JP2009216547A - 月齢表示装置および時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡潔な構造およびデザインであって、月の満ち欠けの状態および太陽と地球と月の位置関係が視覚的に分かりやすく表示できる月齢表示装置および時計を提供すること。
【解決手段】背景板40と、前記背景板の表面側に配置された月表示板30と、前記月表示板を前記背景板に対して月齢周期で一回転させる月駆動機構と、前記背景板の表面に形成されかつ前記月表示板の回転中心Cに対して偏心した略円形の内領域42と、前記背景板の表面の前記内領域の外側に形成された外領域43と、前記月表示板の回転中心から外れた部位に形成されて前記内領域の周縁を露出させる円形の月表示孔32と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は月齢表示装置および時計に関し、現在の月齢(月の満ち欠け)を表示する装置に関する。
従来、腕時計等の時計装置においては、時間の表示を行うとともに、日付などの暦の表示が行われている。さらには、暦の元となった月や太陽などの天体の運行をも表示しようとする技術が提案されている。
特許文献1には、通常の時計表示に加えて、太陽と地球と月との各々を模した表示子が暦に従って移動する構成が開示されている。この構成では、各々の位置関係が視覚的に解りやすく表示される。
特許文献2には、月の満ち欠けを表す構成が開示されている。この構成では、外側文字板と内側文字板との間に全周にわたる隙間穴が形成され、内外の文字板の裏側の月齢車に描かれた月表示が隙間穴を透して見える。内側文字板は指針軸に対して偏心しているとともに、周囲には月の満ち欠けを形成するための円弧形状が形成され、月齢車の円形の月表示の一部を隠すことで月の満ち欠けが表される。
特許文献3にも、月の満ち欠けを表す構成が開示されている。この構成では、特許文献2のような全周にわたる隙間穴ではなく、部分的な隙間穴から月表示を露出させる。隙間の幅あるいは円弧状の輪郭で円形の月表示を一部隠して月の満ち欠けを表している。
特許文献4には、全周にわたる隙間から背景の回転板の月表示を表示させる点で特許文献2と類似するが、背景の回転板は二枚とされてそれ自体で月の満ち欠けが表示できるようになっている。
特開平5−126964号公報 実開昭59−90881号公報 特開昭63−234189号公報 特開昭60−50477号公報
しかし、前述した従来の構成にはそれぞれ下記の問題がある。
特許文献1では、文字板上に太陽と地球と月などが周回し、各々の位置関係は把握できるものの、月についてその満ち欠けが分かりやすく表現できているとは言いがたい。
特許文献2〜4では、月の満ち欠けを表す隙間穴を形成するために、文字盤に隙間穴をまたぐブリッジが必要であり、デザインに制約がある。また、太陽と地球と月の位置関係を示すこと、あるいは地球から見た月の方角を読み取ることはできない。
特許文献4は、月の満ち欠けと方向を比較的詳細に表示できるものの、そのために背景の回転板が2枚必要であり、表示構造が複雑化する。
本発明の主な目的は、簡潔な構造およびデザインであって、月の満ち欠けの状態および太陽と地球と月の位置関係が視覚的に分かりやすく表示できる月齢表示装置および時計を提供することにある。
本発明の月齢表示装置は、背景板と、前記背景板の表面側に配置された月表示板と、前記月表示板を前記背景板に対して月齢周期で一回転させる月駆動機構と、前記背景板の表面に形成されかつ前記月表示板の回転中心に対して偏心した略円形の内領域と、前記背景板の表面の前記内領域の外側に形成された外領域と、前記月表示板の回転中心から外れた部位に形成されて前記内領域の周縁を露出させる略円形の月表示孔と、を備えたことを特徴とする。
このような本発明では、月表示板に形成された円形の月表示孔により月が表され、月表示孔を透して露出される背景板の内領域および外領域により月の満ち欠けが表される。
内領域を明度の低い暗領域とし、外領域を明度の高い明領域とした場合、月表示孔が内領域の偏心した側にある時、月表示孔からは専ら内領域(暗領域)が露出され、この状態が新月(月齢0日)を表すものとなる。月表示孔が暗領域の偏心した側と反対側にある時、月表示孔からは専ら外領域(明領域)が露出され、この状態が満月(月齢15日)を表すものとなる。月表示孔が前述した二位置の途中にある時、月表示孔からは外領域と内領域と(明領域と暗領域と)が月表示孔の位置に応じた比率で表示され、上弦の月(月齢0〜15日)あるいは下弦の月(月齢15〜30日)を表すものとなる。
従って、月表示板を背景板に対して回転させ、月表示孔を背景板の表面に沿って移動させることで、月表示板から露出する外領域および内領域の比率を変化させ、これにより月の満ち欠けを表現することができる。
なお、外領域を明度の低い暗領域とし、内領域を明度の高い明領域としてもよい。この場合には新月と満月および月の満ち欠けの見え方がちょうど逆になる。
月表示板の背景板に対する回転速度は月齢速度とする。一般に、月齢周期として29.5日を用いることで、実際の月の満ち欠けの周期に略一致させることができる。誤差分の累積に関しては、一定期間経過毎の調整等の既存の技術により対応することができる。
月表示板の回転を利用して、月の満ち欠けとともに月の南中時刻を読み取ることもできる。すなわち、月の南中は、新月の時に12時(正午)、満月の時に24時(午前0時)であり、満ち欠けとともに変化する。従って、月表示板の回転に伴う月表示孔の位置により、月の南中時刻を知ることができる。このために、月表示孔の周囲等に24時制の目盛りを形成しておけば、南中時刻の読み取りも容易である。
なお、外領域および内領域は、背景板の表面に対する塗装あるいは着色シートの貼付など適宜な構成とすることができる。通常は、外領域を形成しておき、そこに内領域を重ねて形成することが簡易といえる。
内領域の輪郭、つまり周縁の形状は、全体として略円形であればよく、真円であってもよいが、月の満ち欠けに応じて適宜変化させてもよい。
例えば、前記内領域の周縁には前記月表示孔の内径に相当した弦長を有する複数の円弧形状が形成されるようにしてもよい。このような構成では、内領域の周縁に形成された円弧形状の弦長(周縁における周方向の長さ)と月表示孔の内径とが対応しているため、各円弧形状が個々に月表示孔の内側に現れる。ここで、月表示板と背景板とは月齢に応じて順次送られ、月表示孔には月齢に対応した円弧形状が配置され、月表示孔からは月齢に対応した円弧形状によるその月齢としてより適切な満ち欠け形状を表すことができる。なお、月表示孔の内径に相当した弦長を有する複数の円弧形状としては、月表示板を月齢に応じて回転させた際に、月表示孔に現れる範囲の周縁を、この状態で月表示孔内にその月齢として適切な形状の月の満ち欠けを表すように変形することで、形成することができる。
