JP2009216045A - エンジンの排気装置 - Google Patents

エンジンの排気装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009216045A
JP2009216045A JP2008062755A JP2008062755A JP2009216045A JP 2009216045 A JP2009216045 A JP 2009216045A JP 2008062755 A JP2008062755 A JP 2008062755A JP 2008062755 A JP2008062755 A JP 2008062755A JP 2009216045 A JP2009216045 A JP 2009216045A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
exhaust
engine
heat
temperature
mode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008062755A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Hosoya
英生 細谷
Tetsuya Tateishi
哲也 立石
Katsuaki Yasutomi
克晶 安富
Takashi Igai
孝至 猪飼
Kazuo Ichikawa
和男 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2008062755A priority Critical patent/JP2009216045A/ja
Publication of JP2009216045A publication Critical patent/JP2009216045A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28DHEAT-EXCHANGE APPARATUS, NOT PROVIDED FOR IN ANOTHER SUBCLASS, IN WHICH THE HEAT-EXCHANGE MEDIA DO NOT COME INTO DIRECT CONTACT
    • F28D15/00Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies
    • F28D15/02Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes
    • F28D15/0266Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes with separate evaporating and condensing chambers connected by at least one conduit; Loop-type heat pipes; with multiple or common evaporating or condensing chambers
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28DHEAT-EXCHANGE APPARATUS, NOT PROVIDED FOR IN ANOTHER SUBCLASS, IN WHICH THE HEAT-EXCHANGE MEDIA DO NOT COME INTO DIRECT CONTACT
    • F28D21/00Heat-exchange apparatus not covered by any of the groups F28D1/00 - F28D20/00
    • F28D21/0001Recuperative heat exchangers
    • F28D21/0003Recuperative heat exchangers the heat being recuperated from exhaust gases
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B30/00Energy efficient heating, ventilation or air conditioning [HVAC]
    • Y02B30/52Heat recovery pumps, i.e. heat pump based systems or units able to transfer the thermal energy from one area of the premises or part of the facilities to a different one, improving the overall efficiency

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)

Abstract

【課題】少ない消費電力で熱音響現象を有効利用して、エンジン1の暖機や排熱利用を図ることができ、広い運転領域にわたって可及的にNOx吸蔵触媒18の活性化を図ること。
【解決手段】を備え、排気通路15にNOx吸蔵触媒18が配設されたエンジン1に、熱音響装置20と排熱回収装置30を併設する。エンジン1の冷間時においては、ヒートポンプモードで稼動される熱音響装置20と並行して蓄熱材搭載熱交換器30を稼動制御するとともに、エンジン1の温間時においては、熱音響装置20を熱音響エンジンモードで稼動制御する。
【選択図】図7

Description

本発明はエンジンの排気装置に関し、特に排気通路にNOx吸蔵触媒が配設されたエンジンに関する。
近年、例えば自動車等に搭載されるエンジンの燃費向上の要求が高まっている。エンジンの燃費を向上させるために有効な燃焼形態として、いわゆるリーンバーン(希薄燃焼)が知られている。これは、特に中低負荷運転領域において理論空燃比(A/F≒14.7)よりもリーン(空気過剰)で混合気を燃焼させるものである。
一方、エンジンの排気の浄化も近年要求の高まっている課題である。従来、排気を浄化する触媒として三元触媒が知られている。しかし三元触媒は理論空燃比での燃焼時には高度な排気浄化作用を有するが、リーンバーン時にはNOx(窒素酸化物)の浄化性能が低下するという制約がある。
そこでNOxを浄化するため、排気通路にNOx吸蔵触媒が配設されたエンジンが知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に示されるNOx吸蔵触媒は、これに流入する排気の空燃比が理論空燃比よりもリーンのときにNOxを吸蔵し、排気の空燃比が理論空燃比又はそれよりリッチのときに吸蔵されているNOxを放出して還元するものである。
また従来、特許文献1に開示されているように、近年、熱音響現象を利用した内燃機関が開示されている。
例えば、特許文献2に開示されている構成では、不活性ガスが封入された気柱管と、その気柱管内に設けられた蓄熱器と、気柱管の閉鎖端に設けられたトランスデューサとを備える。蓄熱器の一端には高温熱交換器が設けられて排気(高温熱源)と気柱管内の不活性ガスとの熱交換が行われる。一方蓄熱器の他端には低温熱交換器が設けられてエンジン用冷媒(低温熱源)と気柱管内の不活性ガスとの熱交換が行われる。かくして蓄熱器には、その両端に生じる不活性ガスの温度勾配に起因して、熱音響自励振動(音波)が発生する。この音波は気柱管内で共鳴し、定在波が形成される。そしてこの定在波が、トランスデューサで電気エネルギーに変換され、適宜バッテリに蓄電される等して利用される。発電による電力は、直接または蓄電して利用することができるので、燃費を向上することができる。
特に、特許文献2の構成では、熱音響現象の利用態様を変化させてエネルギー効率を向上させるため、トランスデューサに通電してトランスデューサを加振し、その振動で生じた熱エネルギーを低温熱交換器から蓄熱器を介して高温熱交換器へ移動させる加振装置を備えており、冷間時等においては、加振装置を稼動して、冷却冷媒や排気の昇温促進を図るようにしている。
特開2005−113763号公報 特開2005−188401号公報
ところで、熱音響現象は、蓄熱器の両端に生じる温度勾配が高くなるほど顕著になるものであることから、冷間時に加振装置を稼動する際には、暖機が終了するまでの通電時間が長くなり、消費電力が大きくなるという問題もあった。他方、温間時においては、排気温度が900℃以上に達するのに対し、NOx吸蔵触媒18の活性温度上限が低い(例えば、400℃〜500℃)ため、NOxの浄化が不充分となるおそれがあった。無論、エンジンの排気温度を種々の方法で低減することも可能ではあるが、単に、触媒の性能維持のためだけにエネルギーを廃棄することは、燃費向上やエコロジーの観点から好ましくない。
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、少ない消費電力で熱音響現象を有効利用して、エンジンの暖機や排熱利用を図ることができ、広い運転領域にわたって可及的にNOx吸蔵触媒の活性化を図ることのできるエンジンの排気装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために本発明は、エンジンの冷間時には電源から供給された電気エネルギーを熱音響現象で熱エネルギーに変換してエンジン用冷媒を加温するヒートポンプモードで運転されるとともに、前記エンジンの温間時には排気と前記エンジン用冷媒との温度勾配によって奏する熱音響現象で発電する熱音響エンジンモードで運転される熱音響装置を備え、排気通路の当該熱音響装置の下流側にNOx吸蔵触媒が配設されたエンジンの排気装置であって、前記排気通路の前記NOx吸蔵触媒よりも上流側に設けられ、排熱によって気化した排熱回収用冷媒を前記エンジン用冷媒で冷却して凝固させることにより、排熱をエネルギーとして回収する排熱回収装置と、前記エンジンの運転状態に基づいて、少なくとも前記熱音響装置と前記排熱回収装置の運転を制御する運転制御手段とを備え、前記運転制御手段は、前記エンジンの冷間時においては、前記ヒートポンプモードで稼動される前記熱音響装置と並行して前記排熱回収装置を稼動制御するとともに、前記エンジンの温間時においては、前記熱音響装置を前記熱音響エンジンモードで稼動制御するものであることを特徴とするエンジンの排気装置である。この態様では、エンジンの冷間時において、熱音響装置は、ヒートポンプモードで稼動されることにより、従来と同様に電源から供給された電気エネルギーを熱音響現象で熱エネルギーに変換してエンジンの暖機を促進する。このヒートポンプモードで稼動される熱音響装置と並行して、エンジンの冷間時に排熱回収装置が稼動されるので、冷間時のエンジン暖機促進効果が高まり、暖機期間を従来の装置に比べて大幅に短縮することができる。その結果、熱音響装置をヒートポンプモードで稼動するときの消費電力を節約することが可能になる。また、温間時においては、熱音響装置を熱音響エンジンモードで稼動するので、排熱を電気エネルギーとして回収することが可能になるとともに、電気エネルギーを取り出すための熱源として排熱を排気から奪うことにより、排気の過度な温度上昇を抑制することが可能になる。
