JP2009224591A - 電磁波遮蔽フィルタ、及び画像表示装置 - Google Patents

電磁波遮蔽フィルタ、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ディスプレイ前面に配置され、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても近赤外線吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難く、且つ、可視域の透過スペクトル変化を抑制できる近赤外線吸収機能を兼ね備えた電磁波遮蔽フィルタ及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】透明基材10の一方の面にアルミニウムの薄膜からなる導電性メッシュ層11を備えた電磁波遮蔽シートの、導電性メッシュ層11側の面に、酸価が0.01以上20以下であるアクリル樹脂に、近赤外線吸収剤として、一般式MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子を含有する、近赤外線吸収性組成物からなる近赤外線吸収層12が積層されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、PDP(プラズマディスプレイパネル)などのディスプレイ(画像表示装置)から発生する電磁波を遮蔽(シールド)する電磁波遮蔽機能と共に、近赤外線吸収機能を有する、電磁波遮蔽フィルタ、及び当該電磁波遮蔽フィルタを備えてなる画像表示装置に関するものである。
近年、電気電子機器の機能高度化と利用増加に伴い、電磁気的なノイズ妨害(Electro Magnetic Interference;EMI)が増え、陰極線管(CRTという)、プラズマディスプレイパネル(PDPという)などのディスプレイでも電磁波が発生する。特に、プラズマディスプレイパネルは、データ電極と蛍光層を有する硝子と透明電極を有する硝子との組合体であり、作動すると電磁波、及び近赤外線が大量に発生する。
通常、電磁波を遮蔽するためにPDPの前面に、電磁波遮蔽シートと硝子板との積層体が前面板として設けられる。ディスプレイ前面から発生する電磁波の遮蔽性は、日本では30MHz〜1GHzにおいてVCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)が規定する家庭環境、住宅環境で使用する情報処理装置に適用される規格(クラスB)を達成することが必要である。なお、本発明において単に電磁波と言った場合は、周波数が上記範囲を中心とするMHz〜GHz帯近辺の電磁波のことを言い、赤外線、可視光線、紫外線、X線等は含まないものとする(例えば、赤外線帯域の周波数の電磁波は赤外線と呼称する)。
また、プラズマディスプレイ前面より発生する波長800〜1,100nm帯域を含む近赤外線も、VTRの遠隔操作機器などの他の機器を誤作動させるので、遮蔽する必要がある。通常、発生する近赤外線を遮蔽するために、近赤外線を吸収する機能を有する近赤外線吸収フィルタ(光学フィルタ)がPDPの観察者側に設けられる。そこで、PDPの前面には電磁波遮蔽フィルタ及び近赤外線吸収フィルタの両フィルタ(機能)を設置する必要が有る。
特許文献1には、最小限の層構成で電磁波遮蔽と近赤外線吸収の両フィルタ機能を具備する構成として、電磁波遮蔽フィルタの基材と銅の薄膜からなる金属メッシュ層との間の接着剤層や、当該金属メッシュ層の凹凸を平坦化する平坦化層や、或いは硝子基板との接着剤層に、可視光及び/又は近赤外の特定の波長を吸収する吸収剤が含有されている電磁波遮蔽フィルタが開示されている。このように硝子基板、金属メッシュ層、或いは、金属メッシュ層と電磁波遮蔽フィルタの基材間の接着剤層に接触する箇所に有機系近赤外線吸収剤が含有されている場合には、当該近赤外線吸収剤が劣化しやすいという問題があった。これは、硝子基板中に由来するナトリウムイオン等のアルカリ金属イオン、金属メッシュ層に由来する銅等の金属原子(乃至金属イオン)、ウレタン系接着剤層に由来するウレタン結合と有機系色素とが反応する為であると考えられる。また、粘着剤層として機能するような従来用いていたアクリル系粘着剤層に、有機系近赤外線吸収剤(色素)を含有させると、当該近赤外線吸収剤とこれら隣接層及び当該粘着剤層自身(特に、当該粘着剤層中の極性官能基、或いは残留単量体)との反応による光学フィルタとしての分光特性の変化が促進するという問題が生じており、層構成の簡略化の為、粘着剤層中に近赤外線吸収剤を含有させ、且つ当該層が金属メッシュ層或いは硝子層と接触する様な構成を実用化するのは困難であった。
一方、特許文献2には、複合タングステン酸化物微粒子を樹脂中に含有する粘着剤層を用いたPDP用近赤外線吸収フィルタが記載されている。
斯かる複合タングステン酸化物微粒子は、有機系近赤外線吸収剤に比べて粘着剤中の極性官能基或は残留単量体との反応による分光透過率の変化は少なくなる。但し、其の一方で、複合タングステン酸化物微粒子を含む粘着剤層が硝子基板や金属メッシュ層の金属に接触する箇所にある場合、当該硝子基板及び当該金属に対する粘着剤の密着性が重要となる。密着性を向上させるために粘着剤中のカルボキシル基、スルホ基、アクリル酸基、メタクリル酸基、リン酸基等の酸性基を増やす(すなわち、酸価を高くする)と、酸性基が増えるため空気中の水分を吸着しやすくなり、吸着した水分によって当該粘着剤に接する金属が錆びやすくなる。また、酸性基の直接の影響で、当該粘着剤に接する金属が錆びる事もある。特に、従来、電磁波遮蔽層の金属材料として専ら用いられている銅は、これらの要因で錆び易く、又錆の色が青緑色系統の有彩色となる為、当該電磁波遮蔽フィルタが着色し、表示画像の色再現を悪化させると云う問題が有った。そのため、金属メッシュ層と隣接する層に酸性基を有する樹脂を用いた場合、可視域の透過スペクトル変化を抑制することが困難であった。
特開2002−311843号公報 特開2006−154516号公報
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、ディスプレイ前面に配置され、長時間の使用、特に高温下や高湿下での長時間の使用によっても近赤外線吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難く、且つ、可視域の透過スペクトル変化を抑制できる近赤外線吸収機能を兼ね備えた電磁波遮蔽フィルタを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層としてアルミニウムの薄膜を用いることにより、上記課題が解決されるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、透明基材の一方の面にアルミニウムの薄膜からなる導電性メッシュ層を備えた電磁波遮蔽シートの、当該導電性メッシュ層側の面に、酸価が0.01以上20以下であるアクリル樹脂に、近赤外線吸収剤として、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を含有する、近赤外線吸収性組成物からなる近赤外線吸収層が積層されていることを特徴とする。
