JP5135014B2 - 月位置および月齢表示機構を備えた時計 - Google Patents

月位置および月齢表示機構を備えた時計 Download PDF

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Description

本発明は、星座盤を備え、星座盤上で当日の月の位置と月齢とを表示する機能を有する時計に関する。
従来、天球上の主な恒星等の天体を描いた円板(星座盤)を、視認できる天球の範囲を示した固定窓の背後に置き、その円板内の天の北極または南極の回りに、星の日周運動に同期した速さ(1恒星日の周期)で時計機構を用いて星座盤を回転させることによって、現在時刻で地平線上に見える範囲(またはその範囲の主要部分)にあるべき星もしくは星座を表示するようにした、星座時計と称される製品があった。(現在時刻は星座板の前面に重ねて配置された時分針を用いて表示される。)
更に、星座と共に、他の重要な天文情報である月に関する情報をも同時に表示する時計も提案されている。下記「特許文献1」はそのような時計の一例である。
特開昭61−139778号公報「月齢・星座表示付時計」 この「特許文献1」に記載された時計は、時分針と、恒星の配置を表示し恒星時で周回する星座表示板と、月の位置(地平線に対する高度)および位相(月齢)を視覚的に近似表示する月齢表示部とを備えた時計である。
上記従来技術における月の表示情報は、月表示板に設けた満月に相当する円形の窓の位置により示される月の地平線上のおよその位置及び高度と、その窓の背後でその一部を等大円形の影板(正しくは陰板と称すべきである)より覆わしめることにより図形的に概略表示される月相とであって、いわば当日晴れていれば実際に視認できる情報であると言える。すなわち、天球上の星座内における月の位置を表示できる機能を備えたものではなかった。また、月表示板の軸(指針軸と平行)が回転する星座表示板を貫通しているため、星座表示板はリング状となり中心部の星空を表示することができず、南限と北限の間の比較的狭い範囲の天空表示に甘んじざるを得なかった。
本発明の目的は、天球上における月の位置および月齢情報を表示できる機能を有する時計を提供することである。また更なる目的は、そのような機能を備えた時計において、広範囲の星座を共に表示することを可能にすることである。
上記目的を達成するため、本発明の月位置および月齢表示機構を備えた時計は、以下の(1)〜(6)のいずれかの特徴を有する。
(1)主な恒星および星座を表示した円板であって、回転軸を天の北極方向または南極方向として時計機構によって駆動され、恒星の日周運動に同期して回転する星座盤に、更にほぼ偏心したリング状に表示された黄道と、該黄道上の太陽位置を表わす年間の日付と、前記黄道の近辺に月の通過範囲を示す領域を表示した星座盤と、該星座板と所定の回転比で回転し、前記月の存在可能な範囲内における月位置を示す指標と、前記日付に応じた月齢とを円周上に表示した月盤とを備えたこと。
(2)上記(1)の特徴に加え、更に、前記星座盤における月の通過範囲の表示は前記黄道の内外に所定の幅を有する帯状の領域であり、前記月盤における月位置を示す指標は前記月盤の中心に対して所定の角度幅を有すること。
(3)上記(1)または(2)の特徴に加え、更に、前記星座盤の回転周期はほぼ1恒星
日(約23時間56分4秒)であり、前記月盤の回転周期はほぼ1平均太陰日(約24時間50分28秒)であるように設定されていること。
(4)上記(1)から(3)のいずれかの特徴に加え、更に、前記星座盤は、前記時計機構の時針軸である筒車に対して1280/2553なる回転比で駆動されること。
(5)上記(1)から(4)のいずれかの特徴に加え、更に、前記月盤は、前記時計機構の時針軸である筒車に対して100/207なる回転比で駆動されること。
