位置が、軸線方向で端面31aに最も近い前記要素プレートである一方のガイドプレート23と同じ位置を占める部分31bを含むと共に該部分31bから端面31aに至る部分である。
また、他端部32は、軸線方向での連結ピン30の他方の端面32aを有すると共に、連結ピン30において軸線方向での位置が、軸線方向で端面32aに最も近い別の前記要素プレートである他方のガイドプレート23と同じ位置を占める部分32bを含むと共に該部分32bから端面32aに至る部分である。
給油孔40は、軸線方向に平行に延びていて、入口部41は一端部31において端面31aに開口し、空気抜き孔42は他端部32において端面32aに開口する。そして、円柱状の孔(または軸線方向に直交する平面での断面が円形である円孔)である給油孔40は、潤滑油が貯留する貯留部43である大径孔44と、空気抜き孔42を構成すると共に大径孔44よりも小径の小径孔45とから構成される段形状の孔である。入口部41は大径孔44の一部により構成される。また、大径孔44および小径孔45は、同心であり、いずれも中心軸線Lpを中心軸線とする直線状の孔である。
中空ピンである連結ピン30において、段形状の給油孔40を規定する内周面30iには、軸線方向に直交する平面上の平面により構成される段差部30dが他端部32に形成される。そして、入口部41から流入した潤滑油は、段差部30dに当たることにより、空気抜き孔42から流出することが抑制されて、潤滑油が大径孔44に留まり易くなり、給油孔40における潤滑油の貯留機能が高められる。
また、軸線方向での空気抜き孔42(または小径孔45)の長さn1は、端部32が軸線方向でガイドプレート23から外側に突出している部分32cの突出長さn2以下であり、また空気抜き孔42の直径以下であることから、その分、軸線方向での大径孔44の長さを長くできて、大径孔44の容積を大きくすることができるので、給油孔40での潤滑油の貯留量を増加させることができる。
空気抜き孔42は、入口部41から潤滑油が給油孔40に流入するときに、給油孔40内の空気を給油孔40の外部であるチェーン室11に排出する。空気抜き孔42での潤滑油の流通抵抗は、入口部41での潤滑油の流通抵抗よりも大きく、給油孔40に流入した潤滑油が空気抜き孔42を通って流出することを抑制する。
空気抜き孔42は、潤滑油の流通抵抗を大きくするために、入口部41または大径孔44に比べて縮径された孔であり、他端部32において絞り部32eにより形成される。このため、空気抜き孔42の直径は、大径孔44の直径の1/2以下である。
1つの連結ピン30により連結される第1リンクプレート21の数である前記第1所定数以下の、この実施形態では該第1所定数と等しい数である2つの注油孔50は、軸線方向での各第1リンクプレート21の位置に対応して、軸線方向に間隔をおいて、2つの第1ピン孔21aとそれぞれ軸線方向での同じ位置で、かつ軸線方向での各第1ピン孔21aの中央位置と同じ位置またはその近傍で、外周面30cに開口している。
各注油孔50は、1つまたは複数の、ここでは1対の孔部51,52から構成され、各孔部51,52は、径方向に放射状に延びている。各注油孔50のこれら孔部51,52は、径方向で対向すると共に、周方向で等しい間隔をおいて設けられている。
各注油孔50は、軸線方向で1対のガイドプレート23の間に、さらに詳細には第2リンクプレート22とガイドプレート23との間に配置される。したがって、この実施形態では、各注油孔50は、第1ピン孔21aおよび第2ピン孔22aのうちで、第1リンクプレート21および第2リンクプレート22においてより大きな板厚を有し、かつ連結ピン30に対して摺動により相対的に回動するリンクプレートである第1リンクプレート21に設けられたピン孔である第1ピン孔21aのみと軸線方向での同じ位置で開放している。
また、すべての注油孔50は、大径孔44に開口していて、空気抜き孔42よりも軸線方向で入口部41寄りにおいて給油孔40に開口している。
図2,図6を参照すると、入口部41に向かって潤滑油を軸線方向に噴射するオイルジェット60は、シリンダブロック1に設けられる。より具体的には、オイルジェット60は、潤滑油が通る噴射孔62を形成するジェット形成部材61により構成される。ジェット形成部材61は、この実施形態では、チェーン室11を形成するシリンダブロック1の端部1aの一部分により構成されるが、別の例として、シリンダブロック1とは別個の部材であって、該端部1aに取り付けられる管により構成されてもよい。
