JP2009234397A - 車高調整装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 登り坂にて荷物モードが選択されている場合であっても荷物が車両から転がり落ちないように車高を制御する車高調整装置を提供すること。
【解決手段】 荷物モード選択時で且つ車両停止路面が登り勾配である場合には、車両前方部側の車高が先に低くされ、その後に車両後方部側の車高が低くされる。このため車高制御動作によって車両が後方側に傾くことを防止することができ、登り坂の傾斜と相俟って車両が後方に大きく傾斜することが回避される。よって、登り坂での荷物モードによる車高制御を行う場合においても荷物が車両から転がり落ちることが防止される。
【選択図】 図2
【解決手段】 荷物モード選択時で且つ車両停止路面が登り勾配である場合には、車両前方部側の車高が先に低くされ、その後に車両後方部側の車高が低くされる。このため車高制御動作によって車両が後方側に傾くことを防止することができ、登り坂の傾斜と相俟って車両が後方に大きく傾斜することが回避される。よって、登り坂での荷物モードによる車高制御を行う場合においても荷物が車両から転がり落ちることが防止される。
【選択図】 図2
Description
本発明は、車両の車高を調整する車高調整装置に関する。
従来から、例えば、車両の車輪側部材と車体側部材との間に設けられて流体の給排により車高を変更可能とする車高調整装置が知られている。車高調整装置は、車高を調整するための動力を発生する車高調整機構と、その車高調整機構の作動を制御する作動制御装置とを備える。そして、運転者などによって選択された車高制御モードにしたがって作動制御装置が車高調整機構の作動を制御することにより、状況に応じて様々な車高調整がなされる。車高制御モードとしては、車両停止時の乗降性や見栄え向上のために車高を低くする停止時モードや、積載荷重に関わらず車高を一定にするオートレベリングモードや、荷物を積み降ろしするために車両停止時に少なくとも車両後方部側の車高を低くする荷物モードなどがある。これらの車高制御モードは、座席付近に設置された車高調整スイッチを運転者等が操作することにより選択される。
特許文献1には、無線通信などによりドアの解錠・施錠を行うような携帯機に車高調整スイッチを設け、携帯機に設けられた車高調整スイッチを操作することで、無線通信により車高調整を行うことができる車高調整装置が記載されている。
特開2007−99158号公報
ところで、上記荷物モードは車両後方部側の車高を低くするモードである。この場合、車載された荷物を降ろす場所が登り坂であって、車両停止時にこの登り坂にて荷物モードが選択されたときは、車両の後方部側の車高が低くなって車両が後方に傾斜し、登り坂の傾斜と相俟って車両が鉛直方向に対してより多く傾斜する。このため荷物がその傾斜によって車両から転がり落ちるおそれがある。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、登り坂にて荷物モードが選択されている場合であっても荷物が車両から転がり落ちないように車高を制御する車高調整装置を提供することを目的とする。
本発明の特徴は、車両の前方部側の車高と後方部側の車高とを独立して調整可能な車高調整機構と、選択された車高制御モードにしたがって前記車高調整機構の作動を制御する作動制御手段とを備える車高調整装置において、前記作動制御手段は、前記車高制御モードとして、車両停止中に少なくとも車両の後方部側の車高が所定の後部設定車高まで低下するように前記車高調整機構の作動を制御するモードである荷物モードが選択されているかを判定するモード判定手段と、前記モード判定手段により前記荷物モードが選択されていると判定された場合に、車両の停止路面の勾配が登り勾配であるかを判定する登り勾配判定手段と、前記登り勾配判定手段により車両の停止路面の勾配が登り勾配であると判定された場合に、車両の前方部側の車高が所定の前部設定車高まで低下するように前記車高調整機構の作動を制御し、その後に車両の後方部側の車高が前記後部設定車高まで低下するように前記車高調整機構の作動を制御する登り勾配時車高制御手段とを有するものとしたことである。
