JP2009222841A - 光学反射素子 - Google Patents

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二郎 寺田
Shinsuke Nakazono
晋輔 中園
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Abstract

【課題】本発明は二軸駆動の光学反射素子において、振動の周波数比を大きくすることを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するため本発明は、ミラー部1と、このミラー部1と支持部2を介して連結された音叉形振動子3と、この音叉形振動子3と支持部5を介して連結され、音叉形振動子3およびミラー部1の外周を囲う枠体6と、この枠体6と支持部7を介して連結された音叉形振動子8と、この音叉形振動子8と支持部10を介して連結された支持体11とを備え、支持部2と支持部5とは、音叉形振動子3の回転軸18上に形成され、音叉形振動子8のアーム14、15の先端には、それぞれ突起部16A、16Bが形成されているものとした。これにより本発明は、二軸駆動の光学反射素子において、振動の周波数比を大きくすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザーディスプレイなどに用いられる光学反射素子に関するものである。
図10に従来の圧電駆動式光学反射素子の一例を示す。この光学反射素子は、ミラー部101と、このミラー部101の両端に接続された第一のトーション梁102を介し、ミラー部101を支持する枠体103と、この枠体103の両端に接続されると共に第一のトーション梁102と軸方向が直交する、第二のトーション梁104を介し、枠体103を支持する支持体105とを備えている。
また第一のトーション梁102の両側には、その一端をミラー部101に連結され、他端を枠体103と連結された圧電振動体106A、106Bを備え、第二のトーション梁104の両側には、その一端を枠体103と連結され、他端を支持体105と連結された圧電振動体107A、107Bを備えている。
そして圧電振動板106Aと106B、および圧電振動板107Aと107Bにそれぞれ正負逆の電圧を印加すると、第一、第二のトーション梁102、104が、これらの回転軸を中心に回動し、この振動エネルギーがミラー部101、枠体103へと伝搬し、ミラー部101が直交する二軸を中心に反復回転振動する(例えば、特許文献1参照)。
この光学反射素子は、レーザ光源等からの光をミラー部で反射し、光をスクリーンの垂直、水平方向に走査することによって、スクリーン面上に二次元の描画を投影することができる。
特開2005−148459号公報
従来の光学反射素子を用いると、投影する描画の分解能が低くなることがあった。
その理由は、それぞれの二軸を中心とする反復回動振動の、周波数比が小さいからである。
そこで本発明は二軸駆動の光学反射素子において、振動の周波数比を大きくすることを目的とする。
そして、この目的を達成するために本発明は、ミラー部と、このミラー部と第一の支持部を介して連結された第一の音叉形振動子と、この第一の音叉形振動子と第二の支持部を介して連結され、第一の音叉形振動子およびミラー部の外周を囲う枠体と、この枠体と第三の支持部を介して連結された第二の音叉形振動子と、この第二の音叉形振動子と第四の支持部を介して連結された支持体とを備え、第一の支持部と第二の支持部とは、第一の音叉形振動子の回転軸上に形成され、第三の支持部と第四の支持部とは、第一の音叉形振動子の回転軸と直交する第二の音叉形振動子の回転軸上に形成されている。そして第一の音叉形振動子は、第一の支持部の両側に第一のアームと第二のアームとを有し、第二の音叉形振動子は、第三の支持部の両側に第三のアームと第四のアームとを有し、この第三のアームと第四のアームの先端には、それぞれ突起部が形成されているものとした。
これにより本発明は、二軸駆動の光学反射素子において、振動の周波数比を大きくすることができる。
その理由は、第二の音叉形振動子を低周波駆動させることができるからである。すなわち本発明は、突起部が重りとなるため、第三のアーム、第四のアームは大きく撓み振動を起こし、第二の音叉振動子はその回転軸を中心に、より低い周波数で反復回転振動することができる。そしてその結果、二軸駆動の光学反射素子において、振動の周波数比を大きくすることができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における光学反射素子の構成について説明する。
