JP2009232755A - 発芽改善処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 必要最低限の加水媒体により、発芽条件の至適含水率に正確に調製された高品質の発芽性改善種子を簡便かつ安価に製造することができる、種子の発芽改善方法を提供する。
【解決手段】 播種前の種子に水分を供給し、発芽を改善する処理方法であって、密閉系で、種子を無機ハイドロゲル及び酸化剤と混合し、種子に水分を供給することを特徴とする種子の発芽改善処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、種蒔き前に種子を水和処理することにより発芽を改善する処理方法に関する。さらに詳しくは、播種後の種子の迅速且つ斉一な発芽や不良環境下での発芽率の改善などを目的とし、播種前の種子に施す種子水和処理技術に関する。
種子は、播種後、水分・温度・酸素・光等の環境条件が適当な状態に揃った場合、一定の期間を経て発芽に至る。この播種から発芽に至るまでの発芽準備期間を短縮し、迅速且つ斉一な発芽をもたらすことにより、栽培期間の短縮や発芽後の栽培管理が容易となり、大規模な営利栽培においては生産コストの削減や省力化などの利点が得られる。
発芽準備期間を短縮する処理方法として、プライミング、オスモコンディショニングあるいはマトリコンディショニングなどの種子水和処理技術が開発されており、発芽の迅速化や不良環境下での発芽率改善などの効果があることが確認されている。種子水和処理技術の目的は、種蒔前の種子に給水し、種子の活力を増進するには充分であるが種子発芽をおこさせるには不充分な時間と温度で種子を処理することにより、播種後の発芽を早めることをにある。
種子水和処理技術としては、現在までに、プライミング法(W. Heyde cker, J. Higgins and R. L. Gulliver,1973, Nature(London) 246:42−44等)、ドラム・プライミング法(英国特許 2192781)、ソリッド・マトリクス・プライミング法(A. G. Taylor, D. E.Klein and T. H.Whitlow, 1988, Scientia Horticulturae 37(1988)1-11等)、マトリコンディショニング法(A.A. Khan, H.Miura, J.Prusinski and S.Ilyas, Proceedings of the Symposium on Stand Establishment of Horticultural Crops / Minneapolis, Minnesota, April4-6, 1990)などが開発されている。
また、最近、種子に水分を供与する媒体として無機ハイドロゲルを使用し、開放系にて、そのハイドロゲルが保持する水を種子に吸水せしめる種子の発芽改善方法が報告されている(特許文献1)。この方法では、無機ハイドロゲルから放出された蒸気又は分子状の水を種子が吸収するため、種子が直接液状の水と接触することがないという特徴を持つ。
特開平9-140219号公報
これら従来の方法は、水和処理中に被処理種子(処理対象種子)が時折あるいは連続的に空気などの酸素含有気体と接触させることが必要である。そのため、例えば、無機ハイドロゲルと種子とを入れた処理容器を間欠的もしくは連続的に回転させたり、無機ハイドロゲルと種子とを間欠的もしくは連続的に撹拌させたり、あるいは、エアポンプなどの給気手段を用いて酸素含有気体を間欠的もしくは連続的に種子と無機ハイドロゲルとに供給するなどして、種子を酸素含有気体に接触させる必要がある。しかしながら、開放系での処理であることにより、処理装置が加えた水分量がそのまま種子に付加された水分量とはならず、吸水状態を回分処理的に監視しながら、加水量を制御する必要が生じるため、処理装置の機構や手順が複雑化するという問題が生じる。さらには、通気により失われる水分を補う必要があるため、加水のための固体媒体を、本来の必要水分量の供給に要する最低量よりも10倍以上過剰に要するため、コスト面でも無駄が生じる。
本発明の課題は、密閉条件下においても種子への酸素供給と同等の活力増進効果を付与することができると共に、密閉化により損失水分が生じないために、加水媒体の保水量と種子の目標含水率から導出される適性封入量が計算可能となり、結果として、必要最低限の加水媒体により、発芽条件の至適含水率に正確に調製された高品質の発芽性改善種子を簡便かつ安価に製造することができる、種子の発芽改善方法を提供するところにある。
