JP2009229319A - 固定化方法、生理活性物質固定化担体及び固定用担体 - Google Patents

固定化方法、生理活性物質固定化担体及び固定用担体 Download PDF

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Abstract

【課題】非特異的吸着が少なく且つ生理活性物質を充分量固定化することができる固定化方法、生理活性物質固定化担体及び固定用担体を提供する。
【解決手段】生理活性物質を固相担体に固定化する固定化方法であって、前記固相担体と、例えば、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物のような、酸無水物官能基を有するシランカップリング剤とを接触させること、前記接触後の固相担体を0℃〜60℃の温度範囲下に保持しながら、前記酸無水物官能基に対する前記生理活性物質の結合処理を行うこと、を含む。またこの固定化方法によって得られた生理活性物質固定化担体。また、前記固相担体と、例えば、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物のような、酸無水物官能基を有するシランカップリング剤とを接触させることによって得られた前記生理活性物質固定化担体作製のための固定用担体も提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、固定化方法、生理活性物質固定化担体及び固定用担体に関する。
診断用チップやタンパク質マイクロアレイなどの固相担体を用いた生化学反応チップは、研究開発分野や臨床分野において有用性が非常に高い。例えばタンパク質マイクロアレイなどではガラス基板上にタンパク質溶液を接触させることによりタンパク質を基板上に固定化し、その固定化タンパク質の生理活性を利用して診断や解析が行われている。この場合、タンパク質が密度高く固定でき、かつ固定化タンパク質と反応させる物質が担体に非特異的に吸着しないことが求められる。
このような非特異的な吸着を排除するために、例えば、非特許文献1にはポリリジンコート層やアミノ基層を介してタンパク質を直接吸着固定させる方法や、多段階反応によって形成された活性エステル層を介して共有結合で固定化する方法が記載されている。
また、特許文献1には、基板を、特定のシランカップリング剤を用いることによって直接カルボキシル基化し、それを活性化することによってタンパク質を共有結合させる方法が記載されている。特許文献1で開示されているようなシランカップリング剤を用いた場合には、一般に、基板上にコーティング後、100℃以上の温度によるベーキング処理で硬化させて、三次元の網状構造層を形成させている。
しかしながら、これらの方法では、タンパク質を安定的に比較的高密度で固定することは可能であるが、固定密度は十分ではなく、かつ固定タンパク質と反応させる物質の非特異的吸着が多くなる。
特開2005−201901号公報 Proteomics, (2003) Vol.3, pp.254-264
本発明は、非特異的吸着が少なく且つ生理活性物質を充分量固定化することができる固定化方法、生理活性物質固定化担体及び固定用担体を提供することを目的とする。
本発明の固定化方法は、生理活性物質を固相担体に固定化する固定化方法であって、前記固相担体と、下記一般式(I)で表され、酸無水物官能基を有するシランカップリング剤とを接触させること、前記接触後の固相担体を0℃〜60℃の温度範囲下に保持しながら、前記酸無水物官能基に対する前記生理活性物質の結合処理を行うこと、を含むものである。
(式I中、Rは、3価の直鎖又は分岐の脂肪族基又は芳香族基を表し、Rは、C〜C20の置換又は非置換の、アルキレン基、アリーレン基、アリールアルキレン基又はアルキルアリーレン基を表し、Rは、水素原子又はC〜C10のアルキル基を表し、Xは、アルコキシ基(−OR)、ハロゲン原子又はアシロキシ基(−OOCR)であって、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC〜C10のアルキル基を表し、nは1、2、もしくは3を表し、mは(3−n)の整数を表す。)
上記固定化方法では、前記結合処理が、前記生理活性物質を前記酸無水官能基に対して直接接触させ、結合するものであってもよい。
また上記固定化方法では、前記生理活性物質が結合した前記固相担体に対して加水分解処理を行うものであってもよい。
上記固定化方法では、前記シランカップリング剤を、非極性有機溶媒溶液として前記固相担体と接触させるものであってもよい。
また、上記固定化方法は、前記結合処理後に、前記固相担体の洗浄を行わないものであってもよい。
本発明の生理活性物質固定化担体は、上記固定化方法により生理活性物質が固定化されたものである。
本発明の固定用担体は、上記固相担体と、上記一般式(I)で表され、酸無水物官能基を有するシランカップリング剤とを接触させて得られると共に、上記生理活性物質固定化担体を作製するために使用されるものである。
本発明によれば、非特異的吸着が少なく且つ生理活性物質を充分量固定化することができる固定化方法、生理活性物質固定化担体及び固定用担体を提供することができる。
本発明の固定化方法は、生理活性物質を固相担体に固定化する固定化方法であって、前記固相担体と、上記一般式(I)で表され、酸無水物官能基を有するシランカップリング剤とを接触させること(接触工程)、前記接触後の固相担体を0℃〜60℃の温度範囲下に保持しながら、前記酸無水物官能基に対する前記生理活性物質の結合処理を行うこと(結合処理)、を含むものである。
