JP2009233652A - 粘性体収容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成で粘性体を外気から遮断しながら収容・保存するとともに、必要に応じて粘性体を所望の量だけ取り出すことのできる粘性体収容器を提供する。
【解決手段】筒形状で吐出口を備える中空容器2aと、この中空容器2aの内側面に内接しながら中空容器2aの中空部を間仕切るヘッド体3と、中空容器2a内にスライド可能に挿設されヘッド体3に押圧力を加えるプランジャー4aとを有し、ヘッド体3は、中空容器2aを間仕切る平板材5と、この平板材5の外側面に周設されて中空容器2aの吐出側の空間とプランジャー4aが挿設される側の空間とをシールする弾性体6とを備え、プランジャー4aは、中空部内をスライドする軸部8と、この軸部8のヘッド体3側の端部に設けられ平板材5に当接してこれを押圧する軸受部9とを備える粘性体収容器1aによる。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗装用液体、化粧品用液体、薬剤、食品、接着剤、各種印刷用インキ等の粘性体を収納する容器及びそれらを塗布具として応用する分野に関する。
一般に医薬品、塗料、化粧品、食品、接着剤、印刷インキ等に使用される粘性体は、高分子樹脂材、成高分子材、無機又は有機ゾルゲル化材等からなるベース材料に有効成分や、無機顔料、金属微粉体等の粉体材料を添加し、溶剤等の液体で混練した混合体の粘性物として製造されている。そして、このような粘性体を変性や硬化させることなく保存しながら適宜取り出して使用可能にするための塗布容器が必要である。
近年、医薬品、塗料、化粧品、食品、接着剤、印刷インキ用途の開発が進み、種々の状態の粘性体材が考案され、これを収納して、押圧力で吐出させる容器も多様化してきている。これらの課題の解決策として、収納する粘性体のレオロジー特性に合致した容器、塗布装置の技術が求められている。
このような事情に鑑み、軸筒内のタンクに収納された液体に圧力を加えて、先端に液体を供給する構造のボールペンやマーカー等の筆記具や修正液等の塗布具が開示されており、これらの技術は以下の文献が示す様に、容器内での粘性体のレオロジー特性についての課題を検討し、粘性体の流動性が安定して得られる、粘性体容器の構造についての技術が多く開示されている。
特許文献1には「加圧式塗布具」という名称で、液体に所定以上の圧力がかからないようにし、軸筒のタンク内に多くの液体を貯留した加圧式塗布具に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、軸筒3の後端部に軸方向の移動が不能で円周方向の回転が可能な回転体9を取り付け、回転体9と従動回転体23との間に圧縮された状態でスプリング24を配置し、回転体9の回転を摩擦力を利用して従動回転体23へ伝達することを特徴とするものである。
このような特許文献1に開示される発明によれば、液体に所定以上の圧力がかかるのを防止することができるという効果を有する。
特許文献2には「塗布具」という名称で、多様な粘性変化や温度変化、気圧変化、衝撃等での塗布液の過剰流出に対処可能な塗布具に関する考案が開示されている。
特許文献2に開示される考案は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、軸筒2後部に装着の回動ツマミ3を回動して、軸筒2前半部に内挿の貯液筒4内を気密的に軸方向に摺動可能に組み込まれているピストン5を螺動前進させ、前記貯液筒4に充填されている塗布液を加圧して、導出孔41の前方に配置の弁機構を作動させ、軸筒2先端部の塗布部材11に塗布液を供給するタイプの塗布具であって、ピストン5の軸心部から後方に延設の螺子棒51部分は、貯液筒4の後方に固定配置されている螺環部材6と螺合組付けられていると共に、後部の係止突部52を、回動ツマミ3が嵌着された回転操作筒7の内壁に係止させて回動可能に組付けられており、軸筒2後端に、前記回動ツマミ3又は回転操作筒7とラチェット係合する係合部15が設けられ、前記回動ツマミ3又は回転操作筒7が、バネ体9によって前記係合部15に接触するよう付勢されてなることを特徴とするものである。
特許文献2に開示される発明によれば、マニキュアー液、アイライナー液、口紅液等の液状化粧料、塗料、マーキング液、文字修正液、プラモデル組み立て用接着剤等の若干粘稠な液体を一定量づつ確実にコントロールして流出、塗布することができるという効果を有する。
特許文献3にも「塗布具」という名称で、マニキュア、口紅等の液状化粧具、又はマーキングペン等の筆記具等の塗布具に関する発明が開示されている。
特許文献3記載の考案は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、先端に塗布体(7)を装着し内部に塗布液貯蔵部(3)を形成した軸体(1)と、該貯蔵部(3)内に摺動可能に嵌合したピストン(9)に突設したねじ棒(10)と、内筒部材(12)と外筒部材(13)とを一体的に結合した回転筒(11)とよりなり、回転筒(11)の外筒部材(13)にはリング突条(19)と先端部に軸方向に弾撥しうる係止爪(21)を一体に形成し、該リング突条(19)を軸体(1)後端のリング溝(22)に圧入嵌合して回転筒(11)を回転自在に連結すると共に、外筒部材(13)の係止爪(21)を軸体1内円周方向に一体に形成したラチエット歯(23)に弾接噛合させてラチエット機構(25)を構成し、回転筒(11)の内筒部材(12)にねじ孔(14)を設けて上記ねじ棒(10)を螺合し、該ねじ棒(10)の全長に亘って両側に形成した二平面部を軸体(1)の貯蔵部後端の隔壁(2)に形成したスライド孔(4)に摺動可能に嵌合して、回転筒(11)の回転でねじ棒(10)を回転することなく前進してピストン(9)を軸線方向に押圧して塗布体(7)に塗布液を供給しうることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献3に開示される考案によれば、回転筒(11)の逆回転操作を確実に阻止して塗布液の逆流を防止することができるという効果を」有する。