図1において、光学反射素子は、ミラー部1と、このミラー部1を介して対向するとともに、このミラー部1とそれぞれ第一の支持部2で連結された、一対の第一の音叉形振動子3と、これら二つの第一の音叉形振動子3の各振動中心4とそれぞれ第二の支持部5で連結され、これらの第一の音叉形振動子3およびミラー部1の外周を囲う枠体6と、この枠体6と第三の支持部7で連結された第二の音叉形振動子8と、この第二の音叉形振動子8の振動中心9と第四の支持部10で連結された枠形状の支持体11とを備えている。
そして本実施の形態では、ミラー部1は二つの第一の支持部2でそれぞれ第一の音叉形振動子3に両持ち支持された構成であり、この第一の音叉形振動子3は、それぞれ第一の支持部2の両側に、第一のアーム12と第二のアーム13とを有している。
また枠体6は一つの第三の支持部7で第二の音叉形振動子8に片持ち支持された構成であり、この第二の音叉形振動子8は、第三の支持部7の両側に第三のアーム14と第四のアーム15とを有している。
そしてこの第三のアーム14と第四のアーム15とは、それぞれ枠体6外周に沿ってまっすぐに延伸し、それぞれの先端には、枠体6の角部外周に沿って素子内側へ曲がる突起部16A、16Bが形成されている。
またこれらの突起部16A、16Bは、互いに第二の音叉形振動子8の回転軸17に対して線対称に形成されている。
また第一の支持部2と第二の支持部5とは、第一の音叉形振動子3の回転軸18上に形成され、第三の支持部7と第四の支持部10とは、第二の音叉形振動子8の回転軸17上に形成されている。ここで本実施の形態では、第一の音叉形振動子3の回転軸18と第二の音叉形振動子8の回転軸17とは、直交する関係にある。これによりミラー部1からの反射光を、スクリーン上のX軸とY軸方向へ、二次元に走査させることが出来る。
そして本実施の形態では、図2に示す光学反射素子の基材19は、金属、ガラスまたはセラミック基板などの弾性、機械的強度および高いヤング率を有する材料で構成することが生産性の観点から好ましく、例えば、金属、水晶、ガラス、石英またはセラミック材料を用いることが機械的特性と入手性の観点から好ましい。さらに、シリコン、チタン、ステンレス、エリンバー、黄銅合金などの金属を用いれば、振動特性、加工性に優れた光学反射素子を実現できる。
そして本実施の形態では、シリコンなどの基材19で構成された第一のアーム12、第二のアーム13、第三のアーム(図1の14)、第四のアーム(図1の15)のそれぞれは、少なくとも一面に、たわみ振動を起こすための圧電アクチュエータ20が形成されている。
本実施の形態では、図2に示すように、この圧電アクチュエータ20を、下部電極層21、圧電体層22および上部電極層23の積層体構造からなる薄膜積層型圧電アクチュエータ20とした。これによって、第一の音叉形振動子3、第二の音叉形振動子8をより薄型にすることができる。なお、本実施の形態では、下部電極層21および圧電体層22は第一の音叉形振動子3と第二の音叉形振動子8とで共通に形成し、上部電極層23はそれぞれ電気的に独立するように形成した。
また、第一の音叉形振動子3の厚みを、第一のアーム12および第二のアーム13の幅寸法よりも小さくすることによって、振幅が大きくなり、小型の光学反射素子を実現することができる。同様に、第二の音叉形振動子8の厚みを第三のアーム14および第四のアーム15の幅寸法よりも小さくすることによって、光学反射素子の小型化に寄与する。
また、これらの下部電極層21、圧電体層22および上部電極層23は第一の音叉形振動子3、第二の音叉形振動子8を形成する基材19の上に順次スパッタリング技術などの薄膜プロセスにより形成することができる。従って、圧電アクチュエータ20を第一の音叉形振動子3および第二の音叉形振動子8の表面に形成することが生産性の観点から好ましい。
そして、圧電体層22に用いる圧電体材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの高い圧電定数を有する圧電体材料が好ましい。
また、第一の音叉形振動子3の共振周波数と、ミラー部1と第一の支持部2で構成された捩れ振動子の共振周波数とが略同一周波数となるように振動設計することによって効率良くミラー部1を反復回転振動させる光学反射素子を実現することができる。
