JP2009214445A - インクセットおよび画像記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汎用の印刷紙でもカールとインクのハジキの発生を抑制し、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクセットを提供する。
【解決手段】着色剤と樹脂微粒子と水溶性有機溶媒と水とを含むインク組成物と、前記インク組成物と接触して凝集物を生じさせる凝集反応剤と下記一般式(1)で表わされる化合物とを含む処理液と、を含むインクセットとする。
【化1】
Figure 2009214445

(式中、Rは水素原子またはフッ素原子を表わし、mは3〜16のいずれかの整数を表わし、YはS、SO、SOまたはOを表し、Lは構成する炭素原子が2以上の2価の基を表し、Xは水素イオンまたはカチオンを表す)
【選択図】なし

Description

本発明は、インクセットおよび画像記録方法に関する。
カラー画像を記録する画像記録方法として、近年様々な方法が提案されているが、いずれにおいても画像の品質、風合い、記録後のカールなど記録物の品位に対する要求は高い。
このうち、例えば、インクジェット技術は、オフィスプリンタ、ホームプリンタ等の分野に適用されてきたが、近年、商業印刷分野での応用がなされつつある。この商業印刷分野では、完全にインク溶媒の原紙への浸透をシャットアウトする写真のような表面を有するものではなく、汎用の印刷紙のような印刷の風合いが要求されている。ここで、記録媒体における溶媒吸収層が20〜30μmと厚くなると、記録媒体の表面光沢、質感、こわさ(コシ)等が制限されてしまうため、商業印刷分野でのインクジェット技術の適用は、記録媒体に対する表面光沢、質感、こわさ(コシ)等の制限が許容されるポスター、帳票印刷等にとどまっている。また、記録媒体は、溶媒吸収層、耐水層を有することによりコスト高となっており、それも上記制限の一因となっている。
一般の印刷等で用いられるアート紙やコート紙等の「塗工紙」や上質紙等の「非塗工紙」に水性のインクジェット記録方法を用いて印刷を行うと、インク中の水分による用紙のセルロース繊維間の水素結合の切断、再結合により、「カール」と呼ばれる紙の変形が発生することが知られている。
カールの防止策としては、インクに糖類等のカール防止剤を添加する方法や、搬送部の紙抑え機構を強力なものとし、強制的にカールを抑える機構を持つ、といった方法があるが、いずれも十分にカールを抑えることは出来ていない。
例えば、水性インクの付与に先立ってアルコールを付与する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、インクの浸透を抑制する処理液をインクとは別に付与する技術(例えば、特許文献2参照)や、インク打滴前に基材を撥液的にする技術(例えば、特許文献3参照)が知られている。
一方、インクにシリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤を用いて色間滲みを防止する技術(例えば、特許文献4参照)が知られている。
特開2004−136458号公報 特開平9−254376号公報 米国特許第6283589号明細書 特開2004−338392号公報
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成方法では、インクのハジキや画像の滲みが出るという問題があった。また特許文献2に記載のインクジェットプリント方法では、カールの発生を抑制することはできなかった。また特許文献3に記載の画像形成方法では、画像の光学濃度が低下する場合があった。さらに特許文献3または4に記載の方法ではインクドットの位置誤差に起因する「スジムラ」が強調されてしまう場合があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、記録媒体におけるカールの発生を抑制し、記録媒体上におけるインクのハジキの発生を抑え、耐擦過性に優れた高品質の画像を記録することが可能なインクセット及び該インクセットを用いた画像記録方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 着色剤と樹脂微粒子と水溶性有機溶媒と水とを含むインク組成物と、前記インク組成物と接触して凝集物を生じさせる凝集剤と下記一般式(1)で表わされる化合物とを含む処理液と、を含むインクセット。
Figure 2009214445
(式中、Rは水素原子またはフッ素原子を表わし、mは3〜16のいずれかの整数を表わし、YはS、SO、SOまたはOを表し、Lは構成する炭素原子が2以上の2価の基を表し、Xは水素イオンまたはカチオンを表す)
<2> 前記凝集剤は、2価以上の酸性物質であることを特徴とする前記<1>に記載のインクセット。
<3> 着色されたインク組成物を用いて画像を記録する画像記録方法であって、記録媒体上に、インク組成物と接触して凝集物を生じさせる凝集剤と、下記一般式(1)で表わされる化合物とを含む処理液を付与する処理液付与工程と、前記記録媒体上に付与された処理液を乾燥する処理液乾燥工程と、前記処理液が付与された記録媒体上に、着色剤と樹脂微粒子と水溶性溶媒と水とを含むインク組成物を付与するインク付与工程と、を含む画像記録方法。
Figure 2009214445
(式中、Rは水素原子またはフッ素原子を表わし、mは3〜16のいずれかの整数を表わし、YはS、SO、SOまたはOを表し、Lは構成する炭素原子が2以上の2価の基を表し、Xは水素イオンまたはカチオンを表す)
<4> 前記インク付与工程後に、乾燥除去工程を更に含むことを特徴とする前記<3>に記載の画像記録方法。
<5> 前記記録媒体は、コート紙であることを特徴とする前記<3>または<4>に記載の画像記録方法。
<6> 前記凝集剤は、2価以上の酸性物質であることを特徴とする前記<3>〜<5>のいずれか1項に記載の画像記録方法。
本発明によれば、記録媒体におけるカールの発生を抑制し、記録媒体上におけるインクのハジキの発生を抑え、耐擦過性に優れた高品質の画像を記録することが可能なインクセット及び該インクセットを用いた画像記録方法を提供することができる。
[インクセット]
本発明のインクセットは、インク組成物と接触して凝集物を生じさせる凝集剤と、下記一般式(1)で表わされる化合物とを含む処理液の少なくとも1種と、着色剤と樹脂微粒子と水溶性有機溶媒と水とを含むインク組成物(以下、単に「インク」ということがある)の少なくとも1種とを含むことを特徴とする。処理液が下記一般式(1)であらわされる化合物を含むことで、汎用の印刷用紙を記録媒体として用いて画像記録を行った場合でも、カールの発生と、インクのハジキの発生とを効果的に抑制し、さらに耐擦過性が改良された画像を記録することが可能になる。
Figure 2009214445
式中、Rは水素原子またはフッ素原子を表わし、mは3〜16のいずれかの整数を表わし、YはS、SO、SOまたはOを表し、Lは構成する炭素原子が2以上の2価の基を表し、Xは水素イオンまたはカチオンを表す。
<処理液>
本発明における処理液は、インク組成物と接触して凝集物を生じさせる凝集剤の少なくとも1種と、上記一般式(1)で表わされる化合物(以下、「含フッ素化合物」ということがある)の少なくとも1種とを含有し、必要に応じて、水溶性有機溶媒と水とその他の添加剤を含んで構成することができる。
(含フッ素化合物)
