JP2009232168A - ダイプレクサならびにそれを用いた無線通信モジュールおよび無線通信機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 広い周波数帯域を有する2つの信号を分波および合波することが可能でアイソレーション特性の優れたダイプレクサならびにそれを用いた無線通信モジュールおよび無線通信機器を提供する。
【解決手段】 基部27および突起部28a,28bを有し、全体が第1の周波数で共振するとともに、突起部28a,28bが第2の周波数で共振する複合共振電極29,30と、第3の周波数で共振する単一共振電極31a,31b,31c,31dと、入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aと対向して電磁界結合する入力結合電極40aと、出力段の複合共振電極30と対向して電磁界結合する第1の出力結合電極40bと、出力段の単一共振電極31bと対向して電磁界結合する第2の出力結合電極40cとを備えるダイプレクサである。広い2つの通過帯と良好なアイソレーション特性を有するダイプレクサである。
【選択図】 図2
【解決手段】 基部27および突起部28a,28bを有し、全体が第1の周波数で共振するとともに、突起部28a,28bが第2の周波数で共振する複合共振電極29,30と、第3の周波数で共振する単一共振電極31a,31b,31c,31dと、入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aと対向して電磁界結合する入力結合電極40aと、出力段の複合共振電極30と対向して電磁界結合する第1の出力結合電極40bと、出力段の単一共振電極31bと対向して電磁界結合する第2の出力結合電極40cとを備えるダイプレクサである。広い2つの通過帯と良好なアイソレーション特性を有するダイプレクサである。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ダイプレクサならびにそれを用いた無線通信モジュールおよび無線通信機器に関するものであり、特に、非常に広い周波数帯域を有する2つの信号を分波および合波することが可能なダイプレクサならびにそれを用いた無線通信モジュールおよび無線通信機器に関するものである。
近年、新しい通信手段としてUWBが着目されている。UWBは10m程度の短い距離において広い周波数帯域を使用して大容量のデータ転送を実現するものであり、例えば米国FCC(Federal Communication Commission)の規定によると3.1〜10.6GHzの周波数帯域を使用する計画になっている。このようにUWBの特徴は非常に広い周波数帯域を用いることである。
このようなUWBに使用可能な非常に広い通過帯域を有するバンドパスフィルタに関する研究は近年盛んに行なわれており、例えば、方向性結合器の原理を応用したバンドパスフィルタによって、通過帯域幅が比帯域(帯域幅/中心周波数)で100%を超える非常に広い通過帯域を有する特性が得られたとの報告がある(例えば、非特許文献1を参照。)。
一方、従来よく使用されるバンドパスフィルタとして、複数の1/4波長ストリップライン共振器を併設して相互に結合させて構成したものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
「マイクロストリップ−CPWブロードサイド結合構造を用いた超広帯域バンドパスフィルタ」2005年3月電子情報通信学会総合大会講演論文集 C-2-114 p.147 特開2004−180032号公報
「マイクロストリップ−CPWブロードサイド結合構造を用いた超広帯域バンドパスフィルタ」2005年3月電子情報通信学会総合大会講演論文集 C-2-114 p.147
しかしながら、非特許文献1および特許文献1にて提案されたバンドパスフィルタはそれぞれ問題点を有しており、UWBへの使用には適さないものであった。
例えば、非特許文献1にて提案されたバンドパスフィルタは通過帯域幅が広すぎるという問題があった。すなわち、UWBは基本的には3.1GHz〜10.6GHzの周波数帯域を使用するが、国際電気通信連合無線通信部門では、IEEE802.11.aで使用する5.3GHzを避ける形で3.1〜4.7GHz程度の周波数帯域を使用するLow Band(ローバンド)と6GHz〜10.6GHz程度の周波数帯域を使用するHigh Band(ハイバンド)とに分割した企画が立案されている。よって、Low Bandを通過させるLow Band用フィルタおよびHigh Bandを通過させるHigh Band用フィルタには、それぞれ比帯域で40%〜50%程度の通過帯域幅および5.3GHzにおける減衰の両方が要求されるため、通過帯域幅が比帯域で100%を超えるような特性を有する非特許文献1にて提案されたバンドパスフィルタは通過帯域幅が広すぎて使えないものであった。
また、従来の1/4波長共振器を使用したバンドパスフィルタの通過帯域幅は狭すぎ、広帯域化を図った特許文献1に記載のバンドパスフィルタの通過帯域幅であっても比帯域で10%にも満たないものであった。よって、比帯域で40%〜50%に相当する広い通過帯域幅を要求されるUWB用のバンドパスフィルタとして使えるものではなかった。
さらに、Low BandおよびHigh Bandの両方を用いる場合においては、高周波信号を処理するRF ICにおいて、Low Bandの信号を処理する回路とHigh Bandの信号を処理する回路とが異なるためにアンテナ側が2端子になる場合があり、Low Band側の端子およびHigh Band側の端子とアンテナとを接続するダイプレクサの必要性が高まっていた。
そこで、本発明者は、現時点では未公開の特願2007-278422においてUWBのLow BandおよびHigh Bandの両方を用いる場合に好適に使用可能な、非常に広い周波数帯域を有する2つの信号を分波および合波することが可能なダイプレクサを提案したが、アイソレーション特性においては改善の余地があった。
本発明はこのような従来の技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、非常に広い周波数帯域を有する2つの信号を分波および合波することが可能であり、且つアイソレーション特性の優れたダイプレクサならびにそれを用いた無線通信モジュールおよび無線通信機器を提供することにある。
本発明のダイプレクサは、複数の誘電体層が積層されてなる積層体と、該積層体の下面に配置された第1の接地電極および上面に配置された第2の接地電極と、一方端が接地される基部および該基部の他方端に各々の一方端が接続されて横並びに配置された帯状の複数の突起部によって前記基部の前記一方端が一方端となり前記突起部の他方端が他方端となるように構成され、前記一方端が接地されることによって、前記基部および前記突起部を合わせた全体が第1の周波数で共振する共振器として機能するとともに、前記突起部が前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で共振する共振器として機能する、前記積層体の第1の層間に前記一方端と前記他方端とが互い違いになるように横並びに配置されて相互に電磁界結合する複数の複合共振電極と、前記積層体の前記第1の層間とは異なる第2の層間に相互に電磁界結合するように横並びに配置された、それぞれ一方端が接地されて前記第1の周波数および前記第2の周波数とは異なる第3の周波数で共振する共振器として機能する帯状の複数の単一共振電極と、前記積層体の前記第1の層間と前記第2の層間との間に位置する層間に配置された、前記複数の複合共振電極のうちの入力段の複合共振電極における前記複数の突起部のうちの入力段の突起部と対向して電磁界結合し、かつ前記複数の単一共振電極のうちの入力段の単一共振電極と対向して電磁界結合するとともに、電気信号が入力される電気信号入力点を有する帯状の入力結合電極と前記積層体の前記第1の層間とは異なる層間に配置された、前記複数の複合共振電極のうちの出力段の複合共振電極における前記複数の突起部のうちの出力段の突起部と対向して電磁界結合するとともに、電気信号が出力される第1の電気信号出力点を有する帯状の第1の出力結合電極と、前記積層体の前記第2の層間と異なる層間に配置された、前記複数の単一共振電極のうちの出力段の単一共振電極と対向して電磁界結合するとともに、電気信号が出力される第2の電気信号出力点を有する帯状の第2の出力結合電極とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のダイプレクサは、上記構成において、前記第1の出力結合電極および前記第2の出力結合電極が、平面視したときに前記入力結合電極を間に挟んで互いに反対側に位置しており、前記入力段の複合共振電極の前記一方端と前記入力段の単一共振電極の前記一方端とが同じ側に位置しており、前記電気信号入力点は、前記入力結合電極において、前記入力段の複合共振電極との対向部の中央よりも前記入力段の複合共振電極の前記他方端に近い側で、かつ前記入力段の単一共振電極との対向部の中央よりも前記入力段の単一共振電極の前記他方端に近い側に位置しており、前記第1の電気信号出力点は、前記第1の出力結合電極において、前記出力段の複合共振電極との対向部の中央よりも前記出力段の複合共振電極の前記他方端に近い側に位置しており、前記第2の電気信号出力点は、前記第2の出力結合電極において、前記出力段の単一共振電極との対向部の中央よりも前記出力段の単一共振電極の前記他方端に近い側に位置していることを特徴とするものである。
