JP2009221403A - ポリフェニレンエーテルの製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンエーテルの製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】平均粒径が106μm以下の粒子の割合が少ないポリフェニレンエーテルの製造方法の提供。
【解決手段】ポリフェニレンエーテル粒子の良溶媒と、0.5質量%以上100質量%以下の水とを含むポリフェニレンエーテルを、Tg−100(℃)以上、Tg(℃)以下で加熱すること。(ここでTgは粒子を構成する乾燥状態のポリフェニレンエーテルのガラス転移温度を指す)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテルの製造方法に関する。より詳しくは、微粒子の含有量の少ないポリフェニレンエーテルの製造方法に関する。
ポリフェニレンエーテルは加工性、生産性に優れ、溶融射出成型法や溶融押出成型法などの成型方法により、所望の形状の製品や部品を効率よく生産できるため、電気・電子材料分野、自動車分野、その他各種工業材料分野、食品の包装分野の製品や部品用の材料として幅広く用いられている。
一般にポリフェニレンエーテルの工業的製造においては、ポリフェニレンエーテルは平均粒径が1μmから300μm程度の粒子の形態で得られ、粒径が106μm以下程度の微粒子が発生することが知られている。
しかし、微粒子は輸送時における粒子の飛散や成形時におけるホッパーから供給される粒子の食い込み不良等の問題の一因となる。
そのため、ポリフェニレンエーテルを工業的に製造するにあたっては、微粒子の発生を抑えることが望まれており、解決方法について様々な検討がなされてきた。
例えば、特許文献1、特許文献2には、湿潤状態のポリフェニレンエーテルを水に分散させ熱処理を行うことで、ポリフェニレンエーテル樹脂の粒径を肥大化させる方法が記載されている。しかし、水分散系にするためには湿潤状態のポリフェニレンエーテルと同量以上の水が必要であるため、乾燥処理の際に大量の水を取り除かなければならず、効率的なポリフェニレンエーテル樹脂の粒子肥大化方法ではない。
さらに、特許文献3には、ポリフェニレンエーテル樹脂のスラリー溶液に熱処理を行うことで、ポリフェニレンエーテル樹脂の粒径を肥大化させる方法が記載されている。しかしながら、この造粒方法では熱処理を行うためスラリー中に含まれる貧溶剤に対する良溶剤の割合が増加する。そのためポリフェニレンエーテル樹脂に含まれる良溶剤を取り除くための洗浄過程において、洗浄効率の悪化を招く恐れがある。
さらに、特許文献4では、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとのコポリマーを用いた場合の100μm以下の微粒子抑制方法として、重合後のスラリー溶液を濃縮し、ポリフェニレンエーテル樹脂の貧溶剤を加えて熱処理をすることで、ポリフェニレンエーテル樹脂の粒径を肥大化させる方法が報告されている。しかしながら、上記手法では、スラリー溶液の濃縮度を管理する必要がある上、38μm以下の粒子が約4質量%程度発生し微粒子抑制の効果的な解決方法としては十分とは言えない。
さらに、特許文献5には、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂と乾燥状態のポリフェニレンエーテル樹脂とを混合し加熱することで、ポリフェニレンエーテル樹脂の粒径を肥大化させる方法が記載されている。この方法は、新たな添加物を要しないという良好なプロセスであるが、湿潤状態のポリフェニレンエーテル樹脂と乾燥状態のポリフェニレンエーテル樹脂とを混合攪拌する必要があり、また、一度乾燥させたポリフェニレンエーテル樹脂を湿潤状態に戻すため効率的なポリフェニレンエーテル樹脂の粒子肥大化方法とはいえない。
特開昭48−73451号公報 特開昭62−172024号公報 特開平6−172545号公報 US2006/0069229号公報 特開2006−241258号公報
本発明の課題は、微粒子の含有量の少ないポリフェニレンエーテルの効率的な製造方法を提供することである。
本発明者らは、前述した課題を解決すべく鋭意検討行った結果、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と特定量の水を含む、湿潤固体状態のポリフェニレンエーテル粒子を加熱することにより、効果的な造粒が可能となり、これにより微粒子の含有量の少ないポリフェニレンエーテルを製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
重合反応溶液から固液分離した後のポリフェニレンエーテル粒子を、Tg−100(℃)以上、Tg(℃)以下で加熱する工程(ここで、Tgは、粒子を構成するポリフェニレンエーテルを乾燥状態にしたものについて測定したガラス転移温度を示す)を含むポリフェニレンエーテルの製造方法であって、前記ポリフェニレンエーテル粒子が、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と0.5質量%以上100質量%以下の水とを含む、ポリフェニレンエーテルの製造方法。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法によれば、大きなプロセス変更を行ったり、複雑な後処理工程を追加することなく、微粒子の含有量の少ないポリフェニレンエーテルを製造することが可能となる。
