JP2009214965A - エレベータ - Google Patents
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Abstract
【課題】エレベータの乗りかごの終端階衝突防止のための速度制御の精度を向上させる。
【解決手段】主制御装置1の演算装置14は、運転中の乗りかご2のパルス位置データとパルス速度データを算出する。演算装置14は乗りかご2のパルス位置データが終端階付近である場合にはレーザ送受信装置21にレーザ出力を許可し、レーザ送受信装置21のレーザ送受信部33はレール面に向けて送信レーザ25aを水平方向に送信する。レーザ送受信部33が反射レーザ25bを受信した場合、レーザ演算部32はレーザ反射板22からの新しい反射レーザ25bを受信する毎にカウント数を1ずつ加えていき、カウント数に応じたレーザ位置データを主制御装置1に送信する。演算装置14は、パルス速度データがレーザ位置データに応じた過速度レベルを上回った場合に乗りかご2の停止指示信号をモータ制御装置15に出力する。
【選択図】 図2
【解決手段】主制御装置1の演算装置14は、運転中の乗りかご2のパルス位置データとパルス速度データを算出する。演算装置14は乗りかご2のパルス位置データが終端階付近である場合にはレーザ送受信装置21にレーザ出力を許可し、レーザ送受信装置21のレーザ送受信部33はレール面に向けて送信レーザ25aを水平方向に送信する。レーザ送受信部33が反射レーザ25bを受信した場合、レーザ演算部32はレーザ反射板22からの新しい反射レーザ25bを受信する毎にカウント数を1ずつ加えていき、カウント数に応じたレーザ位置データを主制御装置1に送信する。演算装置14は、パルス速度データがレーザ位置データに応じた過速度レベルを上回った場合に乗りかご2の停止指示信号をモータ制御装置15に出力する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、終端階付近の強制減速制御を行なうエレベータに関する。
従来、エレベータの昇降路の終端階付近は乗りかごが天井や床面に衝突する可能性があるなど、特に危険の多い場所である。そこで、終端階付近ではエレベータ運行としての位置・速度制御のほかに、乗りかごが暴走しても速度を緩衝器の許容衝突速度以下にするように当該乗りかごを強制減速させる終端階強制減速制御を行なっている。
図5は、従来の終端階強制減速制御を行なうエレベータの構成概略図である。
このエレベータの主制御装置41はエレベータの運行制御や乗りかご42を昇降させるためのモータ43の制御を行なう。ロープ44は乗りかご42と吊りあいおもり45とをつなぎ、レール47は乗りかご42を支え、シーブ46はロープ44のテンションを保持する。
このエレベータの主制御装置41はエレベータの運行制御や乗りかご42を昇降させるためのモータ43の制御を行なう。ロープ44は乗りかご42と吊りあいおもり45とをつなぎ、レール47は乗りかご42を支え、シーブ46はロープ44のテンションを保持する。
緩衝器48は乗りかご42や吊りあいおもり45がピット面に高速で衝突するのを防ぐ安全装置である。調速器49は乗りかご42が定格速度を超えて昇降することを検出して乗りかご42を停止させるための安全装置である。
モータ43にはパルス発生器50が取り付けられ、モータ43の回転に応じてパルスを発生してパルス信号を主制御装置41に送信する。主制御装置41はパルス信号の単位時間あたりのパルス数を演算することで、乗りかご42の位置や速度を演算する。
終端階付近のレール47には複数の終端階位置検出スイッチ51が取り付けられ、乗りかご42の一部が終端階位置検出スイッチ51に触れると、当該触れた旨を示す信号が検出元の終端階位置検出スイッチ51から主制御装置41に送信される。
主制御装置41は、現在のかご位置が複数の終端階位置検出スイッチ51のうちのどの2つの間にあるかを終端階位置検出スイッチ51の入力の状態から認識できる。主制御装置41は、その時点の乗りかご42の位置から通常の制御で乗りかご42を停止させようとする場合に当該乗りかご42が緩衝器48の許容衝突速度を超えて当該緩衝器48に衝突したり天井に衝突したりする可能性がある速度を過速度判定値である過速度レベルとし、終端階位置検出スイッチ51から算出される位置範囲ごとに過速度レベルをあらかじめ算出しておき主制御装置41内のメモリに記憶しておく。