本発明によれば、電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層としてアルミニウムの薄膜を用い、且つ近赤外線吸収剤に前記複合タングステン酸化物微粒子を用いることに特徴がある。斯かる構成とすることにより、層構成の簡略化の為に当該導電性メッシュ層に隣接する層に、近赤外線吸収剤を含有させても、当該近赤外線吸収剤として耐久性の有る前記複合タングステン酸化物微粒子を用いる為、従来主流であった有機系近赤外線吸収剤に比べて、長時間使用時の分光特性変化が起こりにくくなる。これに加えて、更に、導電性メッシュを構成する金属として採用したアルミニウムが、特に、複合タングステン酸化物微粒子を劣化させ難いため、長時間の使用、特に高温高湿下での近赤外線吸収剤の劣化に起因する分光特性変化を起こり難くすることができる。また、前記導電性メッシュ層に、酸価の高い樹脂からなる層を隣接させても、アルミニウム表面が酸化され難いため、又酸化されても酸化物は無彩色である為、高温高湿下での可視域の透過スペクトル変化を抑制することができる。
本発明に係る電磁波遮蔽フィルタにおいては、前記アクリル樹脂が、粘着剤であることが、更に他の層を積層可能な接着性を確保できる点から好ましい。
本発明に係る電磁波遮蔽フィルタにおいては、前記複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径が800nm以下であることが、可視域の透過率が高くなる点から好ましい。
本発明に係る電磁波遮蔽フィルタにおいては、前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、立方晶のいずれか1種類以上の結晶構造を含むことが、光学特性の耐久性向上の点から好ましい。
本発明に係る電磁波遮蔽フィルタにおいては、前記複合タングステン酸化物微粒子を表す一般式MxWyOzにおいて、M元素がCs(セシウム)であり、当該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有することが、光学特性の耐久性向上の点から好ましい。
本発明に係る電磁波遮蔽フィルタにおいては、前記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆されていることが、光学特性の耐久性向上の点から好ましい。
本発明に係る画像表示装置は、画像表示装置の表示面に、上記電磁波遮蔽フィルタを備えてなることを特徴とする。このような画像表示装置においては、上記電磁波遮蔽フィルタが有する電磁波遮蔽シート及び近赤外線吸収層の働きにより、長時間の使用、特に高温高湿環境下においても、画像表示装置本体から発生する電磁波及び近赤外線の放出が遮蔽される。
本発明の電磁波遮蔽フィルタは、電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層としてアルミニウムの薄膜を用い、且つ、近赤外線吸収剤として複合タングステン酸化物微粒子を用いることにより、当該導電性メッシュ層に隣接する層に、近赤外線吸収剤含有層を形成しても、複合タングステン酸化物微粒子自体の耐久性に加えて、アルミニウムが複合タングステン酸化物微粒子を劣化させ難いため、長時間の使用、特に高温高湿下での近赤外線吸収剤の劣化に起因する分光特性変化を起こり難くすることができる。また、前記導電性メッシュ層に、酸価の高い樹脂からなる層を隣接させても、アルミニウム表面が酸化されて着色し難いため、可視域の透過スペクトル変化を抑制することができる。
本発明に係る画像表示装置は、上記電磁波遮蔽フィルタを備えているため、画像表示装置本体の前面から発生する電磁波を遮蔽すると共に、近赤外線の放出も遮蔽することができる。
本発明は、電磁波遮蔽フィルタ及び当該電磁波遮蔽フィルタを備えた画像表示装置を含むものである。以下、それぞれについて詳述する。尚、本発明において「アクリル樹脂の酸価」とは、アクリル樹脂1gに含まれる全酸性成分(例えば、カルボキシル基、スルホ基等)の量を表すものであり、全酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される。酸価の測定方法はJIS K2501などで定められている方法を用いることができる。
I.電磁波遮蔽フィルタ
本発明に係る電磁波遮蔽フィルタは、透明基材の一方の面にアルミニウムの薄膜からなる導電性メッシュ層を備えた電磁波遮蔽シートの、当該導電性メッシュ層側の面に、酸価が0.01以上20以下であるアクリル樹脂に、近赤外線吸収剤として、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を含有する、近赤外線吸収性組成物からなる近赤外線吸収層が積層されていることを特徴とする。
本発明に係る電磁波遮蔽フィルタの層構成を図面を用いて説明する。
本発明に係る電磁波遮蔽フィルタの一例の断面図を図1で概念的に示す。なお、図1及び図2に示す断面図において、説明の容易化のために、厚み方向(図の上下方向)の縮尺を面方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張し、尚且つ当該電磁波遮蔽フィルタの厚み方向の縮尺をプラズマディスプレイパネル(以下PDPとも称呼)の厚み方向の縮尺よりも大幅に拡大して図示してある。電磁波遮蔽フィルタ1は、本発明に係る電磁波遮蔽フィルタの好適な実施形態のうちの第一の実施形態であり、透明樹脂基材10の一方の面にアルミニウムの薄膜からなる導電性メッシュ層11を備えた電磁波遮蔽シートの、当該導電性メッシュ層11側の表面に、近赤外線吸収層12が当該導電性メッシュ層11の凹凸を平坦化するように形成されている。
本発明に係る電磁波遮蔽フィルタ1は、プラズマディスプレイパネル20の前面に配置されれば、図1において図示していないが、粘着剤層を利用してプラズマディスプレイパネルに直接貼り付けられるものであっても、別途光学機能等を有していても良い他の板状透明基材に貼り付けた上で、プラズマディスプレイの前面に配置されても良い。
図2は、本発明に係る電磁波遮蔽フィルタの好適な実施形態のうちの第二の実施形態であり、透明基材10の一方の面にアルミニウムの薄膜からなる導電性メッシュ層11を備えた電磁波遮蔽シートの、当該導電性メッシュ層11側の表面に、近赤外線吸収層12が当該導電性メッシュ層11の凹凸を平坦化するように形成され、当該近赤外線吸収層12の上に機能層40が積層されている。また、前記導電性メッシュ層11は、周縁部の接地用領域の一部13が露出している。
以下、本発明の電磁波遮蔽フィルタを構成する各層について説明する。
(1)電磁波遮蔽シート
本発明で用いられる電磁波遮蔽シートは、透明基材の一方の面に、アルミニウムの薄膜からなる導電性メッシュ層を備えたものが用いられる。
(導電性メッシュ層)
導電性メッシュ層は、導電性を有することで電磁波遮蔽機能を担える層であり、またそれ自体は不透明性材料からなるが、多数の開口部が存在するメッシュ状の形状に加工することにより、電磁波遮蔽性能と光透過性を両立させている層である。
本発明で用いられる導電性メッシュ層は、一般的な圧延アルミニウム箔を使用することが可能であり、その厚みは5〜50μmであることが好ましく、更に5〜25μmであることが好ましい。厚さがこれより薄くなり過ぎると電気抵抗上昇により十分な電磁波遮蔽性能を得難くなり、厚さがこれより厚くなり過ぎると高精細なメッシュ形状が得難くなり、メッシュ形状の均一性が低下する。導電性メッシュ層の平坦化を行いやすく、平坦化を行った際に気泡の混入が少なく、透明性に優れた電磁波遮蔽フィルタを得やすい点からは、当該導電性メッシュ層の厚さは5〜20μmであることが好ましい。また、アルミニウムとしては純粋なアルミニウムの他、アルミニウム合金を用いることもできる。但し、電磁波遮蔽性(導電性)の観点から、アルミニウム純度が95%以上のアルミニウム箔を使用することが好ましい。
また、アルミニウムの薄膜からなる導電性メッシュ層の形成方法は特に限定されるものでは無く、従来公知の形成方法を適宜採用できるものである。例えば、最初は透明基材上に、全面に蒸着、スパッタ、熔射等の1或いは2以上の物理的或いは化学的形成手法を用いて非パターン状の透視性導電層を形成後、フォトエッチング(フォトリソグラフィー)加工等でメッシュ状の形状にして導電性メッシュ層としたもの、或は予め用意したアルミニウム箔をフォトエッチング加工でメッシュ状に加工し、しかる後透明基材上に、接着剤層を介して、接着したもの等が挙げられる。
