JP2009234205A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高光沢であり、水溶性インク使用時の印字濃度が高く、印刷物のにじみが少ないと共に、パソコン上などの元画像の色相の再現性が高いインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも顔料とバインダーとを含有する塗工層を設け、該塗工層の表面に前記バインダーと凝固する凝固剤を塗布して凝固キャストコート法によりインク受理層を設けてなるインクジェット用記録媒体であって、前記顔料が合成非晶質シリカとコロイダルシリカとを含有し、かつ前記凝固剤に含まれるカチオン化度2.0meq/g以上4.0meq/g以下のカチオン性化合物が前記インク受理層の表面に存在している。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録媒体に関し、詳しくは高光沢で、水溶性染料インクを使用したインクジェット印刷に適したインクジェット記録媒体に関するものである。
一般にインクジェット記録方式は、フルカラー化が容易なこと、印字騒音が少ないことや現像−定着といった処理が不要なことなどから急速に普及し、近年では製版による多色印刷やカラー写真方式による印画に遜色のない画像を得ることができるようになった。この方式はノズルから記録媒体に向けてインクの微小液滴を高速で飛翔、付着させて画像や文字などの記録を行うものであり、インク中には多量の溶媒を含む。従って、記録媒体としては速やかにインクを吸収する必要がある。
また、最近は高解像度のデジタルビデオ、デジタルカメラ、スキャナーおよびパーソナルコンピューターの普及により高精細の画像を取り扱う機会が多くなり、これらのハードコピーをインクジェットプリンタで出力する事が多くなっている。これに伴い記録媒体に対する要求特性が多様化してきており、特に銀塩写真に近い画像品質・光沢感などが求められるようになってきている。このような背景から、光沢インクジェット用記録媒体に要求される品質特性としては、光沢感が高く、インク乾燥速度が速いこと、印字濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと等が挙げられる。
インクジェット記録に用いるインクは、一般に、水溶性染料インクと顔料インクとに大きく分けられる。顔料インクは、画像の耐久性は高いが、画像の光沢が変化しやすく、その結果、写真画質に近いプリントを得にくい傾向にある。一方、水溶性染料インクを用いると、画像の鮮明性が高く、かつ均一な表面光沢を有する写真画質に匹敵するカラープリントが得られる。
そして、さらに銀塩写真に匹敵し、又は銀塩写真を超える画質を得るため、プリンターからの吐出やインクの改良がなされている。例えば、インク滴を小液滴とすることによって画像のドットサイズを小さくし、高精細な画質の達成を図ることができる。又、同一色調の色材をそれぞれ含有量を変えて含有させた濃淡2種のインクを用いて印刷する方法により、印刷物の画像の階調性がなめらかになる。
ところが、このような改良されたプリンターを用い、水溶性染料インクでインクジェット印刷を行った場合においても、記録媒体上の画像の色相がパソコン上などの元画像の色相と異なる現象が確認されている。この現象は特に淡色の混合色によって発生し、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクが混色されるグレー部や肌色部において顕著となり、本来あるべき色に比べて赤味や黄味を帯びるなど、画像部のカラーバランスが元画像を再現しないという問題があった。
この問題に対し、特許文献1には、スチレン系樹脂などの表面サイズ剤を用紙に表面に塗布し、用紙の吸収速度をコントロールして印刷物のカラーバランスをコントロールする技術が開示されている。また、特許文献2には、一般的なカチオンポリマー存在下に特定のポリグリセリンを配合することで、低階調部の画質を向上させる技術が開示されている。また、特許文献3には、一般的なカチオンポリマー存在下に特定の気相法シリカを加えることで、肌色画像の低階調部の印字濃度を向上させる技術が開示されている。
特開2001−219646号公報 特開2006−289779号公報 特開2007−203645号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、光沢の無いマット紙に関するものであり、塗工顔料がより最密に充填された光沢紙に表面サイズ剤を添加すると画像のにじみ等が発生するおそれがある。
また特許文献2に開示された技術の場合、インクの浸透を制御するために用いるポリグリセリンが高沸点溶媒であるため塗工層に液体として存在し、塗工層強度が弱くなる傾向にある。このため、塗工面の欠陥やインクジェット印刷時に傷が発生しやすくなったり、ベタ印刷部の擦過性が悪化することがある。
特許文献3に開示された技術の場合、インクの浸透を制御するために用いる気相法シリカは吸水性が優れるものの、一定の塗工層強度を確保するためのバインダー量を多くする必要があるため、結果的にインクの吸収性が悪化することがある。また、気相法シリカを用いると塗工液の粘度が増加し、塗工面の欠陥が発生しやすい。
また、従来の技術においては、インクジェット記録時の色相が元画像と異なるという問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、高光沢であり、水溶性インク使用時の印字濃度が高く、印刷物のにじみが少ないと共に、パソコン上などの元画像の色相の再現性が高いインクジェット記録媒体を提供することを目的とする。
本発明者らは、水溶性染料インク使用時に、元画像と異なる色相が発現される現象について調査を行った結果、インク定着剤としてカチオン化度の低いカチオン性化合物をインク受理層の表面付近により多く存在させると、元画像の色相を正確に再現できることを見いだした。また、カチオン化度の低いカチオン性化合物は分子量が低い傾向にあり、湿式法で製造された合成非晶質シリカのような多孔質顔料の微細な内部空隙に浸透する。そこで、インク受理層の顔料として湿式法シリカをコロイダルシリカと共に含有させることで、カチオン性化合物がインク受理層の表面付近にある湿式法シリカの内部空隙に浸透し、その結果カチオン性化合物がインク受理層表面により多く分布することになり、印字濃度を向上させると考えられる。