本発明において、前記内領域の前記回転中心から最も離れた部位の前記回転中心からの距離と前記月表示孔の前記回転中心から最も離れた部位の前記回転中心からの距離とが略一致し、前記内領域の前記回転中心に最も近い部位の前記回転中心からの距離と前記月表示孔の前記回転中心に最も近い部位の前記回転中心からの距離とが略一致していることが望ましい。
このような本発明では、円形の内領域とその外側の明領域で月表示孔内の満ち欠けの表現を最適な状態で行うことができる。内領域を前述した距離関係にすることで、月表示孔における新月時および満月時の表示を内領域のみまたは外領域のみとすることができる。これにより、外領域および内領域をそれぞれ明暗何れかとすることで、月表示孔から見える月の満ち欠けを満月または新月に相当する状態とすることができる。
本発明において、前記月表示板の内側に配置されて前記回転中心と同軸で回転可能な地球表示板と、前記地球表示板の表面に形成されて前記回転中心を基準とした一つの方向を示す現在位置表示部と、前記地球表示板を前記背景板に対して前記月表示板と同方向へ一日で一回転させる地球駆動機構と、を備えたことが望ましい。
このような本発明では、月表示板が月齢周期で回転し、地球表示板が一日一回転するため、地球表示板と月表示孔とで月と地球との相対位置が表現され、地球から見た月の運行を表現することができる。つまり、現在位置表示部に対する月表示孔の方角を、地球上の現在位置から実際に月が見える方角に対応するように地球表示板の位相を合わせておけば、現在位置表示部から見た月表示孔の方角を読み取ることで、月の見える方角を読み取ることができる。
地球表示板の位相を合わせる操作としては、内領域を明度の低い暗領域とし、外領域を明度の高い明領域とした場合、満月の南中状態(午前0時)、つまり月表示孔が背景板の内領域(暗領域)の偏心方向と反対側にあり、時刻が午前0時の状態で、現在位置表示部が月表示孔と最接近して対向する状態とする。位相の調整にあたっては、地球表示板の回転軸に対する固定角度を調整してもよいし、地球表示板における現在位置表示の位置を移動させてもよい。
本発明において、前記背景板に対して固定されかつ前記月表示板の外側の新月に相当する側に設置された太陽表示部を備えたことが望ましい。
このような本発明では、太陽表示部により太陽が表現され、月表示孔で表現される月と、地球表示板で表現される地球との三者の相対位置を把握することができ、満潮と干潮、大潮と小潮、潮汐力などの自然現象をイメージしやすくすることができる。
なお、太陽表示部があることで、前述した24時制の目盛と同様に、この太陽表示部を用いて月の南中時間を把握することもできる。
本発明において、前記内領域を暗領域とする場合、前記内領域は前記背景板の表面に向かって下側に偏心するように配置することが望ましい。前記内領域を明領域とする場合、前記内領域は前記背景板の表面に向かって上側に偏心するように配置することが望ましい。
このような本発明では、月表示孔が背景板の上側にある際に満月、下側にある際に新月となり、その途中では、月表示孔は背景板の左右に表れる。この構成では、満月が最も上側にあることで現実感が得やすいとともに、新月の前後の月齢が下側になることで、暗領域が上で明領域が下となる現実の月の見え方に近いものとすることができる。
本発明において、前記内領域を暗領域とする場合、前記内領域は前記背景板の表面に向かって上側に偏心するように配置してもよい。前記内領域を明領域とする場合、前記内領域は前記背景板の表面に向かって下側に偏心するように配置してもよい。
このような本発明では、月表示孔が背景板の上側にある際に新月、下側にある際に満月となり、その途中では、月表示孔は背景板の左右に表れる。この構成では、太陽が上側であることが前提となるため、月と地球と太陽との関係を表す場合に理解が容易である。また、月表示孔に対応した24時制の表示を設置する場合に、0時(24時)が下、12時が上になるため、一日の生活周期としても馴染みやすいといえる。
本発明において、月表示板は指針式の時計の文字板内に組み込まれかつ前記回転中心は前記時計の指針の回転軸と同軸とされていることが望ましい。
このような本発明では、腕時計、置き時計、掛け時計などの時計に組み込むことで、それ自体の計時機能および指針駆動機能を利用して月表示板等の駆動および制御を行うことができる。そして、時計としての機能に月齢表示、月の運行表示機能を付加することで、商品性を高めることができる。
なお、本発明の月齢表示装置は、時計に組み込まれるものに限らず、他の器具などに組み込まれてもよく、あるいは独立した製品としてもよい。例えば、子供用の学習机、その他の家具類に組み込んでもよく、屋外で用いるキャンプ用品やリュックサック等に組み込んでもよい。あるいは、独立した月齢表示装置として、掌に収まる程度の小型のケースに納めれば、天体観測時に星座早見表と同時に用いることができ、ノベルティグッズとして利用することもできる。
本発明の時計は、前述した本発明の月齢表示装置を備えたことを特徴とする。
このような本発明においては、時計において前述した月齢表示装置の作用効果を得ることができる。時計としては腕時計、置き時計、掛け時計あるいは各種機器や調度類に組み込まれる時計など、任意の時計を含むことができる。
以下、本発明の具体的な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1ないし図4には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1は、本発明に係る月齢表示装置である腕時計1の表示部2を示す平面図である。図2は、表示部2およびその駆動機構3を示す分解斜視図である。図3は、表示部2および駆動機構3を示す断面図である。図4は、駆動機構3を示す模式図である。
図1ないし図3において、腕時計1は指針式の時計装置であり、表示部2は指針式の時刻表示を行うための文字板20、時針21、分針22を備えている。
文字板20は、金属あるいは合成樹脂などの薄い板材から形成された円盤であり、30度間隔で時間を示す時間目盛23が配列されている。文字板20は、腕時計1の本体であるケース4に装着され、時針21、分針22とともにカバーガラス等で覆われる。時針21、分針22は、文字板20の中央に配置された同心状の回転軸24,25に接続され、前述したケース4内に収容される指針式時計用ムーブメントにより駆動される。なお、腕時計1は時針21、分針22に加えて秒針を備えていてもよい。以上の構成は既存の技術に基づいて適宜実現すればよい。
本実施形態において、時針21、分針22の回転軸24,25の中心は、本発明における回転中心Cとされる。
本実施形態において、文字板20は、中央部に円形の開口29を有し、その内側には月表示板30、背景板40、地球表示板50が配置されている。