この場合、前記作動制御手段は、前記登り勾配判定手段により車両の停止路面の勾配が登り勾配ではないと判定された場合に、車両の後方部側の車高が前記後部設定車高まで低下するように前記車高調整機構の作動を制御し、その後に車両の前方部側の車高が前記前部設定車高まで低下するように前記車高調整機構の作動を制御する通常時車高制御手段を有するものであるのがよい。
上記発明に係る車高調整装置によれば、荷物モードが選択されている場合において、登り勾配判定手段により車両の停止路面の勾配が登り勾配であると判定された場合、すなわち車両が登り坂で停止していると判定された場合には、登り勾配時車高制御手段によって、車両の前方部側がまず低くされ、その後に車両の後方部側が低くされる。このため登り坂にて車両の後方部だけが低くされて車両が後方に大きく傾くことが回避される。よって、登り坂での荷物モードによる車高調整を行う場合においても車両が大きく後方に傾かずに荷物が車両から転がり落ちることが防止される。
上記所定の後部設定車高および所定の前部設定車高は、予め設定された車高値であって、車両後部から荷物の積み降ろしを行うのに適した車高値とされる。また、後部設定車高と前部設定車高は異なる車高値であってもよく、また同一の車高値であってもよい。
上記車高調整機構は、車高を調整するための動力を発生する機構部分であり、例えば流体圧シリンダを車輪と車体との間に介在させて、ピストンおよびピストンロッドの動きにより車高を調整するものであれば、車高調整機構は、流体圧シリンダと、流体圧シリンダに作動油を流出入させるための油路と、油路中に設けられ油路内の作動油の流通を制御するための弁機構と、油路内に作動油を吐出するポンプおよびポンプモータと、油路内から作動油を排出するための弁機構などにより構成される。また、空気ばねを利用したエアサスペンション装置が採用されている場合であれば、車高調整機構は、空気チャンバを備えるエアサスペンションと、空気チャンバに空気を流出入させるための空気通路と、空気通路中に設けられて空気通路内の空気の流通を制御するための弁機構と、空気通路内に空気を圧送するコンプレッサおよびモータと、空気チャンバ内の空気を排出するための排出機構などにより構成される。また、上記作動制御手段は上記車高調整機構の作動を制御するものであって、例えば車高調整機構が上記の構成を有するものであれば、作動制御手段はポンプモータ、モータ、弁機構、排出機構に電気的指令を与えてこれらの作動を制御するECUなどにより構成される。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の車高調整装置を含む車両のサスペンション装置を示す概略図である。この車両のサスペンション装置は、左右前後輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrを保持する車輪側部材(例えばロアアーム)11a〜11dと、車体と一体変位する車体側部材12a〜12dとの間にそれぞれ配設された流体圧シリンダ20a〜20dを備えている。流体圧シリンダ20a〜20dは、車体側部材12a〜12dに上端部を固定した円筒状のハウジング21a〜21dをそれぞれ有している。ハウジング21a〜21d内には、軸線方向に液密的に摺動するピストン22a〜22dがそれぞれ収容されている。ピストン22a〜22dは、ハウジング21a〜21d内を上油室23a〜23dと下油室24a〜24dにそれぞれ区画している。ピストン22a〜22dには、上油室23a〜23dおよび下油室24a〜24dを連通させるオリフィス25a〜25dが設けられている。
ピストン22a〜22dには、ピストンロッド26a〜26dの上端部がそれぞれ固定されている。ピストンロッド26a〜26dは、それらの下部をハウジング21a〜21dから進退可能にそれぞれ突出させており、それらの下端部は車輪側部材11a〜11dに接続されている。ハウジング21a〜21dの外周面と車体側部材12a〜12dとの間には図示しないコイルスプリングが設けられており、流体圧シリンダ20a〜20dはコイルスプリングと共に車輪側部材11a〜11dに対して車体を上下に振動可能に支持する。この車体の上下方向の振動の際には、作動油がオリフィス25a〜25dを介して上下油室23a〜23d,24a〜24d間を移動することによって減衰力が付与される。