[メッシュの形状]
なお、アルミニウム薄膜からなる導電性のパターン層は、十分な電磁波遮蔽性と可視光線透視性とが確保できれば、特に形状、寸法の制限は無く、メッシュ状(網状、格子状)、ストライプ状(平行線群状、縞状)等適宜の形状が用いられる。但し、任意の方向に電場が偏光した電磁波に対して電磁波遮蔽性を発揮し得るメッシュ状が特に好適である。アルミニウム薄膜からなる導電性のパターン層、即ち、導電性メッシュ層のメッシュ状としての形状は、任意で特に限定されないが、そのメッシュの開口部の形状として、正方形が代表的である。開口部の平面視形状は、例えば、正三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、台形等の四角形、五角形、六角形等の多角形、或いは、円形、楕円形等である。メッシュはこれら形状からなる複数の開口部を有し、開口部間は通常幅均一のライン状のライン部となり、通常は、開口部及びライン部は全面で同一形状同一サイズである。具体的サイズを例示すれば、開口率及びメッシュの非視認性の点で、開口部間のライン部の幅は5〜30μmが良い。また、開口部サイズは〔ライン間隔或いはラインピッチ〕−〔ライン幅〕であるが、この〔ライン間隔或いはラインピッチ〕で言うと100μm〜500μm、且つ開口率(開口部の面積の合計/メッシュ部の全面積)を50〜97%とするのが、光透過性と電磁波遮蔽性との両立性の点で好ましい。また、ラインピッチは100μm〜500μmの間でランダムでも構わない。
なお、バイアス角度(メッシュのライン部と電磁波遮蔽シートの外周辺との成す角度)は、ディスプレイの画素ピッチや発光特性を考慮して、モアレが出難い角度に適宜設定すれば良い。
[接地用領域とメッシュ領域]
また、導電性メッシュ層11は、図3の平面図で概念的に例示する導電性メッシュ層11のように、その平面方向に於いて、中央部のメッシュ領域111以外に周縁部に接地用領域112を備えた層とするのが、接地をとり易い点でより好ましい。当該接地用領域は画像表示を阻害しないために、画像表示領域周縁部の一部又は全周に形成する。当該メッシュ領域とは電磁波遮蔽フィルタを適用するディスプレイの画像表示領域を全て覆うことができる領域である。当該接地用領域とは接地をとるための領域である。当該画像表示領域とは、ディスプレイが実質的に画像を表示する領域(実質的画像表示領域)を少なくとも意味するが、ディスプレイを観察者から見た場合にディスプレイの外枠体による枠の内側全体の領域も便宜上含めた意味としても良い。その理由は、当該枠の内側で且つ実質的画像表示領域の外側に黒い領域(縁取り)が存在する場合、そこは本来画像表示領域外だが、目に触れる以上は外観が実質的画像表示領域と異なるのは違和感が生じるからである。
なお、接地用領域に於いては、基本的には、アルミニウム薄膜へのメッシュ形成(開口部穿孔)は不要だが、接地用領域の反り防止等の目的から、開口部から成るメッシュが存在しても良い。
[黒化処理]
黒化処理は上記導電性メッシュ層の面の光反射を防ぐためのものであり、黒化処理で形成された黒化処理面により、導電性メッシュ層面での外光反射による透視画像の黒レベルの低下を防いで、また、透視画像の明室コントラストを向上させて、ディスプレイの画像の視認性を向上するものである。黒化処理面は、導電性メッシュ層のライン部(線状部分)の全ての面に設けることが好ましいが、表裏両面のうち少なくとも観察者側であると共に外光入射側の面を黒化処理面とすることが好ましい。ライン部の表裏両面や、側面(両側或いは片側)が更に黒化処理されていても良い。黒化層は、少なくとも観察者側に設ければ良いが、ディスプレイ面側にも設ける場合には、ディスプレイから発生する迷光を抑えられるので、さらに、画像の視認性が向上する。
黒化処理としては、アルミニウム薄膜の表面を粗化するか、全可視光スペクトルに亘って光吸収性を付与するか、或いは両者を併用するか、何れかにより少なくとも最表面を黒(色)化することにより行なう。特に黒化処理を層の形成により行う場合、斯かる層を黒化層と称呼する。具体的に黒化処理としては、導電性メッシュ層上にメッキ等で黒化層を付加的に設ける他、エッチング等で表面から内部に向かって当該表面を構成する層自体を黒化層に変化させても良い。
尚、ここで言う「黒化層」乃至「黒化処理」の色は完全な黒である必要はなく、低明度の(暗い)有彩色又は無彩色、即ち、所謂暗色であれば、黒化層(黒化処理)の目指す相応の効果を奏する。斯かる暗色としては、具体的には、黒、濃い(低明度の)灰色等の無彩色、紺色、褐色、深緑色、臙脂色、濃紫色等の低明度の有彩色が挙げられる。
また、黒化層は黒等の暗色を呈し、密着性等の基本的物性を満足するものであれば良く、公知の黒化層を適宜採用し得る。従って、黒化層としては、金属等の無機材料、黒着色樹脂等の有機材料等を用いることができ、例えば無機材料としては、金属、合金、金属酸化物、金属硫化物の金属化合物等の金属系の層として形成する。金属系の層の形成法としては、従来公知の各種黒化処理法を適宜採用できる。
(透明基材)
透明基材は電磁波遮蔽シートを構成する一部の層であり、必要に応じて接着剤層を介して導電性メッシュ層を積層するための基材となる層である。また、必要に応じて紫外線吸収機能を付加させてもよい。従って、透明基材としては、機械的強度、光透過性と共に、適宜紫外線吸収能を有すれば、その他、耐熱性等の性能を適宜勘案したものを用途に応じて選択すればよい。このような、透明基材の具体例としては、樹脂等の有機材料或は硝子等の無機材料からなるシート(乃至フィルム。以下同様。)又は板が挙げられる。透明基材の透明性は高いほどよいが、好ましくは可視光域380〜780nmにおける光線透過率が70%以上、より好ましくは80%以上となる光透過性が良い。なお、光透過率の測定は、分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いることができる。
透明基材の材料として用いる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸‐イソフタル酸‐エチレングリコール共重合体、テレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン‐アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、これらの樹脂は、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む)として用いられ、透明樹脂基材の層構成は、単層、又は2層以上の積層体として用いられる。また、樹脂フィルムの場合、1軸延伸や2軸延伸した延伸フィルムが機械的強度の点でより好ましい。また、これら樹脂中には、必要に応じて適宜、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。又、硝子としては、ソーダ硝子、カリ硝子、硼珪酸硝子、石英硝子等が挙げられる。通常、硝子の場合は、厚みの有る板状で用いられる。
透明基材の厚さは、基本的には用途に応じ選定すればよく、特に制限はないが、通常は12〜5000μm、好ましくはフィルムの場合は50〜500μm、より好ましくは50〜200μm、板の場合は500〜3000μmである。このような厚み範囲ならば、機械的強度が十分で、反り、弛み、破断などを防ぎ、連続帯状で供給して加工する事も容易である。
なお、本発明では、透明基材としては、特に、可撓性の有る樹脂フィルム或は板から成るものが、製造加工適性が良好で、重量、価格も低減できる点で好ましい。特に、これら樹脂から成る基材を透明樹脂基材と称呼し、以降はこれを主体に例示して説明する。