地球表示板50は、金属あるいは合成樹脂などの薄い板材から形成された円盤であり、中央に円形の軸孔51を有する。地球表示板50は、時針21の回転軸25を軸孔51に挿通され、回転中心Cを軸として回転自在に支持されている(図3参照)。
月表示板30は、金属あるいは合成樹脂などの薄い板材から形成された円盤であり、中央に円形の開口31を有する。開口31の内周は前述した地球表示板50の外周に嵌め合わせられ、月表示板30は地球表示板50の周囲を回転可能である。この際、月表示板30の回転軸も回転中心Cとなる。
月表示板30の外周は、文字板20の開口29の内周と略同径とされている。但し、月表示板30は文字板20の裏側方向へずらして設置されている。地球表示板50の表面と月表示板30の表面は同じレベルに設定されている(図3参照)。
背景板40は、金属あるいは合成樹脂などの薄い板材から形成された円盤であり、中央に円形の開口41を有する。背景板40は、文字板20の裏側において、図示しないステーを介してケース4に固定されている。
背景板40は、月表示板30の裏面に沿って配置されている。背景板40の開口41内には、後述する月表示板30の裏面の歯車および地球表示板50の歯車などが収容されている。
月表示板30には、中央から外れた部位に円形の月表示孔32が形成されている。背景板40の表面は一部が月表示孔32から露出され、露出された表面が月の満ち欠け状態として表示部2の外から視認されるようになっている。
このような月の満ち欠けを表すために、背景板40の表面には、開口41の周囲に内領域42が形成され、その周囲に外領域43が形成されている。
本実施形態において、内領域42は黒色など暗い色の塗装により形成され、外領域43は黄色など明るい色の塗装により形成されている。
内領域42は、月の影を表現できればよく、黒色に限らず濃い茶色や濃い紺色など外領域43より暗い色であればよい。
外領域43は、月の光る部分を表現できればよく、黄色に限らず、白色など内領域42より明るい色であればよい。
これらの内領域42および外領域43は、塗装によって形成してもよいが、他の表面処理によって着色してもよく、あるいは着色されたフィルムを貼ってもよい。なお、本実施形態において、内領域42を単に暗領域、外領域43を外領域と呼ぶことがある。
本実施形態において、内領域42の輪郭は真円であるが、回転中心Cに対して図1下方へ大きく偏心している。内領域42の回転中心Cから最も離れた部位の回転中心Cからの距離と、月表示孔32の回転中心Cから最も離れた部位の回転中心Cからの距離とは、ともに距離R1で略一致している。内領域42の回転中心Cに最も近い部位の回転中心Cからの距離と、月表示孔32の回転中心Cに最も近い部位の回転中心Cからの距離とは、ともに距離R2で略一致している(図1参照)。
このような内領域42の形状により、背景板40に対する月表示板30の回転角度位置に応じて、月表示孔32からは内領域42および外領域43が所定の比率で表れる。
文字板2の6時方向(図1の下側)に月表示孔32がある場合、月表示孔32からは専ら内領域42が表れ、新月を表す状態となる(図2の表示V1)。
文字板2の12時方向(図1の上側)に月表示孔32がある場合、月表示孔32からは専ら外領域43が表れ、満月を表す状態となる(図2の表示V5)。
新月と満月との途中にあっては、内領域42および外領域43の両方が表れる。この際、背景板40に対する月表示孔32の位置に応じて比率が変化する。すなわち、文字板2の4時30分方向では内領域42が多い三日月の状態(図2の表示V2)、3時方向では内領域42と外領域43が半々となる半月の状態(図2の表示V3)、1時30分方向では外領域43が多い状態(図2の表示V4)となる。
以上のように、内領域42および外領域43を有する背景板40と、月表示孔32を有する月表示板30とにより、月の満ち欠けを表示することができる。
図1では、満月をやや過ぎた月齢18日の状態が表れており、月表示孔32には内領域42に対して外領域43が多い下弦の月として表れている。
本実施形態において、文字板20には、通常の12時制の時間目盛23の内側に、24時制の時間目盛28が形成されている。
時間目盛28としては、12時制の12時方向に24時を表す「24」の表示、3時方向に18時を表す「18」の表示、6時方向に12時を表す「12」の表示、9時方向に6時を表す「6」の表示が形成されている。つまり、文字板20における12時制の時間目盛23が時計回りであるのに対し、24時制の時間目盛28は反時計回りに形成されている。
このような24時制の時間目盛28を用いて、各月齢における南中時刻を読み取ることができる。
すなわち、前述した新月の状態は月表示孔32が文字板2の下側(図2の表示V1)にある時である。この状態で月表示孔32に最寄りの時間目盛28は「12」であり、これにより新月の南中時刻は12時(正午)と読み取ることができる。同様に、半月(図2の表示V3)は18時、満月(図2の表示V5)は24時(深夜0時)であると読み取ることができる。
図1では、満月をやや過ぎた月齢18日の状態が表れており、月表示孔32は時間目盛28の3時に相当する位置にあり、これにより月齢18日の月の南中時刻は3時と読み取ることができる。
文字板20において、通常の12時制の時間目盛23の6時の部位(図1中下端)は、他の目盛とは異なり、円形の太陽表示部27とされている。
この12時制の6時部位は、前述した背景板40における内領域42の偏心する方向であり、この太陽表示部27の配置は、内領域42の偏心方向と反対側に表れる満月に対して回転中心Cを挟んで向き合う状態となっている。
このような太陽表示部27を用いて、各月齢における月と地球と太陽の相対的な位置関係を読み取ることができる。
すなわち、前述した新月の状態は月表示孔32が文字板2の下側(図2の表示V1)にある時である。この状態では、月表示板30の内側にある地球表示板50と太陽表示部27との間に月表示孔32があり、新月の状態では地球、月、太陽の順で並ぶことが解る。半月の状態では月表示孔32が図1の右側、太陽表示部27が図1の下側であり、地球から見て月と太陽が90度の角度となることが解る。満月の状態では月表示孔32が図1の上側、太陽表示部27が図1の下側であり、地球から見て月と太陽が反対側にあり、つまり月、地球、太陽の順で並ぶことが解る。
本実施形態においては、更に、地球表示板50を用いることで、地球から見た月の方角をも読み取ることができる。
地球表示板50には、その表面の周縁に三角形の現在位置表示部52が形成されている。現在位置表示部52を地球上の現在位置に見立てることで、現在位置表示部52と月表示板30の月表示孔32との位置関係から、現在位置から見える月の方角を読み取ることができる。このために、地球表示板50を1日1回転で駆動し(地球の自転に相当)、かつ月表示板30を月齢周期で回転駆動(月の公転に相当)するとともに、地球表示板50と月表示板30との位相を合わせておく必要がある。地球表示板50および月表示板30の回転駆動については駆動機構3として後述する。