又、インク受理層を凝固キャストコート法で設けることとし、カチオン性化合物を凝固剤中に含有させることにより、インク受理層表面により多くのカチオン性化合物を局在させることができ、カチオン化度が低いカチオン性化合物を用いても印字濃度を向上させることができる。
すなわち、本発明のインクジェット記録媒体は、支持体上に、少なくとも顔料とバインダーとを含有する塗工層を設け、該塗工層の表面に前記バインダーと凝固する凝固剤を塗布して凝固キャストコート法によりインク受理層を設けてなるインクジェット用記録媒体であって、前記顔料が合成非晶質シリカとコロイダルシリカとを含有し、かつ前記凝固剤に含まれるカチオン化度2.0meq/g以上4.0meq/g以下のカチオン性化合物が前記インク受理層の表面に存在している。
前記カチオン性化合物の平均分子量が10000以下であり、かつジシアンジアミドとポリエチレンポリアミンとを縮合させた高分子化合物であることが好ましい。
前記インク受理層の光沢度が20%以上であることが好ましい
前記合成非晶質シリカと前記コロイダルシリカの配合割合が、質量比で、(合成非晶質シリカ):(コロイダルシリカ)=20:80〜80:20であることが好ましい。
本発明によれば、高光沢であり、水溶性インク使用時の印字濃度が高く、印刷物のにじみが少ないと共に、パソコン上などの元画像の色相の再現性が高いインクジェット記録媒体を得ることができる。
以下本発明の実施形態について説明する。本発明のインクジェット記録媒体は、支持体上に、少なくとも顔料とバインダーとを含有する塗工層を設け、該塗工層の表面に前記バインダーと凝固する凝固剤を塗布して凝固キャストコート法によりインク受理層を設けてなる。
(支持体)
支持体は、シート状のものであればいずれのものを用いることが可能であるが、後述する凝固キャストコート処理に好適である透気性を有するものが好ましい。例えば塗工紙、未塗工紙等の紙を、支持体に好適に用いることができる。紙の主成分はパルプと内添填料である。パルプとしては通常公知のパルプであればあらゆるものを使用することができる。例えば、化学パルプとして広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ、木材、綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプなどを使用できる。また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ等も使用できる。
また、古紙を原料とするパルプ、すなわち、製本、印刷工場、断裁所等において発生する裁落、損紙、幅落しした上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙;印刷やコピーが施された上質紙、上質コート紙等の上質印刷古紙;水性インク、油性インク、鉛筆などで筆記された古紙;印刷された上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙等のチラシを含む新聞古紙;中質紙、中質コート紙、更紙等の古紙等を離解して得られるパルプを使用することもできる。インクジェット用紙には高白色度で地合に優れるLBKPを使用することが好ましい。
またパルプは漂白することにより高白色とすることができる。パルプの漂白方法としては、元素状塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、酸素、過酸化水素、苛性ソーダ等の薬品の組合せにより漂白する塩素漂白法、二酸化塩素を使用する漂白方法(ECF)、塩素化合物を一切使用せずに、オゾン/過酸化水素等を主に使用して漂白する方法(TCF)といった方法がある。このうち塩素漂白法からなる有機塩素化合物負荷が環境に悪影響を与える恐れがあることから、ECFやTCFといった方法で漂白することが好ましい。またECFでは、二酸化塩素はリグニンと選択的に反応するため、セルロースに損傷を与えずにパルプの白色度を高めることができるので、さらに好ましい。
また、支持体の不透明度、白色度向上を目的とし、支持体に填料を添加(内添)してもよい。内添填料は、例えばクレー、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の白色顔料を使用できるが、高白色度を得やすいことから炭酸カルシウム、特に軽質炭酸カルシウムが好ましい。
上記したパルプは抄紙適性、ならびに、強度、平滑性、地合の均一性等といった紙の諸特性等を向上させるため、ダブルディスクリファイナー等の叩解機により叩解される。叩解の程度は、カナディアン スタンダード フリーネス(C.S.F.)で250ml〜550ml程度の通常の範囲で目的に応じて選択することが出来る。前記パルプのpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。
叩解されたパルプスラリーは、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、または、丸網抄紙機等の抄紙機により抄紙され支持体を得ることができるが、この際、通常抄紙に際して用いられるパルプスラリーに対し、分散助剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、インク定着剤、耐水化剤、pH調節剤、染料、有色顔料、及び蛍光増白剤等を添加することが可能である。
また、上記支持体には、水溶性高分子添加剤、帯電防止剤、吸湿性物質、顔料、pH調整剤、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤をはじめとする各種の添加剤を含有する液を、タブサイズ、サイズプレス、ゲートロールコーター又はフィルムトランスファーコーター等を用い、オンマシン又はオフマシンで塗工することが可能である。
支持体上に塗工する塗工層の浸透が多くなり過ぎないよう、支持体のステキヒトサイズ度は5秒以上であることが好ましいが、50秒以上である場合は後述する塗工層の浸透を最小限に抑えることができるので、さらに好ましい。
