JP2009233710A - プレス成形方法及びプレス成形金型装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホールドシワの発生を防止する。
【解決手段】ブランク板材Wの端部のうちホールドシワの発生が予測される部位に対応した部分の端縁部が、上型ダイ11とブランクホルダ13とであらかじめ部分的に折り曲げ加工される(折り曲げ加工部位Waの形成)。この後、上型ダイ11の挟持部11aとブランクホルダ13の挟持部13aとで、折り曲げ加工された部位Waを挟持しないようにして、ブランク板材Wの端部が挟持される。その後、上型ダイ11と下型パンチ12とでブランク板材Wがプレス成形される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、プレス成形方法及びプレス成形金型装置に関するものである。
プレス成形、特に絞り成形に際しては、上型ダイの挟持部とブランクホルダとでブランク板材の端部を挟持した状態で、該上型ダイと下型パンチとでブランク板材が所望形状にプレス成形されることになる。特許文献1には、ブランク板材の端部を挟持する上型ダイの挟持部とブランクホルダとの合わせ面に、材料の流入を抑制するビード部を形成したものが開示されている。
特開2004−9107号公報
ところで、ブランク板材の端部には、上記挟持部とブランクホルダとで挟持される部分にホールドシワが発生されることがある。このホールドシワが生じた部分に対応した成形品の製品は、成形時の材料の流動が不適切となりシワや割れが生じ、製品としては利用できないものとなる。このホールドシワは、材料の歩留まりを高めるために、絞り成形深さを浅くした際に、成形品の成形深さが大きい部分に発生し易くなる。したがって、このホールドシワの発生をいかに防止するかが、材料の歩留まりを高める上で重要となる。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、ホールドシワの発生を防止するようにしたプレス成形方法及びプレス成形金型装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明におけるプレス成形方法にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
上型ダイの挟持部とブランクホルダとでブランク板材の端部を挟持した状態で、該上型ダイと下型パンチとでブランク板材をプレス成形するようにしたプレス成形方法において、
前記挟持部と前記ブランクホルダとで前記ブランク板材の端部を挟持する前にあらかじめ、該ブランク板材の端部のうちホールドシワの発生が予測される部位に対応した部分の端縁部を該上型ダイと該ブランクホルダとで部分的に折り曲げ加工する第1ステップと、
前記第1ステップの後に、前記挟持部と前記ブランクホルダとで、前記折り曲げ加工された部位を挟持しないようにして前記ブランク板材の端部を挟持する第2ステップと、
前記第2ステップの後に、前記上型ダイと下型パンチとで前記ブランク板材をプレス成形する第3ステップと、
を備えているようにしてある。上記解決手法によれば、上型ダイと下型パンチとでブランク板材をプレス成形する前にはあらかじめ、ホールドシワの発生が予測される部位に対応した部分の端縁部が折り曲げ加工されているので、この折り曲げ加工された部分やその付近は剛性が高められて変形しにくいものとなっており、この部分的な剛性向上によってホールドシワの発生が防止されることになる。特に、ホールドシワは、例えば歩留まり向上等のために絞り深さを浅くした場合に生じやすくなるが、絞りを浅くしてもホールドシワの発生が防止されることになる。
前記目的を達成するため、本発明におけるプレス成形金型装置にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項2に記載のように、
上型ダイの挟持部とブランクホルダとでブランク板材の端部を挟持した状態で、該上型ダイと下型パンチとでブランク板材をプレス成形するようにしたプレス成形金型装置において、
前記上型ダイに、前記ブランク板材の端部のうちホールドシワの発生が予測される部位に対応させて凸状または凹状の第1加工部が形成され、
前記ブランクホルダに、前記第1加工部に対応させて、凹状または凸状とされて該第1加工部と共働してブランク板材の端縁部を折り曲げ加工するための第2加工部が形成され、
前記第1加工部と第2加工部とは、前記挟持部と前記ブランクホルダとで前記ブランク板材の端部を挟持する前に、該ブランク板材の前記端縁部を部分的に折り曲げ加工できる位置に設定され、
前記挟持部と該ブランクホルダは、前記ブランク板材の端部を挟持する際に、前記折り曲げ加工された部位を除外して挟持するように設定されている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、請求項1に記載のプレス成形方法を実行するためのプレス金型装置が提供される。また、折り曲げ加工するのに、上型ダイに凸状または凹状の第1加工部を形成する一方、ブランクホルダにはこの第1加工部に対応して凹状または凸状の第2加工部を形成するだけでよいので、金型装置としての構造も簡単ですむことになる。