地球表示板50と月表示板30との位相合わせとしては、前述した満月の南中の際に月が地球の正面に見えればよい。従って、月表示板30を回転させ、月表示孔32が図1の上側にある状態としたうえで、地球表示板50を回転させ、現在位置表示部52が図1の上側に向いた状態に合わせればよい。
なお、地球表示板50と月表示板30との位相合わせは、製造時に合わせておいてもよく、あるいはリュウズ等を用いてユーザが操作できるようにしてもよい。
地球表示板50の位相調整の際には、現在位置表示部52が図1の上側(24時制の0時0分)とするのに合わせて、時針21および分針22も0時0分となるように調整する。これにより、24時制の時間目盛28における現在位置表示部52の表示時刻と、12時制の時間目盛23における時針21および分針22による表示時刻が一致する。
図1では、時間目盛28における現在位置表示部52の表示時刻および時間目盛23における時針21および分針22による表示時刻はともに22時08分となっている。
以上より、前述した地球表示板50および月表示板30の回転駆動を行うことで、月と地球との位置関係が維持され、現在位置表示部52から見た月表示孔32の方角(右か左か正面かなど)を読み取ることができる。
図1では、満月をやや過ぎた月齢18日の状態が表れており、月表示孔32が時間目盛28の3時方向にあるのに対し、現在位置表示部52は時間目盛28の22時08分方向であり、現在位置表示部52に対して月表示孔32は約70度左にある。この状態から、現在の月は東方向(南を向いた状態での左方向)にあり、かつ70度という角度から東の低い位置にあることが推定できる。
前述した地球表示板50および月表示板30の回転駆動を実現するために、腕時計1には駆動機構3が構成されている。この駆動機構3は、本発明における月駆動機構および地球駆動機構を兼ねるものであり、具体的には時針21の駆動力を利用する歯車機構60により構成されている。
歯車機構60は、第1ないし第6の歯車61〜66と、第4歯車64に固定された爪部67とを備えている。
第1歯車61は時針21の回転軸25に固定され、第2歯車62は第1歯車61と第3歯車63とに噛み合わせられ、第1歯車61の回転を第3歯車63に伝達する。第1歯車61と第3歯車63とは同歯数とされ、等速で同方向、つまり時計回りに12時間で1回転(1日で2回転)する。
第3歯車63には第4歯車64が固定され、第4歯車64には第5歯車65が噛み合わせられ、第5歯車65は地球表示板50に固定されている。第5歯車65は歯数が第4歯車64(時計回りに1日で2回転)の2倍とされており、従って第5歯車65および地球表示板50は反時計回りに24時間で1回転(1日で1回転)する。
第4歯車64の表面には爪部67が形成され、爪部67は第6歯車66に噛み合わせられ、第6歯車66は月表示板30に固定されている。第6歯車66は歯数59枚とされている。爪部67は第4歯車64に従って時計回りに1日で2回転し、第6歯車66を反時計回りに1日で歯車2枚分回転させる。つまり、第6歯車66および月表示板30は59枚を1日2枚ずつ駆動され、反時計回りに29.5日で1回転する。これにより、月表示板30は略月齢周期で回転駆動される。
このような歯車機構60により、時針21の回転駆動を利用して、月表示板30が反時計回りに29.5日で1回転され、地球表示板50が反時計回りに1日で1回転され、これらにより前述した月の満ち欠け、月の南中時刻表示、月と地球と太陽との運行関係、現在位置からの月の方角が模式的に表示される。
以上のような歯車機構60により、時針21の回転駆動を利用する駆動機構3が構成され、この駆動機構3により本発明の月駆動機構および地球駆動機構が実現されている。
本実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
本実施形態では、月表示板30に形成された円形の月表示孔32により月が表され、この月表示孔32を透して、背景板40の内領域42および外領域43が露出され、これらの月表示孔32内の内領域42および外領域43により月の満ち欠けを表現することができる。
月表示板30を背景板40および文字板20に対して29.5日(近似的な月齢速度)で1回転させるようにするとともに、周囲の文字板20に24時制の時間目盛28を形成することで、月の満ち欠けとともに月の南中時刻を容易に読み取ることもできる。
本実施形態において、内領域42の輪郭を真円としたため、製造を容易にすることができる。
また、内領域42および月表示孔32の回転中心Cからの距離関係を適切に設定することで、円形の内領域42とその外側の外領域43で月表示孔32内の満ち欠けの表現を最適な状態で行うことができる。
本実施形態では、月表示板30の内側に地球表示板50を設置し、地球表示板50の表面に現在位置表示部52を形成し、地球表示板50を背景板40および文字板20に対して月表示板30と同方向へ一日で一回転させるようにしたため、現在位置表示部52と月表示孔32との位置関係から月の見える方角を読み取ることができる。
本実施形態では、文字板20に太陽表示部27を設けたため、太陽表示部27により太陽が表現され、月表示孔32で表現される月と、地球表示板50で表現される地球との三者の相対位置を把握することができ、満潮と干潮、大潮と小潮、潮汐力などの自然現象をイメージしやすくすることができる。
本実施形態においては、内領域42を表示部2の下側に偏心するように配置したため、月表示孔32が上側にある際に満月、下側にある際に新月となり、満月が最も上側にあることで現実感が得やすいとともに、新月の前後の月齢が下側になることで、暗領域が上で明領域が下となる現実の月の見え方に近いものとすることができる。
本実施形態において、指針式の腕時計1の文字板20内に月表示板30を配置し、回転中心Cは腕時計1の時針21、分針22の回転軸24,25と同軸としたため、各回転部分を同軸として組み込み容易であるとともに、駆動機構3の駆動源として腕時計1の駆動源を流用することができる。そして、時計としての機能に月齢表示、月の運行表示機能を付加することで、腕時計1としての商品性を高めることができる。
[第2実施形態]
前述した第1実施形態は、地球を表す地球表示板50およびその周囲の月表示板30が反時計回りに移動していた。これは、地球の北極側から北半球を眺めた際の状態に相当する。南半球での利用に際しては、南極側から見える状態とするために、一部の配置を変更することが望ましい。
図5および図6には、本発明の第2実施形態が示されている。
図5は、本実施形態の腕時計1の表示部2を示す平面図(第1実施形態の図1相当)である。図6は、駆動機構3を示す模式図(第1実施形態の図4相当)である。
