JP2009218450A - 電磁波障害対策シ−ト - Google Patents

電磁波障害対策シ−ト Download PDF

Info

Publication number
JP2009218450A
JP2009218450A JP2008061847A JP2008061847A JP2009218450A JP 2009218450 A JP2009218450 A JP 2009218450A JP 2008061847 A JP2008061847 A JP 2008061847A JP 2008061847 A JP2008061847 A JP 2008061847A JP 2009218450 A JP2009218450 A JP 2009218450A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
soft magnetic
magnetic alloy
alloy powder
particle size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008061847A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5137629B2 (ja
Inventor
Takuya Tanaka
拓也 田中
Toshio Miyahara
利雄 宮原
Mitsuhiro Aoyanagi
光洋 青柳
Shinji Togashi
慎次 冨樫
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP2008061847A priority Critical patent/JP5137629B2/ja
Publication of JP2009218450A publication Critical patent/JP2009218450A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5137629B2 publication Critical patent/JP5137629B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)

Abstract

【課題】電磁波を熱へ変換し不要な電磁波を抑制し、かつハロゲンフリーでも優れた難燃性を有し、軟磁性合金粉末と金属水酸化物粉末を高配合させ、かつ軟磁性合金粉末を高密度につなげるべく圧縮させても、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻付けたりすることができる優れた柔軟性をも有する電磁波障害対策シートを得る。
【解決手段】ガラス転移温度が−25℃〜−65℃でかつ重量平均分子量が500,000〜900,000であるアクリル樹脂(2)に、Niの含有量が80%以上のFe−Ni系で200μm以上の粒径物が除去された平均粒径が110〜140μmで、かつ扁平度30〜50である扁平形状軟磁性合金粉末(3)及び平均粒径4μm以下の金属水酸化物(4)が配合分散された電磁波障害対策シ−ト(1)。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子電気機器において発生する不要電磁波の外部への漏洩や内部回路間での干渉による他の電子電気機器及びその機器自体の誤動作の誘発等の影響を防止するために装着する高分子化合物中に軟磁性体粉末を分散させた電磁波障害対策シートに関する。
近年、高周波を利用する電子電気機器類の高機能化に伴い各種電子部品が不要な放射電磁波を発生する状況にある。それにより、外部及び内部への干渉による他の電子電気機器及びその機器自体の誤動作を誘発する等といった問題が発生している。
そこで、高周波電磁波障害の対策手段としては、鉄を主成分とした軟磁性合金粉末をゴムや熱可塑性エラストマーといった高分子化合物と軟磁性合金粉末とを複合させた電磁波障害対策シ−トが開発されている。
この電磁波障害対策シ−トは、放射される不要な電磁波を熱へ変換するといった吸収機能を有するもので、不要な放射電磁波を発生する電子部品に直接またはその近傍に配置されて使用される。
そして、電磁波障害対策シートの透磁率が高いほど電磁波を熱へ変換し不要な電磁波の抑制効果は大きくなる。このようなことから、電磁波障害対策シートに関しては、その高透磁率化の検討が行われている。
透磁率を高めるには、高分子化合物中に分散された軟磁性合金粉末同士がつながることが必要である。そうすると、シート内で磁化のつながりが生じ、結果透磁率が向上する。その為に、例えば軟磁性合金粉末としての形状は扁平形状のものを用い、それを高配合させたり圧縮をかけてシートの面方向に配向させるとともにシートの密度を高めて扁平形状の軟磁性合金粉末をつなげることで透磁率を高めるといった電磁波障害対策シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような電磁波障害対策シートの製造に関しては、大別して扁平形状軟磁性合金粉末と結合剤とその結合剤を溶解する溶媒とを、混合、攪拌して得られる分散溶液を塗工して製膜する湿式法や、扁平形状軟磁性合金粉末と結合剤をニーダーやバンバリーミキサーなどを用いて混練した混和物をオープンロールやカレンダーロールなどにより成形する乾式法がある。
前者の湿式法は、ゴムや熱可塑性エラストマーのような高分子結合剤を所定の溶剤に溶解し、得られた高分子結合剤溶解溶液に所定量の扁平形状軟磁性合金粉末を混合して流動性に富む分散溶液を調製し、その分散溶液を例えば各種コーターなどで所定厚みに塗工、乾燥してシート化する方法である。この場合、扁平形状軟磁性合金粉末に歪みが加わらないので粉末それ自体の磁気特性は維持され、劣化させないという点では好適である。
しかしながら、分散溶液の調製に際して溶剤が使用されているので、シート内にはその乾燥時にこの溶剤が揮散した跡の気孔が残存しているので扁平形状軟磁性合金粉末が密な状態で存在していない為にそれらのつながりが低く、まだこの状態では得られたシートの透磁率は低い。そこで、乾燥後のシートに熱プレスや熱圧延ロールで圧縮し残存気孔を押しつぶし、シートの密度を高めることも行われる。
一方、乾式法は、ニ−ダ−やバンバリーミキサーなどで結合剤に熱を加えて結合剤を軟化させて扁平形状軟磁性合金粉末とゴムやプラスチックスのような結合材を所定の割合で混練し、得られた混練物を例えば押出した後圧延ロールで所定厚みのシートに成形したり、もしくは混練物をカレンダーロールで所定厚みに圧延してシート化する方法である。
しかしこの場合、ニーダー混練時や混練物の圧延時に、軟磁性合金粉末に歪みが加わりそれが残ってしまうために、得られたシートの透磁率は高くならないという問題がある。
以上から、近年では扁平形状軟磁性合金粉末と結合剤とその結合剤を溶解する溶媒とを、混合、攪拌して得られる分散溶液を塗工して製膜する湿式法で製造されることが主流になってきている。