また、本発明の製造方法により得られるポリフェニレンエーテルは、従来の製造方法で得られるポリフェニレンエーテルと比較して、微粒子の含有量が少なく平均粒径が大きいため、輸送時における微粒子飛散の問題や、成型時における噛みこみ不良の問題等を解決することができ、取扱い性が向上する。
本発明について、以下具体的に説明する。
まず、本発明において製造するポリフェニレンエーテルについて説明する。
本発明により製造するポリフェニレンエーテルは、下記式1で表されるものである。
(式1)
Figure 2009221403
式中、a、bは、それぞれ独立して、0または自然数を示す。ただし、aとbが同時に0となることはない。R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基を示す。Rは、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基を示す。
、R、R、R及びRで示されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、好ましくは、塩素原子、臭素原子である。
、R、R、R及びRで示される置換されていてもよいアルキル基の「アルキル基」としては、例えば、炭素数が1から6、好ましくは1から3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルであり、より好ましくは、メチル、エチルであり、とりわけ好ましくはメチルである。
、R、R、R及びRで示される置換されていてもよいアリール基の「アリール基」としては、例えば、フェニル、ナフチルなどが挙げられ、好ましくはフェニルである。
、R、R、R及びRで示される置換されていてもよいアラルキル基の「アラルキル基」としては、例えば、アルキル部分が上述した「アルキル基」であり、アリール部分が上述した「アリール基」であるアラルキル基が挙げられ、好ましくは、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、1−ナフチルメチルなどが挙げられ、より好ましくはベンジルである。
、R、R、R及びRで示される置換されていてもよいアルコキシ基の「アルコキシ基」としては、例えば、炭素数が1から6、好ましくは1から3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を示し、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが挙げられ、より好ましくはメトキシ、エトキシである。
、R、R、R及びRで示されるアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基は、任意の置換可能な位置で、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1から6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、などが挙げられる。
本発明において製造するポリフェニレンエーテルとしては、下記式2で表されるものが好ましい。
(式2)
Figure 2009221403
式中、a、bは、それぞれ独立して、0または自然数を示す。ただし、aとbが同時に0となることはない。
本発明においては、重合反応溶液から固液分離した後のポリフェニレンエーテル粒子を加熱する。
本発明において、ポリフェニレンエーテルの重合方法に限定はないが、一般的には、フェノール化合物を酸化重合する方法がよく知られている。
酸化重合の原料として用いるフェノール化合物としては、例えば、下記式3で表されるフェノール化合物(P)及び/又は下記式4で表されるフェノール化合物(Q)が挙げられる。
(式3)
Figure 2009221403
(式4)
Figure 2009221403
式中、R〜Rは、それぞれ、フェノール化合物(P)におけるR〜Rと同一である。
フェノール化合物(P)としては、例えば、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール、等が挙げられる。なかでも、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノールが、安価であり入手が容易であるため好ましく、2,6−ジメチルフェノールがより好ましい。
また、フェノール化合物(P)は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノール化合物(P)を2種類以上組み合せて用いる場合、その組み合に限定はなく、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジエチルフェノールの組み合わせや、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジフェニルフェノールの組み合わせなどが挙げられ、その際の混合比も任意に選択できる。