軸線方向に平行で、一直線状の噴射孔62は、給油孔40の入口部41に向けて噴射される潤滑油の出口である噴口62aを有する一方、シリンダブロック1に設けられた給油路66に開口する。給油路66は、シリンダブロック1に一体成形されて主軸受8を支持する軸受支持部1cの軸受面に設けられて主軸受8に潤滑油を供給する円弧状の油路67に連通し、該油路67は、シリンダブロック1に設けられてオイルポンプから吐出された潤滑油が導かれるメインギャラリ(図示されず)に連通している。
ジェット形成部材61が専用の部材を使用することなくシリンダブロック1を利用して形成され、しかも噴射孔62が直線状の1つの孔により構成されるので、オイルジェット60の形成が容易になる。
図1を併せて参照すると、噴射孔62または噴口62aは、軸線方向から見て、走行するチェーンCの軌道と、好ましくは連結ピン30の軌道と、噴射孔62または噴口62aの全体または少なくとも一部が重なる位置にある。そして、噴射孔62から噴射された潤滑油の噴射方向は、軸線方向に平行であり、軸線方向から見て、チェーンCの軌道、より好ましくは連結ピン30の軌道と重なる位置にある。
さらに、噴射孔62または噴口62aは、軸線方向から見て、チェーンCにおいて、該チェーンCが巻き掛けられる駆動スプロケット13との噛合開始部C1よりも走行方向Dでの後方で該噛合開始部C1付近に配置される。ここで、噛合開始部C1付近とは、軸線方向から見て、噛合開始部C1からオイルジェット60までのチェーンCに沿う距離が、駆動スプロケット13の歯先円の直径以下となる範囲である。
噛合開始部C1に対するオイルジェット60のこの配置により、オイルジェット60から噴射された潤滑油が噛合開始部C1付近のチェーンCの部分Cnや駆動スプロケット13の歯13a(図4参照)にも供給される。そして、該部分Cnは直後に駆動スプロケット13と噛合することになるので、チェーンCと駆動スプロケット13との噛合に起因する騒音が低減する。
この潤滑構造Aにおいて、内燃機関Eの運転中、オイルジェット60から噴射された潤滑油は、走行するチェーンCの連結ピン30の給油孔40に、軸線方向で噴口62aと対向可能な入口部41から流入する。このとき、給油孔40内の空気が流入する潤滑油により空気抜き孔42からチェーン室11内に排出されるので、潤滑油が貯留部43に流入しやすくなる。貯留部43内の潤滑油は、オイルジェット60から噴射されて給油孔40に流入した潤滑油が有する圧力およびチェーンCの走行時に発生する遠心力などの慣性力により、各注油孔50を通じて連結ピン30の外周面30cに流出し、各第1リンクプレート21の第1ピン孔21a内に供給されて、外周面30cおよび第1ピン孔21aの周面21cとの間を潤滑する。その後、外周面30cと周面21cとの間の隙間を通じて第1ピン孔21aから流出した潤滑油が、軸線方向で注油孔50および第1リンクプレート21を挟んで配置される第2リンクプレート22の周面22cと外周面30cとの隙間から第2ピン孔22a内に供給されて、外周面30cと第2ピン孔22aの周面22cとの間を潤滑する。
そして、図7には、チェーンCの伸びに関して、連結ピン30を有し、かつオイルジェット60から潤滑油が給油孔40に供給されるサイレントチェーンC(本発明)と、連結ピン30を有するものの、オイルジェット60から給油孔40への潤滑油の供給が行われないサイレントチェーン(比較例)とを、他の構造およびチェーンの走行条件等を同一とした条件で試験をしたときの結果が示されている。
図7に示されるように、本発明では、比較例に比べてチェーンの伸びが小さい。また、本発明では、伸び率が初期摩耗による初期伸び率(例えば伸び率e)になった後は、比較例に比べて伸び率の増加が著しく小さく、第1,第2ピン孔21a,22a(図6参照)内での連結ピン30の外周面30cと第1,第2リンクプレート21,22の各周面21c,22cとの間で、良好な潤滑性が持続されることが分かる。さらに、本発明において、オイルジェット60からの給油孔40への給油量を、太い実線で示される場合の給油量に対して1/5に減少させた場合(図中細い実線で示される。)にも、チェーンの伸びが小さく、かつ外周面30cと各周面21c,22cとの良好な潤滑性が持続される。このことから、本発明では、少ない給油量で、外周面30cと各周面21c,22cとの間の潤滑が効率よく行われることが分かる。
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