主制御装置41は、乗りかご42が終端階付近の終端階位置検出スイッチ51のうち中間階からみた最初の終端階位置検出スイッチ51に触れたことを検出すると、当該スイッチの位置範囲に応じた過速度レベルを設定する。その後、主制御装置41は終端階位置検出スイッチ51の状態が変わるごとに位置範囲を見直して設定済みの過速度レベルを更新する。主制御装置41はパルス信号から算出される乗りかご速度と過速度レベルとを逐次比較し、乗りかご速度が過速度レベルを上回った場合には乗りかご42を即座に停止させる。
また、例えば特許文献1に開示されるように、終端階付近のかご位置検出手段としてレーザや音波などを昇降路の天井面や床面に送信して反射波を受信して乗りかご位置を逐次算出するものがある。
特開2004−123279号公報
前述したようにスイッチを用いて終端階強制減速制御の位置検出を行なう場合には、昇降路の一定の範囲内に複数の位置検出スイッチを取り付ける必要がある。精度の高い制御を実現するためにはスイッチの間隔をできるだけ短くする必要があるが、他の用途の位置検出スイッチも取り付ける必要があるため、物理的に設置可能なスイッチの個数が限られてしまう。
また、前述したように、終端階付近の位置検出のためにレーザを昇降路の天井面や床面に送信する方法では、レーザなどを送信する距離が長くなるため検出の精度が悪くなる。また、この方法では昇降路上や床面の埃、ゴミ、水によって光が減衰したり、点検時に点検員がレーザを遮ったりすると、検出そのものができなくなる。
そこで、本発明の目的は、乗りかごの終端階衝突防止のための速度制御の精度を向上させることが可能になるエレベータを提供することにある。
すなわち、本発明に係わるエレベータは、乗りかごを駆動させるモータの回転に応じてパルス信号を発生するパルス発生器と、乗りかご周辺に取り付けられて水平方向にレーザを送受信するレーザ送受信装置と、乗りかごの走行にしたがって対峙したレーザ送受信装置から送信したレーザを反射可能に設置された複数のレーザ反射板とを備え、乗りかごの走行中において、レーザ送受信装置から送信してレーザ反射板で反射してレーザ送受信装置で受信したレーザのカウント数をもとに現在のかご位置を演算し、当該演算したかご位置をもとに終端階衝突防止のための現在のかご位置における過速度判定値を演算し、パルス発生器からのパルス信号をもとに乗りかごの速度を演算し、パルス信号をもとに演算した速度がカウント数をもとに演算した過速度判定値を超える場合に、乗りかごを強制的に減速させることを特徴とする。
本発明によれば、エレベータの乗りかごの終端階衝突防止のための速度制御の精度を向上させることができる。
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるエレベータの構成概略図である。
図1に示すように、本発明の実施形態におけるエレベータの主制御装置1は、乗りかご2を昇降させるためのモータ3の制御を行なう。ロープ4は乗りかご2と吊りあいおもり5をつなぎ、レール7は乗りかご2を支持し、シーブ6はロープ4のテンションを保持する。
図1は、本発明の実施形態におけるエレベータの構成概略図である。
図1に示すように、本発明の実施形態におけるエレベータの主制御装置1は、乗りかご2を昇降させるためのモータ3の制御を行なう。ロープ4は乗りかご2と吊りあいおもり5をつなぎ、レール7は乗りかご2を支持し、シーブ6はロープ4のテンションを保持する。
緩衝器8は乗りかご2や吊りあいおもり5がピット面に高速で衝突するのを防ぐ安全装置である。調速器9は乗りかご2が定格速度を超えて昇降することを検出して乗りかご2を停止させるための安全装置である。
モータ3にはパルス発生器10が取り付けられ、モータ3の回転に応じてパルス信号を発生して主制御装置1に送信する。
ロープ4、吊りあいおもり5、シーブ6、レール7、緩衝器8、調速器9は、本発明には関係ないので、それぞれ同等の機能を持つ別の構成にしてもよい。