この様な点で、透明樹脂基材の形態としては樹脂板よりは透明樹脂フィルムが好ましい。当該樹脂フィルムのなかでも特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルムが、透明性、耐熱性、コスト等の点で好ましく、より好ましくは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが最適である。
また、本発明においては、透明樹脂基材が紫外線吸収機能を有する場合、当該透明樹脂基材は、当該透明樹脂基材の樹脂中に紫外線吸収剤を練り込んだり、当該透明樹脂基材の構成層の一部として紫外線吸収剤を含む表面コート層を表面に設けたり、或いはこれら両方を併用した、構成としてもよい。なお、表面コート層を設ける表面は表裏面のいずれか片側、又は両側のいずれでもよい。
また、透明樹脂基材には、密着性改善機能、耐久性改善機能、印刷性改善機能、及び耐溶剤性改善機能等の各種機能を適宜付与した下地層が形成されていてもよい。
(接着剤層)
接着剤層は図1の電磁波遮蔽シートにおいて図示していないが、接着剤層(本願明細書に於いては、所謂粘着剤層も、接着剤層の一形態として包含する)が用いられても良い。接着剤層は、導電性メッシュ層と透明樹脂基材とを接着することが可能な層であれば、その種類等は特に限定されるものではないが、若し、上記導電性メッシュ層を構成するアルミニウム箔と透明樹脂基材とを接着剤層を介して貼り合わせた後、アルミニウム箔をエッチングによりメッシュ状とする場合は、接着剤層も耐エッチング性を有することが好ましい。具体的には、ポリエステルウレタン、アクリルウレタン、ポリエーテルウレタン等のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール単独もしくはその部分鹸化品、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、本発明に用いられる接着剤層(又は粘着剤層)は、熱可塑性樹脂の他、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型であってもよい。特に、透明樹脂基材との密着性などの観点からポリウレタン樹脂、アクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂が好ましい。
尚、透明基材上に、蒸着等の方法により直接アルミニウム薄膜を析出、堆積させる場合は、接着剤層は不要である。
接着剤層を介してドライラミネーション法等により透明樹脂基材と導電性メッシュ層を形成するためのアルミニウム箔とを接着することができる。また、この接着剤層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内、中でも1μm〜20μmであることが好ましい。これにより、透明樹脂基材と導電性メッシュ層とを強固に接着することができ、また、導電性メッシュ層を形成するエッチングの際に透明樹脂基材が塩化鉄等のエッチング液の影響を受けること等を防ぐことができるからである。
(2)近赤外線吸収層(粘着剤層)
近赤外線吸収層(特にアクリル樹脂が粘着剤形態の場合は、近赤外線吸収粘着剤層と称呼する)は、本発明の近赤外線吸収性組成物を用いて形成されたものであり、近赤外線吸収機能を有する層である。以下に、近赤外線吸収層を形成する近赤外線吸収性組成物の組成について説明する。
(複合タングステン酸化物微粒子)
一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で示される複合タングステン酸化物微粒子は、本発明において近赤外線吸収剤として機能する。従って本発明で用いられる近赤外線吸収性組成物は、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1,100nmの波長域を吸収するものであり、当該帯域の近赤外線の透過率が20%以下、更に10%以下であることが好ましい。
前記一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子は、六方晶、正方晶、立方晶の結晶構造を有する場合に耐久性に優れることから、当該六方晶、正方晶、立方晶から選ばれる1つ以上の結晶構造を含むことが好ましい。例えば、六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子の場合であれば、好ましいM元素として、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの各元素から選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物微粒子が挙げられる。中でも、M元素としては、耐久性の点から、Cs(セシウム)であることが好ましい。
このとき、添加されるM元素の添加量xは、0.001以上1.0以下が好ましく、更に好ましくは0.33付近が好ましい。これは六方晶の結晶構造から理論的に算出されるxの値が0.33であり、この前後の添加量で好ましい光学特性が得られるからである。一方、酸素の存在量zは、2.2以上3.0以下が好ましい。例えば、Cs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WOなどを挙げることができるが、x、zが上記の範囲に収まるものであれば、有用な近赤外線吸収特性を得ることができる。
このような複合タングステン酸化物微粒子は、各々単独で使用してもよいが、混合して使用することも好ましい。
また、上記複合タングステン酸化物微粒子の表面を、Si、Ti、Zr、Alのいずれか1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆することが、耐候性をより向上させることができる点から好ましい。
また、複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径は、本発明で用いられる近赤外線吸収性組成物を近赤外線吸収層として用いた場合の透明性の点から800nm以下であることが好ましく、更に好ましくは200nm以下、特に好ましくは100nm以下である。尚、ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径をいい、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、日機装(株)製、ナノトラック粒度分布測定装置)を用いて測定することができる。
複合タングステン酸化物微粒子の含有量は、特に限定されないが、樹脂中に、1〜25重量%であることが好ましい。含有量が1重量%より多ければ、十分な近赤外線吸収機能を発現でき、25重量%以下であれば、十分な量の可視光線を透過できる。
(アクリル樹脂)
本発明の近赤外線吸収性組成物において、アクリル樹脂は、粘着性及び/又は非粘着性の樹脂である。当該アクリル樹脂は、上記複合タングステン酸化物微粒子、及びその他の成分の分散性、製膜性、並びに透明性を考慮し、適宜選択して用いることができる。
当該アクリル樹脂の透明性は、人が透明と感じる程度であれば特に制限はないが、JIS K7136に準拠した曇度(ヘイズ)が5以下のものが好ましく、3以下が特に好ましい。
また、当該アクリル樹脂の酸価は、0.01以上20以下であり、好ましくは1以上20以下である。当該アクリル樹脂の酸価を上記範囲とすることで当該組成物への複合タングステン酸化物微粒子を含有するアクリル樹脂の分散性をさらに向上でき、ヘイズが上がらずに透明性に優れる近赤外線吸収性組成物を得ることができる。