まず、本発明に好適に用いられる含フッ素化合物について説明する。前記含フッ素化合物は下記一般式(1)で表される。
Figure 2009214445

前記一般式(1)中、Rは水素原子またはフッ素原子を表す。本発明においては表面張力低下能や撥水性の観点からフッ素原子であることが好ましい。
前記一般式(1)中、mは3〜16のいずれかの整数を表す。本発明においては安全性や分解性の観点から、3〜8が好ましく、3〜6がより好ましく、3または4が特に好ましい。
また前記一般式(1)中、YはS(硫黄原子)、SO(スルホン)、SO(スルホキシド)またはO(酸素原子)を表す。mが小さい場合(例えば、3〜8)は、Yの親水性が低いほうが、分子全体の水溶性が下がり、表面張力低下能などが向上するので好ましい。具体的にはS、SOまたはSOが好ましく、SまたはSOがより好ましく、Sが特に好ましい。
前記一般式(1)中、Lは構成する炭素原子が2以上の2価の基を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のビシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基、またはこれらの基(基置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、および置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基)から選ばれる少なくとも1種を、連結基を介して結合させた2価の基が挙げられる。該連結基としては−(共有結合)、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONR10−、−OCO−、−OCONR11−、−NR12CO−、−NR13COO−、−NR14CONR15−、−SO−、−SO−、−SONR16−、−NR17SO−、−SiR1819−、−PR20−、−PO(OR21)O−、−OPO(OR22)−、−PO(OR23)NR24−、−NR25PO(OR26)−、−NR27PO(NR2829)NR30−、−NR31−が挙げられる。尚、R10〜R31は各々独立に水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
本発明において、Lの好ましい例としては、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、または置換もしくは無置換のアルキレン基および置換もしくは無置換のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種を連結基で結合させた2価の基である。Lのより好ましい例は、構成する炭素原子が2〜12の置換もしくは無置換のアルキレン基、構成する炭素原子が2〜8のシクロアルキレン基、構成する炭素原子が6〜10のアリーレン基、または置換もしくは無置換のアルキレン基および置換もしくは無置換のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種を連結基で結合させた構成する炭素原子が合計6〜20の2価の基である。Lの更に好ましい例は、構成する炭素原子が2〜12の置換もしくは無置換のアルキレン基、構成する炭素原子が6〜10のアリーレン基、または置換もしくは無置換のアルキレン基および置換もしくは無置換のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種を連結基で結合させた構成する炭素原子が合計6〜20の2価の基である。Lの特に好ましい例は、構成する炭素原子が2〜12の無置換のアルキレン基、または無置換のアルキレン基および無置換のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種を連結基で結合させた構成する炭素原子が合計6〜20の2価の基である。
前記連結基の好ましい例は、−(共有結合)、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONR10−、−OCO−、−OCONR11−、−NR12CO−、−NR13COO−、−NR14CONR15−、−SO−、−SO−、−SONR16-、−NR17SO−、−NR31−であり、より好ましい例は−(共有結合)、−O−、−S−、−COO−、−CONR10−、−OCO−、−OCONR11−、−NR12CO−、−NR13COO−、−NR14CONR15−、−SONR16−、−NR17SO−、−NR31−であり、更に好ましい例は、−(共有結合)、−O−、−COO−、−CONR10−、−OCO−、−NR13COO−、−SONR16−であり、特に好ましい例は−(共有結合)、−O−である。
本発明においてLの好ましい範囲は、mに応じて異なる。一般的に、mが小さい場合には、Lの疎水性を高めることで水溶性が低くなり、且つ表面に配向しやすくなるので、低濃度の添加でも充分な効果を発揮し易くなる。一方、mが大きい場合には、Lを構成する炭素原子数を減らしたり、親水的な連結基を導入したりすることで、所望の溶解性や界面活性を出すことができる。Lが無置換のアルキレン基の場合を例に説明すると、mが3〜6の場合には、アルキレン基を構成する炭素数は5〜12が好ましく、Rがフッ素原子の場合において、mが7〜16の場合には、アルキレン基を構成する炭素数は2〜8であるのが好ましい。
は水素イオンまたはカチオンを表す。前記カチオンとしては、アンモニウムイオンおよび金属カチオンが好ましい。本発明においてXは、アンモニウムイオンまたは1価の金属カチオンであるのがより好ましく、アンモニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンであるのが特に好ましい。
前記一般式(1)で表されるフッ素化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。尚、下記具体例において、Xは水素イオンを表わすが、カチオンであってもよい。
Figure 2009214445
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Figure 2009214445
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本発明において、一般式(1)で表わされる化合物としては、カールとハジキの発生抑制の観点から、Rがフッ素原子であって、mが3〜8であって、YがSであって、Lが構成する炭素原子数が2〜12のアルキレン基であることが好ましい。
前記一般式(1)で表わされる化合物は、公知の方法で適宜合成することができる。例えば、特開2003−140288号公報に記載の方法で合成することができる。
本発明において、前記一般式(1)で表される化合物は1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
前記処理液における前記一般式(1)で表される化合物の含有率としては特に制限はなく、例えば、0.1〜15質量%とすることができ、吐出安定性、塗布安定性の観点から、0.2〜10質量%であることが好ましく、0.5〜8質量%であることがより好ましい。
(凝集剤)