また、使用するフェノール化合物(P)の中に、製造の際の副産物として含まれている少量のm−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていても構わない。
フェノール化合物(Q)としては、例えば、2、5−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、2−メチル−5−エチルフェノール、2−エチル−5−メチルフェノール、2−アリル−5−メチルフェノール、2、5−ジアリルフェノール、2,3−ジエチル−6−n―プロピルフェノール、2−メチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−n−ブチルフェノール、2,5−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−フェニルフェノール、2,5−ジフェニルフェノール、2,5−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−5−トリルフェノール、2,5−ジトリルフェノール、2,6−ジメチル−3−アリルフェノール、2,3,6−トリアリルフェノール、2,3,6−トリブチルフェノール、2,6−ジーn−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチル−3―n−ブチルフェノール、2,6−ジメチル−3―t―ブチルフェノール等が挙げられる。なかでも、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノールが、安価であり入手が容易であるため好ましく、2,3,6−トリメチルフェノールがより好ましい。
また、フェノール化合物(Q)は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノール化合物(Q)を2種類以上組み合せて用いる場合、その組み合に限定はなく、例えば、2,3,6−トリメチルフェノールと2,5−ジメチルフェノールの組み合わせなどが挙げられ、その際の混合比も任意に選択できる。
また、フェノール化合物(Q)の中に、製造の際の副産物として含まれている少量のo−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていても構わない。
上記フェノール化合物(P)及び/又はフェノール化合物(Q)の酸化重合において、両者の仕込み比に特に限定はないが、好ましくはフェノール化合物(P)がフェノール化合物(P)とフェノール化合物(Q)との合計に対して、100質量%から60質量%及びフェノール化合物(Q)が0質量%から40質量%であり、更に好ましくはフェノール化合物(P)が100質量%から70質量%及びフェノール化合物(Q)が0質量%から30質量%である。
フェノール化合物(P)とフェノール化合物(Q)の仕込み比が上記範囲内であると得られるポリフェニレンエーテルのガラス転移温度が高くなる傾向にあり、樹脂の耐熱性の観点から好ましい。
一方、酸化重合を行う際のフェノール化合物(P)とフェノール化合物(Q)の仕込み比が上記範囲外であると、機械物性を発現するために必要十分な分子量に達するのに要する重合時間が長くなる可能性がある。
後述の実施例において示すように、ポリフェニレンエーテルを製造する際に、フェノール化合物として、フェノール化合物(Q)を用いる方が、フェノール化合物(P)のみを用いる場合と比較して、微粒子が発生する傾向にある。この傾向を考慮すると、本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、フェノール化合物(Q)を用いてポリフェニレンエーテル粒子を製造する場合に特に効果があり、著しく有用である。
また、フェノール化合物(P)とフェノール化合物(Q)を用いてポリフェニレンエーテルを製造する場合、ポリフェニレンエーテル中におけるフェノール化合物(P)由来の単位とフェノール化合物(Q)由来の単位の配列に限定はなく、ランダム・交互・ブロック・周期等でも構わない。
本発明において、加熱処理を施すポリフェニレンエーテル粒子は、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と、0.5質量%以上100質量%以下の水を含む。
本発明において、ポリフェニレンエーテルの良溶媒とは、20℃におけるポリ(2,6−ジメチルフェニレン)エーテルの溶解度(溶媒100gに溶解する溶質(ポリ(2,6−ジメチルフェニレン)エーテル)の質量(g))が1未満である溶媒をいう。具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼンのようなニトロ化合物;、ペンタン、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサン、シクロへプタン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ジメチルスルホキシド等が例示される。これらの中で、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素やクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が好ましく、廃液となる溶剤の処理方法の観点から特に好ましいのがベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素である。