図5および図6において、本実施形態は前述した第1実施形態と同様な腕時計1、表示部2、駆動機構3を備え、各々を主な構成である文字板20、月表示板30、背景板40、地球表示板50、歯車機構60も同様に構成されている。これら同様の構成については簡略化のため説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
本実施形態において、前述した第1実施形態との主な相違は、月表示板30および地球表示板50の回転方向が逆になっている点であり、これに伴って文字板20に形成された時間目盛28の向きも逆となっており、駆動機構3にも回転方向を逆にするための変更が加えられている。
図5において、月表示板30および地球表示板50が時計回りに回転する。つまり、本実施形態の月表示板30および地球表示板50は、前述した第1実施形態とは回転方向が逆になっている。このような時計回りの回転により、月表示板30の月表示孔32が表す月および地球表示板50は南極側から見た状態で回転することになり、南半球においては見た状態を自然なものとすることができる。
文字板20に形成された24時制の時間目盛28は、12時制の12時方向に24時を表す「24」の表示、9時方向に18時を表す「18」の表示、6時方向に12時を表す「12」の表示、3時方向に6時を表す「6」の表示が形成されている。つまり、文字板20における12時制の時間目盛23と同様、24時制の時間目盛28も時計回りに形成されている。
これにより、月表示板30および地球表示板50と同様に時間目盛28も前述した第1実施形態とは逆向きとなり、月表示板30および地球表示板50と時間目盛28との関係が維持され、月表示孔32による南中時刻および現在位置表示部52が示す24時制の時刻が適切に表示される。
図6において、本実施形態の駆動機構3は、前記第1実施形態と同様に、回転軸25の駆動力を歯車機構60で伝達するものであるが、月表示板30および地球表示板50を逆回転させるために反転用歯車68が追加されており、更に爪部67の向きが逆になっている。
反転用歯車68は、第2歯車62と同じ歯数とされ、第2歯車62から第3歯車63への伝達にあたって単に回転方向を逆にするものである。
爪部67は、第3歯車63および第4歯車64の回転方向が逆になることに伴い、第6歯車66との噛み合いを円滑にするためのスロープ部分の向きが逆になったものである。
このような歯車機構60においては、回転軸25から第2歯車62までの回転は前述した第1実施形態と同じであるが、反転用歯車68によりそれ以降の回転方向が逆とされ、月表示板30および地球表示板50は前記第1実施形態と逆向きに回転することになる。但し、回転速度に変更はない。
このような歯車機構60を備えた駆動機構3により、月表示板30および地球表示板50が時計方向に回転し、南半球用の表示を実現することができる。
なお、本実施形態において、上述した構造的な相違以外は前述した第1実施形態と全く同様の作用効果が得られる。
[第3実施形態]
前述した第1実施形態では、表示部2の上側に満月が表示され、下側に新月が表示されるようにしたが、この配置を逆にしてもよい。
図7には、本発明の第3実施形態の腕時計1の表示部2を示す平面図(第1実施形態の図1相当)である。
図7において、本実施形態は前述した第1実施形態と同様な腕時計1、表示部2、駆動機構3を備え、各々を主な構成である文字板20、月表示板30、背景板40、地球表示板50も同様に構成されている。これら同様の構成については簡略化のため説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
本実施形態において、前述した第1実施形態との主な相違は、背景板40の内領域42の偏心方向が逆になっている点である。
すなわち、第1実施形態では、内領域42を表示部2の下側に偏心するように配置し、月表示孔32が上側にある際に満月、下側にある際に新月となるようにしていた。これに対し、本実施形態では、内領域42を表示部2の上側に偏心するように配置し、月表示孔32が上側にある際に新月、下側にある際に満月となる。
このような満月と新月との関係に合わせて、本実施形態では太陽表示部27も第1実施形態の反対側、つまり文字板20の上側(12時制の12時位置)に設置されている。
また、月表示板30の位相が180度ずらされており、文字板20の24時制の時間目盛28も上側(12時制の12時位置)が12時、下側(12時制の6時位置)が24時とされている。
更に、月表示板30および地球表示板50の回転方向が時計回りとされ、時間目盛28も時計回りの配置とされている。月表示板30および地球表示板50を時計回りに回転させる手段としては、前述した第2実施形態の歯車機構60を利用すればよい。
このような本実施形態では、太陽が上側であることが前提となるため、月と地球と太陽との関係を表す場合に理解が容易である。
また、月表示孔32に対応した24時制の表示を設置する場合に、0時(24時)が下、12時が上になるため、一日の生活周期としても馴染みやすいといえる。
なお、このような新月を上、満月を下にした配置についても、月表示板30および地球表示板50の回転方向、時間目盛28の配置を逆にすることで、南半球用とすることができる。
[第4実施形態]
前述した第1実施形態では、地球表示板50を用い、現在位置表示部52による月の方角表示を行ったが、地球表示板50のない月齢表示装置とすることもできる。
図8ないし図11には、本発明の第4実施形態が示されている。
図8は、本発明に係る月齢表示装置である腕時計1の表示部2を示す平面図である。図9は、表示部2およびその駆動機構3を示す分解斜視図である。図10は、表示部2および駆動機構3を示す断面図である。図11は、駆動機構3を示す模式図である。
図8ないし図10において、本実施形態は前述した第1実施形態と同様な腕時計1、表示部2、駆動機構3を備え、各々を主な構成である文字板20、月表示板30、背景板40、歯車機構60も同様に構成されている。これら同様の構成については簡略化のため説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
本実施形態において、月表示板30は、中央の開口31は回転軸25を挿通するのに必要な最小限の大きさとされ、回転軸25の周囲で回転可能である。
月表示板30の月表示孔32、背景板40の構成は前記第1実施形態と同様であり、背景板40に対する月表示板30の回転角度位置に応じて、月表示孔32からは内領域42および外領域43が所定の比率で表れる。
図9において、表示V1〜V5は、それぞれ第1実施形態における図2の表示V1〜V5と全く同様に表れ、これにより月の満ち欠けを表示することができる。
文字板20に形成された24時制の時間目盛28も前記第1実施形態と同様であり、各月齢における南中時刻を読み取ることができる。
