JP2009235512A - 電気防食の陽極設置間隔の決定方法及びそれに用いる電極装置 - Google Patents

電気防食の陽極設置間隔の決定方法及びそれに用いる電極装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
コンクリート構造物に線状陽極方式の電気防食処理を行うに際して、適切な陽極設置間隔を迅速かつ正確に決定することが可能な、信頼性の高い電気防食の陽極設置間隔の決定方法や、その決定方法に用いる電極装置を提供すること。
【解決方法】
コンクリート構造物に線状陽極方式の電気防食処理を行うための陽極設置間隔の決定方法において、電極装置1を用いて、複数の線状陽極5を該コンクリート構造物の外部に配置し、前記複数の線状陽極の中から少なくとも2本の線状陽極を選択し、選択された該線状陽極と該コンクリート構造物内の鋼材との間に電流を供給可能とし、選択される該線状陽極を切り換えて、通電する線状陽極の間隔を順次変化させると共に、該電流の供給による該鋼材の電位変化を測定し、該線状陽極の間隔毎の該電位変化の測定結果に基き、電気防食処理時の線状陽極の間隔を決定することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート構造物に線状陽極方式の電気防食処理を行うに際して、電気防食の陽極設置間隔を決定するための方法や、その決定方法に用いる電極装置に関する。
コンクリート構造物中の鉄筋等の鋼材が腐食するのを防止する手段として、コンクリート構造物の表面にチタン等の耐食性金属に白金族貴金属をコーティングしたものを陽極として配置し、鉄筋等の鋼材を陰極として、両者の電極間に防食電流を供給する電気防食処理が知られている。
この電気防食の方式には、通電できる防食電流密度が大きく、防食効果の均一性に優れているチタン等の面状メッシュを用いた面状陽極方式(又は網状陽極方式)と、陽極の設置間隔を変更することで通電できる防食電流密度を変更したり、陽極の耐用年数をコントロールすることが可能なチタン等のリボンメッシュを用いた線状陽極方式(又は帯状陽極方式)とがある(線状陽極方式の例として、特許文献1参照)。
特許第3403152号公報
線状陽極方式の電気防食では、所定期間の陽極の耐久性を確保したうえで、通電できるコンクリート表面積当りの防食電流密度は、陽極の表面積に左右されるため、陽極の設置間隔によって異なる。例えば、陽極の設置間隔が小さいほど、陽極の表面積は大きくなり、所定の陽極耐用年数を確保した上で、通電できるコンクリート表面積当りの防食電流密度を大きく取ることができる。
また、所定の防食効果を得るために必要となる防食電流密度は、コンクリート中の鋼材の腐食程度や鋼材量によって異なり、鋼材の腐食程度が激しいものや鋼材量の多い構造物ほど、所定の防食効果を得るために必要となる防食電流密度は大きくなる。
すなわち、所定の陽極耐用年数を確保し、所定の防食効果を得るために必要となる防食電流密度での通電を行うためには、使用する線状陽極の設置間隔を如何に設定するかが非常に重要となる。
線状陽極の設置間隔を決定する方法としては、従来、(1)環境条件や構造物の塩害劣化損傷程度、塩化物イオン含有量および経済性などを考慮して決定したり、(2)FEM(有限要素法)解析を実施して決定するなどが行われている。これらのうち、上記方法(1)は、現状の蓄績データでの陽極間隔の決定では論理的根拠に乏しく、また、上記方法(2)は、解析に用いる境界条件を如何に定めるかによって、解析結果が大きく異なり、また、実際の構造物においては、この境界条件は、構造物の置かれている環境や適用されているコンクリートの品質によって、異なっている。
そのため、FEM解析などによる陽極設置間隔の決定は、信頼性に欠ける場合もあり、より、具体的な、説得力のある陽極設置間隔の決定方法が必要となる。
本発明が解決しようとする課題は、上述した問題を解決し、コンクリート構造物に線状陽極方式の電気防食処理を行うに際して、対象となるコンクリート構造物の腐食環境に対して適切な陽極設置間隔を迅速かつ正確に決定することが可能な、信頼性の高い電気防食の陽極設置間隔の決定方法や、その決定方法に用いる電極装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、コンクリート構造物に線状陽極方式の電気防食処理を行うための陽極設置間隔の決定方法において、複数の線状陽極を該コンクリート構造物の外部に配置し、前記複数の線状陽極の中から少なくとも2本の線状陽極を選択し、選択された該線状陽極と該コンクリート構造物内の鋼材との間に電流を供給可能とし、選択される該線状陽極を切り換えて、通電する線状陽極の間隔を順次変化させると共に、該電流の供給による該鋼材の電位変化を測定し、該線状陽極の間隔毎の該電位変化の測定結果に基き、電気防食処理時の線状陽極の間隔を決定することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電気防食の陽極設置間隔の決定方法において、前記複数の線状陽極は電解質材料内に配置されることを特徴とする。
