JP2009220579A - 二軸混練押出機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 混練スクリュの負荷変動に起因して発生する共振を確実に防止する。
【解決手段】本発明の二軸混練押出機2は、駆動モータ4の動力を第1変速機6で2つに分岐して混練スクリュ3の一対のシャフトに伝達する動力伝達経路を備えた二軸混練押出機2であって、混練スクリュ3に加わる負荷変動に対する共振応答倍率を低減することで負荷変動に起因する共振を抑制する共振抑制手段18が動力伝達経路上に備えられており、共振抑制手段18は、第1変速機6から混練スクリュ3への動力伝達経路に備えられており、一対のシャフト間における負荷変動の位相差を低減する位相差ダンパ29で構成されていることを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、二軸混練押出機に関するものである。
一般に、二軸押出機や連続混練機などの二軸混練押出機においては、バレル内に母材となる高分子樹脂のペレットや粉体状の添加物を供給し、バレル内に挿通された一対の混練スクリュによって両者を混練しながら下流側へ送ることで、プラスチックコンパウンド等の複合樹脂材料が製造されている。このような二軸混練押出機では、駆動モータの動力を変速機で2つに分けてそれぞれの混練スクリュに伝達する機構になっている。
ところで、混練スクリュを回転させた際に混練スクリュに加わる回転抵抗は一定ではない。この回転抵抗は混練材料、混練スクリュに形成されているフィンの数、混練スクリュの回転数などに応じて変動するため、混練スクリュにも回転抵抗の変動に由来する負荷変動が加わることになる。
このような負荷変動は、その周波数が混練スクリュの回転数と相関しており、混練スクリュの回転数が上がれば当然負荷変動の周波数も高くなる。特に、近年は生産性を高めたいという要望が強く、混練スクリュを高い回転数まで回転させたり、インバータ制御のように回転数を変化させての運転が行われるようになっている。それゆえ、負荷の周波数が二軸混練押出機全体の固有振動数と一致してしまった結果、共振が発生して混練スクリュのシャフトや変速機が破損する可能性が増大している。
このような共振の発生を回避するための手段としては、一般に固有振動数を変化させる手段が講じられる。例えば特許文献1では、トーションバーやカップリング機構を駆動モータの動力軸に設けて、剛性を調整することで二軸混練押出機の固有振動数を変化させる手段が提案されている。
特開平11−138528号公報
しかしながら、近年増加しているインバータ駆動の可変速タイプの二軸混練押出機では、混練スクリュの回転数は一定ではない。それゆえ、二軸混練押出機の固有振動数を変えたとしても運転条件によっては共振が発生する可能性が高く、共振の発生を確実に回避できるものではなかった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、混練スクリュの回転数の値に関係なく、共振による破損が確実に回避できる二軸混練押出機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の二軸混練押出機は、駆動モータの動力を第1変速機で2つに分岐して混練スクリュの一対のシャフトに伝達する動力伝達経路を備えた二軸混練押出機であって、
前記混練スクリュに加わる負荷変動に対する共振応答倍率を低減することで、当該負荷変動に起因する共振を抑制する共振抑制手段が、前記動力伝達経路上に備えられており、
前記共振抑制手段は、前記第1変速機から前記混練スクリュへの動力伝達経路に備えられており、前記一対のシャフト間における負荷変動の位相差を低減する位相差ダンパで構成されていることを特徴とするものである。
本発明者らは、混練スクリュが共振に近い状態になったときに、その振幅を抑えることができれば混練スクリュのシャフトや変速機の破損を回避できるのではないかと考えた。そして、共振応答倍率を低減する共振抑制手段を動力伝達経路に設けることで二軸混練押出機の破損が効果的に抑えられることを知見して、本発明を完成するに至ったのである。
つまり、本発明の二軸混練押出機では、負荷変動により混練スクリュが共振に近い状態になっても共振抑制手段により混練スクリュの共振応答倍率が低減させられているため、混練スクリュに発生する共振が二軸混練押出機が破損する程度にまで大きくなることがない。それゆえ、本発明の駆動伝達装置では、混練スクリュの回転数に関係なく、共振による二軸混練押出機の破損が確実に回避できるのである。
