JP2009223972A - 垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高密度記録に対応しつつ、サイドイレーズを抑制することのできる垂直磁気記録媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】 垂直磁気記録媒体20は、垂直磁気異方性材料により形成された記録層7と、記録層7上に設けられ非磁性材料により形成された分離層21と、分離層21上に設けられ軟磁性材料により形成された書き込み補助層8とを有する。書き込み補助層8の膜厚は3nm以上5nm以下であり、分離層21の膜厚は3nm以上5nm以下である。
【選択図】図2
【解決手段】 垂直磁気記録媒体20は、垂直磁気異方性材料により形成された記録層7と、記録層7上に設けられ非磁性材料により形成された分離層21と、分離層21上に設けられ軟磁性材料により形成された書き込み補助層8とを有する。書き込み補助層8の膜厚は3nm以上5nm以下であり、分離層21の膜厚は3nm以上5nm以下である。
【選択図】図2
Description
本発明は、垂直磁気記録媒体及び磁気記憶装置に係り、特に高密度記録に適した垂直磁気記録媒体及びそのような垂直磁気記録媒体を備えた磁気記憶装置に関する。
情報処理技術の発展に伴い、コンピュータの外部記憶装置として用いられている磁気ディスク装置に対して、大容量化や高速転送化等の高性能化が要求されている。このような要求に答えるべく磁気記録の高記録密度化を達成するために、近年、原理的に高密度記録に適している垂直磁気記録方式が実用化されている。
垂直磁気記録方式においても、水平磁気記録方式の場合と同様に、高記録密度化に対して磁気記録媒体の記録層(又は、磁性層)の低ノイズ化を図ることが効果的である。従来は、記録層の保磁力を高くする、あるいは記録層を構成する磁性粒子を微細化・孤立化することでノイズを低減している。
ノイズを低減するために、垂直記録層の一部に磁性粒子と非磁性酸化物あるいは非磁性窒化物とで構成されたいわゆるグラニュラ層が用いられている。記録層をグラニュラ層で構成すると、磁性粒子の周りに酸化物若しくは窒化物が偏析した状態となり、磁性粒子同士の磁気的な分離が向上する。通常、記録層の磁気記録特性を向上させるために、グラニュラ層の上に軟磁性材料よりなる軟磁性層が設けられる。この軟磁性層は、書き込み補助層あるいは補助記録層とも称される。
例えば、記録層上に異方性の小さい磁性体を補助記録層として積層することで、書き込み性能と熱揺らぎ耐性を両立させた垂直磁気記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。記録磁界が加わると補助記録層の磁化が反転し、それに伴って記録層の磁化も反転するため、補助記録層が設けられない場合に比べて小さな記録磁界でも記録できるようになり、書き込み特性が向上する。
特開2006−309922号公報
上述のような高密度記録に適した垂直磁気記録媒体において、記録ビットをトラック方向に狭くして記録を行うと、磁気記録ヘッドからの漏れ磁界により、隣接トラック上の記録が消去されてしまうという現象が発生する。この現象はサイドイレーズと称され、書き込み特性が悪化する要因となる。
そこで、高密度記録に対応しつつ、サイドイレーズを抑制することのできる垂直磁気記録媒体の開発が望まれている。
上述の目的を達成するために、垂直磁気異方性材料により形成された記録層と、該記録層上に設けられ、非磁性材料により形成された分離層と、該分離層上に設けられ、軟磁性材料により形成された書き込み補助層とを有し、前記書き込み補助層の膜厚は3nm以上5nm以下であり、前記分離層の膜厚は3nm以上5nm以下である垂直磁気記録媒体が提供される。
上述の垂直磁気記録媒体によれば、磁気記録層と書き込み補助層との間に分離層を設けることにより、書き込み補助層と磁気記録層の間には交換結合力は働かず、静磁結合力が働くこととなる。これにより、磁気記録中のトラックに隣接したトラックに向かう磁界が抑制され、サイドイレーズを抑制することができる。