文字板20に形成された円形の太陽表示部27も前記第1実施形態と同様であり、各月齢における月と地球と太陽の相対的な位置関係を読み取ることができる。なお、本実施形態では第1実施形態のような地球表示板50がないが、文字板20の中心の回転軸24,25を地球に見立てることで月、地球、太陽の相対位置関係を読み取ることができる。
すなわち、前述した新月の状態は月表示孔32が文字板2の下側(図9の表示V1)にある時である。この状態では、回転軸24,25と太陽表示部27との間に月表示孔32があり、新月の状態では地球、月、太陽の順で並ぶことが解る。半月の状態では月表示孔32が図1の右側、太陽表示部27が図1の下側であり、地球から見て月と太陽が90度の角度となることが解る。満月の状態では月表示孔32が図1の上側、太陽表示部27が図1の下側であり、地球から見て月と太陽が反対側にあり、つまり月、地球、太陽の順で並ぶことが解る。
但し、前記第1実施形態では可能であった、地球から見た月の方角を読み取ることは、地球表示板50による効果であり、本実施形態では得られない。
本実施形態の駆動機構3は、前記第1実施形態と同様に、時針21の駆動力を利用する歯車機構60により構成されている。但し、本実施形態の歯車機構60においては、地球表示板50の省略およびこれに関連して回転速度の設定が変更されている。
歯車機構60は、第1歯車61,第2歯車62、第3歯車63、第6歯車66、爪部67を備えている。前記第1実施形態との相違は、地球表示板50の省略に伴って第4歯車64、第5歯車65が省略されている点、第3歯車63が第1歯車61の半分の回転速度(1日で1回転)とされている点、爪部67が2個、第3歯車63の表面に直接形成されている点である。
第1歯車61は時針21の回転軸25に固定され、第2歯車62は第1歯車61と第3歯車63とに噛み合わせられ、第1歯車61の回転を第3歯車63に伝達する。第1歯車61と第2歯車62は同歯数であるが、第3歯車63は第1歯車61の2倍の歯数とされ、時計回りに24時間で1回転(1日で1回転)する。
第3歯車63の表面には2個の爪部67が形成され、爪部67は第6歯車66に噛み合わせられ、第6歯車66は月表示板30に固定されている。第6歯車66は歯数59枚とされている。第3歯車63が時計回りに1日で1回転することで、第3歯車63に形成された2個の爪部67により、第6歯車66は反時計回りに1日で歯車2枚分回転される。つまり、第6歯車66および月表示板30は59枚を1日2枚ずつ駆動され、反時計回りに29.5日で1回転する。これにより、月表示板30は略月齢周期で回転駆動される。
このような歯車機構60により、時針21の回転駆動を利用して、月表示板30が反時計回りに29.5日で1回転され、前述した月の満ち欠け、月の南中時刻表示、月と地球と太陽との運行関係が模式的に表示される。
以上のような歯車機構60により、時針21の回転駆動を利用する駆動機構3が構成され、この駆動機構3により本発明の月駆動機構が実現されている。
本実施形態によれば、地球表示板50の効果である月の見える方角の読み取りを除いて、第1実施形態と同様な効果が得られる。
また、駆動機構3においては、地球表示板50の省略に伴って、第4歯車64、第5歯車65が省略でき、構造を簡略化することができる。
[第5実施形態]
前述した第4実施形態は、第1実施形態と同様に北半球仕様である。第1実施形態に対する第2実施形態のように、月表示板30および時間目盛28を逆回転とすることにより、前述した第4実施形態も南半球仕様とすることができる。
本実施形態において、表示部2に表れる文字板20、月表示板30、背景板40については同様であるため、説明を省略する。前述したように、本実施形態においては、月表示板30の回転方向を第4実施形態とは逆の時計回りとし、これに対応して時間目盛28も逆回りに配置する。
一方、駆動機構3においては、月表示板30の回転方向を第4実施形態とは逆の時計回りとするために、歯車機構60の構成が変更されている。
図12において、歯車機構60は、第1歯車61,第3歯車63、第6歯車66、爪部67で構成されており、第4実施形態における第2歯車62が省略されている。
第1歯車61は時針21の回転軸25に固定され、第3歯車63は第1歯車61に直接噛み合わせられている。第3歯車63は第1歯車61の2倍の歯数とされ、反時計回りに24時間で1回転(1日で1回転)する。第4実施形態と同様に、第3歯車63の表面には2個の爪部67が形成されている。但し、第3歯車63の回転方向が逆になるため、爪部67は逆向きに形成されている。第6歯車66は歯数59枚とされ、1日で歯車2枚分回転されることで、第6歯車66および月表示板30は時計回りに29.5日で1回転する。これにより、月表示板30の回転方向を第4実施形態とは逆の時計回りで回転させることができる。
このような第5実施形態によれば、前述した第4実施形態と同様な効果が得られるとともに、南半球仕様とすることができる。
[第6実施形態]
前記第1〜第5の各実施形態では、月表示板40の表面に形成される内領域42を明度が低い暗領域とし、外領域43を明度が高い明領域とした。しかし、本発明において明暗は任意であり、前記各実施形態とは逆に、外領域43を明度が低い暗領域とし、内領域42を明度が高い明領域としてもよい。
図13には、本発明の第6実施形態が示されている。本実施形態は前述した第4実施形態と同様な腕時計1、表示部2、駆動機構3を備え、各々を主な構成である文字板20、月表示板30、背景板40、歯車機構60も同様に構成されている。これら同様の構成については簡略化のため説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
本実施形態において、背景板40は、内領域42が明度の高い明領域とされ、外領域43が明度の低い暗領域とされている。このような背景板40を用いることで、月表示板30の月表示孔32から現れる月の満ち欠けの明暗が前記第4実施形態とは逆になる。つまり、文字板20において、上側が新月、下側が満月、左側が上弦の半月、右側が下限の半月になる。
背景板40の変更による月表示孔32から現れる月の満ち欠けの変化に伴って、太陽表示部27も文字板20の上側(新月となる側)に変更され、24時制の時間目盛28も半回転した位置に変更されている。
このような本実施形態によっても、前述した第4、第5の各実施形態と同様な各効果を得ることができる。
更に、前述した第4実施形態(北半球仕様)と同じ機構部分をそのまま利用して、背景板40および文字板20を交換することで、南半球仕様とすることができる。
[第7実施形態]
前記第1〜第6の各実施形態では、月表示板40の表面に形成される内領域42の周縁を真円形状としたが、その一部を湾曲等させてもよい。
図14には、本発明の第7実施形態の背景板40が示されている。本実施形態の他の構成は前述した各実施形態と同様であり、同様の構成については簡略化のため説明を省略する。
