JP2009233689A - 溶削装置を用いた鋼鋳片の溶削方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼鋳片の表面欠陥を良好に溶削して溶削ムラが小さい平滑な溶削面を形成する。
【解決手段】溶削装置1は、断面四角形状の鋼材6の各面に対向して設けられた4つの火口ユニットのそれぞれに酸素ガスを供給する酸素供給配管14、15、24、25とプロパンガスを供給するプロパン供給配管34、35、44、45と、プロパン供給源と火口ユニットとの間及び酸素ガス供給源との火口ユニットとの間にそれぞれ設けられた減圧弁12、22、32、42、圧力計及び流量計13、23、33、43とを備え、流量計により測定される流量がプロパンガスに対する酸素ガスの流量比率が5.0±0.5の範囲を満足するように制御する。
【選択図】図1
【解決手段】溶削装置1は、断面四角形状の鋼材6の各面に対向して設けられた4つの火口ユニットのそれぞれに酸素ガスを供給する酸素供給配管14、15、24、25とプロパンガスを供給するプロパン供給配管34、35、44、45と、プロパン供給源と火口ユニットとの間及び酸素ガス供給源との火口ユニットとの間にそれぞれ設けられた減圧弁12、22、32、42、圧力計及び流量計13、23、33、43とを備え、流量計により測定される流量がプロパンガスに対する酸素ガスの流量比率が5.0±0.5の範囲を満足するように制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、溶削装置を用いた鋼鋳片の溶削方法に関し、特に、予熱ステップにおける溶削方法に関するものである。
分塊圧延又は連続鋳造されたスラブ、ブルーム、ビレット等の鋼鋳片の表面には、脱炭層や表面疵といった有害な表面欠陥が存在する。これらの欠陥は、後工程における加工後においても消失することなく残存し、製品である鋼材に表面欠陥が発生することとなり、鋼材の表面品質を悪化させる場合がある。鋼鋳片の表面に存在する有害欠陥を分塊工程で除去する設備として、鋼鋳片の表面に燃焼ガスを吹き付け、この鋼鋳片の表面を一定の深さまで溶削するための溶削装置(ホットスカーフ)が用いられている。以下に示す特許文献に、良好な溶削処理を実現するための技術が開示されている。
特開2005−7404号公報
特開平10−166143号公報
特開2006−205206号公報
溶削処理は、一般的に、燃焼条件などの異なる予熱ステップと溶削ステップとが構成される。予熱ステップでは、液化石油ガス(LPG、以下においてはプロパンガスと記載する場合がある)、コークス炉ガス(COG)等の燃料を酸素中で燃焼させることにより得られる約3000℃の高温炎を鋼鋳片の表面に吹き付けて加熱すると、酸化溶融が起きて湯溜り(溶融部)ができる。そこへ火口から高純度の酸素を噴出させると、溶融鉄と酸素とが酸化反応を起こし、強力な反応熱が発生する。火口に対して鋼鋳片を連続移動させると次々と酸化反応が連続して鋼鋳片表面の溶削が進行する(溶削ステップ)。
このようなホットスカーフにおいては、鋼種や想定される表面欠陥の深さによって鋼鋳片の表面の0.7〜3.0mm程度を削り取る必要がある。この場合において、一般的に削り取る深さ(溶削深さ)を均一にすることは難しく、溶削深さの目標値に対して±1mm程度のバラツキ(溶削ムラ)が存在し得る。その結果、溶削深さが浅い箇所または全く削り取られていない箇所においては、その箇所に存在する表面欠陥が残存してしまうことになる。このような問題点に鑑みて、上述した特許文献も技術改良に着目したものであるといえる。
しかしながら、特許文献1,特許文献3では、予熱ステップにおける燃料のガス圧と溶削酸素圧とを規定し良好な溶削を行おうとしているものの、実際の現場からは「溶削ムラが経時的に増える」との難点が報告されている。
また、特許文献2は、溶削ステップに着目したガス流量条件についての技術でしかなく、このような溶削ステップの技術改良だけでは十分な品質を実現できないことを出願人は確認している。すなわち、この溶削ステップでLPG等の燃料ガスを噴射することがあったとしても、本質的な反応は鉄の燃焼であるため、酸素ガスと燃料ガスとの比率はさほど問題とならない。
