JP2009215476A - 光拡散板用スチレン系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
従来に比べ、耐熱性及び強度に優れ、また押出安定性にも優れるため、光拡散板用途に好適なスチレン系樹脂組成物及びその効率的な製造方法を提供すること。
【解決手段】
特定の特定範囲の流動性(メルトフローレート)を有し、かつ特定範囲のメタノール可溶分及び重量平均分子量(Mw)を有したスチレン系樹脂組成物を用いることにより耐熱性、強度に優れた光拡散板を製造することが可能となる。また、特定の重合方法及び脱揮方法により、本発明のスチレン系樹脂組成物を効率的に生産することが可能となる。
【選択図】図2
Description
1.200℃、49N荷重の条件にて測定したメルトフローレート(MFR)が0.5〜2.0g/10分で、メタノール可溶分が0.2〜1.2質量%で、重量平均分子量(Mw)が30万〜45万であることを特徴とする光拡散板用スチレン系樹脂組成物。
2.50N荷重にて測定したビカット軟化温度が102.0〜104.0℃で、スチレン系樹脂組成物中の残存スチレンモノマー及び重合溶媒の総量が700μg/g以下で、スチレンダイマーとトリマーの合計量が5000μg/g以下であることを特徴とする1項に記載の光拡散板用スチレン系樹脂組成物。
3.スチレン系樹脂組成物のZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)が2.0〜2.4であることを特徴とする1項又は2項に記載の光拡散板用スチレン系樹脂組成物。
4.外部潤滑剤として、エチレンビスステアリルアミドを30〜200μg/g含有することを特徴とする1〜3項のいずれか1項に記載の光拡散板用スチレン系樹脂組成物。
5.重合溶媒としてエチルベンゼンを12〜22質量%使用し、スチレンモノマーの連続ラジカル重合を行うに当たり、フィード原料中の4−t−ブチルカテコール濃度が10ppm以下であり、重合開始剤として2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンをスチレンモノマーに対して質量基準で100〜1000ppm添加し、スチレンモノマーの転化率が60〜75質量%に達するまでは1〜3基からなる完全混合槽型反応器を直列に接続した工程にて100〜130℃の温度で重合を行い、次いでプラグフロー型の反応器にてスチレンモノマーの転化率が75〜90質量%に達するまで重合を行うことを特徴とする1〜4項のいずれか1項に記載の光拡散板用スチレン系樹脂組成物の製造方法。
6.連続ラジカル重合で得られたスチレン系樹脂と未反応スチレンモノマー及び重合溶媒を除去する脱揮工程において、加熱器付きの真空脱揮槽を直列に2段接続したものを用い、1段目の真空脱揮槽での樹脂温度は150〜170℃に調整し出口の未反応スチレンモノマーと重合溶媒の合計量が7〜14質量%となるよう真空度を25〜100kPaの範囲で調整し、2段目の真空脱揮槽で樹脂温度を210〜245℃に調整し、真空度を0.2〜0.8kPaの範囲に調整することを特徴とする1〜5項のいずれか1項に記載の光拡散板用スチレン系樹脂組成物の製造方法。
7.1〜4項のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物に光拡散剤を加え、押出成形することによって得られる光拡散板。
なお、メタノール可溶分は樹脂組成物1gを精秤(質量P)し、メチルエチルケトンを40mL加えて溶解し、メタノール400mLを急激に加えて、メタノール不溶分(樹脂成分)を析出、沈殿させる。約10分間静置した後、ガラスフィルターで徐々にろ過してメタノール不溶分を分離し、120℃の真空乾燥機にて2時間減圧下で乾燥した後、デシケータないで約25分間放冷し、乾燥したメタノール不溶分の質量Nを測定することで、次式によって求めた。
メタノール可溶分(質量%)=(P−N)/P×100
また、本発明が対象とするスチレン系樹脂組成物のZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)は、2.0〜2.4であることが好ましい。Z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)が2.0未満であると、押出成形時のダイスウェルが低く、板の厚みが安定しない。また、2.4を超えるとスチレン系樹脂組成物の生産性が著しく低下する。
本発明における重量平均分子量(Mw)及びZ平均分子量(Mz)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
GPC機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製 PLgel 10μm MIXED−B
移動相:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示差屈折計
本発明の分子量はポ、単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出したものである。
本発明における残存スチレンモノマー及び重合溶媒の量は、樹脂組成物500mgを、内部標準物質としてシクロペンタノールを含むDMF10mlに溶解し、ガスクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定した。
ガスクロマトグラフ:HP−5890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:HP−WAX、0.25mm×30m、膜厚0.5μm
インジェクション温度:220℃
カラム温度:60℃〜150℃、10℃/min
ディテクター温度:220℃
スプリット比:30/1
(測定条件要確認)
残存スチレンモノマー及び重合溶媒は、脱揮工程の構成及び脱揮工程の運転条件により、低減することができる。
本発明のスチレン系樹脂組成物のスチレンダイマーとトリマーの測定は、スチレン系樹脂組成物200mgを2mLの1,2−ジクロロメタンに溶解し、メタノールを2mL添加してスチレン系樹脂組成物を析出させ、静置させたのち、上澄み液について、ヒューレットパッカード社製ガスクロマトグラフィーHP−5890を用いて測定した。なお詳細な条件を以下に記す。
(イ)カラム:DB−1(ht) 0.25mm×30m 膜厚0.1μm
