JP2009220766A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】三相ブラシレスモータからなる電動モータMを制御するためのコントローラ10は、モータ駆動回路12と、各相のプリドライバ15U,15V,15Wと、第1および第2昇圧回路21,22とを備えている。モータ駆動回路12は、ハイサイドスイッチング素子32U,32V,32Wとローサイドスイッチング素子33U,33V,33Wとの直列回路31U,31V,31Wを電動モータMのU相、V相およびW相に対応して3個備えている。これらの直列回路31U,31V,31Wのスイッチング素子に各相のプリドライバ15U,15V,15Wがそれぞれ接続されている。第1および第2昇圧回路21,22が生成した電圧のうちいずれか高い方の電圧が、ダイオードOR回路41によって選択され、各相のプリドライバ15U,15V,15Wに共通に与えられる。
【選択図】図2
Description
電動モータを駆動制御するための電子制御ユニット(ECU)は、電動モータに電力を供給するモータ駆動回路と、電動モータに流れるモータ電流を検出する電流検出回路と、目標電流を定めるとともにモータ電流が目標電流値に近づくようにモータ駆動回路をフィードバック制御する制御回路とを備えている。
この問題は、一つの昇圧回路から各相のドライバ回路に昇圧された電圧を共通に与える構成とすれば解決できると考えられる。
しかし、このような構成とすると、昇圧回路に故障が生じたときに、モータの駆動を続けることができなくなり、いわゆる延命制御を行うことができない。
したがって、複数の各相ドライバが昇圧回路を共有する構成であるため、いずれかの昇圧回路に故障が生じた場合であっても、故障の生じていない昇圧回路からの電圧が各相ドライバに与えられる。これにより、いずれかの昇圧回路に故障が生じても、モータの駆動を継続することができ、いわゆる延命制御を行うことができる。しかも、個々の各相ドライバに対して1つの昇圧回路を設けるのではなく、複数の各相ドライバが複数の昇圧回路を共有する構成であるので、相数よりも少ない数(たとえば、2個)の昇圧回路を設ければよい。そのため、コストの低減を併せて図ることができる。
請求項2記載の発明は、前記電圧選択手段は、前記複数の昇圧回路と各相ドライバとの間にそれぞれ順方向接続された複数のダイオード(18,19)を含む、請求項1記載の電動パワーステアリング装置である。
請求項3記載の発明は、前記複数の昇圧回路が生成する電圧を監視する電圧監視手段(20)をさらに含む、請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置である。
たとえば、電圧監視手段がいずれかの昇圧回路の生成電圧の異常を検出したときに、警報を発生する警報発生手段(17)がさらに設けられていてもよい。これにより、使用者に対して修理を促すことができ、昇圧回路が故障状態のままで、電動パワーステアリング装置が継続使用されることを回避できる。
いずれかの相の故障が生じると、切断手段によって、当該故障した相について、モータ駆動回路とモータとの間の接続が切り離される。そして、切断手段によって切断されていない正常な相の直列回路(スイッチング素子の直列回路)を、通常時とは異なる態様で制御することによって、モータが駆動される。こうして、いずれかの相に故障が生じたときには、当該故障が生じた相について、モータ駆動回路とモータとの間の接続を切断し、残余の正常な相の制御によって、いわゆる延命制御を行うことができる。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。車両の操向のための操作手段としてのステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ステアリング機構3に機械的に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMからの操舵補助力が、減速機構(図示せず)を介して、またはダイレクトドライブ方式によって、伝達されるようになっている。電動モータMは、たとえば、三相ブラシレスDCモータである。
コントローラ10には、トルクセンサ5の出力信号のほかに、車速センサ6が出力する車速信号が入力されている。コントローラ10は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクおよび車速センサ6によって検出される車速に応じて、目標電流値を定め、操舵トルクおよび車速に応じた操舵補助力がステアリング機構3に与えられるように、電動モータMを駆動制御する。コントローラ10は、車両の電装品に電力を供給する電源としての車載バッテリ8からの電力を電動モータMに供給することによって、この電動モータMを駆動制御する。
プリドライバ15U,15V,15Wは、個別のIC(集積回路)で構成されている。すなわち、U相、V相およびW相の直列回路31U,31V,31Wにそれぞれ対応するU相プリドライバ15U、V相プリドライバ15VおよびW相プリドライバ15Wが設けられている。これらのプリドライバ15U,15V,15Wには、制御回路11からのオン/オフ制御信号が入力されるようになっている。このオン/オフ制御信号は、モータ駆動回路12を構成するスイッチング素子32U,32V,32W,33U,33V,33WをPWM(パルス幅変調)駆動するための制御信号(PWM制御信号)である。このオン/オフ制御信号に応じて、プリドライバ15U,15V,15Wは、スイッチング素子32U,32V,32W,33U,33V,33Wを駆動するための信号を生成する。
第1昇圧回路21は、第1ダイオード18を介して高電圧ライン40に接続されている。また、第2昇圧回路22は、第2ダイオード19を介して高電圧ライン40に接続されている。したがって、第1および第2ダイオード18,19は、ダイオードOR回路41を形成しており、第1および第2昇圧回路21,22が生成する高電圧のうち、いずれか高い方の高電圧が高電圧ライン40に現れることになる。
この構成により、第1および第2昇圧回路21,22のいずれか一方に故障が生じたときには、正常な他方の昇圧回路が生成する高電圧が高電圧ライン40を介してプリドライバ15U,15V,15Wに共通に与えられる。これにより、一つの昇圧回路が故障しても、他方の昇圧回路を用いて、電動モータMの駆動を継続することができ、電動パワーステアリング装置の延命制御が可能になる。