電解質材料としては、水、塩水、吸水性ポリマー、セメントペースト、モルタル、コンクリート、保水性材料等が利用可能である。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の電気防食の陽極設置間隔の決定方法において、該電解質材料はモルタルであり、該コンクリート構造物と該モルタルとの間には、水を含む導通層が設けられていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の電気防食の陽極設置間隔の決定方法に用いられる電極装置であって、枠体と、該枠体内に平行に配置固定された複数の線状陽極と、該線状陽極配列の略中央部には照合電極が配置可能に構成されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明により、コンクリート構造物に線状陽極方式の電気防食処理を行うための陽極設置間隔の決定方法において、複数の線状陽極を該コンクリート構造物の外部に配置し、前記複数の線状陽極の中から少なくとも2本の線状陽極を選択し、選択された該線状陽極と該コンクリート構造物内の鋼材との間に電流を供給可能とし、選択される該線状陽極を切り換えて、通電する線状陽極の間隔を順次変化させると共に、該電流の供給による該鋼材の電位変化を測定し、該線状陽極の間隔毎の該電位変化の測定結果に基き、電気防食処理時の線状陽極の間隔を決定するため、構造物に線状陽極を埋め込むなど煩雑な作業を行う必要が無く、また、線状陽極の間隔を順次変化させて正確な鋼材の電位変化が測定できるため、適切な線状陽極間隔を迅速かつ正確に決定することができる。
請求項2に係る発明により、複数の線状陽極は電解質材料内に配置されているため、線状陽極がコンクリート構造物内に配置された状態に近い環境を形成することができ、より正確な鋼材の電位変化を測定することができる。
電解質材料としては、水、塩水、吸水性ポリマー、セメントペースト、モルタル、コンクリート、保水性材料等が利用可能であるが、特に好ましくは、モルタルが利用できる。
このため、請求項3に係る発明により、電解質材料にモルタルを使用し、コンクリート構造物と該電解質材料のモルタルとの間には、水を含む導通層を設けることにより、コンクリート構造物に近い電解質材料を使用する上、さらに電解質材料とコンクリート構造物との導通も図られ、電解質材料とコンクリート構造物があたかも一体的な構造物に近い状態となる。これにより、より一層、線状陽極がコンクリート構造物内に配置された状態に近い環境を形成することができ、さらに正確な鋼材の電位変化を測定することができる。
請求項4に係る発明により、電気防食の陽極設置間隔の決定方法に用いられる電極装置であって、枠体と、該枠体内に平行に配置固定された複数の線状陽極と、該線状陽極配列の略中央部には照合電極が配置可能に構成されているため、構造が簡素化され操作者の取り扱いが容易であり、しかも複数の線状陽極により鋼材の電位変化を一度に多く測定できるため、より迅速かつ正確に適切な線状陽極間隔を決定することができる。
以下、本発明に係る電気防食の陽極設置間隔の決定方法及びそれに用いる電極装置について、詳細に説明する。
図1は、本発明の電極装置1の斜視図であり、図2は、図1における矢印X−Xにおける断面図、さらに、図3は、電極装置1の底面図である。
電極装置1は、非導電性の枠体2と、該枠体内に平行に配置固定された複数の線状陽極5と、該線状陽極配列の略中央部には照合電極7が配置可能に構成されていることを特徴とする。
枠体2は、施工を予定している電気防食工法の種類に応じて、各種の材料が選択できるが、本発明の試験機に設置される陽極材との接触をさけるため、非導電性の材料が好ましい。なお、導電性の材料であってもその表面にゴム、エポキシ樹脂などの絶縁材料が設置されたものであっても良い。例えば、耐震補強と電気防食工法を併用する場合の電気防食工法などでは、陽極材をモルタル内に配置し、モルタル表面に鉄板等の金属材料を設置することが考えられる。このような場合を対象とすると、枠体2の表面には、枠体に金属板の機能を付加するため、枠体の一部又は全部にチタン等のバルブ金属を利用することも可能である。なお、上述したように導電性材料を利用する場合には、枠体内に配置した複数の線状陽極が直接導通しないように、絶縁性部材を介して線状陽極を保持固定する必要がある。また、導電性の枠体を用い、これと陽極が導通した構造の場合でも、陽極設置間隔の異なる枠体内部構造を複数作成し、試験ごとに枠体を変更することで同様の効果を得ることも可能である。