なお、前記共振抑制手段が前記第1変速機から前記混練スクリュへの動力伝達経路に備えられている場合には、前記共振抑制手段は前記一対のシャフト間における負荷変動の位相差を低減する位相差ダンパで構成されているのが好ましい。
そして、前記位相差ダンパは、前記一対のシャフトのそれぞれと同期して回転すると共に互いに対面状に並んで配置された一対の同期歯車と、前記一対の同期歯車間に配備された弾性部材と、を備えているのが好ましい。
本発明の二軸混練押出機では、混練スクリュの回転数の値に関係なく、共振の発生を確実に回避できる。
第1実施形態の駆動伝達装置の正面断面図である。 共振抑制手段の取り付け位置が異なる駆動伝達装置の正面断面図である。 共振抑制手段の取り付け位置が異なる駆動伝達装置の正面断面図である。 第1実施形態に用いられる共振抑制手段の拡大断面図である。 第2実施形態の駆動伝達装置の正面断面図である。 位相差ダンパの側面図及び斜視図である。 第2実施形態に用いられる共振抑制手段の拡大断面図である。 スクリュシャフトの回転方向が異なる場合の駆動伝達装置の正面断面図である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を、図面に基づき以降に説明する。
図1に模式的に示されるように、二軸混練押出機2は、本実施形態においては、同方向回転噛合型である。二軸混練押出機2は、内部が空洞とされたバレル24と、このバレル24の内部を挿通するように設けられた一対の混練スクリュ3、3と、これらの混練スクリュ3、3を回転駆動する駆動伝達装置1とを備えている。
なお、以降の説明においては、図1における紙面の左側に向かう方向が二軸混練押出機2を説明する際の下流側と定義され、また紙面の右側が上流側と定義される。また、図1の紙面の左右方向が二軸混練押出機2を説明する際の軸方向と定義される。
二軸混練押出機2は、駆動伝達装置1で発生した回転駆動力(動力)を下流側に伝達して、一対の混練スクリュ3、3のそれぞれを回転させてバレル24内の材料を混練する構造となっている。
駆動伝達装置1は、動力を発生する駆動モータ4と、この駆動モータ4の動力を変速(増速又は減速)する第2変速機5と、この第2変速機5で変速された動力を2つに分岐して一対の混練スクリュ3、3のそれぞれに伝達する第1変速機6とを備えている。
ゆえに、駆動伝達装置1における動力伝達経路は、駆動モータ4で発生した動力を動力軸7を介して第2変速機5に入力し、第2変速機5で変速された動力を第2変速機5の出力軸9を介して第1変速機6に入力し、第1変速機6で動力を2つに分岐して第1スクリュシャフト12と第2スクリュシャフト16とにそれぞれ出力するものである。
駆動モータ4は、混練スクリュ3を回転するに十分な動力を発生可能な高圧用モータであり、発生した動力を動力軸7を介して第2変速機5に伝達している。
第2変速機は、動力軸7の回転数を変速して出力軸9に伝達する機構を備えており、変速により大きくなった動力軸7のトルクは出力軸9を介して第1変速機6に出力される。第2変速機を構成する第1歯車8、第2歯車10は、後述する第1変速機6の第3歯車11、第4歯車14、第5歯車15及び第6歯車17よりも質量、厚み、半径が大きく、慣性モーメントも大きい構成となっている。
第1変速機6は、出力軸9を介して入力されたトルクを第3歯車11で2つに分岐し、そのトルクの一部を第4歯車14、遊動軸13、第5歯車15及び第6歯車17を介して第2スクリュシャフト16に、また残りの一部を第1スクリュシャフト12にそれぞれ出力している。
本発明の駆動伝達装置1は、混練スクリュ3に加わる負荷変動に対する共振応答倍率を低減することで、負荷変動に起因して混練スクリュ3に発生する共振を抑制する共振抑制手段18が、動力伝達経路上に備えられていることを特徴とする。
負荷変動は、材料を混練するために所定の設定角度でフライトが取り付けられた混練スクリュ3が回転する際に、そのフライトの回転位相に応じて混練スクリュ3に加わる負荷が変動することで生じるものであり、トルクの変動として計測される。
トルクの変動(負荷変動)は、その周波数が二軸混練押出機2の固有振動数に近づくと、二軸混練押出機2は共振に近い状態になる。この共振に近い状態になると、慣性モーメントが大きな駆動モータ4や第1変速機6が設けられた上流側を固定端として、下流側の混練スクリュ3が振動の自由端として振動することになる。
そこで、本実施形態では、第1変速機6と第2変速機5との間の動力伝達系路上に共振抑制手段18を設け、この共振抑制手段18により振動を抑制して混練スクリュ3の共振応答倍率を低減している。