好ましい態様において、前記排熱回収装置は、液状の前記排熱回収用冷媒を排熱で加熱して気化させる加熱部と、前記加熱部で気化された前記排熱回収用冷媒を前記エンジン用冷媒との熱交換によって凝縮させて前記加熱部に循環させる凝縮部と、前記加熱部と前記凝縮部との間の冷媒通路上に設けられ、気化した前記排熱回収用冷媒の一部と発熱反応可能に蓄熱材が配設された加熱促進部とを含んでいる。この態様では、排熱回収装置が稼動される際には、加熱部での排熱回収用冷媒の蒸発(気化)→凝縮部での排熱回収用冷媒とエンジン用冷媒との熱交換→排熱回収用冷媒の凝縮(液化)という冷媒サイクルが行われるが、気化した排熱回収用冷媒の一部が、加熱部と凝縮部との間の冷媒通路上に設けられた加熱促進部の蓄熱材に接触することによって発熱反応を生じ、その反応熱によって、凝縮部で凝縮する残余の排熱回収用冷媒が昇温する。そのため、昇温した排熱回収用冷媒が凝縮部でエンジン用冷媒と熱交換されるので、エンジン用冷媒の昇温をさらに促進し、エンジンの暖機に寄与することになる。従って、加熱促進部による排熱回収用冷媒の昇温によってエンジンの暖機を促進することが可能になる。
好ましい態様において、前記排熱回収装置は、前記加熱部で気化した前記排熱回収用冷媒が前記加熱促進部を経由して前記凝縮部で凝縮される熱供給モードと、前記加熱促進部をバイパスして前記凝縮部で凝縮される排気冷却モードとによって稼動可能に構成されており、記運転制御手段は、前記エンジンの冷間時には前記排熱回収装置を熱供給モードで稼動制御するとともに、前記エンジンの温間時であって、前記NOx吸蔵触媒に関連する温度状態が、当該NOx吸蔵触媒の活性温度上限付近に設定された所定温度を越える場合には、前記排熱回収装置を前記排気冷却モードで稼動制御するものである。この態様では、熱供給モードが採用されている場合には、エンジン用冷媒の昇温をさらに促進し、エンジンの暖機に寄与することになる。他方、NOx吸蔵触媒に関連する温度状態が、当該NOx吸蔵触媒の活性温度上限付近に設定された所定温度を越える場合には、排気温度が高く、もはや暖機の必要がなくなった運転状態にあるが、この運転状態では、加熱促進部をバイパスした排熱回収用冷媒が凝縮されることにより、排熱回収用冷媒は、エンジン用冷媒によっていわば冷却されて液化し、加熱部に循環することになる。このため、加熱部に液化している排熱回収用冷媒の温度が下がり、排熱回収用冷媒とエンジン用冷媒との熱交換が抑制されることになるので、排気が過度に昇温するのを防止することができる。従って、本態様によれば、排気から気化潜熱を奪って排気温度を低下させることができ、NOx吸蔵触媒が過度に加温されることを抑制することも可能になる。NOx吸蔵触媒に関連する温度状態は、NOx吸蔵触媒の温度そのものであっても、代用特性(例えば、排気温度)であってもよい。
加熱促進部を含んだ好ましい態様において、前記運転制御手段は、前記排気冷却モードで前記排熱回収装置を稼動制御している場合、前記NOx吸蔵触媒の温度状態が高いほど前記排熱回収装置を通る前記エンジン用冷媒の流量を増加するように、前記排熱回収装置を通る前記エンジン用冷媒の流量を調節するものである。この態様では、NOx吸蔵触媒の温度状態が活性温度上限付近を越えている場合に、エンジン用冷媒の流量が増加するので、凝縮部における排熱回収用冷媒の凝縮が一層促進され、それに伴って加熱部における蒸発量も増加する。その結果、加熱促進部の蓄熱材と発熱反応しなくなる排熱回収用冷媒が相対的に増加するので、加熱促進部による発熱反応が抑制され、凝縮部における排熱回収用冷媒の凝縮が一層促進される。加えて、加熱部における蒸発量の増加に伴い、排気から奪われる気化潜熱が増加し、排気温度の低下代も増大する。このように運転制御手段は、NOx吸蔵触媒の温度状態が高いほど排気温度の低下代を増大させることにより、排気温度が可及的にNOx吸蔵触媒の活性温度域にあるように制御することができる。
加熱促進部を含んだ好ましい態様において、前記排熱回収装置は、排熱で加熱して前記蓄熱材を再生する再生モードで稼動制御可能に構成されており、前記運転制御手段は、前記排熱回収装置を前記再生モードで稼動する場合において、前記エンジンの冷間時には、前記熱音響装置を前記ヒートポンプモードで稼動制御する一方、前記エンジンの温間時には、前記熱音響装置を前記熱音響エンジンモードで稼動制御するものである。この態様では、蓄熱材の再生が必要な運転状況でも、可及的にエネルギーの有効利用を図ることができる。ここで蓄熱材の再生(再生処理ともいう)とは、発熱反応後の生成物を加熱することによって再び発熱反応前の蓄熱材に戻すことである。再生の要否は、例えば、排熱回収装置の運転時間や排気温度等をパラメータにすることによって判定することが可能である。この再生が実行される運転状態は、通常、エンジンの温間時であり、排気温度が充分に上昇しているときである。従って、エンジンの温間時では、蓄熱材の再生ととともに熱音響装置を熱音響エンジンモードで稼動させ、余剰的な排熱を電気エネルギーに変換することによって、排熱の有効利用を図り、燃費を低減することが可能になる。また、排熱が熱音響装置によっても回収されるので、排気温度がNOx吸蔵触媒の活性温度上限を上回りがちな運転状況において、排気温度を有効に低減し、NOx吸蔵触媒を活性温度の範囲内で稼動させることが可能になる。他方、例えば排気温度があまり上がらないような運転状態が長期間継続したような場合には、冷間時においても、蓄熱材が再生を要する状態になっていることがあり得る。その場合には、熱音響装置をヒートポンプモードで稼動することにより、排気の昇温を促進して再生を短時間で終了することが可能になる。この結果、再生の困難な冷間時においても、可及的頻繁に再生を行わせることができるのである。
加熱促進部を含んだ好ましい態様において、前記運転制御手段は、前記エンジンの冷間時に前記排熱回収装置を前記再生モードで稼動する場合において、前記エンジン用冷媒の冷媒温度が所定の設定温度を超える場合には、前記熱音響装置を休止制御するものである。この態様では、冷間時にある程度、冷媒温度が上昇しているときは、エンジンの冷間時であっても熱音響装置が停止するので、より節電を図ることができる。
好ましい態様において、前記運転制御手段は、前記エンジンの冷間時において、前記エンジンの暖機に関連する温度状態が所定の切換温度以下の場合には、前記熱音響装置とともに前記排熱回収装置を稼動制御するとともに、前記切換温度を超える場合には、前記熱音響装置を休止して排気が昇温するように前記排熱回収装置を稼動制御するものである。この態様では、エンジンの冷間時において、熱音響装置は、冷媒温度が所定の切換温度未満のときには、ヒートポンプモードで稼動し、排熱回収装置とともにエンジンの暖機を促進する。ある程度、エンジンの暖機が促進されると、熱音響装置が休止し、排熱回収装置のみによってエンジンが暖機されるので、消費電力をこの点からも節約することができる。通常、冷間時に排気温度が上昇すると、排気とエンジン用冷媒との温度勾配が小さくなり、熱音響現象による昇温効果が小さくなる一方、排気の昇温に伴って、排熱回収装置による熱交換効率が高くなる。従って、効率が低下しやすい運転領域においては、排熱回収装置単体による熱交換効率の向上を図るとともに、熱音響装置を休止して消費電力のさらなる節約を図ることが可能になるのである。本態様において、「エンジンの暖機に関連する温度状態」は、例えば、エンジン用冷媒の冷媒温度や排気の温度が好適であるが、エンジンルームの温度等、これら冷媒温度や排気温度の代用特性であってもよい。
以上説明したように、本発明は、熱音響装置がヒートポンプモードで稼動される冷間時の運転状況では、熱音響装置と並行して、排熱回収装置が稼動されるので、冷間時のエンジン暖機促進効果が高まり、暖機期間を従来の装置に比べて大幅に短縮することができる。その結果、熱音響装置をヒートポンプモードで稼動するときの消費電力を節約することが可能になる。また、温間時においては、専ら熱音響装置を熱音響エンジンモードで稼動するので、排熱を電気エネルギーとして回収することが可能になるとともに、電気エネルギーを取り出すための熱源として排熱を排気から奪うことにより、排気の過度な温度上昇を抑制することが可能になる。従って本発明によれば、少ない消費電力で熱音響現象を有効利用して、エンジンの暖機や排熱利用を図ることができ、広い運転領域にわたって可及的にNOx吸蔵触媒の活性化を図ることができるという顕著な効果を奏する。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るエンジン1の排気装置10の概略構成図である。本実施形態のエンジン1は、特に低中負荷領域では理論空燃比よりも空気過剰な燃焼(リーンバーン)を行わせ、高負荷領域では理論空燃比ないしはそれよりリッチな燃焼を行わせるように構成されている。
エンジン1のシリンダヘッド2およびシリンダブロック3の内部には図略のウォータジャケットが形成されており、エンジン用冷媒Wcが導かれるように構成されている。またエンジン1には、ウォータジャケット内を流通するエンジン用冷媒Wcの温度Twを検出するための水温センサSN1が設けられている。
エンジン1には、ウォータジャケット内のエンジン用冷媒(冷却水等)Wcをエンジン1の外部に導出する冷却冷媒取出部11が設けられている。冷却冷媒取出部11は、エンジン用冷媒Wcを後述の熱音響装置20および排熱回収装置としての蓄熱材搭載熱交換器30に導くものである。
またエンジン1には、当該エンジン1の燃焼室で発生した排気を排出するための排気通路15が設けられている。排気通路15は、その一部である排気通路15a、15b、15c、15d、15e、15f、15gを含む。このうち最上流の排気通路15aの下流端には三元触媒17が設けられている。
三元触媒17はよく知られているように、理論空燃比での燃焼においてはCO、HCおよびNOxに対し高い浄化性能を示すが、リーンバーンにおいては、NOx浄化性能が急激に低下する。本実施形態のエンジン1は上述のようにリーンバーンを多用するので、三元触媒17では浄化しきれないNOxを浄化するために、後述するNOx吸蔵触媒18が排気通路15上に設けられている。
三元触媒17の下流側では、排気通路15は排気通路15bと排気通路15cとに分岐している。排気通路15b、15cの上流側には、これらの通路15b、15cを開閉する排気切換バルブ16b、16cが設けられている。排気通路15bと排気通路15cとはそれら排気切換バルブ16b、16cの下流端で合流し、その合流部分よりも下流側には、排気通路15dと排気通路15eが分岐している。
排気通路15dには、当該排気通路15dを開閉する排気切換バルブ16dが設けられている。他方、排気通路15eには、当該排気通路15eを開閉する排気切換バルブ16eが設けられている。そして排気通路15dと排気通路15eとは、各排気切換バルブ16d、16eよりも下流側で合流し、その合流部分よりも下流側にNOx吸蔵触媒(LNT:Lean NOx Trap)18が設けられている。
NOx吸蔵触媒18は、従来周知の触媒であって、例えばゼオライト等のベースコートに酸化バリウム等のNOx吸蔵材と白金やパラジウム等の貴金属とを担持させて構成されており、NOx吸蔵触媒18に流入する排気の空燃比が理論空燃比よりもリーンのときにNOxを吸蔵し、排気の空燃比が理論空燃比又はそれよりリッチのときに吸蔵されているNOxを放出して還元浄化するものである。