(インク受理層の顔料)
インク受理層(塗工層を凝固キャストコート法によりインク受理層とするが、便宜上、塗工層とインク受理層を区別せずに用いる)の顔料は、合成非晶質シリカとコロイダルシリカを共に含有する。
後述するように、インク受理層表面にカチオン化度の低いカチオン性化合物をインク定着剤として存在させると、水溶性染料インク使用時に、元画像の色相を再現できる。但し、カチオン化度の低いカチオン性化合物は分子量が低い傾向にあり、インク受理層の顔料の内部まで浸透し易い。そこで、インク受理層の顔料として合成非晶質シリカとコロイダルシリカとを共に含有させることで、カチオン性化合物をあまり浸透させずにインク受理層表面に分布させることができ、印字濃度が向上する。
上記した効果を発現するためには、インク受理層中の全顔料のうち、合成非晶質シリカの配合割合が20質量%以上であることが好ましい。一方、高光沢な写真調のインクジェット記録媒体を得るためには、インク受理層中にコロイダルシリカを含有させる必要がある。このようなことから、合成非晶質シリカとコロイダルシリカの配合割合は、質量比で、(合成非晶質シリカ):(コロイダルシリカ)=20:80〜80:20であることが好ましい。さらにこの配合割合が40:60〜60:40であるとさらに好ましい。
(合成非晶質シリカ)
合成非晶質シリカは、その製造法により湿式法シリカと乾式法シリカ(気相法シリカ)に大別できるが、本発明では湿式法シリカを必須として含有する。
湿式法で製造された合成非晶質シリカ(以下、適宜「湿式法シリカ」という)は、シリカの一次粒子が凝集して二次粒子を形成するため、内部に空隙を持つ。顔料の透明性に関しては気相法シリカに劣るが、バインダーとしてポリビニルアルコールと併用した場合の塗料安定性に優れる。特に湿式法シリカは、気相法シリカに比べて液への分散性が良好であり、塗料濃度を高くすることが可能である。このため、インク受理層の顔料として湿式法シリカを用いると、インク受理層中の顔料比率が高くなり、インクを塗工層により吸収することができる。従って、インク溶媒の吸収性を向上できると共に染料インク色材を保持し、発色性(印字濃度)を向上できると考えられる。
湿式法シリカの好ましい二次粒子径は1〜8μmである。また、BET比表面積は100〜500m/gであることが好ましい。なお湿式法シリカの配合量増加によって塗工層のインク保持量は増加するが、塗工層の透明性が低下するため、必ずしも印字濃度が向上するわけではない。そのため乾式法シリカと併用することが好ましい。
乾式法により製造される合成非晶質シリカ(以下気相法シリカという)は、乾式法シリカ、又はヒュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。気相法シリカは、具体的には四塩化珪素などの揮発性シラン化合物の酸水素炎中における気相加水分解によって製造され、火炎の温度、酸素と水素の供給比率、及び原料の四塩化珪素供給量等の条件を変更することにより得られる。四塩化ケイ素の代わりに、メチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類を単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。
気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジルとして市販され、株式会社トクヤマからレオロシールQSタイプとして市販されており、容易に入手することができる。
気相法シリカをインク受理層に含有させると、一次粒子が微粒であることから、塗工層の透明性が向上し、水溶性染料インクで印字した場合の印字濃度が向上する。しかしながら気相法シリカは吸水性に優れるため、塗料が増粘しやすく塗工性に劣り塗工面の欠陥が発生しやすくなる恐れがある。また一定の塗工層強度を確保するためのバインダー量が多くなり、結果的にインクの吸収性が悪化することがある。そのため塗工性に優れる湿式法シリカと併用する。
気相法シリカの比表面積(BET法)が130m/g〜300m/gであると塗工層の透明性が高くなりかつ塗料に配合した際の安定性が良好である。比表面積が130m/gより小さい場合には塗工層の不透明性が増し、インクジェットプリンターで印字した場合の印字濃度が低下する等の不具合を生じる場合がある。一方比表面積が300m/gを超えると塗工層の透明性が良好となり印字濃度が高くなるが、塗料の安定性が劣る傾向にあり、塗工性に問題を生じることがある。
(コロイダルシリカ)
コロイダルシリカは、アルコキシシランを原料としてゾルゲル法により合成し、合成条件によって一次粒子径(BET法粒子径)や二次粒子径(動的光散乱法粒子径)をコントロールすることが好ましい。コロイダルシリカには、分散状態を顕微鏡で観察した一次粒子および二次粒子の形状から、球状、ピーナッツ状、鎖状、パールネックレス状、房状、不定形の凝集状態が存在し、一次粒子の大きさが等しい場合、これらの凝集状態の順に平均二次粒子径が大きくなる傾向にある。
本発明においては、上記したいずれの凝集状態のコロイダルシリカを使用することができるが、塗工層への充填と空隙のバランスからピーナッツ状のコロイダルシリカを使用することが好ましい。ここでいうピーナッツ状コロイダルシリカとは、一次粒子径に対する二次粒子径の比が1.5〜3.0であるものとする。またコロイダルシリカの一次粒子径を5〜40nm、好ましくは10〜30nmとする。一次粒子径が5nm未満であると、インクの吸収性が劣る傾向にある。一次粒子径が40nmを超えると、粒子間の空隙が増えてインク受理層のインク吸収性は良好となるが、不透明性が増大するため、染料インク印字時の発色性が低下する傾向にある。また、コロイダルシリカの添加により光沢度は向上するが、インクの吸収性は劣る傾向となる。
(その他の顔料)
インク受理層の顔料として、上記合成非晶質シリカとコロイダルシリカに加え、さらにカオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化チタンなどの顔料を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
