JP2009234471A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の制御装置において、適切に障害物を回避することを可能とする。
【解決手段】車両の制御装置は、運転者が車両を実際に操舵した実操舵量を取得する取得手段(100等)と、取得された実操舵量に応じた操舵力を前記車両の少なくとも前車輪に付与する付与手段(17)と、車両の進行方向における障害物を検知する検知手段(21)と、検知された障害物と前記車両とが衝突する衝突時間を算出する算出手段(100)と、算出された衝突時間に基づいて、障害物を回避するために目標となる目標操舵量の所定範囲を特定する特定手段(100)と、取得された実操舵量が所定範囲内にある場合、操舵力を付与するように付与手段を制御し、取得された実操舵量が所定範囲内にない場合、操舵力に加えて障害物の回避を補助するための補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御する制御手段(100)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばEPS(Electronic controlled Power Steering:電子制御式パワーステアリング装置)等を備えた車両を制御する車両の制御装置の技術分野に関する。
この種の車両の制御装置として、運転者による車両の操舵方向が、障害物を回避するのに安全な方向である場合、自動制御の操舵を終了し、障害物を回避するのに危険な方向である場合、自動式の操舵制御を継続する技術について提案されている(例えば特許文献1を参照)。
また、この種の車両の制御装置として、規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差に基づいて、障害物を回避するために付与するアシストトルクの値を決定する技術について提案されている(例えば特許文献2等を参照)。
また、この種の車両の制御装置として、例えばターンシグナル等の方向指示器の作動時には、運転者による操舵の修正処理を停止する技術について提案されている(例えば特許文献3等を参照)。
特開平7−129897号公報 特開2007−8402号公報 特開2003−81115号公報
しかしながら、上述した特許文献1等によれば、運転者による車両の操舵方向が安全な方向であったとしても、操舵角や操舵角速度が不足している場合、又は過剰な場合には、障害物を回避することができない可能性があるという技術的な問題点が生じる。
そこで、本発明は、例えば上記の問題点に鑑みなされたものであり、適切に障害物を回避することが可能な車両の制御装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る車両の制御装置は、運転者が車両を実際に操舵した実操舵量に応じた操舵力を前記車両の車輪に付与する付与手段と、前記車両の進行方向における障害物を検知する検知手段と、前記検知された障害物と前記車両とが衝突する衝突危険度を算出する算出手段と、前記算出された衝突危険度に基づいて、前記障害物を回避するために目標となる目標操舵量の基準値を特定する特定手段と、前記実操舵量と、前記特定された基準値との比較に基づいて、前記操舵力に加えて又は代えて前記障害物の回避を補助するための補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御する制御手段とを備える。
本発明に係る車両の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る制御手段の制御下で、車両が走行する。
付与手段によって、運転者が車両を実際に操舵した実操舵量に応じて、車輪に操舵力が付与される。典型的には、車両の前車輪及び後車輪のうち少なくとも前車輪に操舵力が付与される。ここに、本発明に係る実操舵量とは、運転者によって実際に指示された、車両の直進方向と前車輪(又は後車輪)の駆動方向との間の角度に関する物理量を意味してよい。典型的には、運転者によって実際に指示された車両の操舵角若しくは操舵角速度を意味してよい。本発明に係る「操舵力」は、車両の直進方向を基準にして横方向又はヨーイング方向(横ぶれ方向)に前車輪又は後車輪に付加される力を意味してよい。特に、この「操舵力」は、力の大きさを意味することに加えて、力の方向を意味してよい。典型的には、操舵力は、ハンドルを介して与えられる操舵トルクを意味する。或いは、操舵力は、当該操舵トルクが、ハンドルを含む操舵装置を適宜介して変換されてなる、車輪を左右方向に動かす物理力等を指す。尚、ハンドルを含む操舵装置は、例えばステアリングシャフト、ラックアンドピニオン式やボールナット式等の各種態様を採り得る操舵機構、及びタイロッド等により構成されてよい。本発明に係る「実操舵量に応じた操舵力」とは、上述の実操舵量から一義的に特定可能な操舵力を意味してよい。典型的には、この操舵力は、例えばギア比等の機械的或いは機構的に上述の実操舵量から直接的に特定されてよい。或いは、上述の実操舵量に、例えば利得等の所定係数が乗算されることによって間接的に特定されてよい。本発明に係る「付与手段」とは、例えば操舵対象となる車輪に対し、ハンドルやステアリングホイール等の操舵指示手段を介して運転者等により与えられる操舵力を補助する補助操舵力を付与可能な手段を包括する概念である。この付与手段における、例えば電気的、機械的或いは物理的な態様は、このような概念が担保される限りにおいて、何ら限定されない趣旨である。
検知手段によって、車両の進行方向における障害物が検知される。ここに、本発明に係る「検知」とは、障害物の存在を示す何らかの物理量やパラメータを、直接的に「検知」、「識別」、「区別」、「認識」等することを意味する。更に、障害物の存在を示す何らかの物理量やパラメータを、間接的に「検出」、「測定」、「計測」等する意味を含んでいてもよい。典型的には、検知手段によって、車両と障害物との距離が検出や測定されてよい。