さらに、本例のダイプレクサは、上記各構成において、前記積層体は第1の積層体およびその上に配置された第2の積層体によって構成されており、前記第1の接地電極は前記第1の積層体の下面に配置されており、前記第2の接地電極は前記第2の積層体の上面に配置されており、前記複数の複合共振電極と前記複数の単一共振電極とは前記第1の積層体および前記第2の積層体のうち互いに異なる積層体中に配置されており、前記入力結合電極,前記第1の出力結合電極および前記第2の出力結合電極は前記第1の積層体と前記第2の積層体との間に配置されていることを特徴とするものである。
本発明の無線通信モジュールは、上記各構成のいずれかの本発明のダイプレクサを備えることを特徴とするものである。
本発明の無線通信機器は、上記各構成のいずれかの本発明のダイプレクサを含むRF部と、該RF部に接続されたベースバンド部と、前記RF部に接続されたアンテナとを備えることを特徴とするものである。
なお、「第1の層間とは異なる層間」とは、第1の層間以外の層間であることを意味し、一つの層間であっても複数の層間であっても構わない。よって、「第1の層間と異なる層間に配置された電極」は、第1の層間以外の一つの層間に配置されていてもよく、また、第1の層間以外の複数の層間に分かれて配置された部分同士が接合されているようなものでも構わない。同様に、「第1の層間と第2の層間との間に位置する層間」も、一つの層間であってもよいし、複数の層間であっても構わない。また、「入力結合電極において、入力段の複合共振電極との対向部の中央よりも入力段の複合共振電極の他方端に近い側」とは、入力段の複合共振電極との対向部の中央を境界にして入力結合電極を長さ方向に2つの領域に分けたときに、入力段の複合共振電極の他方端に最も近接する部分を含む側の領域のことを意味する。
本発明のダイプレクサは、一方端が接地される基部および基部の他方端に各々の一方端が接続されて横並びに配置された帯状の複数の突起部によって基部の一方端が一方端となり突起部の他方端が他方端となるように構成され、一方端が接地されることによって、基部および突起部を合わせた全体が第1の周波数で共振する共振器として機能するとともに、突起部が第1の周波数よりも高い第2の周波数で共振する共振器として機能する複合共振電極を備えることから、第1の周波数と第2の周波数との周波数差を突起部の長さによってある程度任意にコントロールすることができるので、複合共振電極によって形成される通過帯域の幅を、広く且つ所望の幅に設定することが容易にできる。
また、本発明のダイプレクサによれば、複数の複合共振電極が積層体の第1の層間に一方端と他方端とが互い違いになるように横並びに配置されて相互に電磁界結合していることから、複合共振電極の数に応じて多数の共振ピークを得ることができるとともに、複数の複合共振電極が相互にインターデジタル型に電磁界結合されることによって、磁界による結合と電界による結合とが加算されて相互に強く電磁界結合するため、それぞれの共振ピークの間の周波数間隔を大きくすることができるので、複数の複合共振電極によって形成される通過帯域の幅を非常に広いものにすることができる。
さらに、本発明のダイプレクサによれば、複合共振電極が配置された層間と異なる層間に配置された、入力段の複合共振電極における入力段の突起部と対向して電磁界結合する入力結合電極と、出力段の複合共振電極における出力段の突起部と対向して電磁界結合する第1の出力結合電極とを備えることから、入力結合電極と入力段の複合共振電極とがブロードサイド結合によって強く電磁界結合し、第1の出力結合電極と出力段の複合共振電極とがブロードサイド結合によって強く電磁界結合するので、複数の複合共振電極によって形成される非常に広い通過帯域の全体に渡って平坦で低損失な通過特性を有するダイプレクサを得ることができる。
またさらに、本発明のダイプレクサによれば、入力結合電極と第1の出力結合電極との間に複数の複合共振電極が配置され、入力結合電極と第2の出力結合電極との間に複数の単一共振電極が配置されていることから、複合共振電極と単一共振電極とが直接電磁界結合することによる第1の出力結合電極と第2の出力結合電極との間のアイソレーションの悪化を防止することができる。これは、複合共振電極と単一共振電極の形状が異なるために、複合共振電極と単一共振電極とが相互に電磁界結合し難いためではないかと考えられる。
さらにまた、本発明のダイプレクサによれば、電気信号入力点は、入力結合電極において、入力段の複合共振電極との対向部の中央よりも入力段の複合共振電極の他方端に近い側に位置しており、第1の電気信号出力点は、第1の出力結合電極において、出力段の複合共振電極との対向部の中央よりも出力段の複合共振電極の他方端に近い側に位置しているときには、入力結合電極と入力段の複合共振電極とがインターデジタル型に電磁界結合されることによって、磁界による結合と電界による結合とが加算されて相互に強く電磁界結合し、第1の出力結合電極と出力段の複合共振電極とがインターデジタル型に電磁界結合されることによって、磁界による結合と電界による結合とが加算されて相互に強く電磁界結合するので、複数の複合共振電極によって形成される非常に広い通過帯域の全体に渡ってより平坦で低損失な通過特性を有するダイプレクサを得ることができる。
またさらに、本発明のダイプレクサによれば、電気信号入力点は、入力結合電極において、入力段の単一共振電極との対向部の中央よりも入力段の単一共振電極の他方端に近い側に位置しており、第2の電気信号出力点は、第2の出力結合電極において、出力段の単一共振電極との対向部の中央よりも出力段の単一共振電極の他方端に近い側に位置しているときには、入力結合電極と入力段の単一共振電極とがインターデジタル型に電磁界結合されることによって、磁界による結合と電界による結合とが加算されて相互に強く電磁界結合し、第1の出力結合電極と出力段の単一共振電極とがインターデジタル型に電磁界結合されることによって、磁界による結合と電界による結合とが加算されて相互に強く電磁界結合するので、複数の単一共振電極によって形成される非常に広い通過帯域の全体に渡ってより平坦で低損失な通過特性を有するダイプレクサを得ることができる。
なお、本発明のダイプレクサでは、入力段の複合共振電極の一方端と入力段の単一共振電極の一方端とが同じ側に位置しているときには、このように、入力結合電極と入力段の複合共振電極および入力段の単一共振電極とをブロードサイド結合させるとともにインターデジタル型に結合させることができる。
そして、本発明のダイプレクサによれば、第1の出力結合電極および第2の出力結合電極が、平面視したときに入力結合電極を間に挟んで互いに反対側に位置しているときには、複数の複合共振電極と複数の単一共振電極との間の電磁気的な結合を弱めることができるので、複数の複合共振電極と複数の単一共振電極との間の電磁気的な結合による第1の出力結合電極と第2の出力結合電極との間のアイソレーションの悪化をさらに防止することができる。
さらにまた、本発明のダイプレクサによれば、積層体は第1の積層体およびその上に配置された第2の積層体によって構成されており、第1の接地電極は第1の積層体の下面に配置されており、第2の接地電極は第2の積層体の上面に配置されており、複数の複合共振電極と複数の単一共振電極とは第1の積層体および第2の積層体のうち互いに異なる積層体中に配置されており、入力結合電極,第1の出力結合電極および第2の出力結合電極は第1の積層体と第2の積層体との間に配置されているときには、互いに共振周波数の異なる複合共振電極および単一共振電極のそれぞれが配置された領域が入力結合電極,第1の出力結合電極および第2の出力結合電極が配置された層間を境にして第1の積層体と第2の積層体とに分割されるので、第1の積層体および第2の積層体を構成する誘電体層の物性を異ならせることによって所望の電気特性を容易に得ることが可能となる。また、本発明のダイプレクサは、入力結合電極,第1の出力結合電極および第2の出力結合電極が配置された層間を間に挟んで上下に分かれて配置された電極同士における電磁界結合を必要としない構造であるため、入力結合電極,第1の出力結合電極および第2の出力結合電極が配置された層間を境にして第1の積層体と第2の積層体とに分割することによって、第1の積層体と第2の積層体との位置ずれや第1の積層体と第2の積層体との境界における空気層の介在等による電気特性の悪化を最小限に抑えることができる。さらに、例えば、第1の積層体がダイプレクサが構成される領域以外の領域の表面に他の電子部品等が搭載されるモジュール用基板である場合には、ダイプレクサの一部が第2の積層体中に配置されることによって、モジュール用基板の厚みを薄くすることができるので、モジュール全体の厚みを薄くすることが可能なダイプレクサ付き基板を得ることができる。