但し、インクの定着をコントロールするため、アニオン、カチオンの電気的反応を阻害するアルミニウム系顔料(水酸化アルミニウム、アルミナ、擬ベーマイト等)の使用は好ましくない。また、シリカ表面にアルミニウムイオンなどでカチオン性を付与したシリカも、同様の理由で本発明には好ましくない。
(インク受理層のバインダー)
インク受理層のバインダーとしては、層強度を確保できる従来公知のバインダーを使用することができる。インク受理層のバインダーの配合割合は、顔料に対して5〜50質量%であるのが好ましい。バインダーの配合割合が5質量%未満であると塗工層の強度が劣り、50質量%を超えるとインク吸収性に劣る場合がある。
特に、キャストコートの面感を得るため、凝固剤によって凝固しやすいポリビニルアルコールやカゼインをバインダーとして使用することが好ましく、ポリビニルアルコールを使用することがさらに好ましい。ポリビニルアルコールを用いると、キャストコート層(インク受理層)の透明度が向上し、写真調の光沢感が得られる。
又、ポリビニルアルコールに加え、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、尿素エマルジョン、アルキッドエマルジョン及びこれらの誘導体;等を配合してもよい。
(その他助剤)
また、インク受理層には、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤等を、必要に応じて適宜添加してもよい。
支持体上にインク受理層となる塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ、ゲートロールコーター、ショートドウェルコーター等の公知の塗工機をオンマシン、又はオフマシンで用いた塗工方法の中から適宜選択することができる。
インク受理層の塗工量は、片面当たり、固形分換算で3〜50g/mであることが好ましいが、紙粉削減のためには塗工量が少ないことが好ましく5〜30g/mであることがさらに好ましい。
本発明において、インク受理層の塗工量を多く必要とする場合には、インク受理層を多層にすることも可能である。又、インク吸収性の向上のため、支持体とインク受理層の間にアンダーコート層を設けてもよく、アンダーコート層はインク受理層と同一の構成でもよく、異なる構成でもよい。また、インク受理層を設けた面と反対の支持体面に、インク吸収性、筆記性、プリンター印字適性、その他各種機能を有するバックコート層をさらに設けてもよい。
(インク受理層の形成)
本発明においては、最表面のインク受理層を凝固キャストコート法で形成することによって光沢を付与する。凝固キャストコート法は、例えば以下のようにして行う。まず、インク受理層となる塗工液を支持体に塗布する。次に、塗工液中の結着剤(特に水系結着剤)を凝固させる作用を有する凝固剤を未乾燥の塗工層に塗布してゲル化させてから、加熱した鏡面仕上げ面に圧着、乾燥する。凝固キャストコート法は、銀塩写真に匹敵する面感、光沢をインク受理層に付与することが可能である。
凝固剤を塗布する際に塗工層が乾燥状態であると鏡面ドラム表面を写し取ることが難しく、得られたインク受理層表面に微小な凹凸が多くなり、銀塩写真並の光沢感を得にくい。凝固剤は、塗工層中の水系結着剤を凝固する作用を持つ。特に、水系結着剤としてポリビニルアルコールを用いた場合には、凝固剤としてホウ酸とホウ酸塩とを含有する液を用いることが好ましい。ホウ酸とホウ酸塩とを混合して用いることにより、凝固時の固さを適度なものとすることが容易となり、インク受理層に良好な光沢感を付与できる。凝固剤を塗布する方法は、塗工層に塗布できる限り特に制限されず、公知の方法(例えばロール方式、スプレー方式、カーテン方式等)の中から適宜選択して用いることができる。
(凝固剤の成分)
本発明に用いる凝固剤は、湿潤状態の塗工層中の水系結着剤を凝固する作用を持つものであればよい。凝固剤としては、例えば、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硫酸等のカルシウム、亜鉛、マグネシウム等の各種の塩の溶液が用いられる。特に、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる場合、凝固剤としてホウ砂とホウ酸塩とを含有する液を用いることが好ましい。ホウ砂とホウ酸塩とを混合して用いることにより、凝固時の塗工層固さを適度なものとすることが容易となり、インク受理層に良好な光沢感を付与できる。
ホウ酸とホウ酸塩とを併用する理由は以下の通りである。まず、ホウ酸塩を単独で凝固剤に用いると、ポリビニルアルコールの凝固が強くなり過ぎ、鏡面仕上げの面を充分に写し取ることができず、良好な光沢面を得ることが困難となる傾向がある。この場合、凝固剤中のホウ酸塩濃度を低減してもポリビニルアルコールの凝固の強さは変化しないため、光沢は改善されない。
一方、ホウ酸を単独で凝固剤に用いた場合、ポリビニルアルコールの凝固が柔らかくなり過ぎ、鏡面仕上げの面(ロール)に軟凝固の塗工層が付着し、良好な湿潤状態の塗工層を得ることが困難となる傾向がある。この場合、凝固剤中のホウ酸濃度を高くするとポリビニルアルコールの凝固は強くなる傾向にあるが、ホウ酸の溶解度が低いためにホウ酸濃度をあまり高くすることはできず、所望の凝固強さが得られない。
このようなことから、ホウ酸塩及びホウ酸を混合して用いることにより、適度な固さの凝固を得ることが容易となり、良好な光沢感を有するインクジェット記録媒体(キャストコート紙)を得ることができる。また、ホウ酸塩とホウ酸を混合した場合、ホウ酸単独の場合より水に対するホウ酸の溶解度が向上し、ポリビニルアルコールの凝固状態を調整しやすくなる。
ホウ酸塩としては例えば、ほう砂、オルトほう酸塩、二ほう酸塩、メタほう酸塩、五ほう酸塩、及び八ほう酸塩から選ばれる1種以上を用いることができるが、特に限定されるものではない。
凝固剤中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度は必要に応じて適宜調整することができる。凝固剤中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度が高くなるとポリビニルアルコールの凝固が強くなり、光沢が劣る傾向にある。また、ホウ酸塩及びホウ酸の濃度が高いと凝固剤中に析出しやすくなり、凝固剤の安定性が低下する傾向にある。