流体圧シリンダ20a〜20dの上油室23a〜23dには、可変オリフィス13a〜13dを介して油路L1a〜L1dの各一端がそれぞれ接続されている。可変オリフィス13a〜13dは電気的に制御されて各油路L1a〜L1d内における作動油の通路面積をそれぞれ変更する。油路L1a〜L1dには、車体の上下動に対してバネ作用をもたらすアキュムレータ14a〜14dがそれぞれ接続されている。アキュムレータ14a〜14dは、それらの外郭を構成するハウジングおよびハウジング内を仕切る仕切部材を有し、仕切部材により仕切られたハウジング内の室のうち一方の室は油路L1a〜L1dにそれぞれ連通するとともに、各他方の室は弾性体を収容している。これらのアキュムレータはいずれもばね機能を備えている。
油路L1a〜L1dには車高制御用の電磁切換弁51a〜51dがそれぞれ介装されている。電磁切換弁51a〜51dは通電により開状態に設定される常閉弁である。
また、サスペンション装置は、車高を調整するために、流体圧シリンダ20a〜20dへの作動油の給排を制御する流体給排装置を備えている。流体給排装置は、車高を上昇させる際に流体圧シリンダ20a〜20dに作動油を供給するためのポンプ41を備えている。ポンプ41は、電動モータ(ポンプモータ)42によって駆動されて、リザーバ43内の作動油を汲み上げ、逆止弁44を介して油路L2に作動油を吐出する。油路L2には、消音用のアキュムレータ45が接続されている。また、油路L2には、リザーバ43とポンプ41との間の部分と逆止弁44の下流側の部分とを接続したバイパス油路L3が連通している。このバイパス油路L3には常閉型の流出制御用の電磁切換弁48が介装されている。電磁切換弁48は、車高を低下させる際に、流体圧シリンダ20a〜20d内の作動油を排出するためのものである。このような構成部品が取付けられた油路L2は、各油路L1a〜L1dにそれぞれ連通している。
したがって、電動モータ42の駆動によりポンプ41が作動すると、作動油が油路L2、逆止弁44、L1a〜L1d、電磁切換弁51a〜51dを経由して流体圧シリンダ20a〜20dに流れ込み、車高が上昇する。また、流体圧シリンダ20a〜20d内の作動油が油路L1a〜L1d、電磁切換弁51a〜51d、油路L2、バイパス油路L3、電磁切換弁48を通ってリザーバ43に排出されることにより車高が低下する。これらの構成が本発明の車高調整機構に相当する。また、電磁切換弁51a,51bを開状態、51c、51dを閉状態としてポンプ41を作動し、あるいは電磁切換弁48を開状態にすることにより、車両の前方部側のみの車高を調整することができる。同様に、電磁切換弁51c,51dを開状態、51a,51bを閉状態としてポンプ41を作動し、あるいは電磁切換弁48を開状態にすることにより、車両の後方部側のみの車高を調整することができる。すなわち本実施形態の車高調整機構は、車両の前方部側の車高と後方部側の車高とを独立して調整可能である。
また、サスペンション装置は電気制御装置を有している。この電気制御装置は、圧力センサP、車高センサ61a〜61dおよびECU60を備えている。圧力センサPは各油路L1a〜L1d、L2に設けられて各油路内の油圧を検出してECU60に出力する。車高センサ61a〜61dは左右前後輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの各位置における車高Hを検出してECU60に出力する。
ECU60は、車高制御プログラムを含む種々のプログラムを実行することにより、各種電磁切換弁、可変オリフィス13a〜13dおよび電動モータ42に指令を出力し、車高調整機構の作動を制御する。このECU60には、車高モードスイッチ62、車高調整スイッチ63、モード選択スイッチ64および各種センサ65が接続されている。車高モードスイッチ62は、車室内に設けられて運転者によって操作されるもので、車高の変更を自動的に行うオートモードとマニュアル操作により行うマニュアルモードとを切換えるスイッチである。車高調整スイッチ63は、車室内に設けられて運転者によって操作されるもので、前記マニュアルモードの選択時に車高の高低を手動操作するためのスイッチである。モード選択スイッチ64は車室内に設けられて運転者によって操作されるものであり、車高調整がオートモードである場合に、どのような車高調整を自動で行うかについての制御モードを選択するスイッチである。選択可能なモードには、例えば積載荷重に関わらず車高が常に一定となるオートレベリングモードや、車両停止時に車両後方部側の車高を低くして荷物を積み降ろし易くするための荷物モードがある。各種センサ65は車両の状態を検出する検出手段であり、車速センサ、シフト位置検出センサ、パーキングブレーキセンサ、ヨーレートセンサ、横加速度センサ、前後加速度センサである。これらのセンサはその検出値をECU60に出力している。