特開2003−237281号公報 実公平7−042537号公報 実公平6−14844号公報
しかしながら、上述のような特許文献1に開示される発明においては、回転体9はラチェット機構を有しており、逆転不可の構造になっている。つまり、内容物(液体)に一定以上の圧をかけて、内容物を吐出させることができない構造になっている。このため、液体の粘性が変化したときに、より具体的には、特に液体がやや硬化した場合であって使用には差し支えない場合に、液体の取出しが一切できなくなってしまうという課題があった。さらに、使用する液体に及ぼす圧力はピストン67の断面積に影響を受けるが、特許文献1に開示される発明では、ネジ軸33が断面積を広く占有しているため、圧力を効果的に伝達する断面積が少なくなってしまい、押圧力を内容物を押し出す力として有効に利用し難いという課題もあった。また、タンク6に構造体が存在するため、粘性の高い液体は層流が起こりにくくなってしまい、液体の取出しが困難になるという課題もあった。
特許文献2に記載の発明では、気密状態を維持しながら、ピストン5を移動させて、塗布液を加圧して導出孔41に当接の弁体121を押圧して開弁して、塗布液を供給する方法であるため、滞留した塗布液が容器中で高粘度に変化した際に、回動ツマミ3と回転操作筒7がラチェット係合するため押圧力が制限され、さらに、押圧力が付加されたときにのみ弁体121が開弁するため、液体に一定以上の圧力をかけることができないという課題があった。従って、塗布液が高粘度液体であったり、ゾルゲル粘性体であったり、あるいは、無機顔料等を含むチクソ性のある粘性体である場合には、塗布液の滞留を解消するには、ピストン5を、気密状態を維持したままもとの位置に戻し、再加圧して、できる構造が必要であった。
特許文献3に開示される発明では、回転筒(11)を回転させることで傾斜面(24)をラチェット歯(23)が移動し、ラチェット歯(23)が登り詰めると係止爪(21)はラチェット歯(23)に係止する。これを繰り返すことでねじ棒(10)の先端に固定されたピストン(9)が塗布液中に進み、塗布液が押圧されることによって吐出する構成になっている。この機構ではピストン(9)の動きは一方向に限定されてしまう。このため、万一、塗布液貯蔵部(3)に滞留した塗布液の粘度が高くなったとき、ピストン(9)を逆回転させて再度圧力をかけることができなかった。このため、塗布液が高粘度液体や、ソルゲル液体、無機顔料を含むチクソ性のある粘性体である場合には、その滞留を解消するための再加圧操作ができないという困難な課題があった。
本発明はかかる従来の発明に対処してなされたものでありその目的は、中空容器内に収容される粘生体を外気から遮断した状態で収容することができるともに、滞留した粘性体に繰り返し圧力作用させることのできる粘性体収納容器を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、粘性体を収容するための粘性体収容器であって、この粘性体収納容器は、筒形状で吐出口を備える中空容器と、この中空容器の内側面に内接しながら前記中空容器の中空部を間仕切るヘッド体と、中空容器内にスライド可能に挿設されヘッド体に押圧力を加えるプランジャーとを有し、ヘッド体は、中空容器を間仕切る平板材と、この平板材の外側面に周設されて中空容器の吐出側の空間とプランジャーが挿設される側の空間とをシールする弾性体とを備え、プランジャーは、中空部内をスライドする軸部と、この軸部のヘッド体側の端部に設けられ平板材に当接してこれを押圧する軸受部とを備えること特徴とするものである。
上記構成の発明において、中空容器は吐出口とヘッド体で仕切られる空間に粘性液体を収容するという作用を有している。また、プランジャーが中空容器の中心軸に沿ってスライドする際に、中空容器はプランジャーの動きをガイドするという作用を有している。さらに、軸部の先端に設けられる軸受部は、軸部とともに中空容器内をスライド移動し、ヘッド体の平板材に接触した際に平板材に押圧力を作用させるという作用を有する。
また、平板材は軸受部からの押圧力が作用した場合に、中空容器内の粘性体に押圧力を加えてその一部を吐出口から導出させるという作用を有する。
その一方で、平板材は軸受部と別体に構成されているため、軸受部からの押圧力から解放された場合に、中空容器の任意の位置に留まり、中空容器の間仕切りとして作用する。さらに、平板材の外側面に周設される弾性体は、中空容器内において吐出側の空間とプランジャーが挿設される側の空間とをシールするという作用を有する。
また、請求項1記載の発明においては、プランジャーをスライド移動させることで生じる押圧力は平板材の平面方向に均等に応力を発生させるので、平板材を中空容器の中心軸に対して垂直となるように、かつ、プランジャーのスライド方向と平行に移動させるという作用を有している。このとき、平板材の外側面に周設される弾性体の摩擦抵抗があっても、粘性体は層流として流動する。
一般に、粘性体が層流となった場合、容器中の垂直断面における粘性体流速は中心軸近傍で流速が速く、容器の内側面近傍では流速が遅くなるので、乱流等が起り難くなる。この結果、吐出口からの粘性体のスムースな吐出を可能にするという作用を有する。
また、平板材に周設される弾性体は、平板材の滑らかな移動を促進させる作用を有するとともに、中空容器内の平板材の停止位置で、気密状態を維持するという作用もある。
さらに、吐出口は注入口として、中空容器内に外部から粘性体の再注入を可能にするほか、中空容器内に洗浄等の目的で溶剤の注入を可能にするという作用も有する。