本実施形態の背景板40において、内領域42は暗領域とされ、外領域43は明領域とされ、内領域42の外周形状が略円形である点は前記第1〜第5の実施形態と同様である。
ここで、本実施形態の内領域42は、外周形状のうち新月の部分421が外側に拡げられ、満月の部分422が内側に縮小されている。このため、新月の状態では月表示孔32の内側を確実に暗い内領域42のみとすることができる。また、満月の状態では月表示孔32の内側を確実に明るい外領域43のみとすることができる。
さらに、外周形状のうち左右の半月の部分423は直線とされ、半月の状態では月表示孔32の内側で暗い内領域42に対して明るい外領域43が半円形に現れるようにすることができる。
このように、内領域42の外周形状を調整することにより、月表示孔32の内側に現れる月齢に応じた月の満ち欠け表示の状態を最適なものとすることができる。
[第8実施形態]
前記第7各実施形態では、月表示板40の表面に形成される内領域42の周縁を変形し、月齢に応じた月の満ち欠け表示の状態を改善するようにしたが、各月齢において月表示孔32の内側に現れる形状をそのまま内領域42の外周に形成するようにしてもよい。
図15には、本発明の第8実施形態の背景板40が示されている。本実施形態の他の構成は前述した各実施形態と同様であり、同様の構成については簡略化のため説明を省略する。
本実施形態において、背景板40に形成された内領域42の外周は、その周長が月表示板30の月表示孔32の内径の30倍に設定され、内領域42の外周上には30箇所の表示位置(図中二点鎖線で表示された月表示孔32の配列に相当)が設定されている。
各表示位置のうち、図中上半分の表示位置(下弦の半月から新月を経て上弦の半月まで)では、内領域42の外周がそれぞれ凸の円弧形状42Aとされている。これにより、月表示孔32が同表示位置にある場合、月表示孔32内には明るい外領域43が細く現れ、月齢23から月齢7程度の大きく欠けた月が実際に近い形で現れる。
新月の位置(図中上端側)では凸の円弧形状42Aであるが、その輪郭はほぼ半円であり、月表示孔32内には専ら暗い内領域42が現れる。
一方、図中下半分の表示位置(上弦の半月から満月を経て下弦の半月まで)では、内領域42の外周がそれぞれ凹の円弧形状42Cとされている。これにより、月表示孔32が同表示位置にある場合、月表示孔32内には暗い内領域42が細く現れ、月齢8から月齢22程度の欠けの少ない月が実際に近い形で現れる。
満月の位置(図中下端側)では凹の円弧形状42Cであるが、その輪郭はほぼ半円であり、月表示孔32内には専ら明るい外領域43が現れる。
上弦および下弦の半月の状態(図中左側および右側)では、その輪郭は直線であり、月表示孔32内にはそれぞれ明るい外領域43と暗い内領域42とが半々に現れて半月となる。
なお、この半月の表示位置は新月から満月までが16箇所(全周で30箇所)であり、新月と満月とのちょうど中間にはないため、最寄りの表示位置に設定されている。本実施形態では新月寄りに設定しているが、満月寄りの表示位置としてもよい。また、上弦側を新月より、下弦側を満月寄りとしてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、各月齢において月表示孔32内により現実的な月の満ち欠け画像を表現することができ、視認した際の現実感を一層高めることができる。
なお、本実施形態では、内領域42の外周上の各表示位置に月表示孔32を確実に配置することが望ましい。このため、背景板40に対して月表示板30を回転させる際には、前述した各実施形態のような駆動機構に、各表示位置に月表示孔32が停止するようなラッチ等を追加することが望ましい。あるいは、専用のモータ等を用いる別個の駆動機構を設置し、各表示位置に月表示孔32が停止するように送り動作を行うことが望ましい。
また、前述した通り、本実施形態では内領域42の外周上の各表示位置が30箇所とされ、月齢が一巡する周期である約29.5日より0.5日分多い。このため、駆動機構においては、月表示板30が30日で一周する速さに設定し、かつ59日進む毎に1日分先送りして二周するように、駆動機構による表示位置の送り動作を調整することが望ましい。
本実施形態では、内領域42の周縁に形成される円弧形状(表示位置)を全周で30箇所としたが、他の数としてもよい。
例えば、28個とすれば、4の倍数となるため、新月、上弦の半月、満月、下弦の半月を内領域42の周縁に90度間隔で均等に配置することができる。さらに、8個としてもよく、この場合、新月、上弦の三日月、上弦の半月…のように中間的な表示が概略的になる反面、各表示位置における月の満ち欠け形状を一層現実的に表すことができる。なお、このような表示位置の数を採用する場合、各表示位置に適切なタイミングで月表示孔32が送られるように、月表示板30の回転を制御することが必要であり、月表示板30の駆動に独立した駆動機構を用いることが望ましい。
[変形例]
なお、本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形なども本発明に含まれる。
前記各実施形態では、月駆動機構あるいは地球駆動機構をも兼ねる駆動機構3として時針21の回転軸25の動力を利用する歯車機構60を採用したが、独立した駆動源を用いるようにしてもよい。
図16において、内領域42を有する背景板40および月表示孔32を有する月表示板30は前述した各実施形態と同様である。ここで、月表示板30を背景板40に対して回転させる月駆動機構として、独立した駆動機構70が採用されている。
駆動機構70は、月表示板30の裏面に固定された歯車71を備えている。歯車71は歯数59とされている。歯車71にはジャンパ72が係合され、月表示板30は歯車71の各歯位置に係止される。
歯車71には駆動歯車73が噛み合わせられている。駆動歯車73には同軸でローラ74が固定され、このローラ74は超音波モータ75で時計方向に駆動される。超音波モータ75によるローラ74の駆動は、1日あたり駆動歯車73の歯2枚分である。この駆動により、駆動歯車73を介して歯車71および月表示板30が反時計方向へ回転され、月表示板30の回転速度は29.5日に1回転となる。
駆動歯車73およびローラ74はスイングアーム76で支持されている。スイングアーム76はピン77で支持されるとともに、駆動歯車73およびローラ74を支持する側とは反対側のスプリング78により、ローラ74が超音波モータ75に接触する方向へ押しつけられている。このようなスプリング78による押しつけによりローラ74に対する超音波モータ75による駆動が適切に行われるようになっている。
前記各実施形態では、月の月齢周期を29.5日と近似的に処理していたが、実際の月齢周期は29.53日(より正確には29.530589日)とされており、実際の月の運行と本実施形態の装置との間には一周期あたり約0.03日の誤差が生じ、これが累積してゆくことになる。