また、このような電子電気機器内に組み込まれる部品には難燃性が要求される。これまでは塩素化ポリエチレンなどといったハロゲン系のポリマーや臭素系や塩素系といったハロゲン系の難燃剤が用いられ、少ない配合量で高い難燃性を付与させることができた。しかし、近年の環境問題などからそのようなハロゲン系化合物の使用を抑制する動きが顕著で、ハロゲンフリー系難燃剤が使用されている。そのハロゲンフリー系難燃剤は大別すると、赤リン系やリン酸エステル系といったリン化合物系難燃剤や水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムといった金属水酸化物難燃剤などがある。ただし、更にリン化合物系難燃剤の使用も避けられるような状況にあり、金属水酸化物系難燃剤を用いて難燃性を付与させている電磁波障害対策シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、その電子電気機器内に組み込まれる部品にはUL94「機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験」にある20mm垂直燃焼試験94V−2以上もしくは水平燃焼試験94HB以上の難燃性が要求されるが、いずれにおいてもその金属水酸化物は少量では難燃効果が高くないために非常に高配合させる必要がある。
このように、透磁率を高めるためには扁平形状軟磁性合金粉末を高配合しかつ圧縮により高密度とし、ハロゲンフリー難燃性を高めるには金属水酸化物を高配合させる必要があるが、そのようにして得られたシートは硬いものとなる。
それに対し、近年の電子電気機器は上記高機能化に加えより小型化され、内部が非常に高い実装密度でスペースがほとんどない状態になっており、シートが硬いと不要な放射電磁波を発生する電子部品に直接または近傍に、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けたりして配置することができなくなる。
そこで、シートの厚みは0.1mm〜0.5mmというように薄く、かつバインダーとなる高分子化合物に柔軟なゴムや熱可塑性エラストマーを使用した電磁波障害対策シートが提案されているが柔軟性に乏しいといった問題がある。
以上のように電磁波障害対策シートは、放射される不要な電磁波を熱へ変換するといった吸収機能を有することでの不要な電磁波の抑制効果を持つために必要な透磁率を付与させる為、かつハロゲンフリーでの難燃性を付与させる為には、扁平形状軟磁性合金粉末と金属水酸化物粉末を高配合させ、かつ扁平形状軟磁性合金粉末を高密度につなげるべくシートを圧縮させることとなる。しかし、そのようにして得られた電磁波障害対策シートは柔軟性に非常に乏しいものとなり、比較的小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻付けたりすることができないといった問題が生じている。
特開2002−299112号公報 特開2001−308583号公報
本発明は、上述のような問題点に着目してなされたものであり、その目的は、電磁波を熱へ変換し不要な電磁波を抑制するのに必要な透磁率を有し、かつハロゲンフリーでも難燃性に優れ、軟磁性合金粉末と金属水酸化物粉末を高配合させ高密度に圧縮させても、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻付けたりすることができる優れた柔軟性をも有する電磁波障害対策シートを得ることである。
上記の課題に鑑みて本発明者らは、特定のガラス転移温度と分子量をもつアクリル樹脂と、Niの含有量が80質量%以上のFe−Ni系合金で、特定粒径範囲の扁平形状の軟磁性合金粉末及び微粒径の水酸化アルミニウムを含み、前記アクリル樹脂が溶解する溶剤に前記扁平形状軟磁性合金粉末と金属水酸化物含む分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後、厚み方向に圧縮した電磁波障害対策シートを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
(1)ガラス転移温度が−25℃〜−65℃でかつ重量平均分子量が500,000〜900,000であるアクリル樹脂に、Niの含有量が80質量%以上のFe−Ni系で200μm以上の粒径物が除去された平均粒径が110〜140μmで、かつ扁平度30〜50である扁平形状軟磁性合金粉末及び平均粒径4μm以下の金属水酸化物が配合分散されたことを特徴とする電磁波障害対策シート、
(2)アクリル樹脂100質量部に対し、扁平形状軟磁性合金粉末が700〜1000質量部及び金属水酸化物が100〜300質量部配合されたことを特徴とする(1)記載の電磁波障害対策シート、および、
(3)アクリル樹脂が溶解している溶剤、扁平形状軟磁性合金粉末及び金属水酸化物を含む分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後、厚み方向で50%〜70%圧縮した、厚みが0.1mm〜0.5mmであることを特徴とする(1)又は(2)記載の電磁波障害対策シート、
を提供するものである。
なお、この粉末の「平均粒径」は粒度分布測定装置であるレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置などでの測定で得ることができ、「扁平度」はその「平均粒径」をSEM写真観察などから得られた平均厚みで除した値である。
本発明の電磁波障害対策シートは、透磁率が50以上と高く、電磁波を熱へ変換し不要な電磁波を抑制する機能に優れ、電子電気機器において発生する不要電波の外部への漏洩や内部回路間での干渉による他の電子電気機器及びその機器自体の誤動作の誘発等の影響を防止することができる。そして、環境に優しいハロゲンフリーでありながら優れた難燃性をも有し、更に小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻付けたりすることができる柔軟性にも優れる。
以下、本発明の電磁波障害対策シートについて、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電磁波障害対策シートの一部を拡大した、厚み方向の断面の概略を示す一例である。図1に示すように電磁波障害対策シート1は、連続相からなるアクリル樹脂2内に、圧縮され更に扁平になった扁平形状軟磁性合金粉末3同士がつながり、そして、金属水酸化物4の微粒子が分散したものである。
まず、本発明の電磁波障害対策シートの連続相をなす結合剤となる高分子化合物はアクリル樹脂であり、そのアクリル樹脂が溶解している溶剤からなる溶液を用いるものである。
従来、このような溶剤に溶解されて使用される樹脂には、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などがあるが、本発明では次のような理由でアクリル樹脂を使用する。
シリコーン樹脂は非常に柔軟であることが特徴であるが、それゆえに扁平状軟磁性粉末及び金属水酸化物粉末が高配合で分散された上に、シートが0.1mm〜0.5mmといった薄い場合には強度不足で千切れてしまうなどの問題が生じる。また、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂は逆に非常に硬質な樹脂のために、0.1mm〜0.5mmといった薄さでも小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻付けたりすることができないシートとなってしまうために好ましくない。
