JP2009227899A - 末端官能化オレフィン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】末端官能化オレフィン系重合体を効率良く製造できる方法を提供すること。
【解決手段】遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒と可逆的連鎖移動剤の存在下で、炭素原子数2〜20のオレフィンを重合して得られたオレフィン系重合体を、官能基含有ハロゲン化物と処理することを特徴とする末端官能化オレフィン系重合体の製造方法。
前記末端官能化オレフィン系重合体は、融点が140℃以上、数平均分子量が5,000以上であり、Mw/Mnが1.0〜3.0であることが好ましい。
また、前記可逆的連鎖移動剤は有機亜鉛化合物であることが好ましく、前記官能基含有ハロゲン化物は、ハロゲン化アルコール化合物、ハロゲン化チオール化合物、ハロゲン化ビニル化合物、およびジハロゲン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒と可逆的連鎖移動剤の存在下で、炭素原子数2〜20のオレフィンを重合して得られたオレフィン系重合体を、官能基含有ハロゲン化物と処理することを特徴とする末端官能化オレフィン系重合体の製造方法。
前記末端官能化オレフィン系重合体は、融点が140℃以上、数平均分子量が5,000以上であり、Mw/Mnが1.0〜3.0であることが好ましい。
また、前記可逆的連鎖移動剤は有機亜鉛化合物であることが好ましく、前記官能基含有ハロゲン化物は、ハロゲン化アルコール化合物、ハロゲン化チオール化合物、ハロゲン化ビニル化合物、およびジハロゲン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、末端官能化オレフィン系重合体の製造方法に関する。
ポリオレフィンは、加工性、耐薬品性、電気的性質、機械的性質などに優れているため、押出成形品、射出成形品、中空成形品、フィルム、シートなどに加工され、各種用途に用いられている。しかしながらポリオレフィンは、分子中に極性基を持たない、いわゆる無極性樹脂であるため、金属をはじめ種々の極性物質との親和性に乏しく、極性物質との接着または極性樹脂とのブレンドが困難であった。また、ポリオレフィンからなる成形体の表面は疎水性であり、防曇性、帯電防止性が必要な用途では、低分子量の界面活性剤などを配合する必要があり、界面活性剤のブリードアウトによる表面汚れなどの問題が起こる場合もあった。
こうした問題を解決するため、ポリオレフィンに極性基を導入することが行なわれてきた。極性化合物(極性オレフィン)を導入する場合、ラジカル開始剤の存在下にポリオレフィンと極性オレフィンを反応させる方法が一般的に行われているが、このような方法によって得られた極性基含有オレフィン重合体には、ラジカル重合性極性オレフィンの単独重合体や未反応のポリオレフィンが含まれる場合が多く、導入位置も不均一なものである。さらに、ポリマー鎖の架橋反応や分解反応を伴うため、ポリオレフィンの物性が大きく変化する場合が多かった。上記のような架橋・分解反応を伴わずにポリオレフィンに極性基を導入する方法について、非特許文献1には、末端に不飽和結合を有するポリオレフィンにアルミニウム化合物を付加させた後に酸素で酸化することによりポリオレフィン末端に水酸基を導入する方法が記載されている。特許文献1〜4等には、有機アルミニウム化合物を用いた水酸基含有オレフィン重合体を得る方法が開示されている。しかしこれらの方法では、ポリオレフィンの分子量分布が広く均一では無い、ポリオレフィン末端の官能基への変換効率が悪く、また単位触媒あたりの生産性が低いなどの問題があり、官能化オレフィン系重合体を効率良く製造できる方法の開発が望まれている。
特開2002−155109号公報
特開2002−145944号公報
特開2005−132936号公報
特開2005−132935号公報
Polymer Journal (第31巻、332頁、1999年)
本発明は、かかる問題を解決しようとするものであって、末端官能化オレフィン系重合体を効率良く製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らはこのような従来技術のもと検討した結果、特定の連鎖移動剤の存在下でオレフィンを重合して得られたオレフィン系重合体を、官能基含有ハロゲン化物と処理すれば末端官能化オレフィン系重合体を効率良く製造できる方法を見出した。
すなわち、本発明の末端官能化オレフィン系重合体の製造方法は、遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒と可逆的連鎖移動剤の存在下で、炭素原子数2〜20のオレフィンを重合して得られたオレフィン系重合体を、官能基含有ハロゲン化物と処理することを特徴とする。
また、前記末端官能化オレフィン系重合体は、DSCで測定した融点が140℃以上であることが好ましく、ゲルパーミエイションクロマトグラフィで測定した数平均分子量(Mn)が5,000以上であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜3.0であることが好ましい。
また、前記可逆的連鎖移動剤は有機亜鉛化合物であることが好ましく、前記官能基含有ハロゲン化物は、ハロゲン化アルコール化合物、ハロゲン化チオール化合物、ハロゲン化ビニル化合物、およびジハロゲン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
また、オレフィン系重合体と官能基含有ハロゲン化物とを70℃以上の温度で処理することが好ましい。
本発明の末端官能化オレフィン系重合体の製造方法は、特定の可逆的連鎖移動剤の存在下でオレフィンを重合して得られたオレフィン系重合体を、官能基含有ハロゲン化物と処理する方法であり、機械的物性などに悪影響を及ぼすことなく末端官能化オレフィン系重合体を効率良く製造できることから、本発明は工業的に極めて有用である。
本発明に係る末端官能化オレフィン系重合体の製造方法は、遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒と特定の可逆的連鎖移動剤の存在下で、炭素原子数2〜20のオレフィンを重合して得られたオレフィン系重合体を、官能基含有ハロゲン化物と処理する末端官能化オレフィン系重合体の製造方法である。以下、本発明の末端官能化オレフィン系重合体の製造方法について詳説する。
オレフィン系重合体およびその製造
〔原料オレフィン〕
本発明の方法に用いる炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、例えば直鎖状または分岐状のα-オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエンなどが挙げられる。
〔原料オレフィン〕
本発明の方法に用いる炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、例えば直鎖状または分岐状のα-オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエンなどが挙げられる。
直鎖状または分岐状のα−オレフィンとして具体的には、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状のα−オレフィン;例えば3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセンなどの好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の分岐状のα−オレフィンが挙げられる。
環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素原子数3〜20、好ましくは5〜15のものが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、およびα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレンが挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどの炭素原子数4〜20、好ましくは4〜10のものが挙げられる。
非共役ポリエンとしては、例えば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエンなどの炭素原子数5〜20、好ましくは5〜10のものが挙げられる。
〔オレフィン系重合体〕
本発明に用いられるオレフィン系重合体は、これらのオレフィンからなる重合体であるが、好ましくはエチレンまたはプロピレンの単独重合体、エチレンと炭素原子数3〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体である。より好ましくはプロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体である。更に好ましくは、立体規則性を有する、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体である。機械物性の点から、該重合体が立体規則性を有していることは重要である。立体規則性は、重炭素−核磁気共鳴(13C−NMR)測定によって観察されるペンタッド分率([mmmm]または[rrrr])が、0.5以上である。ペンタッド分率は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上である。
本発明に用いられるオレフィン系重合体は、これらのオレフィンからなる重合体であるが、好ましくはエチレンまたはプロピレンの単独重合体、エチレンと炭素原子数3〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体である。より好ましくはプロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体である。更に好ましくは、立体規則性を有する、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから得られる共重合体である。機械物性の点から、該重合体が立体規則性を有していることは重要である。立体規則性は、重炭素−核磁気共鳴(13C−NMR)測定によって観察されるペンタッド分率([mmmm]または[rrrr])が、0.5以上である。ペンタッド分率は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上である。
〔オレフィン重合用触媒〕
本発明において用いられる遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒は、従来公知のいずれの触媒であってもよい。従来公知の触媒としては、例えばマグネシウム担持型チタン触媒、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒などが挙げられ、例えば国際公開特許WO01/053369号、WO01/027124号、WO01/055231号、WO05/090427号、欧州特許EP0530648号、EP0537686号、特開平07−286005号の各公報中に記載の触媒が好適に用いられる。好ましくは、メタロセン、ポストメタロセン触媒が挙げられる。
本発明において用いられる遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒は、従来公知のいずれの触媒であってもよい。従来公知の触媒としては、例えばマグネシウム担持型チタン触媒、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒などが挙げられ、例えば国際公開特許WO01/053369号、WO01/027124号、WO01/055231号、WO05/090427号、欧州特許EP0530648号、EP0537686号、特開平07−286005号の各公報中に記載の触媒が好適に用いられる。好ましくは、メタロセン、ポストメタロセン触媒が挙げられる。
〔可逆的連鎖移動剤〕
本発明で用いられる可逆的連鎖移動剤としては、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物、有機カドミウム化合物、有機鉛化合物が挙げられる。具体的には例えば下記のようなものが用いられる。
本発明で用いられる可逆的連鎖移動剤としては、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物、有機カドミウム化合物、有機鉛化合物が挙げられる。具体的には例えば下記のようなものが用いられる。
一般式 Ra mB(ORb)nHpXq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、複数有る場合は1種でも2種以上でも良く、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、好ましくは0<m≦2、nは0≦n<3、好ましくは0≦n<2、pは0≦p<3、好ましくは1≦p<3、qは0≦q<3、好ましくは0≦q<2の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機ホウ素化合物。
一般式 Ra mSi(ORb)nHpXq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、複数有る場合は1種でも2種以上でもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦4、好ましくは0<m≦3、nは0≦n<4、好ましくは0≦n<3、pは0≦p<4、好ましくはpは1≦p<4、qは0≦q<4、好ましくは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=4である。)で表される有機ケイ素化合物。
一般式 Ra mPb(ORb)nHpXq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、複数有る場合は1種でも2種以上でも良く、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦4、nは0≦n<4、pは0≦p<4、qは0≦q<4の数であり、かつm+n+p+q=4である。)で表される有機鉛化合物。
一般式 RaRbM4
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M4はZnまたはCdである。)で表される有機亜鉛またはカドミウム化合物。
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、複数有る場合は1種でも2種以上でも良く、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、好ましくは0<m≦2、nは0≦n<3、好ましくは0≦n<2、pは0≦p<3、好ましくは1≦p<3、qは0≦q<3、好ましくは0≦q<2の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機ホウ素化合物。
一般式 Ra mSi(ORb)nHpXq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、複数有る場合は1種でも2種以上でもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦4、好ましくは0<m≦3、nは0≦n<4、好ましくは0≦n<3、pは0≦p<4、好ましくはpは1≦p<4、qは0≦q<4、好ましくは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=4である。)で表される有機ケイ素化合物。
一般式 Ra mPb(ORb)nHpXq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、複数有る場合は1種でも2種以上でも良く、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜6の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦4、nは0≦n<4、pは0≦p<4、qは0≦q<4の数であり、かつm+n+p+q=4である。)で表される有機鉛化合物。
一般式 RaRbM4