ホウ酸塩とホウ酸の好ましい配合割合は、ホウ酸塩とホウ酸とをNa247及びH3BO3に換算した質量比が(ホウ酸塩/ホウ酸)=0.25〜2である。
(凝固剤中のカチオン性化合物)
本発明において、凝固剤中にインク定着剤として機能するカチオン性化合物を含有させることにより、凝固キャストコート法でインク受理層を形成する際、インク受理層表面にカチオン性化合物が付着して残る。そのため、カチオン化度が低くインク定着力が十分でないカチオン性化合物を用いても、水溶性染料インク使用時の印字濃度が向上する。
本発明者らの検討により、水溶性染料インク使用時に元画像と異なる色相が発現される現象について、カチオン化度の低い(4.0meq/g以下の)カチオン性化合物を用いると、元画像の色相を再現できることが判明した。
この理由は以下のように考えられる。通常の染料インク用インクジェットプリンターでは、カラー画像の色再現のため、複数の水溶性染料インクを使用する。各インクはそれぞれ分子構造が異なり、アニオン性の度合いが異なる。従って、インクジェット記録媒体にインク定着剤とカチオン性化合物が存在すると、各インクとカチオン性化合物との反応性がそれぞれ異なり、その結果としてインク受理層中のインク分布がインクのアニオン性によって異なるため、本来の色相とは異なる色相を発現する可能性がある。そこで、カチオン性化合物のカチオン化度を低くすることで、各インクとの反応性(インク定着性)の差が小さくなり、元画像の色相を再現し易くなると考えられる。
特に、インクが混色されるグレー部や肌色部においては、元画像の色相を再現し難いが、このような場合に本発明は特に有効であり、画像部のカラーバランスを向上させることができる。
以上のことから、凝固剤中に含有させるカチオン性化合物のカチオン化度を2.0meq/g以上4.0meq/g以下に規定する。
カチオン性化合物のカチオン化度が4.0meq/gを超えると、例えば濃淡2種のインク(同一色調の色材をそれぞれ含有量を変えて含有させたインク)を用いて印字した際、これら複数のインクのアニオン性がそれぞれ異なるため、各インクの定着に必要なインク定着剤の量の差が大きくなることに起因して、各色の発色が異なり、元画像と比べて色相の差が大きくなる。一方、カチオン性化合物のカチオン化度が2.0meq/g未満であると、インク定着力が小さくなり印字濃度が低く、にじみが生じ易い。
カチオン化度とは、0.001mol/Lのポリビニル硫酸カリウム(PVSK)溶液を用いて滴定したとき、電荷が0となるときのPVSKの消費量から算出される値である。カチオン化度の測定原理は、塩基性色素であるトルイジンブルー(TB)が、アミノ基を有する正コロイドには吸着されないが、負コロイドには直ちに吸着されて赤紫色に変色する現象を利用した滴定法に基づいている。例えば、カチオン性樹脂水溶液にTBを加え、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)の希薄溶液を滴下すると、PVSKはカチオン性基と優先的に反応するので、はじめはTBの変色はないが、当量点を過ぎると過剰のPVSKはTBと反応し、溶液は青から赤紫色に変色する。従って、TBを指示薬にすることによりPVSKの消費量からカチオン化度を算出できる。
具体的には、次のようにしてカチオン化度の測定を行う。まず、試料(固形分として0.05〜0.15g)を水で希釈して100mlとし、この試料水溶液10mlを採取する。水溶液のpHは、希薄なアンモニア水溶液または酢酸水溶液を数滴加えることで適宜調整する。この水溶液を攪拌下、TB水溶液を2〜3滴加えると、青色(sky blue)を呈するが、さらに1/500規定のPVSKを滴下すると、当量点近くで沈殿が生じ、液が白濁する。さらにPVSKを滴下し、液相が青色から赤紫色に変色したらPVSKの滴下を止めてビューレットの目盛りを読む。そして、次式
カチオン化度(meq/g・固体)={V×1/500}/{S×(N×100)×(10×100)}
によってカチオン化度を算出する。ここで、式中、V:1/500規定のPVSK水溶液の滴定量(ml)、S:試料採取量(g)、N:試料固形分(%)を示す。
また、電荷は粒子表面電荷測定装置(MUTEC TOLEDO DL−50など)を用いて測定することも可能である。
カチオン性化合物とは、その水溶液又は水分散液がカチオン性である物質のことであり、例えばカチオン性高分子化合物をあげることができる。カチオン性高分子化合物としては、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム塩、環状アミンおよびこれらの高分子を単量体としたものが挙げられる。具体的にはビニルイミン、アルキルアミン、アルキレンアミン、ビニルアミン、アリルアミン、脂環式アミン、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、アクリルアミド、アミドアミン、アミジンなどのカチオン性高分子を単量体として使用する高分子化合物等が挙げられる。
以上に述べたカチオン性高分子の製造方法は、特開平6−92012号、特開平6−240154号、特開平9−87561号、特開平10−81065号、特開平10−152544号、特2002−19267号の各公報に記載されている。
凝固剤中のカチオン性化合物の配合量は1〜8質量%とすることが好ましい。カチオン性化合物の配合量が1質量%未満であると、カチオン性化合物に由来する上記した効果が充分に発揮されず、8質量%を超えると凝固剤の粘度が上昇する場合など塗工性が悪化する場合がある。
又、本発明においては、凝固剤中のカチオン性化合物がインク受理層の最表面に付着することで、元画像の色相を再現させる。このため、凝固剤がある程度の付着量で塗工層に塗布される必要がある。そこで、凝固剤中のカチオン性化合物が固形分換算で0.5g/m2以上、インク受理層に付着していることが好ましい。又、凝固剤の付着量の上限は特に制限されないが、生産性を考慮して、凝固剤中のカチオン性化合物が固形分換算で4.0g/m2以下程度になるよう、凝固剤の塗布量を制御することが好ましい。