(6)上記(1)から(5)のいずれかの特徴に加え、更に、前記星座盤と前記月盤とは前記時計機構の時針軸である筒車によって、1個の中間車を介して所定の速度比で駆動されると共に、前記中間車は前記筒車または該筒車に係合するアイドラー歯車と、前記月盤と一体の月盤歯車と、前記星座盤と一体の星座盤歯車とのそれぞれに噛み合う3枚の歯車が同軸に積層された構造であって、それら3枚の歯車の少なくとも1枚は他の2枚の歯車に対してスリップ可能に構成されていること。
本発明により、天球上の星座内における月の位置や月と太陽との位置関係を表示できる機能を備えた時計を、通常の時計に比較的簡単な機構を付加することで提供することができた。またそのような機能を備えた時計において、広範囲の星座を同時に表示することも可能にした。また、星座盤や月盤の、実現可能で高い近似度を有する回転比を提供した。また、星座盤や月盤を駆動しかつ修正するための簡素な構造を提供した。
以下、そのような機能を備えた本発明の時計の最良の実施形態について、図面を援用して説明する。
図1は本発明の実施例1である指針式の時計(月星座南天表示型の腕時計)における表示面を示す平面図、図2は実施例1における星座盤の詳細表示を示す平面図、図3は実施例1の時計の機構の要部を示す断面図である。
図1において、表示面は、最も手前側(風防ガラスを除く)に指針1(時針1a、分針1b、秒針1cより成る)があり、その奥に有効表示面のほぼ全面を占める透明な文字盤2がある。なおその周囲にあるべき時計ケースやバンドの輪郭は図示を省略したが、3時の方向を示すためリュウズ11を図示してある。透明な文字盤2の更に奥の中心部には小径の月盤3、その更にやや奥の外側には大径の星座盤4があり、これらは透明な文字盤2を通して視認され、表示の一部となっている。実際には星座盤4上に表示された銀河、恒星、星雲等の天体群(本発明ではそれらを総合して単に星座と呼称することがある)も視認できるが、図の煩雑化を避けるため示していない。
文字盤2の表面には、12時−6時方向の直線である子午線2a、網目状に交差する曲線より成る天球上の方位高度線2b、および、天球上の視高度が0度の線で囲まれた、ほぼ楕円形をなす地平線2cが、地平上の方位を示すN、E、S、W等の文字を添えて印刷により固定的に表示されている。地平線2cで囲まれた領域の外部にある星座が現在時刻において北半球に居る観察者に見える南の空を中心とする天球の範囲である。また、地平線2cに囲まれたほぼ楕円形をなす領域の内部は、南半球で見られるほぼ全ての星座を表示することができる。(なお、地平線2cは、北緯35°と南緯35°のそれぞれで大気の屈折を見込んだ可視範囲を表示するため二重線になっている。)
この南天表示方式では、天の北極を中心とする周極星(地平線下に沈まない星)範囲とほぼ等しい北天の一部(全天の約10%)が表示されないが、南天の星座表示のひずみが小さいという長所がある。また地平線上の高度(角度)は、時計の使用者(観察者)の住
む緯度を想定して決められる。本実施例では北緯35°としている。文字盤2の中心は時刻用の指針軸であるが、それはまた天の南極ともなっている。
文字盤2の最外周部に設けた通常時刻目盛2dは、指針1(時針1a、分針1b、秒針1c)が示す通常の時刻を読み取るためのものである。そのすぐ内側にある12個の狭い扇形領域(第何月かの数字と月の名を示す文字を含む)である月(month)の表示部2eと、円周上に配列した各月内の日を示す点および放射状方向の短い線の集合(総計365個)である日目盛2fとは月日指標であり、初期合わせ時の各日時刻における星空の位置を合わせるためのものである。
3は月盤であって、透明な文字盤2を通して透視される小円板である。その表面には、現在時刻における月(moon)の星座盤上の位置(方向)を概略指し示すための凸字型に似た形状の月指標3aと、月齢を読み取るため月指標3aを起点として円周を1朔望月である約29.5日に等分した月齢目盛3bとを備えており、その回転周期は1平均太陰日(約24時間50分28秒)に近くなるように設定されている。
