JP2009218450A - 電磁波障害対策シ−ト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス転移温度が−25℃〜−65℃でかつ重量平均分子量が500,000〜900,000であるアクリル樹脂(2)に、Niの含有量が80%以上のFe−Ni系で200μm以上の粒径物が除去された平均粒径が110〜140μmで、かつ扁平度30〜50である扁平形状軟磁性合金粉末(3)及び平均粒径4μm以下の金属水酸化物(4)が配合分散された電磁波障害対策シ−ト(1)。
【選択図】図1
Description
そこで、高周波電磁波障害の対策手段としては、鉄を主成分とした軟磁性合金粉末をゴムや熱可塑性エラストマーといった高分子化合物と軟磁性合金粉末とを複合させた電磁波障害対策シ−トが開発されている。
そして、電磁波障害対策シートの透磁率が高いほど電磁波を熱へ変換し不要な電磁波の抑制効果は大きくなる。このようなことから、電磁波障害対策シートに関しては、その高透磁率化の検討が行われている。
透磁率を高めるには、高分子化合物中に分散された軟磁性合金粉末同士がつながることが必要である。そうすると、シート内で磁化のつながりが生じ、結果透磁率が向上する。その為に、例えば軟磁性合金粉末としての形状は扁平形状のものを用い、それを高配合させたり圧縮をかけてシートの面方向に配向させるとともにシートの密度を高めて扁平形状の軟磁性合金粉末をつなげることで透磁率を高めるといった電磁波障害対策シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、分散溶液の調製に際して溶剤が使用されているので、シート内にはその乾燥時にこの溶剤が揮散した跡の気孔が残存しているので扁平形状軟磁性合金粉末が密な状態で存在していない為にそれらのつながりが低く、まだこの状態では得られたシートの透磁率は低い。そこで、乾燥後のシートに熱プレスや熱圧延ロールで圧縮し残存気孔を押しつぶし、シートの密度を高めることも行われる。
しかしこの場合、ニーダー混練時や混練物の圧延時に、軟磁性合金粉末に歪みが加わりそれが残ってしまうために、得られたシートの透磁率は高くならないという問題がある。
以上から、近年では扁平形状軟磁性合金粉末と結合剤とその結合剤を溶解する溶媒とを、混合、攪拌して得られる分散溶液を塗工して製膜する湿式法で製造されることが主流になってきている。
しかしながら、その電子電気機器内に組み込まれる部品にはUL94「機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験」にある20mm垂直燃焼試験94V−2以上もしくは水平燃焼試験94HB以上の難燃性が要求されるが、いずれにおいてもその金属水酸化物は少量では難燃効果が高くないために非常に高配合させる必要がある。
それに対し、近年の電子電気機器は上記高機能化に加えより小型化され、内部が非常に高い実装密度でスペースがほとんどない状態になっており、シートが硬いと不要な放射電磁波を発生する電子部品に直接または近傍に、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けたりして配置することができなくなる。
そこで、シートの厚みは0.1mm〜0.5mmというように薄く、かつバインダーとなる高分子化合物に柔軟なゴムや熱可塑性エラストマーを使用した電磁波障害対策シートが提案されているが柔軟性に乏しいといった問題がある。
(1)ガラス転移温度が−25℃〜−65℃でかつ重量平均分子量が500,000〜900,000であるアクリル樹脂に、Niの含有量が80質量%以上のFe−Ni系で200μm以上の粒径物が除去された平均粒径が110〜140μmで、かつ扁平度30〜50である扁平形状軟磁性合金粉末及び平均粒径4μm以下の金属水酸化物が配合分散されたことを特徴とする電磁波障害対策シート、
(2)アクリル樹脂100質量部に対し、扁平形状軟磁性合金粉末が700〜1000質量部及び金属水酸化物が100〜300質量部配合されたことを特徴とする(1)記載の電磁波障害対策シート、および、
(3)アクリル樹脂が溶解している溶剤、扁平形状軟磁性合金粉末及び金属水酸化物を含む分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後、厚み方向で50%〜70%圧縮した、厚みが0.1mm〜0.5mmであることを特徴とする(1)又は(2)記載の電磁波障害対策シート、
を提供するものである。
なお、この粉末の「平均粒径」は粒度分布測定装置であるレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置などでの測定で得ることができ、「扁平度」はその「平均粒径」をSEM写真観察などから得られた平均厚みで除した値である。
図1は、本発明の電磁波障害対策シートの一部を拡大した、厚み方向の断面の概略を示す一例である。図1に示すように電磁波障害対策シート1は、連続相からなるアクリル樹脂2内に、圧縮され更に扁平になった扁平形状軟磁性合金粉末3同士がつながり、そして、金属水酸化物4の微粒子が分散したものである。
従来、このような溶剤に溶解されて使用される樹脂には、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などがあるが、本発明では次のような理由でアクリル樹脂を使用する。
シリコーン樹脂は非常に柔軟であることが特徴であるが、それゆえに扁平状軟磁性粉末及び金属水酸化物粉末が高配合で分散された上に、シートが0.1mm〜0.5mmといった薄い場合には強度不足で千切れてしまうなどの問題が生じる。また、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂は逆に非常に硬質な樹脂のために、0.1mm〜0.5mmといった薄さでも小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻付けたりすることができないシートとなってしまうために好ましくない。
また、官能基モノマーには水酸基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、エポキシ基含有化合物などがあり、得られたアクリル樹脂のガラス転移温度および重量平均分子量が上記の要件を満たすものであれば、それらの中の1種類でも良いし、複数の混合からなるものでも良いし、どれかに限定されるものではない。
更に、架橋剤には、イソシアネート化合物やエポキシ化合物などがあり、得られたアクリル樹脂のガラス転移温度および重量平均分子量が上記の要件を満たすものであれば、それらの中の1種類でも良いし、複数の混合からなるものでも良いし、どれかに限定されるものではない。
一方、ガラス転移温度が−25℃を超える高いアクリル樹脂を用いた場合、得られた電磁波障害対策シートを電子電気機器内に組み込む際に、そのアクリル樹脂の分子鎖の運動性が乏しいために硬く、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けることができないために好ましくない。また、ガラス転移温度が−65℃未満の場合、アクリル樹脂の分子鎖の運動性が増大し柔軟性が大きすぎて、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付ける際に、シートが千切れたりしてしまうために好ましくない。
重量平均分子量が500,000未満の場合、分子量が小さいために樹脂強度が低く、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けられたりした際に千切れてしまうために好ましくなく、また900,000を超える場合、分子量が大きいために樹脂強度が高く、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けることができないために好ましくない。
軟磁性合金粉末は鉄を主成分とする合金であり、それらにはFe―Ni系のパーマロイ、Fe―Si―Al系のセンダスト、Fe―Si系のケイ素鋼、Fe―Cr系のステンレス、Fe―Co系のパーメンジュールなどがある。
しかし、それらの中でも、本発明の電磁波障害対策シートには、柔らかいNi含有量が80質量%以上(全合金成分量に対し)であるFe―Ni系のパーマロイを用いる。それは、この合金は微小に変形できることから、分散溶液を塗工方法で製膜し溶剤を除去した後のシ−トを厚み方向での50〜70%の圧縮が可能となる。その結果、得られるシートは扁平形状軟磁性合金粉末のつながりに優れ、電磁波を熱へ変換するといった吸収機能を有することで、不要な電磁波の抑制効果を持つために必要な透磁率を有することができる。
尚、Ni含有量が80質量%以上であるFe―Niを基本に構成されている軟磁性合金粉末であれば、そこへ更にSiやMoやCuなどの金属が少量添加されたものを使用することに問題はない。
また、本発明では、このFe―Ni系の扁平形状軟磁性合金粉末は200μm以上の粒径物が除去されている必要がある。そのような200μm以上の粒径の粉末が存在した場合、大きな粒径粉末が存在するために電磁波を熱へ変換するといった吸収機能に必要な透磁率を付与させるために必要な高い率での圧縮が難しくなるためである。
平均粒径が110μm未満の場合、高い圧縮率で高密度になっていても扁平形状軟磁性合金粉末同士のつながりが乏しくなり、得られた電磁波障害対策シートの透磁率も低くなってしまうために好ましくない。一方、平均粒径が140μmを越えた場合、分散溶液を塗工した際に毛羽立ったような製膜となってしまい好ましくない。
扁平度が30未満の場合、その形状が厚みのある扁平形状いわゆる不定形状に近いものとなり、軟磁性合金粉末同士の接触点数が減少しそれら同士のつながりに乏しく、得られたシートの透磁率が低くなってしまうし、一方、扁平度が50を越えると厚みが非常に薄い扁平形状の粉末となるために、分散溶液を塗工して得られた製膜において、その扁平形状軟磁性合金粉末の分散が非常に悪いものとなってしまうためである。
尚、金属水酸化物には水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどを含め、平均粒径4μm以下を満たしている金属水酸化物であれば限定されるものではないが、特に水酸化アルミニウムが好ましい。
扁平形状軟磁性合金粉末が700質量部未満の場合、配合量が少ないために高い圧縮で高密度になっていてもそれら同士のつながりに乏しく、得られた電磁波障害対策シートの透磁率も低くなってしまうために好ましくない。一方、扁平形状軟磁性合金粉末が1000質量部を越えた場合、分散溶液の流動性が低下し塗工が非常に難しくなるために好ましくない。
また、アクリル樹脂100質量部に対する金属水酸化物の配合量が100質量部未満の場合は、その配合量が少ないために、得られたシートの難燃性がUL94「機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験」の水平燃焼試験94HBも満足しないものとなってしまうために好ましくない。一方、金属水酸化物が300質量部を超えた場合、分散溶液の流動性が低下し塗工が非常に難しくなるために好ましくない。
厚み方向の圧縮が50%未満の場合、圧縮が不足で配合分散された扁平形状軟磁性合金粉末同士のつながりが乏しいものとなり得られたシートの透磁率は低く好ましくなく、一方、厚み方向で70%以上の圧縮を行うのは本発明においても非常に困難である。
シートの厚みについては、塗工により得られた製膜の溶剤を除去した後に0.1mm未満に圧縮させると、ところどころ千切れたり均一なシートを得ることができなく、0.5mmを超えて厚く圧縮させると、小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻き付けることができなくなるために好ましくない。
アクリル樹脂溶液としてガラス転移温度が−32℃で重量平均分子量が700,000の[「SKダインSK−1811L」:商品名、綜研化学(株)製]を用い、扁平形状軟磁性合金粉末としてNi含有量が80質量%で微量のSiが含有されたFe−Ni系で、かつ200μm以上の粒径物が除去され平均粒径が129μmで扁平度41である[「T4」:商品名、三菱マテリアル(株)製]を用い、金属水酸化物として平均粒径が2μmの水酸化アルミニウムである[「B703」:商品名、日本軽金属(株)製]を用いた。それらを表1、表2−1、表2−2に示す各例での配合量(数値は質量部を示す)とし、上記アクリル樹脂溶液にFe−Ni系扁平形状軟磁性合金粉末と金属水酸化物を混合させた分散溶液を塗工方法で製膜し、温度をかけて溶剤を除去した。その後、厚み方向で表1、表2−1、表2−2の各例に示す圧縮率50%から70%の範囲で、熱圧延ロールで圧縮させて、厚み0.1mm〜0.5mmのシートを得た。
Ni含有量が80質量%のFe−Ni系で、かつ200μm以上の粒径物が除去され平均粒径が110μmで扁平度40である扁平形状の軟磁性合金粉末を使用し、水酸化アルミニウムの配合量を200部とすること以外は実施例1で使用した材料を用いた。圧縮率を50%とし、実施例1と同様の方法で0.1mm厚みのシートを得た。
(実施例3)
Ni含有量が80質量%のFe−Ni系で、かつ200μm以上の粒径物が除去され平均粒径が140μmで扁平度40である扁平形状の軟磁性合金粉末を使用し、水酸化アルミニウムの配合量を300とすること以外は実施例1で使用した材料を用いた。圧縮率を50%とし、実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
Ni含有量が80質量%のFe−Ni系で、かつ200μm以上の粒径物が除去され平均粒径が120μmで扁平度30である扁平形状の軟磁性合金粉末を使用し、水酸化アルミニウムの配合量を300とすること以外は実施例1で使用した材料を用いた。圧縮率を70%とし、実施例1と同様の方法で0.1mm厚みのシートを得た。
(実施例5)
Ni含有量が80質量%のFe−Ni系で、かつ200μm以上の粒径物が除去され平均粒径が120μmで扁平度50である扁平形状の軟磁性合金粉末を使用し、水酸化アルミニウムの配合量を200とすること以外は実施例1で使用した材料を用いた。圧縮率を60%とし、実施例1と同様の方法で0.5mm厚みのシートを得た。
アクリル樹脂溶液としてガラス転移温度が−20℃で重量平均分子量600,000の[「SKダインSK−HHB28」:商品名、綜研化学(株)製]を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
(比較例2)
アクリル樹脂溶液としてガラス転移温度が−68℃で重量平均分子量900,000の[「SKダインSK−1495」:商品名、綜研化学(株)製]を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を50%とした以外は実施例1と同様の方法で0.5mm厚みのシートを得た。
アクリル樹脂溶液としてガラス転移温度が−39℃で重量平均分子量が420,000の[「SG−811」:商品名、ナガセケムテックス(株)製]を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を50%とした以外は実施例1と同様の方法で0.5mm厚みのシートを得た。
(比較例4)
アクリル樹脂溶液としてガラス転移温度が−61℃で重量平均分子量が1,000,000の[「SKダインSK−1570」:商品名、綜研化学(株)製]を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を70%とした以外は実施例1と同様の方法で0.1mm厚みのシートを得た。
Ni含有量が80質量%のFe−Ni系で200μm以上の粒径物を除去し平均粒径が115μmの不定形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を70%とした以外は実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
(比較例6)
Fe−Si―Al系で200μm以上の粒径物を除去し平均粒径が110μmで扁平度が42の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を40%とした以外は実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
Ni含有量が74質量%のFe−Ni系で、200μm以上の粒径物が除去され、平均粒径が110μmで扁平度が42の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を45%とした以外は実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
(比較例8)
Ni含有量が80%であるFe−Ni系で、200μm以上の粒径物を除去していない平均粒径が120μmで扁平度が40の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を45%とした以外は実施例1と同様の方法で0.3mm厚みのシートを得た。
Ni含有量が80%であるFe−Ni系で、200μm以上の粒径物を除去され、平均粒径が85μmで扁平度が40の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を70%とした以外は実施例1と同様の方法で0.1mm厚みのシートを得た。
(比較例10)
Ni含有量が80%であるFe−Ni系で、200μm以上の粒径物を除去され、平均粒径が145μmで扁平度が40の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、実施例1と同様の方法で分散溶液を塗工したが、その際に大きな粒径粉末が存在することで毛羽立ったような製膜となってしまい、成形が不可能でシートが得られなかった。
Ni含有量が80%であるFe−Ni系で、200μm以上の粒径物を除去され、平均粒径が110μmで扁平度が25の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、圧縮率を70%とした以外は実施例1と同様の方法で0.1mm厚みのシートを得た。
(比較例12)
Ni含有量が80%であるFe−Ni系で、200μm以上の粒径物を除去され、平均粒径が130μmで扁平度が55の扁平形状の軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。実施例1と同じ配合量とし、実施例1と同様の方法で分散溶液を塗工したが、厚みが非常に薄い扁平形状の粉末が存在するために、分散溶液を塗工して得られた製膜が虫食いになるような非常に分散が悪いものとなってしまい、成形が不可能でシートが得られなかった。
(比較例13)
平均粒径が8μmである水酸化アルミニウム[「B103」:商品名、日本軽金属(株)製]を使用する以外は実施例1で使用した材料を用いた。溶剤を除去した後圧縮成形したが、圧縮率45%が限界で、0.5mm厚みのシートを得た。
アクリル樹脂、軟磁性合金粉末および金属水酸化物の配合割合が、表5−1に示すものであること以外は実施例1と同じ材料を用いた。比較例14、16は実施例1と同様の方法で、圧縮率をそれぞれ70%、50%として成形し、それぞれ0.1mmおよび0.5mm厚みのシートを得た。また、比較例15、17は実施例1と同様の方法で製膜・溶剤除去を行ったが、分散溶液の流動性が非常に低く、まだら状態の塗工となり成形が困難であり、シートは得られなかった
(比較例18〜比較例21)
実施例1と同じ材料を用い、同じ配合量で混合した分散溶液を、実施例1と同様に製膜・溶剤除去を行った。比較例18は圧縮率40%で、比較例21は圧縮率70%で圧縮成形し、それぞれ0.5mmおよび0.6mm厚みのシートを得た。
また、比較例19は圧縮率80%へ圧縮を試みたが圧縮することができず成形不可であり、シートを得られなかった。また、比較例20は厚み0.05mmのシートの成形を試みたが、ところどころ千切れたりと均一なシートを得ることができなかった。
透磁率は10MHzでの値が50以上、難燃性はUL94の水平難燃性のHB以上及びシート巻き付け試験は巻き付けが可能か、曲げ部分で割れを生じないかどうかを合否の判断基準とした。
インピーダンス・マテリアルアナライザーを用い周波数1MHz〜1GHzでの透磁率を測定し、最高値を示す1MHz〜10MHzでの値を用いた。その際、不要な電磁波を熱へ変換するといった電磁波の抑制効果を有する値として50以上が必要であることとした。
材料・装置・部品・道具類などから製品に至るまでの、機能や安全性に関する標準化を目的とした製品安全規格を満たしたものに対し認可を与える機関であるUnderwriters Laboratoriesで実施評価されるUL94「機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験」にある20mm垂直燃焼試験(94V−0、94V−1または94V−2)及び水平燃焼試験(94HB)に準拠した。
JIS C 3005「ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法の巻付加熱試験」を参考にした。それは電線試料を規定の径をもつ円筒に緊密に規定回数巻き付け、または屈曲し、そのままの状態で、規定温度の恒温槽で1時間加熱した後に取り出して、試料の表面にひび及び割れが生じているかどうかを目視で調べるものである。本試験では、径1.0mmの円筒の棒に規定のシートを巻き付けることができるか否か、もしくはその際に千切れたりしないかどうかで行った。
以上のように、本発明の電磁波障害対策シートは、電磁波を熱へ変換し不要な電磁波を抑制する効果をもつ透磁率を有し、かつハロゲンフリーでの難燃性をも有し、更に小さい巻き付け径(曲率)で曲げたり巻付けたりすることができる柔軟性に優れることが確認された。
また、表3のガラス転移温度が−68℃のアクリル樹脂を使用した比較例2の0.5mm厚シートは、アクリル樹脂の分子鎖の運動性が増大し柔軟性が大きすぎて非常に柔らかく、円筒の棒に巻き付ける際に千切れてしまうことがわかる。
また、表3の重量平均分子量が420,000のアクリル樹脂を使用した比較例3の0.5mm厚シートは、その樹脂の分子量が小さいために強度が低くて柔らかく、円筒の棒に巻き付ける際に千切れてしまうことがわかる。
また、表3の重量平均分子量が1,000,000のアクリル樹脂を使用した比較例4の0.1mm厚シート4は、その樹脂の分子量が大きいために強度が高くて硬く、円筒の棒に巻き付けることができないことがわかる。
また、表4−1のFe−Si―Al系の扁平形状軟磁性合金粉末を使用した比較例6の0.3mm厚シートは、Fe−Si−Al系軟磁性合金粉末が硬く、分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後の圧縮40%あたりが限界である。扁平形状軟磁性合金粉末のつながりに乏しいために透磁率が30と低く、不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
また、表4−1のNi含有量が74%のFe−Ni系を使用した比較例7の0.3mm厚シートは、柔らかいNiの含有量が低くて硬い軟磁性合金粉末となり、分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後の圧縮45%あたりが限界である。扁平形状軟磁性合金粉末のつながりに乏しいために透磁率が40と低く、不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
また、表4−1の平均粒径が85μmである扁平形状軟磁性合金粉末を使用した比較例9の0.1mm厚シートは、70%の高圧縮にもかかわらずその粒径が小さいことから扁平形状軟磁性合金粉末同士のつながりが乏しく、得られた電磁波障害対策シートの透磁率も45と低く、不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
また、表4−2の平均粒径が8μmの金属水酸化物を使用した比較例13の0.5mm厚シートは、大きな粒径の水酸化アルミニウム粉末が存在するために成形時の圧縮が45%あたりが限界で、扁平形状軟磁性合金粉末のつながりが乏しいために透磁率が45と低く、不要な電磁波を抑制する効果に劣ることがわかる。
また、表5−1の金属水酸化物の配合量が50質量部である比較例16の0.5mm厚シートは、その配合量不足で、0.5mm厚にもかかわらずUL94の水平HB難燃性も不合格であるといった難燃性に劣ることがわかる。
また、表5−2の比較例21のシートは、実施例1の配合組成と同じ分散溶液を実施例1と同様の塗工方法で製膜し、厚み0.6mm厚のシートを得たが、その厚みのために径1.0mmの円筒の棒に巻き付けることができないことがわかる。
2 アクリル樹脂
3 扁平形状軟磁性合金粉末
4 金属水酸化物
Claims (3)
- ガラス転移温度が−25℃〜−65℃でかつ重量平均分子量が500,000〜900,000であるアクリル樹脂に、Niの含有量が80質量%以上のFe−Ni系で200μm以上の粒径物が除去された平均粒径が110〜140μmで、かつ扁平度30〜50である扁平形状軟磁性合金粉末及び平均粒径4μm以下の金属水酸化物が配合分散されたことを特徴とする電磁波障害対策シ−ト。
- アクリル樹脂100質量部に対し、扁平形状軟磁性合金粉末が700〜1000質量部及び金属水酸化物が100〜300質量部配合されたことを特徴とする請求項1記載の電磁波障害対策シート。
- アクリル樹脂が溶解している溶剤、扁平形状軟磁性合金粉末及び金属水酸化物を含む分散溶液を塗工方法で製膜し、溶剤を除去した後、厚み方向で50%から70%圧縮した、厚みが0.1mm〜0.5mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁波障害対策シート。
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