枠体2には、例えば、パイプや蓋などから構成された照合電極設置冶具3が固定されており、冶具3の内部に照合電極7が配置されている。照合電極は電気部品であり、線状陽極などの部品と比べ壊れ易く、容易に交換可能とするため、照合電極設置冶具3に対して出し入れ自在に構成されている。鋼材の電位を測定する際には、照合電極7の先端がコンクリート構造体側に、所定の大きさの力で押し当てられていることが好ましいため、照合電極設置冶具3の内部には照合電極を押圧するスプリング8が設けられている。
また、照合電極7には、検出信号を出力するための信号線4が接続されている。
線状陽極5の枠体2への固定方法としては、例えば、図1の点線で示した場所で、枠体を2つに分け、この2つの部材を合体する際に両部材間に、図1に示すように、線状陽極を配置固定するなど、枠体内部において、個々の線状陽極5が互いに離れ、かつ、該線状陽極5の周囲に電解質材料9を充填できるように、線状陽極5を固定する方法であるなら、特に限定されない。
線状陽極5は、図3に示すように照合電極7を中心に線対象に並列に配置され、L1,L2などのように予め定められた間隔を形成する。
また、線状電極5の周囲にはモルタルなどの電解質材料9が充填されている。電解質材料は、コンクリート構造体を構成する材料と同程度のものが好ましい。
枠体2の開口面側(図2の下側)の周囲には、弾性を有するパッキン6が配置される。このパッキン6の役割は、電極装置1を後述するようにコンクリート構造物の壁面に押し当てる際に、電解質材料9と当該壁面との間に水を含む導通層を配置するため、該導通層に電解質材料9を含む電極装置1を密着させると共に、該導通層内の水が必要以上に電極装置1の外部に漏出し、導通層内の導電性が測定中に大きく変化しないようにしている。
次に、電気防食の陽極設置間隔の決定方法について説明する。
図1乃至3で示した電極装置1を、図4に示すように、コンクリート11に固定配置する。この際、電解質材料とコンクリートとの導通を図るため、不織布などに水を含浸させた導通層10を間に挟んだ状態で、電極装置をアンカーボルトなどを利用し、コンクリート構造物の壁面に固定する。この工程により、複数の線状陽極5をコンクリート構造物の外部に配置することができる。なお、図4に示す符号10は、コンクリート構造物内の鋼材を示す。
また、図4中の符号20の不織布などは、照合電極位置に穴を開け、照合電極側にスポンジなどを取り付け、当該部の電位を測定することも可能である。
電極装置1に設置した線状陽極設を正極とし、また、コンクリート構造物中の存在する鋼材10を事前にはつり出し(不図示)、この鋼材を負極とする。
次に、複数の線状陽極の中から少なくとも2本の線状陽極を選択(選択に際しては、選択された線状電極の中心に照合電極7が位置するように選択することが好ましい。)し、選択された該線状陽極と該コンクリート構造物内の鋼材との間に、つまり、正極と負極との間に、電流を供給する。
選択される線状陽極5を切り換えて、通電する線状陽極の間隔を順次変化させると共に、電流の供給によるコンクリート構造物内の鋼材の電位変化を、照合電極7により測定し、線状陽極5の選択した間隔毎に、鋼材の電位変化を調べる。
電気防食処理において規定の防食基準を満足するために必要な防食電流密度は、通常5〜30mA/m(コンクリート面積当り)程度である。この値は、コンクリート中の鋼材量、塩化物イオン濃度、環境条件及び鋼材の表面状態等によって異なり、例えば、比較的劣化の進行していない鉄筋コンクリート部材では5〜15mA/m程度、劣化が進んだ鉄筋コンクリート部材では15〜30mA/mとなっている。
また、日本エルガード協会が推奨するエルガード工法に用いられる陽極で、NACE(National Association of Corrosion Engineers)が規定する試験(TM0294-94、Item.No.21225)を行い、合格した材料は、40年以上の寿命が保証されている。この試験は、通常通電する電流量の100倍程度の電流を所定期間通電する試験で、言い換えれば、積算電流量での管理試験として位置づけることができる。
例えば、チタンメッシュ陽極(#210)は、大体の目安として、コンクリート表面積当り約21mA/mの通電で40年の寿命が保証され、チタンリボンメッシュ(#100)は、同様に、約10mA/m(300mm間隔設置の場合)の通電で40年の寿命が保障される。