このアクリル樹脂は主モノマーと官能基モノマーと架橋剤からなるものである。主モノマーはアクリル酸エステルからなりメチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2エチルヘキシルアクリレートなどがあるが、得られたアクリル樹脂のガラス転移温度が−25℃〜−65℃、好ましくは−25℃〜−40℃、さらに好ましくは−30℃〜−40℃で、かつ重量平均分子量が500,000〜900,000、好ましくは600,000〜800,000であることを満たすものであれば、それらの中の1種類でも良いし、複数の混合からなるものでも良いし、どれかに限定されるものではない。
また、官能基モノマーには水酸基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、エポキシ基含有化合物などがあり、得られたアクリル樹脂のガラス転移温度および重量平均分子量が上記の要件を満たすものであれば、それらの中の1種類でも良いし、複数の混合からなるものでも良いし、どれかに限定されるものではない。
更に、架橋剤には、イソシアネート化合物やエポキシ化合物などがあり、得られたアクリル樹脂のガラス転移温度および重量平均分子量が上記の要件を満たすものであれば、それらの中の1種類でも良いし、複数の混合からなるものでも良いし、どれかに限定されるものではない。
ガラス転移温度が−25℃〜−65℃であるアクリル樹脂を用いた場合、得られた電磁波障害対策シートが電子電気機器内に組み込まれる際に、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けられたりしても、適度にそのアクリル樹脂の分子鎖が運動性を持つゴム状態で柔軟性を有するために、千切れたりすることなく小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻付けたりすることができるために好ましい。
一方、ガラス転移温度が−25℃を超える高いアクリル樹脂を用いた場合、得られた電磁波障害対策シートを電子電気機器内に組み込む際に、そのアクリル樹脂の分子鎖の運動性が乏しいために硬く、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けることができないために好ましくない。また、ガラス転移温度が−65℃未満の場合、アクリル樹脂の分子鎖の運動性が増大し柔軟性が大きすぎて、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付ける際に、シートが千切れたりしてしまうために好ましくない。
また、アクリル樹脂の重量平均分子量が500,000〜900,000であると小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けられたりした際に、千切れたりすることなく小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻付けたりすることができるために好ましい。
重量平均分子量が500,000未満の場合、分子量が小さいために樹脂強度が低く、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けられたりした際に千切れてしまうために好ましくなく、また900,000を超える場合、分子量が大きいために樹脂強度が高く、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けることができないために好ましくない。
本発明の電磁波障害対策シートに配合分散される軟磁性合金粉末は、Niの含有量が全合金成分量に対し80質量%以上、好ましくは82質量%以上、より好ましくは84質量%以上であり、90質量%程度までのFe−Ni系合金であり、200μm以上の粒径物が除去された平均粒径が110〜140μmで、かつ扁平度30〜50である扁平形状のものである。
軟磁性合金粉末は鉄を主成分とする合金であり、それらにはFe―Ni系のパーマロイ、Fe―Si―Al系のセンダスト、Fe―Si系のケイ素鋼、Fe―Cr系のステンレス、Fe―Co系のパーメンジュールなどがある。
しかし、それらの中でも、本発明の電磁波障害対策シートには、柔らかいNi含有量が80質量%以上(全合金成分量に対し)であるFe―Ni系のパーマロイを用いる。それは、この合金は微小に変形できることから、分散溶液を塗工方法で製膜し溶剤を除去した後のシ−トを厚み方向での50〜70%の圧縮が可能となる。その結果、得られるシートは扁平形状軟磁性合金粉末のつながりに優れ、電磁波を熱へ変換するといった吸収機能を有することで、不要な電磁波の抑制効果を持つために必要な透磁率を有することができる。
それに対し、Ni含有量が80質量%未満のFe―Ni系のパーマロイ及びFe―Si―Al系のセンダスト、Fe―Si系のケイ素鋼、Fe―Cr系のステンレス、Fe―Co系のパーメンジュールといった扁平形状軟磁性合金粉末は硬いために微小な変形ができず、分散溶液を塗工方法で製膜し溶剤を除去した後のシ−トを厚み方向で50〜70%といった圧縮が困難になるためである。その結果、扁平形状軟磁性合金粉末のつながりが乏しくなり、電磁波を熱へ変換するといった吸収機能を有することでの不要な電磁波の抑制効果を持つために必要な透磁率を有することができなくなる。
尚、Ni含有量が80質量%以上であるFe―Niを基本に構成されている軟磁性合金粉末であれば、そこへ更にSiやMoやCuなどの金属が少量添加されたものを使用することに問題はない。
本発明の電磁波障害対策シートでは、軟磁性合金粉末は上述しているように扁平形状である。電磁波を熱へ変換するといった吸収機能を有することで不要な電磁波の抑制効果を持つために、必要な透磁率を有する電磁波障害対策シートを得るには、配合分散された軟磁性合金粉末同士がそのシート内でつながっていることが必要となる。それが不定形状や球形の場合は接触点数が非常に少なくそれら同士がつながりにくいが、扁平形状の場合紙が重なるように軟磁性合金粉末同士のつながりに優れ、高い透磁率を有する電磁波障害対策シートを得ることができるようになるためである。
また、本発明では、このFe―Ni系の扁平形状軟磁性合金粉末は200μm以上の粒径物が除去されている必要がある。そのような200μm以上の粒径の粉末が存在した場合、大きな粒径粉末が存在するために電磁波を熱へ変換するといった吸収機能に必要な透磁率を付与させるために必要な高い率での圧縮が難しくなるためである。
更に、200μm以上の粒径物が除去されたFe―Ni系の扁平形状軟磁性合金粉末の平均粒径は110μm〜140μm、好ましくは115μm〜135μmである必要がある。
平均粒径が110μm未満の場合、高い圧縮率で高密度になっていても扁平形状軟磁性合金粉末同士のつながりが乏しくなり、得られた電磁波障害対策シートの透磁率も低くなってしまうために好ましくない。一方、平均粒径が140μmを越えた場合、分散溶液を塗工した際に毛羽立ったような製膜となってしまい好ましくない。