これらの良溶媒は、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
本発明において、固液分離した後のポリフェニレンエーテル粒子に良溶媒を含ませる方法に限定はない。例えば、重合溶媒として良溶媒を用いた場合、得られるポリフェニレンエーテル粒子中には良溶媒が入り込みやすいので、重合反応溶液からポリフェニレンエーテル粒子を固液分離する際に、これを除去することなく積極的に残存させることによって、ポリフェニレンエーテル粒子に良溶媒を含ませることができる。また、重合反応溶液からポリフェニレンエーテル粒子を固液分離した後に、ポリフェニレンエーテル粒子に良溶媒を添加してもよい。
本発明において、ポリフェニレンエーテル粒子に含まれる良溶媒の量に限定はないが、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子に対して、5〜230質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜220質量%である。
本発明においては、ポリフェニレンエーテル粒子中に良溶媒と共に水が含有されることにより、水が粒子内に均一に分散し、その結果、粒子表面が適度に湿潤し造粒が起こると推測されるところ、ポリフェニレンエーテル粒子が良溶媒を多く含むと、粒子中に水が均一に分散されにくいと考えられる。そのため、造粒に必要となるポリフェニレンエーテル中の水の含有量が多くなる恐れがある。
なお、本発明において、「乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子」とは、固液分離後に1mmHgの減圧下、150℃で24時間乾燥させた後のポリフェニレンエーテル粒子をいう。
本発明において、ポリフェニレンエーテル粒子に含まれる水の純度は特に限定されるものではない。本発明において、ポリフェニレンエーテル粒子に含まれる水の量は、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子に対して0.5質量%から100質量%であり、好ましくは1.0質量%から70質量%、更に好ましくは1.0質量%から50質量%、最も好ましくは1.5質量%から30質量%である。
粒子に含まれる水の量が上記範囲よりも少ない場合には、加熱処理による造粒が困難となり、十分な微粒子含有量の低減効果が得られない可能性がある。また、粒子に含まれる水の量が上記範囲よりも多い場合、ポリフェニレンエーテル粒子から水を取り除きにくくなり、加熱処理だけではポリフェニレンエーテル粒子が乾燥しないおそれがある。
本発明において、固液分離した後のポリフェニレンエーテル粒子に水を0.5質量%以上100質量%以下含有させる方法に制限はない。例えば、重合反応溶液に水を添加すると共に、有機溶媒による洗浄等を行うことなく固液分離をすることにより、固液分離後のポリフェニレンエーテル粒子に水を含ませることができる。
また、重合反応溶液からポリフェニレンエーテル粒子を固液分離した後に、別途、ポリフェニレン粒子に水を添加してもよい。
本発明において、加熱処理を施すポリフェニレンエーテル粒子は、さらに、貧溶媒を含んでいてもよい。
本発明において、ポリフェニレンエーテル樹脂の貧溶媒とは、ポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルを全く溶解しないか、20℃におけるポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルの溶解度が1未満である溶媒を指す。
例えば、ケトン類、アルコール類が挙げられ、好ましくは炭素数1から10のアルコールである。具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール等を挙げることができ、入手の容易さなどから考えると、特に好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールである。
これらの貧溶媒は、2種以上含まれていてもよい。
また、本発明において、ポリフェニレンエーテル粒子に含まれる貧溶媒の量は245質量%から20質量%であることが好ましい。より好ましくは、230質量%から30質量%である。
本発明において好ましく採用できるポリフェニレンエーテルの重合方法としては、例えば、特公昭42−3195号公報、特公昭45−23555号公報、特開昭64−33131号公報等に記載される、フェノール化合物を、金属の塩と各種アミンとの組み合わせからなる触媒を用いて酸化重合する方法が挙げられる。重合時に用いる溶媒としては、例えば、ポリフェニレンエーテルの良溶媒であるベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン等のニトロ化合物等が挙げられる。また、これらの良溶媒に、メタノール、エタノール等のアルコール類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等のポリフェニレンエーテルの貧溶媒を、重合時にポリフェニレンエーテルが析出しない範囲で混合し重合溶媒として用いることもできる。