一般的にNOx吸蔵触媒18は、三元触媒17に比べて活性温度域(浄化可能温度域)が狭い。NOx吸蔵触媒18の構成材料にもよるが、本実施形態のNOx吸蔵触媒18は活性温度域が250℃〜400℃となっている。
なおNOx吸蔵触媒18の上流側直前の排気通路15に、排気温度を検出する排気温度センサSN2が設けられている。本実施形態では、この排気温度センサSN2が検出した排気温度TctをNOx吸蔵触媒18の温度状態の代用特性としても用いることとしている。このように、NOx吸蔵触媒18に関連する温度状態は、NOx吸蔵触媒18の温度そのものであっても、代用特性(例えば、排気温度Tct)であってもよい。
NOx吸蔵触媒18より下流側の排気通路15gは、図略のサイレンサ等を経て図略の排気口に接続されている。
次に、排気装置10は、熱音響装置20を備える。
熱音響装置20は、排気を高温熱源とするとともにエンジン用冷媒Wcを低温熱源として発生する熱音響自励振動を電気エネルギーに変換する(このような作用を奏する運転モードを「熱音響エンジンモード」という)とともに、交流電流を通電によって、熱音響自励振動を生じ、この熱音響自励振動を低温熱源から高温熱源に交換される熱エネルギーに変換する(このような作用を奏する運転モードを「ヒートポンプモード」という)ことのできる装置である。
熱音響装置20は、ステンレス等により円形断面を有するように形成された気柱管21を有し、この気柱管21の内部には、窒素、ヘリウム、アルゴン、およびヘリウムとアルゴンとの混合ガスなどの作動流体(不活性ガス)が封入されている。気柱管21は、図1に示すように、略矩形ループ状に形成されたループ部22と、ループ部22の一つのコーナー部分に接続された共鳴部23とを含んでいる。共鳴部23は、ループ部22の径と略同径の円形断面を有する管部23aと、管部23aの先端に接続された閉鎖端部23bとを有し、共鳴器として機能する。閉鎖端部23bは、管部23aの先端から閉鎖端に向かうにつれて徐々に拡径されており、閉鎖端部23bの閉鎖端には、発電発振装置24が配置されている。発電発振装置24は、振動部材(膜)と、この振動部材に取り付けられた磁石と、この磁石を支持するとともに閉鎖端部23b等に固定されたばねと、磁石の周囲に配置されたコイル等(何れも図示省略)とを含むものである。
また気柱管21のループ部22の内部には蓄熱器25が配置されている。蓄熱器25は、配置箇所における気柱管21の軸方向と平行に延びる狭い通路を複数有する。蓄熱器25としては、セラミック等からなるハニカム構造体、ステンレス等からなる薄いメッシュを微小間隔で配列したもの、およびステンレス等の金属製繊維を集合させた不織布等を採用することができる。この蓄熱器25の一端側には高温熱交換器26が配置されており、他端側には低温熱交換器27が隣接して配置されている。すなわち蓄熱器25は、高温熱交換器26と低温熱交換器27との間に挟まれた状態で配置されている。
高温熱交換器26は、排気切換バルブ16bの下流側であって排気通路15bと排気通路15cの合流部分よりも上流側のところで排気通路15bと接続され、排気通路15b内の排気(高温熱源)Geと気柱管21内の作動流体とが熱交換を行い得るように構成されている。また低温熱交換器27には冷却冷媒取出部11と接続され、冷却冷媒取出部11内のエンジン用冷媒Wc(低温熱源)と気柱管21内の作動流体とが熱交換を行い得るように構成されている。なお、図1は略図であって、高温熱交換器26を介した蓄熱器25と共鳴部23との連通経路と低温熱交換器27を介した蓄熱器25と共鳴部23との連通経路とは、等長に設定されている。
気柱管21のループ部22の内部には、発電発振装置24から蓄熱器25と概ね対向する位置にあるループ部22と共鳴部23(管部23a)との合流部は、図1に示されるように、流路切換弁200が配置されている。流路切換弁200を一側(エンジン側、図1における実線参照)に切り換えると、高温熱交換器26を介した蓄熱器25と共鳴部23との連通が許容される一方、低温熱交換器27を介した蓄熱器25と共鳴部23との連通が遮断される。また、流路切換弁200を他側(ヒートポンプ側、図1における破線参照)に切り換えると、低温熱交換器27を介した蓄熱器25と共鳴部23との連通が許容される一方、高温熱交換器26を介した蓄熱器25と共鳴部23との連通が遮断される。このように、流路切換弁200を用いて蓄熱器25と共鳴部23との連通状態を切り換えることにより、後述されるように、熱音響装置20を熱音響エンジンモードまたはヒートポンプモードで稼動させることが可能となる。
また、発電発振装置24には、当該熱音響装置20をヒートポンプモードで稼動するための第1スイッチSW1が接続されている。また、発電発振装置24には、当該熱音響装置20を熱音響モードで稼動するための第2スイッチSW2が第1スイッチSW1と並列に接続されている。
第1スイッチSW1には、AC/DCコンバータ28を介してバッテリ29が接続されている。バッテリ29は、例えば、車両に既設されているものであり、当該車両に設けられた電気負荷70(図6参照)に対して給電可能に構成されている。そして、ヒートポンプモードにおいて、バッテリ29からAC/DCコンバータ28を介して交流電流が供給されることにより、発電発振装置24を加振することが可能になっている。
第2スイッチSW2には、図略の発電量制御器を介し、電気負荷70が接続されている。そして、熱音響装置20が熱音響エンジンモードで稼動している際には、発電発振装置24で生成された電気を発電量制御器から各電気負荷70に供給するように構成されている。
なお、図1の配線例は一例に過ぎず、例えば、熱音響エンジンモードで生成された電気をバッテリ29に備蓄するようにしてもよい。
図2は、本実施形態に係る蓄熱材搭載熱交換器30およびその近傍を模式的に示す斜視図である。
図2を参照して、本実施形態に係る排気装置10は、蓄熱材搭載熱交換器30を備える。
蓄熱材搭載熱交換器30は、排熱(排熱)によって気化された排熱回収用冷媒Wmとエンジン用冷媒Wcとを熱交換させて凝縮させることにより、排熱を回収する排熱回収装置として機能する。なお、以下の説明では、排熱回収用冷媒Wmが気化したものをWm(g)と表記し、液化したものをWm(l)と表記する。
蓄熱材搭載熱交換器30には、冷却水入口61と冷却水出口63とが接続されており、これらは冷却冷媒取出部11に接続されている。すなわち冷却冷媒取出部11に導かれたエンジン用冷媒Wcは、冷却水入口61を経由して蓄熱材搭載熱交換器30に導入され、冷却水出口63を経由して冷却冷媒取出部11に戻るように構成されている。
冷却冷媒取出部11には、流量制御弁12(図1参照)が設けられている。流量制御弁12は、冷却冷媒取出部11から冷却水入口61に導く(蓄熱材搭載熱交換器30に供給する)エンジン用冷媒Wcの流量を調節する弁であり、流量制御弁12の開度に応じた流量のエンジン用冷媒Wc冷却水入口61に導かれ、残部が蓄熱材搭載熱交換器30等をバイパスして冷却冷媒取出部11に戻される。
図3〜図5は、本実施形態に係る蓄熱材搭載熱交換器30の模式図である。この模式図は、蓄熱材搭載熱交換器30の縦断面図(排気通路15cの軸方向に垂直な面での断面図)に略対応している。
図3〜図5を参照して、蓄熱材搭載熱交換器30は、その内部が2室構造となっており、排気Geから排熱を受ける第1室31と、その側方に突出する第2室32を備える。
第1室31は排気通路15c(その概略位置を二点鎖線で示す)に接続される部位であり、その内部を排気Geが通り抜けるようになっている。図3〜図5では排気Geの流れ方向は紙面に垂直な方向となる。
第1室31の内部には、排気Geの排熱を効率よく受熱するためのフィン34が多数配列されており、加熱部33が形成されている。加熱部33の下部(第1室31の底部)には液状の排熱回収用冷媒Wm(l)が貯溜されている。加熱部33の下部で排気Geから排熱回収用冷媒Wm(l)が受熱し、気化した排熱回収用冷媒Wm(g)が上昇して、加熱部33で排熱を受熱しつつフィン34の隙間を通って加熱部33の上方に抜けるように構成されている。
第1室31の上部には粒状の蓄熱材36(本実施形態では酸化マグネシウムMgOを主要成分とする)を収容した加熱促進部35が設けられている。加熱部33と加熱促進部35とは第1通路41で連通されている。第1通路41にはこれを開閉する第1通路弁51が設けられている。本実施形態において、蓄熱材36は、排熱回収用冷媒Wm(g)と接触することにより、(式1)に示す水和反応を起こす。
MgO(s)+H2O(g)→Mg(OH)2(s) (式1)
(式1)の水和反応による反応エンタルピーの減少(放熱)により、未反応の水蒸気が加熱され、エンジン用冷媒Wcと交換される熱量が増量する。
また、(式1)で生成された水酸化マグネシウムは、高温の排気Geと接触することにより、(式2)に示す脱水反応を生じる。
Mg(OH)2(s)→MgO(s)+H2O(g) (式2)
(式2)の脱水反応によって、水酸化マグネシウムから酸化マグネシウムが生成されるので、加熱促進部35が再生されることになる。再生の要否は、例えば、蓄熱材搭載熱交換器30の運転時間や排気温度Tct等をパラメータにすることによって判定することが可能である。なお(式2)の脱水反応は、吸熱反応であり、反応エンタルピーの増加(吸熱)によって、排気Geは、冷却されることになる。
第2室32には、第1凝縮器37aが配設されている。第1凝縮器37aは、後述する第2凝縮器37bとで全体として凝縮部37を構成する。凝縮部37は、熱交換によって排熱回収用冷媒Wm(g)を凝縮させる(排熱回収用冷媒Wm(l)に戻す)部位である。
なお第2室32の下部は第1室31の下部と連通しており、凝縮した排熱回収用冷媒Wm(l)は再び第1室31に循環する。
第1凝縮器37aに上述の冷却水入口61および冷却水出口63が配設されている。また冷却水入口61と冷却水出口63とは第1凝縮器37aの内部で熱交換通路62を介して接続されている。従って、冷却水入口61から導入されたエンジン用冷媒Wcが熱交換通路62を通って冷却水出口63へ導出されるように構成されている(白抜き矢印で示す)。熱交換通路62には、排熱回収用冷媒Wm(g)とエンジン用冷媒Wcとの熱交換効率を高めるための多数のフィン38が列設されている。
加熱部33と第1凝縮器37aとは第2通路42で連通されている。第2通路42にはこれを開閉する第2通路弁52が設けられている。
加熱促進部35と第1凝縮器37aとは第3通路43で連通されている。また加熱促進部35と第2室32の下部の排熱回収用冷媒Wm(l)の貯溜部とが第2凝縮器37bを介して第4通路44で連通されている。そして第3通路43と第4通路44との分岐点に第3通路弁56が設けられている。
第3通路弁56は三方弁であって、図示の状態で、左側通路が閉じられて第1凝縮器37aと第4通路44とが連通される状態(以下、「左×」と記す)と、右側通路が閉じられて加熱促進部35と第1凝縮器37aとが連通される状態(以下、「右×」と記す)と、下側通路が閉じられて加熱促進部35と第4通路44とが連通される状態(以下、「下×」と記す)との3通りに切り換えられる。
第4通路44は蓄熱材搭載熱交換器30の本体側方外部を通っている。第4通路44には、第2凝縮器37bが設けられている。この第2凝縮器37bは空冷の凝縮器であって、蓄熱材搭載熱交換器30の外部空気と排熱回収用冷媒Wm(g)とを熱交換させることにより、排熱回収用冷媒Wm(g)を凝縮させる。第4通路44は凝縮した排熱回収用冷媒Wm(l)を第2室32の排熱回収用冷媒Wm(l)の貯溜部に戻す。