本発明における処理液は、インク組成物を凝集させる凝集剤の少なくとも1種を含有する。本発明における凝集剤は、乾燥皮膜中に存在している状態で、インク組成物と接触することにより、インク組成物を凝集(固定化)可能であることが好ましいことから、水性インク組成物と接触することでインク組成物中に溶解しやすい素材であることが好ましく、水溶性の高い酸性物質であることがより好ましい。さらに、インク組成物と反応してインク全体を凝集(固定化)させる観点から、2価以上の酸性物質であることがより好ましい。
ここで、インク組成物の凝集反応は、インク組成物中に分散した粒子(着色剤(例えば、顔料)、樹脂微粒子等)の分散安定性を減じ、インク全体の粘度を上昇させることで達成することができる。例えば、カルボキシル基等の弱酸性の官能基で分散安定化しているインク中の顔料、樹脂微粒子などの粒子の表面電荷を、よりpKaの低い酸性物質と反応させることにより減じ、分散安定性を低下することができる。したがって、処理液に含まれる凝集剤としての酸性物質は、pKaが低く、溶解度が高く、価数が2価以上であることが好ましく、インク中の粒子を分散安定化させている官能基(例えば、カルボキシル基)のpKaよりも低いpH領域に高い緩衝能を有する2価または3価の酸性物質であることがより好ましい。
具体的には、リン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、フタル酸などが挙げられる。またこれらと、pKa、溶解度が類似した他の酸性物質も使用可能である。
これらの酸性物質の中でも、クエン酸は、保水力が高く、凝集したインクの物理強度が高くなる傾向にあり、機械特性がより要求される系で好ましく用いられる。一方、マロン酸は逆に保水力が低く、処理液の乾燥を早めたい場合に好ましく用いられる。
このように凝集剤は、インク組成物の凝集能とは別の副次的因子により、適宜選択して使用することも可能である。
前記凝集剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
インク組成物を凝集させる凝集剤の処理液中における含有量としては、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜18質量%であり、更に好ましくは5〜15質量%の範囲である。
本発明における処理液が更に含むことができる水溶性有機溶媒、その他の添加剤については、後述のインク組成物におけるものと同様である。
本発明における処理液は、カールとハジキの発生抑制およびインク凝集性の観点から、一般式(1)で表される化合物のうち、Rがフッ素原子であって、mが3〜8であって、YがSであって、Lが構成する炭素数が2から12のアルキレン基である含フッ素化合物を0.1〜15質量%含有し、凝集剤として2価以上の酸性物質の少なくとも1種を1〜20質量%含有することが好ましい。
<インク組成物>
本発明におけるインク組成物(以下、単に「インク」ということがある)は、着色剤の少なくとも1種と、樹脂微粒子の少なくとも1種と、水溶性有機溶媒の少なくとも1種と、水とを含み、必要に応じて界面活性剤等のその他の成分を含んで構成することができる。
本発明におけるインクは、フルカラーの画像記録に用いることができる。フルカラー画像を記録するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクやいわゆる印刷分野における特色インク等を用いることができる。
以下、インク成分について詳述する。
(着色剤)
着色剤としては、着色により画像を記録する機能を有するものであればよく、顔料や染料、着色微粒子も使用することができる。前記顔料のうちでも水分散性顔料が好ましい。
前記水分散性顔料の具体例として、下記(1)〜(4)の顔料を挙げることができる。
(1)カプセル化顔料、即ち、ポリマー微粒子に顔料を含有させてなるポリマー分散物であり、より詳しくは、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散可能にしたものである。
(2)自己分散顔料、即ち、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、より詳しくは、主にカーボンブラックなどを表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたものである。
(3)樹脂分散顔料、即ち、重量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物により分散された顔料
(4)界面活性剤分散顔料、即ち、界面活性剤により分散された顔料。
好ましい例として、(1)カプセル化顔料と(2)自己分散顔料を挙げることができ、特に好ましい例として、(1)カプセル化顔料を挙げることができる。
カプセル化顔料について詳述する。カプセル化顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒中で自己分散能または溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子の化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常、数平均分子量が1、000〜100、000範囲程度のものが好ましく、3、000〜50、000範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量がこの範囲であることにより、顔料における被覆膜として、またはインク組成物における塗膜としての機能を十分に発揮することができる。樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
カプセル化顔料の樹脂の具体例としては、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、フッ素系高分子化合物、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニル系、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系の材料、あるいはそれらの共重合体または混合物などのアニオン性基を有する材料などが挙げられる。
上記樹脂の中、アニオン性アクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以下、アニオン性基含有アクリルモノマーという)と、更に必要に応じてこれらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン基からなる群から選ばれる1個以上のアニオン性基を有するアクリルモノマーが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。
カルボキシル基を有するアクリルモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの中でもアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
カプセル化顔料は、上記した成分を用いて、従来の物理的、化学的方法によって製造することができる。本発明の好ましい態様によれば、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、または特開平11−43636号に開示されている方法によって製造することができる。