一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。
まず、垂直磁気記録媒体の基本構造について説明する。図1は、垂直磁気記録層としてグラニュラ磁性層を有する垂直磁気記録媒体の断面図である。
図1に示す垂直磁気記録媒体は、非磁性の基材1の上に、第1シード層2、下側軟磁性層3a、磁区制御層3b、上側軟磁性層3c、第2シード層4,配向制御層5、非磁性層6、記録層7、書き込み保護層8,保護層9、潤滑剤層10を順次形成したものである。
非磁性の基材1として、表面の化学処理によって剛性が高められたガラス基板を用いることが好ましい。ただし、基材1はガラス基板に限定されず、記録媒体がハードディスクのようなソリッドな媒体の場合には、プラスチック基板、NiPめっきアルミ合金基板、及びシリコン基板を用いてもよい。また、記録媒体が可撓性のテープ状である場合には、PET (Poly Ethylene Telephtharate)基材、PEN(Ploy Ethylene Naphthalate)基材、ポリイミド基材等を、基材1として用いてもよい。
第1シード層2は、スパッタ法により形成された厚さ約3nmのCr(クロム)層である。第1シード層2は、後の工程で積層される膜に基材1の表面状態を伝えないようにする役割を担うと共に、密着層としての機能も有する。第1シード層を形成しなくても後の膜の結晶性に問題が無いなら、第1シード層2を省略してもよい。
第1シード層2上の下側軟磁性裏打層3aは、軟磁性のアモルファスCoZr(コバルト4−ジルコニウム合金)をスパッタ法により形成した厚さ約30nmの軟磁性層である。CoZrにTa(タンタル)又はNb(ニオブ)を添加してもよい。また、下側軟磁性裏打層3aを形成する軟磁性のアモルファス材料はCoZrに限定されず、FeC(鉄−炭素合金)で下側軟磁性裏打層3aを構成してもよい。その場合、FeCにCo(コバルト)又はNi(ニッケル)を添加してもよい。
下側軟磁性裏打層3a上の磁区制御層3bは、スパッタ法により形成された極薄い非磁性層であり、例えば厚さ約0.5nm〜0.8nmのRu(ルテニウム)層である。Ru層に代えてCu(銅)層を磁区制御層3bとして形成してもよい。
磁区制御層3b上の上側軟磁性裏打層3cは、下側軟磁性裏打層3aと同じ成膜条件でスパッタ法により形成した厚さ約30nmのアモルファスCoZr層である。下側軟磁性裏打層3aと同様に、上側軟磁性裏打層3cは軟磁性のアモルファス材料で形成されれば良く、FeC層を上側軟磁性裏打層3cとして形成してもよい。
上側軟磁性裏打層3c上の第2シード層4は、スパッタ法により形成された厚さ約3nmのTa(タンタル)層である。Ta層に代えて、C(炭素)層を第2シード層4として形成してもよい。
シード層4の上の配向制御層5は、スパッタ法により形成した厚さ約5nmの軟磁性のNiFe(ニッケル鉄合金)層である。配向制御層5を構成するNiFe層は、その下に第2シード層4を形成したことで、裏打層3の表面状態を拾わずに良好なfcc構造の結晶構造となる。このようなfcc構造を有する材料として、NiFeの他に、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、NiFeSi(ニッケル鉄シリコン合金)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、及びIn(インジウム)を用いてもよい。
配向制御層5上の非磁性層6は、スパッタ法により形成した厚さ約10nmのRu層である。非磁性層6を構成するRu層の結晶構造はhcp(hexagonal close-packed)構造であるが、このhcp構造は配向制御層5の結晶構造であるfcc(face-centered cubic)構造と格子マッチングがよい。更に、配向制御層5は、その下の第2シード層4の上面の凹凸を吸収するようにも機能する。このような配向制御層5の作用によって、配向が一方向に揃えられて良好な結晶性を有する非磁性層6が配向制御層5上に成長する。なお、Ru層に代えて、Co、Cr、W(タングステン)、及びRe(レニウム)のいずれかとRuよりなるRu合金により、hcp構造の非磁性層6を形成してもよい。