本発明では、酸無水物官能基を有する特定のシランカップリング剤を固相担体に接触させた後、0℃〜60℃の温度範囲下に保持しながら、生理活性物質の結合を行う。即ち、シランカップリング剤を固相担体に固定するために一般的に行われている100℃以上のベーキング処理を行わずに生理活性物質の結合処理を行う。このようにシランカップリング剤を固相担体へ接触させてもベーキング処理を行わないため、非特異的吸着を著しく抑制すると共に酸無水物に対する生理活性物質の結合処理を行うことによって充分量の生理活性物質を固定することができる。なお特定に理論に拘束されないが、本発明では、ベーキング中の酸無水物と異物との反応による汚れを、ベーキングを行わないことから効果的に低減することによって非特異的吸着を抑制できるものと推論される。
本発明で用いられる固相担体としては、一般に用いられるものであれば特に制限されず、平坦基板、凹凸付き基板、粗面基板、粒子、微粒子、ロッド状粒子、薄膜、繊維、カラム、メッシュ、プローブ先端などの任意の形状を選択することができる。固相担体の材質としては、シランカップリング反応によって金属(ケイ素)−酸素−ケイ素−炭素結合が形成される材質であれば限定はされず、具体的にはガラス、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、インジウムスズ酸化物(ITO)などの酸化物、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウムなどの窒化物を単独、またはそれらの複合体として利用することができる。
更に、最表面が前記のシランカップリング反応によって結合を形成可能な材質であれば、固相担体自体はシリコンや各種金属、ポリマーを用いた多層構造体であってもよい。最表面にシランカップリング反応性の材質を形成する方法としては、一般的な表面改質方法に従えば特に限定はされず、具体的には物理蒸着、化学蒸着(CVD)スパッタなどの気相での薄膜形成、ゾルゲル法などによる液相での薄膜形成、表面酸化などによる表面近傍の改質、などが挙げられる。これらのうち担体そのものの安定性の観点からガラス、シリカの担体が好ましく、また加工の容易さからポリマーの表面にシリカ薄膜層を形成させた担体、平滑性の観点からシリコン単結晶面を表面酸化させた担体が好ましい。
酸無水物官能基を有するシランカップリング剤としては、下記一般式(I)で表されるシランカップリング剤である。
一般式(I)中、Rは、3価の直鎖又は分岐の脂肪族基又は芳香族基を表し、酸無水物官能基の安定性の観点から好ましくは、以下のいずれかである。
また、中でも、安定性と反応性のバランスから以下の構造がより好ましい。
は、C〜C20の置換又は非置換の、アルキレン基、アリーレン基、アリールアルキレン基又はアルキルアリーレン基を表し、反応効率と反応後の非特異的吸着抑制の観点から好ましくはC〜Cの直鎖アルキレン基であり、更に好ましくはプロピレン基である。
は、C〜C10のアルキル基を表し、非特異的吸着抑制の観点から好ましくはC〜Cのアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
Xは、加水分解してヒドロキシとなる官能基であり、アルコキシ基(−OR)、ハロゲン原子又はアシロキシ基(−OOCR)であって、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC〜C10のアルキル基を表す。Xにおいて安定性と反応性のバランスの観点から好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、塩素であり、更に好ましくは、メトキシ基かエトキシ基である。
nは1、2、もしくは3を表し、mは(3−n)の整数を表し、反応後の非特異的吸着抑制の観点から好ましくはnは3、mは0である。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、4−(トリエトキシシリル)ブチルコハク酸無水物、3−(トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3−(トリエトキシシリル)プロピルグルタル酸無水物、等を挙げることができ、反応性と反応後の非特異的吸着抑制の観点から、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、が好ましい。
シランカップリング剤を固相担体に接触させる際には原液そのまま、もしくは適当な溶液の形態で用いればよく、薄く均一に表面修飾する観点から、0.01質量%〜10質量%の溶液、更に好ましくは0.1質量%〜2質量%の溶液が選択される。
溶媒の種類としては、極性溶媒及び非極性溶媒のいずれを用いることができる。極性溶媒としては、エタノール、メタノール、水などを挙げることができる。また、非極性溶媒としては、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪属系炭化水素系、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族系炭化水素系、ジエチルエーテルなどのエーテル系、クロロホルム、塩化メチレンなどの塩素系、その他、酢酸エチルなどのエステル系等を挙げることができる。これらの溶媒については、固相担体の溶媒耐性等に基づいて極性溶媒及び非極性溶媒の中から適宜選択することができ、例えばヘキサン、エタノールなどを適宜選択することができる。
本発明における溶媒としては、ベーキング処理をしなくても脱水縮合を効果的に進行させるためには、非極性溶媒であることが好ましく、中でもトルエン、キシレンが好ましい。
接触工程では、固相担体と上記シランカップリング剤との接触処理が行われる。これにより、加水分解によってシラノール基を有するシランカップリング剤と固相担体のヒドロキシ基の間に水素結合が形成され、それに続き脱水縮合が生じることで、強固な結合が形成されると推測される。なお、完全な脱水縮合が進行する必要はなく、完全に脱水縮合が進行しなかった場合においても、目的に応じてそのまま利用することができる。
また、加水分解処理は、予め固相担体と接触させる前にシランカップリング剤の加水分解を行ってもよく、接触工程中に随時加水分解と結合を同時に進行させてもよいが、接触工程中に随時加水分解と結合を同時に進行させる方法がより好ましい。この同時進行処理は単に加水分解前のシランカップリング剤を溶媒に溶解させ固相担体に接触させることで容易に達成される。