本発明において、自己分散型顔料も好ましい例として挙げることができる。自己分散型顔料とは、顔料表面に多数の親水性官能基および/またはその塩(以降、分散性付与基という)を、直接またはアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させたもので、分散剤なしに水性媒体中に分散可能な顔料である。ここで「分散剤なしに水性媒体中に分散」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても水性媒体中に分散可能な状態をいう。
自己分散型顔料を着色剤として含有するインクは、通常の顔料を分散させるために含有させる前述のような分散剤を含む必要が無いため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんど無く吐出安定性に優れるインクが調製しやすい。
自己分散型顔料の表面に結合される分散性付与基としては、−COOH、−CO、−OH、−SOH、−PO及び第4級アンモニウム並びにそれらの塩が例示でき、これらは、原料となる顔料に物理的処理または化学的処理を施すことで、分散性付与基または分散性付与基を有する活性種を顔料の表面に結合(グラフト)させることによって製造される。前記物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理等が例示できる。また前記化学的処理としては、例えば水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法等が例示できる。
本発明においては、次亜ハロゲン酸及び/または次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、またはオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散型顔料を好ましい例として挙げることができる。自己分散型顔料としては市販品を利用することも可能であり、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(以上商品名;キャボット社製)等が例示できる。
〜顔料〜
本発明において用いられる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
黒色系のものとしては、カーボンブラックの具体例は、Raven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000 ULTRAII、Raven 3500、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRAII、Raven1170、Raven1255、Raven1080、Raven1060、Raven700(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Black Pearls L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1、 Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex35、Printex U、Printex V、Printex140U、Printex140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.2200B、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明において使用可能な有機顔料としては、イエローインクの顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、14C、16、17、24、34、35、37、42、53、55、65、73、74、75、81、83、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、128、129、138、150、151、153、154、155、180等が挙げられる。
また、マゼンタインクの顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、48(Ca)、48(Mn)、48:2、48:3、48:4、49、49:1、50、51、52、52:2、53:1、53、55、57(Ca)、57:1、60、60:1、63:1、63:2、64、64:1、81、83、87、88、89、90、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、163、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219、269等、およびC.I.ピグメントバイオレット19が挙げられ、特に、C.I.ピグメントレッド122が好ましい。
また、シアンインクの顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、16、17:1、22、25、56、60、C.I.バットブルー4、60、63等が挙げられ、特に、C.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。
上記の顔料は、単独種で使用してもよく、また上記した各群内もしくは各群間より複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
〜分散剤〜
本発明において、カプセル化顔料あるいは樹脂分散顔料で用いられる分散剤としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等が使用できる。
例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの共重合体等が挙げられる。α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、酢酸ビニル、酢酸アリル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クロトン酸エステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、芳香族基を置換してもよいアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、芳香族基を置換してもよいメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、ビニルアルコール、並びに上記化合物の誘導体等が挙げられる。
上記α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独若しくは複数を共重合して得られる共重合体が高分子分散剤として使用される。具体的には、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
本発明の分散剤は、重量平均分子量で2,000〜60,000のものが好ましい。本発明の分散剤は、顔料に対する添加量比率が、質量基準で10%以上100%以下の範囲が好ましく、20%以上70%以下がより好ましく、更に好ましくは、40%以上50%以下である。
(水溶性有機溶媒)
インクジェット記録方式の水系インクにおいて、水溶性有機溶媒は乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で使用することができる。
ノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で乾燥防止剤が用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。