4は星座盤であって、その詳細は図2に示すような大円板であるが、図1においては、文字盤2を通して透視される表示要素のうち、本発明の要部となる黄道4a(太陽の経路であり偏心したほぼ円形の破線で表わされている)と、黄道4aの内外に所定の幅を持った帯状の範囲として表わされた月の存在領域4bと、恒星時目盛4dと、地平線2c上のW、Eを通る円である天の赤道4eを図示している。星座盤4の回転周期はほぼ1恒星日(約23時間56分4秒)である。天空の星と月とは東から西へ、時計に相対しながら南面した観察者にとっては左から右へと移動するので、月盤3と星座盤4の回転方向はいずれも時計方向となる。
実施例1の表示面から天球上の月の位置を読み取る方法について述べる。月は天球上で白道と呼ばれる経路を通る。白道面は黄道面と平均で約5°8′43″傾斜しており、両者の交点も周期約18.6年で黄道を一周する。しかも月は不等速で移動するので、天球上で月の位置を正確に指し示すことは困難である。しかし黄道面を7°を超えて逸脱することはまずない。本発明では月の概略の位置をその存在範囲として指し示す。即ち、月の位置は、星座盤4上のリング状の帯をなす月の存在領域4bと、月盤3上の月指標3aの凸字状の左右端のそれぞれと月盤3の中心を通る仮想の直線(図示せず)で結んで出来る扇形の角度領域とが重なった、短い弧状をなす帯領域の内部にあるとするものである。(もとより月はその領域の中心寄りにある確率が比較的高い。)
上記弧状をなす帯領域の角度、即ち上記月指標3aの両端が月盤3の中心に対してなす角度の範囲は、月位置の変動幅、初期設定時の設定誤差、使用中の累積誤差等を勘案して定める。その値を厳密に特定することは困難であるが、30°〜40°の範囲(例えば38.8°)としておけば概ね実用に適する範囲となる。
また、月齢を読み取る方法についても述べておく。黄道4a上に重ねて示した1、2、3、……、12の数字の中心の位置は、各月の1日における太陽位置を表わしている。更に、黄道4aの破線の切れ目は各月の11日と21日における太陽位置を表わしている。それによって見当をつけた本日の太陽位置と月盤3の中心とを仮想の直線で結ぶとき、該直線が通る月盤3上の月齢目盛3bによって本日の月齢に近い値も知ることができる。
図2に示した星座盤4の表面には、既述した黄道4a、月の存在領域4b、恒星時目盛4d、天の赤道4eに加えて、年間のいずれかの時期において見ることができる主要な恒星等の多くの天体やそれらを線で結んで表わした星座4cが印刷されている。但し、中心部の月盤3で隠される部分を除いてある。また、文字盤2の月表示部2eと日目盛2fに
より知れる本日の日付目盛に対向している恒星時目盛4dが、観測地点と標準時経度との間の経度差による時差を含めた現在の地方平均太陽時となる。また、子午線2a方向に対向する恒星時目盛4dが現在の地方恒星時を示す。
次に実施例1の時計の主要な構造を説明する。図3は、時刻−星座−月表示面を下側にして描いた腕時計ムーブメントの指針軸を含む要部断面図である。図3において、18は秒針軸となる四番車で、その下端には秒針が固着される。19は分針軸となる分針車で、その下端には分針が固着される。筒車20は、分針車19と一体の筒カナ19aの回転速度を通常の日の裏車(図示せず)によって1/12に減速されて回転し、時針軸となる。
筒車20と一体の調速カナ20a(Z=40;但しZは歯数、以下同じ)は、固定軸21に遊嵌された中間車22に摩擦結合されている調速歯車22a(Z=69)と噛み合い中間車22を駆動する。中間車22上の中間歯車22b(Z=50)は月盤3を保持する月盤軸3cと一体の月盤歯車3d(Z=60)を駆動する。また中間車22に固着された星座盤駆動歯車22c(Z=32)は星座盤4を保持する星座盤軸4fと一体化された星座盤歯車4g(Z=37)を駆動する。本段落で述べたこれらの機構は通常の12時間制の腕時計の構造を大幅に変更することなく、ムーブメントの文字盤側に機構を付加する形で構成することができる。