また、特許文献2は、溶削ステップに着目したガス流量条件についての技術でしかなく、このような溶削ステップの技術改良だけでは十分な品質を実現できないことを出願人は確認している。すなわち、この溶削ステップでLPG等の燃料ガスを噴射することがあったとしても、本質的な反応は鉄の燃焼であるため、酸素ガスと燃料ガスとの比率はさほど問題とならない。
その一方、出願人は溶削部(本体部)の溶削ムラが、予熱部の溶削ムラに相関があり、さらに、予熱部の溶削ムラが酸素ガスと燃料ガスとの比率に関係があることを見出したのである。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、鋳造または分塊圧延後の鋼鋳片の表面欠陥を良好に溶削して溶削ムラが小さい平滑な溶削面を形成することができる溶削装置を用いた鋼鋳片の溶削方法を提供することである。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、鋳造または分塊圧延後の鋼鋳片の表面欠陥を良好に溶削して溶削ムラが小さい平滑な溶削面を形成することができる溶削装置を用いた鋼鋳片の溶削方法を提供することである。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る鋼鋳片の溶削方法は、鋼鋳片を予熱する予熱ステップと、前記予熱ステップに引き続いて実行される溶削ステップとを含むものであって、前記予熱ステップでは、プロパンガスに対する酸素ガスの流量比率が5.0±0.5の範囲である燃焼ガスを火口から噴射して、鋼鋳片に溶融部を形成することを特徴とする。
すなわち、予熱ステップにおいて形成される溶融部の溶削ムラと溶削ステップにおいて形成される本体部の溶削ムラとの間には相関関係が成立しており、その上で、予熱部の溶削ムラと予熱ステップにおけるプロパンガスに対する酸素ガスの流量比率を5.0±0.5とすることで、予熱部の溶削ムラを最小限にすることができ、その結果、本体部の溶削ムラをたとえば0.5mm以内に収めることができる。
すなわち、本発明に係る鋼鋳片の溶削方法は、鋼鋳片を予熱する予熱ステップと、前記予熱ステップに引き続いて実行される溶削ステップとを含むものであって、前記予熱ステップでは、プロパンガスに対する酸素ガスの流量比率が5.0±0.5の範囲である燃焼ガスを火口から噴射して、鋼鋳片に溶融部を形成することを特徴とする。
すなわち、予熱ステップにおいて形成される溶融部の溶削ムラと溶削ステップにおいて形成される本体部の溶削ムラとの間には相関関係が成立しており、その上で、予熱部の溶削ムラと予熱ステップにおけるプロパンガスに対する酸素ガスの流量比率を5.0±0.5とすることで、予熱部の溶削ムラを最小限にすることができ、その結果、本体部の溶削ムラをたとえば0.5mm以内に収めることができる。
好ましくは、前記予熱ステップでは、プロパンガスの供給源と火口との間及び酸素ガスの供給源との火口との間にそれぞれ設けられた流量計を用いて、前記流量計により測定されるプロパンガス及び酸素ガスの流量が前記流量比率を満足するように制御されるとよい。
こうすることで、ガス圧のみを制御する場合に発生する火口の経時変化(火口が径大となる)の影響を受けることなく、安定的に高精度のガス流量制御を実現することができ、所望の流量比率(プロパン流量に対する酸素流量の比率が5.0±0.5)を安定的に実現することができる。
こうすることで、ガス圧のみを制御する場合に発生する火口の経時変化(火口が径大となる)の影響を受けることなく、安定的に高精度のガス流量制御を実現することができ、所望の流量比率(プロパン流量に対する酸素流量の比率が5.0±0.5)を安定的に実現することができる。
本発明に係る溶削装置を用いた鋼鋳片の溶削方法を用いることで、鋳造または分塊圧延後の鋼鋳片の表面欠陥を良好に溶削して溶削ムラが小さい平滑な溶削面を形成することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の実施の形態に係る溶削方法を実現する溶削装置(ホットスカーフ)について説明する。