また、第2室32の上部と蓄熱材搭載熱交換器30の本体外部を連通する負圧吸引通路47が設けられている。負圧吸引通路47は、エンジン1の吸気系の負圧発生部(図略)に連通しており、必要に応じてその負圧によって蓄熱材搭載熱交換器30内の空気Ar(図3参照)が吸い出され、減圧されるようになっている。負圧吸引通路47には、エンジン1の吸気系の負圧発生部との流通を開閉する吸引通路弁55が設けられている。吸引通路弁55の上流側(第2室32に近い側)には空冷の凝縮器48が設けられている。凝縮器48は蓄熱材搭載熱交換器30の外部空気と負圧吸引される空気Arとの間で熱交換を行い、その空気Ar中に含まれる排熱回収用冷媒Wm(g)を凝縮させる。
表1は、第1通路弁51、第2通路弁52、第3通路弁56および吸引通路弁55の動作パターンを示す表である。本実施形態においては、表1に示すように、減圧モード、初期モード、熱供給モード、再生モード、排気冷却モード、休止モードの6つのモードで熱交換器制御部106が蓄熱材搭載熱交換器30を運転制御するように構成されている。
Figure 2009216045
表1において、「○」は開弁、「×」は閉弁を示し、「右×」、「左×」、「下×」は、それぞれ3方弁のうち、表記されているポートが閉じていることを示す。
減圧モードは、蓄熱材搭載熱交換器30内の空気Arを負圧吸引通路47から真空引きし、装置内気圧を減圧するモードである。減圧モードは、蓄熱材搭載熱交換器30の動作開始直後に所定期間実行される。この所定期間は、予め設定された時間でもよいし、別途圧力センサ等を設けて所定の気圧まで減圧された時点まで行うようにしてもよい。
減圧モードでは、表1に示すように吸引通路弁55が開弁される。これにより、蓄熱材搭載熱交換器30内がエンジン吸気系の負圧部と連通され、真空引きされる。その際、表1に示すように第1、第2通路弁51、52が開弁され、第3通路弁56が(左×)とされるので、蓄熱材搭載熱交換器30内の各部から速やかに空気Ar(図3参照)が抜かれる(加熱促進部35内の空気Arは、加熱部33内の空気Arと一緒に第2通路42から第2室32に導かれ、そこから負圧吸引通路47に導かれる)。減圧モードでは、蓄熱材搭載熱交換器30内の気圧が約260mmHg(≒347hPa)程度に減圧される。なお、真空引きされる空気Arは凝縮器48を通るので、空気Ar中に含まれる排熱回収用冷媒Wm(g)が凝縮器48によって凝縮され、蓄熱材搭載熱交換器30内に戻される。従って排熱回収用冷媒Wmが蓄熱材搭載熱交換器30の外部に漏出することが抑制される。吸引通路弁55は、この減圧モードのみで開弁され、他のモードでは閉弁される。
初期モードは、排熱回収用冷媒Wm(g)を必要な部位に早期に充満させるモードであり、通常、減圧モードに引き続いて実行される。初期モードでは、表1に示すように第1、第2通路弁51、52が開弁され、第3通路弁56が(右×)とされ、吸引通路弁55が閉弁される。
加熱部33が排気Geの排熱を受け始めると、排熱回収用冷媒Wm(l)が蒸発して多量の排熱回収用冷媒Wm(g)が発生する。蓄熱材搭載熱交換器30を安定的に作動させるためには、排熱回収用冷媒Wm(g)を装置内に早期に充満させることが望ましい。一方、動作初期においては、第2凝縮器37bは殆ど必要とされないので、第4通路44は無駄容積となっている。そこで、第3通路弁56を(右×)として第4通路44を遮断することにより、排熱回収用冷媒Wm(g)の充満容積を低減し、早期充満が図られる。初期モードの実行時間は比較的短時間であり、必要に応じて実行される(場合によってはこれを省略してもよい)。
熱供給モードは、加熱促進部35によって排熱回収用冷媒Wm(g)の温度を一層上昇させるモードである。図3はこの熱供給モードの状態を示している。熱供給モードは、エンジン用冷媒Wcの加熱要求があるとき(エンジンの暖機要求があるとき)に、前記減圧モードまたは初期モードに引き続いて実行される。熱供給モードでは、表1に示すように第1通路弁51が開弁されるとともに第2通路弁52と吸引通路弁55とが閉弁され、第3通路弁56が(右×)とされる。
また熱供給モードでは流量制御弁12(図1)が開弁される。従って、冷却水入口61から熱交換通路62を経由して冷却水出口63に抜けるエンジン用冷媒Wcの流れが起こっている(白抜き矢印で示す)。なお、熱供給モードより前の減圧モードや初期モードから熱交換通路62にエンジン用冷媒Wcを流しておいてもよい。詳しくは後述するように、熱供給モードにおいて、流量制御弁12は、冷媒温度Twが上昇するにつれて開度が小さくなるように制御される。
図3には、熱供給モードにおける排熱回収用冷媒Wm(g)の流れを矢印で示す。熱供給モードでは、排熱回収用冷媒Wm(g)が加熱部33から加熱促進部35を経由して第1凝縮器37aへ導かれる第1経路40が形成されている。詳しくは、排熱回収用冷媒Wm(l)から気化し、加熱部33を上昇する間に排気Geの排熱を受熱し、ある程度温度上昇した排熱回収用冷媒Wm(g)(約70〜80℃が好適)が第1通路41を経由して加熱促進部35に導かれる。そして加熱促進部35に収容された蓄熱材36の主要成分である酸化マグネシウム(MgO)と(式1)に示した水和反応を起こす。この水和反応は発熱反応であって、その熱が加熱促進部35を通る反応残部の排熱回収用冷媒Wm(g)を加熱し、その温度を150〜230℃に上昇させる。温度上昇した排熱回収用冷媒Wm(g)は第3通路43を通って第1凝縮器37aに導かれ、熱交換通路62を流れるエンジン用冷媒Wcと熱交換して凝縮する。一方、熱交換通路62で高温の排熱回収用冷媒Wm(g)と熱交換し、凝縮熱を含む熱で加熱されたエンジン用冷媒Wcは、温度上昇して冷却水出口63を経て冷却冷媒取出部11に戻される。これにより、エンジン1の温度上昇をさらに促進し、暖機性能を向上させることができる。
再生モードは、蓄熱材36に(式2)の脱水反応を起こさせるモードである。この再生モードでは、表1に示すように第1、第2通路弁51、52および吸引通路弁55が閉弁され、第3通路弁56が(下×)とされる。また再生モードでは、流量制御弁12が閉弁される。従って冷却水入口61から熱交換通路62を経由して冷却水出口63に抜けるエンジン用冷媒Wcの流れは起こらない。
図4に、再生モードにおける排熱回収用冷媒Wm(g)の流れを矢印で示す。加熱促進部35では、第1通路弁51が閉じられて排熱回収用冷媒Wm(g)の供給が停止されるとともに高温の排熱を受けるので、熱供給モードで生成した水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)は(式2)に示した脱水反応を生じる。この脱水反応により、例えば、150℃程度の排熱回収用冷媒Wm(g)が発生する。その排熱回収用冷媒Wm(g)は第4通路44に導かれ、第2凝縮器37bで凝縮されて排熱回収用冷媒Wm(l)の貯溜部に戻される。一方、熱交換通路62での熱交換が抑制されるので、エンジン用冷媒Wcの徒な温度上昇が抑制される。
以上の熱供給モードおよび再生モードにおける蓄熱材36の作用を見ると、蓄熱材36は、あたかも再生モードにおいて高温の排気Geの排熱を蓄熱し、排気温度が低い熱供給モードにおいて蓄熱した熱を放出するかのように振舞う。また再生モードにおける高温の排熱は、従来はそのまま棄てられていた熱であるところ、その熱が本実施形態では貯留され、エンジン用冷媒Wcの加熱要求のある熱供給モードにおいて取出されて有効利用されているともいえる。
排気冷却モードは、排気Geの温度を低下(上昇抑制を含む)させたいという要求のあるときに実行されるモードである。排気冷却モードでは、表1に示すように第1通路弁51と吸引通路弁55とが閉弁されるとともに第2通路弁52が開弁され、第3通路弁56が(下×)とされる。また熱供給モードでは熱供給モードと同様、流量制御弁12が開弁され、熱交換通路62にエンジン用冷媒Wcが通される。但し、詳しくは後述するように、高温発電モードでの流量制御弁12の制御は、排気温度Tctに基づいて制御され、排気温度が高くなるほど、流量制御弁12の開度は大きくなるように設定されている。
図5に、排気冷却モードにおける排熱回収用冷媒Wm(g)の流れを矢印で、エンジン用冷媒Wcの流れを白抜き矢印で、それぞれ示す。排気冷却モードでは、排熱回収用冷媒Wm(g)が加熱部33から加熱促進部35をバイパスして第1凝縮器37aへ導かれる第2経路50が形成されている。詳しくは、排気Geから気化潜熱を奪って排熱回収用冷媒Wm(l)から気化し、加熱部33を上昇した排熱回収用冷媒Wm(g)が第2通路42を経由して(加熱促進部35を通らずに)第1凝縮器37aに導かれる。そして第1凝縮器37aで凝縮されて排熱回収用冷媒Wm(l)の貯溜部に戻される。そして排熱回収用冷媒Wm(l)に気化潜熱を奪われた排気Geの温度が低下する。
なお第1凝縮器37aにおいて排熱回収用冷媒Wm(g)とエンジン用冷媒Wcとの熱交換が行われるから、冷却冷媒取出部11に戻されるエンジン用冷媒Wcの温度は上昇する。しかし通常、排気冷却モードが実行されるときには暖機が完了しており、図略のサーモスタット(従来エンジンに一般的に設けられている)が開いている。従ってエンジン用冷媒Wcは冷却冷媒取出部11に戻された後、図略のラジエータで冷却されるので、エンジン1においてエンジン用冷媒Wcが必要以上に温度上昇する虞はない。
休止モードは、蓄熱材搭載熱交換器30に排気Geが流通されないとき、すなわち図8(B)に示す第3排気経路Cが選択されているときに実行されるモードである。休止モードでは、表1に示すように第1、第2通路弁51、52および吸引通路弁55が閉弁されるとともに第3通路弁56が(下×)とされる。また休止モードでは流量制御弁12が閉弁され、熱交換通路62にエンジン用冷媒Wcが流通しない。休止モードでは、排熱回収用冷媒Wm(l)の加熱も排熱回収用冷媒Wm(g)の凝縮も積極的には行われず、自然蒸発による排熱回収用冷媒Wm(g)が加熱部33内に封じ込められた状態となっている。
本実施形態においては、蓄熱材搭載熱交換器30の制御に伴い、流量制御弁12の開度制御も熱交換器制御部106が司るように設定されている。
減圧、初期モードから熱供給モードにかけて、熱交換器制御部106は、流量制御弁12を開き、熱供給モードにおいては、流量制御弁12の開度をエンジン用冷媒Wcの冷媒温度Twに基づいて制御する。詳しくは後述するフローチャートに示すように、熱供給モードは、冷媒温度Twが比較的低い運転状態のときにエンジン1の暖機促進のために採用されるモードであることから、熱供給モードが採用されている間は、流量制御弁12の開度をまず全開にし、冷媒温度Twが上昇するにつれて流量制御弁12の開度を低減するように設定されている。
他方、排気冷却モードが採用されている場合において、熱交換器制御部106は、流量制御弁12を開き、その開度を排気温度Tctに基づいて制御する。排気冷却モードは、暖機が終了し、排気温度Tctの過度な上昇を抑制するために採用されるモードであることから、排気冷却モードが採用されている間は、排気温度Tctが上昇するにつれて流量制御弁12の開度を増加し、増加したエンジン用冷媒Wcと熱交換され、凝固する排熱回収用冷媒Wm(g)を増加させて、排気Geから熱を奪う排熱回収用冷媒Wm(l)を増加させ、排気Geの冷却を図るようにしているのである。