モータ3にはパルス発生器10が取り付けられ、モータ3の回転に応じてパルス信号を発生して主制御装置1に送信する。
ロープ4、吊りあいおもり5、シーブ6、レール7、緩衝器8、調速器9は、本発明には関係ないので、それぞれ同等の機能を持つ別の構成にしてもよい。
本実施形態では、乗りかご2の上にはレーザを水平方向に送信するレーザ送受信装置21が取り付けられ、レール7における上端階付近および下端階付近はレーザ光を反射する素材でできたレーザ反射板22がレーザ送受信装置21の対峙時にレーザ送受信装置21からのレーザを反射できるように乗りかご2の昇降方向に沿って複数枚設置される。
複数のレーザ反射板22は1枚の反射板取り付け板24にあらかじめ貼り付けられる。
複数のレーザ反射板22は1枚の反射板取り付け板24にあらかじめ貼り付けられる。
反射板取り付け板24には、当該反射板取り付け板24の取り付け位置を決めるための一枚の位置決め用レーザ反射板23も貼り付けられる。反射板取り付け板24はエレベータの設置時にレール7上の決められた位置で固定される。
レーザ送受信装置21は、レーザを送信レーザ25aとして送信し、当該送信レーザ25aがレーザ反射板22で反射したレーザである反射レーザ25bを受信する。レーザ送受信装置21は、受信した反射レーザ25bの内容から現在の乗りかご位置を算出し、当該かご位置のデータをレーザ位置データとして図示しないテールコードを介して主制御装置1に送信する。
本実施例では乗りかご2の上にレーザ送受信装置21を取り付けているが、レール7側のレーザ反射板22が送信レーザ25aを反射できる位置であれば、その設置場所は問わない。例えば、乗りかご2の下にレーザ送受信装置21を設置する構成でもよい。
図2は、本発明の実施形態におけるエレベータの主制御装置およびレーザ送受信装置の機能を示す図である。
この図は、エレベータにおける機械的あるいは電気的な接続の詳細を示したものである。図2に示すように、主制御装置1は、パルス信号受信装置11、運転状況を格納する主制御装置内部メモリ13、エレベータの運行制御を行なう演算装置14、エレベータのモータ3の制御を行なうモータ制御装置15、レーザ送受信装置21ヘレーザの送信を許可するためのレーザ制御装置16、レーザ送受信装置21が演算したかご位置データを受信するためのレーザ位置データ受信装置17を備える。
この図は、エレベータにおける機械的あるいは電気的な接続の詳細を示したものである。図2に示すように、主制御装置1は、パルス信号受信装置11、運転状況を格納する主制御装置内部メモリ13、エレベータの運行制御を行なう演算装置14、エレベータのモータ3の制御を行なうモータ制御装置15、レーザ送受信装置21ヘレーザの送信を許可するためのレーザ制御装置16、レーザ送受信装置21が演算したかご位置データを受信するためのレーザ位置データ受信装置17を備える。
主制御装置1のパルス信号受信装置11は、乗りかご2が運転中、モータ3の回転に応じてパルス発生器10から発生するパルス信号を受信する。パルス信号受信装置11は、この受信したパルス信号をもとにしたパルスデータを演算装置14に出力する。
また、図2に示すように、乗りかご2側のレーザ送受信装置21は、レーザ制御信号受信部31、レーザ演算部32、レーザ送受信部33、レーザ位置データ送信部34、レーザの受信状態を表示するレーザ状態表示部35、レーザ送受信装置内部メモリ36、反射板取り付け時に運転モードを切り替えるための反射板取り付けモードスイッチ37、レーザの受信状態を音で報知するためのレーザ状態出力ブザー38を備える。反射板取り付けモードスイッチ37は通常運転時はオフ状態である。
主制御装置1のレーザ制御装置16は、必要に応じてレーザ制御装置16からテールコードを介してレーザ送受信装置21へレーザ送信許可信号を出力する。
レーザ送受信装置21のレーザ制御信号受信部31は、主制御装置1のレーザ制御装置16からのレーザ送信許可信号を受信する。
レーザ送受信装置21のレーザ制御信号受信部31は、主制御装置1のレーザ制御装置16からのレーザ送信許可信号を受信する。