本発明の無線通信モジュールおよび本発明の無線通信機器によれば、通信に使用する2つの周波数帯域の全域に渡って通過する信号の損失が小さい本発明のダイプレクサを送信信号および受信信号の濾波に用いることにより、ダイプレクサを通過する受信信号および送信信号の減衰が少なくなるため、受信感度が向上し、また、送信信号および受信信号の増幅度を小さくできるため増幅回路における消費電力が少なくなる。よって受信感度が高く消費電力が少ない高性能な無線通信モジュールおよび無線通信機器を得ることができる。さらに、2つの通信帯域の信号をそれぞれ通過させる2つのバンドパスフィルタが1つのダイプレクサにまとめられているので、小型で製造コストが低い無線通信モジュールおよび無線通信機器を得ることができる。
以下、本発明のダイプレクサならびにそれを用いた無線通信モジュールおよび無線通信機器を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態の第1の例)
図1は本発明のダイプレクサの実施の形態の第1の例を模式的に示す外観斜視図である。図2は図1に示すダイプレクサの模式的な分解斜視図である。図3は図1に示すダイプレクサの上下面および層間を模式的に示す平面図である。図4は図1のP−P’線断面図である。
図1は本発明のダイプレクサの実施の形態の第1の例を模式的に示す外観斜視図である。図2は図1に示すダイプレクサの模式的な分解斜視図である。図3は図1に示すダイプレクサの上下面および層間を模式的に示す平面図である。図4は図1のP−P’線断面図である。
本例のダイプレクサは、図1〜図4に示すように、複数の誘電体層11が積層されてなる積層体10と、積層体10の下面に配置された第1の接地電極21および上面に配置された第2の接地電極22と、一方端が接地される基部27および基部27の他方端に各々の一方端が接続されて横並びに配置された帯状の複数の突起部28a,28bによって基部27の一方端が一方端となり突起部28a,28bの他方端が他方端となるように構成され、一方端が接地されることによって、基部27および突起部28a,28bを合わせた全体が第1の周波数で共振する共振器として機能するとともに、突起部28a,28bが第1の周波数よりも高い第2の周波数で共振する共振器として機能する、積層体10の第1の層間に一方端と他方端とが互い違いになるように横並びに配置されて相互に電磁界結合する複数の複合共振電極29,30と、積層体10の第1の層間とは異なる第2の層間に相互に電磁界結合するように横並びに配置された、それぞれ一方端が接地されて第1の周波数および第2の周波数とは異なる第3の周波数で共振する共振器として機能する帯状の複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dとを備えている。なお、本例のダイプレクサにおいては、第3の周波数を第1の周波数よりも低く設定している。
また、本例のダイプレクサは、積層体10の第1の層間と第2の層間との間に位置する層間Aに配置された、複数の複合共振電極29,30のうちの入力段の複合共振電極29における複数の突起部28a,28bのうちの入力段の突起部28aと対向して電磁界結合し、かつ複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dのうちの入力段の単一共振電極31aと対向して電磁界結合するとともに、電気信号が入力される電気信号入力点45aを有する帯状の入力結合電極40aと積層体10の第1の層間とは異なる層間に配置された、複数の複合共振電極29,30のうちの出力段の複合共振電極30における複数の突起部28a,28bのうちの出力段の突起部28bと対向して電磁界結合するとともに、電気信号が出力される第1の電気信号出力点45bを有する帯状の第1の出力結合電極40bと、積層体10の第2の層間と異なる層間に配置された、複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dのうちの出力段の単一共振電極31bと対向して電磁界結合するとともに、電気信号が出力される第2の電気信号出力点45cを有する帯状の第2の出力結合電極40cとを備えている。
さらに、本例のダイプレクサは、積層体10の第1の層間に複数の複合共振電極29,30の周囲を取り囲むように環状に形成され、複数の複合共振電極29,30の一方端が接続された第1の環状接地電極23と、第2の層間に複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dの周囲を取り囲むように環状に形成され、複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dの一方端が接続された第2の環状接地電極24とを備えている。
またさらに、入力結合電極40aが貫通導体50を介して積層体10の上面に配置された入力端子電極60aに接続されており、第1の出力結合電極40bが貫通導体50を介して積層体10の上面に配置された第1の出力端子電極60bに接続されており、第2の出力結合電極40cが貫通導体50を介して積層体10の上面に配置された第2の出力端子電極60cに接続されている。よって、入力結合電極40aと貫通導体50との接続点が入力結合電極40aに対して電気信号が入力される電気信号入力点45aとなり、第1の出力結合電極40bと貫通導体50との接続点が第1の出力結合電極40bから電気信号が出力される第1の電気信号出力点45bとなり、第2の出力結合電極40cと貫通導体50との接続点が第2の出力結合電極40cから電気信号が出力される第2の電気信号出力点45cとなる。
このような構成を備える本例のダイプレクサにおいては、入力端子電極60aおよび貫通導体50を介して入力結合電極40aの電気信号入力点45aに外部回路からの電気信号が入力されると、入力結合電極40aと電磁界結合する入力段の複合共振電極29が励振されることによって、相互に電磁界結合する複数の複合共振電極29,30が共振し、出力段の複合共振電極30と電磁界結合する第1の出力結合電極40bの第1の電気信号出力点45bから貫通導体50および出力端子電極60bを介して外部回路に電気信号が出力される。このとき、複数の複合共振電極29,30が共振する周波数を含む第1周波数帯域の信号が選択的に通過するため、これによって、第1の通過帯域が形成される。
また、本例のダイプレクサにおいては、入力端子電極60aおよび貫通導体50を介して入力結合電極40aの電気信号入力点45aに外部回路からの電気信号が入力されると、入力結合電極40aと電磁界結合する入力段の単一共振電極31aが励振されることによって、相互に電磁界結合する複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dが共振し、出力段の単一共振電極31bと電磁界結合する第2の出力結合電極40cの第2の電気信号出力点45cから貫通導体50および第2の出力端子電極60cを介して外部回路に電気信号が出力される。このとき、複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dが共振する周波数を含む第2周波数帯域の信号が選択的に通過するため、これによって、第2の通過帯域が形成される。
こうして、本例のダイプレクサは、入力端子電極60aから入力された信号を周波数に応じて分波して第1の出力端子電極60bおよび第2の出力端子電極60cから出力するダイプレクサとして機能する。
本例のダイプレクサにおいて、第1の接地電極21は積層体10の下面の全面に配置されており、第2の接地電極22は積層体10の上面の入力端子電極60a,第1の出力端子電極60bおよび第2の出力端子電極60cの周囲を除いたほぼ全面に配置されており、どちらも接地されて、複数の複合共振電極29,30および複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dと共にストリップライン共振器を構成している。また、第1の環状接地電極23および第2の環状接地電極24は、自身が接地されることによって、複合共振電極29,30および複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dの一方端を接地するとともに、複合共振電極29,30および複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dから発生する電磁波の周囲への漏洩を抑制する機能を有する。この機能はダイプレクサがモジュール基板等の基板内の一領域に形成されているときに特に有用である。
また、複合共振電極29,30は、一方端が接地される基部27および基部27の他方端に各々の一方端が接続されて横並びに間隔を開けて配置された帯状の複数の突起部28a,28bによって基部27の一方端が一方端となり突起部28a,28bの他方端が他方端となるように構成されている。そして、一方端(すなわち基部27の一方端)が接地されることによって、基本的には、基部27および突起部28a,28bを合わせた全体が第1の周波数で共振する1/4波長共振器として機能するとともに、突起部28a,28bが第1の周波数よりも高い第2の周波数で共振する1/4波長共振器として機能する。よって、基部27と突起部28a,28bとを合わせた全体の長さは、第1の周波数における波長の1/4にほぼ等しく、突起部28a,28bの長さは第2の周波数における波長の1/4にほぼ等しい。突起部28aと突起部28bの長さは基本的には等しく設定するが、他の電極との結合状態等によって長さを若干異ならせた方がよい場合もある。また、突起部の本数を3本以上にしてもよいが、小型化のためには2本にした方がよい。
帯状の複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dは、それぞれ一方端が第2の環状接地電極24に接続されて接地されることによって第3の周波数で共振する1/4波長共振器として機能する。そして、それぞれの電気長は第3の周波数における波長の1/4程度に設定される。
また、複数の複合共振電極29,30は、積層体10の第1の層間に横並びに配置されて相互にエッジ結合しており、複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dは、積層体10の第2の層間に横並びに配置されて相互にエッジ結合している。横並びに配置された複数の複合共振電極29,30同士の間隔および複数の単一共振電極31a,31b,31c,31d同士の間隔は、小さい方が強い結合が得られるが、間隔を小さくすると製造が困難になるので、例えば、0.05〜0.5mm程度に設定される。そして、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aとの間隔、ならびに第1の出力結合電極40bと出力段の複合共振電極30との間隔および第2の出力結合電極40cと出力段の単一共振電極31bとの間隔については、小さくすると結合は強くなるが製造上は難しくなるので、例えば、0.01〜0.5mm程度に設定される。
本例のダイプレクサによれば、基部27および突起部28a,28bを合わせた全体が第1の周波数で共振する共振器として機能するとともに、突起部28a,28bが第1の周波数よりも高い第2の周波数で共振する共振器として機能する複合共振電極29,30を備えることから、第1の周波数と第2の周波数との周波数差を突起部28a,28bの長さによってある程度任意にコントロールすることができるので、複合共振電極29,30によって形成される通過帯域の幅を、広く且つ所望の幅に設定することが容易にできる。
また、本例のダイプレクサによれば、複数の複合共振電極29,30が積層体10の第1の層間に一方端と他方端とが互い違いになるように横並びに配置されて相互に電磁界結合していることから、多数の共振ピークを得ることができるとともに、複数の複合共振電極29,30が相互にインターデジタル型に電磁界結合されることによって、磁界による結合と電界による結合とが加算されて相互に強く電磁界結合するため、それぞれの共振ピークの間の周波数間隔を大きくすることができるので、複合共振電極29,30によって形成される通過帯域の幅を非常に広いものにすることができる。
さらに、本例のダイプレクサによれば、入力段の複合共振電極29における入力段の突起部28aと誘電体層11を間に挟んで対向して電磁界結合する入力結合電極40aと、出力段の複合共振電極30における出力段の突起部28bと誘電体層11を間に挟んで対向して電磁界結合する第1の出力結合電極40bとを備えることから、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29とがブロードサイド結合によって強く電磁界結合し、第1の出力結合電極40bと出力段の複合共振電極30とがブロードサイド結合によって強く電磁界結合するので、複合共振電極29,30によって形成される非常に広い通過帯域の全体に渡って平坦で低損失な通過特性を有するダイプレクサを得ることができる。
またさらに、本例のダイプレクサによれば、電気信号入力点45aは、入力結合電極40aにおいて、入力段の複合共振電極29との対向部の中央よりも入力段の複合共振電極29の他方端に近い側に位置しており、第1の電気信号出力点45bは、第1の出力結合電極40bにおいて、出力段の複合共振電極30との対向部の中央よりも出力段の複合共振電極30の他方端に近い側に位置していることから、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29とがインターデジタル型に電磁界結合されることによって、磁界による結合と電界による結合とが加算されて相互に強く電磁界結合し、第1の出力結合電極40bと出力段の複合共振電極30とがインターデジタル型に電磁界結合されることによって、磁界による結合と電界による結合とが加算されて相互に強く電磁界結合するので、複合共振電極29,30によって形成される非常に広い通過帯域の全体に渡ってより平坦で低損失な通過特性を有するダイプレクサを得ることができる。
なお、本例のダイプレクサによれば、入力段の複合共振電極29の一方端と入力段の単一共振電極31aの一方端とが同じ側に位置していることから、このように、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aとをブロードサイド結合させるとともにインターデジタル型に結合させることができる。
さらにまた、本例のダイプレクサによれば、電気信号入力点45aは、入力結合電極40aにおいて、入力段の単一共振電極31aとの対向部の中央よりも入力段の単一共振電極31aの他方端に近い側に位置しており、第2の電気信号出力点45cは、第2の出力結合電極40cにおいて、出力段の単一共振電極31bとの対向部の中央よりも出力段の単一共振電極31bの他方端に近い側に位置していることから、入力結合電極40aと入力段の単一共振電極31aとがインターデジタル型に電磁界結合されることによって、磁界による結合と電界による結合とが加算されて相互に強く電磁界結合し、第1の出力結合電極40bと出力段の単一共振電極31bとがインターデジタル型に電磁界結合されることによって、磁界による結合と電界による結合とが加算されて相互に強く電磁界結合するので、複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dによって形成される非常に広い通過帯域の全体に渡ってより平坦で低損失な通過特性を有するダイプレクサを得ることができる。
またさらに、本例のダイプレクサによれば、複合共振電極29,30と単一共振電極31a,31b,31c,31dとが直接電磁界結合することによる第1の出力結合電極40bと第2の出力結合電極40cとの間のアイソレーションの悪化を防止することができる。これは、複合共振電極29,30と単一共振電極31a,31b,31c,31dの形状が異なるために、複合共振電極29,30と単一共振電極31a,31b,31c,31dとが相互に電磁界結合し難いためではないかと考えられる。
さらにまた、本例のダイプレクサによれば、第1の出力結合電極40bおよび第2の出力結合電極40cが、平面視したときに入力結合電極40aを間に挟んで互いに反対側に位置していることから、第1の出力結合電極40bと第2の出力結合電極40cとの間の電磁気的な結合による第1の出力結合電極40bと第2の出力結合電極40cとの間のアイソレーションの悪化をさらに防止することができる。
またさらに、本例のダイプレクサによれば、入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aが入力結合電極40aを間に挟んで互いに対向するとともに、これらからそれぞれ反対側に遠ざかるようにその他の複合共振電極30および単一共振電極31b,31c,31dが配置されていることにより、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aとをブロードサイド結合させるとともに、複数の複合共振電極29,30と複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dとの間のアイソレーションを最大限に確保することができるので、2つの広い通過帯域の両方が平坦で低損失な通過特性を有するとともに、第1の出力端子電極60bと第2の出力端子電極60cとの間のアイソレーションが充分に確保されたダイプレクサを得ることができる。
(実施の形態の第2の例)
図5は本発明のダイプレクサの実施の形態の第2の例を模式的に示す外観斜視図である。図6は図5に示すダイプレクサの模式的な分解斜視図である。図7は図5に示すダイプレクサの上下面および層間を模式的に示す平面図である。図8は図5のQ−Q’線断面図である。なお、本例においては前述した第1の例と異なる点のみについて説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略する。
図5は本発明のダイプレクサの実施の形態の第2の例を模式的に示す外観斜視図である。図6は図5に示すダイプレクサの模式的な分解斜視図である。図7は図5に示すダイプレクサの上下面および層間を模式的に示す平面図である。図8は図5のQ−Q’線断面図である。なお、本例においては前述した第1の例と異なる点のみについて説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略する。
本例のダイプレクサにおいては、図5〜図8に示すように、入力結合電極40aは、積層体10の第1の層間と第2の層間との間に位置する層間Aに配置されて入力段の単一共振電極31aと対向する帯状の第1の入力結合導体41aおよび積層体10の第1の層間と層間Aとの間に位置する層間Bに配置されて入力段の複合共振電極29の入力段の突起部28aと対向する帯状の第2の入力結合導体42aならびに第1の入力結合導体41aおよび第2の入力結合導体42aを接続する入力側接続導体43aおよび入力側接続補助導体44aからなる。この構成により、入力結合電極40aが1層の電極である場合と比較すると、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aとの間の間隔を維持したままで、入力段の複合共振電極29と入力段の単一共振電極31aとの間の間隔を広げることが可能になるため、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aとの間の電磁界結合を弱めることなく、入力段の複合共振電極29と入力段の単一共振電極31aとの間の直接的な電磁界結合を弱めることができ、これによって、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aとの間の電磁界結合をさらに強めることができる。
またさらに、本例のダイプレクサによれば、第1の入力結合導体41aおよび第2の入力結合導体42aの対向領域の中央よりも第1の入力側接続導体43aと反対側に第1の入力結合導体41aが配置されていることから、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aとの間の電磁界結合をさらに強めることができる。これは、第1の入力結合導体41aと第2の入力結合導体42aとが入力側接続補助導体44aによって接続されることにより、入力結合電極40aの開放端付近において第1の入力結合導体41aと第2の入力結合導体42aとの間の電位差が小さくなるため、第1の入力結合導体41aと第2の入力結合導体42aとの間の電磁界結合が小さくなるので、第1の入力結合導体41aと入力段の単一共振電極31aとの間の電磁界結合が強くなり、第2の入力結合導体42aと入力段の複合共振電極29との間の電磁界結合が強くなるためであると推定される。
さらにまた、本例のダイプレクサによれば、入力側接続補助導体44aは第1の入力結合導体41aおよび第2の入力結合導体42aの対向領域における中央に対して電気信号入力点45aおよび第1の入力側接続導体43aが配置された側と反対側の端部に配置されていることから、入力結合電極40aの開放端付近において、第1の入力結合導体41aと第2の入力結合導体42aとの間の電位差を最も小さくすることができるので、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aとの間の電磁界結合をさらに強めることができる。
またさらに、本例のダイプレクサによれば、入力側接続導体43aおよび入力側接続補助導体44aが第1の入力結合導体41aおよび第2の入力結合導体42aの対向領域の両端部に配置されていることから、第1の入力結合導体41aおよび第2の入力結合導体42の対向領域の全体に渡って互いの電位を近づけることができるので、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aとの間の電磁界結合をさらに強めることができる。
また、本例のダイプレクサにおいては、積層体10の層間Aに、第2の環状接地電極24に対向する領域を有するように配置されて貫通導体50を介して入力段の単一共振電極31aの開放端に接続された入力段の共振補助電極32aと、第2の環状接地電極24に対向する領域を有するように配置されて貫通導体50を介して出力段の単一共振電極31bの開放端に接続された出力段の共振補助電極32bとが配置されている。そして、積層体10の第1の層間よりも下側に位置する層間Cに第2の環状接地電極24に対向する領域を有するように配置され、貫通導体50によって単一共振電極31c,31dの他方端にそれぞれ接続された共振補助電極32c,32dが配置されている。このような構成により、共振補助電極32a,32b,32c,32dのそれぞれと第2の環状接地電極24との対向部において両者の間に静電容量が生じて、共振補助電極32a,32b,32c,32dがそれぞれ接続された単一共振電極31a,31b,31c,31dと接地電位との間の静電容量に加算されるので、単一共振電極31a,31b,31c,31dのそれぞれの長さを短縮することができ、小型のダイプレクサを得ることができる。
ここで、共振補助電極32a,32b,32c,32dと第2の環状接地電極24との対向部の面積は、必要な大きさと得られる静電容量との兼ね合いから、例えば、0.01〜3mm2程度に設定される。共振補助電極32a,32b,32c,32dと第2の環状接地電極24との対向部の間隔は小さい方が大きな静電容量を生じさせることができるが製造上は難しくなるので、例えば、0.01〜0.5mm程度に設定される。
さらに、本例のダイプレクサにおいては、積層体10の層間Aよりも上側に位置する層間Bに、入力段の共振補助電極32aに対向する領域を有するように配置されて貫通導体50を介して入力結合電極40aの電気信号入力点45aに接続された入力結合補助電極46aと、出力段の共振補助電極32bに対向する領域を有するように配置されて貫通導体50を介して第2の出力結合電極40cの第2の電気信号出力点45cに接続された出力結合補助電極46bとを備えている。そして、入力結合電極40aが貫通導体50を介して接続された入力結合補助電極46aは他の貫通導体50を介して入力端子電極60aに接続されており、第2の出力結合電極40cが貫通導体50を介して接続された出力結合補助電極46bは他の貫通導体50を介して第2の出力端子電極60cに接続されている。このような構成により、
入力段の共振補助電極32aと入力結合補助電極46aとの間に生じる電磁界結合が入力段の単一共振電極31aと入力結合電極40aとの間の電磁界結合に加算され、同様に、出力段の共振補助電極32bと出力結合補助電極46bとの間に生じる電磁界結合が出力段の単一共振電極31bと第2の出力結合電極40cとの間の電磁界結合に加算される。これによって、入力結合電極40aと入力段の単一共振電極31aとの間の電磁界結合および第2の出力結合電極40cと出力段の単一共振電極31bとの間の電磁界結合をさらに強めることができる。
入力段の共振補助電極32aと入力結合補助電極46aとの間に生じる電磁界結合が入力段の単一共振電極31aと入力結合電極40aとの間の電磁界結合に加算され、同様に、出力段の共振補助電極32bと出力結合補助電極46bとの間に生じる電磁界結合が出力段の単一共振電極31bと第2の出力結合電極40cとの間の電磁界結合に加算される。これによって、入力結合電極40aと入力段の単一共振電極31aとの間の電磁界結合および第2の出力結合電極40cと出力段の単一共振電極31bとの間の電磁界結合をさらに強めることができる。
このように、本例のダイプレクサによれば、入力結合電極40aと入力段の複合共振電極29および入力段の単一共振電極31aとが非常に強く電磁界結合し、第1の出力結合電極40bと出力段の複合共振電極30とが非常に強く電磁界結合し、第2の出力結合電極40cと出力段の単一共振電極31bとが非常に強く電磁界結合することから、複数の複合共振電極29,30および複数の単一共振電極31a,31b,31c,31dによって形成される非常に広い2つの通過帯域の全体に渡って、それぞれの共振モードの共振周波数の間に位置する周波数においても入力インピーダンスの不整合による反射減衰量の減少や挿入損失の増加が少ない、平坦で低損失な通過特性を得ることができる。
なお、入力結合補助電極46aおよび出力結合補助電極46bの幅は、例えば、入力結合電極40aおよび第2の出力結合電極40cと同程度に設定される。入力結合補助電極46aおよび出力結合補助電極46bと共振補助電極32a,32bとの間の間隔は、小さい方が強い結合を生じさせる点で望ましいが製造上は難しくなるので、例えば、0.01〜0.5mm程度に設定される。
(実施の形態の第3〜第5の例)
図9は本発明のダイプレクサの実施の形態の第3の例を模式的に示す分解斜視図であり、図10は本発明のダイプレクサの実施の形態の第4の例を模式的に示す分解斜視図であり、図11は本発明のダイプレクサの実施の形態の第5の例を模式的に示す分解斜視図である。なお、これらの例においては前述した第2の例と異なる点のみについて説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略する。
図9は本発明のダイプレクサの実施の形態の第3の例を模式的に示す分解斜視図であり、図10は本発明のダイプレクサの実施の形態の第4の例を模式的に示す分解斜視図であり、図11は本発明のダイプレクサの実施の形態の第5の例を模式的に示す分解斜視図である。なお、これらの例においては前述した第2の例と異なる点のみについて説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略する。
図9に示す第3の例のダイプレクサにおいては、単一共振電極31a,31b,31c,31dの全てが、一方端と他方端とを揃えてコムライン型に結合するように横並びに配置されている。図10に示す第4の例のダイプレクサにおいては、単一共振電極31aと31cとがインターデジタル型に結合され、31cと31dとがコムライン型に結合され、31dと31bとがインターデジタル型に結合されるように横並びに配置されている。図11に示す第5の例のダイプレクサにおいては、単一共振電極31aと31cとがコムライン型に結合され、31cと31dとがインターデジタル型に結合され、31dと31bとがコムライン型に結合に結合されるように横並びに配置されている。この単一共振電極31b,31c,31dの一方端と他方端との位置関係の変化に応じて、共振補助電極32b,32c,32d、第2の出力結合電極40cおよび出力結合補助電極46bの位置および向きも変わっている。
このような構成を備える第3〜第5の例のダイプレクサにおいても、前述した第2の例のダイプレクサと同様な効果を得ることができる。
(実施の形態の第6の例)
図12は本発明のダイプレクサの実施の形態の第6の例を模式的に示す外観斜視図である。図13は図12に示すダイプレクサの模式的な分解斜視図である。図14は図12のR−R’線断面図である。なお、本例においては前述した実施の形態の第1の例と異なる点のみについて説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略する。
図12は本発明のダイプレクサの実施の形態の第6の例を模式的に示す外観斜視図である。図13は図12に示すダイプレクサの模式的な分解斜視図である。図14は図12のR−R’線断面図である。なお、本例においては前述した実施の形態の第1の例と異なる点のみについて説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略する。
本例のダイプレクサは、図12〜図14に示すように、積層体は第1の積層体10aおよびその上に配置された第2の積層体10bによって構成されており、第1の接地電極21は第1の積層体10aの下面に配置されており、第2の接地電極22は第2の積層体10bの上面に配置されており、複合共振電極29,30および第1の環状接地電極23が配置された第1の層間は第2の積層体10b中の層間であり、単一共振電極31a,31b,31c,31dおよび第2の環状接地電極24が配置された第2の層間は第1の積層体10a中の層間であり、入力結合電極40a,第1の出力結合電極40bおよび第2の出力結合電極40cは第1の積層体10aと第2の積層体10bとの間の層間に配置されている。なお、第1の積層体10aは複数の誘電体層11aが積層されて構成されており、第2の積層体10bは複数の誘電体層11bが積層されて構成されている。
このような構成を備える本例のダイプレクサによれば、互いに共振周波数の異なる複合共振電極29,30および単一共振電極31a,31b,31c,31dのそれぞれが配置された領域が入力結合電極40a,第1の出力結合電極40bおよび第2の出力結合電極40cが配置された層間を境にして第1の積層体10aと第2の積層体10bとに分割されるので、第1の積層体10aおよび第2の積層体10bをそれぞれ構成する誘電体層の物性を異ならせることによって所望の電気特性を容易に得ることが可能となる。例えば、共振周波数が低いために複合共振電極29,30よりも長い単一共振電極31a,31b,31c,31dが配置された第1の積層体10aを構成する誘電体層11aの誘電率を第2の積層体10bを構成する誘電体層11bの誘電率よりも高くすることにより、単一共振電極31a,31b,31c,31dの長さを短縮することができるので、ダイプレクサ中の無駄なスペースを無くしてダイプレクサを小型化することができる。
また、本発明のダイプレクサは、入力結合電極40a,第1の出力結合電極40bおよび第2の出力結合電極40cが配置された層間を間に挟んで上下に分かれて配置された電極同士における電磁界結合を必要としない構造であるため、入力結合電極40a,第1の出力結合電極40bおよび第2の出力結合電極40cが配置された層間を境にして第1の積層体10aと第2の積層体10bとに分割することによって、第1の積層体10aと第2の積層体10bとの間に位置ずれが生じた場合や第1の積層体10aと第2の積層体10bとの境界に空気層が介在する場合等の電気特性の悪化を最小限に抑えることができる。さらに、例えば、第1の積層体10aがダイプレクサが構成される領域以外の領域の表面に他の電子部品等が搭載されるモジュール用基板である場合には、ダイプレクサの一部が第2の積層体10b中に配置されることによって、モジュール用基板の厚みを薄くすることができるので、モジュール全体の厚みを薄くすることが可能なダイプレクサ付き基板を得ることができる。
(実施の形態の第7の例)
図15は本発明のダイプレクサを用いた無線通信モジュール80および無線通信機器85の構成例を示すブロック図である。
図15は本発明のダイプレクサを用いた無線通信モジュール80および無線通信機器85の構成例を示すブロック図である。
本発明の無線通信モジュール80は、例えば、ベースバンド信号が処理されるベースバンド部81と、ベースバンド部81に接続されベースバンド信号の変調後および復調前のRF信号が処理されるRF部82とを備えている。
RF部82には前述の本発明のダイプレクサ821が含まれており、ベースバンド信号が変調されてなるRF信号または受信したRF信号における通信帯域以外の信号をダイプレクサ821によって減衰させている。
具体的な構成としては、ベースバンド部81にはベースバンドIC 811が配置され、RF部82にはダイプレクサ821とベースバンド部81との間にRF IC 822が配置されている。なお、これらの回路間には別の回路が介在していてもよい。
そして、無線通信モジュール80のダイプレクサ821にアンテナ84を接続することによってRF信号の送受信がなされる本発明の無線通信機器85が構成される。
このような構成を有する本例の無線通信モジュール80および無線通信機器85によれば、通信に使用する2つの周波数帯域の全域に渡って通過する信号の損失が小さい本発明のダイプレクサ821を送信信号および受信信号の濾波に用いることにより、ダイプレクサ821を通過する受信信号および送信信号の減衰が少なくなるため、受信感度が向上し、また、送信信号および受信信号の増幅度を小さくできるため増幅回路における消費電力が少なくなる。よって受信感度が高く消費電力が少ない高性能な無線通信モジュール80および無線通信機器85を得ることができる。さらに、2つの通信帯域の信号をそれぞれ通過させる2つのバンドパスフィルタが1つのダイプレクサ821にまとめられており、RF IC822の2つの端子とアンテナ84とを本発明のダイプレクサ821を介して直接接続することができるのでので、小型で製造コストが低い無線通信モジュール80および無線通信機器85を得ることができる。
本発明のダイプレクサにおいて、誘電体層11の材質としては、例えばエポキシ樹脂等の樹脂や例えば誘電体セラミックス等のセラミックスを用いることができる。例えば、BaTiO3,Pb4Fe2Nb2O12,TiO2等の誘電体セラミック材料と、B2O3,SiO2,Al2O3,ZnO等のガラス材料とからなり、800〜1200℃程度の比較的低い温度で焼成が可能なガラス−セラミック材料が好適に用いられる。また、誘電体層11の厚みとしては、例えば0.01〜0.1mm程度に設定される。