アクリル樹脂は、前記複合タングステン酸化物微粒子を分散可能であれば、それ自体は重合反応性のない非重合性樹脂、光硬化性や熱硬化性等の重合反応性樹脂のいずれを用いても良い。
非重合性樹脂である(メタ)アクリル樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸及びこれらの誘導体の(メタ)アクリル系単量体から誘導される繰り返し単位を有する重合体である。
尚、本発明において、(メタ)アクリル系は、アクリル系及び/又はメタクリル系を、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを、(メタ)アクリロニトリルは、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルを意味する。
上記(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n‐プロピル、(メタ)アクリル酸sec‐プロピル、(メタ)アクリル酸n‐ブチル、(メタ)アクリル酸sec‐ブチル、(メタ)アクリル酸tert‐ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n‐ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n‐オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2‐エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル及び(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
光硬化性樹脂としては、上記非重合性樹脂の化学骨格に、ビニル基や(メタ)アクリル基等のエチレン性二重結合含有基を導入した光硬化性樹脂や、上記非重合性樹脂に、エチレン性二重結合含有基を1分子あたり2つ以上有する多官能のモノマー又はオリゴマーを混合した組成物が用いられる。
多官能のモノマー又はオリゴマーのうち、2官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
3官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)クリレート、ペンタエリスリトールトリ(アク)リレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)クリレート等の3価以上の多価アルコールのトリ(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
4官能以上の多官能モノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)クリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)クリレート等を挙げることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、上記非重合性樹脂の化学骨格に、グリシジル基等のエポキシ含有基を導入した熱硬化性樹脂や、上記非重合性樹脂に、エポキシ含有基を1分子あたり2つ以上有する多官能のエポキシ樹脂、上記非重合性樹脂の化学骨格に水酸基を導入したポリオールをイソシアネート化合物で架橋させてなるアクリルウレタン、或はこれらの2種以上を混合した組成物が用いられる。
上記アクリル樹脂の総配合量は、近赤外線吸収層全体の固形分に対して40〜99重量%、更に50〜98重量%であることが好ましい。
また、本発明で用いられるアクリル樹脂は、硝子基材や金属との密着性を確保する点から、アクリル樹脂系粘着剤であることが好ましい。
粘着剤とは、接着剤の1種をいい、接着剤のうち、接着の際には室温下で単に適度な、通常、軽く手で押圧する程度の加圧のみにより、表面の粘着性のみで接着可能なものをいう。粘着剤の接着力発現には、通常特に、加熱、加湿、放射線(紫外線や電子線等)照射といった物理的なエネルギー乃至作用が不要で、且つ重合反応等の化学反応も不要である。又、粘着剤は、一般的に、接着後も再剥離可能な程度の接着力を経時的に維持し得るものである。本発明においては、公知の粘着剤として慣用されているものの中から、適度な粘着性(接着力)、透明性、分散性、塗工適性を有し、光学フィルタの透過スペクトルを実質的に変化させることの無いものを適宜選択して用いることができる。
本願発明に於いて、近赤外線吸収性組成物に用いられる粘着剤は、アクリル系樹脂である。但し、其の他の層に用いられる粘着剤としては、其の他の樹脂も含めて広範囲のものが用いられる。例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系、ポリビニルエーテル系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等が挙げられる。合成ゴム系の具体例としては、スチレン‐ブタジエンゴム、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン‐イソプレンゴム、スチレン‐イソプレンブロック共重合体、スチレン‐ブタジエンブロック共重合体、スチレン‐エチレン‐ブチレンブロック共重合体が挙げられる。シリコーン樹脂系の具体例としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの粘着剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられるアクリル樹脂系粘着剤としては、カルボキシル基を有することが、金属密着力及び粘着力の点から好ましい。又、近赤外線吸収性組成物に用いられる粘着剤に於いては、これに加えて、前記の如く複合タングステン酸化物微粒子を良好に分散せしめるのに適度な酸価を発現させる為にも好ましい。
カルボキシル基を有するアクリル樹脂系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸及び/又はそれ以外のカルボキシル基含有モノマーから誘導される繰り返し単位を含む(メタ)アクリル系粘着性重合体が挙げられ、例えば、(メタ)アクリル酸を含み、必要に応じて他のモノマーを含む2以上のモノマーを重合させた共重合体や、(メタ)アクリレートと非(メタ)アクリレート系のカルボキシル基含有モノマーと必要に応じてさらに他のモノマーを含む2以上のモノマーを重合させた共重合体が挙げられる。炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとカルボキシル基及び炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有するモノマーとの共重合体や、炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸と炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含む2種以上を用いた共重合体であるのが一般的である。
かかるアクリル樹脂系粘着剤の繰り返し単位となるカルボキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノブチル、ビニル酢酸、及びβ‐カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基を含有するビニルモノマーを挙げることができる。
また、本発明で用いられる粘着剤は、上記(メタ)アクリル酸の単独重合体でもよいが、カルボキシル基を有しないモノマーと、カルボキシル基を有するモノマーとを、適切な共重合比で共重合させた共重合体を用いることが好ましい。これにより酸価のコントロール等所望の物性を粘着剤に付与することができる。