更に、シランカップリング剤溶液に加水分解用の水分を添加してもよいが、固相担体に吸着した水分や空気中から侵入する水分で充分である場合が多いため、続く脱水縮合反応の効率上昇のために、水分は添加しない方が好ましく、更には溶媒に溶け込んでいる水分はできるだけ除くことが好ましい。
このような接触は、固相担体上にシランカップリング剤をそのまま、もしくは溶媒に溶解した溶液を接触させられれば、特に限定はされない。具体的にはシランカップリング剤溶液中に固相担体を浸漬させて適当な時間経過後に溶液から取り出す、浸漬法が挙げられる。この浸漬法では、接触工程中に脱水縮合反応が進行することができるので、溶液から取り出した後に固相担体に吸着したシランカップリング剤を洗い流しても結合したシランカップリング剤のみを残すことができる。この結果、薄く均一な表面修飾を行うことが可能となる。また、固相担体の形状によらず採用可能であるため、汎用性が高い。
また、他の接触方法としてシランカップリング剤をそのまま、もしくは溶媒に溶解した溶液をコーティングする方法が挙げられる。コーティング方法は、公知の方法を用いることが可能であるが、具体的には、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、キャスティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、スライドビードコート法、スリットアンドスピン方式、スリットコート方式、ダイコート法、ディップコート法、ナイフコート法、ブレードコート法、フローコート法、ロールコート法、ワイヤバーコート方式、転写印刷法、等を用いることが可能である。これらの薄膜形成法については、「コーティング技術の進歩」原崎勇次著、総合技術センター(1988)、「コーティング技術」技術情報協会(1999)、「水性コーティングの技術」シーエムシー(2001)、「進化する有機薄膜 成膜編」住べテクノリサーチ(2004)、「高分子表面加工学」岩森暁著、技報堂出版(2005)、等に説明されている。膜厚制御された塗布膜を簡便に作製可能であることから、本発明において平坦な固相担体上にコーティングする方法としては、スプレーコート法またはスピンコート法が好ましく、スピンコート法がさらに好ましい。スピンコート法の場合には300rpmから10000rpmで行えばよい。このうち、薄く均一に表面修飾するためには1000rpm以上であることが好ましい。
コーティングによる接触工程は、コーティング工程中における脱水縮合の進行効率が低いため、コーティング後はすぐに洗浄を行わずに生理活性物質結合処理を行うことが好ましい。また、浸漬法においてもコーティング法においても溶媒として極性溶媒を使用する場合、一般的に脱水縮合の効率が低いため、接触工程後は洗浄を行わずに生理活性物質結合処理を行うことが好ましい。ただし、非極性溶媒を用いて10分以上の接触処理を行う場合、シランカップリング剤反応の均質化の目的において洗浄を行っても良い。
接触処理は、固相担体に対して酸無水物官能基が保持される状態になるまで継続すればよいが、経時的な加水分解による酸無水物の分解やシランカップリング剤の多層化による不均一化を防ぐ観点から3時間未満とすることが好ましく、処理効率の観点から2時間未満とすることがより好ましく、1時間以下が更により好ましい。
結合工程では、高温環境下で結合処理が行われると、活性状態である酸無水物官能基が周囲環境中の物質と相互作用してしまうため、目的の化学構造が保たれずに非特異的吸着が上昇してしまう。例えば空気中に含まれる有機物が酸無水物官能基と結合することで、固相担体に有機物が汚れとして吸着してしまう。そのため、接触処理後での固相担体を0℃〜60℃の温度範囲内に保持しながら、酸無水物官能基に対する生理活性物質の結合処理を行う必要があり、更に0℃〜40℃に保持する方がより好ましい。この時、生理活性物質を結合させる際にのみ本温度領域を保てばよいのではなく、シランカップリング剤の接触後から結合工程まで一貫して本温度領域に保つ必要がある。つまり、シランカップリング反応において一般的に行われるベーキング処理を行ってはならない。
更に、下記に述べるように無水コハク酸官能基に生理活性物質を直接接触させて結合させる場合、酸無水物官能基を高温化に晒すことで分解してしまい、生理活性物質が充分量固定化されないため、この目的からも本温度領域に保つ必要がある。
生理活性物質の結合は、酸無水物官能基を一度加水分解してカルボキシル基にしてから、更に活性化を行ったカルボキシル基に対して生理活性物質を接触させて固定化することもできる。ただし、非特異的吸着を抑制する観点から、該固相担体表面の活性化処理等を行うことなく、固相担体表面の酸無水物官能基に対して直接生理活性物質を接触させ固定化することが好ましい。本方法により、活性化前後の操作数、時間が大幅に短縮できるため、外乱要因による化学的な状態の変化(吸着など)を抑制できるために、非特異的吸着を大幅に抑制することができる。
本発明でいう「活性化処理」とは、接触処理後の固相担体表面の酸無水物官能基に由来するカルボキシル基に対して活性化剤を反応させて活性状態にする処理をいう。ここで用いられる活性化剤としては、例えば、カルボジイミド及びこれらの誘導体を挙げることができ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)が挙げられる。更に反応性や反応安定性を向上させるためにコハク酸イミドなどを併用することもでき、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)、N−ヒドロキシスルホコハク酸イミド(Sulfo−NHS)及び3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン(Dhbt)等が該当する。