仮に、月齢周期を29.53日として設定値29.5日との間の誤差を計算すると、12周(約1年)で0.36日、60周(約5年)で3.6日、300周(約25年)では9日進むことになる。
これらの誤差の調整は、手操作により行うようにしてもよいが、駆動機構に補償手段を設けることが望ましい。
例えば、前述した各実施形態では、59枚の歯車を1日あたり2歯送ることで29.5日周期を実現していた。ここで、前述した300周(約25年)で9日進むのに対応するべく、月表示板30の回転カウンタを2つ用いて次のような制御を行うことが望ましい。
月表示板30は59枚の歯車で1日2歯送る。
月表示板30が1回転したら2つのカウンタに1を加算する。
第1のカウンタが16の倍数になったら1歯分の送りを省略する(該当する日は1歯だけ送る)。第1のカウンタはここでリセットする。
第2のカウンタが100になったら、2つのカウンタをともにリセットする。
このような制御によれば、第2のカウンタがリセットされる100周目までの間に、第1のカウンタにより16回転目、32回転目、48回転目、64回転目、80回転目、96回転目の各々で、計6回の送り省略(計6歯分つまり3日分)が行われる。従って、300周で9日分遅らせることができ、前述した300周(約25年)で9日進む誤差を相殺することができる。
他の方法として、492日に1回、1歯分の送りを省略することで対応が可能である。これは、29.5日が300周で8850日であり、これを9日分の歯数18枚で割って491.666日となることによる。但し、492日のカウンタが必要であり、前述した100周リセットのほうが容易といえる。
一方、独立した駆動機構が利用できる場合など、月表示板30を月齢周期29.53日で送れば、現実の月との誤差を殆ど生じないようにできる。但し、このような送りは360度を29.53日で割って12.191度/日で行う必要があり、位置検出および制御が煩雑になる虞がある。これらの精度が容易に確保できれば、このような送り動作を実施することで、前述した誤差の累積対応を省略することができる。
一方、前記第1実施形態ないし第3実施形態では、文字板20に対して背景板40を固定し、背景板40に対して月表示板30を月齢周期で回転させるとともに、背景板40に対して地球表示板50を同方向へ1日1回転させていた。
これに対し、地球表示板50を文字板20に対して固定し、地球表示板50に対して背景板40を1日1回転させるとともに、この背景板40に対して月表示板30を月齢周期で回転させてもよい。
このような構成では、例えば地球表示板50の上端(通常の12時方向)に現在位置表示部52を設定すれば、表示部2の上側が常にユーザから見た上空の状態となる。つまり、月表示孔32で表される月が東から登って西に沈む動き(南に向かって左から登って右に沈む動き)が表現され、北半球における月の運行を解りやすく表現することができる。南半球の場合は逆向きに移動させればよい。
その他、腕時計1の各部は適宜変更してもよく、本発明は腕時計1に限らず置き時計あるいは掛け時計等に適用してもよく、あるいは時計装置に限らず他の器具に組み込んだり、あるいは単独の製品としてもよい。
本発明は、現在の月齢(月の満ち欠け)を表示する月齢表示装置および時計として利用でき、例えば時計などに組み込む等の用途に利用できる。
本発明に係る第1実施形態を示す平面図である。 前記第1実施形態を示す分解斜視図である。 前記第1実施形態を示す断面図である。 前記第1実施形態の歯車機構を示す模式図である。 本発明に係る第2実施形態を示す平面図である。 前記第2実施形態の歯車機構を示す模式図である。 本発明に係る第3実施形態を示す平面図である。 本発明に係る第4実施形態を示す平面図である。 前記第4実施形態を示す分解斜視図である。 前記第4実施形態を示す断面図である。 前記第4実施形態の歯車機構を示す模式図である。 本発明に係る第5実施形態の歯車機構を示す模式図である。 本発明に係る第6実施形態を示す平面図である。 本発明に係る第7実施形態を示す平面図である。 本発明に係る第8実施形態を示す平面図である。 本発明の変形例として独立した駆動機構を示す模式図である。
符号の説明
1…腕時計、2…表示部、3,70…月駆動機構および地球駆動機構を兼ねる駆動機構、20…文字板、21…時針、22…分針、24,25…回転軸、27…太陽表示部、28…時間目盛、30…月表示板、32…月表示孔、40…背景板、42…暗領域、43…明領域、50…地球表示板、52…現在位置表示部、60…歯車機構、C…回転中心

Claims (6)

  1. 背景板と、前記背景板の表面側に配置された月表示板と、前記月表示板を前記背景板に対して月齢周期で一回転させる月駆動機構と、前記背景板の表面に形成されかつ前記月表示板の回転中心に対して偏心した略円形の内領域と、前記背景板の表面の前記内領域の外側に形成された外領域と、前記月表示板の回転中心から外れた部位に形成されて前記内領域の周縁を露出させる略円形の月表示孔と、を備えたことを特徴とする月齢表示装置。
  2. 請求項1に記載の月齢表示装置において、前記内領域の前記回転中心から最も離れた部位の前記回転中心からの距離と前記月表示孔の前記回転中心から最も離れた部位の前記回転中心からの距離とが略一致し、前記内領域の前記回転中心に最も近い部位の前記回転中心からの距離と前記月表示孔の前記回転中心に最も近い部位の前記回転中心からの距離とが略一致していることを特徴とする月齢表示装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載された月齢表示装置において、前記月表示板の内側に配置されて前記回転中心と同軸で回転可能な地球表示板と、前記地球表示板の表面に形成されて前記回転中心を基準とした一つの方向を示す現在位置表示部と、前記地球表示板を前記背景板に対して前記月表示板と同方向へ一日で一回転させる地球駆動機構と、を備えたことを特徴とする月齢表示装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れかに記載された月齢表示装置において、前記背景板に対して固定されかつ前記月表示板の外側の新月に相当する側に設置された太陽表示部を備えたことを特徴とする月齢表示装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れかに記載された月齢表示装置において、月表示板は指針式の時計の文字板内に組み込まれかつ前記回転中心は前記時計の指針の回転軸と同軸とされていることを特徴とする月齢表示装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れかに記載された月齢表示装置を備えたことを特徴とする時計。
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