ここで使用されるカルボキシル基を有しないモノマーとしては、上述した様な(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、特に炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられる。
また、本発明で用いられるアクリル樹脂系粘着剤には、上記の他に、アクリル樹脂系粘着剤の特性を損なわない範囲内で他の官能基を有するモノマーが共重合されていても良い。他の官能基を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2‐ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2‐ヒドロキシプロピル及びアリルアルコール等の水酸基を含有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N‐メチル(メタ)アクリルアミド及びN‐エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;N‐メチロール(メタ)アクリルアミド及びジメチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基とメチロール基とを含有するモノマー;アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びビニルピリジン等のアミノ基を含有するモノマーのような官能基を有するモノマー;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマーなどが挙げられる。この他にもフッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル等の他、スチレン及びメチルスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル化合物などを挙げることができる。
さらに、本発明で用いられるアクリル樹脂系粘着剤の繰り返し単位となるモノマーとしては、上記の様なカルボキシル基以外の官能基を有するモノマーの他に、他のエチレン性二重結合を有するモノマーを使用することができる。ここでエチレン性二重結合を有するモノマーの例としては、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル及びフマル酸ジブチル等のα,β‐不飽和二塩基酸のジエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルエーテル;スチレン、α‐メチルスチレン及びビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。
また、上記の様なエチレン性二重結合を有するモノマーの他に、エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を併用することもできる。この様な化合物の例としては、ジビニルベンゼン、ジアリルマレート、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
さらに、上記の様なモノマーの他に、アルコキシアルキル鎖を有するモノマー等を使用することができる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸2‐メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2‐メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3‐メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2‐メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4‐メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2‐エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3‐エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4‐エトキシブチルなどを挙げることができる。
アクリル樹脂系粘着剤の市販品としては、例えば、商品名:コーポニール5705‐L、5407、N‐2147、5698(日本合成化学工業(株)製)、商品名:サイビノールAT‐361(サイデン化学(株)製)、商品名:PE123(日本カーバイド工業(株)製)、商品名:SKダインSK2094 SK1850G、SK2006、SK1888、SK1831、SK1863(綜研化学(株)製)等が、ヘイズが低くなり、且つ、粘着力の点から、好適に用いられる。
(分散剤)
分散剤は、分散対象である顔料に吸着し、凝集している顔料粒子を溶剤などで濡れやすることで、顔料粒子の一次粒子化の促進、凝集防止、粘度低下、流動性改善、沈降防止等の機能を有する。本発明において、顔料である複合タングステン酸化物微粒子を粘着剤に分散する場合には適宜、公知の樹脂型分散剤、無機分散剤を用いることができる。
樹脂型分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、粘着剤や溶剤と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して粘着剤や溶剤への分散を安定化する働きをするものである。また、顔料粒子の表面電荷を増加させたり、立体障害による粒子間の反発力(排除体積効果)を高める働きをする。樹脂型顔料分散剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などが用いられる。また、(メタ)アクリル酸‐スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸‐(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン‐マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等が用いられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
無機分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等のリン酸化合物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸化合物が挙げられる。
(溶剤)
溶剤は前記近赤外線吸収性組成物を均一に混合、分散し、当該組成物に塗工性を付与するものである。
溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合溶剤であってもよい。
(その他の成分)
本発明で用いられる近赤外線吸収性組成物には、上記本発明の効果が損なわれない限り、更に、界面活性剤、可塑剤、充填剤、シランカップリング剤、イソシアネート化合物等の架橋剤等を1種以上含有させても良い。界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤が挙げられる。可塑剤としては、例えばオリゴアクリレート系等が挙げられる。