本発明者は、より優れた種子の水和処理技術を検討した結果、密閉系において無機ハイドロゲルと酸化剤を用いることにより、上述の課題が解決され、発芽の改善が可能な種子水和処理技術を見出し、本発明を完成した。
上述した種子の水和処理技術は、いずれも開放系で行われており、また、特許文献1には、「すなわち、水和処理中に被処理種子(処理対象種子)が時折あるいは連続的に空気などの酸素含有期待と接触することが必要である(段落番号26)」という記載がある。これらが示すように、本願の出願時点においては、水和処理は開放系で行われなければならないという技術常識が存在していた。従って、酸化剤を用いることにより、密閉系においても種子の水和処理が可能になるということは、本願の出願時において全く予測できないことであった。
本発明は、以上の知見に基づき完成されたものである。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(6)を提供する。
(1)播種前の種子に水分を供給し、発芽を改善する処理方法であって、密閉系で、種子を無機ハイドロゲル及び酸化剤と混合し、種子に水分を供給することを特徴とする種子の発芽改善処理方法。
(2)水分を供給した種子を低温処理することを特徴とする(1)に記載の種子の発芽改善処理方法。
(3)酸化剤が、オゾン、塩素、過酸化水素、過酸化カルシウム、過マンガン酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、クロラミン、過酢酸、又はメタクロロ過安息香酸であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の種子の発芽改善処理方法。
(4)種子を無機ハイドロゲル及び酸化剤と密閉容器内で混合し、この密閉容器を間欠的又は連続的に回転させることにより種子を酸化剤に接触させることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の種子の発芽改善処理方法。
(5)種子が、大豆であることを特徴とする(1)乃至(4)いずれかに記載の種子の発芽改善処理方法。
(6)(1)乃至(5)のいずれかに記載の方法によって処理された種子。
本発明によれば、少量の水和処理媒体により、被処理種子重量と種子水分から所要量の水和処理媒体を正確に求めて、至適な水分の種子を低コストで効率的に製造することができる。また、酸化剤を併用することにより、水和処理の効果をより向上させるとともに、種子殺菌効果を具備して安定した発芽が期待できる発芽改善種子を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の発芽改善処理方法は、密閉系で、種子を無機ハイドロゲル及び酸化剤と混合し、種子に水分を供給することを特徴とするものである。
無機ハイドロゲルは、特許文献1に記載されているものを使用することがでる。具体的には、金属の無機又は有機化合物の水溶液を用いて該化合物の加水分解および/または重合により金属酸化物の粒子を含むゾルを得て、そのゲル化により前記粒子の隙間に細孔を形成させた多孔質体であって、水を保持しているものを使用することができる。この無機ハイドロゲルが保持している水の量[保水率(重量%)=(無機ハイドロゲルが保持している水の重量/無機ハイドロゲルの乾燥重量)×100]は、その乾燥重量に対して100〜500重量%であることが好ましい。より好ましくは300〜500重量%である。また、無機ハイドロゲルの形態は、粉末状及び粒状いずれでもよいが、吸水しても相互付着が少なく適度な流動性を有する点より球状のものが好ましい。そして、その粒径は、特に限定されるものではないが、乾燥状態で0.1mm〜3mmが好ましい。
無機ハイドロゲルとしては、アルミナ、リン酸塩ガラス、アパタイトなどを使用することもできるが、シリカハイドロゲルを使用するのが最も好ましい。以下、シリカハイドロゲルについて説明する。
シリカハイドロゲルは、水ガラスやケイ酸ナトリウム、ケイ酸のアルコラートの加水分解物等より得られるケイ酸モノマーを重縮合することにより、シリカハイドロゾルを生成し、それを凝集させてゲル化させることにより得られる。シリカハイドロゲルの製造方法の詳細については、R.K.IlerのThe Chemistryof Silica(John Wiley & Sons,1978) に記載されている。シリカハイドロゲルを脱水すると、市販されている吸湿、脱水剤のシリカゲルを得ることができる。すなわち、シリカハイドロゲルは、水を含んだ未脱水のシリカゲルを精製して得たものである。このようにして得られるシリカハイドロゲルの母体になるシリカゲルの基本的な性状は次のとおりである。