同様に、突起部16A、16Bを含む第二の音叉形振動子8の共振周波数と、枠体6と第三の支持部7とで構成された捩れ振動子の共振周波数とが略同一周波数となるように設計することが好ましい。
また本実施の形態では、第二の支持部5は、枠体6側へ入り込むように形成している。すなわち、ミラー部1と第一の支持部2とを効率よく捩り振動させるためには、第二の支持部5と第一の支持部2との共振器長を出来るだけ等しくする必要があるが、この第二の支持部5を枠体6の内側へ第二の支持部5をめり込ますことによって、第二の支持部5が長くても省スペースに配置でき、光学反射素子を小型化できる。
また本実施の形態では、この第二の支持部5を枠体6側へ入り込ませているため、枠体6の幅は狭くなっているが、第一の音叉形振動子3の幅は変えていない。ここで、幅の狭い領域では、局所的に応力が集中し、不要な振動モードが発生することがあるが、本実施の形態では、第一の音叉形振動子3は、全体として略同幅のため、応力を均一に分散することができ、安定して振動させることが出来る。
さらに本実施の形態では、第三の支持部7は、枠体6と第二の音叉形振動子8側へ入り込み、さらに第四の支持部10は、支持体11側へ入り込んだ形状である。これにより光学反射素子の小型化が図れるとともに、第二の音叉形振動子8の幅が局所的に変化するのを防ぎ、安定して振動させることができる。
また、第三の支持部7は、第二の音叉形振動子8側よりも、枠体6側へより長く入り込ませることが好ましい。逆に第二の音叉形振動子8側へ長く入り込ませると、振動中心9近傍の形状が複雑になり、第二の音叉形振動子8に不要な振動モードが発生する場合があるからである。
さらに、第一のアーム12、第二のアーム13およびこれらの連結部24の幅や、第三のアーム14、第四のアーム15およびこれらの連結部25をそれぞれ等幅とすることによって、光学反射素子に発生する不要な振動モードを低減できる。
また本実施の形態では、第一のアーム12、第二のアーム13、第三のアーム14、第四のアーム15に形成した圧電アクチュエータ20のそれぞれ上部電極層(図2の23)と、これらに共通の下部電極層(図2の21)との引き出し電極は、個別に引き出し線(図示せず)を形成しながら接続端子26A〜26D、27接続している。これによって第一のアーム12と第二のアーム13に正負反対の電気信号を、第三のアーム14と第四のアーム15に正負反対の電極信号を、それぞれの圧電アクチュエータ20に印加することができる。
なお本実施の形態では、第一のアーム12、第二のアーム13、第三のアーム14、第四のアーム15にそれぞれモニター電極(図示せず)を配置し、これらも上部電極と同様に素子上に引き回しながら接続端子28A〜28Dへ接続した。これにより、第一、第二、第三、第四のアーム12、13、14、15のそれぞれの振幅を検出しながら入力信号を調整することができ、安定した自励駆動を実現できる。
なお、上述の圧電アクチュエータ20の引き出し線や、モニター電極とその引き出し線は、図2においても記載を省略した。
次に、このような構成からなる光学反射素子の動作原理について説明する。
図2に示す下部電極層21と上部電極層23との間に交流の駆動電圧を印加すると、圧電体層22が面方向に伸び・縮みし、第一のアーム12と第二のアーム13が基材19に対して垂直方向に撓み振動する。
このとき、第一のアーム12と第二のアーム13に形成したそれぞれの圧電アクチュエータ20に、正負反対の駆動信号を印加すれば、図3に示すように、第一のアーム12と第二のアーム13とを、位相が180度異なる方向(矢印29A、29B方向)に、つまり逆方向に撓み振動させることができる。ここで本実施の形態では、第一、第二のアーム12、13は、その先端を自由端とする片持ち構造のため、大きく撓み振動させることができる。
そして、この第一のアーム12と第二のアーム13の振動エネルギーは、第一の音叉形振動子3の連結部24へと伝搬される。これによって、第一の音叉形振動子3は、その振動中心4を通る直線を回転軸18として、この回転軸18を中心に、所定の周波数にて反復回転振動(捩れ振動)をする。
次に、この反復回転振動の振動エネルギーが、連結部24に接合された第一の支持部2に伝達され、第一の支持部2とミラー部1とで構成される捩れ振動子が、その回転軸18を中心に矢印30方向に捩れ振動を起こすようになる。これによってミラー部1は、その回転軸18を軸中心として反復回転振動する。このとき、第一の音叉形振動子3の反復回転振動の方向と、第一の支持部2およびミラー部1で構成される捩れ振動子の反復回転振動の方向は位相が180度異なる反対方向に振動することとなる。