本発明は、加熱処理を施すポリフェニレンエーテル粒子の乾燥状態における平均粒径が、1μmから300μmであるときに特に有効である。加熱処理を施すポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径が大きい場合、加熱処理前の微粒子の数が少ないため、本発明の効果はあまり大きくない。もっとも、上記範囲よりも平均粒径が小さいポリフェニレンエーテルは、本願の実施例で実施したポリフェニレンエーテルの重合方法では得られることはなかった。
本発明において、平均粒径とは、重量累積粒度分布の50%径をいう。ここで、ポリフェニレンエーテル粒子の粒径は、目の開きが1700μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm、150μm、106μm、46μmの篩を用いて30分間篩い分けを行うことにより求める。本発明においては、通過することのできた篩の目の開きと通過することのできない篩の目の開きの中間の値を粒径とする。なお、46μmの篩を通過したものについては、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した算術平均粒径とし、1700μmの篩の上に残ったものについては、1700μmとする。
ポリフェニレンエーテルを重合する際のモノマー(フェノール化合物)の濃度は、5.0質量%から70質量%であることが好ましく、より好ましくは10質量%から50質量%の範囲である。モノマー濃度が上記範囲よりも低いと生産性が低く非効率的であり、上記範囲よりも高いと重合液の液粘度が上昇するため工業的に生産することが難しくなる可能性がある。また、溶液中にはポリフェニレンエーテルのほかに重合触媒や、触媒除去のための薬品、副生成物除去のための薬品等が含まれていてもかまわない。
本発明において、加熱処理を施す、固液分離した後のポリフェニレンエーテル粒子に含まれる全液体量は、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子に対して5.0質量%から250質量%であることが好ましく、より好ましくは20質量%から200質量%である。全液体の量が5.0質量%以上であると、加熱処理を行う際に飛散する粒子の割合が少なくなり得るため、好ましい。
次に、加熱処理について説明する。
本発明においては、重合反応溶液から固液分離した後の、良溶媒と特定量の水を含むポリフェニレンエーテル粒子を、Tg−100(℃)以上、Tg(℃)以下で加熱する。ここで、Tgは、粒子を構成するポリフェニレンエーテルを乾燥状態にしたものについて測定したガラス転移温度を示す。ここでいう「乾燥状態」とは、前述の「乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子」における「乾燥状態」と同じであり、固液分離後に1mmHgの減圧下、150℃で24時間乾燥させた後の状態をいう。
良溶媒と特定量の水を含むポリフェニレンエーテル粒子をこのような温度で加熱することにより、微粒子間又は微粒子−粒径の大きい粒子間で凝集又は合一が起こり、これにより加熱後のポリフェニレンエーテル中に含まれる微粒子の量が低減できると推測される。
本発明において、ポリフェニレンエーテル粒子を加熱する際の温度は、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度(Tg(℃))以下である。ガラス転移温度(Tg(℃))より高い温度で加熱すると、粒子が溶融して粉体としての特性を失う恐れがある。
一方、加熱温度が低い場合、造粒を行うことができなかったり、造粒に要する時間が長くなる傾向にある。したがって、ポリフェニレンエーテル粒子を加熱する際の温度は、Tg−100(℃)以上であり、好ましくはTg−75(℃)以上、より好ましくはTg−50(℃)以上である。
本発明において、加熱時間に限定はなく、最終的に製造するポリフェニレンエーテルの平均粒径や微粒子の含有量、乾燥度等を考慮して適宜設定することができる。例えば、10分〜1時間程度である。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法で製造するポリフェニレンエーテルの平均粒径は、200から3000μmであることが好ましく、より好ましくは300から2500μmである。平均粒径が本発明の範囲よりも大きくなる場合には、粒度分布が広くなる傾向にあり、取扱い時に分級を招く恐れがある。
本発明の製造方法で製造するポリフェニレンエーテルに含まれる目の開きが106μmの篩を通る微粒子の量は、乾燥状態において、全ポリフェニレンエーテル量に対して、0.4質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