前述した各種の電極および貫通導体の材質としては、例えば、Ag,Ag−Pd,Ag−Pt等のAg合金を主成分とする導電材料やCu系,W系,Mo系,Pd系導電材料等が好適に用いられる。各種の電極の厚みは、例えば0.001〜0.2mmに設定される。
本発明のダイプレクサは、例えば次のようにして作製することができる。まず、セラミック原料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して泥漿を作製するとともに、ドクターブレード法によってセラミックグリーンシートを形成する。次に、得られたセラミックグリーンシートにパンチングマシーン等を用いて貫通導体を形成するための貫通孔を形成し、Ag,Ag−Pd,Au,Cu等の導体を含む導体ペーストを充填するとともにセラミックグリーンシートの表面に印刷法を用いて前述したのと同様の導体ペーストを塗布して導体ペースト付きセラミックグリーンシートを作製する。次に、これらの導体ペースト付きセラミックグリーンシートを積層し、ホットプレス装置を用いて圧着し、800℃〜1050℃程度のピーク温度で焼成することにより作製される。なお、第1の積層体10aと第2の積層体10bとを別々に作製した後に第2の積層体10bを第1の積層体10aの上面にはんだ等を用いて実装するようにしても構わない。
(変形例)
本発明は前述した実施の形態の第1〜第7の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更,改良が可能である。
本発明は前述した実施の形態の第1〜第7の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更,改良が可能である。
例えば、前述した実施の形態の第1〜第5の例においては、入力端子電極60a,第1の出力端子電極60bおよび第2の出力端子電極60cを備えた例を示したが、例えば、モジュール基板のような基板内の一領域にダイプレクサが形成される場合は入力端子電極60a,第1の出力端子電極60bおよび第2の出力端子電極60cは必ずしも必要なく、例えば、モジュール基板内の外部回路からの配線導体が、入力結合電極40a,第1の出力結合電極40b及び第2の出力結合電極40cに直接接続するようにしても構わない。この場合は、入力結合電極40a,第1の出力結合電極40b及び第2の出力結合電極40cと配線導体との接続点が、それぞれ電気信号入力点45a、第1の電気信号出力点45bおよび第2の電気信号出力点45cとなる。また、モジュール基板内の外部回路からの配線導体が入力結合補助電極46aおよび出力結合補助電極46bに直接接続するようにしても構わない。
また、前述した実施の形態の第2〜5の例においては、入力段の共振補助電極32aおよび出力段の共振補助電極32bが第1の入力結合導体41aおよび第2の出力結合電極40cと同じく積層体の層間Aに配置された例を示したが、入力段の共振補助電極32aおよび出力段の共振補助電極32bが積層体の他の層間に配置されるようにしても構わない。
さらに、前述した実施の形態の第2〜第5の例においては、共振補助電極32c,32dが入力段の共振補助電極32aおよび出力段の共振補助電極32bと異なる層間に配置された例を示したが、入力段の共振補助電極32aおよび出力段の共振補助電極32bと同じ層間に配置されるようにしても構わない。
またさらに、前述した実施の形態の第2〜第5の例においては、入力結合補助電極46aおよび出力結合補助電極46bが第2の入力結合導体42aと同じく層間Bに配置された例を示したが、入力結合補助電極46aおよび出力結合補助電極46bと第2の入力結合導体42aとが積層体の異なる層間に配置されるようにしても構わない。また、入力結合補助電極46aと出力結合補助電極46bとが異なる層間に配置されるようにしても構わない。
さらにまた、前述した実施の形態の第2および第3の例においては、入力結合補助電極46aが貫通導体50を介して第1の入力結合導体41aに接続された例を示したが、例えば、入力結合補助電極46aが第2の入力結合導体42aに直接接続されるようにしても構わない。
またさらに、前述した実施の形態の第1〜第6の例においては、積層体の下面に第1の接地電極21を配置し、積層体の上面に第2の接地電極22を配置した例を示したが、例えば、第1の接地電極21の下にさらに誘電体層11を配置しても構わないし、第2の接地電極22の上にさらに誘電体層11を配置しても構わない。
さらにまた、前述した実施の形態の第1〜第6の例においては、2つの複合共振電極29,30および4つの単一共振電極31a,31b,31c,31dを備えた例を示したが、必要とされる通過帯域幅および通過帯域外の減衰量に応じて、複合共振電極および単一共振電極の個数を変えてもよい。必要とされる通過帯域幅が狭い場合や必要とされる通過帯域外の減衰量が小さい場合等には、共振電極の数を減らしてもよく、逆に、必要とされる通過帯域幅が広い場合や必要とされる通過帯域外の減衰量が大きい場合等には、共振電極の数をさらに増やしてもよい。但し、共振電極の数が増えすぎると大型化や通過帯域内における損失の増加が生じるので、複合共振電極および単一共振電極の数については、それぞれ10個程度以下に設定されるのが望ましい。
またさらに、前述した実施の形態の第6の例においては、入力結合電極40a,第1の出力結合電極40bおよび第2の出力結合電極40cが配置された層間を境にして第1の積層体10aと第2の積層体10bとに分割されたダイプレクサの例を示したが、状況に応じて他の層間で第1の積層体10aと第2の積層体10bとに分割されるようにしてもよく、さらに多数の積層体に分割されるようにしても構わない。
さらにまた、UWBに用いられるダイプレクサを例示してこれまで説明を行なってきたが、広帯域を要求される他の用途においても本発明のダイプレクサが有効であることは言うまでもない。
次に、本発明のダイプレクサの具体例について説明する。
図5〜図8に示した実施の形態の第2の例のダイプレクサの電気特性を有限要素法を用いたシミュレーションによって算出した。
算出条件としては、入力段の複合共振電極29および出力段の複合共振電極30は、幅が1.05mmで長さが0.95mmの矩形状の基部27の他方端に幅が0.25mmで長さが2.1mmの矩形状の入力段の突起部28aおよび幅が0.2mmで長さが2.25mmの矩形状の出力段の突起部28bが0.6mmの間隔を隔てて配置される構造とし、各々の一方端と他方端とが互い違いになるように0.25mmの間隔を隔てて横並びに配置した。単一共振電極31a,31b,31c,31dは幅が0.3mmで長さ3.6がmmの矩形状とし、単一共振電極31aと31cとの間隔は0.2mmとし、単一共振電極31cと31dとの間隔は0.27mmとし、単一共振電極31dと31bとの間隔は0.2mmとした。入力段の共振補助電極32aおよび出力段の共振補助電極32bは、それぞれ単一共振電極31a,31bの他方端から0.2mm離れた場所に配置した幅が0.45mmで長さが0.49mmの矩形と、それから単一共振電極31a,31bに向かう幅が0.2mmで長さが0.5mmの矩形とを接合した形状とした。その他の共振補助電極32c,32dは、それぞれ単一共振電極31c,31dの他方端から0.2mm離れた場所に配置した幅が0.47mmで長さが0.5mmの矩形と、それから単一共振電極31c,31dに向かう幅が0.2mmで長さが0.5mmの矩形とを接合した形状とした。
第1の入力結合導体41aは幅が0.25mmで長さが3.7mmの矩形状の先端に結合を調整する目的で幅が0.45mmで長さが0.4mmの延長部を付加した形状とした。第2の入力結合導体42aは幅が0.25mmで長さが2.6mmの矩形状の先端に結合を調整する目的で幅が0.45mmで長さが0.4mmの延長部を付加した形状とした。そして、ビアホールからなる入力側接続導体43aおよび入力側接続補助導体44aによって第1の入力結合導体41aおよび第2の入力結合導体42aを接続して入力結合電極40aを構成した。第1の出力結合電極40bおよび第2の出力結合電極40cは幅が0.25mmで長さが3.2mmの矩形状とした。入力結合補助電極46aおよび出力結合補助電極46bは幅が0.25mmで長さが1.1mmの矩形状とした。
入力端子電極60a,第1の出力端子電極60bおよび第2の出力端子電極60cは一辺が0.3mmの正方形とした。第1の接地電極21,第2の接地電極22,第1の環状接地電極23および第2の環状接地電極24の外形は長さが5mmで幅が6mmとし、第1の環状接地電極23の開口部は幅が4.9mmで長さが3.75mmの矩形状とし、第2の環状接地電極24の開口部は幅が3.9mmで長さが3.25mmの矩形状とした。ダイプレクサ全体の形状は幅が6mmで長さが5mmで厚みが0.98mmの直方体状とし、層間Bが厚み方向のほぼ中央に位置するようにした。第1の層間,第2の層間,層間A,層間Bおよび層間Cのうち隣り合う層間の間隔(隣り合う層間に配置された各種電極同士の間隔)はそれぞれ0.065mmとした。各種電極の厚みは0.01mmとし、各種貫通導体の直径は0.1mmとした。誘電体層11の比誘電率を9.45とした。