上記のように構成したサスペンション装置においては、運転者が車室内の車高モードスイッチ62、車高調整スイッチ63、モード選択スイッチ64を操作することにより、車高制御モードが選択されるとともに選択されたモードに従って自動的にまたは運転者の手動により車高調整がなされる。例えば、運転者がオートレベリングモードを選択した場合には、ECU60は所定の制御プログラムを実行し、車高センサ61a〜61dにより検出される車高Hが所定の設定車高となるように各電磁切換弁や電動モータ42への通電を制御して流体圧シリンダ20a〜20d内に導入される作動油の油圧や油量を制御する。これにより積載荷重に関わらず常に車高が一定になるように車高調整がなされる。
図2は、運転者が荷物モードを選択した場合にECU60が実行する荷物モード制御プログラムのフローチャートである。このプログラムは所定の短時間ごとに繰り返し実行されている。以下、このフローチャートに従って、車高制御モードが荷物モードであるときにECU60が実行する車高制御について説明する。
荷物モード制御プログラムは図2のステップS10(以下、S10と略述する。他のステップも同様に略述する)にて開始され、次のS12にてECU60は車速Vが0であるかを判定する。車速Vが0でないと判定した場合はS26に進んでこのプログラムの実行を終了する。車速Vが0であると判定した場合はS14に進み、現在の車高制御モードが荷物モードであるかを判定する。現在の車高制御モードが荷物モードでないと判定した場合はこのS26に進んでこのプログラムの実行を終了する。現在の車高制御モードが荷物モードである場合、すなわち車高モードスイッチ62の操作によりオートモードとされ、且つモード選択スイッチ64の操作により荷物モードが選択されている場合にはS16に進む。
S16にてECU60は、車両が停止している路面が登り勾配であるか、すなわち車両が登り坂で停車しているか(車両後方が坂道の下方に位置するか)を判定する。この判定は、例えば前後加速度センサの検出値に基づいて行うことができる。具体的には、ECU60は、前後加速度センサが車両後方側に向かう方向に加速度を検出している場合には、車両停止路面が登り勾配であると判定し、前後加速度センサが車両前方側に向かう方向に加速度を検出している場合や検出加速度が0である場合には、車両停止路面が登り勾配でないと判定する。車両停止路面が登り勾配であると判定した場合はS18に進む。
S18に進んだ場合、すなわち車両停止路面が登り勾配である場合は、ECU60は、左右前輪Wfl,Wfrの車高Hが所定の低い前部設定車高H1まで低下するように車高調整機構を制御する。具体的には、ECU60は、車高制御用の電磁切換弁51a,51bおよび流出制御用の電磁切換弁48に通電して、これらの電磁切換弁51a,51b,48を開状態に設定する(S182)。このとき電磁切換弁51c,51dは閉状態のままである。これにより、流体圧シリンダ20a,20b内の作動油が、油路L1a,L1b,L2、L3を介してリザーバ43に排出される。その結果、流体圧シリンダ20a,20b内のピストン22a,22bが図1において上方に移動し、左右前輪Wfl,Wfrの各位置における車高Hが徐々に低くなる。その後、ECU60は、車高センサ61a,61bによって検出された車高Hを入力して、左右前輪Wfl,Wfrの各位置における各車高Hが前部設定車高H1と等しいかを判定する(S184)。上記各車高Hが前部設定車高H1と等しくない(H1よりも大きい)場合はこの判定を繰り返し、各車高Hが前部設定車高H1に等しくなった場合には、電磁切換弁51a,51bへの通電を停止する(S186)。これにより電磁切換弁51a,51bが閉状態となり、流体圧シリンダ20a,20b内の作動油のリザーバ43への排出が停止し、左右前輪Wfl,Wfrの各位置における車高の低下が停止する。このS18の処理の実行により、車両の前方部側の車高が低くされる。次に、ECU60は次のS20に進む。
S20では、ECU60は、左右後輪Wrl,Wrrの車高Hが所定の低い後部設定車高H2まで低下するように車高調整機構を制御する。ここで、後部設定車高H2は前部設定車高H1と同じ高さとすることができる。このS20にてECU60は具体的には、車高制御用の電磁切換弁51c,51dに通電して、これらの電磁切換弁51c,51dを開状態に設定する(S202)。これにより、流体圧シリンダ20a〜20d内の作動油が、油路L1c,L1d、L2、L3を介してリザーバ43に排出される。その結果、流体圧シリンダ20c,20d内のピストン22c,22dが図1において上方に移動し、左右後輪Wrl,Wrrの各位置における車高Hが徐々に低くなる。その後、ECU60は、車高センサ61c,61dによって検出された車高Hを入力して、左右後輪Wrl,Wrrの各位置における各車高Hが後部設定車高H2に等しいかを判定する(S204)。上記各車高Hが後部設定車高H2と等しくない(H2よりも大きい)場合はこの判定を繰り返し、各車高Hが後部設定車高H2に等しくなった場合には、電磁切換弁51c,51d、48への通電を停止する(S206)。これにより電磁切換弁51c,51d、48が閉状態となり、流体圧シリンダ20c,20d内の作動油のリザーバ43への排出が停止し、左右後輪Wrl,Wrrの各位置における車高の低下が停止する。このS20の処理の実行により、車両の後方部側の車高が低くされる。そして、ECU60は、S26に進んでこのプログラムの実行を終了する。
また、S16において車両停止路面が登り勾配でないと判定されている場合にはECU60はS22に進む。S22では、ECU60は、左右後輪Wrl,Wrrの各車高Hが後部設定車高H2まで低下するように車高調整機構を制御する。具体的には、ECU60は、車高制御用の電磁切換弁51c,51dおよび流出制御用の電磁切換弁48に通電して、これらの電磁切換弁51c,51d,48を開状態に設定する(S222)。このとき電磁切換弁51a,51bは閉状態のままである。これにより、左右後輪Wrl,Wrrの各位置における車高Hが徐々に低くなる。その後、ECU60は、左右後輪Wrl,Wrrの各位置における各車高Hが後部設定車高H2に等しいかを判定する(S224)。上記各車高Hが後部設定車高H2に等しくない(H2よりも大きい)場合はこの判定を繰り返し、各車高Hが後部設定車高H2に等しくなった場合には、電磁切換弁51c,51dへの通電を停止する(S206)。これにより電磁切換弁51c,51dが閉状態となり、左右後輪Wrl,Wrrの各位置における車高の低下が停止する。このS22の処理の実行により、車両の後方部側の車高が低くされる。その後ECU60はS24に進む。
S24では、ECU60は、左右前輪Wfl,Wfrの各車高Hが前部設定車高H1まで低下するように車高調整機構を制御する。具体的には、ECU60は、車高制御用の電磁切換弁51a,51bに通電して、これらの電磁切換弁51a,51bを開状態に設定する(S242)。これにより、左右前輪Wfl,Wfrの各位置における車高Hが徐々に低くなる。その後、ECU60は、左右前輪Wfl,Wfrの各位置における各車高Hが前部設定車高H1に等しいかを判定する(S244)。上記各車高Hが前部設定車高H1に等しくない(H1よりも大きい)場合はこの判定を繰り返し、各車高Hが前部設定車高H1に等しくなった場合には、電磁切換弁51c,51d,48への通電を停止する(S246)。これにより電磁切換弁51c,51dが閉状態となり、左右前輪Wfl,Wfrの各位置における車高の低下が停止する。このS24の処理の実行により、車両の前方部側の車高が低くされる。その後ECU60はS26に進んでこのプログラムの実行を終了する。