また、上記近赤外線吸収性組成物には、更に、酸化防止剤を含有させることにより、上記樹脂に起因するアルミニウムの酸化を更に抑制することができる。酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物は、導電性メッシュ層と直接接触する箇所に用いられる場合、導電性メッシュ層が酸化され色変化するのを防ぐのに好適である。
また、上記近赤外線吸収性組成物には、ネオン光吸収剤、色補正色素、紫外線吸収剤等の光学的機能を調節する成分を含有させてもよい。
(1.ネオン光吸収剤)
ネオン光吸収剤は、プラズマディスプレイパネルから放射されるネオン光即ちネオン原子の発光スペクトルを吸収する機能を有する。ネオン光吸収剤が含まれる場合には、少なくともディスプレイからのオレンジ色発光が抑制可能で、鮮やかな赤色を得ることができる。ネオン光の発光スペクトル帯域は波長550〜640nmの為、ネオン光吸収層として機能する場合の分光透過率は波長590nmにおいて50%以下、更に25%以下になるように設計することが好ましい。ネオン光吸収剤は、少なくとも550〜640nmの波長領域内に吸収極大を有する色素を用いることができる。当該色素の具体例としては、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系等を挙げることができる。これらの中でもポルフィリン系が好ましい。その中でも特に、特許第3834479号公報に開示されるような、テトラアザポルフィリン系色素が、粘着剤層中でも分散性が良好で、且つ耐熱性、耐湿性、耐光性が良好な点から好ましい。
ネオン光吸収剤の含有量は、特に限定されないが、粘着剤層中に、0.05〜5重量%であることが好ましい。含有量が0.05重量%より多ければ、充分なネオン光吸収機能を発現でき、5重量%以下であれば、十分な量の可視光線を透過できる。
(2.色補正色素)
また、色補正色素とは、パネルからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色などの改善の為にディスプレイ用フィルタの色を調整する機能を有する。各ディスプレイ毎に色補正機能の要求が異なるため、適宜調整して用いられる。
色補正色素として用いることのできる公知の色素としては、特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の色素が好適に使用できる。更にこの他にも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を使用することができる。
色補正色素の含有量は、補正すべき色に合わせて適宜調整され、特に限定されない。通常、粘着剤層中に0.01〜10重量%程度含有する。
(3.紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等の有機系化合物、微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム等からなる無機系化合物からなる公知の化合物を用いることができる。
(3)機能層
本発明においては、更に反射防止機能、防眩機能、及び耐擦傷機能よりなる群から選択される1種以上の機能を有する層(機能層)を、近赤外線吸収層の観察者(視聴者)側表面に設けてもよい。機能層は単層の他、多層として形成してもよい。
画像表示装置表面での外来光の鏡面反射による背景の映り込み、画像の白化、及び画像コントラスト低下を低減する為の手段として、本発明の電磁波遮蔽フィルタの最上層(観察者側の表面)には、反射防止機能、防眩機能を付与することが好ましく、所謂防眩層及び/又は所謂反射防止層を形成することが好ましい。前者の防眩層としては、磨りガラスのように光を散乱もしくは拡散させて外来光による背景像をボカス手法である。また、後者の反射防止層としては、屈折率の高い材料と低い材料を交互に積層し、最表面が低屈折率層となるように多層化(マルチコート)し、各層界面での反射光を干渉によって相殺することで、表面の反射を抑え、良好な反射防止効果を得る手法であり、所謂狭義の反射防止層である。
また、電磁波遮蔽フィルタに紫外線遮蔽機能をもたらす点から、前記機能層中に紫外線吸収剤を含有させても良い。
(防眩層)
防眩層(Anti Glare層、略称してAG層)は、樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーを添加した塗膜形成や、或いは賦形版等を用いた賦形加工により、層表面に外光を乱反射する微細凹凸を設けた層として形成することができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、後記のハードコート層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適に使用される。
(反射防止層)
反射防止層(Anti Reflection層、略称してAR層)は、低屈折率層の単層、或いは、低屈折率層と高屈折率層とを、当該低屈折率層が最上層に位置する様に交互に積層した多層構成が一般的であり、蒸着やスパッタ等の乾式成膜法で、或いは塗工等の湿式成膜法も利用して形成することができる。なお、低屈折率層はケイ素酸化物、フッ化マグネシウム、フッ素含有樹脂等が用いられ、高屈折率層には、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等が用いられる。尚、ここで高(低)屈折率層とは、当該層と隣接する層(例えば、低(高)屈折率層)と比較して当該層の屈折率が相対的に高(低)いという意味である。
反射防止層に更に耐擦傷機能を付与する場合には、後記する耐擦傷機能(ハードコート)層の項で記載した硬度の高い材料を適宜用いて形成する。
(耐擦傷機能層)
耐擦傷機能(ハードコート)層は、JISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と上記透明樹脂基材と同様な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。
耐擦傷機能(ハードコート)層は、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートプレポリマー、或いは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを単独で或いはこれらの中から2種以上選択して組み合わせて配合した電離放射線硬化性樹脂を用いた塗膜として形成することができる。また、電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤または光重合促進剤として増感剤を添加することができる。耐擦傷機能(ハードコート)は上記材料を必要に応じて溶剤で希釈して上記近赤外線吸収層の上に塗工等の湿式成膜法により形成することができる。
II.画像表示装置
本発明に係る画像表示装置は、画像表示装置の表示面に、上記電磁波遮蔽フィルタを備えてなることを特徴とする。このような画像表示装置においては、上記電磁波遮蔽フィルタが有する電磁波遮蔽シート及び近赤外線吸収層の働きにより、長時間の使用、特に高温高湿環境下においても、画像表示装置本体から発生する電磁波及び近赤外線の放出が遮蔽される。
画像表示装置としては、従来公知のディスプレイ、例えば、前記のPDPの他、LCD(液晶表示装置)、CRT(陰極線管表示装置)、ELD(電場発光表示装置)等を挙げることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。
(実施例1)
(導電性メッシュ層の形成)