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M4はZnまたはCdである。)で表される有機亜鉛またはカドミウム化合物。
上記の化合物としてより具体的には、ボラン、ボランテトラヒドロフラン錯体、ボランジメチルスルフィド錯体、ボランジメチルアミン錯体、ボラントリメチルアミン錯体、ボラントリメチルホスフィン錯体、テキシルボラン、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、トリエチルボラン、トリメチルボラン、モノアルキルシラン、ジアルキルシラン、トリアルキルシラン、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、ジエチルカドミウム、ジメチルカドミウム、テトラフェニル鉛が挙げられる。
また重合系内で上記可逆的連鎖移動剤が形成されるような化合物を使用することもできる。
上記化合物のなかでは、有機亜船化合物、有機カドミウム化合物が好ましく、有機亜鉛化合物が特に好ましい。これらの可逆的連鎖移動剤は、従来技術において用いられてきた有機アルミニウム化合物に比べ連鎖移動剤としての効率が良いため工業的に利用価値がある。また、重合時の連鎖移動によって得られる連鎖移動剤に由来する部位を含有したオレフィン系重合体は、後述する官能基含有ハロゲン化物との処理時に効率良く反応するため有利である。
上記のような可逆的連鎖移動剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。これらの可逆的連鎖移動剤と、遷移金属化合物とのモル比は通常0.1〜10000、好ましくは1〜5000となるような量で用いられる。本発明に係るオレフィン系重合体の製造では、重合反応に際して該可逆的連鎖移動剤が効率よく作用し、生成したオレフィン系重合体に可逆的連鎖移動剤の部位が効率よく導入される。
〔オレフィン重合体の製造〕
本発明では、前記オレフィン重合用触媒と前記可逆的連鎖移動剤の存在下で、前記原料オレフィンを重合してオレフィン系重合体を得る。
本発明では、前記オレフィン重合用触媒と前記可逆的連鎖移動剤の存在下で、前記原料オレフィンを重合してオレフィン系重合体を得る。
オレフィン系重合体の製造は、溶液重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施することができる。重合形態としては、懸濁重合の反応形態を採ることが好ましく、この時の反応溶媒としては、不活性炭化水素溶媒を用いることもできるし、反応温度において液状のオレフィンを用いることもできる。
この際用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらのうち、特に脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。
マグネシウム担持型チタン触媒系を用いる場合、重合系内においては、固体状チタン触媒成分(a)またはその予備重合触媒は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約0.0001〜50ミリモル、好ましくは約0.001〜10ミリモルの量で用いられる。有機金属化合物触媒成分(b)は、該触媒成分(b)中の金属原子が、重合系中の固体状チタン触媒成分(a)中のチタン原子1モルに対し、通常1〜2000モル、好ましくは2〜1000モルの量で用いられる。電子供与体(ED)は、有機金属化合物触媒成分(b)の金属原子1モルに対し、通常0.001モル〜10モル、好ましくは0.01モル〜5モルの量で用いられる。
重合工程における、水素濃度はモノマー1モルに対して0〜0.01モル、好ましくは0〜0.005モル、より好ましくは0〜0.001モルの量であることが好ましい。
重合温度は、通常、70℃以上、好ましくは80〜150℃、より好ましくは85〜140℃、特に好ましくは90〜130℃の範囲であり、圧力は、通常、常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜5MPaに設定される。重合は回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができ、2段以上に分けて行う場合は、反応条件は同じであっても異なっていてもよい。
触媒としてメタロセン触媒、ポストメタロセン触媒を用いてオレフィン系重合体を製造する場合には、重合系内のメタロセン化合物(c)の濃度は、重合容積1リットル当り、通常0.00005〜0.1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.05ミリモルの量で用いられる。有機アルミニウムオキシ化合物(d)は、メタロセン化合物(c)中の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比(Al/M)で、5〜1000、好ましくは10〜400となるような量で用いられる。また有機アルミニウム化合物(e)が用いられる場合には、メタロセン化合物(c)中の遷移金属原子1モルに対して、通常約1〜300モル、好ましくは約2〜200モルとなるような量で用いられる。
メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒は、メタロセン、ポストメタロセン化合物が可溶な溶媒中で溶液状態として用いてもよく、無機化合物あるいは樹脂組成物を単体として用いた、担持触媒として用いてもよい。
メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒を用いた場合の重合温度は、通常温度が−20〜200℃、好ましくは0〜180℃、さらに好ましくは20〜160℃の範囲であり、重合圧力は0を超えて8MPa、好ましくは0を超えて5MPaの範囲である。
オレフィン系重合体の製造は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。オレフィン重合では、オレフィンの単独重合体を製造してもよく、また2種以上のオレフィンからランダム共重合体を製造してもよい。
末端官能化オレフィン系重合体の製造
次に、遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒と連鎖移動剤の存在下で、炭素原子数2〜20のオレフィンを重合して得られたオレフィン系重合体を、官能基含有ハロゲン化物と処理する方法について述べる。
次に、遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒と連鎖移動剤の存在下で、炭素原子数2〜20のオレフィンを重合して得られたオレフィン系重合体を、官能基含有ハロゲン化物と処理する方法について述べる。
〔官能基含有ハロゲン化物〕
本発明に用いる官能基含有ハロゲン化物は、1化合物中に一つ以上の反応性ハロゲン原子と官能基を有していれば特に制限なく用いることができる。好ましくはハロゲン化エポキシ化合物、ハロゲン化アルコール化合物、ハロゲン化チオール化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ジハロゲン化合物、トリハロゲン化合物が用いられる。
本発明に用いる官能基含有ハロゲン化物は、1化合物中に一つ以上の反応性ハロゲン原子と官能基を有していれば特に制限なく用いることができる。好ましくはハロゲン化エポキシ化合物、ハロゲン化アルコール化合物、ハロゲン化チオール化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ジハロゲン化合物、トリハロゲン化合物が用いられる。