レーザ演算部32は、受信済みのレーザ送信許可信号を認識して、この旨を示す許可信号をレーザ送受信部33に出力する。
レーザ送受信部33は、レーザ演算部32からの許可信号を入力すると反射板取り付け板24が設置されているレール7へ送信レーザ25aを水平方向に送信する。
レーザ送受信部33は、レーザ演算部32からの許可信号を入力すると反射板取り付け板24が設置されているレール7へ送信レーザ25aを水平方向に送信する。
また、レーザ送受信部33は、レーザ送信方向にレーザ反射板22がある場合は、当該レーザ反射板22からの反射レーザ25bを受信する。
レーザ演算部32は、レーザ反射板22からの反射レーザ25bをレーザ送受信部33が受信する毎に、上下それぞれの終端階入りロから数えて何枚目のレーザ反射板22からの反射レーザ25bを受信したかをカウントする。
レーザ演算部32は、レーザ反射板22からの反射レーザ25bをレーザ送受信部33が受信する毎に、上下それぞれの終端階入りロから数えて何枚目のレーザ反射板22からの反射レーザ25bを受信したかをカウントする。
レーザ送受信装置内部メモリ36にはレーザ演算部32がカウントした枚数に対応した乗りかご2の位置データが乗りかご2の走行方向別に予め記憶される。レーザ演算部32は、当該カウントした枚数に対応した乗りかご2の位置データをレーザ送受信装置内部メモリ36から読み出し、当該読み出した位置データをレーザ位置データ送信部34を介して主制御装置1に送信する。
さらに、主制御装置1は、レーザ送受信装置21の反射板取り付けモードスイッチ37がオン状態に切り替えられたことを検出すると、動作モードを通常運転モードから反射板取り付けのための専用運転に移行させる。
主制御装置1のレーザ位置データ受信装置17は、乗りかご2の運転中にレーザ送受信装置21から送信されるレーザ位置データを受信すると、当該レーザ位置データを演算装置14へ出力する。
演算装置14は、パルス発生器10からパルス信号受信装置11が受信したパルス信号で示される受信パルス数をもとに乗りかご2の位置および速度を演算する。速度は位置に対する微分演算を行なうことで演算可能である。
また、演算装置14は、レーザ位置データ受信装置17が受信したレーザ位置データからも乗りかご2の位置を演算し、演算結果を主制御装置内部メモリ13に格納する。主制御装置内部メモリ13には、前述した速度演算結果や2種類の位置演算結果の他に乗りかご2の運転に必要なデータが格納されており、主制御装置1は、主制御装置内部メモリ13の内容に応じて、モータ制御装置15に運転指令や停止指令を出す。モータ制御装置15はモータ制御装置15からの指令にしたがってモータ3を駆動させる。
ここで、図1及び図2に示した構成のエレベータによる終端階付近の乗りかご位置及び速度を用いた終端階衝突防止のための速度制御方法を説明する。図3は、本発明の実施形態におけるエレベータの終端階付近の速度制御の動作の一例を示すフローチャートである。
主制御装置1は乗りかご2の運転状況を逐次判断する(ステップS1)。運転中ならば(ステップS1のYES)、演算装置14はパルス信号受信装置11が受信したパルスデータをもとに、乗りかご2のパルス位置データXおよびパルス速度データVをそれぞれ演算して、演算結果を主制御装置内部メモリ13に記憶する(ステップS2)。
主制御装置1の演算装置14は、運転中の乗りかご2が終端階付近に位置するかどうかを演算済みのパルス位置データXをもとに判断する(ステップS3)。演算装置14は、乗りかご2のかご位置が終端階付近であると判断した場合には(ステップS3のYES)、レーザ送信許可信号の送信指令をレーザ制御装置16に出力する。レーザ制御装置16は送信指令にしたがってレーザ送信許可信号をレーザ送受信装置21に送信する。レーザ送信許可信号には乗りかご2の走行方向の情報が含まれる。
レーザ送受信装置21はレーザ送信許可信号を受信すると、レーザ制御装置16からの送信許可信号で示される乗りかご2の走行方向を認識し、レール面に向けて送信レーザ25aを水平方向に送信する(ステップS4)。
また、演算装置14は、乗りかご2のかご位置が終端階付近でないと判断した場合には(ステップS3のNO)、レーザ反射板22のカウント枚数をクリアする(ステップS5)。