言い換えれば、所定の通電電流密度よりも小さい電流密度で、防食基準(100mVシフト)が達成できれば、陽極材の寿命は、さらに、延びることとなる。また、本現場試験1において適用を検討するチタンリボンメッシュ方式では、陽極の数量を増加(設置間隔を小さくする)することで、防食基準の達成と陽極寿命の確保が可能となる。
例えば、チタンリボンメッシュを30cm間隔で設置した場合、8mA/mの防食電流密度で防食基準が達成できれば、50年の陽極寿命の確保が可能となり、20cm間隔で設置した場合には、15mA/mの通電で40年の陽極寿命、12mA/mの通電で50年の陽極寿命の確保が可能となる。
一方、本現場試験2において適用を検討するチタンリボンメッシュ方式では、本試験装置による試験結果において、非常に分極性が良好であることが確認できた。
これらの評価基準等を考慮して、供給可能な防食電流密度の範囲(例えば、5〜15mA/m)、目標とする防食基準(分極量。例えば、実際施工で100mV以上)が設定される。当然、これらの数値は、電気防食処理を施すコンクリート構造物によって変化する場合がある。
そして、このような条件を満足するように、線状陽極の間隔は決定される。
電極装置1を用いて測定した鋼材の電位変化の結果から、実際の施工を行う線状陽極間隔を決定するには、電極装置1の測定結果と実際の施工後の結果との相関関係を求める必要がある。このためには、同一のコンクリート構造物に対して、電極装置1による試験結果と、図5に示すように、通常の施工と同様にコンクリート11の表面に溝を形成し、その中に線状陽極30を配置し、さらにモルタル32を充填して行う試験結果とを対比することで、相関関係を導出することが可能である。なお、符号31は、線状陽極に給電する電線である。
次に、本発明の電気防食の陽極設置間隔の決定方法の実施例について説明する。
(1)電極装置
陽極設置間隔提案のための仮通電試験に用いる電極装置は、図1乃至3に示した形状であり、枠体2の内部の大きさは、縦(線状陽極の長手方向)260mm×横450mm×高さ20mmとし、照合電極を挟むように、L1=100mm、L2=150mm、以下400mmまで50mm毎増加するように、合計14の線状陽極を配置した。
電解質材料9としてもモルタルを使用した。
(2)電極装置の性状確認試験
作製した仮通電試験装置(電極装置)は、その性状を確認するための試験を実施した。
試験は、陽極被覆モルタル面に不織布(空気清浄機用フィルタ)を設置し、十分に水分を浸み込ませ、図4に示すようにコンクリート表面に固定し、分極試験(E‐logI試験)および10分間の通電を実施した。
また、同一コンクリート面に通常の施工と同様に陽極および照合電極を埋め込み、装置の場合と同様に、分極試験(E‐logI試験)および10分間の通電を実施した。
なお、10分間の通電試験は、分極試験(E‐logI試験)が比較的長時間を要する試験であるため、この時間の短縮の可能性を検討するために実施したものである。
(3)電極装置での試験結果
図6は、陽極設置間隔30cmの場合の電極装置および構造物への施工の分極試験および通電試験結果で、図7は、同様に20cmの場合の試験結果である。なお、この場合の通電電流密度は、陽極長さ当り(m当り)である。
図6及び7から、電極装置は、構造物への実際の施工と比較して分極試験および通電試験の双方とも分極しやすく、これは、電極装置がコンクリート表面での設置面に水分を十分に含んでいること、及び電極装置はコンクリート表面に取り付けてあるため防食対象の鋼材と陽極との間隔が大きくなるため、防食電流がより広がることなどに起因しているためと考えられる。
また、装置と施工の分極性状の違いは、陽極間隔が小さいほど小さくなる傾向があり、図示していないが陽極間隔10cmでは、装置と施工での分極性状の違いは認められなかった。
このことは、鋼材と陽極材との距離が関与しているものと推察され、防食電流の広がりが影響すると考えられる。
図8は、陽極間隔20cmの場合で、陽極4本に通電した場合で、2本分は、4本分の半分の防食電流量である。図8によると施工においては、通電電流量に関係なく分極曲線は同一であるが、電極装置では、2本通電が施工とほぼ同じ分極曲線を示したのに対し、4本通電では、より効率的な分極曲線が得られており、防食電流の広がり(鋼材と陽極の距離等)は、分極曲線に影響を及ぼすことが明らかである。このことは、FEM解析においては、かぶりも境界条件として適用することとなっていることからも、明らかである。
(4)電極装置と施工との相関関係
図9は、通電時間10分間での分極量の電極装置と施工との関係を示した図である。図9に基づくと、電極装置は施工の2倍以内の分極性能を示しており、電極装置での試験結果で200mV以上の分極が確保できる陽極設置間隔の採用が、一つの目安となることが理解される。
(5)現場試験1