このような請求項1記載の発明においては、中空容器中のヘッド体と吐出口の間に形成される空間に粘性体しか存在しない、つまり、中空容器中のヘッド体と吐出口の間に形成される空間に何ら障害物がないので、プランジャーから生じる押圧力を効率よく、粘性体を層流状態で流動させるためのエネルギーとして利用可能にするという作用を有する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粘性体収納容器であって、軸部は、その外側面に雄ネジ構造を具備し、中空容器のプランジャーが挿設される開口は、その内側面に雄ネジ構造と嵌合する雌ネジ構造を具備し、軸部の回転運動を軸受部の前進又は後退運動に変換することで、ヘッド体を押圧したり、ヘッド体を押圧力から開放できることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明と同じ作用に加えて、軸部外側面に形成される雄ネジと、中空容器の内側面であってプランジャーが挿設される開口に形成される雌ネジとを備え、これらを咬み合わせた状態でプランジャーをその軸方向に回転させることで、軸部の先端に設けられる軸受部を吐出口側に向って推進させるという作用を有する。そして、この軸受部はヘッド体の平板材に当接(面接触)して、押圧力を生み出すという作用を有する。
このように中空容器の内側面にプランジャーを螺設した場合、例えば、プランジャーをその中心軸に対して順回転させた場合には軸受部を吐出口に向って前進させるという作用を有する。また、プランジャーをその中心軸に対して逆回転させた場合には軸受部を吐出口から遠ざかる方向に後退させるという作用がある。
つまり、プランジャーの回転方向を選択することで、軸受部の前進と後退の切り替えを容易にかつ確実にするという作用を有する。
そして、たとえば、回転粘度計で粘性体の動粘度特性を測定し、このデータに基づいて、ネジ山の数及びその間隔を設定した場合、プランジャーの回転数と粘性体吐出量は比例することになるので、粘性体の吐出量を制御可能にするという作用がある。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の粘性体収納容器であって、軸部は、その外側面に雄ネジ構造を具備し、中空容器は、プランジャーが挿設される開口に取設され、軸部をその内部に収容するとともに、中空容器の中心軸を基軸に回転するプランジャーホルダーを備え、プランジャーホルダーの内側面は雄ネジ構造と嵌合する雌ネジ構造を具備し、プランジャーホルダーの回転運動を軸受部の前進又は後退運動に変換することで、ヘッド体を押圧したり、ヘッド体を押圧力から開放できることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明と同じ作用に加えて、プランジャーホルダーは、プランジャーが挿設される開口に取設され、その内部にプランジャーの軸部を収容するという作用を有する。また、軸部外側面に形成される雄ネジ構造と、プランジャーホルダーの内側面に形成される雌ネジ構造を咬み合わせた状態でプランジャーホルダー内にプランジャーの軸部を保持し、この状態で、プランジャーホルダーを中空容器の中心軸を基軸に回転させることで、軸部の先端に設けられる軸受部を吐出口側に向って推進させるという作用を有する。そして、この軸受部はヘッド体の平板材に当接(面接触)して、押圧力を生み出すという作用を有する。
このようにプランジャーホルダーにプランジャーの軸部を螺設した場合、例えば、プランジャーホルダーを中空容器の中心軸に対して順回転させた場合には軸受部を吐出口に向って前進させるという作用を有する。また、プランジャーホルダーを中空容器の中心軸に対して逆回転させた場合には軸受部を吐出口から遠ざかる方向に後退させるという作用を有する。
つまり、プランジャーホルダーの回転方向を変更することで、軸受部の前進と後退の切り替えを容易にかつ確実にするという作用を有する。
そして、たとえば、回転粘度計で粘性体の動粘度特性を測定し、このデータに基づいて、ネジ山の数及びその間隔を設定した場合、プランジャーホルダーの回転数と粘性体吐出量は比例することになるので、粘性体の吐出量を制御可能にするという作用を有する。
さらに、請求項3記載の発明の場合、プランジャーホルダーを備えることでプランジャーの順回転又は逆回転に伴って粘性体収納容器の外形寸法が変化するのを防止するという作用を有する。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の粘性体収納容器であって、中空容器が吐出口を備えその内部ヘッド体を収容する第1の中空容器と、第1の中空容器に直列に連結されプランジャーを収容する第2の中空容器からなり、第1の中空容器と第2の中空容器は分離可能であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ作用を有する。
また、第1の中空容器は、吐出口とその内部にヘッド体を備えることで、吐出口とヘッド体の間に形成される空間に粘性体を収容するという作用を有する。
さらに、第2の中空容器は、プランジャーをその軸方向にスライド可能に収容するという作用を有する。つまり、第2の中空容器は、プランジャーの保管容器としても作用する。
そして、第1の中空容器と第2の中空容器とを分離可能に構成することで、請求項3記載の粘性体収納容器内に収容された粘性体を使いきってしまった場合に、第1の中空容器と、新たな粘性体が収容された別の第1の中空容器とを交換可能にするという作用を有する。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の粘性体収容器であって、吐出口は、弾性体からなり前記粘性液体を吐出するための切込みが形成されたキャップを備え、キャップの内側に圧力が作用した際に、切込みが押し広げられて開口部が形成され、この開口部から前記粘性液体が吐出されることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項4の夫々に記載の発明と同じ作用を有する。
また、キャップは粘性体が流動する際に生じる押圧力により初めて開口部を形成してこの開口部から粘性体を吐出させるという作用を有する。つまり、キャップに一定以上の圧力が作用した場合にのみ開口部が形成されて、中空容器内の粘性体を吐出するという作用を有する。
そして、キャップは押圧力が作用しない状態では、それ自体の弾性力により切込みが閉じた状態となるので気密状態を保つ蓋体として作用する。つまり、吐出口に設けられるキャップは粘性体からの直接的な押圧力から解放された場合に、中空容器内を気密状態に保つという作用を有する。