そして、主制御装置1の演算装置14は、乗りかごが運転中でない場合や(ステップS1のNO)や乗りかご2の位置が終端階付近でないことに伴うステップS5の処理後は、レーザ送受信装置21の寿命を延ばすため、レーザ送信を停止させるためのレーザ停止指示信号をレーザ制御装置16を介してレーザ送受信装置21に送信する。
レーザ送受信装置21のレーザ制御信号受信部31は、レーザ制御装置16からのレーザ停止指示信号を受信すると、この信号をレーザ演算部32を介してレーザ送受信部33に出力する。レーザ送受信部33はレーザ演算部32からの信号を入力するとレーザの送信を停止する(ステップS6)。
レーザ送受信装置21はステップS4の処理によりレーザの送信を開始した後で、乗りかご2が終端階に向かってさらに移動すると、レーザ反射板22からの反射レーザ25bを受信する。
レーザ送受信部33が反射レーザ25bを受信した場合(ステップS7)、レーザ演算部32は、中間階からみた終端階の入り口から、つまりステップS3の処理による乗りかご2のかご位置が終端階付近であるとの判断時から終端階に向かってレーザ反射板22からの新しい反射レーザ25bを受信する毎に、反射板枚数カウント数を1ずつ加えていき、認識済みの走行方向について、カウント数に応じたかご位置データであるレーザ位置データAをレーザ送受信装置内部メモリ36から読み出してレーザ位置データ送信部34から主制御装置1に送信する(ステップS8)。
乗りかご2が下端階に向かって走行している場合に、主制御装置1のレーザ位置データ受信装置17がレーザ送受信装置21からのレーザ位置データAを受信すると、演算装置14は、当該レーザ位置データAの妥当性確認のため、主制御装置内部メモリ13に記憶しておいたパルス位置データXを読み出して、当該パルス位置データXおよびレーザ位置データAを比較する(ステップS9)。
演算装置14は、パルス位置データXの値およびレーザ位置データAの値の差が一定値以下であれば(ステップS9のYES)、レーザ位置データAは正常と判断し、当該レーザ位置データAに応じた過速度判定値である過速度レベルZを主制御装置内部メモリ13から読み出して現在の過速度レベルZとして決定する(ステップS10)。
主制御装置1の演算装置14は、ステップS10の処理により過速度レベルZが決定されると、次の反射レーザ25bをレーザ送受信装置25が受信するまで過速度レベルZとパルス速度データVとを逐次比較する(ステップS12)。
演算装置14は、パルス速度データVが過速度レベルZを上回ったと判断した場合(ステップS12のYES)、乗りかご2の停止指示信号をモータ制御装置15に出力する。モータ制御装置15は停止指示信号を入力するとモータ3を即座に減速させて停止させる。
このようにパルス速度データVが過速度レベルZを上回った場合に乗りかご2を即座に減速させて停止させることで当該乗りかご2が緩衝器8の許容衝突速度を超えて当該緩衝器8に衝突しないようにする(ステップS13)。
また、演算装置14は、パルス位置データXの値およびレーザ位置データAの値の差が一定値を超える場合には(ステップS9のNO)、レーザ送受信装置21の故障、レーザ反射板22のカウント間違え、パルス発生器10の故障などの異常が発生したと判断する。
この場合は、演算装置14は、過速度レベルZを緩衝器8の予め定められた許容衝突速度に設定し、乗りかご2の速度が緩衝器8の許容衝突速度を超える場合に直ちに乗りかご2を停止できるようにする(ステップS11)。
また、乗りかご2が上端階に向かって走行している場合に、主制御装置1のレーザ位置データ受信装置17がレーザ送受信装置21からのレーザ位置データAを受信した場合で、演算装置14が前述したステップS9の処理で「NO」と判定した場合には、演算装置14は、昇降路の天井に最も近いレーザ反射板22に対応するレーザ位置データA、つまり最も高い値のレーザ位置データAに応じた過速度レベルZを主制御装置内部メモリ13から読み出して現在の過速度レベルZとして決定し、ステップS12の処理に移行する。これにより乗りかご2が天井に衝突する前に停止できるようにする。