また、本発明の電磁波障害対策シートでは、Fe―Ni系の扁平形状軟磁性合金粉末の扁平度は30〜50、好ましくは35〜45である。
扁平度が30未満の場合、その形状が厚みのある扁平形状いわゆる不定形状に近いものとなり、軟磁性合金粉末同士の接触点数が減少しそれら同士のつながりに乏しく、得られたシートの透磁率が低くなってしまうし、一方、扁平度が50を越えると厚みが非常に薄い扁平形状の粉末となるために、分散溶液を塗工して得られた製膜において、その扁平形状軟磁性合金粉末の分散が非常に悪いものとなってしまうためである。
そして、本発明の電磁波障害対策シートには難燃性が必要である。難燃性付与として、平均粒径4μm以下の金属水酸化物が配合分散される。平均粒径が4μmを超えた場合、電磁波を熱へ変換するといった吸収機能に必要な透磁率を付与させるために必要な高い率で圧縮させることが難しくなるためである。
尚、金属水酸化物には水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどを含め、平均粒径4μm以下を満たしている金属水酸化物であれば限定されるものではないが、特に水酸化アルミニウムが好ましい。
更に、本発明の電磁波障害対策シートでは、それらの扁平形状軟磁性合金粉末及び金属水酸化物はアクリル樹脂100質量部に対し、扁平形状軟磁性合金粉末が700〜1000質量部、好ましくは750〜850質量部、及び金属水酸化物が100〜300質量部、好ましくは100〜200質量部配合されることが好ましい。
扁平形状軟磁性合金粉末が700質量部未満の場合、配合量が少ないために高い圧縮で高密度になっていてもそれら同士のつながりに乏しく、得られた電磁波障害対策シートの透磁率も低くなってしまうために好ましくない。一方、扁平形状軟磁性合金粉末が1000質量部を越えた場合、分散溶液の流動性が低下し塗工が非常に難しくなるために好ましくない。
また、アクリル樹脂100質量部に対する金属水酸化物の配合量が100質量部未満の場合は、その配合量が少ないために、得られたシートの難燃性がUL94「機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験」の水平燃焼試験94HBも満足しないものとなってしまうために好ましくない。一方、金属水酸化物が300質量部を超えた場合、分散溶液の流動性が低下し塗工が非常に難しくなるために好ましくない。
そして、本発明の電磁波障害対策シートは、このような扁平形状軟磁性合金粉末と金属水酸化物をアクリル樹脂が溶解された溶剤と混合し、分散させ、その分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後のシートを、厚み方向で50%〜70%圧縮し、厚みが0.1mm〜0.5mm、好ましくは0.1mm〜0.2mmとしたものが好ましい。
厚み方向の圧縮が50%未満の場合、圧縮が不足で配合分散された扁平形状軟磁性合金粉末同士のつながりが乏しいものとなり得られたシートの透磁率は低く好ましくなく、一方、厚み方向で70%以上の圧縮を行うのは本発明においても非常に困難である。
シートの厚みについては、塗工により得られた製膜の溶剤を除去した後に0.1mm未満に圧縮させると、ところどころ千切れたり均一なシートを得ることができなく、0.5mmを超えて厚く圧縮させると、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けることができなくなるために好ましくない。
本発明の電磁波障害対策シートは、電子電気機器の小型化に伴いその内部が非常に高い実装密度でスペースがほとんどなく、曲げたり、巻きつけたりして不要な放射電磁波を発生する電子部品に直接またはその近傍に配置して使用される。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明し、比較例と共に性能試験例を示し、本発明の優れた効果を明示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1及び実施例6〜実施例14)
アクリル樹脂溶液としてガラス転移温度が−32℃で重量平均分子量が700,000の[「SKダインSK−1811L」:商品名、綜研化学(株)製]を用い、扁平形状軟磁性合金粉末としてNi含有量が80質量%で微量のSiが含有されたFe−Ni系で、かつ200μm以上の粒径物が除去され平均粒径が129μmで扁平度41である[「T4」:商品名、三菱マテリアル(株)製]を用い、金属水酸化物として平均粒径が2μmの水酸化アルミニウムである[「B703」:商品名、日本軽金属(株)製]を用いた。それらを表1、表2−1、表2−2に示す各例での配合量(数値は質量部を示す)とし、上記アクリル樹脂溶液にFe−Ni系扁平形状軟磁性合金粉末と金属水酸化物を混合させた分散溶液を塗工方法で製膜し、温度をかけて溶剤を除去した。その後、厚み方向で表1、表2−1、表2−2の各例に示す圧縮率50%から70%の範囲で、熱圧延ロールで圧縮させて、厚み0.1mm〜0.5mmのシートを得た。
(実施例2)
Ni含有量が80質量%のFe−Ni系で、かつ200μm以上の粒径物が除去され平均粒径が110μmで扁平度40である扁平形状の軟磁性合金粉末を使用し、水酸化アルミニウムの配合量を200部とすること以外は実施例1で使用した材料を用いた。圧縮率を50%とし、実施例1と同様の方法で0.1mm厚みのシートを得た。
(実施例3)
Ni含有量が80質量%のFe−Ni系で、かつ200μm以上の粒径物が除去され平均粒径が140μmで扁平度40である扁平形状の軟磁性合金粉末を使用し、水酸化アルミニウムの配合量を300とすること以外は実施例1で使用した材料を用いた。圧縮率を50%とし、実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
(実施例4)
Ni含有量が80質量%のFe−Ni系で、かつ200μm以上の粒径物が除去され平均粒径が120μmで扁平度30である扁平形状の軟磁性合金粉末を使用し、水酸化アルミニウムの配合量を300とすること以外は実施例1で使用した材料を用いた。圧縮率を70%とし、実施例1と同様の方法で0.1mm厚みのシートを得た。
(実施例5)
Ni含有量が80質量%のFe−Ni系で、かつ200μm以上の粒径物が除去され平均粒径が120μmで扁平度50である扁平形状の軟磁性合金粉末を使用し、水酸化アルミニウムの配合量を200とすること以外は実施例1で使用した材料を用いた。圧縮率を60%とし、実施例1と同様の方法で0.5mm厚みのシートを得た。
(比較例1)
アクリル樹脂溶液としてガラス転移温度が−20℃で重量平均分子量600,000の[「SKダインSK−HHB28」:商品名、綜研化学(株)製]を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
(比較例2)
アクリル樹脂溶液としてガラス転移温度が−68℃で重量平均分子量900,000の[「SKダインSK−1495」:商品名、綜研化学(株)製]を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を50%とした以外は実施例1と同様の方法で0.5mm厚みのシートを得た。
(比較例3)