以上のように、基材1の上に、上述のように層2〜6が積層されて下地層が形成されている。この下地層の上に磁気異方性材料により形成された垂直磁気記録層として記録層7が設けられる。以下に、非磁性層6上に形成された記録層7について説明する。
記録層7は、例えば、Co70Cr10Pt20及びSiO2をターゲットとして、スパッタ法により比較的高圧(約3〜7Pa)の成膜条件で形成することができる。スパッタ法において比較的高圧(約3〜7Pa)の成膜条件を採用すると、低圧且つ高温で成膜する場合と比較して疎な膜ができる。そのため、非磁性層6の上では、ターゲット材料のCo70Cr10Pt20とSiO2とが互いに混ざり合わず、酸化シリコン(SiO2)よりなる非磁性材料の中にCo70Cr10Pt20よりなる磁性粒子が分散したグラニュラ構造の記録層7が形成される。記録層7の膜厚は10nm〜20nm程度である。
記録層7の下のhcp構造の非磁性層6は、膜面に対し垂直方向に磁性粒子の配向を揃えるように機能するため、磁性粒子は、非磁性層6と同じように垂直方向に延びたhcp構造の結晶構造となる。また、hcp構造の六角柱の高さ方向が磁化容易軸になり、記録層7が垂直磁気異方性を呈するようになる。上述のグラニュラ構造の記録層7では、磁性粒子の各々が磁化容易軸を揃えて孤立化しているため、記録層7でのノイズを低減することができる。
上述の記録層7では、非磁性材料として酸化シリコンを用いているが、酸化シリコン以外の酸化物を非磁性材料として用いることもできる。そのような酸化物としては、例えば、Ti(チタン)、Cr、及びZr(ジルコニウム)等の酸化物がある。更に、Si(シリコン)、Ti、Cr、及びZrのいずれかの窒化物を非磁性材料として用いることもできる。
次に、上述の記録層7上に形成された書き込み補助層8について説明する。
書き込み補助層8は、Arガスをスパッタガスとして用いるスパッタ法により形成したCoとCrとを含む合金層であり、例えば厚さ3nm〜8nmのCo66Cr20Pt10B4層である。書き込み補助層8を形成するCo66Cr20Pt10B4層は、その下の記録層7中の磁性粒子と同じ結晶構造のhcp構造を有するため、磁性粒子7bと補助層8との格子マッチングは良好である。したがって、結晶性の良い書き込み補助層8が記録層7上に形成される。
Co66Cr20Pt10B4層には、CrとPtがそれぞれ20at%及び10at%の含有率で含まれているのに対し、記録層7の磁性粒子を形成するCo70Cr10Pt20では、CrとPtがそれぞれ10at%及び20at%の含有率で含有されている。このように、書き込み補助層8と比較して、磁性粒子におけるCrの含有率を低く、且つPtの含有率を高くすることにより記録層7の垂直磁気異方性が書き込み補助層8よりも一層向上する。その結果、記録層7での磁気データの分解能が高まって書き込みコア幅を狭くすることができ、高記録密度の記録層7を得ることができる。さらに、CrとPtの含有率を上述のようにすることで、記録層7の抗磁力Hcが増大し、記録層7でのノイズの一部、例えば遷移ノイズをより一層低減することもできる
なお、書き込み補助層8を形成するCo66Cr20Pt10B4層に、Ta(タンタル)、Cu(銅)、及びNi(ニッケル)のいずれかを添加してもよい。
なお、書き込み補助層8を形成するCo66Cr20Pt10B4層に、Ta(タンタル)、Cu(銅)、及びNi(ニッケル)のいずれかを添加してもよい。
書き込み補助層8上の保護層9は、例えばRE−CVD (Radio Frequency-Chemical Vapor Deposition)法により形成した厚さ約4nmのDLC(Diamond Like Carbon)層である。保護層9上の潤滑剤層10は、保護層9上に潤滑剤を塗布することにより形成された層である。