また、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で浸透促進剤として、水溶性有機溶媒が好適に使用される。
水溶性有機溶媒の例として、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ヒアルロン酸類;尿素類等のいわゆる固体湿潤剤;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
乾燥防止剤や湿潤剤の目的としては、多価アルコール類が有用であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
浸透剤の目的としては、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい例として挙げることができる。
本発明におけるインクに使用される水溶性有機溶媒は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。水溶性有機溶媒の含有量としては、1質量%以上60質量%以下、好ましくは、5質量%以上40質量%以下で使用される。
また、本発明におけるインクに使用される水の添加量は特に制限は無いが、好ましくは、10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは、30質量%以上80質量%以下である。更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
(樹脂微粒子)
本発明におけるインク組成物は、少なくとも1種の樹脂微粒子を含む。樹脂微粒子を含むことで形成された画像の耐擦過性をより向上させることができる。
本発明に用いられることができる樹脂微粒子あるいはポリマーラテックスとしては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂を好ましい例として挙げることができる。
樹脂微粒子の重量平均分子量は1万以上、20万以下が好ましく、より好ましくは10万以上、20万以下である。
樹脂微粒子の平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
樹脂微粒子の含有率はインクに対して、0.5〜20質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
樹脂微粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
また、ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つポリマー微粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
(界面活性剤)
本発明におけるインクは、必要に応じて界面活性剤を含むことができ、前記界面活性剤は表面張力調整剤として用いることができる。
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオン、アニオン、ベタイン界面活性剤が挙げられる。表面張力の調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、本発明のインクの表面張力を20〜60mN/mに調整する量が好ましく、より好ましくは20〜45mN/m、更に好ましくは25〜40mN/mに調整できる量である。
本発明における界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。更には、上記高分子物質(高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルポコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテ硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルポコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、t−オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、具体的には、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
本発明におけるインク組成物の界面活性剤の含有率は、特に限定されるものではないが、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
(その他成分)
本発明におけるインク組成物は、必要に応じてその他の成分として各種の添加剤を含むことができる。
その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。
防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ソルビン酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、調合される記録用インクに悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなど)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アンモニウム水酸化物(例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物)、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤などが挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
<インク物性>
本発明におけるインクの表面張力は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
また、本発明におけるインクの20℃での粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上13mPa・s未満、更に好ましくは2.5mPa・s以上10mPa・s未満である。
[画像記録方法]
本発明の画像記録方法は、記録媒体上に、インク組成物と接触して凝集物を生じさせる凝集剤と、前記一般式(1)で表される化合物とを含む処理液を付与する処理液付与工程と、前記記録媒体上に付与された処理液を乾燥する処理液乾燥工程と、前記処理液が付与された記録媒体上に、着色剤と、樹脂微粒子と、水溶性有機溶媒と、水とを含むインク組成物を付与するインク付与工程と、を含むことを特徴とする。
インク組成物の付与に先立って、一般式(1)で表わされる化合物を含む処理液が記録媒体上に付与され、処理液が乾燥されることによって、カールとハジキの発生を効果的に抑制することができ、記録画像の耐擦過性を向上させることができる。
また本発明の画像記録方法は、必要に応じてその他の工程を含んで構成することができる。
<処理液付与工程>
本発明における前記処理液の付与には、公知の液体付与方法を特に制限なく用いることができ、後述するインクジェット方式による付与であっても、スプレー、塗布ローラー等による付与であってもよい。本発明においては、インク組成物の付与領域およびその周辺領域に選択的に処理液を付与可能である点から、インクジェット方式による付与であることが好ましい。
また、記録媒体全体への全面付与であっても、インクジェット記録を行う領域への部分付与であってもよい。本発明においては、非画像部の光沢性、風合い維持の観点から、インクジェット記録を行う領域への部分付与であることが好ましい。
また、本発明における処理液付与工程には、上記インクセットにおける処理液を好適に用いることができる。
本発明における一般式(1)で表わされる化合物の作用は、例えば、次のように考えることができる。
インク組成物の付与に先立って、一般式(1)で表わされる化合物を含む処理液を記録媒体に付与することで、記録媒体上に水に対する接触角が、経時的に小さくなる領域を形成することができる。インク組成物が付与された直後は、水に対する接触角が大きい、すなわち撥水力が強いためインク組成物中の水の浸透を遅延させることができ、インク組成物が付与されてから、経時的に水に対する接触角が小さくなることで、次第にインクが濡れ広がりやすくなると考えることができる。その間に、例えば、乾燥除去工程を組み合わせることでカール、カックルの発生を抑制しながら、インクハジキの発生を抑制し、スジムラや耐擦過性を改良できると推測することができる。
本発明においては、カールとハジキ発生抑制の観点から、記録媒体上に処理液が付与・乾燥された領域における水に対する接触角は、接触角測定用の水が付与されてから、0.1秒後で85度以上、5秒後で70度以下となることが好ましく、0.1秒後で87度以上、5秒後で68度以下となることがより好ましい。
本発明における記録媒体上の処理液が付与された領域における水の接触角は、処理液を付与し、乾燥した後の記録媒体における水の接触角である。水の接触角は、測定装置としてDropMaster DM700(協和界面科学社製)を用いて、記録媒体上の処理液が付与された領域に、水1.0μlを滴下した後、所定時間が経過した時点での水の接触角を測定したものである。
水に対する接触角の経時的な変化は、一般式(1)で表わされる化合物の付与量と構造で適宜制御することができる。例えば、付与量を増やすことで接触角の大きさを大きくすることができる。また、化合物の構造を適宜選択することで接触角の経時的な変化量(減少量)を制御することができる。
また本発明における処理液付与工程における処理液の付与量としては、カールとカックルの発生抑制、インクハジキの発生抑制、画像の耐擦過性の観点から、一般式(1)で表される化合物の付与量として、0.01〜1.0g/mであることが好ましく、0.05〜0.5g/mであることがより好ましい。
<処理液乾燥工程>
本発明の画像記録方法においては、前記処理液付与工程で処理液を付与した後に、処理液中に含まれる水や水溶性有機溶媒等の少なくとも一部を乾燥除去する処理液乾燥工程を設ける。これにより、カールとカックル、およびハジキの発生をより効果的に抑制し、形成される画像の耐擦過性をより向上させることができる。
処理液乾燥工程は、記録媒体上に付与された処理液に含まれる溶媒(例えば、水、水溶性有機溶媒)の少なくとも一部を乾燥除去するものであれば特に制限はなく、送風、加熱等の通常用いられる方法によって行うことができる。
<インク付与工程>
本発明の画像記録方法は、着色剤と樹脂微粒子と水溶性有機溶媒と水とを含むインク組成物の少なくとも1種を、処理液が付与された記録媒体上に付与するインク付与工程を含む。記録媒体上の前記処理液が付与された領域にインク組成物を付与することにより、カールとカックル、およびインクハジキの発生を効果的に抑制することができ、耐擦過性が良好な画像を記録することができる。
本発明におけるインク付与工程は、画像記録性の観点から、インク組成物を後述するインクジェット記録方法によって付与するものであることが好ましい。
(インクジェット記録方法)
本発明に好ましいインクジェット記録方法として、インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を記録する方法を挙げることができる。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105の記載が適用できる。
画像を記録する際に、光沢性や耐水性を与えたり、耐候性を改善したりする目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても、後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。具体的には、特開2002−166638、特開2002−121440、特開2002−154201、特開2002−144696、特開2002−080759に記載された方法を好ましく用いることができる。
本発明の画像記録方法は、
第1の工程:インク組成物と接触して凝集物を生じさせる凝集剤と、一般式(1)で表わされる化合物とを含む処理液(プリント性を向上させる液体組成物)を記録媒体上に付与する工程と、
第2の工程:前記記録媒体上に付与された処理液を乾燥する工程と、
第3の工程:着色剤と、樹脂微粒子と、水溶性有機溶媒と、水とを含むインク組成物を、前記処理液が付与された記録媒体上に付与する工程と、
を少なくとも含むが、必要に応じてその他の工程を含んで構成することができる。
(その他の工程)
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥除去工程、加熱定着工程等が挙げられる。
前記乾燥除去工程(以下、単に「乾燥工程」ということがある)は、記録媒体上に付与された処理液、インク組成物等に含まれる溶媒の少なくとも一部を乾燥除去するものであれば特に制限はなく、送風、加熱等の通常用いられる方法によって行うことができる。
前記乾燥除去工程は、カールとカックルの発生抑制と画像の耐擦過性の観点から、インク組成物を付与する工程の後に設けることがより好ましい。
本発明における前記加熱定着工程としては、前記インクジェット記録方法で用いられるインク中に含まれる樹脂微粒子を溶融定着することができれば、それ以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<記録媒体>
本発明に使用できる記録媒体は特に制限がなく、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙など、セルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。これらのセルロースを主体とする一般印刷用紙は、通常の水性インクジェットによる画像記録においては、水性インクの溶媒(水、親水性有機溶媒等)によりカールしてしまい著しい品質上の問題を生じるが、本発明の画像記録方法によれば、カールの発生を抑制して画像記録することができる。
本発明の画像記録方法に用いられる記録媒体としては、一般に販売されているものを適宜選択して使用することができる。たとえば、王子製紙製「OKプリンス上質」、日本製紙製「しおらい」、および日本製紙製「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、王子製紙製「OKエバーライトコート」および日本製紙製「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙製「OKコートL」および日本製紙製「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙製「OKトップコート+」および日本製紙製「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙製「OK金藤+」および三菱製紙製「特菱アート」等のアート紙(A1)、およびインクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準であり、「重合度」は「平均重合度」を表す。