なお、共振応答倍率とは、混練スクリュ3の負荷変動(入力振幅)に対する共振時の振動振幅(出力振幅)の割合である。そして、入力振幅とは負荷変動に起因して混練スクリュ3に発生する変動トルクの振幅として計測され、出力振幅とは共振時における混練スクリュ3の振幅である。
上述のような共振抑制手段18は、動力伝達経路上の様々な位置に設けることができる。
図1の如く、共振抑制手段18は駆動モータ4より下流側の動力伝達経路上に設けることもできる。駆動モータ4は動力伝達経路上の他の部材よりも質量(慣性モーメント)が大きく、振動時には固定端として機能しやすい。それゆえ、共振抑制手段18を振動が起こりやすい駆動モータ4より下流側の動力伝達経路上に設けるのが好ましい。
また、図2に示されるように、動力伝達経路上に駆動モータ4同様に慣性モーメントが大きな第2変速機5が備えられている場合にあっては、共振抑制手段18を駆動モータ4と第2変速機5との間の動力伝達系路上に設けても良い。
また、図3に示されるように、第2変速機5が駆動伝達装置1に設けられておらず、駆動モータ4の動力が第1変速機6に直接入力されている場合には、共振抑制手段18を駆動モータ4から第1変速機6までの動力伝達系路上に設けることもできる。
さらに、図4に示すように、共振抑制手段18は、共振抑制手段18に対する入力軸と出力軸との間を弾性体で連結した構造とされている。このような共振抑制手段18には、タイヤ型カップリング19や流体カップリング23を用いることができる。
図4(a)に示すように、タイヤ型カップリング19は、入力軸に設けられた第1カップリング体20と、出力軸に設けられた第2カップリング体21とを備えている。タイヤ型カップリング19は、これらの第1カップリング体20と第2カップリング体21との間に弾性体22を有している。
図4(b)に示すように、流体カップリング23は、両カップリング体20、21の間にはシール部材26が備えられ、このシール部材26により密閉された内部の空間には粘性流体27が封入されている。そして、第1カップリング体20と第2カップリング体21とは動力伝達可能なトーションバー28により連結(柔結合)されている。
タイヤ型カップリング19や流体カップリング23は、第1カップリング体20と第2カップリング体21とが互いに一定の距離をあけて対面するように並んで配置されており、これら同士が弾性体22や粘性流体27で連結されている。
それゆえ、トルクの急激な変化が入力軸を介して第1カップリング体20に入力されると、弾性体22や粘性流体27が弾性変形や発熱を起こしてトルクの急激な変化を吸収し第2カップリング体21に伝達することがない。その結果、タイヤ型カップリング19や流体カップリング23ではトルクの変動を減衰することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の共振抑制手段18を備えた駆動伝達装置1を説明する。
図5〜図7に示すように、第2実施形態の駆動伝達装置1が第1実施形態と異なっている点は、一対のスクリュシャフト12、16に第1実施形態とは異なる共振抑制手段18が設けられている点である。なお、第2実施形態の駆動伝達装置1におけるその他構成及び作用効果については、第1実施形態と同様である。
図6(a)及び図6(b)に示すように、位相差ダンパ29は、第1スクリュシャフト12及び第2スクリュシャフト16のそれぞれと同期して回転すると共に互いに対面状に並んで配置された一対の同期歯車30、31とを備えており、これらの同期歯車30、31の間には弾性部材34が配備されている。
位相差ダンパ29は、第1スクリュシャフト12に設けられた第1伝達歯車32に第1同期歯車30が噛み合っており、第2スクリュシャフト16に設けられた第2伝達歯車33に第2同期歯車31が噛み合っている。
第1伝達歯車32と第2伝達歯車33とは、シャフト軸方向に距離をあけて取り付けられている。それゆえ、第1伝達歯車32及び第2伝達歯車33のそれぞれに噛み合う第1同期歯車30及び第2同期歯車31も互いに軸方向に距離をあけて配置されている。
第1伝達歯車32及び第2伝達歯車33は、歯数、歯のピッチ及び歯車の外径が等しい歯を外周側に備えている。また、第1同期歯車30及び第2同期歯車31も、歯数、歯のピッチ及び歯車の外径が等しい歯を外周側に備えている。
図7(a)に示されるように、位相差ダンパ29に用いられる弾性部材34は、ゴムなどの弾性材料で形成されており、第1同期歯車30と第2同期歯車31とを弾性的に連結している。