算出手段によって、検知された障害物と車両とが衝突する衝突危険度が算出される。ここに、衝突危険度とは、検知された障害物と車両とが衝突する可能性の大小を示す値である。典型的には、検知された障害物と車両とが衝突するまでの衝突時間、或いは、検知された障害物と車両との距離を挙げることができる。また、本発明に係る「算出」とは、所定の関数、所定の実験式、所定の理論式又はシミュレーション等に基づいて、衝突時間を「算出」、「演算」、「計算」等することを意味する。
特定手段によって、算出された衝突危険度に基づいて、障害物を回避するために目標となる目標操舵量の基準値が特定される。ここに、本発明に係る「特定」とは、目標操舵量の基準値を示す何らかの物理量やパラメータを、直接的に「特定」、「識別」、「区別」、「認識」等することを意味する。更に、目標操舵量の基準値を示す何らかの物理量やパラメータを、間接的に「検出」、「算出」、「測定」、「計測」等する意味を含んでいてもよい。典型的には、特定手段によって、障害物を回避するために運転者によって指示される必要のある車両の操舵角の基準値若しくは操舵角速度の基準値が特定されてよい。
特に、制御手段の制御下で、実操舵量と、基準値との比較に基づいて、付与手段によって、操舵力に加えて又は代えて障害物の回避を補助するための補助操舵力を付与される。
言い換えると、実操舵量と、基準値との比較に基づいて、車両の運転者には障害物を回避する意思の有無を推定することができると共に、運転者による障害物を回避するための回避操舵の操作は適切であるか否かを判定することができる。これにより、車両の運転者には障害物を回避する意思が有ると推定されたり、運転者による障害物を回避するための回避操舵の操作は適切であると判定される場合、運転者による車両の回避操舵を優先させつつ、実操舵量に応じた操舵力を付与可能である。
他方、実操舵量と、基準値との比較に基づいて、車両の運転者には障害物を回避する意思が無いと推定されたり、運転者による障害物を回避するための回避操舵の操作は適切でないと判定される場合、付与手段によって、操舵力に加えて障害物の回避を補助するための補助操舵力が付与される。ここに、本発明に係る「補助操舵力」とは、制御手段の制御下で、車両の複数の車輪に夫々付与される障害物の回避を補助するための操舵力である。典型的には、制御手段の制御下で、車両の複数の車輪に夫々付与される制動力、操舵角、又は操舵角速度を意味してよい。この補助操舵力は、上述した運転者が車両を実際に操舵した実操舵量に応じた操舵力とは異なる趣旨である。尚、この補助操舵力とは、例えばモータ等の電動機から出力されるモータトルク等であってもよいし、そのようなモータトルクが適宜変換されてなる、上述した物理力を増加又は減少させる補助的な物理力であってもよい。
このように、制御手段の制御下で、実操舵量と、基準値との比較に基づいて、付与手段によって、操舵力に加えて又は代えて補助操舵力が付与される。従って、典型的には、障害物を回避するための操舵角又は操舵角速度が不足している場合、或いは、障害物を回避するための操舵角又は操舵角速度が過剰な場合には、補助操舵力が付与されるので、車両が障害物を的確、安全且つ迅速に回避することができる。
この結果、従って、車両の走行状態に適切に対応して、適切なタイミングで、操舵力に加えて又は代えて補助操舵力を付与することができ、車両が障害物を的確、安全且つ迅速に回避することができる。
仮に、運転者が車両を実際に操舵した実操舵量が考慮されることなく、制御手段の操舵制御下で、例えば車両の走行状態等の運転者の意思とは無関係な各種のパラメータに基づいて、操舵力に加えて又は代えて補助操舵力を付与された場合、運転者が車両を実際に操舵した実操舵量と、制御手段の操舵制御とが互いに悪影響を及ぼしたり干渉しあったりして、運転者に、運転者自らが意図する操舵操作が妨げられているという違和感を心理的に与えてしまう可能性が生じ、ひいては、車両が障害物を適切に回避することが技術的に困難となってしまう。
本発明に係る車両の制御装置の一の態様では、前記実操舵量を取得する取得手段を更に備え、前記付与手段は、前記取得された実操舵量に応じた操舵力を前記車両の少なくとも前車輪に付与し、前記算出手段は、前記衝突危険度として、前記検知された障害物と前記車両とが衝突する衝突時間を算出し、前記特定手段は、前記算出された衝突時間に基づいて、前記障害物を回避するために目標となる目標操舵量の所定範囲を特定し、前記制御手段は、前記取得された実操舵量が前記所定範囲内にある場合、前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御し、前記取得された実操舵量が前記所定範囲内にない場合、前記操舵力に加えて前記障害物の回避を補助するための補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御する。
この態様によれば、先ず、取得手段によって、運転者が車両を実際に操舵した実操舵量が取得される。と同時に又は相前後して、付与手段によって、取得された実操舵量に応じて、車両の前車輪及び後車輪のうち少なくとも前車輪に操舵力が付与される。算出手段によって、衝突危険度として、検知された障害物と車両とが衝突する衝突時間が算出される。
特定手段によって、算出された衝突時間に基づいて、障害物を回避するために目標となる目標操舵量の所定範囲が特定される。典型的には、特定手段によって、障害物を回避するために運転者によって指示される必要のある車両の操舵角の所定範囲若しくは操舵角速度の所定範囲が特定されてよい。
特に、制御手段の制御下で、取得された実操舵量が所定範囲内にある場合、付与手段によって、取得された実操舵量に応じた操舵力が付与される。言い換えると、取得された実操舵量が所定範囲内にある場合、車両の運転者には障害物を回避する意思があることが推定できると共に、運転者による障害物を回避するための回避操舵の操作は適切であると判定することができる。これにより、運転者による車両の回避操舵を優先させつつ、取得された実操舵量に応じた操舵力が付与される。典型的には、運転者による回避操舵を開始した時点以降、車両の挙動を安定させることを主目的とした車両の走行制御が行われてよい。具体的には、車両の横ぶれを減少させたりブレーキの作動による車両の制動力の時間変化を減少させたりして、車両が走行する慣性モーメントが維持されてよい。