生理活性物質としては、特に限定されず、例えばタンパク質、ペプチド、核酸、糖鎖、脂質、ホルモン、サイトカイン、細胞、微生物などの生体由来物質やその複合体、誘導体やそれらの人為的合成物などが挙げられる。また、ビタミン、薬剤、環境ホルモンなどの主に生体外で合成される低分子有機化合物などでもよい。
タンパク質としては抗体、抗体結合タンパク質、酵素、糖鎖認識タンパク質、レセプターなどが挙げられ、自然界に存在しているものの精製物でもよく、人為的に合成されたものでも良く、更には人為的に変異の導入や複合化、断片化されたものでも良い。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDやこれらの誘導体、複合体、断片を使用することができる。具体的に該固相担体を免疫測定用の担体として利用する場合、測定対象物に対する抗体を使用することができる。また、抗体結合タンパク質として、プロテインG、プロテインA、プロテインLなどを使用することができ、これらを介して測定対象に対する抗体を固定化することもできる。
酵素としては、種々の酵素、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。グルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
糖鎖認識タンパク質としては、ConAやWGAといったレクチンが挙げられる。レセプターとしては、GPCR(G-proein-coupled receptor)、EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor)などが挙げられる。
ペプチドとしては、自然界に存在しているものでもよく、また人工的に合成されたものでもよい。更に自然界に存在しないアミノ酸が導入されたペプチドでもよい。
核酸として任意の配列のDNA、RNA、PNA(ペプチド核酸)やこれらの複合体を利用することができ、自然界からの抽出物でも遺伝子工学的に合成したものでも良く、化学的に合成したものでもよい。糖鎖としては任意の配列のオリゴ糖、多糖や単糖を利用することができ、それらの長さや配列が制御されているものでもよく、厳密には制御されていないものでもよい。また、アミノ基、アセチルアミド基、スルホン酸、カルボキシル基誘導体を利用することもでき、更に糖鎖とタンパク質と結合した糖タンパク質を利用することもできる。脂質としてはグリセリドや複合脂質を利用することができる。ホルモンやサイトカインは天然で実際に生産されているものでもよく、またその合成物や誘導体を利用することができる。細胞、微生物としては自然界からの抽出物でも良く、その継代培養物でも良く、リポソームなどを用いた擬似細胞でもよい。
ビタミン、薬剤、環境ホルモンなどの主に生体外で合成される低分子有機化合物としては生体への効果が未知の物でもよく、既にその薬理的な作用機序が解明されているものでもよい。また自然界からの抽出物でも化学的もしくは生化学的な合成物でもよい。
結合処理では、これらの生理活性物質は、適当な水性溶媒に溶解した水溶液(以下、生理活性物質含有溶液)として用いられる。ここで使用可能な水性溶媒としては、生理活性物質の溶媒として用いられる一般的な溶液をそのまま用いることができ、例えば、水、生理食塩水、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)、MES緩衝液(2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid)、等を挙げることができる。ただし、結合処理において酸無水物官能基、もしくはその加水分解・活性化された官能基は一般に求核性官能基との反応性が高いため、Tris緩衝液(trihydroxymethylaminomethane)などのアミンを有する緩衝液は好ましくない。
生理活性物質は該固相担体表面の荷電と逆の荷電を有する場合に該固相担体表面に濃縮され、その結合効率が上昇する。酸無水物官能基はその一部が分解するとカルボキシル基を有するため、およそpH3以上の溶液が接触している場合その表面は負に帯電していると考えられる。そのため、溶液のpHが生理活性物質の等電点より低くかつ3以上である場合、生理活性物質は溶液中で正に帯電して、該担体表面と逆の電荷を有することになるので、その結合効率が高まる。そのため、溶液のpHは3以上かつ生理活性物質の等電点未満とすることは、結合量を高めることができる観点から、好ましい。
結合処理後において、非特異的吸着を抑制する観点から加水分解処理を行うことが好ましい。この加水分解処理によって、未反応の酸無水物官能基がカルボキシル基となるので、効果的に非特異的吸着が抑制される。
加水分解処理は、酸無水物官能基を分解してカルボキシル基を生成する従来公知の方法で行うことができ、一般に、20℃〜100℃の水溶液を用いて行われる。加水分解反応を完全の完了させるためにアルカリ性もしくは酸性の水溶液を用いることが好ましく、特にpH10以上のアルカリ水溶液を用いることがより好ましい。具体的には1mM〜1MのNaOH水溶液、KOH水溶液などが挙げられる。この場合、反応性が高いため、10分以内の処理で充分である。
ただし、結合した生理活性物質の活性を保持する観点からはpH5〜9のマイルドな水溶液が好ましく用いられる。具体的には純水、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、酢酸緩衝液などが挙げられる。更に、簡易に操作する観点からは水蒸気雰囲気中に保持する方法も挙げられる。これらのマイルドな方法の場合は10分以上処理することが好ましい。これにより、酸無水物官能基から二つのカルボキシル基が生成される。加水分解処理が進行したことの指標としては処理後の固相担体の水などに対する接触角を測定する方法が挙げられる。
前記生理活性物質固定化担体は、pHが低い場合など、非特異的吸着の抑制能が不十分である場合には、前記担体に生理活性物質に加えてブロッキング剤を固定化することもできる。即ち、本発明の固定化方法は、シランカップリング剤との接触後の固相担体にブロッキング剤を固定化することを含むものであってもよい。ブロッキング剤とは非特異的吸着の抑制対象である物質に対して吸着抑制能を有する物質のことを指し、抑制対象の種類等に基づいて、適切な物質をブロッキング剤として選択することができる。
ブロッキング剤としては水溶性タンパク質または水溶性高分子などが挙げられ、水溶性タンパク質としては、アルブミン、カゼイン、ゼラチン等を好ましく挙げることができ、非特異的吸着抑制能の観点からはアルブミンまたはカゼインであることがより好ましい。水溶性高分子としては、ポリエチレングリコール、ホスホリルコリン基含有高分子、多糖、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、双性イオン含有ポリマー、ポリビニルピロリドン等を好ましく挙げることができ、非特異的吸着抑制能の観点からは、ポリエチレングリコール、ホスホリルコリン基含有高分子、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストラン硫酸であることが好ましい。
またこれらの水溶性高分子を用いる場合、前記担体に対する固定化能を向上させるために、担体と結合もしくは吸着する部位を水溶性高分子中に有していてもよい。担体と結合する部位としては酸無水物と結合する構造であれば特に限定はされず、具体的には一級アミンなどのアミンを有する官能基が挙げられる。また、担体に吸着する部位としては、静電相互作用によって担体と吸着する構造が挙げられ、固定化のpHにおいて正電荷を有する構造、より具体的にはポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリリジンやその誘導体などが挙げられる。このような構造を有する水溶性高分子としては、株式会社ナオビオテック製のNanoBio Blockerも好ましく利用することができる。
前記担体においてブロッキング剤を固定化する部分としては、予め生理活性物質を固定化した同一部分、つまり生理活性物質の固定化処理を行ったが固定化されなかった隙間であってもよく、また担体において生理活性物質の固定化処理を行わなかった部分でもよく、またその両方でもよい。更に、ブロッキング剤の固定化処理を行うタイミングとしては特に限定はされないが、生理活性物質を固定化した直後、加水分解処理後、生理活性物質の固定化と同時などが挙げられる。また、生理活性物質の固定化後にブロッキング剤固定化処理を行うことで加水分解処理も同時に行うことも可能である。
上記のようにして得られた生理活性物質固定化担体は、表面に生理活性物質を充分量固定化したものである。担体表面に固定化された生理活性物質の量は、この目的のために通常用いられる方法によって確認することができ、例えば、蛍光物質を用いた蛍光測定方法や、SPR(表面プラズモン共鳴)、LPR(局所プラズモン共鳴)、QCM(水晶振動子マイクロバランス)等を挙げることできる。
本発明の生理活性物質固定化担体は、上記固定化方法によって得られ、表面に高密度に生理活性物質が固定化されたものである。
この生理活性物質固定化担体は、高密度に生理活性物質が固定化されると共に、非特異的吸着が著しく低いので、担体上の生理活性物質に特異的な分子の検出や分析に有用であり、特に、微量な分析や、微細な相互作用の検出など、生理活性物質に対する高い特異性が要求される各種のマイクロアレイや、バイオセンサー等に適している。
本発明の固定用担体は、上記固相担体と、上記一般式(I)で表され、酸無水物官能基を有するシランカップリング剤とを接触させて得られ、表面に高密度に酸無水物官能基を有するものである。この固定用担体の表面の酸無水物官能基に所望の生理活性物質を固定化した場合には、高密度に生理活性物質を表面に有することができると共に、非特異的吸着の著しく低い固定化担体を提供することができる。このため、生理活性物質に対して高い特異性が要求される用途の固定化担体を作製するための材料として有用である。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)無水コハク酸化ガラス基板の作製
シランカップリング剤として3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(Gelest製)を2mol/lで含む脱水キシレン溶液に、洗浄されたガラス基板(松浪硝子工業製白板ガラス)を浸漬させ、室温で1時間反応させた。反応させたガラス基板をキシレン溶液から取り出し脱水キシレンで3回浸漬洗浄を行った後に窒素ガスで乾燥させた。本ガラス基板を無水コハク酸化ガラスと呼ぶ。
(2)抗体の固定化と固定化量測定
無水コハク酸化ガラス上に10mM、pH5.0の酢酸バッファーで0.1mg/mlに調製したFITC標識抗体(SIGMA−ALDRICH製、以後IgG−FITCと呼ぶ)を滴下し、室温、高湿かつ暗環境中で1時間反応させた。抗体溶液を吸引除去し、0.1M NaOH、リン酸バッファー(PBS)、純水の順で浸漬洗浄させた後、安定的に固定化されていることを確認するために抗体固定化ガラス基板をpH7.1のPBS中に3日間保存した。抗体固定化ガラス基板蛍光強度をFLA−8000(富士フイルム製)によって測定し(473nm励起/530nm検出)、予め作成しておいた検量線を用いて固定化抗体量を見積もった。
(3)抗体の非特異的吸着量測定
無水コハク酸化ガラスを作製し、該ガラス基板を10mMホウ酸バッファー(pH8.5)中に室温で1時間浸漬させて反応させた(以後、酸無水物の加水分解処理と呼ぶ)。加水分解が充分に進行していることの確認として水に対する静止接触角を測定した所、ホウ酸バッファー処理前は36.7±1.1゜であったのに対して処理後は7.4±1.1°となり加水分解によるカルボキシル基の生成が示唆された。反応後、純水で掛け流し洗いを行った基板に、PBSで100nM(15μg/ml)に調製した抗体(IgG−FITC)を滴下し、室温、高湿かつ暗環境中で1時間静置した。抗体溶液を吸引して除去しPBS、純水の順で浸漬洗浄を行った。自然乾燥させ、基板に非特異的に吸着している抗体量を上記の方法と同様にFLA−8000を用いて測定した。