第1スクリュシャフト12と第2スクリュシャフト16とが同じ回転速度で(位相差無く)回転している場合は、第1伝達歯車32と第2伝達歯車33とが同じ回転速度で回転し、位相差ダンパ29ではこれらの伝達歯車32、33と噛み合う第1同期歯車30及び第2同期歯車31も同じ回転速度で回転する。
それゆえ、図6(b)に示すように、第1スクリュシャフト12と第2スクリュシャフト16とが同方向に回転する場合に、第1スクリュシャフト12と第2スクリュシャフト16とに異なるタイミングで変動するトルクがそれぞれ入力されると、第1同期歯車30が回転速度ω1で、また第2同期歯車31がω1≠ω2となる回転速度ω2でそれぞれ回転し、トルクの変動のタイミングに差が生じる。このようにトルクが異なったタイミングで変動すると、弾性部材34が第1同期歯車30と第2同期歯車31との回転速度を一致させる方向に弾性力(復元力)を発生し、混練スクリュ3の共振応答倍率を低減することができる。
なお、位相差ダンパ29は、図7(a)に示されるもの以外にも例えば図7(b)や図7(c)に示すような構成とすることもできる。
すなわち、図7(b)に示すように、第1同期歯車30と第2同期歯車31との間にシール部材35を設け、シール部材35で密封可能な内部に粘弾性流体36を設けて、第1同期歯車30と第2同期歯車31との間に減衰力を発生させることもできる。
また、図7(c)に示すように、第1同期歯車30と第2同期歯車31との間に、互いに遊挿可能な円筒部37をそれぞれ設け、これらの内外一対の円筒部37の間に弾性部材34を設けて、第1同期歯車30と第2同期歯車31との間に減衰力を発生させることもできる。
また、図8に示すように、第2実施形態の駆動伝達装置1は、第1スクリュシャフト12と第2スクリュシャフト16とが異なる方向に回転する場合にも用いることができる。 つまり、第1伝達歯車32と第1同期歯車30との間、或いは第2伝達歯車33と第2同期歯車31との間に第3伝達歯車38を設け、この第3伝達歯車38と位相差ダンパ29とを共振抑制手段18とすることもできる。
このようにすれば、第1スクリュシャフト12と第2スクリュシャフト16とが異なる方向に回転している場合に、第3伝達歯車38を用いて第1同期歯車30及び第2同期歯車31を同方向に回転させることができ、混練スクリュ3の共振応答倍率を低減することができる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
上記実施形態では、二軸混練押出機2として2軸完全噛み合い型のものが例示されている。しかし、二軸混練押出機2に単軸又は3軸以上の押出機を用いても良いし、完全噛み合い型以外の二軸混練押出機2に用いても良い。また、二軸混練押出機2には連続混練機を用いることもできる。
1 駆動伝達装置
2 二軸混練押出機(押出機)
3 混練スクリュ
4 駆動モータ
5 第2変速機
6 第1変速機
7 動力軸
8 第1歯車
9 出力軸
10 第2歯車
11 第3歯車
12 第1スクリュシャフト
13 遊動軸
14 第4歯車
15 第5歯車
16 第2スクリュシャフト
17 第6歯車
18 共振抑制手段
19 タイヤ型カップリング
20 第1カップリング体
21 第2カップリング体
22 弾性体
23 流体カップリング
24 バレル
26 シール部材
27 粘性流体
28 トーションバー
29 位相差ダンパ
30 第1同期歯車
31 第2同期歯車
32 第1伝達歯車
33 第2伝達歯車
34 弾性部材
35 シール部材
36 粘弾性流体
37 円筒部
38 第3伝達歯車

Claims (2)

  1. 駆動モータの動力を第1変速機で2つに分岐して混練スクリュの一対のシャフトに伝達する動力伝達経路を備えた二軸混練押出機であって、
    前記混練スクリュに加わる負荷変動に対する共振応答倍率を低減することで、当該負荷変動に起因する共振を抑制する共振抑制手段が、前記動力伝達経路上に備えられており、
    前記共振抑制手段は、前記第1変速機から前記混練スクリュへの動力伝達経路に備えられており、前記一対のシャフト間における負荷変動の位相差を低減する位相差ダンパで構成されていることを特徴とする二軸混練押出機。
  2. 前記位相差ダンパは、
    前記一対のシャフトのそれぞれと同期して回転すると共に互いに対面状に並んで配置された一対の同期歯車と、
    前記一対の同期歯車間に配備された弾性部材と、
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載の二軸混練押出機。
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