カチオン性化合物の平均分子量が10000以下であり、かつジシアンジアミドとポリエチレンポリアミンとを縮合させた高分子化合物であると、染料インク使用時の印字濃度がさらに向上するので好ましい。
この理由は明確ではないが、ジシアンジアミドは分子構造上、分子内に一級アミン及び二級アミン由来の窒素原子の数が多く、インク定着に有利になるためと推測される。またポリエチレンポリアミンの中でもジエチレントリアミンは遊離の四級アミンが無く、カチオン化度を低く設定できるため好ましい。
又、カチオン性化合物の重量平均分子量が小さいほど塗工層中の、シリカのような比表面積の大きな多孔質顔料が形成する空隙にカチオン性化合物が滞留する。そのため、塗工層顔料をシリカとコロイダルシリカとの混合体とすることで、光沢性を持たせつつ、塗工層の表面にカチオン性化合物をより多く存在させることが可能となる。但し、カチオン性化合物の重量平均分子量が1000未満であるとインク定着効果が小さくなる場合があるため、カチオン性化合物の平均分子量は1000以上10000以下であることがさらに好ましい。最も好ましくは、カチオン性化合物の平均分子量が1000以上15000以下である。
凝固剤にはさらに、顔料、増粘剤、顔料分散剤、消泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加することができる。
また、凝固剤を塗工層表面に塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
(離型剤)
又、上記塗工液および/または凝固剤には、必要に応じて離型剤を添加することができる。離型剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の温度範囲においては、離型剤の融点が鏡面仕上げ面の温度とほぼ同等であるため、離型剤としての能力が最大限に発揮される。離型剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではないが、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸若しくはその塩類、又はポリエチレンワックス、レシチンなどが好ましく、ポリエチレンワックスを用いることがさらに好ましい。
(インク)
本発明のインクジェット記録媒体に使用されるインクとしては、画像を形成するための色素と、該色素を溶解または分散する液媒体とを必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調整したものが挙げられる。
インクに使用される色素(記録剤)としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料、等があげられるが、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。色素の含有量は、液媒体成分の種類、インクに要求される特性などに応じて決定されるが、従来のインクと同様に、液媒体の0.1〜20質量%程度の割合になるように色素を含有させてよい。
インクの液媒体としては、水、及び水溶性の各種有機溶剤が挙げられる。水溶性の有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;などが挙げられる。
<実施例>
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特に明示しない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
<支持体の作製>
叩解度350mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に対し、炭酸カルシウム10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.15部、及び歩留向上剤0.02部を添加し、抄紙機で抄紙した。抄紙の際、5%のデンプンと0.2%の表面サイズ剤(AKD)溶液を紙の両面に片面当り固形分で2.5g/mとなるように塗布し、坪量170g/m2の支持体を得た。支持体のステキヒトサイズ度は200secであった。
<インク受理層の塗工>
支持体の片面に、バーコーターを用いて以下の塗工液Aを塗工(約12g/m)し、塗工層が湿潤状態にある間に、以下の凝固剤を塗布(約3g/m)して塗工層を凝固させた。次いで、プレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、185g/mのインクジェット記録媒体を得た。
塗工液A:コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業株式会社製)20部と、湿式シリカの一種である沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製)80部とを配合した顔料スラリーに対し、バインダーとしてポリビニルアルコール10部(ポリビニルアルコール溶液中の固形分換算)、さらに離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)を2部配合して濃度25%の塗工液を調製した。
凝固剤:(ホウ砂/ホウ酸)で表される配合比が2で、ホウ砂をNa24で換算し、ホウ酸をH3BOで換算した時の濃度を4%とし、さらにカチオン性化合物(ジシアンジアミドジエチレントリアミン縮合物、明成化学製の商品名JK230、カチオン化度2.9meq/g、分子量3000)4%、離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)0.25%、浸透剤(パイオニンD−3120−W:竹本油脂株式会社製の商品名)0.5%、及びpH調整剤としてクエン酸0.25%を水に配合して凝固剤を調製した。
塗工液Aの顔料として、コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業株式会社製)の配合量を40部に変更し、沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製)の配合量を60部に変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