1.表面がシラノール基(水酸基をもつ)で覆われた多孔質体である。
2.前記シラノール基が水を水素結合あるいはファンデルワールス力で結合する。
3.多孔質体部分は毛管凝集力でも水を保持する。
4.他の基本的性状は次のとおりである。
pH 6〜9
表面積 200〜800m2 /g
細孔径 2〜20nm
細孔容積 0.3〜0.9ml/g
本発明で用いるシリカハイドロゲルは、上記性状のシリカゲルに当該シリカゲル重量の100〜500重量%の水分を保持させたものが好ましく、より好ましくは300〜500重量%の水分を保持させたものである。そして、その形態としては、上記したように球状のものが好ましい。また、その粒径は、乾燥状態、即ちシリカゲルの状態で0.1mm〜3mmが好ましい。
本発明でいう密閉系とは、開放状態ではなく、通気がない環境を意味している。すなわち、従来知見・技術においては、水和処理中に被処理種子(処理対象種子)が時折あるいは連続的に空気などの酸素含有気体と接触することが必要と言われている。そのため従来法では、例えば、無機ハイドロゲルと種子とを入れた処理容器を間欠的もしくは連続的に回転させたり、無機ハイドロゲルと種子とを間欠的もしくは連続的に撹拌させたり、あるいは、エアポンプなどの給気手段を用いて酸素含有気体を間欠的もしくは連続的に種子と無機ハイドロゲルとに供給するなどして、種子を酸素含有気体に接触させている。また、通気により失われる水分を加味して10倍以上の材を投入する必要がある。本発明では、従来法で採られた上記操作を行う必要がない環境を密閉系と称する。
本発明でいう酸化剤とは、目的化学物質を酸化する為に使用する試薬や原料をさし、たとえば酸素、オゾン、塩素などの酸化力のある元素からなるガス、あるいは化学反応によりこれらのガスを発生する化学物質、たとえば過酸化水素、過酸化カルシウム、過マンガン酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、クロラミン、過酢酸、メタクロロ過安息香酸などがあげられる。
本発明でいう低温処理とは、種子の生理的活動開始に十分であるが、種子の老化を促進しない範囲の温度での処理を指し、通常、4℃〜25℃の範囲での処理である。
本発明の一般的な実施方法は次のとおりである。乾燥重量の1〜5倍の水を保持した無機ハイドロゲルと酸化剤を用意し、好ましくは、更に4℃〜25℃の範囲で一定温度を保つことができる低温庫を用意する。
酸化剤の添加順序は、使用する酸化剤の種類により異なる。たとえば粉末状の酸化剤の場合には、はじめに種子粉衣を実施してからハイドロゲルを添加して、容器内において均一に分散させる方法が望ましい。ガス状の酸化剤の場合には、ハイドロゲルと種子を均一分散させた後に容器を密閉し、所定量のガス濃度になるように流入量を制御する装置を用いて注入する方法が望ましい。液体状の酸化剤の場合、液体である酸化剤にハイドロゲルと種子を加えてもよく、ハイドロゲルに液体状の酸化剤を浸透させ、そのハイドロゲルと種子を混合してもよい。種子との直接施的な接触が障害を生じさせる可能性がある酸化剤は、ガス透過性のある容器に入れて種子とハイドロゲル混合物を入れた容器に設置する方法が望ましい。添加する酸化剤量も酸化剤の種類により異なる。たとえば酸化剤として過酸化カルシウム(25%含有)粉末を使用する場合は、種子100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部添加する。
ハイドロゲルは、種子100重量部に対して通常1〜100重量部を加え混合するが、好ましくは、種子平衡水分における水分活性相当の環境相対湿度を目標値としたときに、放出されうる水分が既知である無機ハイドロゲルを用いて、処理種子重量、種子水分、目標水分から所要量を算出して施用するのが望ましい。たとえば、10%(乾重量基準)水分の大豆種子を15%水分に調製する場合、所要水分量は次式により求められる。
(所要水分量)=(種子重量)×(目標水分までの差水分)÷100