他方、取得された実操舵量が所定範囲内にない場合、付与手段によって、操舵力に加えて障害物の回避を補助するための補助操舵力が付与される。言い換えると、取得された実操舵量が所定範囲内にない場合、車両の運転者には障害物を回避する意思がないことを推定でき、運転者による回避操舵は適切ではないと判定することができる。或いは、取得された実操舵量が所定範囲内にない場合、車両の運転者には障害物を回避する意思があるが、運転者の心理的な動揺により、回避操舵は急激に変化しており、例えばアンダーステア状態を発生させ、運転者による回避操舵は適切ではないと判定することができる。これにより、付与手段によって、運転者による車両の回避操舵に加えて、障害物の回避を補助するための補助操舵力が付与される。典型的には、障害物を回避するための回避軌跡を車両に的確且つ迅速に走行させることを主目的とした車両の走行制御が行われてよい。具体的には、車両が回避軌跡を走行させるように車両の進行方向を基準にして左側の車輪に作動させる制動力と、右側の車輪に作動させる制動力との間に差を発生させてよい。或いは、アンダーステア状態を打ち消すために、前車輪の操舵角を減少させたりゼロに近づけることに加えて又は代えて、後車輪の操舵角を前車輪の操舵角と逆方向に形成させてよい。
このように、制御手段の制御下で、運転者が車両を実際に操舵した実操舵量が所定範囲内にあるか否かによって、付与手段によって、操舵力に加えて又は代えて補助操舵力が付与される。従って、典型的には、障害物を回避するための操舵角又は操舵角速度が不足している場合、或いは、障害物を回避するための操舵角又は操舵角速度が過剰な場合には、補助操舵力が付与されるので、車両が障害物を的確、安全且つ迅速に回避することができる。
この結果、従って、車両の走行状態に適切に対応して、適切なタイミングで、操舵力に加えて又は代えて補助操舵力を付与することができ、車両が障害物を的確、安全且つ迅速に回避することができる。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、(i)前記実操舵量が前記目標操舵量の所定範囲内にある場合、前記運転者が前記障害物を回避する回避意思が有ると判定し、(ii)前記実操舵量が前記所定範囲の上限値より大きい場合、前記回避意思が有ると判定し、(iii)前記実操舵量が前記所定範囲の下限値より小さい場合、前記運転者が前記障害物を回避する意思が無いと判定する判定手段を更に備え、前記制御手段は、前記判定された回避意思の有無に応じて、前記操舵力に加えて前記補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御する。
この態様によれば、判定された運転者の回避意思の有無に応じて、車両の走行状態に適切に対応して、適切なタイミングで、操舵力に加えて又は代えて補助操舵力を付与することができ、車両が障害物を的確、安全且つ迅速に回避することができる。尚、所定範囲の上限値又は下限値によって、本発明に係る基準値の一例が構成されている。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記制御手段は、(i)前記実操舵量が前記目標操舵量の所定範囲内にある場合、前記車両が走行する慣性モーメントを維持しつつ前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御し、(ii)前記実操舵量が前記所定範囲の上限値より大きい場合、前記補助操舵力として、前記車両のアンダーステア状態を打ち消す第1補助操舵力に加えて前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御し、(iii)前記実操舵量が前記所定範囲の下限値より小さい場合、前記補助操舵力として、前記障害物を回避するための回避軌跡を前記車両に走行させる第2補助操舵力に加えて前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御する。
この態様によれば、実操舵量と、目標操舵量における所定範囲と、この所定範囲の上限値と、所定範囲の下限値との比較に応じて、車両の走行状態に適切に対応して、適切なタイミングで、操舵力に加えて又は代えて補助操舵力を付与することができ、車両が障害物を的確、安全且つ迅速に回避することができる。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記算出された衝突危険度の大きさに基づいて、前記障害物の回避における緊急度合いを決定する決定手段を更に備え、前記制御手段は、前記決定された緊急度合いが所定値より小さい場合、前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御し、前記決定された緊急度合いが前記所定値より大きい場合、前記操舵力に加えて又は代えて前記補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御する。
この態様によれば、決定された緊急度合いと所定値との比較に基づいて、補助操舵力の付与の可否が決定されるので、より効率的に操舵力に加えて又は代えて補助操舵力を付与することができる。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記算出手段は、前記衝突危険度として、前記検知された障害物と前記車両とが衝突する衝突時間を算出し、前記目標操舵量の所定範囲の下限値は、前記算出された衝突時間が短くになるに従って大きくなるように設定され、前記所定範囲の上限値は、前記車両が前記障害物を回避するための回避軌跡と前記車両の直進方向との角度に加えて又は代えて前記車両が走行する路面状態に基づいて設定される。
この態様によれば、車両と障害物とが衝突する要因となる上述の衝突時間、回避軌跡と車両の直進方向との角度、及び路面状態に応じて、所定範囲を高精度に定義できるので、車両が障害物をより的確、安全且つ迅速に回避することができる。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記車両の進行方向を示す指標を前記運転者の指示に応じて表示する表示手段を更に備え、前記制御手段は、前記指標が表示される場合、前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御し、前記指標が表示されない場合、前記操舵力に加えて又は代えて前記補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御する。