図1に示すように、この溶削装置1は、スラブ、ブルーム、ビレット等の鋼材6を搬送するローラテーブルにおける搬送路の適宜な位置に配置される。この溶削装置1は、鋼材6の各面(上下左右の4面)にそれぞれ対応して上部火口ユニット2、下部火口ユニット3、左部火口ユニット4、右部火口ユニット5が配設されている。
まず、本発明の実施の形態に係る溶削方法を実現する溶削装置(ホットスカーフ)について説明する。
図1に示すように、この溶削装置1は、スラブ、ブルーム、ビレット等の鋼材6を搬送するローラテーブルにおける搬送路の適宜な位置に配置される。この溶削装置1は、鋼材6の各面(上下左右の4面)にそれぞれ対応して上部火口ユニット2、下部火口ユニット3、左部火口ユニット4、右部火口ユニット5が配設されている。
各火口ユニットは、鋼材6の表面側に開口する火口(ノズル)を備えている。また図示はしないものの、その火口に連通する複数の連通口が長手方向(鋼材6の幅方向)に沿って定間隔で形成されたマニホールドと、調節用シリンダに接続されてマニホールド内において長手方向に沿って進退動するピストンとを備えている。マニホールドには酸素の供給系及びプロパンガスの供給系が連通接続されている。そして、調節用シリンダを作動してピストンをマニホールドの長手方向に沿って移動調節することで、酸素およびプロパンを吐出させる火口の幅を、鋼材6の幅寸法に応じて調節し得るよう構成されている。
図1に示すように、この溶削装置1には、酸素元配管10から各火口ユニット2,3,4,5へ酸素供給配管が設けられ、プロパン元配管30から各火口ユニット2,3,4,5へプロパン供給配管が設けられている。以下、これらについて説明する。
酸素元配管10は、左部火口ユニット4及び右部火口ユニット5へ向かう酸素供給配管11並びに上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ向かう酸素供給配管21に分岐する。酸素供給配管11は、左部火口ユニット4へ向かう酸素供給配管15及び右部火口ユニット5へ向かう酸素供給配管14に分岐される。酸素供給配管21は、上部火口ユニット2へ向かう酸素供給配管25及び下部火口ユニット3へ向かう酸素供給配管24に分岐される。
酸素元配管10は、左部火口ユニット4及び右部火口ユニット5へ向かう酸素供給配管11並びに上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ向かう酸素供給配管21に分岐する。酸素供給配管11は、左部火口ユニット4へ向かう酸素供給配管15及び右部火口ユニット5へ向かう酸素供給配管14に分岐される。酸素供給配管21は、上部火口ユニット2へ向かう酸素供給配管25及び下部火口ユニット3へ向かう酸素供給配管24に分岐される。
酸素供給配管11には、左部火口ユニット4及び右部火口ユニット5へ流れる酸素の流量を調整するために弁の開度を制御可能な減圧弁12、左部火口ユニット4及び右部火口ユニット5へ流れる酸素の流量を測定する流量計13が設けられる。
酸素供給配管21には、上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ流れる酸素の流量を調整するために弁の開度を制御可能な減圧弁22、上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ流れる酸素の流量を測定する流量計23が設けられる。
プロパン元配管30は、左部火口ユニット4及び右部火口ユニット5へ向かうプロパン供給配管31並びに上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ向かうプロパン供給配管41に分岐する。プロパン供給配管31は、左部火口ユニット4へ向かうプロパン供給配管35及び右部火口ユニット5へ向かうプロパン供給配管34に分岐される。プロパン供給配管41は、上部火口ユニット2へ向かうプロパン供給配管45及び下部火口ユニット3へ向かうプロパン供給配管44に分岐される。