次に、エレベータの据付時に実際にレール7にレーザ反射板22を取り付ける方法について説明する。本実施形態では、複数のレーザ反射板22と位置決め用レーザ反射板23があらかじめ1枚の反射板取り付け板24に取り付けられた状態であり、各レーザ反射板22の距離は予め決められた寸法となっている。
レール7と反射板取り付け板24については、昇降路上に取り付ける際に正確な位置に取り付けないと全てのレーザ反射板22の位置が決められた位置から外れることになるので、レーザ送受信装置21によるカウント数に応じたレーザ位置データの演算結果が正しいもので無くなってしまい正確な位置検出が出来ない。
そこで、正確に反射板取り付け板24を昇降路に取り付けるための方法を説明する。図4は、本発明の実施形態におけるエレベータの終端階付近のレーザ反射板取り付け時の速度制御の動作の一例を示すフローチャートである。
エレベータ据付員は反射板取り付け時、乗りかご2の上に乗り、反射板取り付けモードスイッチ37をオン状態にする。主制御装置1の演算装置14は、反射板取り付けモードスイッチ37が入力されたかどうかを逐次判断する(ステップS21)。
主制御装置1は、反射板取り付けモードスイッチ37がオン状態になっていないと判断している場合には(ステップS21のNO)、動作モードを通常運転モードに維持している(ステップS22)。
一方、演算装置14は、反射板取り付けモードスイッチ37がオン状態になったことを検出した場合には、動作モードを反射板取付モードに切り替え(ステップS21のYES)、反射板取り付け板24の取り付け時に位置すべきかご位置である反射板取付位置Tを主制御装置内部メモリ13から読み込む(ステップS23)。
その後、主制御装置1は、低速で乗りかご2の自動運転を行い(ステップS24)、乗りかご2の位置を反射板取付位置Tまで移動させる(ステップS25)。
乗りかご2が反射板取付位置Tに到着すると、演算装置14はレーザ送信を指示するためのレーザ送信許可信号をレーザ制御装置16を介してレーザ送受信装置21に送信する。
レーザ送受信装置21のレーザ制御信号受信部31は、レーザ制御装置16からの許可信号を受信すると、この信号をレーザ演算部32を介してレーザ送受信部33に送信する。レーザ送受信部33はレーザ演算部32からの信号を受信すると送信レーザ25aを送信し(ステップS26)、位置決め用レーザ反射板23からの反射レーザ25bを受信できるかどうかを判断する(ステップS27)。位置決め用レーザ反射板23はレーザ反射板22より幅の狭いものを使用し、反射板取り付け板24を正しい位置、つまりレーザ送受信装置21によるカウント数に応じたレーザ位置データの演算結果が正しいものとなる位置に正確に設置しないと当該位置決め用レーザ反射板23からの反射レーザ25bをレーザ送受信部33が受信しないようにする。
位置決め用レーザ反射板23からの反射レーザ25bをレーザ送受信部33が受信すると(ステップS27のYES)、レーザ演算部32は、レーザ送受信装置21のレーザ状態表示部35に反射板取り付け板24の正しい取り付けが完了した旨を表示し、この完了した旨をレーザ状態出力ブザー38にて据付員に音声報知する(ステップS29)。
その後、据付員は乗りかご2から降りる際に反射板取り付けモードスイッチ37のオン状態を解除してオフ状態にすると(ステップS30のYES)、主制御装置1は運転モードを反射板取付モードから通常運転モードに復帰させる(ステップS31)。ただし、据付員による反射板取り付けモードスイッチ37の操作忘れに対応するため、主制御装置1は、反射板取付モードの開始から反射板取り付け板24の取り付け作業に十分と思われる一定時間が経過しても動作モードが反射板取付モードのままである場合には動作モードを通常運転モードに復帰させる。
一方、位置決め用レーザ反射板23からの反射レーザ25bをレーザ送受信部33が受信していない場合(ステップS27のNO)、レーザ演算部32は、レーザ送受信装置21のレーザ状態表示部35に反射板取り付け板24の正しい取り付けが完了していない旨を表示し、この完了していない旨をレーザ状態出力ブザー38にて据付員に音声報知する。据付員は、これらの表示や報知にしたがって反射レーザ25bの受信の有無を確認することで反射板取り付け板24取り付け位置のずれを確認し、当該反射板取り付け板24の位置を調整する(ステップS28)。以降はステップS27の処理に戻る。