星座盤および月盤駆動輪列は以上のような構成であるので、筒車20(12時間に1回転)に対する星座盤4の回転比は、(40/69)×(32/37)=1280/2553であり、星座盤4の回転周期は12時間×2553/1280=23.934374時間即ち約23時間56分3.75秒となり、1恒星日=約約23時間56分4秒に近く、極めて良い近似を与えている。
また、筒車20に対する月盤3の回転比は、(40/69)×(50/60)=100/207であり、月盤の回転周期は12時間×207/100=24.84時間即ち24時間50分24秒となり、これは1平均太陰日約24時間56分28秒に極めて近い。しかし1日当たり約4秒の差があるので、角度にして1年間当たり約6°(4秒÷86400秒/日×365.2422日/年×360°)の月位置累積誤差が生じるが、月位置の予測可能な精度に対しては十分実用性のある近似度が得られている。また本実施例における月齢表示の周期は約29.57日となり、月の満ち欠けの平均周期である朔望月約29.5306日に対して実用的な近似度を与えている。
星座盤軸4fは月盤軸3cに遊合し、月盤軸3cは筒車20に滑合または遊合する中間軸23に遊合している。互に固着された星座盤4と星座盤軸4fと星座盤歯車4gとは、月盤軸3cの上下で月盤歯車3dと月盤3とによって回転可能に挟まれた状態での組立体となっている。時計の組立時には中間軸23(半径方向のスペーサーとなっている)を取り除いておき、前記組立体を中間車22から遠い方向に片寄せて筒車20に嵌め込み、中間車22上の各歯車と噛み合わせた上で中間軸23を挿入し、Cリング24で中間軸23(従って組立体)を押える。
次に、実施例1の時計の表示の初期設定方法を説明する。設定操作はリュウズ11を用いて行う。リュウズ11は2段の引出し位置を持ち、2段目で時刻合せ、1段目で星座盤と月盤の合せ込みを行う。まず秒針1cが0秒を指したときリュウズ11を引出して時計機構を停止させ、左右回転して時分針1a、1bを現在時刻に合わせ、そこでリュウズ11を0段目に戻して運針を再開させる。ここまでは普通の指針式時計の時刻合せの手順と同様である。
星座盤・月盤合わせのためにはリュウズ11を1段目に引出す(時計は停止しない)。
この位置ではリュウズ11に嵌装された修正車(図示せず)が図3の中間車22と噛み合い、リューズ11の回転によって中間車22を正逆方向自在に回転させることができる。このとき中間車22と調速歯車22aとは適宜なトルクでスリップすることができるのでリュウズ11から加わる修正トルクが時計の運針を妨げることはない。
現在時刻の月齢を求める。即ち、明日正午の月齢を新聞等で知り、これを現在時刻の月齢に換算する(月齢は1日に1ずつ進む)。次に時計中心から星座盤4上の黄道4a上の当日太陽位置に向けて引いた仮想の直線と交差する月盤3の月齢目盛3bが、上で求めた現在時月齢と一致するまで(近い方の回転方向で)リュウズ11を回し続ける。
次に観測地点経度と標準時経度との間の地方恒星時の時差を調べる(地方恒星時は経度差1°当り4分づつ東側ほど進んでいる)。現在時刻(24時間制)に、上の時差分を加えた時刻に相当する星座盤4の恒星時目盛4dが、文字盤2上の当日の日目盛2fに一致するように近い方の回転方向から合わせ込み(最後に歯車のバックラッシュを除く方向にリュウズ11を回しておく)、リュウズ11を通常位置である0段目に戻して初期設定を終わる。
上記のように、時刻系のような駆動系に連動して駆動される他の2つの被駆動系(星座盤4と月盤3)のそれぞれに対する修正操作を行なうために実施例1が採用した機構の考え方を一般化して述べておく。これは段落0020で述べたように、3枚の歯車を積層した中間車22を設けた簡単な構造である。非修正時、駆動系(本例では筒車20)は3枚の歯車のうちの第1の歯車(調速歯車22a)を駆動することによって、第2の歯車と第3の歯車(ここでは星座盤駆動歯車22cと中間歯車22b)を駆動し、それぞれが噛み合う歯車(ここでは星座盤歯車4gと月盤歯車3d)を経由して2つの被駆動系(ここでは星座盤4と月盤3)を異なる回転比で駆動している。
2つの被駆動系の修正に当り、使用者は外部操作部材(ここではリュウズ11)を経由して中間車22に修正トルクを印加し、2つの被駆動系の回転比の違いを利用して、リュウズの回転数は多くはなっても、最終的には第2と第3の2つの被駆動系のそれぞれを希望する相対位置関係にセットすることができる。この際修正トルクが駆動系に過大な負荷を及ぼさないように、例えば第1の歯車にはスリップ機構を介在させる。修正の目的によってはスリップ機構を他の歯車に設けてもよい。このように、簡単な構成の修正機構を用いることによって、時計ムーブメント等の機器の大きさ、厚さ、部品点数、製造コストの増加を小さく又は少なく抑え、作動の信頼性を上げる効果が得られる。
この調速・修正のための機構は、月盤や星座盤に限らず、時計機構と一定の速度関係で駆動される任意の表示体を設ける場合、その駆動や表示の修正のための簡単でコンパクトな構造を実現するものであり、応用範囲が広い。
なお段落0022で言及した月位置の長期累積誤差(年間で月齢約0.5の遅れ)を、小さく保つ方法を述べておく。1年にほぼ1回のペースでリュウズ11を1段目まで引き出し、星座盤4を通常回転と反対方向に27回転させてから現在の星座配置に合せこみ、リュウズ11を通常位置に戻せばよい。
図4は本発明の実施例2の時計における表示面(月星座全天表示型の腕時計)の概形を示す平面図である。また図5は実施例2における星座盤の詳細表示を示す平面図である。
実施例2の時計は、北緯35°において見られる星座のほぼ全部(北緯35°で見られる天球のほぼ全範囲)を、月や太陽位置と共に表示する。本例は北天の表示のひずみが小さい長所がある。黄道や月の存在範囲の表示、月位置や月齢を知る手順、表示の修正方法
等は、以下に述べるような回転方向に基づく差を除けば、実施例1と同様である。
観察者が頭上に見る現在の天球の可視範囲は、視高度0°を意味する地平線2c(大気の屈折を考慮している)である時計の6時方向に片寄った楕円形(N、S、E、W等の方位を示す文字を伴う)の内部に表示される。また時計の表示面の中心(指針軸1)は天の北極となる。天頂(地平線2dのE、Wを通る円弧状の方位線と子午線2aとの交点)に対する天の北極の方向、および星の運行する方向を実視に合せるために、星座盤4と月盤3の回転方向は実施例1とは逆に、反時計方向とされている。
実施例2と実施例1とは、観測者の使用形態の差に応じた機能上の差を有するが、その外見上の相違は、文字盤2の表示、月盤3と星座盤4の表示と回転方向のみである。従って,それらの対応する各部については同じ符号を用いることとし、改めて細部を説明することを省略する。
また実施例2の内部機構には、実施例1における月盤3と星座盤4の回転方向を筒車20に対して逆方向に変えるための変更が加えられている。その内容は、図3における中心車22の軸位置は変えずに、調速カナ20aとその相手である調速歯車22aの歯のモジュール、従って外径を小さくして直接噛み合わないように離した上で、両者に共に噛み合うアイドラー歯車とその固定軸とを新たに付加して回転方向を反転させている。これは極めて単純な変更に過ぎないので、構造は改めて図示しない。
上記2つの実施例を述べたが、時計は腕時計に限らず、懐中時計、置時計、掛時計や、時計機構を内蔵した機器とすることができる。また異なる緯度にある時計の使用者を想定して、方位高度線や星座の表示形態を変更することができる。また月盤上に月齢目盛のみならず、実際の満ち欠けの形状を表示してもよい。その他、内部機構の複雑化を許せば、月盤や星座盤を個別のモータで制御駆動し、累積誤差を取り除いたり、修正を速やかにしたりすることもできる。また異なる機能を追加する(例えば月の満ち欠けを、月盤に設けた円孔とその背後で動きスパイラルな明暗模様を与えた円板を、月盤と1朔望月に1回の速度差で回転させて、月齢に対応した面積で満ち欠けを可視化する)ことも可能となる。