<インクの作製>
(1)シアン顔料インクCの作製
(顔料分散物の作製)
着色剤としてシアニンブルーA−22(PB15:3、大日精化社製)10gと、低分子量分散剤2−1の10.0gと、グリセリン4.0gと、イオン交換水26gとを攪拌混合させて粗分散液を調製した。次いで、超音波照射装置(SONICS社製 Vibra-cell VC-750、テーパーマイクロチップ:φ5mm、Amplitude:30%)を用いて、前記粗分散液に、超音波を間欠照射(照射0.5秒、休止1.0秒)で2時間照射して顔料を更に分散させ、20%顔料分散液とした。なお、低分子量分散剤2−1は下記化学式で表される化合物である。
Figure 2009214445
上述したものとは別に、以下に示す化合物を秤量した後、攪拌混合して、混合液Iを調製した。
(混合液I)
・ジプロピレングリコール(水溶性有機溶媒) 5.0g
・ジエチレングリコール(水溶性有機溶媒) 10.0g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1.1g
・イオン交換水 10.9g
この混合液Iを、攪拌した44%SBR分散液(樹脂微粒子:アクリル酸3%、Tg(ガラス転移点温度)30℃)23.0gにゆっくりと滴下して攪拌混合し、混合液IIを調製した。
得られた混合液IIを上記で得られた20%顔料分散液にゆっくりと滴下しながら攪拌混合して、インク組成物としてシアン顔料インクC(シアンインク)を100g調製した。
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGを用いて、顔料インクCのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(2)マゼンタ顔料インクMの作製
顔料インクCの調製において、顔料として使用したシアニンブルーA−22に代えて、Cromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)を用いた以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でマゼンタ顔料インクM(マゼンタインク)を作製した。
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、顔料インクMのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(3)イエロー顔料インクYの作製
顔料インクCの調製において、顔料として使用したシアニンブルーA−22に代えて、Irgalite Yellow GS(PY74、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でイエロー顔料インクY(イエローインク)を作製した。
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、顔料インクYのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(4)黒顔料インクKの作製
顔料インクCの調製において使用した顔料分散液の代わりに、顔料分散体CAB−O−JETTM_200(カーボンブラック、CABOT社製)を用いた以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でブラック色の黒顔料インクK(ブラックインク)を作製した。
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、顔料インクKのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
<処理液の作製>
(処理液1)
以下の材料を混合して、処理液1を作製した。
・マロン酸(凝集剤) 12g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・界面活性剤(例示化合物FS−4、X=Li) 5g
(一般式(1)で表わされる化合物)
・イオン交換水 63g
(処理液2)
以下の材料を混合して、処理液2を作製した。
・マロン酸(凝集剤) 12g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1g
・界面活性剤(例示化合物FS−8、X=Li) 2.5g
(一般式(1)で表わされる化合物)
・イオン交換水 64.5g
(処理液3)
以下の材料を混合して、処理液3を作製した。
・マロン酸(凝集剤) 12g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1g
・界面活性剤(例示化合物FS−12、X=Li) 2g
(一般式(1)で表わされる化合物)
・イオン交換水 65g
(処理液4)
以下の材料を混合して、処理液4を作製した。
・マロン酸(凝集剤) 12g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・界面活性剤(例示化合物FS−31、X=Li) 5g
(一般式(1)で表わされる化合物)
・イオン交換水 63g
(処理液5)
以下の材料を混合して、処理液5を作製した。
・マロン酸(凝集剤) 12g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・界面活性剤(例示化合物FS−33、X=Li) 4g
(一般式(1)で表わされる化合物)
・イオン交換水 64g
(処理液6)
以下の材料を混合して、処理液6を作製した。
・マロン酸(凝集剤) 12g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・界面活性剤(例示化合物FS−37、X=Li) 5g
(一般式(1)で表わされる化合物)
・イオン交換水 63g
(処理液7)
以下の材料を混合して、処理液7を作製した。
・クエン酸(凝集剤) 17g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・界面活性剤(例示化合物FS−4、X=Li) 5g
(一般式(1)で表わされる化合物)
・イオン交換水 58g
(処理液8)
以下の材料を混合して、処理液8を作製した。
・安息香酸(凝集剤) 10g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・界面活性剤(例示化合物FS−4、X=Li) 5g
(一般式(1)で表わされる化合物)
・イオン交換水 65g
(処理液9)
以下の材料を混合して、処理液9を作製した。
・マロン酸(凝集剤) 12g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1g
・界面活性剤1(下記構造式) 2g
・イオン交換水 65g
Figure 2009214445

(処理液10)
以下の材料を混合して、処理液10を作製した。