塗工液Aの顔料として、コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業株式会社製)の配合量を50部に変更し、沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製)の配合量を50部に変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
塗工液Aの顔料として、コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業株式会社製)の配合量を60部に変更し、沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製)の配合量を40部に変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
塗工液Aの顔料として、コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業株式会社製)の配合量を80部に変更し、沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製)の配合量を20部に変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
凝固剤中のカチオン性化合物を、ジシアンジアミドポリエチレンアミン縮合物(日華化学製の商品名ネオフィックスE117、カチオン化度2.9meq/g、分子量2500)に変更したこと以外は、実施例3とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
凝固剤中のカチオン性化合物を、ジシアンジアミドホルムアルデヒド縮合物(日華化学製の商品名ネオフィックスFY、カチオン化度3.4meq/g、分子量10000)に変更したこと以外は、実施例3とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例1>
塗工液Aの顔料として、コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業株式会社製)を配合量せず、沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製)の配合量を100部に変更したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例2>
塗工液Aの顔料として、コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業株式会社製)の配合量を100部に変更し、沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製)を配合量しなかったこと以外は、実施例1とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例3>
凝固剤中のカチオン性化合物を、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC、センカ製の商品名CP103、カチオン化度5.3meq/g、分子量140000)に変更したこと以外は、実施例3とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例4>
凝固剤中のカチオン性化合物を、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC、大同化成製の商品名EC−HS−2、カチオン化度4.9meq/g、分子量2900)に変更したこと以外は、実施例3とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例5>
凝固剤中のカチオン性化合物を、スチレン−アクリル酸系高分子(荒川化学製の商品名PM360、カチオン化度1.1meq/g、分子量25000)に変更したこと以外は、実施例3とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例6>
凝固剤中のカチオン性化合物を、ポリアミン系高分子(星光PMC製の商品名DK6860、カチオン化度7.2meq/g、分子量10000)に変更したこと以外は、実施例3とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例7>
凝固剤中のカチオン性化合物を、ポリアリルアミン塩酸塩(日東紡製の商品名PAA−HCl−05、カチオン化度10.7meq/g、分子量5000)に変更したこと以外は、実施例3とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例8>
凝固剤中のカチオン性化合物を、ポリエチレンイミン系高分子(日本触媒製の商品名エポミンP1000、カチオン化度8.5meq/g、分子量70000)に変更したこと以外は、実施例3とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例9>
凝固剤中のカチオン性化合物を、アミジン系高分子(ハイモ製の商品名SC−700M、カチオン化度6.2meq/g、分子量40000)に変更したこと以外は、実施例3とまったく同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
<比較例10>
凝固キャストコート法に代えて、リウェットキャストコート法を用いてインク受理層を形成し、インクジェット記録媒体を得た。
リウェットキャストコート法は以下のように行った。まず、実施例1と同一の支持体の片面に、バーコーターを用いて塗工液Bを13g/m塗工し乾燥した。次いでリウェット液Aを塗工層に塗布して塗工層を再湿潤させ、プレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、185g/mのインクジェット記録媒体を得た。