酸素供給配管21には、上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ流れる酸素の流量を調整するために弁の開度を制御可能な減圧弁22、上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ流れる酸素の流量を測定する流量計23が設けられる。
プロパン元配管30は、左部火口ユニット4及び右部火口ユニット5へ向かうプロパン供給配管31並びに上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ向かうプロパン供給配管41に分岐する。プロパン供給配管31は、左部火口ユニット4へ向かうプロパン供給配管35及び右部火口ユニット5へ向かうプロパン供給配管34に分岐される。プロパン供給配管41は、上部火口ユニット2へ向かうプロパン供給配管45及び下部火口ユニット3へ向かうプロパン供給配管44に分岐される。
プロパン供給配管31には、左部火口ユニット4及び右部火口ユニット5へ流れるプロパンの流量を調整するために弁の開度を制御可能な減圧弁32、左部火口ユニット4及び右部火口ユニット5へ流れるプロパンの流量を測定する流量計33が設けられる。
プロパン供給配管41には、上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ流れるプロパンの流量を調整するために弁の開度を制御可能な減圧弁42、上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ流れるプロパンの流量を測定する流量計43が設けられる。
酸素及びプロパンの供給配管の途中には、流量計13,23,33,43に対応させて図示しない圧力計が設けられている。
プロパン供給配管41には、上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ流れるプロパンの流量を調整するために弁の開度を制御可能な減圧弁42、上部火口ユニット2及び下部火口ユニット3へ流れるプロパンの流量を測定する流量計43が設けられる。
酸素及びプロパンの供給配管の途中には、流量計13,23,33,43に対応させて図示しない圧力計が設けられている。
ここで、一般的に、溶削装置1に供給する酸素及びプロパンのガス制御は、(1)ガスの温度、(2)流路にかかる圧力、(3)流路の中で最小となる断面積(溶削装置の場合、火口ノズル孔の総面積)等のファクタを基に行われる。従来、溶削装置1におけるガス制御の考え方としては、(1)及び(3)については一定として(2)のガス圧力のみをパラメータとして制御していた。そのため、ガス配管には圧力計を設置して、配管内の圧力を測定していた。
しかしながら、このような制御が行われる場合の問題点は、(3)流路の中で最小となる断面積(溶削装置1の場合、火口孔の総面積)を一定としていることに起因する。すなわち、火口のノズル孔の総面積は新品の火口のみを使い続けていれば一定とすることができても、実際には火口は整備しながら繰り返し使用することが常であるため、ノズル孔は摩耗して孔径は広がり、その結果、ノズル孔の総面積は大きくなっていく。そのため、ガス圧力を新品の火口と同じ条件に設定すると流れるガスの流量も大きくなる。したがって、ガス圧力のみをパラメータとして考慮した制御では設計通りのガス流量条件を常に担保することにならない。
しかしながら、このような制御が行われる場合の問題点は、(3)流路の中で最小となる断面積(溶削装置1の場合、火口孔の総面積)を一定としていることに起因する。すなわち、火口のノズル孔の総面積は新品の火口のみを使い続けていれば一定とすることができても、実際には火口は整備しながら繰り返し使用することが常であるため、ノズル孔は摩耗して孔径は広がり、その結果、ノズル孔の総面積は大きくなっていく。そのため、ガス圧力を新品の火口と同じ条件に設定すると流れるガスの流量も大きくなる。したがって、ガス圧力のみをパラメータとして考慮した制御では設計通りのガス流量条件を常に担保することにならない。