この態様によれば、運転者によって指標が表示されるか否かに基づいて、補助操舵力の付与の可否が決定されるので、より効率的に操舵力に加えて又は代えて補助操舵力を付与することができる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
(発明の実施形態)
以下、適宜図面を参照して本発明の車両の制御装置に係る実施形態について説明する。
(基本構成)
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、本実施形態に係る車両10の基本的な構成を概念的に示す概略構成図である。
図1に示すように、車両10は、操舵輪又は駆動輪として左右一対の前輪若しくは前車輪FL及びFRを備え、これら前輪が操舵されることにより所望の方向に進行することが可能に構成されている。加えて、駆動輪として左右一対の後輪若しくは後車輪RL及びRRを備え、これら後輪が駆動されることにより所望の方向に進行することが可能に構成されている。尚、後輪は駆輪に加えて操舵輪であってよい。これら4つの車輪FL、FR、RL及びRRには、ブレーキ等の制動手段S1、S2、S3及びS4が夫々備えられている。
車両10は、ECU100、EPS200及びエンジン300を備える。
ECU100は、夫々不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、車両10の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「取得手段」、「制御手段」及び「特定手段」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、EPS200を制御するための後述するトルクステア抑制処理を実行することが可能に構成されている。
EPS200は、所謂電動式パワーステアリング装置であり、操舵輪である前輪FL及びFRを、運転者によるステアリングホイール11の操作に応じて操舵することが可能に構成されている。
EPS200には、ラックアンドピニオン式の操舵方式が採用されており、ステアリングホイール11に一方の端部が接続されるステアリングシャフト12と、当該ステアリングシャフト12の他方の端部に接続されるラックアンドピニオン機構13とが備わっている。尚、EPS200には、例えばボールナット式等、他の操舵方式が採用されていても構わない。
ラックアンドピニオン機構13は、ステアリングシャフト12の回転方向の力を、ラックバー14の往復動方向の力に変換することが可能に構成される。また、ラックバー14の両端は、タイロッド(符号省略)を介して前輪FL及びFRに連結されており、ラックバー14の往復運動に応じて、前輪FL及びFRの向きが変わる構成となっている。
EPS200には、ステアリングホイール11の回転角度である操舵角δを検出することが可能に構成された舵角センサ15及びステアリングホイール11の操作を介してステアリングシャフト12に加えられる操舵トルクMTを検出することが可能に構成されたトルクセンサ16が備わる。舵角センサ15及びトルクセンサ16は、夫々ECU100と電気的に接続されており、夫々検出された操舵角δ及び操舵トルクMTは、ECU100により絶えず、或いは一定又は不定の周期毎に把握される構成となっている。
また、EPS200には、モータ17が備わる。モータ17は、運転者の操作負担を軽減する補助操舵力としてアシストトルクを発生させると共に、不図示の減速ギアを介してステアリングシャフト12に当該アシストトルクを付与することが可能に構成された、本発明に係る「付与手段」の一例である。モータ17は、例えばインバータ等を含む不図示のモータ制御系を介してECU100と電気的に接続されており、その動作状態がECU100により制御される構成となっている。尚、モータ17から出力されるアシストトルクは、必ずしもステアリングシャフト12に付与されずともよく、例えば、ラックアンドピニオン機構13におけるピニオンギアに、当該ピニオンギアの回転をアシストすべく付与されてもよいし、ラックバー14に当該ラックバーの往復運動をアシストすべく付与されてもよい。
車両10は、前後Gセンサ18、車速センサ19及びスロットル開度センサ20を備える。
前後Gセンサ18は、車両10の前後方向に作用する加速度(即ち、前後G)Gxを検出することが可能に構成されたセンサである。前後Gセンサ18は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車両10の前後Gは、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期毎に把握される構成となっている。
車速センサ19は、車両10の速度(即ち、車速)Vを検出することが可能に構成されたセンサである。車速センサ19は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期毎に把握される構成となっている。
スロットル開度センサ20は、エンジン300におけるスロットルバルブの開度(即ち、スロットル開度)Thrを検出することが可能に構成されたセンサである。スロットル開度センサ20は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたスロットル開度は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期毎に把握される構成となっている。
エンジン300は、ガソリンを燃料とし、車両10の動力源として機能するように構成された内燃機関であり、例えば、4気筒、6気筒、8気筒又は12気筒等、複数の気筒を備え、また夫々の気筒の配置態様に応じて直列型、V型或いは水平対向型等の各種態様を採る。エンジン300における、不図示のクランクシャフトから出力される駆動力は、不図示のデファレンシャル及びドライブシャフト等を適宜介して、操舵輪たる前輪FL及びFRに付与される。即ち、車両10は、FF車両として構成されている。尚、車両10の駆動形態は、無論FFに限定されず、例えば前輪FL及びFRに加えて不図示の後輪が駆動される、四輪駆動の形態を採ってもよい。
カメラ21は、車両の進行方向における障害物を撮像し、撮像した画像の画像データを信号処理Unit22へ出力する。このカメラ21によって、本発明に係る検知手段の一具体例が構成されている。
信号処理Unit22は、入力された画像データを画像処理する。ECU100は、この画像処理の結果によって、車両の進行方向における障害物の存在を検知し、この検知された障害物と、車両との距離に加えて、車両と障害物との相対速度に基づいて車両と障害物とが衝突する衝突時間を算出する。ECU100は、算出された衝突時間に基づいて、障害物を回避するために目標となる目標操舵角の所定範囲又は目標操舵角速度の所定範囲を特定する。これらのECU100及び信号処理Unit22によって、本発明に係る算出手段の一具体例が構成されている。また、ECU100によって、本発明に係る特定手段の一具体例が構成されている。
また、車両が進行する方向を示す方向指示器として、ウインカW1、W2を備えている。このウインカW1、W2によって本発明に係る「表示手段」の一具体例が構成されている。
(動作原理)
次に、図2から図5に加えて後述される図6から図8を参照して、本実施形態に係る車両の制御装置の動作原理について説明する。ここに、図2は、本実施形態に係る車両を統括制御するECUの制御処理の流れを示したフローチャートである。尚、この制御処理は、ECU100によって、例えば、数十μ秒、又は数μ秒等の所定の周期で繰り返し実行される。図3は、本実施形態に係る車両と障害物との衝突時間を算出するための物理量の一具体例を概念的に示した模式図である。図4は、本実施形態に係る緊急度合いと衝突時間との相関関係の一具体例を模式的に示したグラフである。図5は、本実施形態に係る所定範囲の下限値の一及び他の具体例と緊急度合いとの相関関係を模式的に示したグラフ(図5(a)及び図5(b))である。
図2に示されるように、先ず、ECU100の制御下で、カメラ等の撮像手段によって検知された障害物と車両とが衝突するまでの衝突時間Δtが算出される(ステップS101)。具体的には、図3及び次の式(1)に示されるように、カメラ等によって検知された障害物と車両との距離Lを、車両の走行速度Vで乗算することによって衝突時間Δtが算出される。
距離L / 走行速度V = 衝突時間Δt ……… (1)
尚、走行速度Vは、例えば障害物も移動している場合、障害物と車両との相対速度を意味してよい。
次に、ECU100の制御下で、算出された衝突時間Δtから緊急度合いDeが一義的に決定され、閾値Eより大きいか否かが判定される(ステップS102)。ここに、本実施形態に係る緊急度合いDeとは、車両が障害物に実際に衝突する可能性を意味してよい。この緊急度合いDeは、具体的には、図4に示されるように、衝突時間Δtが短くなるに従って線形的に又は非線形的に大きくなるように規定してよい。尚、この緊急度合いと衝突時間との相関関係は、多数の運転者の運転技能を定量化及び定性化させた所定モデルを理論的、経験的、実験的、及びシミュレーション等によって、衝突時間Δtが短くなるに従って緊急度合いが大きくなるように規定してよい。またこの閾値Eとは、衝突時間が例えば2や3秒等の所定時間である場合における緊急度合いの値を意味してよい。
上述のステップS102の判定の結果、算出された衝突時間Δtから一義的に決定された緊急度合いDeが、閾値Eより大きいと判定される場合、運転者の障害物の回避意思の判定処理が開始され(ステップS102:Yes)、障害物を回避するために目標となる目標操舵角の所定範囲が特定されると共に、障害物を回避するために目標となる目標操舵角速度の所定範囲が特定される(ステップS103)。具体的には、この目標操舵角の所定範囲は、上限値MAth3及び下限値MAth2によって規定される。また、この目標操舵角速度の所定範囲は、上限値ωe及び下限値ωth2によって規定される。尚、本実施形態に係る目標操舵角の所定範囲によって、本発明に係る「所定範囲」の一具体例が構成されている。また、本実施形態に係る目標操舵角速度の所定範囲によって、本発明に係る「所定範囲」の他の具体例が構成されている。
詳細には、この目標操舵角速度の所定範囲の上限値ωeは、次のようにして求めることができる。
(目標操舵角速度の所定範囲の上限値ωeの決定手法)
具体的には、上述した図3に示されるように、車両が障害物を回避するために車両が進行方向を基準にして、左右方向における左側及び右側のうちいずれか一方側に旋回する場合における、進行方向と垂直な方向に車両がずれる距離ΔY(以下、適宜、回避距離ΔYと称す)を一定値とする。また、上述の図3に示されるように、カメラ等によって検知された障害物と車両との距離を距離Lとし、その瞬間の車両の走行速度を走行速度Vとする。この場合、車両が障害物を回避するために必要なヨーレート(YawRate)の値Yrは、次の式(2)によって求めることができる。
Yr={V/L}・sin-1(ΔY/L) ……… (2)
尚、sin-1は、関数sinの逆関数を意味する。また、回避距離ΔYは、例えば車両の幅などの一定値としたが、上述したカメラ等によって撮像された障害物の大きさに応じて変化させてよい。
次に、ヨーレートYrを発生させるために必要な目標操舵角MAaは、次の式(3)によって求めることができる。
MAa=[n・Wb/{L(1+Kh・V^2)}]・(sin-1(ΔY/L))
……… (3)
但し、
n:ステアリングギア比
Wb:ホイールベース(即ち、車両の前輪と後輪との間の長さ)
Kh:スタビリティファクター(即ち、所定係数)
V^2:Vを2乗した値
である。
本実施形態では、式(3)に示された目標操舵角MAaから上述の目標操舵角速度の所定範囲の上限値ωeを一義的に求めてよい。