アクリル樹脂溶液としてガラス転移温度が−39℃で重量平均分子量が420,000の[「SG−811」:商品名、ナガセケムテックス(株)製]を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を50%とした以外は実施例1と同様の方法で0.5mm厚みのシートを得た。
(比較例4)
アクリル樹脂溶液としてガラス転移温度が−61℃で重量平均分子量が1,000,000の[「SKダインSK−1570」:商品名、綜研化学(株)製]を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を70%とした以外は実施例1と同様の方法で0.1mm厚みのシートを得た。
(比較例5)
Ni含有量が80質量%のFe−Ni系で200μm以上の粒径物を除去し平均粒径が115μmの不定形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を70%とした以外は実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
(比較例6)
Fe−Si―Al系で200μm以上の粒径物を除去し平均粒径が110μmで扁平度が42の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を40%とした以外は実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
(比較例7)
Ni含有量が74質量%のFe−Ni系で、200μm以上の粒径物が除去され、平均粒径が110μmで扁平度が42の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を45%とした以外は実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
(比較例8)
Ni含有量が80%であるFe−Ni系で、200μm以上の粒径物を除去していない平均粒径が120μmで扁平度が40の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を45%とした以外は実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
(比較例9)
Ni含有量が80%であるFe−Ni系で、200μm以上の粒径物を除去され、平均粒径が85μmで扁平度が40の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を70%とした以外は実施例1と同様の方法で0.1mm厚みのシートを得た。
(比較例10)
Ni含有量が80%であるFe−Ni系で、200μm以上の粒径物を除去され、平均粒径が145μmで扁平度が40の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、実施例1と同様の方法で分散溶液を塗工したが、その際に大きな粒径粉末が存在することで毛羽立ったような製膜となってしまい、成形が不可能でシートが得られなかった。
(比較例11)
Ni含有量が80%であるFe−Ni系で、200μm以上の粒径物を除去され、平均粒径が110μmで扁平度が25の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を70%とした以外は実施例1と同様の方法で0.1mm厚みのシートを得た。
(比較例12)
Ni含有量が80%であるFe−Ni系で、200μm以上の粒径物を除去され、平均粒径が130μmで扁平度が55の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、実施例1と同様の方法で分散溶液を塗工したが、厚みが非常に薄い扁平形状の粉末が存在するために、分散溶液を塗工して得られた製膜が虫食いになるような非常に分散が悪いものとなってしまい、成形が不可能でシートが得られなかった。
(比較例13)
平均粒径が8μmである水酸化アルミニウム[「B103」:商品名、日本軽金属(株)製]を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。溶剤を除去した後圧縮成形したが、圧縮率45%が限界で、0.5mm厚みのシートを得た。
(比較例14〜比較例17)
アクリル樹脂、軟磁性合金粉末および金属水酸化物の配合割合が、表5−1に示すものであること以外は実施例1と同じ材料を用いた。比較例14、16は実施例1と同様の方法で、圧縮率をそれぞれ70%、50%として成形し、それぞれ0.1mmおよび0.5mm厚みのシートを得た。また、比較例15、17は実施例1と同様の方法で製膜・溶剤除去を行ったが、分散溶液の流動性が非常に低く、まだら状態の塗工となり成形が困難であり、シートは得られなかった
(比較例18〜比較例21)
実施例1と同じ材料を用い、同じ配合量で混合した分散溶液を、実施例1と同様に製膜・溶剤除去を行った。比較例18は圧縮率40%で、比較例21は圧縮率70%で圧縮成形し、それぞれ0.5mmおよび0.6mm厚みのシートを得た。
また、比較例19は圧縮率80%へ圧縮を試みたが圧縮することができず成形不可であり、シートを得られなかった。また、比較例20は厚み0.05mmのシートの成形を試みたが、ところどころ千切れたりと均一なシートを得ることができなかった。
各実施例および比較例で得られた電波波障害対策シート(シートの得られなかった比較例10、12、15、17、19、20は除く)について、各特性の評価測定及び試験として次の方法にて、「透磁率の測定」、「UL94垂直燃焼試験及び水平燃焼試験」並びに「シート巻き付け試験」を実施した。各実施例及び比較例の測定及び試験の結果を表1〜表5−2に示した。
透磁率は10MHzでの値が50以上、難燃性はUL94の水平難燃性のHB以上及びシート巻き付け試験は巻き付けが可能か、曲げ部分で割れを生じないかどうかを合否の判断基準とした。
(1)[透磁率測定]
インピーダンス・マテリアルアナライザーを用い周波数1MHz〜1GHzでの透磁率を測定し、最高値を示す1MHz〜10MHzでの値を用いた。その際、不要な電磁波を熱へ変換するといった電磁波の抑制効果を有する値として50以上が必要であることとした。
(2)[UL94 薄手材料垂直燃焼試験 垂直Vと水平HB]
材料・装置・部品・道具類などから製品に至るまでの、機能や安全性に関する標準化を目的とした製品安全規格を満たしたものに対し認可を与える機関であるUnderwriters Laboratoriesで実施評価されるUL94「機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験」にある20mm垂直燃焼試験(94V−0、94V−1または94V−2)及び水平燃焼試験(94HB)に準拠した。
(3)[シート巻き付け試験]
JIS C 3005「ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法の巻付加熱試験」を参考にした。それは電線試料を規定の径をもつ円筒に緊密に規定回数巻き付け、または屈曲し、そのままの状態で、規定温度の恒温槽で1時間加熱した後に取り出して、試料の表面にひび及び割れが生じているかどうかを目視で調べるものである。本試験では、径1.0mmの円筒の棒に規定のシートを巻き付けることができるか否か、もしくはその際に千切れたりしないかどうかで行った。