ハロゲン化エポキシ化合物としては、1化合物中に一つの反応性ハロゲン原子を有するエポキシ化合物であれば特に制限無く用いることができるが、具体的には、エピクロルヒドリン、2−クロロメチル−2−メチルオキシラン、2−クロロメチル−2−エチルオキシラン、1−クロロ−2,3−エポキシブタン、2−クロロエチルオキシラン、2−クロロエチル−2−メチルオキシラン、2−クロロエチル−2−エチルオキシラン、1−クロロ−2,3−エポキシペンタン、1−クロロ−3,4−エポキシペンタン、2−クロロプロピルオキシラン、2−クロロプロピル−2−メチルオキシラン、2−クロロプロピル−2−エチルオキシラン、1−クロロ−2,3−エポキシヘキサン、1−クロロ−4,5−エポキシヘキサン、2−クロロブチルオキシラン、2−クロロブチル−2−メチルオキシラン、2−クロロブチル−2−エチルオキシラン、1−クロロ−2,3−エポキシヘプタン、1−クロロ−5,6−エポキシヘプタン、2−フルオロメチルオキシラン、2−フルオロメチル−2−メチルオキシラン、2−フルオロメチル−2−エチルオキシラン、1−フルオロ−2,3−エポキシブタン、2−フルオロエチルオキシラン、2−フルオロエチル−2−メチルオキシラン、2−フルオロエチル−2−エチルオキシラン、1−フルオロ−2,3−エポキシペンタン、1−フルオロ−3,4−エポキシペンタン、2−フルオロプロピルオキシラン、2−フルオロプロピル−2−メチルオキシラン、2−フルオロプロピル−2−エチルオキシラン、1−フルオロ−2,3−エポキシヘキサン、1−フルオロ−4,5−エポキシヘキサン、2−フルオロブチルオキシラン、2−フルオロブチル−2−メチルオキシラン、2−フルオロブチル−2−エチルオキシラン、1−フルオロ−2,3−エポキシヘプタン、1−フルオロ−5,6−エポキシヘプタン、2−ブロモメチルオキシラン、2−ブロモメチル−2−メチルオキシラン、2−ブロモメチル−2−エチルオキシラン、1−ブロモ−2,3−エポキシブタン、2−ブロモエチルオキシラン、2−ブロモエチル−2−メチルオキシラン、2−ブロモエチル−2−エチルオキシラン、1−ブロモ−2,3−エポキシペンタン、1−ブロモ−3,4−エポキシペンタン、2−ブロモプロピルオキシラン、2−ブロモプロピル−2−メチルオキシラン、2−ブロモプロピル−2−エチルオキシラン、1−ブロモ−2,3−エポキシヘキサン、1−ブロモ−4,5−エポキシヘキサン、2−ブロモブチルオキシラン、2−ブロモブチル−2−メチルオキシラン、2−ブロモブチル−2−エチルオキシラン、1−ブロモ−2,3−エポキシヘプタン、1−ブロモ−5,6−エポキシヘプタン等のハロゲン化アルキルエポキシ化合物が挙げられ、これらの中でもエピクロルヒドリンが好適に用いられる。
ハロゲン化アルコール化合物としては、1化合物中に一つの反応性ハロゲン原子を有するアルコール化合物であれば特に制限無く用いることができるが、具体的には、クロロメタノール、2−クロロエタノール、3−クロロプロパノール、4−クロロブタノール、5−クロロペンタノール、6−クロロヘキサノール、7−クロロヘプタノール、8−クロロオクタノール、9−クロロノナノール、10−クロロデカノール、11−クロロウンデカノールおよびその構造異性体; クロロエタンジオール、クロロプロパンジオール、クロロブタンジオール、クロロペンタンジオール、クロロヘキサンジオール、クロロヘプタンジオール、クロロオクタンジオール、クロロノナンジオール、クロロデカンジオール、クロロウンデカンジオールおよびその構造異性体; クロロプロパントリオール、クロロブタントリオール、クロロペンタントリオール、クロロヘキサントリオール、クロロヘプタントリオール、クロロオクタントリオール、クロロノナントリオール、クロロデカントリオール、クロロウンデカントリオールおよびその構造異性体; ブロモメタノール、2−ブロモエタノール、3−ブロモプロパノール、4−ブロモブタノール、5−ブロモペンタノール、6−ブロモヘキサノール、7−ブロモヘプタノール、8−ブロモオクタノール、9−ブロモノナノール、10−ブロモデカノール、11−ブロモウンデカノールおよびその構造異性体; ブロモエタンジオール、ブロモプロパンジオール、ブロモブタンジオール、ブロモペンタンジオール、ブロモヘキサンジオール、ブロモヘプタンジオール、ブロモオクタンジオール、ブロモノナンジオール、ブロモデカンジオール、ブロモウンデカンジオールおよびその構造異性体; ブロモプロパントリオール、ブロモブタントリオール、ブロモペンタントリオール、ブロモヘキサントリオール、ブロモヘプタントリオール、ブロモオクタントリオール、ブロモノナントリオール、ブロモデカントリオール、ブロモウンデカントリオールおよびその構造異性体; フルオロメタノール、2−フルオロエタノール、3−フルオロプロパノール、4−フルオロブタノール、5−フルオロペンタノール、6−フルオロヘキサノール、7−フルオロヘプタノール、8−フルオロオクタノール、9−フルオロノナノール、10−フルオロデカノール、11−フルオロウンデカノールおよびその構造異性体; フルオロエタンジオール、フルオロプロパンジオール、フルオロブタンジオール、フルオロペンタンジオール、フルオロヘキサンジオール、フルオロヘプタンジオール、フルオロオクタンジオール、フルオロノナンジオール、フルオロデカンジオール、フルオロウンデカンジオールおよびその構造異性体; フルオロプロパントリオール、フルオロブタントリオール、フルオロペンタントリオール、フルオロヘキサントリオール、フルオロヘプタントリオール、フルオロオクタントリオール、フルオロノナントリオール、フルオロデカントリオール、フルオロウンデカントリオールおよびその構造異性体が挙げられる。
ハロゲン化チオール化合物としては、1化合物中に一つの反応性ハロゲン原子を有するチオール化合物であれば特に制限無く用いることができるが、具体的には、クロロメタン、2−クロロエタンチオール、3−クロロプロパンチオール、4−クロロブタンチオール、5−クロロペンタンチオール、6−クロロヘキサンチオール、7−クロロヘプタンチオール、8−クロロオクタンチオール、9−クロロノナンチオール、10−クロロデカンチオール、11−クロロウンデカンチオールおよびその構造異性体; クロロエタンジチオール、クロロプロパンジチオール、クロロブタンジチオール、クロロペンタンジチオール、クロロヘキサンジチオール、クロロヘプタンジチオール、クロロオクタンジチオール、クロロノナンジチオール、クロロデカンジチオール、クロロウンデカンジチオールおよびその構造異性体; クロロプロパントリチオール、クロロブタントリチオール、クロロペンタントリチオール、クロロヘキサントリチオール、クロロヘプタントリチオール、クロロオクタントリチオール、クロロノナントリチオール、クロロデカントリチオール、クロロウンデカントリチオールおよびその構造異性体; ブロモメタンチオール、2−ブロモエタンチオール、3−ブロモプロパンチオール、4−ブロモブタンチオール、5−ブロモペンタンチオール、6−ブロモヘキサンチオール、7−ブロモヘプタンチオール、8−ブロモオクタンチオール、9−ブロモノナンチオール、10−ブロモデカンチオール、11−ブロモウンデカンチオールおよびその構造異性体; ブロモエタンジチオール、ブロモプロパンジチオール、ブロモブタンジチオール、ブロモペンタンジチオール、ブロモヘキサンジチオール、ブロモヘプタンジチオール、ブロモオクタンジチオール、ブロモノナンジチオール、ブロモデカンジチオール、ブロモウンデカンジチオールおよびその構造異性体; ブロモプロパントリチオール、ブロモブタントリチオール、ブロモペンタントリチオール、ブロモヘキサントリチオール、ブロモヘプタントリチオール、ブロモオクタントリチオール、ブロモノナントリチオール、ブロモデカントリチオール、ブロモウンデカントリチオールおよびその構造異性体; フルオロメタンチオール、2−フルオロエタンチオール、3−フルオロプロパンチオール、4−フルオロブタンチオール、5−フルオロペンタンチオール、6−フルオロヘキサンチオール、7−フルオロヘプタンチオール、8−フルオロオクタンチオール、9−フルオロノナンチオール、10−フルオロデカンチオール、11−フルオロウンデカンチオールおよびその構造異性体; フルオロエタンジチオール、フルオロプロパンジチオール、フルオロブタンジチオール、フルオロペンタンジチオール、フルオロヘキサンジチオール、フルオロヘプタンジチオール、フルオロオクタンジチオール、フルオロノナンジチオール、フルオロデカンジチオール、フルオロウンデカンジチオールおよびその構造異性体; フルオロプロパントリチオール、フルオロブタントリチオール、フルオロペンタントリチオール、フルオロヘキサントリチオール、フルオロヘプタントリチオール、フルオロオクタントリチオール、フルオロノナントリチオール、フルオロデカントリチオール、フルオロウンデカントリチオールおよびその構造異性体が挙げられる。
ハロゲン化ビニル化合物としては、1化合物中に一つの反応性ハロゲン原子を有するビニル化合物であれば特に制限無く用いることができるが、具体的には、塩化ビニル、3−クロロプロペン、4−クロロブテン、5−クロロペンテン、6−クロロヘキセン、7−クロロヘプテン、8−クロロオクテン、9−クロロノネン、10−クロロデセン、11−クロロウンデセンおよびその構造異性体; クロロペンタジエン、クロロヘキサジエン、クロロヘプタジエン、クロロオクタジエン、クロロノナジエン、クロロデカジエン、クロロウンデカジエンおよびその構造異性体; クロロヘプタトリエン、クロロオクタトリエン、クロロノナトリエン、クロロデカトリエン、クロロウンデカトリエンおよびその構造異性体; 臭化ビニル、3−ブロモプロペン、4−ブロモブテン、5−ブロモペンテン、6−ブロモヘキセン、7−ブロモヘプテン、8−ブロモオクテン、9−ブロモノネン、10−ブロモデセン、11−ブロモウンデセンおよびその構造異性体; ブロモペンタジエン、ブロモヘキサジエン、ブロモヘプタジエン、ブロモオクタジエン、ブロモノナジエン、ブロモデカジエン、ブロモウンデカジエンおよびその構造異性体; ブロモヘプタトリエン、ブロモオクタトリエン、ブロモノナトリエン、ブロモデカトリエン、ブロモウンデカトリエンおよびその構造異性体; フッ化ビニル、3−フルオロプロペン、4−フルオロブテン、5−フルオロペンテン、6−フルオロヘキセン、7−フルオロヘプテン、8−フルオロオクテン、9−フルオロノネン、10−フルオロデセン、11−フルオロウンデセンおよびその構造異性体; フルオロペンタジエン、フルオロヘキサジエン、フルオロヘプタジエン、フルオロオクタジエン、フルオロノナジエン、フルオロデカジエン、フルオロウンデカジエンおよびその構造異性体; フルオロヘプタトリエン、フルオロオクタトリエン、フルオロノナトリエン、フルオロデカトリエン、フルオロウンデカトリエンおよびその構造異性体が挙げられる。
ジハロゲン化合物としては、具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロブタン、ジクロロペンタン、ジクロロヘキサン、ジクロロヘプタン、ジクロロオクタン、ジクロロノナン、ジクロロデカン、ジクロロウンデカンおよびその構造異性体が挙げられる。
トリハロゲン化合物としては、具体的には、トリクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロプロパン、トリクロロブタン、トリクロロペンタン、トリクロロヘキサン、トリクロロヘプタン、トリクロロオクタン、トリクロロノナン、トリクロロデカン、トリクロロウンデカンおよびその構造異性体が挙げられる。
上記官能基含有ハロゲン化物の中で、より好ましくは、ハロゲン化アルコール化合物、ハロゲン化チオール化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ジハロゲン化合物が用いられる。
〔オレフィン系重合体と官能基含有ハロゲン化物との処理〕
前述のように得られたオレフィン系重合体と官能基含有ハロゲン化物との処理は、該オレフィン系重合体を単離した後、官能基含有ハロゲン化物と処理しても良く、該オレフィン系重合体を単離することなく連続的に官能基含有ハロゲン化物と処理しても良い。該オレフィン系重合体と官能基含有ハロゲン化物との処理は、溶液中、懸濁液中または気相中のいずれにおいても実施することができる。処理形態としては、溶液中または懸濁液中であることが好ましく、この時の溶媒としては、不活性炭化水素溶媒を用いることができる。溶媒を使用せず、処理温度において液状のオレフィン重合体中で行うこともできる。
前述のように得られたオレフィン系重合体と官能基含有ハロゲン化物との処理は、該オレフィン系重合体を単離した後、官能基含有ハロゲン化物と処理しても良く、該オレフィン系重合体を単離することなく連続的に官能基含有ハロゲン化物と処理しても良い。該オレフィン系重合体と官能基含有ハロゲン化物との処理は、溶液中、懸濁液中または気相中のいずれにおいても実施することができる。処理形態としては、溶液中または懸濁液中であることが好ましく、この時の溶媒としては、不活性炭化水素溶媒を用いることができる。溶媒を使用せず、処理温度において液状のオレフィン重合体中で行うこともできる。
この際用いられる不活性炭化水素溶媒としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素; シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素; ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素; エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらのうち、特に脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。
処理温度は、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは70℃以上である。処理温度の上限は、オレフィン系重合体が分解変性しない範囲であれば特に制限は無いが、好ましくは200℃以下、より好ましくは160℃以下である。処理時間は、通常1分〜24時間、好ましくは10分〜10時間、より好ましくは15分〜8時間の範囲である。処理圧力は、通常、常圧〜3MPa、好ましくは常圧〜1MPaに設定される。反応は回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。
処理に用いる官能基含有ハロゲン化物の使用量は、可逆的連鎖移動剤として用いる化合物のモル量[M]に対する官能基含有ハロゲン化物のモル量[E]の割合[E]/[M]が0.1〜100の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは0.2〜50の範囲であり、更に好ましくは0.5〜10の範囲であり、特に好ましくは0.7〜5の範囲であり、最も好ましくは0.8〜3の範囲である。極めて好ましくは1〜2の範囲である。
上記の処理によって製造された末端官能化オレフィン系重合体は、公知の方法によって回収することができ、デカンテーション処理、フラッシュ処理、脱ガス処理等、いずれの方法を用いて回収しても良い。得られた末端官能化オレフィン系重合体は、通常得られるオレフィン重合体と同様の外見性状である。
〔末端官能化オレフィン系重合体〕
本発明における末端官能化オレフィン系重合体の分子量は、その重合体としての所望の物性を発現するものであれば特に制限は無いが、好ましくはGPCによって測定される数平均分子量(Mn)が1,000以上である。より好ましくは3,000以上であり、更に好ましくは5,000以上である。該分子量の上限は特に無いが、工業的な成型加工性からMnは200,000以下が好ましい。
本発明における末端官能化オレフィン系重合体の分子量は、その重合体としての所望の物性を発現するものであれば特に制限は無いが、好ましくはGPCによって測定される数平均分子量(Mn)が1,000以上である。より好ましくは3,000以上であり、更に好ましくは5,000以上である。該分子量の上限は特に無いが、工業的な成型加工性からMnは200,000以下が好ましい。
本発明における末端官能化オレフィン系重合体のDSCで測定した融点は、好ましくは140℃以上である。融点が高いと機械強度の発現に有利であり、用いられる用途範囲が広くなる。オレフィン系重合体のDSCで測定した融点は、より好ましくは145℃以上である。
本発明の方法により得られた末端官能化オレフィン系重合体は、塗装性、接着性、印刷性等に優れ、自動車外装材、樹脂フィルムとの張り合わせ、表面印刷用樹脂等に用いられる。またアルミニウム等の金属蒸着用フィルム樹脂として、高バリア性を付与した樹脂としても用いられる。さらに、他樹脂とのポリマーアロイ用相溶化剤としても好適に用いられる。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
物性測定方法
〔GPC測定〕
測定装置:ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC 2000型(Waters社製)
測定条件:カラム:TSKgel GMH6-HT x 2 + TSKgel GMH6-HTL x 2 (東ソー社製)
カラム温度:140℃、移動相:1,2-ジクロロベンゼン、
検出器:示差屈折率計、流速:1mL/分、
試料濃度:0.15%(W/V)、注入量:500μL、
サンプリング時間間隔:1秒、カラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)
分子量換算:PP換算/汎用較正法、
試料処理:試料30mgを1,2-ジクロロベンゼン20mLに145℃で完全に溶解した後、孔径が1μmの焼結フィルターで濾過したものを分析試料とした。
〔NMR分析〕
測定装置:JEOL GSX-400スペクトロメーター 400MHz (FTモード)
測定条件:パルス角:45°、パルス反復:5秒、
パルス幅:8000Hz、温度:118℃、サンプリング点数:32000、
試料処理:試料50mgを重水素1,2-ジクロロベンゼン0.5mLに120℃で完全に溶解したものを分析試料とした。
〔DSCによる融点測定〕
重合体の融点(Tm)は、示差走査熱量測定(DSC)によって、200℃で5分間保持した重合体サンプルを、20℃まで冷却して5分間保持した後に、10℃/分で昇温させたときの結晶溶融ピークから算出した。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
物性測定方法
〔GPC測定〕
測定装置:ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC 2000型(Waters社製)
測定条件:カラム:TSKgel GMH6-HT x 2 + TSKgel GMH6-HTL x 2 (東ソー社製)
カラム温度:140℃、移動相:1,2-ジクロロベンゼン、
検出器:示差屈折率計、流速:1mL/分、
試料濃度:0.15%(W/V)、注入量:500μL、
サンプリング時間間隔:1秒、カラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)
分子量換算:PP換算/汎用較正法、
試料処理:試料30mgを1,2-ジクロロベンゼン20mLに145℃で完全に溶解した後、孔径が1μmの焼結フィルターで濾過したものを分析試料とした。
〔NMR分析〕
測定装置:JEOL GSX-400スペクトロメーター 400MHz (FTモード)
測定条件:パルス角:45°、パルス反復:5秒、
パルス幅:8000Hz、温度:118℃、サンプリング点数:32000、
試料処理:試料50mgを重水素1,2-ジクロロベンゼン0.5mLに120℃で完全に溶解したものを分析試料とした。
〔DSCによる融点測定〕
重合体の融点(Tm)は、示差走査熱量測定(DSC)によって、200℃で5分間保持した重合体サンプルを、20℃まで冷却して5分間保持した後に、10℃/分で昇温させたときの結晶溶融ピークから算出した。
(末端官能化オレフィン系重合体の製造1)
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、トルエン250mlを加え70℃に昇温した後、プロピレンガスをトルエン中に100NL/時の割合で吹き込み、器内のトルエンをプロピレン飽和状態にした。次に、ジエチル亜鉛(0.1mmol)、メチルアルミノキサントルエン溶液(2mmol[Al])とジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.002mmol)を加え、プロピレン供給下、70℃で20分間重合を行った。器内へのプロピレン供給を停止し、窒素ガスをトルエン中に50Nl/時の割合で30分間吹き込んだ後、11−クロロウンデセン(4.5mmol)を器内に加え、70℃で1時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を、1N塩酸5mlを含んだメタノール(1L)中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、5.1gの白色ポリマーを得た。Tm=149℃であった。
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、トルエン250mlを加え70℃に昇温した後、プロピレンガスをトルエン中に100NL/時の割合で吹き込み、器内のトルエンをプロピレン飽和状態にした。次に、ジエチル亜鉛(0.1mmol)、メチルアルミノキサントルエン溶液(2mmol[Al])とジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.002mmol)を加え、プロピレン供給下、70℃で20分間重合を行った。器内へのプロピレン供給を停止し、窒素ガスをトルエン中に50Nl/時の割合で30分間吹き込んだ後、11−クロロウンデセン(4.5mmol)を器内に加え、70℃で1時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を、1N塩酸5mlを含んだメタノール(1L)中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、5.1gの白色ポリマーを得た。Tm=149℃であった。
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は26500であった。核磁気共鳴(NMR)分析から、ビニル基に由来するシグナルを検出し((V)mol%)、ポリマー片末端の67%がビニル基であると算出した。
(算出方法)
ポリマー片末端修飾率(%)=(V)*Mn/42
(V);ポリマー中のビニル基含量(mol%)
(Mn);GPC測定より得られたポリマーの数平均分子量
*オレフィンであるプロピレンの単量体分子量を42として用いた
(算出方法)
ポリマー片末端修飾率(%)=(V)*Mn/42
(V);ポリマー中のビニル基含量(mol%)
(Mn);GPC測定より得られたポリマーの数平均分子量
*オレフィンであるプロピレンの単量体分子量を42として用いた
(末端官能化オレフィン系重合体の製造2)
ジエチル亜鉛の使用量を1.0mmolとした以外は実施例1と同様にして、末端官能化オレフィン系重合体の製造を行い、1.1gの白色ポリマーを得た。Tm=148℃であった。GPCによる分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は1830であった。NMR分析から、ビニル基に由来するシグナルを検出し((V)mol%)、ポリマー片末端の78%がビニル基であると算出した。
ジエチル亜鉛の使用量を1.0mmolとした以外は実施例1と同様にして、末端官能化オレフィン系重合体の製造を行い、1.1gの白色ポリマーを得た。Tm=148℃であった。GPCによる分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は1830であった。NMR分析から、ビニル基に由来するシグナルを検出し((V)mol%)、ポリマー片末端の78%がビニル基であると算出した。
(末端官能化オレフィン系重合体の製造3)
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、トルエン250mlを加え70℃に昇温した後、プロピレンガスをトルエン中に100NL/時の割合で吹き込み、器内のトルエンをプロピレン飽和状態にした。次に、ジエチル亜鉛(1.0mmol)、メチルアルミノキサントルエン溶液(2mmol[Al])とジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.002mmol)を加え、プロピレン供給下、70℃で20分間重合を行った。器内へのプロピレン供給を停止し、窒素ガスをトルエン中に50Nl/時の割合で30分間吹き込んだ後、11−クロロウンデセン(2.0mmol)を器内に加え、70℃で4時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を、1N塩酸5mlを含んだメタノール(1L)中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、1.3gの白色ポリマーを得た。Tm=150℃であった。
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、トルエン250mlを加え70℃に昇温した後、プロピレンガスをトルエン中に100NL/時の割合で吹き込み、器内のトルエンをプロピレン飽和状態にした。次に、ジエチル亜鉛(1.0mmol)、メチルアルミノキサントルエン溶液(2mmol[Al])とジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.002mmol)を加え、プロピレン供給下、70℃で20分間重合を行った。器内へのプロピレン供給を停止し、窒素ガスをトルエン中に50Nl/時の割合で30分間吹き込んだ後、11−クロロウンデセン(2.0mmol)を器内に加え、70℃で4時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を、1N塩酸5mlを含んだメタノール(1L)中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、1.3gの白色ポリマーを得た。Tm=150℃であった。
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は1900であった。核磁気共鳴(NMR)分析から、ビニル基に由来するシグナルを検出し((V)mol%)、ポリマー片末端の66%がビニル基であると算出した。
(末端官能化オレフィン系重合体の製造4)
11−クロロウンデセン(4.5mmol)の代わりに1,2−ジブロモエタン(4.5mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、末端官能化オレフィン系重合体の製造を行い、5.3gの白色ポリマーを得た。
11−クロロウンデセン(4.5mmol)の代わりに1,2−ジブロモエタン(4.5mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、末端官能化オレフィン系重合体の製造を行い、5.3gの白色ポリマーを得た。
GPCによる分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は11500であった。NMR分析から、臭素原子に隣接するメチレンに由来するシグナルを検出し、ポリマー片末端の71%がハロゲンであると算出した。
(末端官能化オレフィン系重合体の製造5)
メチルアルミノキサントルエン溶液(2mmol[Al])とジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.002mmol)の代わりにメチルアルミノキサントルエン溶液(5mmol[Al])とイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(0.005mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、末端官能化オレフィン系重合体の製造を行い、6.3gの白色ポリマーを得た。Tm=120℃であった。
メチルアルミノキサントルエン溶液(2mmol[Al])とジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.002mmol)の代わりにメチルアルミノキサントルエン溶液(5mmol[Al])とイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジメチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(0.005mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、末端官能化オレフィン系重合体の製造を行い、6.3gの白色ポリマーを得た。Tm=120℃であった。
GPCによる分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は19500であった。NMR分析から、ビニル基に由来するシグナルを検出し((V)mol%)、ポリマー片末端の59%がビニル基であると算出した。
(末端官能化オレフィン系重合体の製造6)
メチルアルミノキサントルエン溶液(2mmol[Al])とジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.002mmol)の代わりにメチルアルミノキサントルエン溶液(5mmol[Al])と[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジル(6−ピリジン−2−ジル)メタン)]ハフニウムジメチル(0.005mmol)を用いた以外は実施例3と同様にして、末端官能化オレフィン系重合体の製造を行い、32.2gの白色ポリマーを得た。
メチルアルミノキサントルエン溶液(2mmol[Al])とジメチルシランジイルビス(4−フェニル−2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.002mmol)の代わりにメチルアルミノキサントルエン溶液(5mmol[Al])と[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジル(6−ピリジン−2−ジル)メタン)]ハフニウムジメチル(0.005mmol)を用いた以外は実施例3と同様にして、末端官能化オレフィン系重合体の製造を行い、32.2gの白色ポリマーを得た。
GPCによる分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は11000であった。NMR分析から、ビニル基に由来するシグナルを検出し((V)mol%)、ポリマー片末端の69%がビニル基であると算出した。
(末端官能化オレフィン系重合体の製造7)
ジエチル亜鉛の使用量を2.3mmolとした以外は実施例5と同様にして、末端官能化オレフィン系重合体の製造を行い、11.2gの白色ポリマーを得た。GPCによる分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は3260であった。NMR分析から、ビニル基に由来するシグナルを検出し((V)mol%)、ポリマー片末端の75%がビニル基であると算出した。
ジエチル亜鉛の使用量を2.3mmolとした以外は実施例5と同様にして、末端官能化オレフィン系重合体の製造を行い、11.2gの白色ポリマーを得た。GPCによる分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は3260であった。NMR分析から、ビニル基に由来するシグナルを検出し((V)mol%)、ポリマー片末端の75%がビニル基であると算出した。
(末端官能化オレフィン系重合体の製造8)
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、トルエン250mlを加え70℃に昇温した後、プロピレンガスをトルエン中に100NL/時の割合で吹き込み、器内のトルエンをプロピレン飽和状態にした。次に、ジエチル亜鉛(0.1mmol)、メチルアルミノキサントルエン溶液(5mmol[Al])とジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.005mmol)を加え、プロピレン供給下、70℃で20分間重合を行った。器内へのプロピレン供給を停止し、窒素ガスをトルエン中に50Nl/時の割合で30分間吹き込んだ後、11−クロロウンデカンチオール(4.5mmol)を器内に加え、70℃で1時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を、1N塩酸5mlを含んだメタノール(1L)中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、5.0gの白色ポリマーを得た。Tm=133℃であった。
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、トルエン250mlを加え70℃に昇温した後、プロピレンガスをトルエン中に100NL/時の割合で吹き込み、器内のトルエンをプロピレン飽和状態にした。次に、ジエチル亜鉛(0.1mmol)、メチルアルミノキサントルエン溶液(5mmol[Al])とジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(0.005mmol)を加え、プロピレン供給下、70℃で20分間重合を行った。器内へのプロピレン供給を停止し、窒素ガスをトルエン中に50Nl/時の割合で30分間吹き込んだ後、11−クロロウンデカンチオール(4.5mmol)を器内に加え、70℃で1時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液を、1N塩酸5mlを含んだメタノール(1L)中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、5.0gの白色ポリマーを得た。Tm=133℃であった。
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は20500であった。核磁気共鳴(NMR)分析から、ビニル基に由来するシグナルを検出し((V)mol%)、ポリマー片末端の80%がチオール基であると算出した。
(末端官能化オレフィン系重合体の製造9)
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、トルエン250mlを加え50℃に昇温した後、プロピレンガスをトルエン中に100NL/時の割合で吹き込み、器内のトルエンをプロピレン飽和状態にした。次に、ジエチル亜鉛(0.1mmol)、メチルアルミノキサントルエン溶液(5mmol[Al])とエチレンビスインデニルジルコニウム(0.005mmol)を加え、プロピレン供給下、50℃で15分間重合を行った。器内へのプロピレン供給を停止し、窒素ガスをトルエン中に50Nl/時の割合で30分間吹き込んだ後、エピクロロヒドリン(4.5mmol)を器内に加え、100℃で1時間接触させた。反応液を、1N塩酸30mlを含んだメタノール(1.5L)/アセトン(1.5L)混合液中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、9.9gの白色ポリマーを得た。
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、トルエン250mlを加え50℃に昇温した後、プロピレンガスをトルエン中に100NL/時の割合で吹き込み、器内のトルエンをプロピレン飽和状態にした。次に、ジエチル亜鉛(0.1mmol)、メチルアルミノキサントルエン溶液(5mmol[Al])とエチレンビスインデニルジルコニウム(0.005mmol)を加え、プロピレン供給下、50℃で15分間重合を行った。器内へのプロピレン供給を停止し、窒素ガスをトルエン中に50Nl/時の割合で30分間吹き込んだ後、エピクロロヒドリン(4.5mmol)を器内に加え、100℃で1時間接触させた。反応液を、1N塩酸30mlを含んだメタノール(1.5L)/アセトン(1.5L)混合液中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、9.9gの白色ポリマーを得た。
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は9900であった。NMR分析から、ポリマー片末端の76%が水酸基であると算出した。
〔比較例1〕
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、トルエン250mlを加え50℃に昇温した後、プロピレンガスをトルエン中に100NL/時の割合で吹き込み、器内のトルエンをプロピレン飽和状態にした。次に、メチルアルミノキサントルエン溶液(5mmol[Al])とエチレンビスインデニルジルコニウム(0.005mmol)を加え、プロピレン供給下、50℃で15分間重合を行った。反応液を、1N塩酸30mlを含んだメタノール(1.5L)/アセトン(1.5L)混合液中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、11.0gの白色ポリマーを得た。ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は10000であった。NMR分析の結果から、ポリマー末端に不飽和結合が存在しており、ポリマー片末端の94%がビニリデン基であった。
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、トルエン250mlを加え50℃に昇温した後、プロピレンガスをトルエン中に100NL/時の割合で吹き込み、器内のトルエンをプロピレン飽和状態にした。次に、メチルアルミノキサントルエン溶液(5mmol[Al])とエチレンビスインデニルジルコニウム(0.005mmol)を加え、プロピレン供給下、50℃で15分間重合を行った。反応液を、1N塩酸30mlを含んだメタノール(1.5L)/アセトン(1.5L)混合液中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、11.0gの白色ポリマーを得た。ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)による分子量測定から、得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は10000であった。NMR分析の結果から、ポリマー末端に不飽和結合が存在しており、ポリマー片末端の94%がビニリデン基であった。
充分に窒素置換した攪拌機付の内容積500mlのガラス製反応器内に、デカン400mlと、上記で得られた末端位に不飽和結合を有するオレフィン重合体(10.0g)を加え、140℃に昇温してオレフィン重合体を溶解した後、ジイソブチル水素化アルミニウム(9mmol)を加えて、窒素雰囲気下140℃で6時間処理を行なった。溶液温度を100℃まで冷却し、エピクロロヒドリン(4.5ml)を器内に加え、100℃で1時間接触させた。反応液を、1N塩酸30mlを含んだメタノール(1.5L)/アセトン(1.5L)混合液中に注ぎ込んだ。室温で30分攪拌した後、濾過により固体状成分を回収した。減圧下、80℃にて10時間乾燥し、9.9gの白色ポリマーを得た。核磁気共鳴(NMR)分析の結果から、不飽和結合に由来するシグナルは検出されず、またポリマー末端に水酸基が存在していることが確認された。ポリマー末端の66%が水酸基であった。
本発明に係る末端官能化オレフィン系重合体の製造方法は、金属をはじめ種々の極性物質との親和性・接着性に優れ、防曇性、帯電防止性にも効果が期待できる極性基含有オレフィン系材料を効率よく製造できるため、工業的に極めて価値があり、様々な産業分野で有用である。
Claims (6)
- 遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒と可逆的連鎖移動剤の存在下で、炭素原子数2〜20のオレフィンを重合して得られたオレフィン系重合体を、官能基含有ハロゲン化物と処理することを特徴とする末端官能化オレフィン系重合体の製造方法。
- DSCで測定した融点が、140℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の末端官能化オレフィン系重合体の製造方法。
- 可逆的連鎖移動剤が、有機亜鉛化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の末端官能化オレフィン系重合体の製造方法。
- ゲルパーミエイションクロマトグラフィで測定した数平均分子量(Mn)が5,000以上であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1.0〜3.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の末端官能化オレフィン系重合体の製造方法。
- 官能基含有ハロゲン化物が、ハロゲン化アルコール化合物、ハロゲン化チオール化合物、ハロゲン化ビニル化合物、およびジハロゲン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の末端官能化オレフィン系重合体の製造方法。
- 70℃以上の温度で、オレフィン系重合体と官能基含有ハロゲン化物とを処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の末端官能化オレフィン系重合体の製造方法。
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-
2008
- 2008-03-25 JP JP2008077607A patent/JP2009227899A/ja active Pending
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