(ロ)インジェクション温度:250℃
(ハ)カラム温度:100−300℃
(二)検出器温度:300℃
(ホ)スプリット比:50/1
(へ)内部標準物質:n−エイコサン
脱揮工程で副生成するスチレンオリゴマー(スチレンダイマー、スチレントリマー)は、スチレン系樹脂組成物の熱分解に起因するもので、脱揮工程の温度を極力下げることで低減することができる。
完全混合型撹拌槽である第1反応器と第2反応器及び静的混合器付プラグフロー型反応器である第3反応器を直列に接続して重合工程を構成した。各反応器の容量は、第1反応器を39リットル、第2反応器を39リットル、第3反応器を16リットルとした。表1に記載の原料組成にて、原料溶液を作成し、第1反応器に原料溶液を表1に記載の流量にて連続的に供給した。重合開始剤は、第1反応器の入口で表1に記載の添加濃度(原料スチレンに対する質量基準の濃度)となるように原料溶液に添加混合した。表1に記載の重合開始剤はそれぞれ次の通りである。
重合開始剤−1 :2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(日本油脂株式会社製パーテトラAを使用した。)
重合開始剤−2 :1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂株式会社製パーヘキサCを使用した。)
重合開始剤−3 :t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富株式会社製ルペロックス570を使用した。)
なお、第3反応器では、流れの方向に沿って温度勾配をつけ、中間部分、出口部分で表1の温度となるよう調整した。
続いて、第3反応器より連続的に取り出した重合体を含む溶液を直列に2段より構成される予熱器付き真空脱揮槽に導入し、表1に記載の樹脂温度となるよう予熱器の温度を調整し、表1に記載の圧力に調整することで、未反応スチレン及びエチルベンゼンを分離した後、多孔ダイよりストランド状に押し出しして、コールドカット方式にて、ストランドを冷却および切断しペレット化した。また、得られたペレットに外部潤滑剤として、エチレンビスステアリルアミドを100μg/gの濃度で添加しドライブレンドした。
表2に記載されたスチレン系樹脂組成物PS−1 60質量%と光拡散剤としてPMMA架橋粒子(積水化成品工業株式会社製 テクポリマーMBX−5) 40質量%をドライブレンドした後、二軸押出機にて押出ブレンドしペレット状のマスターバッチを得た。
表2に記載されたスチレン系樹脂組成物について、射出成形により試験片を作成し、強度特性としてノッチ無しシャルピー衝撃強さ、耐熱特性としてビカット軟化温度の測定を行った。また、表2に記載されたスチレン系樹脂組成物95質量%と光拡散剤マスターバッチ5質量%をドライブレンドし、40mmの押出機に供給し、Tダイを経由して、厚さ2mmの光拡散板を得た。光拡散板を押出する際、厚みの変動が少なく押出安定に優れるものを○、若干厚みの変動が見られるものを△、厚みの変動が見られるものを×とした。また、光拡散板の強度として、落錘衝撃試験による50%破壊高さの測定を実施した。50%破壊高さの測定は、JIS K 7211に準拠し、得られた光拡散板から100mm×100mmのサイズに切り出すことで試験片とし、錘先端5R、質量50gの錘を用い、50%破壊高さを測定した。
Claims (7)
- 200℃、49N荷重の条件にて測定したメルトフローレート(MFR)が0.5〜2.0g/10分で、メタノール可溶分が0.2〜1.2質量%で、重量平均分子量(Mw)が30万〜45万であることを特徴とする光拡散板用スチレン系樹脂組成物。
- 50N荷重にて測定したビカット軟化温度が102.0〜104.0℃で、スチレン系樹脂組成物中の残存スチレンモノマー及び重合溶媒の総量が700μg/g以下で、スチレンダイマーとトリマーの合計量が5000μg/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散板用スチレン系樹脂組成物。
- スチレン系樹脂組成物のZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw)が2.0〜2.4であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光拡散板用スチレン系樹脂組成物。
- 外部潤滑剤として、エチレンビスステアリルアミドを30〜200μg/g含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散板用スチレン系樹脂組成物。
- 重合溶媒としてエチルベンゼンを12〜22質量%使用し、スチレンモノマーの連続ラジカル重合を行うに当たり、フィード原料中の4−t−ブチルカテコール濃度が10ppm以下であり、重合開始剤として2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンをスチレンモノマーに対して質量基準で100〜1000ppm添加し、スチレンモノマーの転化率が60〜75質量%に達するまでは1〜3基からなる完全混合槽型反応器を直列に接続した工程にて100〜130℃の温度で重合を行い、次いでプラグフロー型の反応器にてスチレンモノマーの転化率が75〜90質量%に達するまで重合を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散板用スチレン系樹脂組成物の製造方法。
- 連続ラジカル重合で得られたスチレン系樹脂と未反応スチレンモノマー及び重合溶媒を除去する脱揮工程において、加熱器付きの真空脱揮槽を直列に2段接続したものを用い、1段目の真空脱揮槽での樹脂温度は150〜170℃に調整し出口の未反応スチレンモノマーと重合溶媒の合計量が7〜14質量%となるよう真空度を25〜100kPaの範囲で調整し、2段目の真空脱揮槽で樹脂温度を210〜245℃に調整し、真空度を0.2〜0.8kPaの範囲に調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光拡散板用スチレン系樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物に光拡散剤を加え、押出成形することによって得られる光拡散板。
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