Figure 2009218450
Figure 2009218450
Figure 2009218450
表1及び表2−1、表2−2にみられるように、実施例1〜実施例14で得られた電磁波障害対策シートは、不要な電磁波を熱へ変換するといった電磁波の抑制効果をもつ透磁率50以上を有する。そして、UL94「薄手材料垂直燃焼試験及び水平燃焼試験」においては、平均粒径2〜4μmの水酸化アルミニウムが100部配合の実施例10は94水平HBで、200部配合の実施例11は94垂直V−1で、300部配合の実施例12は94垂直V−0を有する。更に、シート巻き付け試験では径1.0mmの円筒の棒への巻き付けでも千切れたりすることなく巻く付けることができる柔軟性を有する。
以上のように、本発明の電磁波障害対策シートは、電磁波を熱へ変換し不要な電磁波を抑制する効果をもつ透磁率を有し、かつハロゲンフリーでの難燃性をも有し、更に小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻付けたりすることができる柔軟性に優れることが確認された。
Figure 2009218450
これに対し、表3のガラス転移温度が−20℃のアクリル樹脂を使用した比較例1の0.3mm厚シートはアクリル樹脂の分子鎖の運動性が乏しいために非常に硬く、径1.0mmの円筒の棒に巻き付けることができないことがわかる。
また、表3のガラス転移温度が−68℃のアクリル樹脂を使用した比較例2の0.5mm厚シートは、アクリル樹脂の分子鎖の運動性が増大し柔軟性が大きすぎて非常に柔らかく、円筒の棒に巻き付ける際に千切れてしまうことがわかる。
また、表3の重量平均分子量が420,000のアクリル樹脂を使用した比較例3の0.5mm厚シートは、その樹脂の分子量が小さいために強度が低くて柔らかく、円筒の棒に巻き付ける際に千切れてしまうことがわかる。
また、表3の重量平均分子量が1,000,000のアクリル樹脂を使用した比較例4の0.1mm厚シート4は、その樹脂の分子量が大きいために強度が高くて硬く、円筒の棒に巻き付けることができないことがわかる。
Figure 2009218450
表4−1の不定形状の軟磁性合金粉末を使用した比較例5の0.3mm厚シートは、軟磁性合金粉末同士の接触点数が非常に少ないために、それら同士のつながりが乏しく透磁率が10と非常に低く、電磁波を熱へ変換し不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
また、表4−1のFe−Si―Al系の扁平形状軟磁性合金粉末を使用した比較例6の0.3mm厚シートは、Fe−Si−Al系軟磁性合金粉末が硬く、分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後の圧縮40%あたりが限界である。扁平形状軟磁性合金粉末のつながりに乏しいために透磁率が30と低く、不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
また、表4−1のNi含有量が74%のFe−Ni系を使用した比較例7の0.3mm厚シートは、柔らかいNiの含有量が低くて硬い軟磁性合金粉末となり、分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後の圧縮45%あたりが限界である。扁平形状軟磁性合金粉末のつながりに乏しいために透磁率が40と低く、不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
表4−1の200μm以上の粒径物を除去していない扁平形状軟磁性合金粉末を使用した比較例8の0.3mm厚シートは、大きな粒径粉末が存在するために分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後の圧縮45%あたりが限界である。扁平形状軟磁性合金粉末のつながりに乏しいために透磁率が45と低く、電磁波を熱へ変換し不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
また、表4−1の平均粒径が85μmである扁平形状軟磁性合金粉末を使用した比較例9の0.1mm厚シートは、70%の高圧縮にもかかわらずその粒径が小さいことから扁平形状軟磁性合金粉末同士のつながりが乏しく、得られた電磁波障害対策シートの透磁率も45と低く、不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
Figure 2009218450
表4−2の扁平度が25の扁平形状軟磁性合金粉末を使用した比較例11の0.1mm厚シートは、その形状が厚みのある扁平形状いわゆる不定形状に近いものとなり、軟磁性合金粉末同士の接触点数が減少することでそれら同士のつながりも乏しくなり、70%の高圧縮にもかかわらず得られたシートの透磁率が40と低く、電磁波を熱へ変換し不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
また、表4−2の平均粒径が8μmの金属水酸化物を使用した比較例13の0.5mm厚シートは、大きな粒径の水酸化アルミニウム粉末が存在するために成形時の圧縮が45%あたりが限界で、扁平形状軟磁性合金粉末のつながりが乏しいために透磁率が45と低く、不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
Figure 2009218450
表5−1の扁平形状軟磁性合金粉末の配合量が600質量部である比較例14の0.1mm厚シートは、その配合量不足で70%の高圧縮にもかかわらずそれら同士のつながりに乏しく、得られたシートの透磁率は30と低く、電磁波を熱へ変換し不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
また、表5−1の金属水酸化物の配合量が50質量部である比較例16の0.5mm厚シートは、その配合量不足で、0.5mm厚にもかかわらずUL94の水平HB難燃性も不合格であるといった難燃性に劣ることがわかる。
Figure 2009218450
実施例1の配合組成と同じ分散溶液を実施例1と同様の塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後の圧縮率を40%とした表5−2の比較例18の0.5mm厚シートは、透磁率が30と低く、電磁波を熱へ変換し不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
また、表5−2の比較例21のシートは、実施例1の配合組成と同じ分散溶液を実施例1と同様の塗工方法で製膜し、厚み0.6mm厚のシートを得たが、その厚みのために径1.0mmの円筒の棒に巻き付けることができないことがわかる。
本発明の電磁波障害対策シートの概略断面図である。
符号の説明
1 電磁波障害対策シート
2 アクリル樹脂
3 扁平形状軟磁性合金粉末
4 金属水酸化物