また図1に示す第二の音叉形振動子8も、下部電極層(図2の21)と上部電極層(図2の23)間に電圧を印加し、第三のアーム14と第四のアーム15とを、それぞれ位相が180度異なる方向に撓み振動させることによって、振動中心9を通る回転軸17を中心に、捩り振動を起こす。
そしてこの振動エネルギーが連結部25を介して第三の支持部7に伝播すると、この第三の支持部7と枠体6とからなる捩り振動子を、その回転軸17を中心に、第二の音叉形振動子8と逆位相に反復回転振動させることができる。
そして枠体6が傾くと、この枠体6に支持されているミラー部1も傾き、ミラー部1を反復回転振動させることができる。
そしてミラー部1に例えばレーザー光源またはLED光源などから発生させた光線を入力し、振動するミラー部1で反射させることによって、スクリーン上に光線を走査することができる。また本実施の形態では、第一の音叉形振動子3と第二の音叉形振動子8の回転軸18、17は直交するため、ミラー部1から出射させた光をスクリーンの垂直、水平方向に走査することができる。
なお、本実施の形態では、第一の音叉形振動子3による駆動で光を水平方向に走査し、第二の音叉形振動子8による駆動で光を垂直方向に走査する。
次に、本実施の形態1における光学反射素子の製造方法について図2を用いて説明する。
まず始めに、基材19となる、厚みが約0.3mmのシリコン基板を準備し、その上にスパッタリング法または蒸着法などの薄膜プロセスを用いて白金電極からなる下部電極層21を形成する。
その後、この下部電極層21の上にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電材料を用いてスパッタリング法などによって圧電体層22を形成する。このとき、圧電体層22と下部電極層21との間には、配向制御層としてPbとTiを含む酸化物誘電体を用いることが好ましく、PLMTからなる配向制御層を形成することがより好ましい。これによって、圧電体層22の結晶配向性がより高まり、圧電特性に優れた圧電アクチュエータ20を実現することができる。
次に、この圧電体層22の上にチタン/金よりなる上部電極層23を形成している。
このとき、上部電極層23の下層のチタンはPZT薄膜などの圧電体層22との密着力を高めるために形成しており、チタンの他にクロムなどの金属を用いることができる。これによって、圧電体層22との密着性に優れ、かつ、金電極とは強固な拡散層を形成していることから、密着強度の高い圧電アクチュエータ20を形成することができる。なお、本実施の形態では、白金の下部電極層21の厚みは0.2μm、PZTからなる圧電体層22は3.5μm、および上部電極層23のチタン部分は0.01μmとし、金電極部分は0.3μmで形成している。
次に、下部電極層21、圧電体層22、上部電極層23とを、フォトリソ技術を用いてエッチングし、圧電アクチュエータ20をパターン形成する。
このとき、上部電極層23のエッチング液としてはヨウ素/ヨウ化カリウム混合溶液と水酸化アンモニウム、過酸化水素混合溶液からなるエッチング液を用いて所定の電極パターンを形成した。
また、下部電極層21、圧電体層22に用いるエッチング方法としては、ドライエッチング法とウエットエッチング法のいずれかの方法、あるいはこれらを組み合わせた方法などを用いることができる。
一例として、ドライエッチング法であればフルオロカーボン系のエッチングガス、あるいはSF6ガスなどを用いることができる。
その他、圧電体層22を、沸酸、硝酸、酢酸および過酸化水素の混合溶液を用いウエットエッチングしてパターニングし、その後、さらに、ドライエッチングによって下部電極層21をエッチングしてパターニングする方法がある。
次に、XeF2ガスを用いてシリコン基板を等方的にドライエッチングすることによって不必要なシリコン部分を除去してパターニングし、図2に示すような基材19を形成すれば、図1に示したような形状の光学反射素子を形成することができる。
なお、シリコン基板をより高精度にエッチングする場合は、シリコンの異方性を利用したドライエッチングが好ましい。この場合は、エッチングを促進するSF6ガスとエッチングを抑制するC48ガスの混合ガスを用いるか、あるいはこれらのガスを交互に切り替えることにより、より直線的にエッチングできる。
以上のような製造方法によって、小型で、高精度な光学反射素子を一括して効率よく作製することができる。
以上のような製造プロセスによって、例えばミラー部1の大きさが1.0mm×1.0mm、支持体11の大きさが5.8mm×5.8mm、厚さ0.08mm、駆動周波数;fH(水平)22kHz、fV(垂直)0.25kHz、ミラー部1の振れ角;θH(水平)±5度、θV(垂直)±10度程度の特性を有した光学反射素子を作製することができる。
本実施の形態では、ミラー部1、第一の支持部2、第一の音叉形振動子3、第二の支持部5、枠体6、第三の支持部7、第二の音叉形振動子8、第四の支持部10、および支持体11の基材19を、同一基材19から一体形成とすることによって、安定した振動特性と、生産性に優れた光学反射素子を実現することができる。
また本実施の形態における光学反射素子は、シリコンウエハーなどの基材19の上に薄膜プロセス、フォトリソ技術などの半導体プロセスを応用することによって高精度に、一括して作製することができ、光学反射素子の小型化、高精度化および生産効率に優れた光学反射素子を実現することができる。
なお、ミラー部1は基材19の表面を鏡面研磨することによっても形成できるが、光の反射特性に優れた金やアルミニウムの金属薄膜をミラー膜として形成することもできる。本実施の形態では、上部電極層23として金を用いた為、この金の膜をそのままミラー膜として用いることができ、生産効率も高まる。
本実施の形態の効果を以下に説明する。
本実施の形態では、二軸駆動の光学反射素子において、振動の周波数比fH/fVを大きくすることができる。
その理由は、第二の音叉形振動子8を低周波駆動させることができるからである。すなわち本実施の形態では、第二の音叉形振動子8の第三のアーム14、第四のアーム15の先端に突起部16A、16Bを設けた為、この突起部16A、16Bが重りとなり、第三のアーム14、第四のアーム15を大きく撓み振動させることができる。
そしてこの第二の音叉形振動子8は、その回転軸17を中心に、より低い周波数で反復回転振動をする。そしてこの第二の音叉形振動子8によって、ミラー部1を垂直方向に振動させれば、垂直方向の振動の周波数fVのみを小さくすることができ、結果として二次駆動方式の光学反射素子において、水平方向および垂直方向の振動の周波数比fH/fVを大きくすることができる。
なおこのように二軸方向における振動の周波数比fH/fVを大きくすると、この光学反射素子を用いて光線を走査した場合に、スクリーン上の垂直方向の走査速度よりも水平方向の走査速度を相対的に高めることができ、投影する画像の分解能を向上させ、高精度な画像投影装置を実現できる。
また本実施の形態では、突起部16A、16Bは枠体6に沿って内側に向くように配置されているため、第二の音叉形振動子8の捩りをさらに効率よく発生させることが出来る。
その理由は、以下のように考えられる。
すなわち本実施の形態では、第三のアーム14、第四のアーム15の先端は、それぞれ重り(突起部16A、16B)の支点となり、この支点を軸として突起部16A、16Bはその厚み方向に可動し、第二の音叉形振動子8に慣性モーメントを発生させる。ここで本実施の形態のように突起部16A、16Bを内側に向けた場合、前述の慣性モーメントは、第二の音叉形振動子8の捩り振動を促進させる方向に発生し、第二の音叉形振動子8の振幅量を増大させることができる。そしてその結果、ミラー部1の反復回転振動の振幅量を大きくすることができ、光学反射素子の小型化に寄与する。
また、突起部16A、16Bは第二の音叉形振動子8の回転軸17に対して左右対称形とすることが振動特性の観点から好ましく、そのときの突起部16A、16Bの形状は特に制限はなく、振動特性、生産性の観点から適宜選択することができる。
なお、この突起部16A、16Bの質量は大きい方が振幅を大きくする上で望ましく、設計上大きな形状を設けることができないときには突起部16A、16Bに重りを付加することもできる。
さらに実施の形態では、ミラー部1をその両側から一対の第一の音叉形振動子3で囲い、これらの第一の音叉形振動子3の外周を枠体6で囲い、この枠体6外周四方をそれぞれ第二の音叉形振動子8の連結部25、第三のアーム14、第四のアーム15、突起部16A、16Bで囲い、さらにこれらの外周を支持体11で囲う構成のため、各部材が小さな隙間を介して幾層にも巻かれたような構造となり、素子全体のデッドスペースを減らし、素子を小型化できる。
また本実施の形態では、第一、第二、第三、第四のアーム12、13、14、15と突起部16A、16Bとはそれぞれ直線形状のため、加工も容易である。さらにこれらは同一基板からなり、エッチング等により同時に形成することができ、生産効率が高まる。
また本実施の形態では、ミラー部1の両側に、対称的に対の第一の音叉形振動子3を配置しているため、よりミラー部1を安定して左右対称に励振させることができ、その中心が不動点となって光を安定して走査することができる。
またミラー部1は、その両端が第一の支持部2で支持されている両持ち構造のため、ミラー部1の不要な共振を抑制し、さらに外乱振動による影響も低減できる。
さらに本実施の形態では、枠体6の外周を、第二の音叉形振動子8の、それぞれほぼ等幅な連結部25、第三のアーム14、第四のアーム15、突起部16A、16Bで囲っているため、枠体6を左右対称に励振させることができる。また本実施の形態ではミラー部1を枠体6内のほぼ中央に配置しているため、結果としてミラー部1の中心を不動点として、第二の音叉形振動子8によりミラー部1を励振することができ、光をより安定して走査することができる。
ここで前述の安定に走査できる理由について、下記に説明する。
すなわち本実施の形態では、ミラー部1の中心が回転軸17、18の交点となり、この交点は不動点となる。したがって、光源から光がこの不動点に入射すると、スクリーン上に投影される光の光路長は一定となり、画像を高精度に投影することが可能となる。この不動点は、少なくともミラー部1の面積内に存在することが好ましく、より好ましくは本実施の形態のようにミラー部1の中心に配置することである。これにより、製造誤差などに伴って第一の音叉形振動子の回転軸18の位置あるいは第二の音叉形振動子8の回転軸17の位置に多少の誤差が発生した場合でも、不動点がミラー部1の面内に留まる確率が高くなる。
また本実施の形態では、圧電アクチュエータ20を備えた第一の音叉形振動子3、第二の音叉形振動子8を用いることにより、それぞれの第一のアーム12、第二のアーム13、第三のアーム14、第四のアーム15の撓み振動を利用して、ミラー部1を反復回転振動することができ、素子の小型化に寄与する。
また駆動源を音叉形にすることにより、アームの先端が自由端となるため、小型であってもミラー部1の振れ角度を効率よく大きくできる。
また振動源を、高Q値を有する音叉形とすることにより、小さなエネルギーで大きな振動エネルギーを得ることが出来、素子の小型化にも寄与する。
またこれらの第一の音叉形振動子3、第二の音叉形振動子8の振動設計をすることによって、出力光の反射角度を大きく変化させることができ、レーザー光線などの入力光を所定の設計値となるように掃引することができる光学反射素子を実現することができる。
なお、上記実施の形態では、第一のアーム12と第二のアーム13の双方に圧電アクチュエータ20を形成したが、少なくともいずれか一方のみに圧電アクチュエータ20を形成してもよい。これは音叉形振動子の特性を利用したものであり、どちら一方のアームが振動すると、連結部24を介して他方のアームに運動エネルギーが伝播し、この他方のアームも励振させることができるからである。
また第二の音叉形振動子8も同様に、第三のアーム14と第四のアーム15のいずれか一方にのみ圧電アクチュエータ20を形成しても、双方に形成した場合と同様に動作させることができる。
また本実施の形態では、第一、第二の音叉形振動子3、8のいずれも、圧電アクチュエータ20は、アームの片面にのみ形成したが、両面に形成してもよい。また第一の音叉形振動子3は、第二の音叉形振動子8よりも面積が小さく、駆動力が弱いため、第一の音叉形振動子3のみ、基材19の両面に圧電アクチュエータ20を形成してもよい。
なお、第一の支持部2、第二の支持部5、第三の支持部7、第四の支持部10のそれぞれの断面形状を円状とすれば、捩れ振動の振動モードが安定し、不要共振も抑制することができ、外乱振動に影響されにくい光学反射素子を実現することができる。
以上のような光学反射素子は、例えば画像投影装置に応用することができる。すなわち図4に示すように二軸方向に振動するミラー部1に光源31(レーザ光源、あるいはLED光源など)から光を入射し、このミラー部1で光を反射し、光を二次元に走査することでスクリーン32に描画を投影することができる。またその他光学反射素子の応用例としては、レーザ露光機などが挙げられる。
なお、上記実施の形態では、第一の音叉形振動子3は第一のアーム12、第二のアーム13、第二の音叉形振動子8は第三のアーム14、第四のアーム15の領域にのみ圧電アクチュエータ20を設けたが、図5に示すように、それぞれ連結部24、25にまで延長し、L字形に構成してもよい。
ここで図5では、第一の音叉形振動子3において、圧電アクチュエータ20など、第一のアーム12と第二のアーム13、第三のアーム14と第四のアーム15には、それぞれ逆位相の信号を印加するため、これらに形成した圧電アクチュエータ20の駆動電極が互いに電気的に短絡しないよう、それぞれの振動中心4、9で断続させている。
このように、連結部24、25にまで圧電アクチュエータ20を形成することによって、面積を有効に活用し、大きな駆動源を得ることが出来る。
なお、図5では、第一の音叉形振動子3、第二の音叉形振動子8ともに圧電アクチュエータ20の形状をL字形にしたが、例えば第一の音叉形振動子3のみ、あるいは第二の音叉形振動子8のみL字形としてもよい。ただし、対となる第一の音叉形振動子3は、互いに同じ圧電アクチュエータ20の形状とする方がよい。それは、ミラー部1を、回転軸18を中心に安定して反復回転振動させることができるからである。
また、突起部16A、16Bにまで圧電アクチュエータ20を形成すると、第三のアーム14、第四のアーム15の振動モードが複雑になり、第二の音叉形振動子8の捩り振動を効率よく発生できなくなる場合がある。したがって本実施の形態では、図1と同様に図5においても突起部16A、16Bには圧電アクチュエータ20を形成しなかった。
さらに図6に示すように、一対の第一の音叉形振動子3は、対向する第一のアーム12間と、対向する第二のアーム13間とを、それぞれ弾性部材33で接続してもよい。
この弾性部材33は、光学反射素子の基材19よりも弾性の小さい(軟らかい)ものであり、例えば伸縮性のある樹脂フィルムで形成し、第一のアーム12または第二のアーム13に貼り付ければよい。
この樹脂フィルムとしては、第一のアーム12、第二のアーム13の延伸方向と平行な方向に対してより伸縮性の高い素材が好ましい。
なお、弾性部材33としては樹脂以外にもその他例えばゴム材や、弾性の小さく厚みの薄い金属などを用いても良い。
このように第一のアーム12間と第二のアーム13間を弾性部材33で接続しておくことによって、対向する第一の音叉形振動子3の共振周波数の僅かなずれを矯正することができる。また撓み振動の対称性が高まり、アームの自由端の不要振動を抑制することができ、駆動力が高まる。
(実施の形態2)
本実施の形態と実施の形態1との主な差異点は、図7に示すように、第一の音叉形振動子3は、第一のアーム12と第二のアーム13の先端の間隔d1が、この第一、第二のアーム12、13に垂直なミラー部1の最大長さd2(直径)よりも短い点である。
すなわち本実施の形態では、第一の音叉形振動子3の第一、第二のアーム12、13がミラー部1の外周を囲わず、より内側に内包されているため、枠体6を小さくでき、結果として光学反射素子の小型化に寄与する。
その他実施の形態1と同様の構成及び効果については説明を省略する。
(実施の形態3)
本実施の形態と実施の形態1との違いは、図8に示すように、突起部16A、16Bがそれぞれ外側へ折り曲がるように形成されている点である。
このように突起部16A、16Bを第三のアーム14、第四のアーム15とほぼ平行に折り曲げるように形成すれば、突起部16A、16Bを長くすることができ、重りとなる突起部16A、16Bの質量が大きくなる。
したがって本実施の形態では、第二の音叉形振動子8の振幅を増大させ、低周波駆動させることができる。そしてその結果、二軸駆動における振動の周波数比を増大させることが出来る。
また本実施の形態では、図8の縦方向における光学反射素子の長さを短くすることができる。
その他実施の形態1と同様の構成および効果については説明を省略する。
(実施の形態4)
本実施の形態と実施の形態1との違いは、図9に示すように、第一の音叉形振動子3を一つのみ形成した点である。
すなわち本実施の形態では、ミラー部1を一つの第一の支持部2で一つの第一の音叉形振動子3に片持ち支持した構成である。
この形態では、図1のように枠体6内に対の第一の音叉形振動子3を配置する場合と比較し、枠体6のサイズを小さくすることができ、光学反射素子全体の小型化に寄与する。
また本実施の形態では、第一の音叉形振動子3の第一のアーム12と第二のアーム13とを、ミラー部1の先端(自由端側)まで延伸しているため、アームを長くすることができ、第一の音叉形振動子3をより大きく捩り振動させることが出来る。
その他実施の形態1と同様の構成および効果については説明を省略する。