[実施例2]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、それに対する抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。ただし、シランカップリング剤との反応後キシレンによる洗浄を行わず窒素ガスで乾燥のみを行った。
[実施例3]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、それに対する抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。ただし、シランカップリング剤をエタノール溶液とし、洗浄液をエタノールとして作製したものを用いた。
[実施例4]
実施例2と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、それに対する抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。ただし、シランカップリング剤をエタノール溶液として調製したものを用いた。
[実施例5]
実施例1と同様にして無水コハク酸化ガラスを作製し、該ガラス基板を10mMホウ酸バッファー(pH8.5)中に室温で1時間浸漬させて加水分解を行った。
本ガラス基板に対してDCC・NHS混合DMF溶液(各0.1M)を室温で1時間接触させて活性化し(以後、活性化処理と呼ぶ)、続いてエタノールで2回浸漬洗浄し窒素ガスで乾燥させた。本活性化ガラス基板に対して実施例1と同様の手法で抗体の固定化量を測定した。
更に同様に活性化処理を行った無水コハク酸化ガラスを10mM HCl中に1時間室温で浸漬させて活性化エステルを完全に加水分解した(以後、本操作を活性エステルの加水分解処理と呼ぶ。)。本基板を用いて実施例1と同様に抗体の非特異的吸着量を測定した。
[実施例6]
実施例5と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、加水分解処理、活性化処理を行い、それに対する抗体の固定化量と加水分解処理後の非特異的吸着量を測定した。ただし、シランカップリング剤をエタノール溶液とし、洗浄液をエタノールとして作製したものを用いた。
[実施例7]
実施例5と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、加水分解処理、活性化処理を行い、それに対する抗体の固定化量と加水分解処理後の非特異的吸着量を測定した。ただし、DCC・NHS混合溶液の代わりにEDC(PIERCE製 0.4M)とDhbt(東京化成工業製 2.8mM)混合水溶液を用いた。
[実施例8]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、それに対する抗体の固定化量を測定した。ただし、シランカップリング剤をヘキサン溶液とし、洗浄液をヘキサンとして作製したものを用いた。
[比較例1]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスを作製した後、120℃のオーブンで1時間ベーキング処理を行った。室温に戻した後、実施例1と同様に基板に対する抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。
[比較例2]
実施例2と同様に無水コハク酸化ガラスを作製した後、120℃のオーブンで1時間ベーキング処理を行った。室温に戻した後、実施例1と同様に基板に対する抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。
[比較例3]
実施例3と同様に無水コハク酸化ガラスを作製した後、120℃のオーブンで1時間ベーキング処理を行った。室温に戻した後、実施例1と同様に基板に対する抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。
[比較例4]
実施例4と同様に無水コハク酸化ガラスを作製した後、120℃のオーブンで1時間ベーキング処理を行った。室温に戻した後、実施例1と同様に基板に対する抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。
[比較例5]
実施例5と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、加水分解処理、活性化処理を行い、それに対する抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。ただし、シランカップリング剤反応後、加水分解処理の前に120℃のオーブンで1時間ベーキング処理を行った。
[比較例6]
実施例6と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、加水分解処理、活性化処理を行い、それに対する抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。ただし、シランカップリング剤反応後、加水分解処理の前に120℃のオーブンで1時間ベーキング処理を行った。
[比較例7]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスを作製した後、70℃のオーブンで1時間ベーキング処理を行った。室温に戻した基板に対する抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。
[比較例8]
アルデヒド化ガラス基板(Genetix製)にPBSで0.1mg/mlに調製したFITC標識抗体を滴下し、高湿環境中で1時間反応させた。抗体溶液を吸引除去し、0.1M NaOH、リン酸バッファー(PBS)、純水の順で浸漬洗浄させた後、PBS中に3日間保存した。抗体の固定化量と非特異的吸着量を、FLA−8000を用いて見積もった。