Claims (3)

  1. ガラス転移温度が−25℃〜−65℃でかつ重量平均分子量が500,000〜900,000であるアクリル樹脂に、Niの含有量が80質量%以上のFe−Ni系で200μm以上の粒径物が除去された平均粒径が110〜140μmで、かつ扁平度30〜50である扁平形状軟磁性合金粉末及び平均粒径4μm以下の金属水酸化物が配合分散されたことを特徴とする電磁波障害対策シ−ト。
  2. アクリル樹脂100質量部に対し、扁平形状軟磁性合金粉末が700〜1000質量部及び金属水酸化物が100〜300質量部配合されたことを特徴とする請求項1記載の電磁波障害対策シート。
  3. アクリル樹脂が溶解している溶剤、扁平形状軟磁性合金粉末及び金属水酸化物を含む分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後、厚み方向で50%から70%圧縮した、厚みが0.1mm〜0.5mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁波障害対策シート。
JP2008061847A 2008-03-11 2008-03-11 電磁波障害対策シ−ト Expired - Fee Related JP5137629B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008061847A JP5137629B2 (ja) 2008-03-11 2008-03-11 電磁波障害対策シ−ト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008061847A JP5137629B2 (ja) 2008-03-11 2008-03-11 電磁波障害対策シ−ト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009218450A true JP2009218450A (ja) 2009-09-24
JP5137629B2 JP5137629B2 (ja) 2013-02-06