塗工液B:コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業株式会社製)50部と、沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製)50部とを配合した顔料スラリーに対し、結着剤としてアクリルウレタン樹脂(ハイブリデュール570:エアプロダクツ社製の商品名)30部を配合して濃度20%の塗工液を調製した。
リウェット液A:カチオン性化合物(ジシアンジアミドジエチレントリアミン縮合物、明成化学製の商品名JK230、カチオン化度2.9meq/g、分子量3000)4%、離型剤としてポリエチレンワックス(メイカテックスHP50:明成化学工業社製の商品名)0.2部を水に配合し、濃度4.2%のリウェット液を調整した。
<評価>
各実施例及び比較例のインクジェット記録媒体の評価を以下の方法で行った。
1.カチオン性化合物の分子量測定
カチオン性化合物の重量平均分子量を、GPC(ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー)により測定した。
2.カチオン性化合物のカチオン化度測定
粒子表面電荷測定装置(MUTEC TOLEDO DL−50)を用いてカチオン化度を測定した。
3.20°鏡面光沢度
光沢度計(村上色彩技術研究所製、True GLOSS GM−26PRO)を用い、ISO 8254−1に従って、インク受理層表面の20°鏡面光沢度を測定し、以下の基準で評価した。評価が△以上であれば実用上問題がない。
◎:20°鏡面光沢度が30%以上
○:20°鏡面光沢度が25%以上30%未満
△:20°鏡面光沢度が20%以上25%未満
×:20°鏡面光沢度が20%未満
4.色相
表計算ソフトウェアであるExcel(Microsoft社)を使用し、書式設定の"セルの網かけ"を"50%灰色"としたセルを作成し、染料インクプリンター(PIXUS iP−4100、キヤノン社製)を用いて印刷した。白色度用高速分光光度計(CMS−35SPX:村上色彩技術研究所社製)を用いて印刷部の知覚色度指数を測定し、画像の赤味を評価した。評価が○、△であれば実用上問題がなく、元の灰色画像の色相を再現しているといえる。
○:(|a*|)が2未満
△:(|a*|)が2以上、3未満
×:(|a*|)が3以上
5.印字濃度
染料インクプリンター(PIXUS iP−4100、キヤノン社製)を用い、試料に黒、シアン、マゼンタ、イエローをベタ印字し、印字濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth社製、RD−19)で測定した。測定した印字濃度に応じて、以下の総合評価を行った。評価が△以上であれば実用上問題がない。
◎:印字濃度4色の合計が9.0以上
○:印字濃度4色の合計が8.5以上9.0未満
△:印字濃度4色の合計が8.1以上8.5未満
×:印字濃度4色の合計が8.1未満
6.画像にじみ
染料インクプリンター(PIXUS iP−4100、キヤノン社製)を用い、上記5.で作成したベタ印字部の各色境界部の滲み(境界滲み)の程度を5段階評価で目視評価した。境界滲み及びムラについてそれぞれ目視評価を行った。目視評価5が最も優れ(滲み、ムラがない)、目視評価1が最も劣る(著しい滲み及びムラがある)ものとした。行い、この目視評価に基づき、総合評価を以下の指標で行った。総合評価が△以上であれば実用上問題がない。
◎:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも5である
○:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも4.5以上である
△:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが4である
×:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが3.5以下である
得られた結果を表1、表2に示す。
Figure 2009234205
Figure 2009234205
表1、2から明らかなようにインク受理層の顔料が合成非晶質シリカとコロイダルシリカとを含有し、かつカチオン化度2.0meq/g以上4.0meq/g以下のカチオン性化合物を含む凝固剤を用いた各実施例の場合、光沢に優れ、印字濃度が高く画像滲みが無いという写真調の画像が得られ、さらに元の画像の色相の再現性に優れていた。
一方、インク受理層の顔料として合成非晶質シリカを含まなかった比較例1の場合、画像滲みが生じた。又、インク受理層の顔料としてコロイダルシリカを含まなかった比較例2の場合、光沢が劣った。
カチオン化度4.0meq/gを超えるカチオン性化合物を用いた比較例3、4、6〜9の場合、元の画像の色相からのずれが大きく、色相の再現性が劣った。
カチオン化度2.0meq/g未満のカチオン性化合物を用いた比較例5の場合、色相の再現性に優れたものの、画像滲みが生じ、インク定着性が劣化した。
リウェット法によりキャストコートした比較例10の場合、光沢、印字濃度が劣化した。

Claims (4)

  1. 支持体上に、少なくとも顔料とバインダーとを含有する塗工層を設け、該塗工層の表面に前記バインダーと凝固する凝固剤を塗布して凝固キャストコート法によりインク受理層を設けてなるインクジェット用記録媒体であって、前記顔料が湿式法シリカとコロイダルシリカとを含有し、かつ前記凝固剤に含まれるカチオン化度2.0meq/g以上4.0meq/g以下のカチオン性化合物が前記インク受理層の表面に存在しているインクジェット記録媒体。
  2. 前記カチオン性化合物の平均分子量が10000以下であり、かつジシアンジアミドとポリエチレンポリアミンとを縮合させた高分子化合物である請求項1に記載されたインクジェット記録媒体。
  3. 前記インク受理層の光沢度が20%以上である請求項1又は2に記載されたインクジェット記録媒体。
  4. 前記合成非晶質シリカと前記コロイダルシリカの配合割合が、質量比で、(合成非晶質シリカ):(コロイダルシリカ)=20:80〜80:20である請求項1〜3のいずれかに記載されたインクジェット記録媒体。
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