次に、本発明の一実施形態による垂直磁気記録媒体について図2を参照しながら説明する。本実施形態では、一例として図1に示す垂直磁気記録媒体を用いている。図2において、図1に示す構成部品と同等な部品には同じ符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態による垂直磁気記録媒体20は、記録層7に磁気記録を行う際にサイドイレーズを抑制する効果を有する分離層21を有する。分離層21は記録層7とその上の書き込み補助層8との間に設けられ、非磁性体により形成された非磁性層である。分離層21の膜厚は、後述のように3nm以上5nmとすることが好ましい。
分離層21は、非磁性材料を例えばスパッタ法により記録層7上に堆積させることにより形成する。分離層21を形成するための非磁性材料は種々の材料があり、例えば、Cr,Pt,Ru,Cu,Ag,Au,Al,Ta,Ti,Si及びそれらの合金のうちから選ばれた材料、又はSiO2,ZrO2,Al2O3,MgO,TiO2,AlN,NiO,Si3N4,HfB2,ZrCのうちから選ばれた材料を用いることができる。記録層7及び書き込み補助層8との適合性、記録層7及び書き込み補助層8の材料、形成時のプロセス条件などを考慮して適宜選択すればよい。
図3は、記録層7、分離層21、及び書き込み補助8を拡大して示す断面斜視図である。上述のように書き込み補助層8は記録層の磁化を容易にするために設けられた層である。記録層7の上に書き込み補助層8が直接形成されている場合、書き込み補助層8と記録層7との間には交換結合力が働く。このため、書き込み補助層8の磁化と記録層7の磁化は同時に進む。すなわち、磁気記録を行うために記録層7の一部の磁化を反転させようとすると、軟磁性層である書き込み補助層8の磁化と記録層7の磁化の反転は同時に進行する。
一方、本実施形態のように書き込み補助層8と記録層7の間に所定の厚さの分離層21を介在させると、書き込み補助層8と記録層7との間には交換結合力が働かず、その代わりに静磁結合力が働くこととなる。この場合、磁気記録を行うために記録層7の一部の磁化を反転させようとすると、まず軟磁性層である書き込み補助層8の磁化が反転し、その後記録層7に磁化が反転することとなる。
図4は分離層21を設けた本実施形態による垂直磁気記録媒体における磁化特性を示すグラフである。図4に示す磁化曲線(M−Hループ)において、磁界を強くしていくと、点線で囲んだ領域Aにおいて磁化曲線の傾きが大きく変化し、点線で囲んだ領域Bにおいて磁化曲線の傾きが小さくなることがわかる。これは、領域Aにおいては軟磁性層である書き込み補助層8の磁化が反転し、その後、領域B部において記録層7の磁化が反転したことを示している。
図5は分離層21を設けた本実施形態による垂直磁気記録媒体に磁気記録を行う際の書き込み補助層8と記録層7の磁化方向の変化を示す図である。図5では書き込み補助層8の上の保護層9及び潤滑剤層10は説明の便宜上省略している。図5において、細い矢印は書き込み補助層8での磁化方向を示し、太い矢印は記録層7での磁化方向を示す。また、図5において、記録層7中の一つの矢印は垂直磁気記録媒体の一つの記録トラックに相当するものとする。
垂直磁気記録媒体20の書き込み補助層8に図5(a)に示すように記録ヘッド30を近づけて磁界を印加し、その部分(記録トラック)の磁化を反転させる場合を考える。記録ヘッド30により磁界を印加する前は記録層7の磁化方向は上向きである。この時の軟磁性層である書き込み補助層8は、記録層7と静磁結合してその磁化方向は記録層7の磁化方向と同じとなっている。
ここで、記録ヘッド30から所定の強さの磁界を印加して図5(b)に示すように記録層7の磁化を反転させるとき、書き込み補助層8と記録層7とは静磁結合しているので、記録ヘッド30から横に向かう磁束は書き込み補助層8を通過しようとする。すなわち、軟磁性層である書き込み補助層8は漏洩磁束により容易に磁化されるため、漏洩磁束が通過しやすい。したがって、図5(b)に示すように、磁化が反転されたトラックに隣接するトラックの上方において、漏洩磁束は横向きになる傾向が強くなり、この部分において書き込み補助層8の磁化方向は横向きになる。これにより、記録しようとするトラックに印加する磁束の向きと同じ向きの磁束が、隣接したトラックに印加される割合が減少する。すなわち、記録しようとするトラックに隣接したトラックへの影響が小さくなり、サイドイレーズが発生し難くなる。