Family

ID=41190020

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008061847A Expired - Fee Related JP5137629B2 (ja) 2008-03-11 2008-03-11 電磁波障害対策シ−ト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5137629B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012028576A (ja) * 2010-07-23 2012-02-09 Nec Tokin Corp 難燃性ノイズ抑制シート
JP2014165363A (ja) * 2013-02-26 2014-09-08 Nitto Denko Corp 軟磁性熱硬化性接着フィルム、軟磁性フィルム積層回路基板、および、位置検出装置
WO2014188816A1 (ja) * 2013-05-22 2014-11-27 日東電工株式会社 軟磁性樹脂組成物および軟磁性フィルム
WO2014192427A1 (ja) * 2013-05-27 2014-12-04 日東電工株式会社 軟磁性樹脂組成物、軟磁性接着フィルム、軟磁性フィルム積層回路基板、および、位置検出装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003229694A (ja) * 2002-02-05 2003-08-15 Sony Corp 電磁波吸収体およびその製造方法
JP2006073949A (ja) * 2004-09-06 2006-03-16 Showa Denko Kk 電磁波吸収体
JP2007031695A (ja) * 2005-06-20 2007-02-08 Achilles Corp 電磁波吸収性と熱伝導性を有するアクリル系樹脂組成物及び樹脂シート

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003229694A (ja) * 2002-02-05 2003-08-15 Sony Corp 電磁波吸収体およびその製造方法
JP2006073949A (ja) * 2004-09-06 2006-03-16 Showa Denko Kk 電磁波吸収体
JP2007031695A (ja) * 2005-06-20 2007-02-08 Achilles Corp 電磁波吸収性と熱伝導性を有するアクリル系樹脂組成物及び樹脂シート

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012028576A (ja) * 2010-07-23 2012-02-09 Nec Tokin Corp 難燃性ノイズ抑制シート
JP2014165363A (ja) * 2013-02-26 2014-09-08 Nitto Denko Corp 軟磁性熱硬化性接着フィルム、軟磁性フィルム積層回路基板、および、位置検出装置
WO2014188816A1 (ja) * 2013-05-22 2014-11-27 日東電工株式会社 軟磁性樹脂組成物および軟磁性フィルム
WO2014192427A1 (ja) * 2013-05-27 2014-12-04 日東電工株式会社 軟磁性樹脂組成物、軟磁性接着フィルム、軟磁性フィルム積層回路基板、および、位置検出装置
JP2015008263A (ja) * 2013-05-27 2015-01-15 日東電工株式会社 軟磁性樹脂組成物、軟磁性接着フィルム、軟磁性フィルム積層回路基板、および、位置検出装置
CN105247632A (zh) * 2013-05-27 2016-01-13 日东电工株式会社 软磁性树脂组合物、软磁性粘接薄膜、软磁性薄膜层叠电路基板及位置检测装置
CN105247632B (zh) * 2013-05-27 2018-06-15 日东电工株式会社 软磁性树脂组合物、软磁性粘接薄膜、软磁性薄膜层叠电路基板及位置检测装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5137629B2 (ja) 2013-02-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4849220B2 (ja) 電磁波干渉抑制用シート及びその製造法、高周波信号用フラットケーブル並びにフレキシブルプリント基板
JP2009059753A (ja) 難燃化ノイズ抑制シート
US20090114440A1 (en) Conductive Magnetic Filler, Resin Composition Containing the Filler, Electromagnetic Interference Suppressing Sheet Using the Resin Composition and Applications Thereof, and Process for Producing the Electromagnetic Interference Suppressing Sheet
WO2008069059A1 (ja) 樹脂組成物
JP2006310812A (ja) 熱伝導性シート
JP2006307209A (ja) シート体、積層体、シート体が装着された製品およびシート体の製造方法
KR101385823B1 (ko) 전자파 간섭 억제 시트, 고주파 신호용 플랫 케이블, 연성 인쇄 기판 및 전자파 간섭 억제 시트의 제조 방법
KR101560570B1 (ko) 전자파 간섭 노이즈 차폐와 흡수, 방열 및 전기 절연 복합 시트용 조성물 및 이를 포함하는 복합 시트
JP5137629B2 (ja) 電磁波障害対策シ−ト
JP2005159337A (ja) 電磁干渉抑制体およびこれを用いる電磁障害抑制方法
EP2938175A1 (en) Electromagnetic interference suppression body
JP2010077198A (ja) 樹脂組成物
JP2007281074A (ja) ノイズ抑制シート
WO2016088826A1 (ja) 複合型電磁波抑制体
JP2009155554A (ja) 樹脂組成物
JP4859028B2 (ja) 電磁波対策シート、電磁波対策シートの製造方法、および電子部品の電磁波対策構造
JP2005158956A (ja) 電磁波シールド樹脂組成物
JP2004247663A (ja) 複合磁性材シート
JP2006278433A (ja) 複合電磁波ノイズ抑制シート
JP2011134755A (ja) 電磁ノイズ対策部材
JP2007088316A (ja) 磁性粉末および電波吸収体
CN110892492B (zh) 近场用噪声抑制片
JP5361055B2 (ja) 複合シート
JP2011003583A (ja) 複合シート
KR102167063B1 (ko) 전자파 차폐용 가스켓 제조용 조성물 및 전자파 차폐용 가스켓

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20090707

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101101

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120306

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120507

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121023

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151122

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees