JP2009218367A - バンプ形成方法 - Google Patents

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英行 小澤
Hiroshi Otsubo
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Abstract

【課題】フリップチップ半導体装置のバンプ形成において、チップキャリアの必要以上の高温化を防いで変形化を未然に防ぎ、またダイシングテープの粘着剤に起因するチップキャリアとチップとの固着によるバンプ形成の生産性低下を防ぐ。
【解決手段】半導体チップを、チップキャリアの、底部に開口部を有するチップ搭載部に載置し、前記半導体チップをバンプ形成装置の、少なくとも上面が被覆膜で平滑状態とした突起部を、開口部内に下方から上方に貫通させ、半導体チップを前記上面上に固定し、半導体チップの表面にバンプを形成するようにする。これによって、チップキャリアの過度な温度上昇を抑制し、また半導体裏面に粘着剤が付着していても、チップキャリアとチップとの固着は勿論、これが前記突起部の上面と半導体チップ間で固着して剥離しなくなる状況をも回避できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、フリップチップ構造の半導体装置を製作するための、半導体チップにバンプを形成する方法に関し、特に、チップキャリアに半導体チップを搭載し、バンプ形成装置でこの半導体チップ表面にバンプを形成する工程を有するバンプ形成方法に関する。
半導体チップ上に金あるいは半田などからなるバンプを搭載したフリップチップ構造の半導体装置は、他の方法に比べ高密度実装が可能なことから、広範囲の電子装置に適用されている。フリップチップのバンプを形成する方法としては、(a)電極パッド上へ導電性金属をめっきする方法、(b)印刷導電性パターンを半導体上へ転写する方法、(c)粘着性導電金属を電極パッド上への滴下する方法、そして(d)熱圧着やそれに加えて超音波圧着などのワイヤボンディング技術により形成する方法などがある。上記のバンプ形成法のうち、(a)および(b)の方法は、バンプ製作時において半導体ウエハの形態で実施可能であるが、(c)、(d)の方法は、分離された半導体チップを一個宛取り出し、半導体チップ毎にバンプを形成していくこととなる。
特に、(d)の、ワイヤボンディング技術を適用したバンプ形成装置を用いる方法では、金などの金属製ワイヤを挿入したキャピラリを加熱した半導体チップ表面に近接させ、キャピラリに放電エネルギで金属製ワイヤを溶融して、半導体チップ表面(電極面)に熱圧着し、また同時に超音波を加えて接着し、次いで金属ワイヤを切断することで金属バンプの形成が行われる。この方法は、バンプ配置形成におけるフレキシビリティ性や化学処理などを伴わないことでの汚染が少ないなどの多くの特長を有している(例えば、特許文献1、2)。
ワイヤボンディング技術によるバンプ形成においては、通常、
(1)粘着テープが裏面に貼付された半導体ウエハから分割された多数の半導体チップを、ピックアップ装置を用いて、個々の(良品)チップをピックアップし、
(2)ピックアップした半導体チップをチップキャリアの所定の位置(チップ収納部)に整列・載置し、
(3)このチップキャリアをバンプ形成装置にセットし、
(4)整列・載置状態のままの状態での個別の半導体チップを、バンプ形成装置のステージ上に移してワイヤボンディング技術を適用してバンプを形成し、
(5)バンプ形成を完了した個別半導体チップを同じ位置のチップキャリアのチップ収納部に戻しつつ、チップキャリア中の全チップにバンプ形成を行う、といった工程によっている。
上記の(1)の、ピックアップ装置の工程において、通常、粘着剤が塗布されたダイシングテープ(粘着テープ、例えば、ポリ塩化ビニール基材などにアクリル系粘着剤など)が裏面に貼付された半導体ウエハは、通常、ダイシングブレードを用いたダイシング装置によって個々の半導体チップに分割された状態でピックアップ装置のステージ上に設置され、ダイシングテープ裏面から突き上げピンで各半導体チップを突き上げ、これを上側からラバーコレットなどで吸引補足してチップキャリアの所定の位置に載置する。突き上げピンは、通常、上記の様に、ダイシングテープ裏面から、半導体チップの中央や中心近傍を含む複数所定位置に対して、先が鋭利なあるいは平面状の、一本あるいは複数のピンを用いて突き上げる構成で行われる(例えば、特許文献3〜5)。
実開平04−127645号公報 特開平11−274202号公報 特開平06−204319号公報 特開平06−318636号公報 特開平10−189690号公報
図8〜10は、上記、特許文献1,2などで、従来から行われている、ワイヤボンディング技術によるバンプ形成の工程を示し、図11は、同方式のバンプ形成装置を説明する図である。
図8(1)は、チップキャリア101の一つのチップ収納部102の平面図(1−a)と断面図(1−b)を示す。チップキャリア101の基本的な全体形状は、後に本発明の実施の形態で述べる、図4に示すチップキャリア1(101)平面図の形状をしており、複数のチップ収納部2(102)が、X方向、Y方向にマトリックス状に配置され、一体形成されている。
従来のチップ収納部102は、通常、平面図(1−a)に図示されているように、チップのサイズよりやや大きい底面104を有する凹部で構成され、底面104の中央部に、ここに載置するチップを所定強度で固定するための、例えば、断面円形の真空吸引用穴105が設けられている。この真空吸引用穴105は、十分な吸引強度がとれる適度のサイズの穴サイズがあればよい。
図8(2)に、チップキャリア101の一つのチップ収納部102内に、ピックアップ装置でチップ103を載置したときの、平面図(2−a)と断面図(2−b)を示す。
背景技術において記したように、粘着剤が塗布されたダイシングテープ上の分割された半導体チップをピックアップするとき、個々のチップに対応するダイシングテープ裏側に対する突き出しピンによる突き出し動作が加わる。このとき、ピンの突き出し位置に相当するチップ背面箇所に、粘着剤が略ピン断面サイズ程度に転写されるように付着することがある。チップ背面での突き出し位置、突き出しピン数、ピンの断面形状、突き出し強度、あるいはテープへの光照射処理などの種々の条件によって、付着頻度、付着量、付着位置などが異なるが、いずれにしても製作工程ではこの突き出しピンでの粘着剤付着が避けられない。
この様子を、断面図(2−b)に示しており、チップ103には、下面の一部に小粒径の粘着剤106が付着しており、これをチップキャリア101のチップ収納部102に載置する(図中、下方D方向に移動)と、圧迫されて平面状の粘着剤106としてチップ103と底面104間に付着する。平面図(2−a)に、チップ103に粘着剤106が付着した様子を示す。
次に、図9(3)に、チップ103を載置したチップキャリア101がバンプ形成装置にセットされ、粘着剤106が付着した個別のチップ103を載置したチップ収納部102が、バンプ形成装置の、キャピラリを用いたバンプ形成エリアに到達したときの状況を示す。断面図(3−b)に示すように、チップキャリア101の平坦な下面(図4で示したように、すべてのチップ収納部における平坦な下面)とバンプ形成装置のヒータブロック107の平坦部108(これも、すべてのチップ収納部に対応するヒータブロックの平坦部)と面で接触して、ヒータブロック107での高温がチップキャリア101を伝導経由してチップ103を加熱(図中Hで示す)するように構成ことで、バンプ形成における熱圧着工程での補助熱供給がなされ、バンプ形成を効率良く、かつ確実に行えるようにする。
またチップ103は、チップ収納部102の底面104の中央に形成された真空吸引用穴105とヒータブロック107の吸着穴109を介して真空吸引(図中Vで示す)されて、チップ収納部102内で固定されている。そしてキャピラリ110を用いて、所定の位置にバンプ111が形成される。図9(3)の平面図(3−a)にチップ103の上面でバンプ111が形成中である状況を示す。
図11にワイヤボンディング技術方式によるバンプ形成装置の要部模式図を示す。図示していないチップキャリアのチップ収納部に整列されて載置されたチップ3(103)の形成対象チップは、図示されていないヒートブロック上にチップキャリアごと真空吸引されて固定されている。リールに収納された例えば金線のワイヤ16がキャピラリ10(110)の先端に供給される。チップ3(103)上の所定の位置にキャピラリ先端を近接した状態でトーチ電極17の放電によってワイヤ16を溶融し、この状態でチップ表面に圧着する熱圧着を行う(更には同時に超音波振動を加える)とともに、クランプ機構17でワイヤをクランプして上方に引き上げてワイヤ16を切断することで、一つのバンプ11(111)が形成される。これを所定位置分だけ繰り返えして、バンプ11(111)全体を完成させる。
この図9(3)の工程において、粘着剤106は、底面104とチップ103の間で、高温(例えばヒータブロック温度300℃程度)下で軟化し、圧延状態となる。
そして、図9(4)の平面図(4−a)、断面図(4−b)に示すように、バンプ111がチップ103上のすべての所定の位置に形成され、ヒータブロック107とチップキャリア101とが離された状況(例えば、ヒートブロック107を下方方向Dに降下させた状況)においては、粘着剤は、連続高温条件下による変質化粘着剤112となり、冷却による硬化によってチップ収納部102の底面104の表面と、チップ103の裏面の間は強固な接着状態となる。
そして、図10(5)の平面図(5―a)、断面図(5−b)に示すように、バンプ111の形成が完了したチップ103を、例えばラバーコレット113で真空吸着しながらチップ103をピックアップすることとなるが、上記のように変質粘着剤112の硬化による接着状態にあると、通常に用いられる、このような真空吸着の力で、チップをチップ収納部102の底面104からは容易に取り出すことが非常に困難となる。その結果、このバンプ形成工程は、新たなチップのチップキャリアからの強制剥離工程などが入るなどして、生産性が著しく阻害される。
このような、チップの裏面とチップキャリア(のチップ収納部の)面間の、残留粘着剤による固着は、特に接着面が粗面状態にあると固着強度が増すことが経験的に解っている。チップキャリアは通常、生産工程で大量に用いる。したがってチップキャリアの材質は、比較的安価なFeなどで製作し、バンプ形成装置におけるチップ位置などの認識性向上のため、サンドブラスト処理による表面粗化、そしてクロメート処理による表面黒化などの表面処理が行われるのが普通である。このため、上記のような、特に表面粗化によって、この面に強固な固着が発生しやすい。
また、粘着剤のチップ裏面への付着は、上記のような、ダイシングテープ裏面への当接する突き上げピンの断面に起因して接着剤が圧縮を受け、これがチップ裏面(この場合は、チップ裏面の中心近傍に発生するケースが多い)に転写するように接着剤が付着するもののみとは限らない。
裏面付着の他の例は、裏面にダイシングテープが貼付されたウエハをダイシングブレードでダイシングするとき、ダイシングテープの粘着剤も同時に切断される場合がある。そのとき、ダイシングブレードで巻き上げられた粘着剤が、ダイシングしたチップの外周に付着しやすい。通常、一方向のダイシング後、90度方向を変えてダイシングして矩形チップにダイシングするが、このとき、先にダイシングによってできた溝と後のダイシングでできた溝が交差する位置、すなわち、チップのコーナ部にダイシングで巻き上げられた粘着剤が集中して付着する場合がある。
こうして発生したコーナ部の接着剤も、前記のような図8〜図10のバンプ形成工程により、変質化粘着剤がチップ収納部102の底面104の表面とチップ103の裏面の間は強固な接着状態となり、上記と同様に、バンプ形成工程の生産性劣化の要因となる。
また、上記の従来の方法では、図9(3)に示したように、チップキャリア101の下面が、直接ヒートブロック107に接する構成をとっており、チップキャリア101全体が同時に高温加熱される。そのために繰り替えし使用されたチップキャリアは、加熱履歴により熱変形が生じやすい。そういった変形により真空吸引でのチップ固定力の減退、ヒータブロックからチップへの熱伝導の低下などが生じ、バンプ形成強度や形成位置精度などに関する、バンプの形成品質の劣化を招く要因ともなる。
そこで本発明の課題は、チップキャリア自体の劣化や粘着剤に起因するチップキャリアとチップとの接着による生産性の低下を回避できるバンプ形成方法を提供することにある。
本発明のバンプ形成方法は、
裏面にダイシングテープが貼付された半導体ウエハをダイシングソウで複数の半導体チップに分割する工程と、
前記半導体チップの裏面を、突き上げ治具で前記ダイシングテープを介して突き上げて、前記半導体チップを前記ダイシングテープから剥離する工程と、
剥離された前記半導体チップを、チップキャリアの、底部に開口部を有するチップ搭載部に載置する工程と、
前記チップキャリアをバンプ形成装置にセットし、前記バンプ形成装置のヒータブロックの、少なくとも上面が平滑状態である突起部を、前記開口部内に下方から上方に貫通させ、前記半導体チップを前記上面上に移動する工程と、
前記半導体チップを前記上面上に固定し、前記半導体チップの表面にバンプを形成する工程と、
前記突起部を前記開口部内から下方に移動させることにより、前記半導体チップを前記チップ搭載部に載置する工程と、を有することを特徴とする。
また、
前記突起部の前記上面に被覆膜が設けられていることを特徴とする。
また、
前記開口部は、少なくとも前記半導体チップの、前記突き上げ冶具により突き上げられる領域を含むことを特徴とする。
また、
前記開口部は、更に、前記半導体チップの四隅部分の領域を含むことを特徴とする。
そして、
前記開口部は、前記ダイシングテープの粘着剤が付着可能な領域を少なくとも含むことを特徴とする。
開示された方法により、チップキャリア自体の劣化や、また粘着剤に起因するチップキャリアとチップとの接着によるバンプ形成の生産性の低下を回避でき、効率よく、良好なバンプが形成されたフリップチップ構造の半導体装置を製造することができるという効果を奏する。
以下に、本発明の実施の形態を、添付図を参照しつつ説明する。
(第一の実施例)
図1〜3は、本実施の形態の工程を説明するための、それに適用する装置構成とバンプ形成中のチップからなる要部平面図と、対応する断面図である。
図1(1)は、チップキャリア1の一つのチップ収納部2の平面図(1−a)と断面図(1−b)を示す。チップキャリア1の基本的な全体形状を図4の平面図に示す。チップキャリア1は、上記のような、通常用いられる、Fe(鉄)またはFe系合金製、サンドブラスト処理による表面粗化およびクロメート処理による表面黒化などの表面処理済のものを使用した。図示するように、複数のチップ収納部2が、X方向にm個、Y方向にn個のマトリックス状に配置され、合計m×n個のチップが収納できるように、一体形成されている。
個々のチップ収納部2は、図1(1)に図示されているように、収納するチップのサイズよりやや大きい底面4を有する凹部で構成され、チップ収納部2の側面は上方に開いたテーパ形状となっており、チップ3を収納する際にチップキャリア1のやや上方からチップ3を離した場合でも、チップ収納部2の中の底面4上に容易に収まる構造としている。
チップ収納部の底面4の中央部に矩形あるいは正方形の開口部5を設ける。開口部5は搭載するチップ3のサイズより小さくするが、チップ3が底面4内の範囲で移動してもチップ3の落下が無いような範囲でのできるだけ大きな開口部5のサイズにするのが望ましい。従って、チップ3をその外縁領域で支える底面4の形状は、図1(1)(1−a)のように、チップ3の外縁部をすべて支えるような構造に限らず、その底面4の一部に切り欠きなどを設けるなどの、チップをその外縁部で支持する構成であれば、適宜設計可能である。
図1(2)に、チップキャリア1の一つのチップ収納部2内に、ピックアップ装置でチップ3を載置したときの、平面図(2−a)と断面図(2−b)を示す。
前記のように、粘着剤が塗布されたダイシングテープ上の、分割されチップをピックアップするとき、ピンの突き出し位置に相当するチップ3の背面箇所に、例えば、アクリル系材料による粘着剤6が、しばしば、略ピン断面サイズ程度に転写されるように付着する。このチップ3を断面図(2−b)に示すように、チップキャリア1のチップ収納部2に載置する。このとき、チップ3の背面に付着した粘着剤3の位置は、開口部5の範囲内にあり、底面4などのチップキャリア1に接触・付着することは無い。とくに、突き出しピンの作用で付着するような粘着剤の付着位置は、チップ背面のほぼ中心部や中心部を含む外縁よりかなりの内側である。このような場合は、図1(1)のような適正な大きさの開口部5を備えることにより、チップ3背面付着の粘着剤6がチップキャリア1(の底面4)に固着することは防げる。
次に、図2(3)に、チップ3を載置したチップキャリア1がバンプ形成装置にセットされ、粘着剤6が付着したチップ3を載置したチップ収納部2が、バンプ形成装置の、キャピラリによるバンプ形成されるエリアに到達し、バンプ11の形成状況にあるとき様子を示す。このとき、断面図(3−b)に示すように、チップ3は、チップキャリア1のチップ収納部2の底面4から離れて、チップキャリア1の開口部5をスムースに嵌め合って突き抜け、貫通するように動作し、ヒータブロック7の突起部8上に、移行して載置される形となる。
図5に、突起部8を有するヒータブロック7の形状模式図の平面図(a)、断面図(b)を示す。ヒータブロック7は、例えば、FeまたはFe系合金により一体形成される。ヒータブロック7は、300℃以上の高温で、繰り返しかつ長時間連続稼動させる必要がある一方、金属材料冶具が接触し磨耗し易いことから、この表面(少なくとも突起部8のチップ3が搭載される表面)には、耐熱性を有する耐摩耗性材料(通常非鉄金属)膜を付加する。
この膜の代表的なものにはTi(チタン)化合物を用いる物理的なコーティングによる膜であり、特にTiAlNのコーティング膜(膜の色調から、ブラック・チタニウム・コーティング膜と称する)が好ましい。この膜の付加によって、ヒータブロックへ繰り返して長時間高温加熱がなされても、表面硬度が保たれるほかに、この表面粗度が常に、非常に良好に、平滑状態に保たれていることが重要となる。この平滑性のために、有機化合物などの高温変質物が、この表面に焼き付くことや固着することなどがなく、付着しても容易に剥離することが可能である。
突起部8はスムースに貫通されるように、チップキャリア1の開口部5よりも若干小さめの四角形の断面形状にヒータブロック7の面から凸状に形成される。図1(1)、図2(3)、(4)など参照して、突起部8のヒータブロック7の平面からの高さ(突出部高)L1は、チップキャリア1の底面4におけるチップキャリア底辺からの高さ(チップキャリア底面厚)L2より大きくして、突起部8が開口部5に貫通されるように入り込み、チップキャリア1の底面とヒータブロック7の上面とが接した場合にも、チップキャリア1のチップ収納部2の底面4より高く突出し、その結果、チップ2が突起部8の上面に載置されるようにする。また、そのとき、同時に突出部高L1をチップキャリア1の厚さL3より小さくして、嵌め込まれた突出部8の上面がチュップキャリア1の上面より突出することが無いようにする。このようにして、突起部8上のチップ3が、チップキャリア1のチップ収納部2の凹部内に配されていることが望ましい。
突起部8はヒータブロック7に、チップキャリア1のチップ収納部2の配置位置に対応して同等数形成される。また突起部8の、例えば中央部には、ここに載置されるチップ3を真空吸引するための吸着穴9が形成される。吸着穴9は、チップ3より十分小さいものとし、かつ、チップ3が真空吸着によって撓むなどの変形することなく、突起部8上で固定されるような大きさにする。
そして、この図2(3)に示すように、チップ3がヒータブロック7の突起部8に載置された状態では、チップ3の裏面に付着した粘着剤6は突起部7と接触し、ヒータブロック7の熱量によって加熱(例えば、ヒータブロック温度300℃)され、かつ真空吸引で圧迫されることで、軟化し押し広げられる。そして、継続的な加熱作用の結果、粘着剤は硬化と変質化が生じ、チップ3裏面と突起部8間に固化する。
次に、図2(4)に示すように、すべてのバンプ11を、ヒータブロック7からの補助的な加熱と熱圧着と超音波作用とで所定のチップ表面位置に形成後、ヒートブロック7は、チップ3の真空吸着を停止し、下降(図2(4)、(4−b)における、D方向)する。こうしてチップ3をチップ収容部2に再載置し、ヒータブロック7と分離させる。このとき、チップ3裏面と突起部8間に固化する加熱での変質組成粘着剤12は、ヒータブロック7の突起部8の表面側には平滑化処理(非鉄金属のコーティングなど)が予めされているため、この面側での接着力はチップ3裏面側の接着力に比べて非常に低い。このため、ヒートブロック7の下降時においては、僅かなせん断力は発生するが、そのせん断力はチップキャリア1の底部4で受け止められて、変質組成粘着剤12はヒータブロック7側には付着せず、そこで容易に剥離することが可能である。
この工程を繰り返して、チップキャリア1に搭載されたすべてのチップ3にバンプ11形成を行う。バンプ形成済みチップキャリア1は、例えば次工程であるフリップチップ実装装置にセットされる。
そして、図3(5)の、特に断面図(5−b)に示すように、例えばラバーコレット13を用いてチップキャリア1のチップ収納部2からチップ3を真空吸引(図中V)によりピックアップ(図中U)される。このとき変質組成粘着剤12の付着位置は、チップ裏面の中央付近であり、この個所はチップ収納部2の開口部5内にあり、これがチップキャリア1に固着することは無い。
以上のように、本発明の第一の実施例に係るバンプ形成方法によれば、チップ裏面の中心近傍に粘着剤が付着した場合であっても、バンプを形成過程でその粘着剤によってチップが載置台などに固着してピックアップできなくなるなどの問題が発生することなく、効率よくバンプ形成後の半導体チップのピックアップを行うことが可能となる。
(第二の実施例)
図6に第二の実施例の実施の形態を説明する図を示す。図6(1)は、チップキャリア1の一つのチップ収納部2の平面図(1−a)と断面図(1−b)を示す。チップキャリア1の基本的な全体形状を先と同様に、図4の平面図と同様である。
本実施例のチップキャリアと第一の実施例で示したチップキャリアと異なる箇所は、チップ収納部2の底辺4と開口部5の形状である。先の四角形の開口部の四隅からチップ収納部の四隅に向かって切り欠き部、すなわち四隅開口部15を加えた形状としており、そのコーナ箇所には底面4が欠けている。
図6(2)に示すように、この四隅開口部15を有するチップ収納部2を用いて、チップ3をチップ収納部3に載置(図中D)する。図6(2)の平面図(2−a)のA−A‘部の断面図(2―b)に示すように、チップ3の背面の四隅部分に付着した粘着剤6、これは例えば、ウエハをダイシングブレードでチップを切り出した際にチップの背面四隅近傍に巻き上げられたダイシングテープ由来の粘着剤であるが、これがチップ収納部2の底面4に接触することを防ぐことができ、
以下、第一の実施例と同様なヒータブロック7の突起部8を用いた工程を適用して、バンプ形成を実施することで、粘着剤によるチップ3のチップキャリア1への固着が防止でき、バンプ形成後の半導体チップのピックアップの効率を上げることができる。
本第二の実施例で示したチップ収納部2の開口部5形状は、中心部と四隅部に開口していることから、チップ背面の中心部へ付着した粘着剤と、四隅部へ付着した粘着剤の両者の場合に対応していることは勿論である。本バンプ形成方法では、ヒータブロック7の突起部8を嵌め込むことが可能な開口部5を有するチップキャリアとするが、その上で、上記の例の、粘着剤の付着位置がチップ中心部や四隅部の場合以外のとき、例えばチップ裏面の四辺の一部などの場合、適宜その場合に応じて底面4に四隅以外に切り欠きを入れるなど対応をして、チップキャリア1への粘着剤の付着を防ぐようにすることができる。
(第三の実施例)
先に、図2(3)にでは、突起部8が開口部5を貫通した状態で、ヒータブロック7の上部平面はチップキャリア1の底面に接触する構造を示している。ヒータブロック7とチップキャリア1との安定なセッティングのためには、この構成が考えられるが、必ずしもこの緊密な接触状態である必要は無い。この構成はチップキャリア1の高温化を招きやすく、好ましくない。むしる熱的には両者をできるだけ分離するほうが好ましい。
図7に第三の実施例の実施の形態を説明する図を示す。この図は、ヒータブロック7の突起部8上に載置したチップ3上に、キャピラリ10を用いてバンプ11を形成する状況を説明するための図であり、図7(a)は、その平面図、図7(b)は断面図である。このとき、図7(b)から解るように、ヒータブロック7の突起部8の周囲の平面領域に小さな突出物14を配置して、このようなヒータブロック7とチップキャリア1の配置関係を構成して、バンプ形成をする。このように構成することで、ヒータブロック7が上昇して、その突起部8がチップキャリア1の開口部5と嵌めあうように通過してチップ3を載置する形となり、ヒータブロック7の突起部8周辺の平坦上面がチップキャリア1の底面と接するとき、この小さな突出物14のみでチップキャリア1と接する。
このように構成してバンプ形成することで、ヒータブロック7からチップキャリア1への熱伝導が大幅に減少することから、チップキャリア1の温度上昇を低下させ、結果としてチップキャリア1の変形など防いでバンプ形成品質の向上・安定化に資することができる。さらには、完全に分離し、熱的な経路を分断するほうがより望ましいことは言うまでもない。
以上のように、本発明のバンプ形成方法を適用することで、チップキャリアの必要以上の高温化を防いで変形化を未然に防ぎ、またダイシングテープの粘着剤に起因するチップキャリアとチップとの固着によるバンプ形成の生産性の低下を確実に回避することが可能となる。
以上の実施例を含む実施の形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
裏面にダイシングテープが貼付された半導体ウエハをダイシングソウで複数の半導体チップに分割する工程と、
前記半導体チップの裏面を、突き上げ治具で前記ダイシングテープを介して突き上げて、前記半導体チップを前記ダイシングテープから剥離する工程と、
剥離された前記半導体チップを、チップキャリアの、底部に開口部を有するチップ搭載部に載置する工程と、
前記チップキャリアをバンプ形成装置にセットし、前記バンプ形成装置のヒータブロックの、少なくとも上面が平滑状態である突起部を、前記開口部内に下方から上方に貫通させ、前記半導体チップを前記上面上に移動する工程と、
前記半導体チップを前記上面上に固定し、前記半導体チップの表面にバンプを形成する工程と、
前記突起部を前記開口部内から下方に移動させることにより、前記半導体チップを前記チップ搭載部に載置する工程と、を有することを特徴とするバンプ形成方法。
(付記2)
前記突起部の前記上面に被覆膜が設けられていることを特徴とする付記1記載のバンプ形成方法。
(付記3)
前記開口部は、少なくとも前記半導体チップの、前記突き上げ冶具により突き上げられる領域を含むことを特徴とする付記1または2記載のバンプ形成方法。
(付記4)
前記開口部は、更に、前記半導体チップの四隅部分の領域を含むことを特徴とする付記3記載のバンプ形成方法。
(付記5)
前記被覆膜は、さらに耐熱性および耐磨耗性を有することを特徴とする付記2に記載のバンプ形成方法。
(付記6)
前記被服膜は、Ti化合物材料からなることを特徴とする付記5記載のバンプ形成方法。
(付記7)
前記開口部内に下方から上方に貫通させ、前記半導体チップを前記上面上に移動する前記工程において、前記チップキャリアの底面と前記ヒータブロックの上面間は、複数の前記ヒータブロックの突起物で接触する付記1ないし6のいずれかに記載のバンプ形成方法。
(付記8)
前記開口部は、前記ダイシングテープの粘着剤が付着可能な領域を少なくとも含むことを特徴とする付記1ないし7のいずれかに記載のバンプ形成方法。
本発明の第一の実施例を説明する図(その1) 本発明の第一の実施例を説明する図(その2) 本発明の第一の実施例を説明する図(その3) チップキャリアを説明する図 ヒータブロックを説明する図 本発明の第二の実施例を説明する図 本発明の第三の実施例を説明する図 従来の方法を説明する図(その1) 従来の方法を説明する図(その2) 従来の方法を説明する図(その3) バンプ形成装置の概要を説明する図
符号の説明
1、101 チップキャリア
2、102 チップ収納部
3、103 チップ
4、104 底面
5 開口部
6、106 粘着剤
7、107 ヒータブロック
8 突起部
9、109 吸着穴
10、110 キャピラリ
11、111 バンプ
12、112 変質組成粘着剤
13、113 ラバーコレット
14 突起物
15 四隅開口部
16 ワイヤ
17 クランプ機構
105 真空吸引用穴
108 平坦部

Claims (5)

  1. 裏面にダイシングテープが貼付された半導体ウエハをダイシングソウで複数の半導体チップに分割する工程と、
    前記半導体チップの裏面を、突き上げ治具で前記ダイシングテープを介して突き上げて、前記半導体チップを前記ダイシングテープから剥離する工程と、
    剥離された前記半導体チップを、チップキャリアの、底部に開口部を有するチップ搭載部に載置する工程と、
    前記チップキャリアをバンプ形成装置にセットし、前記バンプ形成装置のヒータブロックの、少なくとも上面が平滑状態である突起部を、前記開口部内に下方から上方に貫通させ、前記半導体チップを前記上面上に移動する工程と、
    前記半導体チップを前記上面上に固定し、前記半導体チップの表面にバンプを形成する工程と、
    前記突起部を前記開口部内から下方に移動させることにより、前記半導体チップを前記チップ搭載部に載置する工程と、を有することを特徴とするバンプ形成方法。
  2. 前記突起部の前記上面に被覆膜が設けられていることを特徴とする請求項1記載のバンプ形成方法。
  3. 前記開口部は、少なくとも前記半導体チップの、前記突き上げ冶具により突き上げられる領域を含むことを特徴とする請求項1または2記載のバンプ形成方法。
  4. 前記開口部は、更に、前記半導体チップの四隅部分の領域を含むことを特徴とする請求項3記載のバンプ形成方法。
  5. 前記開口部は、前記ダイシングテープの粘着剤が付着可能な領域を少なくとも含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のバンプ形成方法。
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