本発明は、小型で高精度なディスプレイ装置、光学スキャナ、レーザ露光機、し、レーザープリンタ等に利用できる。
本発明の実施の形態1における光学反射素子の平面図 同光学反射素子の断面図(図1のAA断面) 同光学反射素子の動作状態を示す模式図 同光学反射素子の応用方法を示す模式図 本発明の実施の形態1における別の例の光学反射素子の平面図 本発明の実施の形態1における別の例の光学反射素子の平面図 本発明の実施の形態2における光学反射素子の平面図 本発明の実施の形態3における光学反射素子の平面図 本発明の実施の形態4における光学反射素子の平面図 従来の光学反射素子の平面図
符号の説明
1 ミラー部
2 第一の支持部
3 第一の音叉形振動子
4 振動中心
5 第二の支持部
6 枠体
7 第三の支持部
8 第二の音叉形振動子
9 振動中心
10 第四の支持部
11 支持体
12 第一のアーム
13 第二のアーム
14 第三のアーム
15 第四のアーム
16A、16B 突起部
17 回転軸
18 回転軸
19 基材
20 圧電アクチュエータ
21 下部電極層
22 圧電体層
23 上部電極層
24 連結部
25 連結部
26A〜26D 接続端子
27 接続端子
28A〜28D 接続端子
29A、29B 矢印
30 矢印
31 光源
32 スクリーン
33 弾性部材

Claims (8)

  1. ミラー部と、
    このミラー部と第一の支持部を介して連結された第一の音叉形振動子と、
    この第一の音叉形振動子と第二の支持部を介して連結され、前記第一の音叉形振動子および前記ミラー部の外周を囲う枠体と、
    この枠体と第三の支持部を介して連結された第二の音叉形振動子と、
    この第二の音叉形振動子と第四の支持部を介して連結された支持体とを備え、
    前記第一の支持部と第二の支持部とは、前記第一の音叉形振動子の回転軸上に形成され、
    前記第三の支持部と第四の支持部とは、前記第一の音叉形振動子の前記回転軸と直交する前記第二の音叉形振動子の回転軸上に形成され、
    前記第一の音叉形振動子は、前記第一の支持部の両側に第一のアームと第二のアームとを有し、
    前記第二の音叉形振動子は、前記第三の支持部の両側に第三のアームと第四のアームとを有し、
    この第三のアームと第四のアームの先端には、それぞれ突起部が形成されている光学反射素子。
  2. 前記第三のアームおよび第四のアームは、
    前記枠体外周に沿って延伸するとともに、
    それぞれの先端には、
    前記枠体の外周に沿って内側へ曲がる前記突起部が形成されている請求項1に記載の光学反射素子。
  3. 前記突起部は、
    互いに前記第二の音叉形振動子の回転軸に対して線対称に形成されている請求項1に記載の光学反射素子。
  4. 前記第一の音叉形振動子は、
    前記ミラー部を介して対向するように二つ配置されている請求項1に記載の光学反射素子。
  5. 前記第一の音叉形振動子は、
    前記第一のアームと第二のアームを、位相が180度異なる方向に撓み振動させ、その回転軸を中心に捩り振動するように駆動させるとともに、
    前記第二の音叉形振動子は、
    前記第三のアームと第四のアームを、位相が180度異なる方向に撓み振動させ、
    その回転軸を中心に捩り振動するように駆動させる請求項1に記載の光学反射素子。
  6. 前記第一の音叉形振動子の共振周波数と、前記ミラー部と第一の支持部とで構成された捩れ振動子の共振周波数とが略同一周波数であり、
    前記第二の音叉形振動子の共振周波数と、前記枠体と第三の支持部とで構成された捩れ振動子の共振周波数とが略同一周波数とした請求項1に記載の光学反射素子。
  7. 前記第一のアームと第二のアームの少なくともいずれか一方と、
    前記第三のアームと第四のアームの少なくともいずれか一方には、圧電アクチュエータが設けられている請求項1に記載の光学反射素子。
  8. 前記第一のアームと第二のアームの先端の間隔が、
    この第一のアーム、第二のアームに垂直な、ミラー部の最大長さよりも短いものとした請求項1に記載の光学反射素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113574007A (zh) * 2019-03-28 2021-10-29 富士胶片株式会社 微镜器件及微镜器件的驱动方法

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