上記プレス成形金型装置を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項3に記載のとおりである。すなわち、
前記挟持部とブランクホルダとには、前記ブランク板材を挟持したときに、前記折り曲げ加工される部位付近において内方側に向けて延びる複数のビード部を形成するためのビード形成部が形成されている、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、ビード部を形成することによって、ホールドシワの発生をより確実に防止することができる。
本発明によれば、ホールドシワの発生を防止することができる。
図1は、絞り成形されたトリミング処理前の成形品PRを示す。成形品PRは、実施形態では、自動車の車体を構成するためのパネル材とされ、図中α線で示す切断部位によって2つに切断されると共に、後述のフランジ部1を含めて余剰部がトリミング処理されて製品として使用されるものとなっている。また、成形品PRは、α線の一端側から他端側へと徐々に深くなるようにされている。製品PRは、α線を挟む左右端部にフランジ部1を有するが、フランジ部1が、プレス成形の際に上型ダイの挟持部とブランクホルダとで挟持される部分となっている。そして、フランジ部1のうち、成形品PRの深く形成される箇所の符合βで示す位置において、ホールドシワが発生し易いものとなっている。本発明では、このβで示す部位に、ホールドシワが発生しないように工夫されたものとなっている。
図2は、本発明が適用されたプレス成形金型の一例を示す。この図2において、11は上型ダイ、12は下型パンチ、13はブランクホルダ、14はブランクホルダ13を上方へ付勢するエアクッションピンである。上型ダイ11の左右端部には、それぞれ、下方に向けて凸とされた第1加工部21が一体的に形成されている。また、左右一対のブランクホルダ13には、上記第1加工部21に対応させて、凹とされた第2加工部22が形成されている。第1加工部21は、第2加工部22の外周にはまり込むように設定されている。このような各加工部21,22は、図1に示すホールドシワの発生が予測される部位βに対応した部分についてのみ設けられている。
上型ダイ11のうち、上記第1加工部21の内方側が、ブランク板材Wの端部を挟持するための上挟持部(上挟持面)11aとされている。また、ブランクホルダ13のうち、上挟持部11aの延長下方上に位置する部分が、上挟持部11aと共働してブランク板材Wの端部を挟持するための下挟持部(下挟持面)13aとされている。そして、第1加工部21および第2加工部22は、上記上挟持部11a、下挟持部13aよりも外方側に位置設定されている。
次に、図2〜図10を参照しつつ、ブランク板材Wをプレス成形する詳細について説明する。なお、図2〜図7は、図1のX−X線相当断面図で、ホールドシワの発生が予測される部分での断面を示す。また、図8〜図10は、図1のY−Y線相当断面図で、比較的成形深さの浅い部分での断面を示す。そして、プレス成形する際の進行状況において、図2と図8が同じタイミングであり、図5と図9とが同じタイミングであり、図7と図10とが同じタイミングである。
以上のことを前提として、まず、図2、図8で示すように、平板状のブランク板材Wが、下型パンチ12上に載置される。この状態では、ブランクホルダ13は下型パンチ12よりも下方に位置されて、ブランク板材Wの左右端部は、自重によって若干下方へ垂れ下がる状態となる。
図2(図8)の状態から、上型ダイ11の下降によって、第1加工部21がブランク板材Wに上方から当接される(図3対応)。さらに上型ダイ11が下降すると、ブランク板材Wは、第2加工部22に対して当接された直前の状態とされる(図4参照)。
図4の状態から、さらに上型ダイ11を下降させると、ブランク板材Wの端部のうち、上下の挟持部11a、13aよりも外方側部分が、第1加工部21と第2加工部22とによって下方へ折り曲げ加工される(図5対応)。すなわち、上下の加工部21と22とが嵌合状態となって、この嵌合状態となる隙間にブランク板材Wの端縁部が挟み込まれて、下方へ折り曲げ加工されることになり、折り曲げ加工部が符合Waで示される。この折り曲げ加工部Waを形成することによって、折り曲げ加工部Waはもとよりその付近も剛性が高くなる(変形しにくい状態となる)。なお、折り曲げ加工部Waが形成された直後では、ブランク板材Wの端部は、上下の各挟持部11aと13aとで挟持されない状態が維持される。
図5の状態から、さらに上型ダイ11を下降させると、やがて、上下の挟持部11aと13aとで、ブランク板材Wの端部が挟持された状態となる(図6対応)。このとき、折り曲げ加工部Waは、各挟持部11a、13aの外方側にあるので、各挟持部11aと13aとでは挟持されない状態となる。なお、挟持部11aと13aとでの挟持力は、エアクッションピン14の作用によって、所定の挟持力の範囲内となるように制限される。
図6の状態から、さらに上型ダイ11が下降させて、この上型ダイ11と下型パンチ12とで、ブランク板材Wが所望形状にプレス成形される(図7対応)。このプレス成形された成形品が、図11に示す成形品PRBとなる。図11に示す成形品PRBは、図1に示す成形品PRに対して、折り曲げ加工部Waを有する点のみが相違する。なお、図11中、符合Sは、折り曲げ加工部Waが形成されている長さ範囲を示しており、図1におけるホールドシワの発生が予測される部位βに対応したものとなっている。そして、上記成形品PRBは、フランジ部1を含めて余剰部がトリミング処理されて製品とされる。