記録が終了して記録ヘッド30からの磁界が無くなると、書き込み補助層8の磁化方向は、静磁結合している記録層7の磁化方向に影響され、図5(c)に示すように同じ磁化方向となる。
図6は隣接トラックに記録を行っているときの書き込み補助層8と記録層7の磁化状態の変化を示す図である。図6(a)には書き込み補助層8の磁化状態の変化が示され、図6(b)には記録層7の磁化状態の変化が示されている。
隣接トラックへの記録が開始される前は、書き込み補助層8及び記録層7の磁化状態は同じである。すなわち、書き込み補助層8の磁化方向は、図5(c)に示す状態となっており、記録層7の磁化状態(磁化方向)に一致している。
隣接トラックへの記録が開始されると、書き込み補助層8の磁化状態は、隣接トラックへの記録に影響されて順次変化する。図6(a)における(1)、(2)、(3)は記録ヘッドが隣接路ラックに記録を行いながら次第に移動していくときの書き込み補助層8の磁化状態を示している。例えば(2)の磁化状態は(1)から0.1秒後の磁化状態であり、(3)の磁化状態は(2)から0.1秒後の磁化状態である。
一方、図6(b)に示されるように、記録層7の磁化状態は隣接トラックへの記録が行われている間にはほとんど変化はない。隣接トラックへの記録後の磁化状態を見ると、隣接トラックとの境界近傍が僅かに影響を受けているだけであることがわかる。したがって、隣接トラックへの記録に起因したサイドイレーズが抑制されていることがわかる。
なお、隣接トラックに記録後の磁化状態において、隣接トラックとの境界付近において黒と白の反転パターンが隣接トラックの記録ビットに対応して変化した磁化状態を示している。また、隣接トラックに記録後の書き込み補助層8の磁化状態は、隣接トラックに記録後の記録層7の磁化状態と同じとなっていることがわかる。
サイドイレーズの抑制効果は、分離層21の膜厚と書き込み保護層8の膜厚に依存する。そのため、分離層21の膜厚及び書き込み保護層8の膜厚を変化させてサイドイレーズの抑制効果を調べた。サイドイレーズの抑制効果を表す指標として記録S/N比の差分σS/Nmを用いた。σS/Nmは、あるトラックに記録を行って得られたS/Nmと、当該トラックに隣接したトラックに記録を行った後に得られた当該トラックのS/Nmとの差分である(σS/Nm=隣接トラック記録後S/Nm−隣接トラック記録前S/Nm)。
図7は、分離層21の膜厚及び書き込み保護層8の膜厚を変化させて記録S/N比の差分σS/Nmを調べた結果を示すグラフである。図7のグラフにおいて、横軸は分離層21の厚さを示し、縦軸は記録S/N比の差分σS/Nmを示す。なお、σS/Nmを調べるための試料として図2に示す垂直磁気記録媒体を用作成した。記録層7はCoCrPt−SiO2により形成し、その膜厚は10nm〜20nmであった、書き込み補助層8はCoCrPtBにより形成し、その膜厚は2nm〜8nmであった。
分離層21の膜厚が0という点は分離層21を設けておらず、書き込み補助層8が記録層7の上に直接形成されていることを示している。分離層21の膜厚を厚くしていくと、膜厚が1.5nm付近からσS/Nmは極端に悪くなるが、2.5nm付近から急激に小さくなり、3nmから4nmでほぼ最小となることがわかった。この最小値は分離層21が設けられていない場合の値よりさらに小さい値であり、分離層21を設けることでσS/Nmが向上する、すなわちサイドイレーズの抑制効果があるということがわかった。
図7から分かるように、上層の書き込み補助層8の膜厚が2nmと6nmのときは、σS/Nmの値は分離層21を設けないときの値よりは小さくならず、サイドイレーズの抑制効果が無いことがわかった。
一方、上層の書き込み補助層8の膜厚が3nmのときは、分離層21の厚さが3nmから5nmの間で、σS/Nmの値は分離層21を設けないときの値よりは小さくなり、サイドイレーズ効果があることがわかった。また、上層の書き込み補助層8の膜厚が4nmのときは、分離層21の厚さが3nmから5nmの間で、σS/Nmの値は分離層21を設けないときの値よりは小さくなり、サイドイレーズ効果があることがわかった。さらに、上層の書き込み補助層8の膜厚が5nmのときも、分離層21の厚さが3nmから5nmの間で、σS/Nmの値は分離層21を設けないときの値よりは小さくなり、サイドイレーズ効果があることがわかった。