以上のように、本発明の実施形態におけるエレベータでは、終端階強制減速制御のための位置検出の手段として従来用いられていた位置検出スイッチの変わりにレーザを用いる。レーザは鉛直方向に対して垂直に、つまり乗りかごから見て真横のレール面に送信するので送信距離が短くなるので精度の高い位置検出が可能となる。また、複数の位置検出スイッチの代わりにレーザ反射板をレール上に複数取り付けることで物理的な制約がほとんどなくなり、従来の位置検出スイッチの個数を大幅に超えた数のレーザ反射板を取り付けられるようになり、精度の高い制御が実現できる。
また、本実施形態では、レーザの反射数をもとにしたかご位置の計測および当該かご位置をもとにした過速度レベルの演算の別の例として、レーザ送受信装置21のレーザ演算部32は、複数枚のレーザ反射板22のいずれかからの反射レーザをレーザ送受信部33が受信する毎に、乗りかご2が終端階付近へ位置した旨の判別時から起算したレーザ反射光の受信数をカウントし、当該カウントした受信数をもとに乗りかご2から走行方向の終端階までの距離を前述したかご位置の代わりに算出して主制御装置1に送信し、主制御装置1の演算装置14は当該距離をもとに過速度判定値レベルを演算する形態としてもよい。
また、本実施形態では、かご位置、速度、過速度レベルなどの各種演算処理を主制御装置1とレーザ送受信装置21とで分担して行なうと説明したが、これに限らず、例えばレーザ送受信装置21が各種演算に必要な情報を主制御装置1に送信した上で、主制御装置1が各種演算を全て行なう形態であってもよい。
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
1,51…主制御装置、2,42…乗りかご、3,43…モータ、4,44…ロープ、5,45…吊りあいおもり、6,46…シーブ、7,47…レール、8,48…緩衝器、9,49…調速器、10,50…パルス発生器、11,51…終端階位置検出スイッチ、13…主制御装置内部メモリ、14…演算装置、15…モータ制御装置、16…レーザ制御装置、17…レーザ位置データ受信装置、21…レーザ送受信装置、22…レーザ反射板、23…位置決め用レーザ反射板、24…反射板取り付け板、25a…送信レーザ、25b…受信レーザ、31…レーザ制御信号受信部、32…レーザ演算部、33…レーザ送受信部、34…レーザ位置データ送信部、35…レーザ状態表示部、36…レーザ送受信装置内部メモリ、37…反射板取り付けモードスイッチ、38…レーザ状態出力ブザー。
Claims (8)
- 乗りかごを駆動させるモータの回転に応じてパルス信号を発生するパルス発生器と、
前記乗りかご周辺に取り付けられて水平方向にレーザを送受信するレーザ送受信装置と、
前記乗りかごの走行にしたがって対峙した前記レーザ送受信装置から送信したレーザを反射可能に設置された複数のレーザ反射板と、
前記乗りかごの走行中において、前記レーザ送受信装置から送信して前記レーザ反射板で反射して前記レーザ送受信装置で受信したレーザのカウント数をもとに前記乗りかごの現在のかご位置を演算し、当該演算したかご位置をもとに終端階衝突防止のための現在のかご位置における過速度判定値を演算する第1の演算手段と、
前記パルス発生器からのパルス信号をもとに前記乗りかごの速度を演算する第2の演算手段と、
前記第2の演算手段により演算した速度が前記第1の演算手段により演算した過速度判定値を超える場合に前記乗りかごを強制的に減速させる運転制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。 - 前記第1の演算手段は、前記複数枚のレーザ反射板で反射したレーザのカウント数をもとに前記乗りかごから当該乗りかごの走行方向の終端階までの距離を演算し、当該距離をもとに前記過速度判定値を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。 - 前記第2の演算手段は、前記パルス発生器からのパルス信号をもとに下端階に向かって走行する前記乗りかごのかご位置をさらに演算し、