本実施形態において、熱交換器制御部106は、再生モードおよび休止モードにおいては、流量制御弁12が全閉になるように制御する。
図6は、本実施形態に係るエンジン1を含む排気装置10の制御ブロック図である。この図では、特に本実施形態の排気装置10に関連する部分のみを抜粋して示している。
制御ユニット100は、エンジン1ないし排気装置10を含む車両の電子制御を総合的に行う制御ユニットであり、図略のCPU、ROM、RAM、入出力装置等からなり、全体として、ヒートポンプ暖機モード、排熱回収暖機モード、低温発電モード、高温発電モード、並びに再生モード(冷間再生モード、低温再生モード、および高温再生モード)で排気装置10を運転制御する運転制御手段を構成している。
ヒートポンプ暖機モードは、熱音響装置20をヒートポンプモードで稼動するとともに、蓄熱材搭載熱交換器30を熱供給モードで稼動することにより、各装置20、30によるエンジン1の暖機を促進するモードである。
排熱回収暖機モードは、蓄熱材搭載熱交換器30のみを熱供給モードで稼動することにより、エンジン1の暖機を図る運転モードである。
低温発電モードは、熱音響装置20のみを熱音響エンジンモードで運転して、発電を図る運転モードである。
高温発電モードは、熱音響装置20を熱音響エンジンモードで運転して、発電を図るとともに、熱音響装置20と並行して蓄熱材搭載熱交換器30を排気冷却モードで運転することにより、発電を図りつつ蓄熱材搭載熱交換器30による排気の冷却効果によってNOx吸蔵触媒18が過度に昇温するのを抑制するものである。
再生モードは、蓄熱材搭載熱交換器30の蓄熱材36を(式2)の反応で再生する運転モードである。本実施形態に係る排気装置10は、熱音響装置20が蓄熱材搭載熱交換器30と併用されているので、後述するように排気温度Tctに応じて、熱音響装置20がヒートポンプモードで稼動される冷間再生モードと、熱音響装置20が休止する低温再生モードと、熱音響エンジンモードで稼動される高温再生モードとが設定されるようになっている。
制御ユニット100に接続される入力要素には、水温センサSN1、排気温度センサSN2等が含まれており、それぞれの検出信号によって、エンジン用冷媒Wcの冷媒温度Tw、並びに排気(またはNOx吸蔵触媒18)Geに関する温度Tctを検出することができるようになっている。
また制御ユニット100に接続される出力要素には、流量制御弁12、排気切換バルブ16b〜16e、熱音響装置20、蓄熱材搭載熱交換器30が含まれている。制御ユニット100は、入力要素の検出信号を予め記憶されたプログラムに入力し、出力要素となる各種ディバイスを制御する。また電気負荷70には制御ユニット100からの制御信号に基づき、バッテリ29(又は直接AC/DCコンバータ28)から必要な電力が供給される。制御ユニット100は、各電気負荷70の消費電力を演算することができるように構成されている。
かかる機能を奏するため、運転制御手段としての制御ユニット100は、エンジン1ないし車両の運転状態を判定する運転状態判定部101、運転モード設定部102、燃焼制御部103、排気経路切換制御部104、熱音響装置制御部105、並びに熱交換器制御部106を論理的に構成している。
運転状態判定部101は、エンジン1の要求負荷、消費電力等の運転状態を判定するためのモジュールである。本実施形態において、運転状態判定部101は、蓄熱材搭載熱交換器30の運転時間を積算するようにプログラムされており、その値によって加熱促進部35に設けられた蓄熱材36の再生要否を判定することもできるようになっている。すなわち、(式1)に示される水和反応により、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)が生成されるが、熱供給ばかりでは、次第に酸化マグネシウムが消費され、ついには(式1)の水和反応を起こすことができなくなる。そこで、適宜、(式2)の脱水反応を生じさせて、水酸化マグネシウムを酸化マグネシウムに戻す、つまり再生させるために、運転状態判定部101によって加熱促進部35の状態を判定するようにしているのである。
運転モード設定部102は、運転状態判定部101の判定した運転状態に基づいて、排気通路15の排気経路と、熱音響装置20の運転モードと、蓄熱材搭載熱交換器30の運転モードとを設定するためのモジュールである。
図7は、本実施形態に係る運転モードの切換設定例を示す図である。
エンジン1が冷間時においては、エンジン1の潤滑油の温度が低く、機械抵抗も大きい。そのため、エンジン用冷媒Wcの冷媒温度Twが低い冷間時においては、エンジン1の暖機を促進し、機械抵抗等による燃費ロスを低減する必要がある。また排気温度Tctも低いので、NOx吸蔵触媒18は活性温度に達していない。そのため、エンジン1の冷間運転時は、排気温度Tctの上昇を図る観点からも、エンジン1の暖機を促進する必要がある。ここで、冷間時において、エンジン1の暖機促進を図る方法としては、熱音響装置20をヒートポンプモードで稼動し、エンジン用冷媒Wcから排気Geに熱を移動させる方法と、蓄熱材搭載熱交換器30を熱供給モードで稼動し、加熱促進部36で昇温した排熱回収用冷媒Wm(g)とエンジン用冷媒Wcとの熱交換を促進して、エンジン用冷媒Wcを昇温する方法とをとることが可能である。
熱音響装置20をヒートポンプモードで稼動する場合、低温時では、蓄熱器25の温度勾配を高くし、より多くの熱を取り出すことが可能ではあるが、電力を消費するのでその運転時間は可及的に短い方がよい。また、排気温度Tctがある程度高くなると、蓄熱器25の温度勾配を高く維持するために、より多くの電力を消費することが予想される。
他方、蓄熱材搭載熱交換器30を熱供給モードで稼動する場合、排気温度Tctが低温のときは排熱回収用冷媒Wmの気化量が少なく、熱交換効率は悪いが、排気温度Tctがある程度高くなると、熱交換効率は高くなる。
そこで本実施形態では、冷間運転期間において、熱音響装置20をヒートポンプモードで稼動する場合の熱交換効率と蓄熱材搭載熱交換器30を熱供給モードで稼動する場合の熱交換効率を冷媒温度Tw毎に評価し、後者の効率が前者の効率を上回る切換温度Ts1を実験等で求めて予め記憶しておき、この切換温度Ts1以下では、熱音響装置20をヒートポンプモードで稼動するとともに蓄熱材搭載熱交換器30を熱供給モードで稼動するヒートポンプ暖機モードを採用し、冷間時において、切換温度Ts1を上回るときは、排熱回収暖機モードを採用して、専ら蓄熱材搭載熱交換器30を熱供給モードで稼動するようにしている。
さらに、エンジン用冷媒Wcの冷媒温度Twが所定の上限温度を超えると、エンジン1の暖機は不要となり、その後に上昇する排気温度Tctの熱は、リサイクルされることが好ましい。そこで、本実施形態では、エンジン用冷媒Wcの冷媒温度Twが、所定の上限温度Ts2(図示の例では、約80℃)を越える温間運転時の場合には、低温発電モードを採用し、熱音響装置20を熱音響エンジンモードで稼動する一方、蓄熱材搭載熱交換器30を休止モードに設定して暖機を終了するようにしている。
また、排気温度Tctがエンジン1の暖機後もさらに昇温すると、今度は、NOx吸蔵触媒18の活性温度上限を維持するためにも、排気温度Tctを低減することが必要となる。特に、NOx吸蔵触媒18の活性温度上限は、400℃〜500℃であるのに対し、温間時の排気温度Tctは、900℃以上に上昇する場合もある。
そこで、本実施形態では、排気温度TctがNOx吸蔵触媒18の活性温度上限付近を所定温度T1として設定し、排気温度Tctが所定温度T1を越える場合には、高温発電モードを採用し、熱音響装置20を熱音響エンジンモードで稼動して、引き続き排熱の有効利用を図りつつ、蓄熱材搭載熱交換器30を排気冷却モードで稼動して、NOx吸蔵触媒18が活性温度上限に維持されるようにしているのである。
図6に戻って、燃焼制御部103は、運転状態判定部101の判定に基づいて、スロットル開度の調整による吸気量制御、燃料噴射量や吸排気弁の開閉タイミング、並びに燃料噴射タイミング等を制御し、エンジン1の燃焼状態を制御するためのモジュールである。本実施形態では、特に低中負荷領域では理論空燃比よりも空気過剰な燃焼(リーンバーン)を行わせ、高負荷領域では理論空燃比ないしはそれよりリッチな燃焼を行わせるように燃焼制御部103が設定されている。また、いわゆる燃料消費量のさらなる低減を図るために、車両が停止したときには、アイドリング状態にあるエンジン1を自動的に停止し、エンジン1が自動停止した後に車両の発進要求があった場合には、エンジン1を自動的に再始動するアイドルストップ制御も実行するように設定されている。
排気経路切換制御部104は、運転モード設定部102の設定した運転モードに基づいて、排気通路15の経路を以下に説明する第1排気経路A〜第3排気経路Cの何れかの排気経路を選択し、予め記憶されている動作パターンに基づいて各排気切換バルブ16の開閉制御を行うためのモジュールである。
図8は、本実施形態に係る排気装置10の排気経路の切換状態を示す構成図であって、(A)は第1排気経路Aが選択されている状態、(B)は第2排気経路Bが選択されている状態、(C)は第3排気経路Cが選択されている状態をそれぞれ示す。
図8(A)〜(C)を参照して、第1実施形態に係る排気装置10は、排気経路切換制御部104の制御に基づく各排気切換バルブ16b〜16eの切換によって、表2に示すように、3通りの排気経路(第2排気経路B、第3排気経路C、第1排気経路A)のうちの何れかを選択できるように構成されている。
Figure 2009216045
表2には、第1排気経路A、第2排気経路B、第3排気経路Cのそれぞれについて、予め設定された各排気切換バルブ16の動作パターンが示されている。「○」は開弁、「×」は閉弁を示す。
第1排気経路Aは、主としてヒートポンプ暖機モードおよび高温発電モードのときに採用されることにより、三元触媒17を経由したエンジン1からの排気Geを熱音響装置20と蓄熱材搭載熱交換器30の双方に流通させる排気経路である。この第1排気経路Aが選択されているとき、各排気切換バルブ16b、16c、16d、16eは表2に示すように順に開、閉、開、閉となっている。従って図8(A)に示すように第1排気経路Aでは、エンジン1の排気Geの流れは、三元触媒17から熱音響装置20、蓄熱材搭載熱交換器30をこの順で経由し、NOx吸蔵触媒18を流通する。
第2排気経路Bは、主として排熱回収暖機モードのときに採用されることにより、三元触媒17を経由したエンジン1からの排気Geを蓄熱材搭載熱交換器30のみを経由させて、NOx吸蔵触媒18に流通させる排気経路である。この第2排気経路Bが選択されているとき、各排気切換バルブ16b、16c、16d、16eは順に閉、開、開、閉となっている。従って図8(B)に示すように第2排気経路Bでは、エンジン1の排気Geの流れ(太線で示す)は、三元触媒17から熱音響装置20をバイパスして蓄熱材搭載熱交換器30に導かれ、その後、NOx吸蔵触媒18を流通する。
第3排気経路Cは、主として低温発電モードのときに採用されることにより、三元触媒17を経由したエンジン1からの排気Geを熱音響装置20のみを経由させて、NOx吸蔵触媒18に流通させる排気経路である。この第3排気経路Cが選択されているとき、各排気切換バルブ16b、16c、16d、16eは表2に示すように順に開、閉、閉、開となっている。従って図8(C)に示すように第3排気経路Cでは、エンジン1の排気Geの流れは、三元触媒17から熱音響装置20を経由し、蓄熱材搭載熱交換器30をバイパスしてNOx吸蔵触媒18を流通する。