たとえば、15%水分における大豆種子水分活性は概ね0.6と言われていることを利用して、当該相対湿度における無機ハイドロゲルの平衡水分が既知であれば、所要水分を種子に付与するために要する無機ハイドロゲル量は、次式により求められる。
(無機ハイドロゲル所要量)=100×(所要水分量)÷((相対湿度100%と60%における無機ハイドロゲル平衡水分の差))
以上の計算により求めた所要量の無機ハイドロゲルを種子とともに密閉容器に封入し、4℃〜25℃程度の温度下で、24時間〜1週間の一定期間(種子内部で行なわれる代謝活動が進行するのに要する時間)保持する。このとき、種子の酸化剤との接触を増大させるため、密閉容器を間欠的又は連続的に回転させてもよく、種子と無機ハイドロゲルと酸化剤とを間欠的もしくは連続的に撹拌してもよい。保持期間経過後、適切な目の篩で無機ハイドロゲルと種子を分離する。無機ハイドロゲルは全く種子に付着しないので、種子を傷めることなく容易に分離できる。無機ハイドロゲルから分離した種子は、低温庫中で一定時間低温処理をすることが好ましい。
なお、本発明に用いられる種子としては大豆を挙げることができるが、これ以外にもソラマメ、アズキ、ラッカセイなどを用いてもよい。また、水和処理前後に殺菌剤などで種子を処理してもよく、水和処理後にフィルムコーティングや造粒コーティングしてその種子表面にコーティング層を形成させることも可能である。
以上説明した本発明の従来技術に比べての最大の利点は次のとおりである。
1)酸化剤封入により、密閉条件下においても種子への酸素供給と同等の活力増進効果を付与することができる。
2)密閉化により損失水分が生じないために、同時封入する無機ヒドロゲルの保水量と種子の目標含水率から導出される適性封入量が計算可能であるとともに、無機ヒドロゲル量を従来法よりも大幅に低減できる。
3)無機ヒドロゲルとしてシリカヒドロゲルを用いた場合、その母体が前述したように市販のシリカゲルと同一であること、シリカゲルが地球の土壌成分の60%を占めている酸化珪素の重合体であること、シリカゲルが食品加工にも多用されている物質であることなどから、入手容易性、環境への非汚染性及び安全性に優れる。
次に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1) 酸化剤として過酸化カルシウムを併用した水和処理
平成18年度産タチナガハ(水分9.2%)及びエンレイ(水分9.8%)の2種類の大豆を対象に、シリカヒドロゲル(可溶性ケイ酸17%、水分83%、粒径4〜7mm、富士シリシア化学製)と25%過酸化カルシウム(CaO2)を添加して水和処理を行った結果を以下に示す。大豆の発芽活性を高めるには、種子の至適水分が15%と言われている。以下の式を用いて、種子重量、種子水分から15%水分の種子を調製するために必要なハイドロゲル添加量を求めることができる。
(ハイドロゲル添加量)=(種子重量)×(0.28−0.018×(百分率種子水分))
計算に基づいて、種子水分が約10%の種子200gを容器に入れ、種子新鮮重(含水種子重量)の1割(20g)のシリカヒドロゲルを添加し、過酸化カルシウム(含有量25%)粉末を1g加えて均一になるように撹拌し、24時間静置した。以上の水和処理により、タチナガハでは14.6%、エンレイでは15.1%水分の種子を調製した。また、水和処理は、密閉可能な円筒型透明ポリエチレン容器(容積0.5L)中にて、密閉状態で25℃の環境中に静置して行った。水和処理後の種子は、5mmメッシュの篩を用いて種子とヒドロゲルとを分離して、試験直前まで4日間13℃で保存した。
発芽試験は、大気中ならびに土壌中での発芽を想定して、開放系と密閉系での発芽試験に供試した。大気中発芽試験には、ふた付き樹脂培養容器(12ウェル、1ウェル容量5mL)を用い、各ウェルに種子1粒と1mLの蒸留水を加えてふたをし、25℃の暗所で催芽処理を実施した。密閉系での発芽試験は、白色ポリプロピレンビン(容積0.5L)に種子20粒と蒸留水10mLを入れてふたで密栓し、25℃の暗所で催芽処理を実施した。催芽処理結果は48時間後に胚軸伸長のある種子を発芽種子として計数した。
図1及び図2に試験結果を示す。酸化剤は過酸化カルシウム混合水和処理、対照は無処理の種子をさし、各処理の平均発芽率をグラフ化した。反復は3で、バーは標準誤差を表す。図1、図2に示すように、大気中発芽試験ならびに密閉系発芽試験の両環境において、タチナガハ、エンレイ共に過酸化カルシウム混合水和処理により、発芽率の向上が認められた。特に、密閉系、すなわち土壌環境類似の条件において水和処理による効果の違いが顕著であることから、大豆栽培面での本手法の有効性が実証された。
(実施例2) 酸化剤として次亜塩素酸・塩素ガスを併用した水和処理
実施例1と同様にシリカヒドロゲルを用いて、次亜塩素酸及び塩素ガスを酸化剤とした水和処理を実施し、発芽率への影響を調べた。次亜塩素酸および塩素ガスの発生源には高度さらし粉(次亜塩素酸カルシウム)を用い、水蒸気と高度さらし粉との反応による雰囲気中への次亜塩素酸および塩素ガスの拡散を図った。水和処理容器にシリカヒドロゲル24gと種子200gを入れた後、粒状の高度さらし粉10gをポリエチレン袋に入れて容器内に静置し、容器のふたで密栓した状態で、25℃の暗所に24時間静置した。水和処理後は高度さらし粉を取り出して、5mmメッシュの篩により種子とシリカヒドロゲルとを分離して、試験直前まで4日間種子を13℃の低温庫に移し、低温処理を行った。以上の水和処理は、平成18年産エンレイに対して実施した。
図3に試験結果を示す。次亜塩素酸・塩素ガス水和処理と、対照として無処理区、および水和処理のみの試験区を設け、各処理の平均発芽率をグラフ化した。反復は4で、バーは標準誤差を表す。図3に示すように、密閉系発芽試験では、次亜塩素酸・塩素ガス水和処理したエンレイ種子の発芽率が最も高く、単純な水和処理よりも発芽率改善効果の高いことが示された。
(実施例3) 酸化剤として過酸化水素水を併用した水和処理
市販されている粒径1.2〜2.4mmのクロマトグラフ用シリカゲル(孔隙容積1.0mL/g、富士シリシア化学製)に1%過酸化水素水を含浸処理し、密閉状態でエンレイ種子と混合して水和処理を実施した。シリカゲル200gに対して上記過酸化水素水150mLを含浸させて2時間室温静置した後、種子200gと均一に混ぜてチャック付きポリエチレン袋に入れて密封し、24時間室温静置して水和処理を実施した。処理後は1mmメッシュの篩で種子とシリカゲルを分離して、試験に供試した。実施例1と同様の手順により密閉系発芽試験を実施して、発芽率に対する過酸化水素水の水和処理効果を調べた。対照として、水和処理しない種子の発芽試験、ならびに水和処理しない種子の発芽試験に0.2%過酸化水素水10mLを吸水させた発芽試験を同様に実施した。
図4に試験結果を示す。過酸化水素水含浸シリカゲル水和処理と、対照として無処理区、および無処理種子の過酸化水素水吸水発芽区を設け、各処理の平均発芽率をグラフ化した。反復は3で、バーは標準誤差を表す。図4に示すように、密閉系発芽試験では、過酸化水素水の種子含浸、または希薄溶液の吸水により、エンレイ種子の発芽率向上効果が認められた。
大気中発芽試験での過酸化カルシウム添加水和処理の効果を示す図。 密閉系発芽試験での過酸化カルシウム添加水和処理の効果を示す図。 密閉系発芽における次亜塩素酸雰囲気中での水和処理の効果を示す図。 密閉系発芽における過酸化水素混合水和処理の効果を示す図。

Claims (6)

  1. 播種前の種子に水分を供給し、発芽を改善する処理方法であって、密閉系で、種子を無機ハイドロゲル及び酸化剤と混合し、種子に水分を供給することを特徴とする種子の発芽改善処理方法。
  2. 水分を供給した種子を低温処理することを特徴とする請求項1に記載の種子の発芽改善処理方法。
  3. 酸化剤が、オゾン、塩素、過酸化水素、過酸化カルシウム、過マンガン酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、クロラミン、過酢酸、又はメタクロロ過安息香酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の種子の発芽改善処理方法。
  4. 種子を無機ハイドロゲル及び酸化剤と密閉容器内で混合し、この密閉容器を間欠的又は連続的に回転させることにより種子を酸化剤に接触させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の種子の発芽改善処理方法。
  5. 種子が、大豆であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項に記載の種子の発芽改善処理方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法によって処理された種子。
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