目標操舵角の所定範囲の上限値MAth3は、上述した距離L、回避距離ΔY、走行速度V、ステアリングギア比n、ホイールベースWb、スタビリティファクターKhに加えて、車両に関する各種の物理量又は車両の走行状態に関する各種の物理量から求めることができる障害物を回避可能な操舵角の最大値を意味してよい。特に、この目標操舵角の所定範囲の上限値MAth3は、例えば車両が走行している路面状況を定量的に演算できる場合、可変になるようにしてよい。
目標操舵角の所定範囲の下限値MAth2は、運転者の回避意思があるか否かの判断のための操舵角の下限閾値とし、例えば、直進走行における操舵角のばらつきを示す値より大きい値となるように設定してよい。この目標操舵角の所定範囲の下限値MAth2から上述の目標操舵角速度の所定範囲の下限値ωth2を一義的に求めてよい。
特に、上述の目標操舵角の所定範囲の下限値MAth2、又は、上述の目標操舵角速度の所定範囲の下限値ωth2は、図5(a)及び図5(b)に示されるように、前述した緊急度合いDeを変数とする線形関数や非線形関数によって可変となるように設定してよい。これにより、緊急度合いが大きくなるに従って、運転者の回避意思がないことの判断をより早いタイミングで行うことができ、障害物をより安全に回避することができる。
(動作原理:続き)
再度、図2に戻り、上述したステップS103における、障害物を回避するために目標となる目標操舵角の所定範囲が特定され、障害物を回避するために目標となる目標操舵角速度の所定範囲が特定された後、ECU100の制御下で、本実施形態に係る運転者の回避意思の判定、及び、この判定に対応して補助操舵力を付与させるか否かの制御処理を、運転者によるウインカーの作動状況に応じて、解除させるか否かが判定される(ステップS104)。具体的には、運転者によるウインカーの作動が行われているか否かが判定される。
特に、この運転者によってウインカーが作動された後、一定時間だけ経過しても運転者によって実際に車両が操舵されなく、実操舵角速度ω又は実操舵角MAがECU100によって取得されない場合、再度、上述のステップS104に戻り、運転者によるウインカーの作動状況に応じて、解除させるか否かが判定されてよい。
上述のステップS104の判定の結果、運転者によるウインカーの作動状況に応じて、解除させないと判定される場合、典型的には、運転者によるウインカーの作動が行われていないと判定される場合(ステップS104:No)、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の上限値ωeより大きいか否か、又は上限値ωeと等しいか否かが判定される(ステップS105)。尚、このステップS105では、実際に発生しているヨーレートが、障害物を回避するために目標となる目標ヨーレートより小さいか否かが判定されてよい。この目標ヨーレートは、典型的には、上述したヨーレート(YawRate)の値Yrを用いてよい。
このステップS105の判定の結果、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の上限値ωeより大きい、又は上限値ωeと等しいと判定される場合(ステップS105:Yes)、ECU100の制御下で、障害物の回避を優先した回避優先制御が行われる(ステップS106)。言い換えると、典型的には、車両の運転者には障害物を回避する意思があるが、運転者の心理的な動揺により、回避操舵は急激に変化しており、例えばアンダーステア状態を発生させ、運転者による回避操舵は適切ではないと判定することができる。従って、回避優先制御として、運転者による車両の回避操舵に加えて、障害物の回避を補助するための補助操舵力が付与される。典型的には、障害物を回避するための回避軌跡を車両に的確且つ迅速に走行させることを主目的とした車両の走行制御が行われてよい。具体的には、車両が回避軌跡を走行させるように車両の進行方向を基準にして左側の車輪に作動させる制動力と、右側の車輪に作動させる制動力との間に差を発生させてよい。或いは、アンダーステア状態を打ち消すために、前車輪の操舵角を減少させたりゼロに近づけることに加えて又は代えて、後車輪の操舵角を前車輪の操舵角と逆方向に形成させてよい。尚、本実施形態に係る回避優先制御によって、本発明に係る「操舵力に加えて補助操舵力を付与する」ことの一具体例が構成されている。
他方、上述のステップS105の判定の結果、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の上限値ωeより大きくない、及び上限値ωeと等しくないと判定される場合(ステップS105:No)、ECU100の制御下で、更に、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の下限値ωth2より大きい、又は下限値ωth2と等しく、且つ、実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の上限値ωeより小さいか否かが判定される(ステップS107)。ここで、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の下限値ωth2より大きい、又は下限値ωth2と等しく、且つ、実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の上限値ωeより小さいと判定される場合(ステップS107:Yes)、ECU100の制御下で、運転者による車両の操舵を優先した安定性優先制御が行われる(ステップS108)。典型的には、車両の運転者には障害物を回避する意思があることが推定できると共に、運転者による障害物を回避するための回避操舵の操作は適切であると判定することができる。従って、安定性優先制御として、運転者による車両の回避操舵を優先させつつ、取得された実操舵量に応じた操舵力が付与される。典型的には、運転者による回避操舵を開始した時点以降、車両の挙動を安定させることを主目的とした車両の走行制御が行われてよい。具体的には、車両の横ぶれを減少させたりブレーキの作動による車両の制動力の時間変化を減少させたりして、車両が走行する慣性モーメントが維持されてよい。或いは、補助操舵力の付与を殆ど又は完全に無くしてよい。尚、本実施形態に係る安定性優先制御によって、本発明に係る「操舵力を付与する」ことの一具体例が構成されている。
特に、上述したステップS107では、上述した判定処理に加えて又は代えて、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角MAが目標操舵角の所定範囲の下限値MAth2より大きい又は下限値MAth2と等しく、且つ、実操舵角MAが目標操舵角の所定範囲の上限値MAth3より小さいか否かが判定されてよい。
他方、上述のステップS107の判定の結果、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の下限値ωth2より大きくない、及び下限値ωth2と等しくないと判定される場合、言い換えると、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の下限値ωth2より小さいと判定される場合(ステップS107:No)、運転者による回避意思が無いと判定されるので、ECU100の制御下で、障害物の回避を優先した強制回避制御が行われる(ステップS109)。言い換えると、典型的には、車両の運転者には障害物を回避する意思がないことを推定でき、運転者による回避操舵は適切ではないと判定することができる。従って、強制回避制御として、運転者による車両の回避操舵に加えて、障害物の回避を補助するための補助操舵力が付与される。典型的には、障害物を回避するための回避軌跡を車両に的確且つ迅速に走行させることを主目的とした車両の走行制御が行われてよい。具体的には、車両が回避軌跡を走行させるように車両の進行方向を基準にして左側の車輪に作動させる制動力と、右側の車輪に作動させる制動力との間に差を発生させてよい。或いは、車両が回避軌跡を走行させるように車両の進行方向を基準にして左側の車輪に付与される補助操舵力と、右側の車輪に作動させる補助操舵力との間に差を発生させてよい。尚、本実施形態に係る強制回避制御によって、本発明に係る「操舵力に加えて補助操舵力を付与する」ことの他の具体例が構成されている。
特に、上述したステップS107の判定の結果、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角MAが目標操舵角の所定範囲の下限値MAth2より小さいと判定される場合、上述したステップS109における強制回避制御が行われてよい。
(運転者の回避意思の判定手法)
次に図6から図8を参照して、本実施形態に係る運転者の回避意思の判定手法を総括する。ここに、図6は、本実施形態に係る運転者による緊急回避が実施されている場合、運転者による回避意思がある場合、及び運転者による回避意思がない場合の3つの場合に夫々対応した実操舵角MA及び実操舵角速度ωの範囲を示した表である。図7は、本実施形態に係る所定範囲の上限値を定義するための操舵角と実際に発生する操舵力との相関関係を模式的に示したグラフ及び操舵角の一具体例を概念的に示した模式図である。図8は、本実施形態に係る回避優先制御の一具体例を概念的に示した模式図である。
典型的には、図6の上段に示されるように、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の上限値ωeより大きい場合又は上限値ωeと等しい場合、運転者による緊急回避のための車両の操舵が実行されていると判定される。特に、この上限値は、図7(a)及び図7(b)に示される操舵角αに対応して定義してよい。何故ならば、図7(a)に示された操舵角αより大きい操舵角の範囲では、操舵力の一例であるコーナリングフォース、所謂、旋回力が減少し、車両がスリップしているスリップ状態にあるためである。
より具体的には、図8(a)に示されるように、車両が右側へ旋回する際に、スリップしている場合、図8(b)に示されるように、車両が回避軌跡を走行させるように車両の進行方向を基準にして、右側の前車輪及び右側の後車輪に制動力を作動させ、左側の車輪に作動させる制動力と、右側の車輪に作動させる制動力との間に差を発生させてよい。
また、図6の中段に示されるように、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の下限値ωth2より大きい場合又は下限値ωth2と等しい場合であり、且つ、実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の上限値ωeより小さい場合、運転者による回避意思があると判定される。加えて、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角MAが目標操舵角の所定範囲の下限値MAth2より大きい場合又は下限値MAth2と等しい場合であり、且つ、実操舵角MAが目標操舵角の所定範囲の上限値MAth3より小さい場合、運転者による回避意思があると判定される。この場合、運転者による操舵角又は操舵角速度は運転者の操作に任せるので、障害物を実際に回避できるかどうかは運転者の操作次第であるが、運転者によって目標操舵角速度や目標操舵角を実現可能である。従って、上述した安定性優先制御が行われる。
また、図6の下段に示されるように、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角速度ωが目標操舵角速度の所定範囲の下限値ωth2より小さい場合、運転者による回避意思が無いと判定される。加えて、運転者によって現在、実際に操舵されている実操舵角MAが目標操舵角の所定範囲の下限値MAth2より小さい場合、運転者による回避意思が無いと判定される。この場合、上述したステップS109における回避優先制御が行われてよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本実施形態に係る車両10の基本的な構成を概念的に示す概略構成図である。 本実施形態に係る車両を統括制御するECUの制御処理の流れを示したフローチャートである。 本実施形態に係る車両と障害物との衝突時間を算出するための物理量の一具体例を概念的に示した模式図である。 本実施形態に係る緊急度合いと衝突時間との相関関係の一具体例を模式的に示したグラフである。 本実施形態に係る所定範囲の下限値の一及び他の具体例と緊急度合いとの相関関係を模式的に示したグラフ(図5(a)及び図5(b))である。 本実施形態に係る運転者による緊急回避が実施されている場合、運転者による回避意思がある場合、及び運転者による回避意思がない場合の3つの場合に夫々対応した実操舵角MA及び実操舵角速度ωの範囲を示した表である。 本実施形態に係る所定範囲の上限値を定義するための操舵角と実際に発生する操舵力との相関関係を模式的に示したグラフ及び操舵角の一具体例を概念的に示した模式図である。 本実施形態に係る回避優先制御の一具体例を概念的に示した模式図である。