透明樹脂基材として、厚さ100μmで連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4300:商品名、東洋紡績(株)製)の上に、熱硬化型接着剤(主剤AD76P1/硬化剤TCS−4277=15/2.2、東洋インキ製造(株))を乾燥後の膜厚が4μmとなるように塗布形成し、その上から厚み12μmのアルミニウム箔(1N30:商品名、東洋アルミニウム(株))をラミネートした後、40℃で168時間エージングを行い、電磁波遮蔽シートの原版を作製した。当該原版をフォトリソグラフィー法を利用したエッチングにより、線幅10μm、線ピッチ300μmの格子状メッシュパターンを形成し、電磁波遮蔽シートを得た。
(近赤外線吸収層(粘着剤層)の形成)
次に、上記連続帯状の電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層側の面に対して、近赤外線吸収剤を添加した近赤外線吸収層(粘着剤層)を形成した。酸価6.8のアクリル樹脂(綜研化学(株)製、SKダイン2094)100重量部に対して、硬化剤(綜研化学(株)製、E−5XM)0.25重量部、近赤外線吸収剤としてセシウム含有タングステン酸化物(Cs0.33WO)含有量18.5重量%懸濁液(住友金属鉱山(株)製、YMF−02;平均分散粒径50nm)1.32重量部を添加し、充分分散させて近赤外線吸収性組成物を調製した。
そして、上記電磁波遮蔽シートの導電性メッシュ層側の面に対して、ダイコーターにより乾燥時の厚みが25μmになるように塗布し、風速5m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥して近赤外線吸収層を形成して、連続帯状の状態で上記電磁波遮蔽シートに近赤外線吸収層が積層されている電磁波遮蔽フィルタを得た。尚、近赤外線吸収層の面には、更に再剥離可能な離型フィルムを貼り合わせて保護した。
(実施例2)
実施例1の近赤外線吸収層形成において、酸価4.5のアクリル樹脂(綜研化学(株)製、SKダイン1882)を使用した以外は実施例1と同様に電磁波遮蔽フィルタを作製した。
(実施例3)
実施例1の近赤外線吸収層形成において、酸価17のアクリル樹脂(綜研化学(株)製、SKダイン909A)を使用した以外は実施例1と同様に電磁波遮蔽フィルタを作製した。
(比較例1)
実施例1の近赤外線吸収層形成において、酸価0のアクリル樹脂((株)クラレ製、LA410)50重量部、近赤外線吸収剤としてジイモニウム色素3種((株)日本触媒製、エクスカラーIR−10A、エクスカラー906B、エクスカラー910B)をそれぞれ0.1重量部使用した以外は実施例1と同様に電磁波遮蔽フィルタを作製した。
(比較例2)
実施例1において、導電性メッシュ層の形成において、厚み10μmの電解銅箔(NC−WS:商品名、古河サーキットフォイル(株))を使用した以外は実施例1と同様に電磁波遮蔽フィルタを作製した。
(比較例3)
比較例1において、導電性メッシュ層の形成において、厚み10μmの電解銅箔(NC−WS:商品名、古河サーキットフォイル(株))を使用した以外は比較例1と同様に電磁波遮蔽フィルタを作製した。
(評価方法)
上記、各実施例、及び比較例に対して、下記の評価を行った。その結果を表1に記載する。
作製した電磁波遮蔽フィルタの初期状態、及び当該電磁波遮蔽フィルタの耐湿熱環境(60℃、湿度90%)の条件下にて、1000時間経過後の500〜1100nmの波長域における透過率Tを、分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)を用いて測定した。初期状態と、耐湿熱環境(60℃、湿度90%)の条件下で1000時間経過後の透過率Tの測定値から、透過率変化ΔTを求めた。
Figure 2009224591
(結果のまとめ)
表1に示す結果から、各実施例では、いずれも波長500nm〜1100nmでの透過率変化ΔTが5%以下であった。
一方、導電性メッシュ層として銅箔を用いた比較例2では、波長700nm〜800nmでの透過率変化ΔTの値が大きかった。これは、銅箔が酸価の高い樹脂に起因して酸化されるためである。このことは、銅箔が緑色に変色し、樹脂中に緑色に変色した銅成分が遊離したことから確認された。尚、比較例2において、近赤外線吸収性組成物中に、酸化防止剤を含有させることにより、銅箔の酸化が抑えられ、可視域の透過スペクトル変化を抑制することができる。
また、導電性メッシュ層としてアルミニウム箔を用い、近赤外線吸収剤としてジイモニウム色素を用いた比較例1では、波長900nm〜1000nmでの透過率変化ΔTの値が大きかった。これは、ジイモニウム色素がアルミニウム箔によって劣化するためである。一方、導電性メッシュ層として銅箔を用い、近赤外線吸収剤としてジイモニウム色素を用いた比較例3では、波長900nm〜1100nmでの透過率変化ΔTの値が、比較例1と比較して小さい。このことから、ジイモニウム色素は、銅箔よりもアルミニウム箔による劣化の影響が大きいといえる。
以上の結果から、導電性メッシュ層としてアルミニウム箔を用いた場合と銅箔を用いた場合では、近赤外線吸収剤の劣化を抑制する傾向が異なり、アルミニウム箔は銅箔と比較して、複合タングステン酸化物微粒子を劣化させ難い効果が高いことが分かった。
図1は、本発明に係る電磁波遮蔽フィルタの一例の断面模式図である。 図2は、本発明に係る電磁波遮蔽フィルタの一例の断面模式図である。 図3は、本発明に用いられる導電性メッシュ層の一例の平面図である。
符号の説明
1 電磁波遮蔽フィルタ
10 透明基材
11 導電性メッシュ層
12 近赤外線吸収層
13 接地用領域の一部
20 プラズマディスプレイパネル
30 観察者
40 機能層
111 メッシュ領域
112 接地用領域

Claims (7)

  1. 透明基材の一方の面にアルミニウムの薄膜からなる導電性メッシュ層を備えた電磁波遮蔽シートの、当該導電性メッシュ層側の面に、酸価が0.01以上20以下であるアクリル樹脂に、近赤外線吸収剤として、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を含有する、近赤外線吸収性組成物からなる近赤外線吸収層が積層されていることを特徴とする、電磁波遮蔽フィルタ。
  2. 前記アクリル樹脂が、粘着剤であることを特徴とする、請求項1に記載の電磁波遮蔽フィルタ。
  3. 前記複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径が、800nm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽フィルタ。
  4. 前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶、正方晶、立方晶のいずれか1種類以上の結晶構造を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽フィルタ。
  5. 前記複合タングステン酸化物微粒子を表す一般式MxWyOzにおいて、M元素がCs(セシウム)であり、当該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽フィルタ。
  6. 前記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上の元素を含有する酸化物で被覆されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽フィルタ。
  7. 画像表示装置の表示面に、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電磁波遮蔽フィルタを備えてなる画像表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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