そこで、本実施の形態に係る溶削装置1においては、酸素ガスとプロパンガスの供給配管に流量計13,23,33,43を設置して、この流量計13,23,33,43により測定された流量が、各火口ユニット2,3,4,5で「酸素の流量/プロパンガスの流量=5.0±0.5」となるように設定されている。流量計の値が目標流量になるように制御する手法は、従来からの制御手法が採用される。また、流量計、減圧弁、圧力計の位置及び数は、上述したものに限定されない。
図2及び図3を参照して、火口ユニット50について説明する。なお、この火口ユニット50は、方向及び細部を除いて、上部火口ユニット2、下部火口ユニット3、左部火口ユニット4及び右部火口ユニット5で同じ構造であるとする。
図2及び図3を参照して、火口ユニット50について説明する。なお、この火口ユニット50は、方向及び細部を除いて、上部火口ユニット2、下部火口ユニット3、左部火口ユニット4及び右部火口ユニット5で同じ構造であるとする。
火口ユニット50は、図2及び図3に示すように、大略的には、ヘッドブロック54、上部ブロック(アッパーブロック)51、下方ブロック(ロワーブロック)52、シューブロック53によって構成される。上方ブロック51と下方ブロック52との間に形成されるスリットが、溶削酸素を吹き付けるための溶削火口となる。上方ブロック51の先端には、予熱酸素とプロパンガスを噴出する火口が配置され、下方ブロック52の先端には、プロパンガスを噴出する火口が配置されている。
図2に示すように、鋼材6を溶削する際には、まず上方ブロック51の先端の火口より酸素を吐出するとともに、下方ブロック52及び上方ブロック51の火口からプロパンガスを吐出する。吐出したプロパンガスは酸素と混合し燃焼して燃焼ガス(燃焼炎)が発生する。この燃焼ガスにより鋼材6を予熱し溶融部を生成する予熱ステップが実行される。
図2に示すように、鋼材6を溶削する際には、まず上方ブロック51の先端の火口より酸素を吐出するとともに、下方ブロック52及び上方ブロック51の火口からプロパンガスを吐出する。吐出したプロパンガスは酸素と混合し燃焼して燃焼ガス(燃焼炎)が発生する。この燃焼ガスにより鋼材6を予熱し溶融部を生成する予熱ステップが実行される。
この際に、流量計13,23,33,43により測定された流量が、火口ユニット50で「酸素の流量/プロパンガスの流量=5.0±0.5」となるように設定している。詳しくは、「流量計23の測定値/流量計43の測定値=4.5〜5.5」及び「流量計13の測定値/流量計23の測定値=4.5〜5.5」である。
具体的な制御方法としては、流量計13,23,33,43の測定値が所定のものとなるように、オペレータが減圧弁12,22,32,42の開度をフィードバック制御してもよく、圧力計により測定された供給管内圧力が設定ガス圧(この設定ガス圧は、流量計により測定された流量が目標流量になるように設定されている)になるように減圧弁の開度をフィードバック制御してもよい。
具体的な制御方法としては、流量計13,23,33,43の測定値が所定のものとなるように、オペレータが減圧弁12,22,32,42の開度をフィードバック制御してもよく、圧力計により測定された供給管内圧力が設定ガス圧(この設定ガス圧は、流量計により測定された流量が目標流量になるように設定されている)になるように減圧弁の開度をフィードバック制御してもよい。
次に、図3に示すように、予熱ステップに引き続いて溶削ステップが実行される。この溶削ステップにおいては、溶削火口から酸素(溶削酸素)を吐出した状態で、ノズルユニットと鋼材6とを相対的に移行し、溶削を進行させ、鋼材6の表面を全面または部分的に溶削を行う。この際、溶削酸素が外気と反応することにより溶削酸素に乱れが発生することを防止するため、溶削酸素をシールドする目的で下方ブロック52からプロパンガスを、上方ブロック51からプロパンガスを吐出するようにしてもよい。
図4に示すように、このようなステップを実行するために、鋼材6は、進行方向先端側に予熱部が形成され、予熱部の進行逆方向に本体部(溶削部)が形成される。上述したように、溶削ステップにおいては溶削のための酸素ガスのみが吐出されるのに対して、予熱ステップでは酸素ガスに加えてプロパンガスが吐出される。このため、予熱ステップにおいては、溶削ステップにおけるよりも鋼材6の表面におけるガスが均一になりにくいと考えられ、溶削ムラが発生しやすく、発生した溶接ムラの影響は、溶削ステップでの溶削ムラにまで及ぶことが現場の実績から明らかとなっている。
図4に示すように、このようなステップを実行するために、鋼材6は、進行方向先端側に予熱部が形成され、予熱部の進行逆方向に本体部(溶削部)が形成される。上述したように、溶削ステップにおいては溶削のための酸素ガスのみが吐出されるのに対して、予熱ステップでは酸素ガスに加えてプロパンガスが吐出される。このため、予熱ステップにおいては、溶削ステップにおけるよりも鋼材6の表面におけるガスが均一になりにくいと考えられ、溶削ムラが発生しやすく、発生した溶接ムラの影響は、溶削ステップでの溶削ムラにまで及ぶことが現場の実績から明らかとなっている。
図5に示すように、予熱時の溶削ムラが本体部の溶削ムラに与える影響は、強い相関関係を有する。すなわち、予熱部の溶削ムラと本体部の溶削ムラとの間において存在する強い相関関係から、ホットスカーフにおける予熱の良し悪しが本体部の溶削の良し悪しに大きく影響を与えることを意味する。実際に、予熱部の溶削ムラが大きいほど、本体部の溶削ムラが大きく、予熱部の溶削ムラが小さいほど、本体部の溶削ムラが小さい。たとえば、本体部の溶削ムラを0.5mm以内に管理するためには、予熱部の溶削ムラをおおよそ3.5mm以内に管理しなければならなことが明らかになった。
上述したように、予熱ステップにおいては、溶削酸素のみならずプロパンガスも火口から吐出される。酸素ガスとプロパンガスとの流量比が予熱部の溶削ムラに耐える影響を実験により明らかにした。表1に示すように、プロパン流量を一定にして、酸素流量を6種類に変化させた場合の予熱部の溶削ムラを測定した。なお、ここで流量は、標準状態における単位時間あたりの体積流量(Nm3/hr)で示している。
図6に、流量比と予熱部の溶削ムラとの関係を示す。
この図に示すように、一定のプロパン流量に対して、酸素流量が少な過ぎても多過ぎても、予熱部の溶削ムラが大きくなる傾向が明らかになった。特に、プロパン流量に対する酸素流量の比がおおよそ5(プロパンガス流量=100Nm3/hrに対して酸素流量=500Nm3/hr)の場合に、予熱部の溶削ムラが最も小さくなる。さらに、本体部の溶削ムラを0.5mm以内に管理するためには、図5に示したように、予熱部の溶削ムラを3.5mm以内に管理することが必要になるが、図6に示すように、3.5mm以内の予熱部溶削ムラを実現するためには、おおよそ流量比を5.0±0.5(すなわち、4.5〜5.5)の範囲で管理する必要があることが明らかになった。
この図に示すように、一定のプロパン流量に対して、酸素流量が少な過ぎても多過ぎても、予熱部の溶削ムラが大きくなる傾向が明らかになった。特に、プロパン流量に対する酸素流量の比がおおよそ5(プロパンガス流量=100Nm3/hrに対して酸素流量=500Nm3/hr)の場合に、予熱部の溶削ムラが最も小さくなる。さらに、本体部の溶削ムラを0.5mm以内に管理するためには、図5に示したように、予熱部の溶削ムラを3.5mm以内に管理することが必要になるが、図6に示すように、3.5mm以内の予熱部溶削ムラを実現するためには、おおよそ流量比を5.0±0.5(すなわち、4.5〜5.5)の範囲で管理する必要があることが明らかになった。
本実施の形態に係る溶削装置1においては、予熱ステップにおける酸素ガスとプロパンガスとの流量比が5となるように、流量計、圧力計及び減圧弁で構成される制御系で実現している。従来のように、火口のノズル径の経時変化があっても、圧力のみでの制御ではないので、流量制御を正確に行うことができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る溶削装置で実行される溶削方法によると、以下のような効果を発現する。