また、キャップの切り込み口は、注入口としても作用し、中空容器内に粘性体を再注入を可能にするという作用を有する。さらに、中空容器内に洗浄等の目的で溶剤の注入を可能にするという作用も有する。
請求項1の発明によれば、ヘッド体とプランジャーとが別体に構成されているため、ヘッド体が押圧力から解放された場合に、中空容器内の任意の位置にヘッド体が留まる。そして、ヘッド体を構成する平板材と中空容器の内側面の間に介設される、弾性体により、中空容器内における吐出側の空間とプランジャーが挿設される側の空間とがシールされるので、中空容器中に収容される粘性体を気密状態で収容することができるという効果を有する。この結果、中空容器内に外気が流入したり、粘性容器中に含まれる溶剤等が蒸発するのを防止することができるという効果を有する。
また、請求項1の発明においては、中空容器中のヘッド体と吐出口との間の空間には粘性体しか存在しなので、プランジャーからの押圧力を効率よく、粘性体を層流状態で流動させるためのエネルギーに変換することができる。この結果、粘性体を層流として流動させることができ、中空容器中の断面における粘性体流速は中空容器内の中心軸近傍で速く、中空容器の内側面近傍では遅くなるため、乱流等を生じ難くするという効果がある。このため、吐出口から粘性体をスムースに吐出させることが可能になる。
従って、請求項1記載の発明によれば、粘性体を外気との接触を最小限にしながら収容することができ、かつ、その導出をスムースにすることができるという効果を有する。
さらに、請求項1記載の発明においては、万一、吐出口近傍の粘性体が硬化して、吐出口に「栓」がされたような状態になった場合であっても、プランジャーを中空容器の吐出口に向って付勢しながら押し込むことで、ヘッド体を介して粘性体に大きな押圧力を加えることができる。
この場合、吐出口近傍に形成された塊状の粘性体を外部に押し出すとともに、中空容器内に収容される使用可能な粘性体を再びスムースに導出させることができるという効果も有する。
従って、中空容器内に収容される粘性体を最後まで有効に利用することができる。
さらに、吐出口から中空容器内に新たに粘性体を再注入することもできる。また、中空容器内に洗浄等の目的で溶剤を注入することもできる。この場合、請求項1記載の発明を再利用することが可能になるので、廃棄物の削減に寄与することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、プランジャーの回転数と粘性体の導出量とが比例することになるので、使用者は所望の量の粘性体をほぼ正確に吐出口から導出させることができるという効果を有する。
この結果、例えば、請求項2記載の発明における中空容器内に医薬品等のように、計量して使用する必要がある粘性体を収容する場合に、その計量作業を行うことなくほぼ正確な量の粘性体の取り出しが可能になる。
また、中空容器内にプランジャーが螺設されることで、プランジャーをその軸方向に回転させるだけで、ヘッド体に押圧力を確実に作用させることができるという効果を有する。
この結果、万一、吐出口近傍の粘性体が硬化してしまった場合でも、大きな押圧力をヘッド体に容易に加えることができるという効果を有する。従って、力の弱いお年寄りや子供でも、請求項2記載の粘性体収容器から容易に粘性体を取り出すことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、プランジャーホルダーの回転数と粘性体の導出量とが比例することになるので、使用者は所望の量の粘性体をほぼ正確に吐出口から導出させることができるという効果を有する。
この結果、例えば、請求項3記載の発明における中空容器内に医薬品等のように、計量して使用する必要がある粘性体を収容する場合に、その計量作業を行うことなくほぼ正確な量の粘性体の取り出しが可能になる。
また、プランジャーホルダーの内側にプランジャーを螺設することで、プランジャーホルダーをその軸方向に回転させるだけで、プランジャーを介してヘッド体に押圧力を確実に作用させることができるという効果を有する。
この結果、万一、吐出口近傍の粘性体が硬化してしまった場合でも、大きな押圧力をヘッド体に容易に加えることができるという効果を有する。従って、力の弱いお年寄りや子供でも、請求項2記載の粘性体収容器から容易に粘性体を取り出すことができる。
さらに、請求項3記載の発明においては、プランジャーホルダーを備えてその内部にプランジャーを収容する構造を採用することで、中空容器内に収容される粘性体を取り出すためにプランジャーがスライド移動した場合に請求項3記載の粘性体収納容器の外形寸法が変化するのを防止することができる。このため、請求項3記載の発明の審美性を高めることができるという効果を有する。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ効果に加えて、請求項4に係る中空容器を第1の中空容器と第2の中空容器とにより構成し、これらを分離可能にすることで、請求項4記載の粘性体収納容器内に収容された粘性体を使いきってしまった場合に、第1の中空容器を、新たな粘性体が収容された他の第1の中空容器に交換することができる。
この結果、プランジャーを収容する第2の中空容器を繰り返し使用することができるので、省資源化に寄与することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4記載のそれぞれに記載の発明と同じ効果を有する。
また、請求項5に記載のキャップは粘性体に押圧力が作用した場合にのみ開口部を形成して粘性体を吐出させることができる。加えて、吐出口に設けられるキャップは粘性体からの直接的な押圧力から解放された場合や、ヘッド体がプランジャーからの押圧力から開放された場合に、開口部を閉じて中空容器内を気密状態に保つことができる。
この場合、キャップを取外すことなく粘性体を導出させることができるとともに、不使用時には別体のキャップを用いることなく中空容器内を略気密状態に保つことができるという効果を有する。
以下に本発明の最良の実施の形態について実施例1乃至実施例5を参照しながら詳細に説明する。
まず、実施例1に係る粘性体収容器について図1を参照しながら説明する。
図1(a)〜(c)はいずれも本発明の実施例1に係る粘性体収容器の断面図である。
図1(a)に示すように、実施例1に係る粘性体収容器1aは、一方の端部に吐出口7aを備え、他の端部に開口7bを備える筒状の中空容器2aの内部空間がヘッド体3により間仕切られ、ヘッド体3と吐出口7aの間に形成される空間に粘性体10が収容され、ヘッド体3と開口7bの間に形成される空間にプランジャー4aが中空容器2aの中心軸18に沿ってスライド可能に挿設されるものである。
なお、本願明細書中に記載される粘性体10は、自重や大気圧では流動しない程度の粘度を有するものである。つまり、粘性体10は、外力を加えないと流動させることができないものである。より具体的には、本願明細書中における粘性体10として、塗装用液体、化粧品用液体、薬剤、食品、接着剤、各種印刷用インキ等を想定している。
また、中空容器2aの内部空間を間仕切るヘッド体3は、中空容器2aをその中心軸18に対して垂直に切断した場合の断面形状と同じ形状(略同一の概念も含む。)を有する平板材5の外側面5aに環状の弾性体6(例えば、ゴム)が周設されたものである。
この場合、平板材5の外側面5aに、弾性体6の断面形状に沿うように凹部を形成しておくことで、平板材5の外側面5aにおいて弾性体6を安定した状態で保持することができる。
さらに、プランジャー4aは、棒状の軸部8のヘッド体3側に配置される端部に平板状の軸受部9を備えている。
この場合、軸受部9の端面9aでヘッド体3の平板材5と弾性体6を同時に押圧することができるよう、軸受部9の端面9aは平板材5の端面よりも大きく、中空容器2aをその中心軸18に対して垂直に切断した場合の断面形状よりもやや小さくしておくことが望ましい。
次に、図1(b),(c)を参照しながら実施例1に係る粘性体収容器1aの使用方法について説明する。
実施例1に係る粘性体収容器1aに収容した粘性体10を取り出すには、プランジャー4aを中心軸18に沿って吐出口7aに向うように中空容器2a内に押し込めばよい。すなわち、図1(b)中の符号Aで示す方向にプランジャー4aをスライドさせればよい。
このように、プランジャー4aを吐出口7aに向って押し込むことで、軸部8の先端に設けられる軸受部9の端面9aがヘッド体3に当接(面接触)し、ヘッド体3を介して粘性体10に押圧力が作用して、粘性体10を吐出口7aから導出させることができる。
この時、中空容器2a中における吐出口7a側の空間と、開口7b側の空間とは弾性体6によりシールされており、また、粘性体10自体の粘度も高いことから、中空容器2a中の吐出口7a側の空間から、開口7b側の空間に粘性体10が漏れ出す心配はない。
そして、実施例1に係る粘性体収容器1aにおいては、プランジャー4aによりヘッド体3が押圧された際に、平板材5の平面方向に均等に応力が発生するので、平板材5の外側面5aに周設される弾性体6の摩擦抵抗があっても、粘性体10は層流として流動する。そして、中空容器2aの中心軸18に対する垂直断面における粘性体10の流速は、中心軸18近傍では速くなるのに対して中空容器2aの内側面近傍では粘性体10の流速が遅くなるので、中空容器2a内において流れの乱れが生じ難くなる。
この結果、中空容器2aの吐出口7aからスムースに粘性体10を導出させることができるのである。
なお、実施例1に係る粘性体収容器1aにおいては、上述のような理由により、中空容器2aの吐出口7aは、中心軸18上に配置されることが望ましい。
このように、実施例1に係る粘性体収容器1aにおいては、中空容器2a内のヘッド体3と吐出口7aとの間に形成される空間には粘性体10しか存在しない。すなわち、中空容器2a内のヘッド体3と吐出口7aの間に粘性体10の流動を妨げるような障害物が何ら存在しないので、プランジャー4aから生じる押圧力を効率よく粘性体10を流動させるエネルギーに変換することができる。この結果、外力を作用させないと流動しない粘性体10を容易に中空容器2aから導出させることができるのである。
さらに、図1(c)に示すように、プランジャー4aによるヘッド体3の押圧を停止して、ヘッド体3を押圧力から開放すると、すなわち、ヘッド体3からプランジャー4aの軸受部9を離間させると、ヘッド体3は中空容器2a内の任意の位置に留まった状態となる。
この場合、ヘッド体3で間仕切られる吐出口7a側の空間内の圧力Pと外圧Pは、平衡状態となるので、中空容器2aの吐出口7aからヘッド体3で間仕切られる吐出口7a側の空間に外気が流入する恐れがない。
このため、使い残した粘性体10を、中空容器2a内においてから外気から遮断された状態で保存することができるという効果を有する。
なお、中空容器2aの吐出口7aの口径は、その胴部の断面径よりも縮径していることが望ましい。この場合、吐出口7a付近において粘性体10が外気と接触する面積を小さくすることができるので、外気の接触に伴う粘性体10の硬化や変質等を防止することができる。つまり、使い残した粘性体10を高い品質を保ったまま保存することが可能になる。
また、使い残した粘性体10を実施例1に係る中空容器2a内において保存する場合、必要に応じて吐出口7aにキャップ11を取り付けてもよい。この場合、吐出口7aにおける粘性体10と外気との接触を一層確実に遮断することができるので、粘性体10をよりよい状態で保存することができる。
従って、実施例1に係る粘性体収容器1aによれば、外気と接触することで変性・変質する恐れがある粘性体10を、気密状態を保ちながら保存することができるとともに、プランジャー4aを中心軸18に沿ってスライドさせるだけで中空容器2a内の粘性体10を所望の量だけスムースに導出させることができるという効果を有する。
つまり、実施例1に係る粘性体収容器1aによれば、例えば、インクや塗料、接着剤や食品、医薬品や化粧品等の保存と、粘性体10の断続的な使用に適した粘性体収容器を提供することができるという効果を有する。