本発明の時計は日常生活に影響が大きく重要な天体である月に関する位置情報(太陽や星座との関係)や月齢情報を、星座の表示情報と共に簡便な操作で見易く提供することができるので、多くの天文愛好家の要請に応えることができるばかりでなく、潮汐の程度や周期に関する情報も得ることができ、産業上の利用可能性は大きい。
本発明の実施例1の時計における表示面(月星座南天表示型)の概形を示す平面図である。 実施例1における星座盤の詳細表示を示す平面図である。 実施例1の時計の機構の要部を示す断面図である。 本発明の実施例2の時計における表示面(月星座全天表示型)の概形を示す平面図である。 実施例2における星座盤の詳細表示を示す平面図である。
符号の説明
1 指針
1a 時針
1b 分針
1c 秒針
2 文字盤
2a 子午線
2b 方位高度線
2c 地平線
2d 通常時刻目盛
2e 月表示部
2f 日目盛
3 月盤
3a 月指標
3b 月齢目盛
3c 月盤軸
3d 月盤歯車
4 星座盤
4a 黄道
4b 月の存在領域
4c 天体、星座
4d 恒星時目盛
4e 天の赤道
4f 星座盤軸
4g 星座盤歯車
11 リュウズ
18 四番車
19 分針車
19a 筒カナ
20 筒車
20a 調速カナ
21 固定軸
22 中間車
22a 調速歯車
22b 中間歯車
22c 星座盤駆動歯車
23 中間軸
24 Cリング

Claims (6)

  1. 主な恒星および星座を表示した円板であって、回転軸を天の北極方向または南極方向として時計機構によって駆動され、恒星の日周運動に同期して回転する星座盤に、更にほぼ偏心したリング状に表示された黄道と、該黄道上の太陽位置を表わす年間の日付と、前記黄道の近辺に月の通過範囲を示す領域を表示した星座盤と、該星座板と所定の回転比で回転し、前記月の存在可能な範囲内における月位置を示す指標と、前記日付に応じた月齢とを円周上に表示した月盤とを備えたことを特徴とする月位置および月齢表示機構を備えた時計。
  2. 前記星座盤における月の通過範囲の表示は前記黄道の内外に所定の幅を有する帯状の領域であり、前記月盤における月位置を示す指標は前記月盤の中心に対して所定の角度幅を有することを特徴とする請求項1に記載の月位置および月齢表示機構を備えた時計。
  3. 前記星座盤の回転周期はほぼ1恒星日(約23時間56分4秒)であり、前記月盤の回転周期はほぼ1平均太陰日(約24時間50分28秒)であるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の月位置および月齢表示機構を備えた時計。
  4. 前記星座盤は、前記時計機構の時針軸である筒車に対して1280/2553なる回転比で駆動されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の月位置および月齢表示機構を備えた時計。
  5. 前記月盤は、前記時計機構の時針軸である筒車に対して100/207なる回転比で駆動されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の月位置および月齢表示機構を備えた時計。
  6. 前記星座盤と前記月盤とは前記時計機構の時針軸である筒車によって、1個の中間車を介して所定の速度比で駆動されると共に、前記中間車は前記筒車または該筒車に係合するアイドラー歯車と、前記月盤と一体の月盤歯車と、前記星座盤と一体の星座盤歯車とのそれぞれに噛み合う3枚の歯車が同軸に積層された構造であって、それら3枚の歯車の少なくとも1枚は他の2枚の歯車に対してスリップ可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の月位置および月齢表示機構を備えた時計。
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