本発明で得られたポリフェニレンエーテルは、従来公知の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂と溶融混練して用いることができる。熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、フェノール、尿素、メラミン、不飽和ポリエステル、アルキッド、エポキシ、ジアリルフタレート等の樹脂が挙げられる。また、溶融混練時に、導電性、難燃性、耐衝撃性等の効果を付与する目的で従来公知の添加剤や熱可塑性エラストマーを加えることがより好ましい。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって限定されるものではない。
1.物性等の測定方法
本明細書中の物性等の測定方法は以下のとおりである。
(1)ガラス転移温度の測定方法
ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度は、示差走査熱量計DSC(PerkinElmer製−Pyris1)を用いて測定した。測定は窒素雰囲気下で行った。毎分40℃の昇温速度で50℃から280℃まで昇温し、280℃で1分間保持した後、50℃まで毎分40℃で降温し、その後毎分40℃速度で昇温させることによりガラス転移温度(Tg)を測定した。
(2)ポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径の測定方法
ポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径は、ミクロ形電磁振動ふるい器(筒井理化学器機製)に、目の開きが各々1700μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm、150μm、106μm及び46μmのメッシュを据え付けて30分間篩い分けを行い、重量累積粒度分布の50%径を平均粒径とした。なお、46μmの篩を通過したものについては、レーザー回折式粒度分布測定装置:製品名LS−230(コールター社製)を用い、1−ブタノール溶剤中に分散させて測定した算術平均粒径を46μの篩を通過した粒子の平均粒径とし、1700μmの篩の上に残ったものについては、1700μmとした。
(3)ポリフェニレンエーテル樹脂中の水、良溶媒、貧溶媒の含有量の測定方法
ポリフェニレンエーテル粒子中に含まれる水、良溶媒、貧溶媒の剤量の測定には、ガスクロマトグラフィー(製品名C−2010(島津製作所製))、FID検出器を用い、メシチレンを内部標準物質とした内部標準検量線法により定量した。キャピラリーカラム(製品名HR−1(信和化工社製))を取付け、カラム昇温プログラム(40℃で1分間保持、その後毎分30℃の昇温速度で200℃まで上昇させ、200℃で1分間保持)を設定して測定した。
(4)還元粘度の測定方法
ポリフェニレンエーテルを0.5g/dlのクロロホルム溶液として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度を測定した。
2.ポリフェニレンエーテル粒子の調製
重合反応溶液から固液分離したポリフェニレンエーテル粒子を3種類の方法により製造した。以下各々の製造方法について記述する。各方法により得られるポリフェニレンエーテル粒子を、粒子(A)、粒子(B)、粒子(C)とする。
(1)粒子(A)の製造方法
原料となるフェノール化合物として2,6−ジメチルフェノールを用いて、特開2004−307554号公報の実施例3と同様にして重合反応を実施した。
重合直後の溶液重合直後の溶液を大過剰のメタノールと混合し、次いでエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の50%水溶液を添加、攪拌し、これを洗浄等することなくそのまま濾過して粒子(A)を得た。
粒子(A)には、乾燥状態の粒子(A)に対して、115質量%の液体が含まれており、成分別では、水は1.89質量%、キシレン(良溶媒)は71.5質量%含まれていた。
乾燥状態とした粒子(A)のガラス転移温度は220℃、還元粘度は0.51dl/gであり、平均粒径は118μmであった。
(2)粒子(B)の製造方法
原料となるフェノール化合物として、2,6−ジメチルフェノールを75質量%、2,3,6−トリメチルフェノールを25質量%用いて、粒子(A)と同様にして粒子(B)を得た。
粒子(B)には、乾燥状態の粒子(B)に対して、132質量%の液体が含まれており、成分別では、水は2.50質量%、キシレン(良溶媒)は95.0質量%含まれていた。
乾燥状態とした粒子(B)のガラス転移温度は232℃、還元粘度は0.50dl/gであり、全ての粒子が46μmメッシュを通過した。
(3)粒子(C)の製造方法
原料となるフェノール化合物として2,6−ジメチルフェノールを75質量%、2,3,6−トリメチルフェノールを25質量%用いて、その他の方法については特表2005−509071号公報の実施例1と同様にして重合反応を実施した。
重合直後の溶液を大過剰のメタノールと混合し、ポリフェニレンエーテル粒子の沈殿物を含む重合混合物を得た。この重合混合物にエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の50%水溶液を添加後に撹拌し、これを洗浄等することなくそのまま濾過して粒子(C)を得た。
粒子(C)には、乾燥状態の粒子(C)対して、130質量%の液体が含まれており、成分別では、水は2.34質量%、キシレン(良溶媒)は64.0質量%含まれていた。
乾燥状態とした湿潤粒子(C)のガラス転移温度は232℃、還元粘度は0.50dl/gであり、全ての粒子が46μmメッシュを通過した。