・マロン酸(凝集剤) 12g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1g
・シリコーン系界面活性剤 2g
(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、商品名:BYK-307 ビックケミー社製)
・イオン交換水 65g
(処理液11)
以下の材料を混合して、処理液11を作製した。
・マロン酸(凝集剤) 12g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 20g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1g
・イオン交換水 67g
<画像記録>
記録媒体としてA4サイズのマットコート紙(日本製紙製、商品名:ユーライト)を用い、下記表1に示す処理液と組み合わせて、下記画像記録条件で画像を記録した。
<打滴方式>
インク組成物として、上記で得られたシアン顔料インクC、マゼンタ顔料インクM、イエロー顔料インクY、黒顔料インクKを用い、表1に示す処理液を使用して、下記の条件で、4色シングルパス画像記録を実施した。
−処理液付与工程−
ヘッド :600dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッド
吐出液滴量:0、4.0pLの2値記録
駆動周波数:15kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
描画パターン:インク付与工程において、少なくとも1色のインクを付与する位置に対応するパターンを適用して、予め処理液を付与した。
−処理液乾燥工程−
次いで下記条件で処理液が付与された記録媒体を乾燥した。
風速 :15m/s
温度 :記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱した。
送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
−インク付与工程−
処理液が付与された記録媒体上に下記条件で、インク組成物を付与した。
ヘッド :1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置した。
吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録とした。
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
次いで下記条件でインクが付与された記録媒体を乾燥した。
−−インク用乾燥条件(送風乾燥)−−
風速 :15m/s
温度 :記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱した。
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
次いで下記条件で加熱定着処理を実施した。
−−定着−−
シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:90℃
圧力:0.8MPa
<評価>
−水の接触角−
インクを付与する前の記録媒体上の処理液が付与された領域における水の接触角を、DropMaster DM700(協和界面科学社製)を用いて、水1.0μlを滴下した後、0.1秒および5秒経過した時点での接触角として測定した。測定結果を表1に示す。
−カール評価−
記録媒体について、MD、CDそれぞれの方向に対して50mm×5mmサイズに断裁した試験片にインクを10g/mとなるよう打滴した。画像形成後、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.15−2:2000に規定されるカール曲率測定方法に準拠して、23℃、50%RH、8時間後のカール度を測定し、下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
〜評価基準〜
A:カール度10未満
B:カール度10以上20未満
C:カール度20以上30未満
D:カール度30以上
−耐擦過性試験−
インク組成物が付与された記録媒体について、印字直後、2cm四方のベタ部を指でこすり、白紙部分へのインクの転写度合いを目視で観察した。耐擦過性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表1に示す。
〜評価基準〜
A:インクの転写が全くなかった。
B:インクの転写が殆ど目立たなかった。
C:インクの転写が多少見られた。
D:インクの転写がひどかった。
−ベタ画像はじき試験−
単色でべタ印画した後の記録媒体表面のベタ部の濃度均一性、ハジキの発生を下記基準に従って目視評価で行った。
〜評価基準〜
A:ハジキが見られず、ベタ部の濃度が均一であった。
B:一部にわずかにハジキが発生したが、実使用上問題ないレベルであった。
C:小さなハジキが発生した。
D:ハジキの発生がひどく、実用性が極めて低かった。
Figure 2009214445
表1から、本発明の画像記録方法によれば、インク組成物の付与直後からの時間経過したがって水の接触角が大きくなることが分かる。また、カールの発生が抑制され、インクのハジキが少なく、耐擦過性に優れた画像を記録できることがわかる。

Claims (6)

  1. 着色剤と樹脂微粒子と水溶性有機溶媒と水とを含むインク組成物と、
    前記インク組成物と接触して凝集物を生じさせる凝集剤と下記一般式(1)で表わされる化合物とを含む処理液と、
    を含むインクセット。
    Figure 2009214445

    (式中、Rは水素原子またはフッ素原子を表わし、mは3〜16のいずれかの整数を表わし、YはS、SO、SOまたはOを表し、Lは構成する炭素原子が2以上の2価の基を表し、Xは水素イオンまたはカチオンを表す)
  2. 前記凝集剤は、2価以上の酸性物質であることを特徴とする請求項1に記載のインクセット。
  3. 着色されたインク組成物を用いて画像を記録する画像記録方法であって、
    記録媒体上に、インク組成物と接触して凝集物を生じさせる凝集剤と、下記一般式(1)で表わされる化合物とを含む処理液を付与する処理液付与工程と、
    前記記録媒体上に付与された処理液を乾燥する処理液乾燥工程と、
    前記処理液が付与された記録媒体上に、着色剤と樹脂微粒子と水溶性溶媒と水とを含むインク組成物を付与するインク付与工程と、を含む画像記録方法。
    Figure 2009214445

    (式中、Rは水素原子またはフッ素原子を表わし、mは3〜16のいずれかの整数を表わし、YはS、SO、SOまたはOを表し、Lは構成する炭素原子が2以上の2価の基を表し、Xは水素イオンまたはカチオンを表す)
  4. 前記インク付与工程後に、乾燥除去工程を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の画像記録方法。
  5. 前記記録媒体は、コート紙であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像記録方法。
  6. 前記凝集剤は、2価以上の酸性物質であることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の画像記録方法。
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