予熱部の溶削ムラと本体部の溶削ムラとの相関関係及び予熱部の溶削ムラと予熱ステップにおける酸素ガス流量とプロパンガス流量との流量比との関係に基づいて、予熱時の燃焼反応におけるプロパンガスに対する酸素ガスの流量比率を5.0±0.5とすることにより、本体部の溶削ムラを0.5mm以内に収めることができた。
以上のようにして、本実施の形態に係る溶削装置で実行される溶削方法によると、以下のような効果を発現する。
予熱部の溶削ムラと本体部の溶削ムラとの相関関係及び予熱部の溶削ムラと予熱ステップにおける酸素ガス流量とプロパンガス流量との流量比との関係に基づいて、予熱時の燃焼反応におけるプロパンガスに対する酸素ガスの流量比率を5.0±0.5とすることにより、本体部の溶削ムラを0.5mm以内に収めることができた。
さらに、火口ユニットに供給されるガス供給路に流量計を設けて、ガス圧のみを制御する場合に発生する火口ノズルの経時変化の影響を受けることなく、安定的にガス流量制御を実現することができた。これにより、高精度の流量制御が実現でき、所望の流量比率を(5.0±0.5)を安定的に実現することができ、ホットスカーフにおける本体部の溶削ムラを0.5mm以内に管理できた。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、各火口ユニット2,3,4,5へのプロパンガス及び酸素の供給経路は、実施の形態のものに限定されない。プロパンガスは4本の配管で各火口ユニット2,3,4,5へそれぞれ独立して供給されても何ら問題はないし、酸素ガスも同様に、4本の配管で各火口ユニット2,3,4,5へ独立供給されてもよい。その際には、各火口ユニット2,3,4,5毎に酸素とプロパンガスの流量を個別に計測すれば、より精度よく流量比の条件をコントロールできる。
1 溶削装置
2 上部火口ユニット
3 下部火口ユニット
4 左部火口ユニット
5 右部火口ユニット
10 酸素元配管
30 プロパン元配管
12,22,32,42 減圧弁
13,23,33,43 流量計
50 火口ユニット
51 上部ブロック
52 下部ブロック
53 シューブロック
54 ヘッドブロック
2 上部火口ユニット
3 下部火口ユニット
4 左部火口ユニット
5 右部火口ユニット
10 酸素元配管
30 プロパン元配管
12,22,32,42 減圧弁
13,23,33,43 流量計
50 火口ユニット
51 上部ブロック
52 下部ブロック
53 シューブロック
54 ヘッドブロック
Claims (2)
- 鋼鋳片を予熱する予熱ステップと、前記予熱ステップに引き続いて実行される溶削ステップとを含む溶削装置を用いた鋼鋳片の溶削方法であって、
前記予熱ステップでは、プロパンガスに対する酸素ガスの流量比率が5.0±0.5の範囲である燃焼ガスを火口から噴射して、鋼鋳片に溶融部を形成することを特徴とする溶削装置を用いた鋼鋳片の溶削方法。 - 前記予熱ステップでは、プロパンガスの供給源と火口との間及び酸素ガスの供給源との火口との間にそれぞれ設けられた流量計を用いて、前記流量計により測定されるプロパンガス及び酸素ガスの流量が前記流量比率を満足するように制御されることを特徴とする請求項1に記載の溶削装置を用いた鋼鋳片の溶削方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008080454A JP2009233689A (ja) | 2008-03-26 | 2008-03-26 | 溶削装置を用いた鋼鋳片の溶削方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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2008
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