符号の説明
10…車両、100…ECU、200…EPS、11…ステアリングホイール、12…ステアリングシャフト、13…ラックアンドピニオン機構、15…舵角センサ、16…トルクセンサ、17…モータ、18…前後Gセンサ、19…車速センサ、20…スロットル開度センサ、21…カメラ、22…信号処理Unit、300…エンジン、FL、FR、RL、RR…車輪、S1、S2、S3、S4…制動手段、W1、W2…ウインカ。

Claims (7)

  1. 運転者が車両を実際に操舵した実操舵量に応じた操舵力を前記車両の車輪に付与する付与手段と、
    前記車両の進行方向における障害物を検知する検知手段と、
    前記検知された障害物と前記車両とが衝突する衝突危険度を算出する算出手段と、
    前記算出された衝突危険度に基づいて、前記障害物を回避するために目標となる目標操舵量の基準値を特定する特定手段と、
    前記実操舵量と、前記特定された基準値との比較に基づいて、前記操舵力に加えて又は代えて前記障害物の回避を補助するための補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記実操舵量を取得する取得手段を更に備え、
    前記付与手段は、前記取得された実操舵量に応じた操舵力を前記車両の少なくとも前車輪に付与し、
    前記算出手段は、前記衝突危険度として、前記検知された障害物と前記車両とが衝突する衝突時間を算出し、
    前記特定手段は、前記算出された衝突時間に基づいて、前記障害物を回避するために目標となる目標操舵量の所定範囲を特定し、
    前記制御手段は、前記取得された実操舵量が前記所定範囲内にある場合、前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御し、前記取得された実操舵量が前記所定範囲内にない場合、前記操舵力に加えて前記障害物の回避を補助するための補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. (i)前記実操舵量が前記目標操舵量の所定範囲内にある場合、前記運転者が前記障害物を回避する回避意思が有ると判定し、(ii)前記実操舵量が前記所定範囲の上限値より大きい場合、前記回避意思が有ると判定し、(iii)前記実操舵量が前記所定範囲の下限値より小さい場合、前記運転者が前記障害物を回避する意思が無いと判定する判定手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記判定された回避意思の有無に応じて、前記操舵力に加えて前記補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記制御手段は、(i)前記実操舵量が前記目標操舵量の所定範囲内にある場合、前記車両が走行する慣性モーメントを維持しつつ前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御し、(ii)前記実操舵量が前記所定範囲の上限値より大きい場合、前記補助操舵力として、前記車両のアンダーステア状態を打ち消す第1補助操舵力に加えて前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御し、(iii)前記実操舵量が前記所定範囲の下限値より小さい場合、前記補助操舵力として、前記障害物を回避するための回避軌跡を前記車両に走行させる第2補助操舵力に加えて前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の車両の制御装置。
  5. 前記算出された衝突危険度の大きさに基づいて、前記障害物の回避における緊急度合いを決定する決定手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記決定された緊急度合いが所定値より小さい場合、前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御し、前記決定された緊急度合いが前記所定値より大きい場合、前記操舵力に加えて又は代えて前記補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御することを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の車両の制御装置。
  6. 前記算出手段は、前記衝突危険度として、前記検知された障害物と前記車両とが衝突する衝突時間を算出し、
    前記目標操舵量の所定範囲の下限値は、前記算出された衝突時間が短くになるに従って大きくなるように設定され、前記所定範囲の上限値は、前記車両が前記障害物を回避するための回避軌跡と前記車両の直進方向との角度に加えて又は代えて前記車両が走行する路面状態に基づいて設定されることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の車両の制御装置。
  7. 前記車両の進行方向を示す指標を前記運転者の指示に応じて表示する表示手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記指標が表示される場合、前記操舵力を付与するように前記付与手段を制御し、前記指標が表示されない場合、前記操舵力に加えて又は代えて前記補助操舵力を付与するように前記付与手段を制御することを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の車両の制御装置。
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