図12,図13は、本発明の第2の実施形態を示すもので、前記実施形態と同一構成要素には同一符合を付して、その重複した説明は省略する。本実施形態では、折り曲げ加工部Waの付近において、その内方側に向けて延びる複数のビード部を形成するようにしたものである。すなわち、図12において、上挟持部11aに左右方向に延びる凸部31を形成する一方、下挟持部13aに左右方向に延びる凹部32を形成してある。凸部31と凹部32とが嵌合されることによって、凸部31と凹部32との形状に対応したビード部33を有する成形品PRB−2が、図13に示すように形成される。このビード部33の形成によって、ホールドシワの発生がより一層確実に防止されることになる。なお、凸部31と凹部32とが、ビード形成部を構成するものである。そして、上記成形品PRB−2も、前述の成形品PRBと同様に、フランジ部1を含めて余剰部がトリミング処理されて製品とされる。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。第1加工部21と第2加工部22との凹凸関係を、実施形態とは逆の関係となるようにしてもよい。同様に、ビード部33の形成に際しては、挟持部11aに凹部を形成し、挟持部13aに凸部を形成するようにしてもよい。第1加工部21と第2加工部22とは、ホールドシワの発生が予測される部位の箇所数に応じてその数を1,2あるいは3以上とすることができる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
絞り成形された成形品を、ホールドシワの発生し易い部分と共に示す斜視図。 本発明が適用されたプレス成形金型装置の一例を示すもので、図1X−X線相当部分を成形する位置での断面図。 図2の状態から、プレス成形が進行した状態を示す断面図。 図3の状態から、プレス成形が進行した状態を示す断面図。 図4の状態から、プレス成形が進行した状態を示す断面図。 図5の状態から、プレス成形が進行した状態を示す断面図。 図6の状態から、プレス成形が進行した状態を示す断面図。 本発明が適用されたプレス成形金型装置の一例を示すもので、図1Y−Y線相当部分を成形する位置での断面図であり、図2に対応したタイミングを示す。 図8に対応した断面図で、図5に対応したタイミングを示す。 図8に対応した断面図で、図7に対応したタイミングを示す。 図2〜図10に示すプレス成形金型装置によってプレス成形された製品を示すもので、図1に対応した斜視図。 本発明の第2の実施形態を示す要部断面図。 第2の実施形態によってプレス成形された成形品を示すもので、図11に対応した斜視図。
符号の説明
PRB、PRB−2:本発明によってプレス成形された成形品
W:ブランク板材
Wa:折り曲げ加工部
11:上型ダイ
11a:上挟持部
12:下型パンチ
13:ブランクホルダ
13a:下挟持部
21:第1加工部
22:第2加工部

Claims (3)

  1. 上型ダイの挟持部とブランクホルダとでブランク板材の端部を挟持した状態で、該上型ダイと下型パンチとでブランク板材をプレス成形するようにしたプレス成形方法において、
    前記挟持部と前記ブランクホルダとで前記ブランク板材の端部を挟持する前にあらかじめ、該ブランク板材の端部のうちホールドシワの発生が予測される部位に対応した部分の端縁部を該上型ダイと該ブランクホルダとで部分的に折り曲げ加工する第1ステップと、
    前記第1ステップの後に、前記挟持部と前記ブランクホルダとで、前記折り曲げ加工された部位を挟持しないようにして前記ブランク板材の端部を挟持する第2ステップと、
    前記第2ステップの後に、前記上型ダイと下型パンチとで前記ブランク板材をプレス成形する第3ステップと、
    を備えていることを特徴とするプレス成形方法。
  2. 上型ダイの挟持部とブランクホルダとでブランク板材の端部を挟持した状態で、該上型ダイと下型パンチとでブランク板材をプレス成形するようにしたプレス成形金型装置において、
    前記上型ダイに、前記ブランク板材の端部のうちホールドシワの発生が予測される部位に対応させて凸状または凹状の第1加工部が形成され、
    前記ブランクホルダに、前記第1加工部に対応させて、凹状または凸状とされて該第1加工部と共働してブランク板材の端縁部を折り曲げ加工するための第2加工部が形成され、
    前記第1加工部と第2加工部とは、前記挟持部と前記ブランクホルダとで前記ブランク板材の端部を挟持する前に、該ブランク板材の前記端縁部を部分的に折り曲げ加工できる位置に設定され、
    前記挟持部と該ブランクホルダは、前記ブランク板材の端部を挟持する際に、前記折り曲げ加工された部位を除外して挟持するように設定されている、
    ことを特徴とするプレス成形金型装置。
  3. 請求項2において、
    前記挟持部とブランクホルダとには、前記ブランク板材を挟持したときに、前記折り曲げ加工される部位付近において内方側に向けて延びる複数のビード部を形成するためのビード形成部が形成されている、
    ことを特徴とするプレス成形金型装置。
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