図6に戻って、熱音響装置制御部105は、運転モード設定部102の設定に基づき、熱音響装置20を制御するためのモジュールである。熱音響装置制御部105により、熱音響装置20は、上述したように、表3に示す態様で稼動される。
Figure 2009216045
なお、本実施形態においては、表3に示すように、熱音響装置20を休止させる休止モードも設定されている。本実施形態の休止モードでは、第1、第2スイッチSW1、SW2が何れもOFFに切り換えられるとともに、過電流の防止を図るフェールセーフ機能の観点から、切換弁200がヒートポンプ側に切り換わるように設定されている。
熱交換器制御部106は、運転モード設定部102の設定に基づき、第1通路弁51、第2通路弁52、第3通路弁56および吸引通路弁55の動作パターンを変更して蓄熱材搭載熱交換器30を制御するためのモジュールである。
次に、本実施形態に係る制御ユニット100による排気装置10の制御例について説明する。
図9〜図11は、本実施形態に係る排気装置10の制御例を示すフローチャートである。
まず、図9を参照して、同図に示す制御例において、制御ユニット100の運転状態判定部101は、各入力要素からの検出信号に基づいて、エンジン1、熱音響装置20、並びに蓄熱材搭載熱交換器30を含む車両全体の運転状態を検出する(ステップS1)。
ついで、運転状態判定部101は、蓄熱材搭載熱交換器30に設けられた蓄熱材36の再生の要否を判定する(ステップS2)。
仮に蓄熱材36の再生が不要である場合、運転状態判定部101は、排気温度Tctが所定温度T1以下であるか否かを判定する(ステップS3)。
仮に排気温度Tctが所定温度T1以下である場合、運転状態判定部101は、冷媒温度Twが図7のグラフに示した切換温度Ts1以下であるか否かを判定する(ステップS4)。仮に切換温度Ts1以下である場合、運転モード設定部102は、排気装置10の運転モードをヒートポンプ暖機モードに設定する。
このヒートポンプ暖機モードでは、排気経路切換制御部104が、排気通路15の排気経路を図8(A)に示す第1排気経路Aに切り換え(ステップS5)、熱音響装置制御部105が熱音響装置20を表3のヒートポンプモードで稼動する(ステップS6)とともに、熱交換器制御部106が蓄熱材搭載熱交換器30を表1に示した減圧モード、初期モード、熱供給モードの順を経て稼動する(ステップS7)。
この結果、熱音響装置20においては、発電発振装置24とバッテリ29とが接続されることにより、発電発振装置24のコイルに交流電流が供給され、気柱管21の共鳴部23(閉鎖端部23b)内で振動部材(膜)が振動するので、気柱管21内の作動流体が加振されて音波が発生する。かかる音波は、低温熱交換器27、蓄熱器25および高温熱交換器26を順番に通過し、流路切換弁200の弁体で反射して蓄熱器25を再度通過する。これにより、気柱管21内には定在波が形成される。そして、このような定在波(音波)により蓄熱器25を介して低温熱交換器27から高温熱交換器26へと熱が移動させられ、蓄熱器25の両端部間には、低温熱交換器27側が低温となり、高温熱交換器26側が高温となるように温度勾配が形成される。この際、低温熱交換器27には、エンジン用冷媒Wcが供給され、蓄熱器25の一端部は概ね80〜90℃に維持されることから、高温熱交換器26(その伝熱管)は、上記温度勾配に応じて高温になる。このように、ヒートポンプモードのもとでは、気柱管21、蓄熱器25、高温熱交換器26および低温熱交換器27がヒートポンプとして機能するので、高温熱交換器26を加熱源としてエンジン用冷媒Wcを昇温し、エンジン1の暖機を促進することになる。
他方、蓄熱材搭載熱交換器30は、減圧モード、初期モード、熱供給モードの順を経て稼動される。次いで、熱交換器制御部106は、流量制御弁12を全開にし、エンジン用冷媒Wcの冷媒温度Twが上昇するにつれて流量制御弁12の開度を低減するように制御する。この制御により、暖機開始直後では、熱音響装置20のヒートポンプ作用と蓄熱材搭載熱交換器30の排熱回収用冷媒Wmとの熱交換によって相乗的にエンジン用冷媒Wcの昇温が促進される。また、暖機が進行するにつれて、熱交換されるエンジン用冷媒Wcの流量が低減されるので、過度な昇温を回避しつつ暖機を終了することができる。ステップS5〜S7が実行された後、制御は、ステップS1に戻る。
ステップS4の判定において、冷媒温度Twが切換温度Ts1を越えていた場合、運転状態判定部101は、エンジン1の運転状態が温間か冷間かを、冷媒温度Twに基づいて判定する(ステップS8)。すなわち、冷媒温度Twが図7に示した上限温度Ts2以下である場合、運転状態判定部101は、エンジン1が冷間運転状態にあると判定し、上限温度Ts2を越える場合には、温間運転状態であると判定する。
ステップS8において、エンジン1が冷間運転状態にあると運転状態判定部101が判定した場合、運転モード設定部102は、排気装置10の運転モードを排熱回収暖機モードに設定する。
この排熱回収暖機モードでは、排気通路15が図8(B)に示した第2排気経路Bに切り換えられ(ステップS9)、熱音響装置20は、運転が停止されて(ステップS10)、専ら、蓄熱材搭載熱交換器30のみが熱供給モードで(但し、必要な場合は、減圧モード、初期モードの順を経て)稼動される(ステップS11)。この熱供給モードでは、熱交換器制御部106は、流量制御弁12を全開にし、エンジン用冷媒Wcの冷媒温度Twが上昇するにつれて流量制御弁12の開度を低減するように制御する。この制御により、暖機後、エンジン用冷媒Wcの冷媒温度Twが上昇し、熱音響装置20の効率が低下する運転状況では、熱音響装置20を休止して、節電を図ることができるとともに、蓄熱材搭載熱交換器30の排熱回収用冷媒Wmとの熱交換によってエンジン用冷媒Wcの昇温が促進され、暖機が進行するにつれて、熱交換されるエンジン用冷媒Wcの流量が低減されるので、過度な昇温を回避しつつ暖機を終了することができる。ステップS9〜S11が実行された後、制御は、ステップS1に移行する。
ステップS8において、エンジン1が温間運転状態にあると運転状態判定部101が判定した場合、運転モード設定部102は、排気装置10の運転モードを低温発電モードに設定する。
この低温発電モードでは、排気経路切換制御部104が、排気通路15の排気経路を図8(A)に示す第3排気経路Cに切り換え(ステップS12)、熱音響装置制御部105が熱音響装置20を表3の熱音響エンジンモードで稼動する(ステップS14)とともに、熱交換器制御部106が蓄熱材搭載熱交換器30を表1に示した休止モードに設定し、蓄熱材搭載熱交換器30を休止する(ステップS15)。
この結果、流路切換弁200がエンジン側に切り換えられて、高温熱交換器26を介した蓄熱器25と共鳴部23との連通が許容される一方、低温熱交換器27を介した蓄熱器25と共鳴部との連通が遮断されるとともに、第1スイッチSW1がOFFにされ、第2スイッチSW2がONにされるので、図略の発電量制御器等を介して発電発振装置24と電気負荷70とが接続される。この運転状態では、各燃焼室3からの排気温度Tctは、最高でおよそ900℃程度にも達することから、蓄熱器25の一端部は、高温熱交換器26を流通する排気Geによって加熱されて昇温する。これに対して、低温熱交換器27には、エンジン用冷媒Wc(およそ80〜90℃)が供給されるので、蓄熱器25の他端部は、低温熱交換器27を流通するエンジン用冷媒Wcによって冷却される。この結果、熱音響エンジンモードのもとでは、蓄熱器25の両端部間に大きな温度勾配が形成され、これに起因して、作動流体の熱音響自励振動(音波)が発生する。
そして、作動流体の自励振動(音波)の周波数と共鳴部23における周波数とが一致することにより、共鳴部23内には定在波が形成され、かかる定在波により、閉鎖端部23bに配置された発電発振装置24の振動部材が加振される。これにより、発電発振装置24において、振動部材に取り付けられた磁石がコイルの内部で振動し、コイルの両端に誘導電圧が発生するので、共鳴部23内の定在波のエネルギー(音響エネルギー)が電気エネルギーに変換されることになる。このようにして得られた電気エネルギーは、第2スイッチSW2および図略の発電量制御器を介して電気負荷70に供給される。
ステップS12〜S15に示した低温発電モードでは、冷媒温度Twが充分昇温しているため、暖機のために昇温させる必要はないが、排気温度Tctは、まだ低く、積極的に排気Geを冷却する必要もない運転領域である。このような運転領域では、専ら熱音響装置20を熱音響エンジンモードで稼動することにより、排熱利用によって燃費の向上を図ることとしているのである。
さらに、ステップS3において、排気温度Tctが所定温度T1を越える場合には、図10に示すように、排気装置10の運転モードを高温発電モードに設定する。
図10を参照して、この高温発電モードでは、排気通路15が図8(A)に示した第1排気経路Aに切り換えられ(ステップS16)、熱音響装置20が熱音響エンジンモードで稼動される一方(ステップS17)、蓄熱材搭載熱交換器30は、図5に示した排気冷却モードに切り換えられて稼動する(ステップS18)。この結果、加熱促進部35による加熱ないし熱交換が抑制された状態で、排気Geが蓄熱材搭載熱交換器30の熱交換サイクルによって冷却される。この冷却効果をより確実にし、排気温度Tctの過度な上昇を抑制するために、本実施形態では、排気冷却モードに蓄熱材搭載熱交換器30が運転制御されている状態において、熱交換器制御部106は、流量制御弁12を全閉の状態から、排気温度Tctの上昇につれて開度が増加するように制御する。これにより、排気温度Tctの上昇につれて排気Geから熱を奪う排熱回収用冷媒Wm(l)が増加し、排気Geの冷却が促進される。このように本実施形態では、蓄熱材搭載熱交換器30を利用することによって、冷間時の暖機を促進することができるばかりでなく、温間時に熱音響装置20で発電している際に排気Geの過度な昇温を抑制して、可及的にNOx吸蔵触媒18の活性温度範囲に排気Geを冷却する排気冷却効果を積極的に奏することが可能になる。
次に、図11を参照して、蓄熱材搭載熱交換器30の蓄熱材36の再生が必要と判定した場合(図9のステップS2において、NOの場合)、排気経路切換制御部104は、排気通路15の排気経路を図8(A)に示す第1排気経路Aに切り換える(ステップS20)。次いで、運転状態判定部101は、排気温度Tctが所定温度T1以下であるか否かを判定する(ステップS21)。
仮に排気温度Tctが所定温度T1以下である場合、運転状態判定部101は、冷媒温度Twが所定の設定温度Ts3以下であるか否かを判定する(ステップS22)。この設定温度Ts3は、排気温度Tctが、NOx吸蔵触媒18の活性温度上限以下である運転状況において、熱音響装置20の稼動の要否を判別するために予め実験等で得られたデータに基づき、設定されているものである。
仮に冷媒温度Twが所定の設定温度Ts3以下である場合、運転モード設定部102は、排気装置10の運転モードを冷間再生モードに設定する。