前記第1の演算手段により演算したかご位置および前記第2の演算手段により演算したかご位置の差分が一定以上である場合に、前記過速度判定値を緩衝器の許容衝突速度以下に設定する設定手段をさらに備え、
前記運転制御手段は、前記第2の演算手段により演算した速度が前記設定手段により設定した過速度判定値を超える場合に、前記乗りかごを強制的に減速させる
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。 - 第2の演算手段は、前記パルス発生器からのパルス信号をもとに前記乗りかごの位置をさらに演算し、
前記第2の演算手段によって演算した位置をもとに前記乗りかごが終端階付近に位置するか否かを判別する判別手段と、
前記乗りかごが終端階付近に位置すると前記判別手段が判別した場合、前記レーザ送受信装置によるレーザの送信を開始させ、前記乗りかごが終端階付近に位置しなくなったと前記判別手段が判別した場合に、前記第1の演算手段によるカウント数を初期化して前記レーザ送受信装置によるレーザの送信を中止させるレーザ送信制御手段とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。 - 前記複数のレーザ反射板は当該反射板の取り付け位置を調整するための位置決め用反射板とともに反射板取り付け板に取り付けられており、
前記反射板取り付け板の取り付け時に、動作モードを当該反射板取り付け板の取り付けモードへ切り替えるためのモード切り替えスイッチと、
前記モード切り替えスイッチにより動作モードが前記取り付けモードに切り替えられて前記反射板取り付け板が前記レーザ送受信装置から水平方向の延長線上に置かれた場合で、前記乗りかごが前記反射板取り付け板の取り付け用の所定の位置に昇降し、かつ前記レーザ送受信装置から送信されたレーザが前記位置決め用反射板で反射して前記レーザ送受信装置が前記レーザを受信した場合に、前記複数のレーザ反射板の位置が、前記第1の演算手段により前記乗りかごの通常走行時に前記レーザ反射板で反射したレーザのカウント数をもとにしたかご位置の正しい演算が行なえる位置となった旨を報知する報知手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。 - 前記乗りかごの前記反射板取り付け板の取り付け用の位置を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記運転制御手段は、前記モード切り替えスイッチにより動作モードが前記取り付けモードへ切り替えられた場合に、前記乗りかごを低速で前記記憶手段に記憶された取り付け用の位置まで昇降させ、
前記乗りかごが前記取り付け用の位置に位置した場合に前記レーザ送受信装置によるレーザの送信を開始させるレーザ送信制御手段と、
前記送信制御手段により送信されたレーザの前記位置決め用反射板での反射光を受信する受信手段とをさらに備え、
前記報知手段は、前記受信手段により反射光を受信した場合に、前記複数のレーザ反射板の位置が、前記第1の演算手段により前記乗りかごの通常走行時に前記レーザ反射板で反射したレーザのカウント数をもとにしたかご位置の正しい演算が行なえる位置となった旨を報知する
ことを特徴とする請求項5に記載のエレベータ主制御装置。 - 前記モード切り替えスイッチによる切り替えを認識してから、前記反射板取り付け板の取り付け作業に要する予め定められた時間が経過した場合に、前記動作モードを通常運転モードに復帰させるモード解除手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項6に記載のエレベータ。 - 前記運転制御手段は、前記第2の演算手段により演算した速度が前記第1の演算手段により演算した過速度判定値を超える場合に、前記乗りかごを強制的に停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
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