図16はそのシミュレーション結果を示すグラフである。図17は、2つの複合共振電極29,30が、相互にインターデジタル結合するように横並びに配置された4つの単一共振電極に置き換えられた以外は図5〜図8に示した実施の形態の第2の例のダイプレクサと同様の構造を備える比較例のダイプレクサの電気特性のシミュレーション結果を示すグラフである。それぞれのグラフにおいて、横軸は周波数,縦軸は減衰量を表しており、入力端子電極60aをポート1、第1の出力端子電極60bをポート2、第2の出力端子電極60cをポート3としたときの、ダイプレクサの通過特性(S21,S31)およびアイソレーション特性(S32)を示している。
図17に示したグラフによれば、2つの広い通過帯域の全体に渡って低損失な通過特性が得られているものの、単一共振電極31a,31b,31c,31dによって形成される通過帯域付近の3〜5GHz程度の周波数においてS32が−20dB程度になっており、比較例のダイプレクサのアイソレーション特性に改善の余地があることがわかる。
これに対して、図16に示すグラフによれば、単一共振電極31a,31b,31c,31dによって形成される通過帯域付近の3〜5GHz程度の周波数においてS32は−35dB程度であり、図17に示すグラフと比較すると15dB以上も改善されており、非常に良好なアイソレーション特性が得られている。この結果により、本発明のダイプレクサによれば、2つの広い通過帯域の全域に渡って平坦で低損失な優れた通過特性と良好なアイソレーション特性が得られることがわかり、本発明の有効性が確認できた。
10:積層体
11:誘電体層
21:第1の接地電極
22:第2の接地電極
27:基部
28a,28b:突起部
29,30:複合共振電極
31a,31b,31c,31d:単一共振電極
40a:入力結合電極
40b:第1の出力結合電極
40c:第2の出力結合電極
45a:電気信号入力点
45b:第1の電気信号出力点
45c:第2の電気信号出力点
80:無線通信モジュール
81:ベースバンド部
82:RF部
821:ダイプレクサ
84:アンテナ
85:無線通信機器
11:誘電体層
21:第1の接地電極
22:第2の接地電極
27:基部
28a,28b:突起部
29,30:複合共振電極
31a,31b,31c,31d:単一共振電極
40a:入力結合電極
40b:第1の出力結合電極
40c:第2の出力結合電極
45a:電気信号入力点
45b:第1の電気信号出力点
45c:第2の電気信号出力点
80:無線通信モジュール
81:ベースバンド部
82:RF部
821:ダイプレクサ
84:アンテナ
85:無線通信機器
Claims (5)
- 複数の誘電体層が積層されてなる積層体と、
該積層体の下面に配置された第1の接地電極および上面に配置された第2の接地電極と、
一方端が接地される基部および該基部の他方端に各々の一方端が接続されて横並びに配置された帯状の複数の突起部によって前記基部の前記一方端が一方端となり前記突起部の他方端が他方端となるように構成され、前記一方端が接地されることによって、前記基部および前記突起部を合わせた全体が第1の周波数で共振する共振器として機能するとともに、前記突起部が前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で共振する共振器として機能する、前記積層体の第1の層間に前記一方端と前記他方端とが互い違いになるように横並びに配置されて相互に電磁界結合する複数の複合共振電極と、
前記積層体の前記第1の層間とは異なる第2の層間に相互に電磁界結合するように横並びに配置された、それぞれ一方端が接地されて前記第1の周波数および前記第2の周波数とは異なる第3の周波数で共振する共振器として機能する帯状の複数の単一共振電極と、
前記積層体の前記第1の層間と前記第2の層間との間に位置する層間に配置された、前記複数の複合共振電極のうちの入力段の複合共振電極における前記複数の突起部のうちの入力段の突起部と対向して電磁界結合し、かつ前記複数の単一共振電極のうちの入力段の単一共振電極と対向して電磁界結合するとともに、電気信号が入力される電気信号入力点を有する帯状の入力結合電極と
前記積層体の前記第1の層間とは異なる層間に配置された、前記複数の複合共振電極のうちの出力段の複合共振電極における前記複数の突起部のうちの出力段の突起部と対向して電磁界結合するとともに、電気信号が出力される第1の電気信号出力点を有する帯状の第1の出力結合電極と、
前記積層体の前記第2の層間と異なる層間に配置された、前記複数の単一共振電極のうちの出力段の単一共振電極と対向して電磁界結合するとともに、電気信号が出力される第2の電気信号出力点を有する帯状の第2の出力結合電極とを備えることを特徴とするダイプレクサ。 - 前記第1の出力結合電極および前記第2の出力結合電極が、平面視したときに前記入力結合電極を間に挟んで互いに反対側に位置しており、
前記入力段の複合共振電極の前記一方端と前記入力段の単一共振電極の前記一方端とが同じ側に位置しており、
前記電気信号入力点は、前記入力結合電極において、前記入力段の複合共振電極との対向部の中央よりも前記入力段の複合共振電極の前記他方端に近い側で、かつ前記入力段の単一共振電極との対向部の中央よりも前記入力段の単一共振電極の前記他方端に近い側に位置しており、
前記第1の電気信号出力点は、前記第1の出力結合電極において、前記出力段の複合共振電極との対向部の中央よりも前記出力段の複合共振電極の前記他方端に近い側に位置しており、
前記第2の電気信号出力点は、前記第2の出力結合電極において、前記出力段の単一共振電極との対向部の中央よりも前記出力段の単一共振電極の前記他方端に近い側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のダイプレクサ。 - 前記積層体は第1の積層体およびその上に配置された第2の積層体によって構成されており、前記第1の接地電極は前記第1の積層体の下面に配置されており、前記第2の接地電極は前記第2の積層体の上面に配置されており、前記複数の複合共振電極と前記複数の単一共振電極とは前記第1の積層体および前記第2の積層体のうち互いに異なる積層体中に配置されており、前記入力結合電極,前記第1の出力結合電極および前記第2の出力結合電極は前記第1の積層体と前記第2の積層体との間に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のダイプレクサ。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のダイプレクサを含むRF部と、該RF部に接続されたベースバンド部とを備えることを特徴とする無線通信モジュール。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のダイプレクサを含むRF部と、該RF部に接続されたベースバンド部と、前記RF部に接続されたアンテナとを備えることを特徴とする無線通信機器。
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US12/919,479 US8629738B2 (en) | 2008-02-26 | 2009-02-18 | Complex resonator, bandpass filter, and diplexer, and wireless communication module and wireless communication device using same |
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Citations (2)
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JPS63257302A (ja) * | 1987-04-14 | 1988-10-25 | Alps Electric Co Ltd | マイクロストリツプ線路におけるトラツプ回路 |
JP2004147300A (ja) * | 2002-10-04 | 2004-05-20 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 共用器、並びにそれを用いた積層型高周波デバイス及び通信機器 |
-
2008
- 2008-03-24 JP JP2008075243A patent/JP2009232168A/ja active Pending
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