また、実施例1に係る粘性体収容器1aにおいては、万一、吐出口7aの近傍の粘性体10が硬化して吐出口7aに「栓」がされたような状態になってしまった場合に、プランジャー4aを付勢してヘッド体3に衝撃を加えることで、中空容器2a内に収容される粘性体10に大きな押圧力を作用させることができ、硬化して「栓」のようになった粘性体を吐出口7aから導出させるとともに、中空容器2a内の硬化していない粘性体10を再び吐出口7aから導出させることができるという効果も有する。
この結果、中空容器2a内に収容される粘性体10を最後まで高品質に保ちながら利用することができるという効果を有する。
実施例2に係る粘性体収容器について図2を参照しながら詳細に説明する。
実施例2に係る粘性体収容器は、実施例1に係る粘性体収容器1aと同じ構成に加えて、プランジャーを中空容器の内側面に螺設したものである。ここでは、実施例1に係る粘性体収容器1aと実施例2に係る粘性体収容器とのの相違点について説明し、実施例1に係る粘性体収容器1aと共通の作用・効果に関する説明は省略する。
図2は本発明の実施例2に係る粘性体収容器の概念図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2には、実施例2に係るプランジャー4bの一部を断面図で、他の一部をその側面図により示している。図2に示すように、実施例2に係る粘性体収容器1bは、中空容器2bの開口7b側の内側面に雌ネジ12が形成され、この雌ネジ12と咬み合うようにプランジャー4b軸部8の外側面に雄ネジ13が形成されるものである。そして、プランジャー4bの中空容器2bから突出する部分の端部を挟持して、中心軸18に対して順回転又は逆回転させることで、プランジャー4bの前進又は後退を切替えることができる。
このような実施例2に係る粘性体収容器1bにおいては、プランジャー4bは雌ネジ12と雄ネジ13の嵌合構造により、中空容器2b内側面に掛着されているので、プランジャー4bの落脱や紛失を防止することができる。
また、プランジャー4bを、中心軸18に対して順回転又は逆回転させるだけで軸部8の先端に設けられる軸受部9を吐出口7aに向って確実に前進又は後退させることができるので、手の力の弱い子供やお年寄でも中空容器2b内の粘性体10を容易にかつ確実に吐出口7aから導出させることができる。
さらに、実施例2に係る粘性体収容器1bにおいては、プランジャー4bを1回順回動させた場合に吐出口7aから導出される粘性体10の量を計測しておくことで、使用者はプランジャー4bの回転数に注意を払うだけで必要な量の粘性体10ほぼ正確に取り出すことが可能である。
加えて、実施例2に係る粘性体収容器1bにおける雌ネジ12及び雄ネジ13の、ネジ山の間隔を変更することで、プランジャー4bを1回順回動させた場合のプランジャー4bの移動距離を変更することもできる。この場合、医薬品や化粧品等のように1回の使用量が概ね決まっている場合に、使用者は一層容易に所望の量の粘性体10を取り出すことができる。
実施例3に係る粘性体収容器について図3を参照しながら詳細に説明する。
実施例3に係る粘性体収容器は、実施例1に係る粘性体収容器1aと同じ構成に加えて、中空容器にプランジャーホルダーを設け、その内部にプランジャーを収納したものである。ここでは、実施例1に係る粘性体収容器1aと実施例3に係る粘性体収容器との相違点について説明し、実施例1に係る粘性体収容器1aと共通の作用・効果に関する説明は省略する。
図3は本発明の実施例3に係る粘性体収容器の概念図である。なお、図1又は図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例3に係る粘性体収容器1eは、中空容器2dの開口7bに、プランジャー4cの軸部8を内包するプランジャーホルダー19を取設したものである。
このプランジャーホルダー19は、一の端部が閉じられた筒状体からなり、開口が形成される他の端部は、中空容器2dの開口7bに挿設され、中空容器2dから容易に外れないように、かつ、プランジャーホルダー19を中空容器2dの中心軸18を基軸に回転可能に掛着されている。つまり、プランジャーホルダー19は、中空容器2dの開口7bの内側面において嵌合構造20を形成しながら取り付けられている。
さらに、プランジャー4cの軸部8の外側面には、実施例2に係るプランジャー4bの場合と同様に雄ネジ13が形成され、このプランジャー4cの軸部8を収容するプランジャーホルダー19の内側面には雌ネジ12が形成され、軸部8に形成される雄ネジ13とプランジャーホルダー19に形成される雌ネジ12とが咬み合うことで、プランジャーホルダー19によりプランジャー4cが保持される仕組みになっている。
そして、中空容器2dの開口7bから突出するプランジャーホルダー19のつまみ部21を、中心軸18に対して順回転又は逆回転させることで、その内部に収容されるプランジャー4cの前進又は後退を間接的に切替えることができるよう構成されている。
なお、本図には示していないが、プランジャーホルダー19とプランジャー4cの共回りを防止するためにプランジャー4cの回転を抑制する機構が備えられている。例えば、中空容器2dの内面に溝が形成され、この溝に係合する突起が軸受部9に設けられているような機構、あるいはその逆に中空容器2dの内面に突起が形成され、この突起を係合させるための溝が軸受部9に形成されるような機構が該当する。
このような実施例3に係る粘性体収容器1eにおいては、プランジャー4cは中空容器2dに掛着保持されるプランジャーホルダー19の内に収容されているので、プランジャー4cの落脱や紛失を確実に防止することができる。
また、プランジャーホルダー19を中心軸18に対して順回転又は逆回転させるだけでその内部に収容されるプランジャー4cの軸部8の先端に設けられる軸受部9を吐出口7aに向って確実に前進又は後退させることができるので、実施例2に係る粘性体収容器1bと同様に、手の力の弱い子供やお年寄でも中空容器2d内の粘性体10を容易にかつ確実に吐出口7aから導出させることができる。
さらに、実施例3に係る粘性体収容器1eにおいては、プランジャーホルダー19を1回順回動させた場合に吐出口7aから導出される粘性体10の量を計測しておくことで、使用者はプランジャーホルダー19の回転数に注意を払うだけで必要な量の粘性体10をほぼ正確に取り出すことが可能である。
加えて、実施例3係る粘性体収容器1dにおける雌ネジ12及び雄ネジ13の、ネジ山の間隔を変更することで、プランジャーホルダー19を1回順回動させた場合のプランジャー4cの中心軸18上における移動距離を変更することもできる。この場合、医薬品や化粧品等のように1回の使用量が概ね決まっている場合に、使用者は一層容易に所望の量の粘性体10を取り出すことができるという効果を有する。
さらに、実施例3に係る粘性体収容器1eにおいては、実施例2に係る粘性体収容器1bの場合のように、プランジャー4cのスライドに伴って粘性体収容器1eの外形寸法が変化しない。このため、粘性体収容器1eの審美性を高めことができるという効果を有する。また、プランジャーホルダー19が回転することでプランジャーの軸部8と軸受部9は回転することなく前進又は後退するので、軸受部9が平板材5やシール材としての弾性体6に対して回転力を及ぼすことがなく、平板材5や弾性体6は中空容器2dの軸方向への摺動のみとなり、特に弾性体6の劣化促進を抑制することができる。
また、実施例1〜実施例3のいずれの場合も、中空容器2a,2b,2eを半透明の容器とし、ヘッド体3の移動部分に目盛を設けることで、ヘッド体3の移動距離を目視により確認しながら、吐出口7aから導出される粘性体10の量を調整することもできる。
この場合、特に実施例2や実施例3に係る粘性体収容器1b,1eのようにプランジャー4b,4cを中空容器2bやプランジャーホルダー19に螺設することで、プランジャー4b,4cを徐々に前進させることができるので、誤って必要以上の粘性体10を導出させてしまうのを防止することができる。
実施例4に係る粘性体収容器について図4を参照しながら詳細に説明する。
実施例4に係る粘性体収容器は、実施例1〜実施例3に係る粘性体収容器1a,1b,1eと同じ構成に加えて、中空容器内の粘性体を収容する部分とプランジャーを収容する部分とを別々に構成し、これらを連結可能にしたものである。
ここでは、実施例1〜実施例3に係る粘性体収容器1a,1b,1eと、実施例4に係る粘性体収容器との相違点について説明し、実施例1〜実施例3に係る粘性体収容器1a,1b,1eと共通の作用・効果に関する説明は省略する。
図4(a)は本発明の実施例4に係る粘性体収容器の断面図であり、(b)は本発明の実施例4に係る粘性体収容器の使用済み中空容器の断面図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、図4では、実施例4に係る粘性体収容器の一例として、先に述べた実施例1に係る粘性体収容器1aの形態を用いた場合を図に示している。
図4に示すように、実施例4に係る粘性体収容器1cは、中空容器2cが中空容器2cと中空容器2cとにより構成されるものである。
また、中空容器2cは、その内部空間にヘッド体3を収容し、このヘッド体3と吐出口7aの間に形成される空間に粘性体10を収容している。また、中空容器2cは、中空容器2cの吐出口7aが形成されない側の端部に直列に連結され、プランジャー4aを収容している。
また、中空容器2cと中空容器2cとは、連結部14において分離可能に構成されている。
なお、図4においては、中空容器2cの吐出口7aが形成されない側の端部に、中空容器2cの開口7bが形成されない側の端部を螺設した場合を例に挙げて説明しているが、これ以外にも、中空容器2cに中空容器2cを掛着又は係止させてもよい。つまり、実施例4に係る粘性体収容器1cの使用時に、中空容器2cと中空容器2cとが容易に分離しない構造であれば、中空容器2cと中空容器2cの連結方法はどのような方法を用いてもよい。
図4(a)に示すように、実施例4に係る粘性体収容器1cにおいて、中空容器2cと中空容器2cとが連結されている場合、実施例1に係る粘性体収容器1aと同様に使用することができる。すなわち、プランジャー4aを吐出口7aに向って押し込むことで、吐出口7aから粘性体10を導出させることができる。
そして、中空容器2c中の粘性体10を全て使い終わった場合に、連結部14において中空容器2cを分離して、新たな粘性体10が収容された別の中空容器2cを取り付けることができる。
このように、実施例4に係る粘性体収容器1cにおいては、中空容器2cにおいて、粘性体10を収容する中空容器2cを交換可能とすることで、中空容器2c及びプランジャー4aの再利用が可能になる。
この結果、使用済みの粘性体収容器1cにおいて廃棄される部分を少なくすることができるという効果を有する。よって、廃棄物の削減に寄与するとともに、使用者に新たな粘性体10を収容した交換用の中空容器2cを安価に提供することができるという効果も有する。
特に、実施例2に係る粘性体収容器1bのように中空容器2cにプランジャー4aを螺設した場合や、実施例3に係る粘性体収容器1eのようにプランジャーホルダー19を設けその内側面にプランジャー4cを螺設した場合、中空容器2cと中空容器2cとを分離した際に、中空容器2cからプランジャー4aが落脱して紛失するのを防止することができるという効果を有する。
実施例5に係る粘性体収容器について図5を参照しながら詳細に説明する。
実施例5に係る粘性体収容器は、実施例1〜4に係る粘性体収容器1a〜1c,1eの吐出口7aに、押圧力が作用したときにだけ開口部を形成して粘性体10を導出するキャップを備えたものである。
ここでは、実施例1〜4に係る粘性体収容器1a〜1c,1eと実施例5に係る粘性体収容器との相違点について説明し、実施例1〜4に係る粘性体収容器1a〜1c,1eと共通の作用・効果に関する説明は省略する。
図5(a),(c)はいずれも実施例5係る粘性体収容器の部分断面図であり、図5(b)は図5(a)中の符号Cから見た矢視図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、図5では、実施例5に係る粘性体収容器の一例として、実施例1に係る粘性体収容器1aの形態を用いた場合を図に示している。
実施例5に係る粘性体収容器1dは、図5(a),(b)に示すように、中空容器2aの吐出口7aに、例えば、合成樹脂やゴム等の弾性体からなり可撓性を備えた断面U字形(略U字形の概念も含む。)のキャップ本体15aの先端にその厚み部分を貫通する切込み16が形成されたキャップ15を備えたものである。
このような実施例5に係る粘性体収容器1dにおいては、図示しないプランジャー4aからの押圧力が図示しないヘッド体3を介して粘性体10に作用した際に、つまり、図5(a)中の符号Aで示す方向に粘性体10が流動を始めた場合に、吐出口7aからキャップ本体15aの内側に導出された粘性体10がキャップ本体15aを内側から押圧する。これにより、図5(b)に示すように、キャップ本体15aの先端に形成される切込み16が押し広げられて開口部17が形成され、この開口部17から粘性体10が外部に導出されるのである。
また、キャップ本体15aは、可撓性を有する弾性体により構成によりされているので、中空容器2a内の粘性体10が流動を停止すると、すなわち、図示しないヘッド体3が図示しないプランジャー4aからの押圧力から開放されると、キャップ本体15aの内側にも押圧力が作用しなくなるので、開口部17は自然に閉じて再び図5(a)に示す状態となる。つまり、中空容器2aに収容された粘性体10は外気から遮断された状態となる。
従って、実施例5に係る粘性体収容器1dによれば、粘性体10に押圧力が作用した場合のみ開口部17を形成して粘性体10を導出させることができ、粘性体10に押圧力が作用しない場合には、キャップ本体15aの弾性力により開口部17が自然に閉じて使い残した粘性体10を略気密状態を保ったまま保存することができるという効果を有する。
この結果、図1〜図4に示すような別体のキャップ11の取付を省略することができるので、キャップ11の紛失を防止することができる。
なお、特に図示しないが、キャップ15上に別途キャップ11を設けてもよい。この場合、切込み16近傍の粘性体10が外気と接触して変質・変性したり、切込み16から粘性体10中の溶剤等が大気中に蒸散するのを防止することができる。この結果、中空容器2a内に残った粘性体10をより高い気密状態を維持しながら保存することができるという効果が期待できる。
以上説明したように、本発明は簡素な構成で粘性体を外気から遮断しながら収容・保存するとともに、必要に応じて粘性体を所望の量だけ取り出すことのできる粘性体収容器であり、インクや塗料、接着剤や食品、化粧品や医薬品等の粘性体の製造及び流通・販売に関する分野において利用可能である。
(a)〜(c)はいずれも本発明の実施例1に係る粘性体収容器の断面図である。 本発明の実施例2に係る粘性体収容器の概念図である。 本発明の実施例3に係る粘性体収容器の概念図である。 (a)は本発明の実施例4に係る粘性体収容器の断面図であり、(b)は本発明の実施例4に係る粘性体収容器の使用済みの第1の中空容器の断面図である。 (a),(c)はいずれも実施例5係る粘性体収容器の部分断面図であり、(b)は図5(a)中の符号Cから見た矢視図である。
符号の説明
1a〜1e…粘性体収容器 2a〜2c,2c,2c,2d…中空容器 3…ヘッド体 4a,4b,4c…プランジャー 5…平板材 5a…外側面 6…弾性体 7a…吐出口 7b…開口 8…軸部 9…軸受部 9a…端面 10…粘性体 11…キャップ 12…雌ネジ 13…雄ネジ 14…連結部 15…キャップ 15a…キャップ本体 16…切込み 17…開口 18…中心軸 19…プランジャーホルダー 20…嵌合構造 21…つまみ部

Claims (5)

  1. 粘性体を収容するための粘性体収納容器であって、
    この粘性体収納容器は、筒形状で吐出口を備える中空容器と、この中空容器の内側面に内接しながら前記中空容器の中空部を間仕切るヘッド体と、前記中空容器内にスライド可能に挿設され前記ヘッド体に押圧力を加えるプランジャーとを有し、
    前記ヘッド体は、前記中空容器を間仕切る平板材と、この平板材の外側面に周設されて前記中空容器の前記吐出側の空間と前記プランジャーが挿設される側の空間とをシールする弾性体とを備え、
    前記プランジャーは、前記中空部内をスライドする軸部と、この軸部の前記ヘッド体側の端部に設けられ前記平板材に当接してこれを押圧する軸受部とを備えること特徴とする粘性体収納容器。
  2. 前記軸部は、その外側面に雄ネジ構造を具備し、
    前記中空容器の前記プランジャーが挿設される開口は、その内側面に前記雄ネジ構造と嵌合する雌ネジ構造を具備し、
    前記軸部の回転運動を前記軸受部の前進又は後退運動に変換することで、前記ヘッド体を押圧したり、前記ヘッド体を押圧力から開放できることを特徴とする請求項1に記載の粘性体収納容器。
  3. 前記軸部は、その外側面に雄ネジ構造を具備し、
    前記中空容器は、前記プランジャーが挿設される開口に取設され、前記軸部をその内部に収容するとともに、前記中空容器の中心軸を基軸に回転するプランジャーホルダーを備え、
    前記プランジャーホルダーの内側面は前記雄ネジ構造と嵌合する雌ネジ構造を具備し、
    前記プランジャーホルダーの回転運動を前記軸受部の前進又は後退運動に変換することで、前記ヘッド体を押圧したり、前記ヘッド体を押圧力から開放できることを特徴とする請求項1に記載の粘性体収納容器。
  4. 前記中空容器は、前記吐出口を備えその内部ヘッド体を収容する第1の中空容器と、前記第1の中空容器に直列に連結され前記プランジャーを収容する第2の中空容器からなり、
    前記第1の中空容器と前記第2の中空容器は分離可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の粘性体収納容器。
  5. 前記吐出口は、弾性体からなり前記粘性液体を吐出するための切込みが形成されたキャップを備え、
    前記キャップの内側に圧力が作用した際に、前記切込みが押し広げられて開口部が形成され、この開口部から前記粘性液体が吐出されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の粘性体収納容器。
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