以上のようにして製造したポリフェニレンエーテル粒子に対して、実施例1〜8、比較例1〜3の処理を施し、造粒を行った。
[実施例1]
粒子(A)4.92gに、水0.44gを加えて攪拌棒を用いて攪拌することで、キシレン(良溶媒)と、乾燥状態のポリフェニレンエーテルに対して21.5質量%の水含むポリフェニレンエーテル粒子を用意した。
得られた粒子を金属製容器に入れて、オイルバスにて150℃で30分間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に粒子を容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径は880μmであり、目の開きが106μmの篩を通過する粒子は含まれなかった。結果を表1に示す。
[実施例2]
粒子(B)5.38gを金属製容器に入れて、オイルバスにて150℃で30分間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に粒子を容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径は670μmであり、目の開きが106μmの篩を通過する粒子は含まれなかった。結果を表1に示す。
[実施例3]
粒子(B)4.58gに、水を0.42g加えて攪拌棒を用いて攪拌することで、キシレン(良溶媒)と、乾燥状態のポリフェニレンエーテルに対して21.3質量%の水含むポリフェニレンエーテル粒子を用意した。
得られた粒子を金属製容器に入れて、オイルバスにて150℃で30分間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径は840μmであり、目の開きが106μmの篩を通過する粒子の割合は0.18質量%であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
粒子(B)をメタノールで洗浄し濾過する作業を1回行い、ポリフェニレンエーテル粒子(D)を得た。粒子(D)には、乾燥状態の粒子(D)に対して、130質量%の液体が含まれており、成分別では水は0.40質量%、キシレン(良溶媒)は31.0質量%含まれていた。粒子(D)4.66gに水を0.43g加えて攪拌棒を用いて攪拌することで、キシレン(良溶媒)と、乾燥状態のポリフェニレンエーテルに対して21.3質量%の水を含むポリフェニレンエーテル粒子を用意した。
得られた粒子を、金属製容器に入れて、オイルバスにて150℃で30分間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径は770μmであり、目の開きが106μmの篩を通過する粒子は含まれなかった。結果を表1に示す。
[実施例5]
粒子(C)4.88gを金属製容器に入れて、オイルバスにて150℃で30分間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径は880μmであり、目の開きが106μmの篩を通過する粒子は含まれなかった。結果を表1に示す。
[実施例6]
粒子(C)4.93gに、水を0.44g加えて攪拌棒を用いて攪拌することで、キシレン(良溶媒)と、乾燥状態のポリフェニレンエーテルに対して21.6質量%の水を含むポリフェニレンエーテル粒子を用意した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子を、金属製容器に入れて、オイルバスにて150℃で30分間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径は940μmであり、目の開きが106μm以下の篩を通過する粒子の割合は0.15質量%であった。結果を表1に示す。
[実施例7]
粒子(B)4.67gに、水を1.20g加えて攪拌棒を用いて攪拌することで、キシレン(良溶媒)と、乾燥状態のポリフェニレンエーテルに対して79.5質量%の水を含むポリフェニレンエーテル粒子を用意した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子を金属製容器に入れて、オイルバスにて150℃で1時間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径は1260μmであり、目の開きが106μmの篩を通過する粒子は含まれなかった。結果を表1に示す。
[実施例8]
特開昭48−73451号の実施例1と同様にして、乾燥状態とした後に100μm以下の粒子の割合が42.7質量%であるポリフェニレンエーテル粒子(E)を得た。粒子(E)には、特開昭48−73451号に記載されたとおり、乾燥状態の粒子(E)に対して水が2.0質量%、キシレン(良溶媒)が32.2質量%含まれていた。
粒子(E)4.88gを金属製容器に入れて、オイルバスにて150℃で30分間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径は740μmであり、目の開きが106μmの篩を通過する粒子は含まれなかった。結果を表1に示す。
[比較例1]