別のアルデヒド化ガラス基板をBSA(牛血清アルブミン:SIGMA−ALDRICH製)2%PBS溶液に浸漬させて1時間反応させブロッキング処理を行った。PBSで浸漬洗浄を行った後、自然乾燥させた。本基板を用いて実施例1と同様に基板に対する抗体の非特異的吸着量を測定した。
[試験例1]
上記の実施例1〜8と比較例1〜8について、抗体の固定化量、非特異的吸着量、抗体固定化量/非特異的吸着量について比較を行った。結果を表1に示す。
表1に示されるように本発明の実施例では、固定量が高く且つ固定化量/非特異的吸着量が高い(100を超える)担体を得ることができる。
更に活性化処理を行わずに抗体を直接結合させることによって、より高い固定化量及び固定化量/非特異的吸着量比を実現できることがわかった(実施例1〜4)。
また固定化溶媒としては、非極性溶媒を用いる方が、より有効であることがわかった(実施例1、2、8)。
シランカップリング反応後の洗浄に関しては、洗浄を行わない方がより高い抗体固定化量となることがわかった(実施例2及び4)。
[実施例9]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラス基板を作製した。ただし、キシレン溶液中に浸漬させるのではなく、キシレン溶液を滴下後、スピンコーターを用いて1000rpm、35秒の条件で塗布を行ってから室温(25℃)で乾燥させた。更に実施例1と同様に抗体の固定化量と非特異的吸着量を測定した。
[実施例10]
実施例9と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、それに対する抗体の固定化量を測定した。ただし、シランカップリング剤をエタノール溶液として調製したものを用いた。
[試験例2]
実施例2、実施例4,実施例9、実施例10の各基板について、抗体の固定化量の比較を行った。結果を表2に示す。
表2に示されるように、本発明の実施例では、カップリング剤と担体との接触方法が浸漬方法であってもスピンコートであっても固定化量には大きく影響することなく、同様に高い固定化量の基板を提供できることがわかった。
[実施例11]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、それに対する抗体の固定化量を測定した。ただし、IgG−FITC固定化用のバッファーとしてpH6.5の酢酸バッファーを用いた。本実施例で使用した抗体の等電点はおよそ6.5程度であった。
[試験例3]
実施例1及び実施例11について、抗体の固定化量、非特異的吸着量、抗体固定化量/非特異的吸着量比の比較を行った。結果を表3に示す。
表3に示されるように、本発明の実施例では、固定化バッファのpHに拘わらず非特定的吸着量が低く、固定化量との比として良好であるが、固定化バッファのpHを生理活性物質の等電点未満にすることで、より良好な固定化量と固定化量/非特異的吸着量比のバランスを達成できることが示された。
[実施例12]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、それに対する抗体の固定化量を測定した。ただし、PBS中浸漬時間を3日間ではなく、14日間行った。
[試験例4]
実施例1及び実施例12について、抗体の固定化量の比較を行った。結果を表4に示す。
表4に示されるように、本発明の実施例では、抗体結合化ガラス基板のPBSへの浸漬を14日間に延長させても高い固定量が維持されており、固定化能が安定して高いことが示された。
従って、シランカップリング剤反応直後に高温下における脱水処理、いわゆるベーキング処理を行わなくても本発明の方法では修飾表面が安定し、良好な固定化能を有することが示された。
[実施例13]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスに対する抗体の非特異的吸着量を測定した。ただし、酸無水物の加水分解処理のための反応液として20mM、pH6.3のクエン酸バッファーを用いた。
[実施例14]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスに対する抗体の非特異的吸着量を測定した。ただし、酸無水物の加水分解処理のための反応液として0.1MのNaOH溶液を用い、反応時間を30秒間とした。
[実施例15]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスに対する抗体の非特異的吸着量を測定した。ただし、ホウ酸バッファーを用いた酸無水物の加水分解処理を行わず、室温で1時間静置した後に抗体の非特異的吸着量を測定した。
[試験例5]
実施例1及び実施例13〜実施例15について、非特異的吸着量の比較を行った。結果を表5に示す。
表5に示されるように、本発明の実施例では、加水分解処理の種類及び有無に拘わらず非特異的吸着量が少ない担体を得ることができ、特に、加水分解処理を行うことによって非特異的吸着がより少ない担体を得ることができる。
[実施例16]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスに対する抗体の非特異的吸着量を測定した。ただし、シランカップリング剤の反応時間を1時間ではなく18時間とした。この時反応後の無水コハク酸化ガラスをホウ酸バッファーもしくは0.1M NaOHで酸無水物の加水分解処理を行った後の水の静止接触角はそれぞれ45.1°、22.9°であった。このことは、実施例1と比較して、表面修飾がやや劣ることが示唆された。
[試験例6]
実施例1及び実施例16について、抗体の非特異的吸着量の比較を行った。結果を表6に示す。
表6に示されるように、本発明の実施例では、固定化の時間にかかわらず非特異的吸着が少ない担体を得ることができ、特に、シランカップリング剤と前記固相担体との接触を3時間未満とすることによって、非特異的吸着量をより効果的に低減できることがわかった。