塩害による劣化損傷が比較的進行した単純ポストテンションPCT桁の橋梁に、電極装置を設置し、以下の試験条件で試験を行った。
1.PC桁側面30cm間隔,通電電流量;1.73mA/52cm(10mA/m;コンクリート表面積当り)
2.PC桁側面20cm間隔,通電電流量;2.08mA/52cm(12mA/m;コンクリート表面積当り)
3.PC桁底面30cm間隔,通電電流量;1.73mA/52cm(10mA/m;コンクリート表面積当り)
4.PC桁底面20cm間隔,通電電流量;2.08mA/52cm(12mA/m;コンクリート表面積当り)
図10に吾妻歩道橋における陽極設置間隔試験の試験結果を示す。この試験結果に基づくと、上述した電極装置と施工との相関関係である、電極装置での分極200mVは、陽極設置間隔20cmで達成されており、また、この20cmでの通電電流密度は、コンクリート表面に換算して12mA/mであるため、概算の陽極耐用年数50年が確保できている。
(6)現場試験2
塩害による劣化損傷が比較的軽微な直杭式桟橋に、電極装置電極装置を設置し、以下の試験条件で試験を行った。
1.床版下面30cm間隔,通電電流量;1.73mA/52cm(10mA/m;コンクリート表面積当り)
2.梁側面30cm間隔,通電電流量;1.73mA/52cm(10mA/m;コンクリート表面積当り)
3.梁底面30cm間隔,通電電流量;1.73mA/52cm(10mA/m;コンクリート表面積当り)
図11に現場試験2における陽極設置間隔試験の試験結果を示す。この試験結果に基づくと、最も分極性が劣る梁底面においても、30cm間隔、10mA/m(コンクリート表面積当り)の通電で、分極400mVが得られたため、「コンクリート構造物の電気防食Q&A、設計Q10(pp.101-102)」などを参考とし、陽極の設置間隔を30cmとする。
以上のように本発明によれば、コンクリート構造物に線状陽極方式の電気防食処理を行うに際して、適切な陽極設置間隔を迅速かつ正確に決定することが可能な、信頼性の高い電気防食の陽極設置間隔の決定方法や、その決定方法に用いる電極装置を提供することが可能となる。
本発明の電極装置の斜視図である。 図1の矢印X−Xにおける断面図である。 本発明の電極装置の底面図である。 本発明の電極装置をコンクリート構造物に設置した際の断面図である。 線状陽極を実際に施工した際の断面図である。 陽極設置間隔30cmの場合の通電試験結果を示すグラフである。 陽極設置間隔20cmの場合の通電試験結果を示すグラフである。 陽極設置間隔20cmの場合の2本又は4本の線状陽極に通電した試験結果を示すグラフである。 電極装置と実際の施工との相関関係を示すグラフである。 現場試験1の結果を示すグラフである。 現場試験2の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 電極装置
2 枠体
3 照合電極設置冶具
4 信号線
5,30 線状陽極
6 パッキン
7 照合電極
8 スプリング
9 電解質材料
10 鋼材
11 コンクリート
20 導通層
31 電線
32 モルタル

Claims (4)

  1. コンクリート構造物に線状陽極方式の電気防食処理を行うための陽極設置間隔の決定方法において、
    複数の線状陽極を該コンクリート構造物の外部に配置し、
    前記複数の線状陽極の中から少なくとも2本の線状陽極を選択し、選択された該線状陽極と該コンクリート構造物内の鋼材との間に電流を供給可能とし、
    選択される該線状陽極を切り換えて、通電する線状陽極の間隔を順次変化させると共に、該電流の供給による該鋼材の電位変化を測定し、
    該線状陽極の間隔毎の該電位変化の測定結果に基き、電気防食処理時の線状陽極の間隔を決定することを特徴とする電気防食の陽極設置間隔の決定方法。
  2. 請求項1に記載の電気防食の陽極設置間隔の決定方法において、前記複数の線状陽極は電解質材料内に配置されることを特徴とする電気防食の陽極設置間隔の決定方法。
  3. 請求項2に記載の電気防食の陽極設置間隔の決定方法において、該電解質材料はモルタルであり、該コンクリート構造物と該モルタルとの間には、水を含む導通層が設けられていることを特徴とする電気防食の陽極設置間隔の決定方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の電気防食の陽極設置間隔の決定方法に用いられる電極装置であって、
    枠体と、
    該枠体内に平行に配置固定された複数の線状陽極と、
    該線状陽極配列の略中央部には照合電極が配置可能に構成されていることを特徴とする電極装置。
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