チェーン伝動装置10に設けられて連結ピン30の外周面30cおよび第1,第2ピン孔21a,22aの周面21c,22cを潤滑するための潤滑構造Aは、連結ピン30に設けられて潤滑油がチェーンCの走行時に流入可能な給油孔40と、連結ピン30に設けられて給油孔40に連通すると共に給油孔40内の潤滑油を外周面30cに導く注油孔50と、給油孔40に流入する潤滑油を供給するオイル供給手段としてのオイルジェット60とから構成され、給油孔40は、連結ピン30の軸線方向での連結ピン30の一端部31および他端部32の間で軸線方向に延びていると共に、一端部31にて開放している入口部41と、他端部32にて開放している開放部である空気抜き孔42とを有する貫通孔であり、オイルジェット60から供給された潤滑油は、チェーンCの走行時に入口部41から給油孔40に流入することにより、連結ピン30に設けられた給油孔40にはチェーンCの走行中にオイルジェット60から供給された潤滑油が供給され、その供給された潤滑油が給油孔40から注油孔50を通って連結ピン30の外周面30cに供給されるので、該外周面30cでの摺動部には連結ピン30の内部から潤滑油が供給されること、および、給油孔40は一端部31および他端部32で開放している貫通孔であるので、連結ピンに設けられた給油孔の奥部が閉塞されているものに比べて、オイルジェット60から供給された潤滑油の、給油孔40への流入が容易になり、給油孔40に十分な量の潤滑油を貯留できることから、外周面30cでの潤滑性が向上して、外周面30cおよび各周面21c,22cでの摩耗が低減し、チェーンCの伸びが抑制される。
また、給油孔40への潤滑油への供給は、チェーンCの走行時にオイルジェット60により行われるので、潤滑油の不足や劣化が防止されて、チェーンCのメンテナンスが容易になる。
さらに、潤滑油が貯留される給油孔40が貫通孔であることにより、給油孔40を塞ぐための閉塞部材が不要になるために部品点数が削減されること、および該閉塞部材を連結ピン30に組み付ける工程が不要になることから、チェーンCのコストが削減される。
入口部41は、一端部31において軸線方向での連結ピン30の端面31aに開口し、オイルジェット60は、入口部41に向かって潤滑油を軸線方向に噴射する。この構造により、オイルジェット60は、軸線方向での連結ピン30の端面31aに開口している入口部41に向けて軸線方向に潤滑油を噴射することが可能な位置に配置されればよいので、オイルジェット60をチェーンCの軌道に沿う広い範囲内の位置に配置することができる。この結果、オイルジェット60の配置の自由度が大きくなって、オイルジェット60に対する伝動装置10の周辺構造による制約が少なくなるので、チェーン伝動装置10に対する潤滑構造Aの適用性が向上する。
給油孔40において連結ピン30の他端部32に設けられた前記開放部は、給油孔40内の空気をチェーン室11に排出する空気抜き孔42であり、空気抜き孔42での潤滑油の流通抵抗は、入口部41での潤滑油の流通抵抗よりも大きいことにより、オイルジェット60から供給される潤滑油が入口部41から給油孔40に流入するとき、空気抜き孔42を通じて給油孔40内の空気がチェーン室11に排出されるので、給油孔40内に潤滑油が流入しやすくなると共に、空気抜き孔42での潤滑油の流通抵抗は入口部41の流通抵抗よりも大きいので、空気抜き孔42からの潤滑油の流出量が抑制される。この結果、給油孔40内に貯留する潤滑油の量を増加させることができるので、連結ピン30の外周面30cでの潤滑性が向上して、外周面30cおよび各周面21c,22cでの摩耗の低減効果、したがってチェーンCの伸びの抑制効果が向上する。
さらに、すべての注油孔50は、大径孔44よりも小径の空気抜き孔42に対して、軸線方向において入口部41寄りで大径孔44である貯留部43に開口していることにより、給油孔40が空気抜き孔42により絞られているために、オイルジェット60から噴射された潤滑油が給油孔40内に流入するとき、貯留部43内の潤滑油は、入口部41から流入した潤滑油により圧力が高められて、注油孔50を通じて連結ピン30の外周面30cに流出しやすくなるので、外周面30cの潤滑性が一層向上する。