粒子(B)をメタノールで洗浄し濾過をする作業を2回繰り返し、洗浄後の濾残から得られるポリフェニレンエーテル粒子(F)を得た。粒子(F)には、乾燥状態のポリフェニレンエーテルに対して123質量%の液体が含まれていたが、水は含まれず、キシレン(良溶媒)が4.7質量%含まれていた。
粒子(F)を金属製容器に入れて、オイルバスにて150℃で30分間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子はすべて目の開きが46μmの篩を通過した。結果を表1に示す。
[比較例2]
粒子(D)を金属製容器に入れて、オイルバスにて1mmHgの減圧下、150℃で30分間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子はすべて目の開きが46μmの篩を通過した。結果を表1に示す。
[比較例3]
粒子(B)4.67gに、水を2.51g加えて攪拌することで、キシレン(良溶媒)と乾燥状態のポリフェニレンエーテルに対して194質量%の水を含むポリフェニレンエーテル粒子を用意した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子を金属製容器に入れて、オイルバスにて150℃で1時間加熱処理を行った。加熱処理終了後、室温まで冷却した後に容器から取り出した。
得られたポリフェニレンエーテル粒子の平均粒径は1480μmであり、目の開きが106μmの篩を通過する粒子は含まれなかった。しかし、実施例1〜6、8で得られたポリフェニレンエーテルと比較して容器への付着が強く、スケーリングが観測された。結果を表1に示す。
Figure 2009221403
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、電気・電子材料分野、自動車分野、その他各種工業材料分野、食品の包装分野の製品や部品用の材料として用いるポリフェニレンエーテルの製造に利用することができる。

Claims (8)

  1. 重合反応溶液から固液分離した後のポリフェニレンエーテル粒子を、Tg−100(℃)以上、Tg(℃)以下で加熱する工程(ここで、Tgは、粒子を構成するポリフェニレンエーテルを乾燥状態にしたものについて測定したガラス転移温度を示す)を含むポリフェニレンエーテルの製造方法であって、
    前記ポリフェニレンエーテル粒子が、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と0.5質量%以上100質量%以下の水を含む、ポリフェニレンエーテルの製造方法。
  2. 前記ポリフェニレンエーテル粒子の良溶媒の含有量が、5.0質量%以上230質量%以下である、請求項1に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  3. 前記ポリフェニレンエーテル粒子が、さらに、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒を含有する、請求項1又は2記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  4. 前記ポリフェニレンエーテル粒子に含まれる全液体の含有量が、乾燥状態のポリフェニレンエーテル粒子に対して5.0質量%から250質量%である、請求項1〜3いずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  5. 前記良溶媒が、芳香族炭化水素から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒である、請求項1〜4いずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  6. 前記ポリフェニレンエーテルが、下記式1で表される構造を有する、請求項1〜5いずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
    (式1)
    Figure 2009221403
    (式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基又は置換されていてもよいアルコキシ基を示す。Rは、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基又は置換されていてもよいアルコキシ基を示す。a、bはそれぞれ独立して、0または任意の自然数を示す。ただし、aとbは同時に0となることはない。)
  7. 前記ポリフェニレンエーテルが、下記式2で表される構造を有する、請求項1〜6いずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
    (式2)
    Figure 2009221403
    (式中、a、bは各々任意の0または自然数を示す。ただし、aとbは同時に0となることはない。)
  8. 請求項1〜7いずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法により得られる、目の開きが106μmの篩を通過する粒子の割合が0.2質量%以下であるポリフェニレンエーテル。
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