この冷間再生モードでは、熱音響装置制御部105が熱音響装置20を表3のヒートポンプモードで稼動し(ステップS23)、この状態で熱交換器制御部106が蓄熱材搭載熱交換器30を表1に示した再生モードで稼動する(ステップS24)。この制御により、蓄熱材36の再生時に、熱音響装置20によって排気Geが昇温され、その後、昇温した排気Geが蓄熱材搭載熱交換器30に導入されて蓄熱材36を加熱するので、冷間時に再生が必要な運転状況において、熱音響装置20が再生促進機能を奏することができる。この結果、蓄熱材搭載熱交換器30の再生処理を短時間で終了することができる。
他方、ステップS22において、冷媒温度Twが所定の設定温度Ts3を越えている場合、運転モード設定部102は、排気装置10の運転モードを低温再生モードに設定する。
この低温再生モードでは、熱音響装置20を休止モードに設定して休止させ(ステップS25)、その後、ステップS24に移行して、蓄熱材搭載熱交換器30を再生モードで稼動する。このため、低温再生モードでは、熱音響装置20の稼働率を低減し、節電を図ることが可能になる。
さらに、ステップS21の判定において、排気温度Tctが所定温度T1を越える場合には、熱音響装置制御部105が熱音響装置20を表3の熱音響エンジンモードで稼動し(ステップS26)、その後、熱交換器制御部106が蓄熱材搭載熱交換器30の運転モードを再生モードで稼動する(ステップS24)。
これにより、排気温度Tctが高い運転状態では、余剰的な排熱を発電にも供しつつ、蓄熱材36の再生を実行することができる。
上述の制御をまとめると、表4の通りになる。
Figure 2009216045
以上説明したように本実施形態では、エンジン1の冷間時において、熱音響装置20は、ヒートポンプモードで稼動されることにより、従来と同様に電源から供給された電気エネルギーを熱音響現象で熱エネルギーに変換してエンジン1の暖機を促進する。このヒートポンプモードで稼動される熱音響装置20と並行して、エンジン1の冷間時に蓄熱材搭載熱交換器30が稼動されるので、冷間時のエンジン暖機促進効果が高まり、暖機期間を従来の装置に比べて大幅に短縮することができる。その結果、熱音響装置20をヒートポンプモードで稼動するときの消費電力を節約することが可能になる。また、温間時においては、熱音響装置20を熱音響エンジンモードで稼動するので、排熱を電気エネルギーとして回収することが可能になるとともに、電気エネルギーを取り出すための熱源として排熱を排気Geから奪うことにより、排気Geの過度な温度上昇を抑制することが可能になる。
また本実施形態では、蓄熱材搭載熱交換器30は、液状の排熱回収用冷媒Wm(l)を排熱で加熱して気化させる加熱部33と、加熱部33で気化された排熱回収用冷媒Wm(g)をエンジン用冷媒Wcとの熱交換によって凝縮させて加熱部33に循環させる凝縮部37と、加熱部33と凝縮部37との間の冷媒通路上に設けられ、気化した排熱回収用冷媒Wm(g)の一部と発熱反応可能に蓄熱材36が配設された加熱促進部35とを含んでいる。このため本実施形態では、蓄熱材搭載熱交換器30が稼動される際には、加熱部33での排熱回収用冷媒Wm(l)の蒸発(気化)→凝縮部37での排熱回収用冷媒Wm(g)とエンジン用冷媒Wcとの熱交換→排熱回収用冷媒Wm(g)の凝縮(液化)という冷媒サイクルが行われるが、気化した排熱回収用冷媒Wm(g)の一部が、加熱部33と凝縮部37との間の冷媒通路上に設けられた加熱促進部35の蓄熱材36に接触することによって、(式1)に示した発熱反応を生じ、その反応熱によって、凝縮部37で凝縮する残余の排熱回収用冷媒Wm(g)が昇温する。そのため、昇温した排熱回収用冷媒Wm(g)が凝縮部37でエンジン用冷媒Wcと熱交換されるので、エンジン用冷媒Wcの昇温をさらに促進し、エンジン1の暖機に寄与することになる。従って、加熱促進部35による排熱回収用冷媒Wm(g)の昇温によってエンジン1の暖機を促進することが可能になる。
また本実施形態では、蓄熱材搭載熱交換器30は、加熱部33で気化した排熱回収用冷媒Wm(g)が加熱促進部35を経由して凝縮部37で凝縮される熱供給モードと、加熱促進部35をバイパスして凝縮部37で凝縮される排気冷却モードとによって稼動可能に構成されており、記制御ユニット100は、エンジン1の冷間時には蓄熱材搭載熱交換器30を熱供給モードで稼動制御するとともに、エンジン1の温間時であって、NOx吸蔵触媒18に関連する温度状態が、当該NOx吸蔵触媒18の活性温度上限付近に設定された所定温度T1を越える場合には、蓄熱材搭載熱交換器30を排気冷却モードで稼動制御するものである。このため本実施形態では、熱供給モードが採用されている場合には、エンジン用冷媒Wcの昇温をさらに促進し、エンジン1の暖機に寄与することになる。他方、NOx吸蔵触媒18に関連する温度状態が、当該NOx吸蔵触媒18の活性温度上限付近に設定された所定温度T1を越える場合には、排気温度Tctが高く、もはや暖機の必要がなくなった運転状態にあるが、この運転状態では、加熱促進部35をバイパスした排熱回収用冷媒Wm(g)が凝縮されることにより、排熱回収用冷媒Wm(g)は、エンジン用冷媒Wcによっていわば冷却されて液化し、加熱部33に循環することになる。このため、加熱部33に液化している排熱回収用冷媒(l)の温度が下がり、排熱回収用冷媒Wm(g)とエンジン用冷媒Wcとの熱交換が抑制されることになるので、排気Geが過度に昇温するのを防止することができる。従って、本実施形態によれば、排気Geから気化潜熱を奪って排気温度Tctを低下させることができ、NOx吸蔵触媒18が過度に加温されることを抑制することも可能になる。
また本実施形態では、制御ユニット100は、排気冷却モードで蓄熱材搭載熱交換器30を稼動制御している場合、NOx吸蔵触媒18の温度状態が高いほど蓄熱材搭載熱交換器30を通るエンジン用冷媒Wcの流量を増加するように、流量制御弁12によって蓄熱材搭載熱交換器30を通るエンジン用冷媒Wcの流量を調節するものである。このため本実施形態では、NOx吸蔵触媒18の温度状態が活性温度上限付近を越えている場合に、エンジン用冷媒Wcの流量が増加するので、凝縮部37における排熱回収用冷媒Wm(g)の凝縮が一層促進され、それに伴って加熱部33における蒸発量も増加する。その結果、加熱促進部35の蓄熱材36と発熱反応しなくなる排熱回収用冷媒Wm(g)が相対的に増加するので、加熱促進部35による発熱反応が抑制され、凝縮部37における排熱回収用冷媒Wm(g)の凝縮が一層促進される。加えて、加熱部33における蒸発量の増加に伴い、排気Geから奪われる気化潜熱が増加し、排気温度Tctの低下代も増大する。このように制御ユニット100は、NOx吸蔵触媒18の温度状態が高いほど排気温度Tctの低下代を増大させることにより、排気温度Tctが可及的にNOx吸蔵触媒18の活性温度域にあるように制御することができる。
また本実施形態では、蓄熱材搭載熱交換器30は、排熱で加熱して蓄熱材36を再生する再生モードで稼動制御可能に構成されており、制御ユニット100は、蓄熱材搭載熱交換器30を再生モードで稼動する場合において、エンジン1の冷間時には、熱音響装置20をヒートポンプモードで稼動制御する一方、エンジン1の温間時には、熱音響装置20を熱音響エンジンモードで稼動制御するものである。このため本実施形態では、蓄熱材36の再生が必要な運転状況でも、可及的にエネルギーの有効利用を図ることができる。この再生が実行される運転状態は、通常、エンジン1の温間時であり、排気温度Tctが充分に上昇しているときである。従って、エンジン1の温間時では、蓄熱材36の再生ととともに熱音響装置20を熱音響エンジンモードで稼動させ、余剰的な排熱を電気エネルギーに変換することによって、排熱の有効利用を図り、燃費を低減することが可能になる。また、排熱が熱音響装置20によっても回収されるので、排気温度TctがNOx吸蔵触媒18の活性温度上限を上回りがちな運転状況において、排気温度Tctを有効に低減し、NOx吸蔵触媒18を活性温度の範囲内で稼動させることが可能になる。他方、例えば排気温度Tctがあまり上がらないような運転状態が長期間継続したような場合には、冷間時においても、蓄熱材36が再生を要する状態になっていることがあり得る。その場合には、熱音響装置20をヒートポンプモードで稼動することにより、排気Geの昇温を促進して再生を短時間で終了することが可能になる。この結果、再生の困難な冷間時においても、可及的頻繁に再生を行わせることができるのである。
また本実施形態では、制御ユニット100は、エンジン1の冷間時に蓄熱材搭載熱交換器30を再生モードで稼動する場合において、エンジン用冷媒Wcの冷媒温度Twが所定の設定温度を超える場合には、熱音響装置20を休止モードに制御するものである。このため本実施形態では、冷間時にある程度、冷媒温度Twが上昇しているときは、エンジン1の冷間時であっても熱音響装置20が停止するので、より節電を図ることができる。
また本実施形態では、制御ユニット100は、エンジン1の冷間時において、エンジン1の暖機に関連する温度状態が所定の切換温度Ts1以下の場合には、熱音響装置20とともに蓄熱材搭載熱交換器30を稼動制御するとともに、切換温度Ts1を超える場合には、熱音響装置20を休止して排気Geが昇温するように蓄熱材搭載熱交換器30を稼動制御するものである。このため本実施形態では、エンジン1の冷間時において、熱音響装置20は、冷媒温度Twが所定の切換温度Ts1未満のときには、ヒートポンプモードで稼動し、蓄熱材搭載熱交換器30とともにエンジン1の暖機を促進する。ある程度、エンジン1の暖機が促進されると、熱音響装置20が休止し、蓄熱材搭載熱交換器30のみによってエンジン1が暖機されるので、消費電力をこの点からも節約することができる。通常、冷間時に排気温度Tctが上昇すると、排気Geとエンジン用冷媒Wcとの温度勾配が小さくなり、熱音響現象による昇温効果が小さくなる一方、排気Geの昇温に伴って、蓄熱材搭載熱交換器30による熱交換効率が高くなる。従って、効率が低下しやすい運転領域においては、蓄熱材搭載熱交換器30単体による熱交換効率の向上を図るとともに、熱音響装置20を休止して消費電力のさらなる節約を図ることが可能になるのである。本実施形態において、「エンジン1の暖機に関連する温度状態」は、例えば、エンジン用冷媒Wcの冷媒温度Twや排気Geの温度が好適であるが、エンジン1ルームの温度等、これら冷媒温度Twや排気温度Tctの代用特性であってもよい。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、前記実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、蓄熱材36の主成分として酸化マグネシウムMgOを挙げたが、この他に同様の蓄熱作用を有する材質、例えばゼオライト等を用いてもよい。また冷媒は必ずしも水でなくてもよい。
また、前記各実施形態では被加熱液体がエンジン用冷媒Wcであるとしたが、これをエンジンオイルや自動変速機用オイル(ATF)としてもよい。
冷媒ガスの経路やバルブの種類や配置等は適宜設定してよく、前記各実施形態以外のものであってもよい。
また、(式2)の脱水反応によって生じる反応エンタルピーを利用して、排気Geを冷却するように制御してもよい。
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