チェーンCは、軸線方向に配列されると共に各スプロケット13〜15と噛合する歯21bを有する2つの第1リンクプレート21により構成されるリンク列CLと、軸線方向でリンク列CLを挟んで配置されると共に連結ピン30が挿入される1対の第3ピン孔23aが設けられた1対のガイドプレート23と軸線方向で隣接する第1リンクプレート21の間に配置されると共に各スプロケット13〜15と噛合する歯22bを有する2つの第2リンクプレート22とにより構成されるガイド列CGとを有するサイレントチェーンであり、注油孔50は、第1ピン孔21aと軸線方向での同じ位置で開放していることにより、サイレントチェーンCにおいて、連結ピン30に設けられた給油孔40および注油孔50を通じて第1リンクプレート21の第1ピン孔21aに潤滑油が供給されるので、連結ピン30の外周面30cでの摺動部および第1リンクプレート21の摺動部である周面30cでの摩耗が低減して、サイレントチェーンCの伸びが抑制される。
また、連結ピン30が1対のガイドプレート23に固定されていることにより、第1リンクプレート21では、連結ピン30が固定されたガイドプレート23と共にガイド列CGを構成しているために該ガイドプレート21とほぼ同じ動きをする第2リンクプレート22に比べて、第1リンクプレート21の周面21cと連結ピン30との間での相対的な回動量が大きくなり、したがって該周面21cと連結ピン30との間で摩耗が生じやすい。そこで、注油孔50が、第1ピン孔21aおよび第2ピン孔22aのうちの第1ピン孔21aのみと軸線方向での同じ位置で開放していることにより、連結ピン30との間で摩耗が生じやすい第1リンクプレート21に対して、給油孔40の潤滑油が注油孔50を通じて第1ピン孔21aに効率よく供給されるので、給油孔40に対する給油量を少なくした場合でも、第1ピン孔21a内における連結ピン30の外周面30cでの潤滑性を向上させることができ、したがって第1ピン孔21aの周面21cおよび連結ピン30の外周面30cの摩耗を低減できる。この結果、給油孔40に対する少ない給油量で、第2リンクプレート22の第2ピン孔22aに注油孔が開口している場合に比べてサイレントチェーンCの伸びの抑制効果を高めることができる。
第1リンクプレート21は第2リンクプレート22およびガイドプレート23よりも大きな板厚を有し、注油孔50は、第1〜第3ピン孔21a〜23aのうちの第1ピン孔21aのみと、軸線方向での同じ位置で開放していることにより、板厚が大きいために、ピン孔内での連結ピン30とリンクプレートとの隙間から軸線方向での中央部に潤滑油が供給されにくい第1リンクプレート21の第1ピン孔21aに、給油孔40の潤滑油が注油孔50を通じて供給されるので、板厚が大きい第1リンクプレート21の第1ピン孔21aに供給される潤滑油量が増加して、該ピン孔21の周面21cの摩耗および該第1リンクプレート21が摺接する連結ピン30の外周面30cの摩耗が低減して、チェーンCの伸びが抑制される。
注油孔50の数を、第1,第2リンクプレート21,22およびガイドプレート23のうちで板厚が最も大きい第1リンクプレート21の数に制限することにより、または、注油孔50の数を、第1,第2リンクプレート21,22のうち、ガイド列CGを構成する第2リンクプレート22を除く第1リンクプレート21の数に制限することにより、注油孔50の数を減少させることができるので、連結ピン30の外周面30cでの所要の潤滑性を確保しながら、連結ピン30の強度を高めることができる。
オイルジェット60において潤滑油を噴射する噴口62aおよび噴射孔62は、軸線方向から見て、チェーンCの軌道と重なる位置にあり、かつ、チェーンCが巻き掛けられる駆動スプロケット13とのチェーンCの噛合開始部C1付近であって噛合開始部C1よりも走行方向Dでの後方に配置されることにより、オイルジェット60から噴射された潤滑油は、給油孔40に供給されるほかに、噛合開始部C1および駆動スプロケットの歯13aにも供給される。この結果、オイルジェット60から連結ピン30の給油孔40に向けて噴射される潤滑油の一部を利用して、チェーンCと駆動スプロケット13との噛合に起因する騒音を低減できる。
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した形態について、変更した構成に関して説明する。
入口部は、一端部31において、端面31aにその全体が開口することなく、一部または全体が、外周面30cにおいてチェーン室11に露出している部分30c1(図6参照)に開口していてもよく、同様に、空気抜き孔42は、他端部32において、端面32aにその全体が開口することなく、一部または全体が、外周面30cにおいてチェーン室11に露出している部分30c2(図6参照)に開口していてもよい。
さらに、空気抜き孔42が外周面30cに開口する場合、第3ピン孔23aと軸線方向での同じ位置で開口し、その周面23cに形成された溝を通じてチェーン室11に開放していてもよい。
オイル供給手段であるオイルジェットは、チェーンカバー12に設けられてもよい。
また、オイルジェット60の代わりに、軸線方向から見たときにチェーンCの軌道と重なる位置が、オイルジェット60とは異なる位置であってもよい。例えば、噛合開始部C1と重なる位置にオイルジェットが配置されてもよく、この場合にも駆動スプロケット13とチェーンCとの噛合に起因する騒音が低減する。さらに、図1に二点鎖線で示されるように、シリンダヘッド2をジェット形成部材として、シリンダヘッド2に設けられたオイルジェット60,60であってもよい。この場合、軸線方向から見て、オイルジェット60は、チェーンCにおいて、被動スプロケット14との噛合開始部C2付近であって噛合開始部C2よりも走行方向Dでの後方位置(図示されている位置。)または噛合開始部C2と重なる位置に配置されてもよく、これにより、被動スプロケット14とチェーンCとの噛合に起因する騒音が低減する。また、別の例として、オイルジェット60は、チェーンCにおいて、被動スプロケット14との噛合終了部C3付近と重なる位置に配置されてもよい。
ここで、「付近」とは、軸線方向から見て、オイルジェット60から噛合開始部C2までのチェーンCに沿う距離、または噛合終了部C3からオイルジェット60までのチェーンCに沿う距離が、被動スプロケット14の歯先円の直径、好ましくはその半径以下となる範囲である。
チェーンの軌道の異なる位置に、オイルジェット60と同様の複数のオイルジェットが設けられてもよい。
オイル供給手段は、潤滑油が貯留された油溜であってもよく、この場合には、チェーンCが該油溜の油面下を潜っているときに、入口部41から給油孔40に潤滑油が流入する。
連結ピンがガイドプレートに回動可能に嵌合していて、外周面30cと内面23cが摺動部を構成してもよく、この場合には、潤滑構造Aは第1〜第3ピン孔21a〜23aの周面21c〜23cを潤滑するための潤滑構造となる。
注油孔は、軸線方向で、第2ピン孔22aと同じ位置に設けられてもよく、または第1ピン孔21aおよび第2ピン孔22aの双方と同じ位置に設けられてもよい。
また、第1,第2リンクプレート21,22のうちで、第2リンクプレート22の板厚t2が第1リンクプレート21の板厚t1よりも大きくてもよく、この場合には、注油孔50は、第1ピン孔21aおよび第2ピン孔22aのうちで第2ピン孔22aのみと同じ位置で外周面30cに開口していてもよい。
本発明のチェーン伝動装置に備えられるチェーンは、例えば、プレート要素としての第1リンクプレートおよび第2リンクプレートを有すると共に連結ピンにブッシュを介して支持されるローラを有するローラチェーンなど、サイレントチェーン以外のチェーンであってもよい。
サイレントチェーンにおいて、軸線方向で1対のガイドプレートの間に配置される第1リンクプレートは1つ(すなわち、前記第1所定数が1)であってもよく、この場合には、前記リンク体は1つの第1リンクプレートにより構成され、例えば1対の第2リンクプレートが、軸線方向で第1リンクプレートを挟んで、かつ1対のガイドプレートの間に配置される。
また、サイレントチェーンにおいて、リンク列が複数の第1リンクプレートにより構成される場合、該各第1リンクプレートが、軸線方向で1対の第2リンクプレートに挟まれるように配置されてもよい。
内燃機関は、前記実施形態では車両に使用されるものであったが、鉛直方向を指向するクランク軸を備える船外機等の船舶推進装置に使用されるものであってもよい。
本発明のチェーン伝動装置は、内燃機関において、動弁用以外のポンプ駆動用またはバランサ軸駆動用の伝動装置として使用されてもよく、さらに内燃機関以外の機械、例えば産業機械や搬送装置に備えられる伝動装置として使用されてもよい。
本発明が適用されたチェーン伝動装置を備える内燃機関において、チェーンカバーを外したときの機関本体の端部を、クランク軸の回転中心線方向から見た要部の図である。 図1のII−II線での要部断面図である。 図1のIII矢視でのサイレントチェーンの要部の図である。 図1のチェーン伝動装置のサイレントチェーンの噛合開始部付近の要部拡大図である。 図1のチェーン伝動装置のサイレントチェーンを構成する要素プレートを、連結ピンの軸線方向から見た図であり、(a)は、第1リンクプレートを示し、(b)は、第2リンクプレートを示し、(c)は、ガイドプレートを示す。 図1のVI−VI線に相当する位置での連結ピンの断面図およびオイルジェットの要部断面図である。 サイレントチェーンの駆動時間と伸び率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…シリンダブロック、10…チェーン伝動装置、11…チェーン室、13,14…スプロケット、121,22…リンクプレート、23…ガイドプレート、21a,22a,23a…ピン孔、30…連結ピン、30c…外周面、31…一端部、32…他端部、40…給油孔、41…入口部、42…空気抜き孔、43…貯留部、50…注油孔、60,60,60…オイルジェット,62a…噴口、
E…内燃機関、C…チェーン、A…潤滑構造。

Claims (7)

  1. 1対の第1ピン孔が設けられた複数の第1リンクプレートと、1対の第2ピン孔が設けられた複数の第2リンクプレートと、前記第1ピン孔および前記第2ピン孔に挿入されて前記第1リンクプレートおよび前記第2リンクプレートを連結する複数の連結ピンとを有し、前記連結ピンを介して前記第1リンクプレートおよび前記第2リンクプレートが交互に鎖状に連結されたチェーンを備えるチェーン伝動装置であって、
    前記連結ピンの外周面を潤滑するための潤滑構造が設けられたチェーン伝動装置において、
    前記潤滑構造は、前記連結ピンに設けられて潤滑油が前記チェーンの走行時に流入可能な給油孔と、前記連結ピンに設けられて前記給油孔に連通すると共に前記給油孔内の潤滑油を前記外周面に導く注油孔と、前記給油孔に流入する潤滑油を供給するオイル供給手段とから構成され、
    前記給油孔は、前記連結ピンの軸線方向での前記連結ピンの一端部および他端部の間で前記軸線方向に延びていると共に、前記一端部にて開放している入口部と、前記他端部にて開放している開放部とを有する貫通孔であり、
    前記オイル供給手段から供給された潤滑油は、前記チェーンの走行時に前記入口部から前記給油孔に流入することを特徴とするチェーン伝動装置。
  2. 前記入口部は、前記一端部において前記軸線方向での前記連結ピンの端面に開口し、
    前記オイル供給手段は、前記入口部に向かって潤滑油を前記軸線方向に噴射することを特徴とする請求項1記載のチェーン伝動装置。
  3. 前記開放部は、前記給油孔内の空気を排出する空気抜き孔であり、
    前記開放部での潤滑油の流通抵抗は、前記入口部での潤滑油の流通抵抗よりも大きいことを特徴とする請求項1または2記載のチェーン伝動装置。
  4. 前記チェーンは、前記軸線方向に配列されると共にスプロケットと噛合する歯を有する1または複数の前記第1リンクプレートにより構成されるリンク体と、前記軸線方向で前記リンク体を挟んで配置されると共に前記連結ピンが挿入される1対の第3ピン孔が設けられた1対のガイドプレートおよび前記スプロケットと噛合する歯を有する1または複数の前記第2リンクプレートにより構成されるガイド列と、を有するサイレントチェーンであり、
    前記第1リンクプレートおよび前記第2リンクプレートのそれぞれは、前記連結ピンの前記外周面において摺動可能であり、
    前記注油孔は、前記第1ピン孔または前記第2ピン孔と前記軸線方向での同じ位置で開放していることを特徴とる請求項1から3のいずれか1項記載のチェーン伝動装置。
  5. 前記連結ピンは、前記1対のガイドプレートに固定されており、
    前記注油孔は、前記第1ピン孔および前記第2ピン孔のうちの前記第1ピン孔のみと前記軸線方向での同じ位置で開放していることを特徴とする請求項4記載のチェーン伝動装置。
  6. 前記第1リンクプレートおよび前記第2リンクプレートのうちの一方のリンクプレートは他方のリンクプレートよりも大きな板厚を有し、
    前記注油孔は、前記第1ピン孔および前記第2ピン孔のうちの前記一方のリンクプレートのピン孔のみと前記軸線方向での同じ位置で開放していることを特徴とする請求項4または5記載のチェーン伝動装置。
  7. 前記オイル供給手段において潤滑油を噴射する噴口は、前記軸線方向から見て、前記チェーンの軌道と重なる位置にあり、かつ、前記チェーンが巻き掛けられるスプロケットとの前記チェーンの噛合開始部と重なるように、または前記噛合開始部付近であって前記噛合開始部よりもチェーンの走行方向での後方位置で重なるように配置されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のチェーン伝動装置。
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