[実施例17]
実施例1と同様に無水コハク酸化ガラスを作製し、抗体を固定化した。ただし、抗体は抗CRPモノクローナル抗体(Fitzgerald製)を用いた。Cy5(GEヘルスケアバイオサイエンス製)で標識を行ったCRP抗原(オリエンタル酵母製)をPBSで1nM、100nMにそれぞれ調製し、抗体を固定化した基板全面に塗布した。室温、多湿、暗環境中で1時間静置して抗原抗体反応を行った。PBS、純水の順で浸漬洗浄を行った。抗体固定化部への抗原結合量と抗体非固定化部への非特異的吸着量を、FLA−8000を用いて測定し、(励起635nm/検出675nm)その比(特異的結合量/非特異的吸着量:S/N比)を求めた。結果を表7及び図1に示す。
[比較例9]
比較例8と同様にアルデヒド化ガラスに対して抗CRP抗体を固定化し、更に抗体固定化部を含めた基板全面に実施例8と同様にブロッキング処理を行った。更に、実施例21と同様にCy5化CRPの結合量と非特異的吸着量を測定し、S/N比を求めた。結果を表7及び図2に示す。
[実施例18]
実施例17と同様に抗CRP抗体を固定化させた。洗浄後、基板に固定化した抗体とは異なり、かつサンドイッチを形成することのできるCRP抗体(Fitzgerald製 以後2次抗体と呼ぶ)をFITCで標識したものを、1%BSAを含むPBSで100nM(15μg/ml)に調製し、各種濃度のCRP抗原(標識なし)溶液(1%BSAを含むPBSの溶液)と混合した。1時間静置しておいた混合溶液を抗体固定化基板全面に塗布した。室温、多湿、暗環境中で1時間静置して抗原抗体反応を行った。PBS、純水の順で浸漬洗浄を行った。抗体固定化部への2次抗体結合量をFLA−8000を用いて測定し(励起473nm・検出530nm)、各種抗原濃度条件における量と抗原を含まない条件における量の比(特異的結合量/非特異的吸着量、S/N比)を求めた。結果を表7に示す。
表7に示されるように本発明の生理活性物質固定化担体は、抗原濃度に拘わらず高いS/N比を示すものであり、ガラス上での抗原抗体反応において最も利用されるアルデヒド化ガラスと比べて一桁以上高いS/N比を示した。また二次抗体を使用した場合では抗原濃度10pMにおいてもS/N比9.5と極めて良好な値を示した。
このように本発明によれば、非特異的吸着量が抑制されると共に生理活性を維持した生理活性物質が充分量固定化された生理活性物質固定化担体、及びそのために有用な固定用担体を得ることができる。
本発明の実施例17にかかる生理活性物質固定化担体(抗原量1nm(A)及び抗原量100nm(B))の蛍光写真像である。 本発明の比較例9にかかる生理活性物質固定化担体(抗原量1nm(A)及び抗原量100nm(B))の蛍光写真像である。

Claims (9)

  1. 生理活性物質を固相担体に固定化する固定化方法であって、
    前記固相担体と、下記一般式(I)で表され、酸無水物官能基を有するシランカップリング剤とを接触させること、
    前記接触後の固相担体を0℃〜60℃の温度範囲下に保持しながら、前記酸無水物官能基に対する前記生理活性物質の結合処理を行うこと、
    を含む固定化方法。

    (式(I)中、Rは、3価の直鎖又は分岐の脂肪族基又は芳香族基を表し、Rは、C〜C20の置換又は非置換の、アルキレン基、アリーレン基、アリールアルキレン基又はアルキルアリーレン基を表し、Rは、水素原子又はC〜C10のアルキル基を表し、Xは、アルコキシ基(−OR)、ハロゲン原子又はアシロキシ基(−OOCR)であって、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC〜C10のアルキル基を表し、nは1、2、もしくは3を表し、mは(3−n)の整数を表す。)
  2. 前記結合処理が、前記生理活性物質を前記酸無水官能基に対して直接接触させ結合するものである請求項1記載の固定化方法。
  3. 前記生理活性物質が結合した前記固相担体に対して加水分解処理を行う請求項1又は請求項2記載の固定化方法。
  4. 前記シランカップリング剤を、非極性有機溶媒溶液として前記固相担体と接触させる請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の固定化方法。
  5. 前記シランカップリング剤接触後に、前記固相担体の洗浄を行わない請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の固定化方法。
  6. 前記シランカップリング剤と前記固相担体との接触を3時間未満とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の固定化方法。
  7. 前記結合処理が、pH3以上、該生理活性物質の等電点未満の生理活性物質溶液を用いるものである請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の固定化方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の方法により生理活性物質が固定化された生理活性物質固定化担体。
  9. 前記固相担体と、下記一般式(I)で表され、酸無水物官能基を有するシランカップリング剤とを接触させて得られると共に、請求項8記載の生理活性物質固定化担体を作製するために使用される固定用担体。

    (式(I)中、Rは、3価の直鎖又は分岐の脂肪族基又は芳香族基を表し、Rは、C〜C20の置換又は非置換の、アルキレン基、アリーレン基、アリールアルキレン基又はアルキルアリーレン基を表し、Rは、水素原子又はC〜C10のアルキル基を表し、Xは、アルコキシ基(−OR)、ハロゲン原子又はアシロキシ基(−OOCR)であって、ただしR及びRはそれぞれ独立に水素原子又はC〜C10のアルキル基を表し、nは1、2、もしくは3を表し、mは(3−n)の整数を表す。)
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