本実施形態に係るエンジンの排気装置の概略構成図である。 本実施形態に係る蓄熱材搭載熱交換器およびその近傍を模式的に示す斜視図である。 本実施形態に係る蓄熱材搭載熱交換器の熱供給モードの状態を示す模式図である。 本実施形態に係る蓄熱材搭載熱交換器の再生モードの状態を示す模式図である。 本実施形態に係る蓄熱材搭載熱交換器の排気冷却モードの状態を示す模式図である。 本実施形態に係るエンジンを含む排気装置の制御ブロック図である。 本実施形態に係る運転モードの切換設定例を示す図である。 本実施形態に係る排気装置の排気経路の切換状態を示す構成図であって、(A)は第1排気経路が選択されている状態、(B)は第2排気経路が選択されている状態、(C)は第3排気経路が選択されている状態をそれぞれ示す。 本実施形態に係る排気装置の制御例を示すフローチャート(主として暖機モードおよび低温発電モード)である。 本実施形態に係る排気装置の制御例を示すフローチャート(主として高温発電モード)である。 本実施形態に係る排気装置の再生時の制御例を示すフローチャート(主として再生モード)である。
符号の説明
1 エンジン
10 排気装置
11 冷却冷媒取出部
12 流量制御弁
15 排気通路
18 吸蔵触媒
20 熱音響装置
30 蓄熱材搭載熱交換器
33 加熱部
35 加熱促進部
36 蓄熱材
37 凝縮部
100 制御ユニット(運転制御手段の一例)
101 運転状態判定部
102 運転モード設定部
103 燃焼制御部
104 排気経路切換制御部
105 熱音響装置制御部
106 熱交換器制御部
A 第1排気経路
B 第2排気経路
C 第3排気経路
Ge 排気
SN1 水温センサ
SN2 排気温度センサ
T1 所定温度
Tct 排気温度
Ts1 切換温度
Ts2 上限温度
Tw 冷媒温度
Wc エンジン用冷媒
Wm 排熱回収用冷媒

Claims (7)

  1. エンジンの冷間時には電源から供給された電気エネルギーを熱音響現象で熱エネルギーに変換してエンジン用冷媒を加温するヒートポンプモードで運転されるとともに、前記エンジンの温間時には排気と前記エンジン用冷媒との温度勾配によって奏する熱音響現象で発電する熱音響エンジンモードで運転される熱音響装置を備え、排気通路の当該熱音響装置の下流側にNOx吸蔵触媒が配設されたエンジンの排気装置であって、
    前記排気通路の前記NOx吸蔵触媒よりも上流側に設けられ、排熱によって気化した排熱回収用冷媒を前記エンジン用冷媒で冷却して凝固させることにより、排熱をエネルギーとして回収する排熱回収装置と、
    前記エンジンの運転状態に基づいて、少なくとも前記熱音響装置と前記排熱回収装置の運転を制御する運転制御手段と
    を備え、
    前記運転制御手段は、前記エンジンの冷間時においては、前記ヒートポンプモードで稼動される前記熱音響装置と並行して前記排熱回収装置を稼動制御するとともに、前記エンジンの温間時においては、前記熱音響装置を前記熱音響エンジンモードで稼動制御するものである
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  2. 請求項1記載のエンジンの排気装置において、
    前記排熱回収装置は、
    液状の前記排熱回収用冷媒を排熱で加熱して気化させる加熱部と、
    前記加熱部で気化された前記排熱回収用冷媒を前記エンジン用冷媒との熱交換によって凝縮させて前記加熱部に循環させる凝縮部と、
    前記加熱部と前記凝縮部との間の冷媒通路上に設けられ、気化した前記排熱回収用冷媒の一部と発熱反応可能に蓄熱材が配設された加熱促進部と
    を含んでいる
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  3. 請求項2記載のエンジンの排気装置において、
    前記排熱回収装置は、前記加熱部で気化した前記排熱回収用冷媒が前記加熱促進部を経由して前記凝縮部で凝縮される熱供給モードと、前記加熱促進部をバイパスして前記凝縮部で凝縮される排気冷却モードとによって稼動可能に構成されており、
    前記運転制御手段は、前記エンジンの冷間時には前記排熱回収装置を熱供給モードで稼動制御するとともに、前記エンジンの温間時であって、前記NOx吸蔵触媒に関連する温度状態が、当該NOx吸蔵触媒の活性温度上限付近に設定された所定温度を越える場合には、前記排熱回収装置を前記排気冷却モードで稼動制御するものである
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  4. 請求項3記載のエンジンの排気装置において、
    前記運転制御手段は、前記排気冷却モードで前記排熱回収装置を稼動制御している場合、前記NOx吸蔵触媒の温度状態が高いほど前記排熱回収装置を通る前記エンジン用冷媒の流量を増加するように、前記排熱回収装置を通る前記エンジン用冷媒の流量を調節するものである
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  5. 請求項4記載のエンジンの排気装置において、
    前記排熱回収装置は、排熱で加熱して前記蓄熱材を再生する再生モードで稼動制御可能に構成されており、
    前記運転制御手段は、前記排熱回収装置を前記再生モードで稼動する場合において、前記エンジンの冷間時には、前記熱音響装置を前記ヒートポンプモードで稼動制御する一方、前記エンジンの温間時には、前記熱音響装置を前記熱音響エンジンモードで稼動制御するものである
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  6. 請求項5記載のエンジンの排気装置において、
    前記運転制御手段は、前記エンジンの冷間時に前記排熱回収装置を前記再生モードで稼動する場合において、前記エンジン用冷媒の冷媒温度が所定の設定温度を超える場合には、前記熱音響装置を休止制御するものである
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載のエンジンの排気装置において、
    前記運転制御手段は、前記エンジンの冷間時において、前記エンジンの暖機に関連する温度状態が所定の切換温度以下の場合には、前記熱音響装置とともに前記排熱回収装置を稼動制御するとともに、前記切換温度を超える場合には、前記熱音響装置を休止して排気が昇温するように前記排熱回収装置を稼動制御するものである
    ことを特徴とするエンジンの排気装置。
JP2008062755A 2008-03-12 2008-03-12 エンジンの排気装置 Pending JP2009216045A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008062755A JP2009216045A (ja) 2008-03-12 2008-03-12 エンジンの排気装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008062755A JP2009216045A (ja) 2008-03-12 2008-03-12 エンジンの排気装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009216045A true JP2009216045A (ja) 2009-09-24

Family

ID=41188144

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008062755A Pending JP2009216045A (ja) 2008-03-12 2008-03-12 エンジンの排気装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009216045A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017180746A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 大阪瓦斯株式会社 ボイルオフガスの再液化設備
JP2020183849A (ja) * 2019-05-09 2020-11-12 株式会社ジェイテクト 熱音響装置
JP2021124040A (ja) * 2020-02-04 2021-08-30 マツダ株式会社 エンジンの排熱回収システム

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017180746A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 大阪瓦斯株式会社 ボイルオフガスの再液化設備
JP2020183849A (ja) * 2019-05-09 2020-11-12 株式会社ジェイテクト 熱音響装置
JP7292631B2 (ja) 2019-05-09 2023-06-19 株式会社ジェイテクト 熱音響装置
JP2021124040A (ja) * 2020-02-04 2021-08-30 マツダ株式会社 エンジンの排熱回収システム
JP7334634B2 (ja) 2020-02-04 2023-08-29 マツダ株式会社 エンジンの排熱回収システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009216044A (ja) エンジンの排気装置
JP2008038916A (ja) ランキンサイクル
JP2009216045A (ja) エンジンの排気装置
JP2006002738A (ja) 排熱回収装置
JP4273985B2 (ja) 多気筒内燃機関の制御装置
JP6881041B2 (ja) 吸気冷却システム
JP2005233485A (ja) 内燃機関の冷却装置
JP2010084546A (ja) 排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法
JP2005273573A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2014145299A (ja) 排気還流装置
JP5018596B2 (ja) エンジンの排気装置
JP4449511B2 (ja) 内燃機関
JP4311169B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2008223509A (ja) 廃熱回収システム及びエンジン
JP2005351224A (ja) 熱音響エンジン
JP2005127137A (ja) エンジンのegrシステム
JP4214996B2 (ja) 排熱回収装置
JP2005180397A (ja) 熱音響エンジン
JP2009264223A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP2005351223A (ja) 熱音響エンジン
JP2001193563A (ja) 排熱回収システムにおけるエンジンの給気冷却方法
JP2006144746A (ja) 熱音響エンジンおよびその制御方法
JP2008255863A (ja) ランキンサイクルシステム
JP2005180731A (ja) 熱音響エンジン
JP2004124854A (ja) 排気装置