以上の結果より、書き込み補助層8の膜厚が3nm以上5nm以下の場合に、分離層21の膜厚を3nm以上5nm以下とすることで、サイドイレーズの抑制効果があることが確認できた。
図8は、上述の実施形態による垂直磁気記録媒体20を適用したハードディスクドライブなどの磁気記憶装置の内部平面図である。磁気記憶装置40は、ハウジング41内に収容され、スピンドル(図示せず)により駆動されるハブ42、ハブ42に固定されスピンドルにより回転される磁気記録媒体43、アクチュエータユニット44、アクチュエータユニット44に支持され磁気記録媒体43の径方向に駆動されるアーム45およびサスペンション46、およびサスペンション46に支持される磁気ヘッド48を有する。磁気記録媒体43は、複数の垂直磁気記録媒体20を多段に構成したものであり、それぞれの垂直磁気記録媒体10に対応する磁気ヘッド48が設けられる。磁気ヘッド48は、磁気記録再生手段の少なくとも一部に含まれる。このような磁気記憶装置40は、垂直磁気記録媒体20ごとに高いS/Nと、狭いライトコア幅を有し、且つサイドイレーズが抑制され、全体として高性能かつ高記録密度の磁気記憶装置となっている。
1 基材
2 第1シード層
3a 下側軟磁性層
3b 磁区制御層
3c 上側軟磁性層
4 第2シード層
5 配向制御層
6 非磁性層
7 記録層
8 書き込み保護層
9 保護層9
10 潤滑剤層10
20 垂直磁気記録媒体
21 分離層
30 記録ヘッド
40 磁気記憶装置
43 磁気記録媒体
48 磁気ヘッド
2 第1シード層
3a 下側軟磁性層
3b 磁区制御層
3c 上側軟磁性層
4 第2シード層
5 配向制御層
6 非磁性層
7 記録層
8 書き込み保護層
9 保護層9
10 潤滑剤層10
20 垂直磁気記録媒体
21 分離層
30 記録ヘッド
40 磁気記憶装置
43 磁気記録媒体
48 磁気ヘッド
Claims (5)
- 垂直磁気異方性材料により形成された記録層と、
該記録層上に設けられ、非磁性材料により形成された分離層と、
該分離層上に設けられ、軟磁性材料により形成された書き込み補助層と
を有し、
前記書き込み補助層の膜厚は3nm以上5nm以下であり、前記分離層の膜厚は3nm以上5nm以下である垂直磁気記録媒体。 - 請求項1記載の垂直磁気記録媒体であって、
前記分離層を形成する非磁性材料は、Cr,Pt,Ru,Cu,Ag,Au,Al,Ta,Ti,Si及びそれらの合金のうちから選ばれた材料、又はSiO2,ZrO2,Al2O3,MgO,TiO2,AlN,NiO,Si3N4,HfB2,ZrCのうちから選ばれた材料である垂直磁気記録媒体。 - 請求項1記載の垂直磁気記録媒体であって、
前記記録層は、磁性粒子が非磁性材料内に分散したグラニュラ構造を有する垂直磁気記録媒体。 - 請求項1記載の垂直磁気記録媒体であって、
前記記録層はCoCrPt−SiO2により形成され、前記書き込み補助層はCoCrPtBにより形成される垂直磁気記録媒体。 - 磁気ヘッドを含む磁気記録再生機構と、
請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の垂直磁気記録媒体と
を有する磁気記憶装置。
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WO2012164825A1 (ja) * | 2011-06-03 | 2012-12-06 | 富士電機株式会社 | 垂直磁気記録媒体およびその製造方法 |
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2008
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
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