ア.各相のプリドライバ15U,15W,15Vの故障
イ.各相のスイッチング素子32U,33U;32V,33V;32W,33Wの故障
ウ.各相の給電線26U,26V,26Wの故障(短絡および断線)
(過大な電流が検出されれば短絡故障、電流なしの状態なら断線故障)
制御回路11は、いずれの相にも故障が生じていない通常時には、U相リレー13U、V相リレー13VおよびW相リレー13Wをいずれも閉成状態に保持する。一方、いずれかの相に故障が生じると、制御回路11は、警報発生回路17に警報発生動作を行わせるとともに、当該相に対応したリレー13U,13V,13Wを開成し、当該相の巻線25U,25V,25Wとモータ駆動回路12との間の接続を切り離す。これにより、電動モータMの逆起電力による回生ブレーキが生じないようにされる。そして、制御回路11は、正常な2相の巻線に対して電圧を印加し、操舵補助を継続するための延命制御を行う。
三相ブラシレスモータ(電動モータM)の出力トルクTは、次式(1)で表される。
T=eu×iu+ev×iv+ew×iw ……(1)
eu……U相基準無負荷起電力
ev……V相基準無負荷起電力
ew……W相基準無負荷起電力
iu……U相電流
iv……V相電流
iw……W相電流
基準無負荷起電力は、歪みのないきれいな波形(正弦波)であれば、次式(2)で表される。
ev=E×sin(θ−120°) ……(2)
ew=E×sin(θ+120°)
Eは定数、θは電動モータMの位相角(電気角)
そこで、各相電流を次式(3)に従って印加する。
iv=I×sin(θ−120°) ……(3)
iw=I×sin(θ+120°)
Iは電流の大きさ
すると、次式(4)から理解されるとおり、トルクTを電流の大きさIで制御することができる。
+E×sin(θ−120°)×I×sin(θ−120°)
+E×sin(θ+120°)×I×sin(θ+120°)
=EI×{sin2θ+sin2(θ−120°)+sin2(θ+120°)}
=3/2×EI ……(4)
たとえば、U相が故障した場合を考える。
T=eu×0+ev×iv+ew×iw
=ev×iv+ew×iw ……(5)
また、電動モータMに流れ込む電流と流れ出す電流は等しいから次式(6)が成立する。
よって、前記式(2)(5)(6)から、次式(7)を得る。
T=E×sin(θ−120°)×iv+E×sin(θ+120°)×(−iv)
=E×√3×sin(θ−90°)×iv ……(7)
つまり、出力すべきトルクTに応じて、V相電流およびW相電流を次式(8)(9)にそれぞれ従って印加すればよいことが分かる。
iw=−iv=−T/{E×√3×sin(θ−90°)} ……(9)
ただし、sin(θ−90°)≠0
この場合のV相電流およびW相電流の波形を図示すると、図3のとおりとなり、一定のトルクが得られることが分かる。
そこで、V相電流ivおよびW相電流iwを次のように定めればよい。
〈sin(θ−90°)=0のとき〉
iv=0
iw=0 ……(10)
〈sin(θ−90°)≠0のとき〉
・T/{E×√3×sin(θ−90°)}>αのとき(αは制限値。α>0)
iv=+α
iw=−α ……(11)
・T/{E×√3×sin(θ−90°)}<−αのとき
iv=−α
iw=+α ……(12)
・|T/{E×√3×sin(θ−90°)}|≦αのとき
iv=T/{E×√3×sin(θ−90°)}
iw=−iv ……(13)
この場合のV相電流およびW相電流の波形を図示すると、図4のとおりとなる。電動モータMが発生するトルクは、位相角θ=90°,270°の付近でV字状に減少し、瞬間的に零になるが、大部分の期間において一定のトルク出力が得られる。これにより、一相に故障が生じたときでも、残りの二相によって、可及的に滑らかなトルク出力を維持しつつ、電動モータMを継続して駆動することができる。
また、前述の実施形態では、警報発生回路17は、車両のインスツルメントパネルへの表示によって使用者に対する警報を行うようになっているが、警報表示の代わりに警報音によって使用者に対する警報を行うようにしてもよい。他にも、ステアリングホイール1に対して振動を与えるための信号を目標電流値に重畳することにより、ステアリングホイール1の振動によって運転者に対する警報を行う構成とすることもできる。
Claims (4)
- 複数相のモータが発生する駆動力により操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、
スイッチング素子からなる上アームとスイッチング素子からなる下アームとの直列回路を前記モータの複数相に対応して複数個備え、この複数の直列回路を並列接続して構成されるモータ駆動回路と、
前記複数の直列回路のスイッチング素子にそれぞれ接続された複数の各相ドライバと、
複数の昇圧回路と、
この複数の昇圧回路が生成した電圧のうち最も高い電圧を前記複数の各相ドライバに共通に出力する電圧選択手段とを含む、電動パワーステアリング装置。 - 前記電圧選択手段は、前記複数の昇圧回路と各相ドライバとの間にそれぞれ順方向接続された複数のダイオードを含む、請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記複数の昇圧回路が生成する電圧を監視する電圧監視手段をさらに含む、請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置。
- 各相の前記各相ドライバから前記モータまでの故障を検出する故障検出手段と、
この故障検出手段によって故障が検出された相について、前記モータ駆動回路と前記モータとの接続を切り離す切断手段と、
前記故障検出手段がいずれの相の故障も検出していないときに、前記モータ駆動回路を第1の態様で制御する一方、前記故障検出手段がいずれかの相の故障を検出しているときに、前記切断手段によって切り離されていない正常な相の前記直列回路を前記第1の態様とは異なる第2の態様で制御する制御手段とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
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