上記説明からわかるように、ECU60は、荷物モードが選択されているかを判定するモード判定手段(S14)と、荷物モードである場合に車両停止路面が登り勾配かを判定する登り勾配判定手段(S16)と、登り勾配である場合(S16:Yes)に、まず左右前輪Wfl,Wfr側の流体圧シリンダ20a,20b内の作動油を排出させることにより車両前方部側の車高を低くし、その後左右後輪Wrl,Wrr側の流体圧シリンダ20c,20d内の作動油を排出させることにより車両後方部側の車高を低くするように車高調整機構の作動を制御する登り勾配時車高制御手段(S18,S20)を備える。したがって、荷物モード選択時で且つ車両停止路面が登り勾配である場合には、車両前方部側の車高が先に低くされ、その後に車両後方部側の車高が低くされる。このため車高制御動作によって車両が後方側に傾くことを防止することができ、登り坂の傾斜と相俟って車両が後方に大きく傾斜することが回避される。よって、登り坂での荷物モードによる車高制御を行う場合においても荷物が車両から転がり落ちることが防止される。
また、ECU60は、荷物モードにおいて車両停止路面が登り勾配でない場合(S16:No)に、車両の前方部側の車高はそのままで後方部側の車高のみを低くし、その後に車両の前方部側の車高を低くするように車高調整機構の作動を制御する通常時車高制御手段(S22,S24)を備える。したがって、登り坂以外の場所での荷物モードによる車高調整においては速やかに車両後方部側を低くして、荷物の積み降ろしを速やかに行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変形可能である。例えば、上記実施の形態においては油圧を利用した車高調整装置について説明したが、空気圧を利用したエアサスペンション装置を採用している車両においては、空気圧を制御することにより、上記実施の形態と同様に車高制御を行うことができる。
20a,20b,20c,20d…流体圧シリンダ、41…ポンプ、42…電動モータ、43…リザーバ、44…逆止弁、45…アキュムレータ、48…電磁切換弁、51a,51b,51c,51d…電磁切換弁、61a,61b,61c,61d…車高センサ、62…車高モードスイッチ、63…車高調整スイッチ、64…モード選択スイッチ、65…各種センサ、60…ECU(作動制御手段)、H1…前部設定車高、H2…後部設定車高、L1a,L1b,L1c,L1d…油路,L2…油路,L3…バイパス油路,S14…モード判定手段,S16…登り勾配判定手段,S18,S20…登り勾配時車高制御手段,S22,S24…通常時車高制御手段
Claims (2)
- 車両の前方部側の車高と後方部側の車高とを独立して調整可能な車高調整機構と、選択された車高制御モードにしたがって前記車高調整機構の作動を制御する作動制御手段とを備える車高調整装置において、
前記作動制御手段は、
前記車高制御モードとして、車両停止中に少なくとも車両の後方部側の車高が所定の後部設定車高まで低下するように前記車高調整機構の作動を制御するモードである荷物モードが選択されているかを判定するモード判定手段と、
前記モード判定手段により前記荷物モードが選択されていると判定された場合に、車両の停止路面の勾配が登り勾配であるかを判定する登り勾配判定手段と、
前記登り勾配判定手段により車両の停止路面の勾配が登り勾配であると判定された場合に、車両の前方部側の車高が所定の前部設定車高まで低下するように前記車高調整機構の作動を制御し、その後に車両の後方部側の車高が前記後部設定車高まで低下するように前記車高調整機構の作動を制御する登り勾配時車高制御手段と、
を有することを特徴とする車高調整装置。 - 請求項1に記載の車高調整装置において、
前記作動制御手段は、
前記登り勾配判定手段により車両の停止路面の勾配が登り勾配ではないと判定された場合に、車両の後方部側の車高が前記後部設定車高まで低下するように前記車高調整機構の作動を制御し、その後に車両の前方部側の車高が前記前部設定車高まで低下するように前記車高調整機構の作動を制御する通常時車高制御手段を有することを特徴とする車高調整装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014058294A (ja) * | 2012-09-19 | 2014-04-03 | Showa Corp | 自動二輪車 |
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