JP2009209565A - 杭着脱構造 - Google Patents

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【課題】杭とケーシングが自動で簡単かつ確実に着脱し得る杭着脱構造を提供する。
【解決手段】掘削機16にセットされるケーシング20と、ケーシング20の下端部に着脱可能に取付けられ、下端にビット24を有する杭23とを備え、杭23とケーシング20のいずれか一方には係止突起25が、いずれか他方には縦溝26aと横溝26bからなる鉤形の係止溝26がそれぞれ形成され、係止突起25が横溝26bに係止した状態で杭23はケーシング20に固定され、係止突起25が縦溝26aに移動した状態で杭23はケーシング20から離脱する。
【選択図】図3

Description

本発明は、杭着脱構造に関し、例えば、水中岩盤などの硬い地盤に打設する杭を、打設用のケーシングに対して着脱する杭着脱構造に関する。
防波堤などの水中構造物を構築する場合、硬い水中地盤に鋼管製の杭を打設することがある。
従来、このように、硬い水中地盤に杭を施工する杭施工方法としては、杭の先端にビットを取付け、この杭を掘削機にセットされたケーシングに結合させて、ケーシングを回転させながら杭を地中に貫入させて地盤に建て込むようにした方法がある(特許文献1参照)。
特開2000−45276号公報
上述のような従来の杭施工方法では、掘削に使用したビット付きの杭をそのまま本杭として利用するため、特殊鋼で形成される高価なビットも地中に埋設されてしまうことになり、資材の無駄遣いとなり、不経済であるという問題があった。そこで、掘削機にセットしたケーシングにビット付きのファーストチューブを取付け、ケーシングの回転降下によりファーストチューブでリング溝を掘削した後、そのファーストチューブに代えて杭をケーシングに取付けて、この杭をこのリング溝に打設することにより、ビット付きのファーストチューブを地中に埋設するという不経済の問題は解消される。しかしながら、この方法では、ケーシングに杭が結合・分離し得る杭着脱構造が必要とされる。以上のことが本発明の課題である。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、杭打設用のケーシングに対して杭が簡単かつ確実に結合・分離し得る杭着脱構造を提供することを目的とする。
本発明者は、杭とケーシングのいずれか一方には係止突起を、いずれか他方には係止溝をそれぞれ形成し、係止突起と係止溝の係合離脱により杭とケーシングが自動で簡単かつ確実に結合・分離し得ることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな杭着脱構造を発明するに至った。
(1) 削孔用の掘削機に建て込まれる管状のケーシングと、地盤に打設される管状の杭とを着脱する杭着脱構造であって、前記杭と前記ケーシングのいずれか一方には係止突起が形成され、いずれか他方には、前記係止突起が係合される、縦溝と横溝からなる鉤形の係止溝が形成され、前記ケーシングの下端部と前記杭の上端部とを嵌合させ、前記係止突起が前記横溝に係合した状態で前記杭は前記ケーシングに固定され、前記係止突起が前記縦溝に係合した状態で前記杭は前記ケーシングから離脱するようになっていることを特徴とする杭着脱構造。
(1)記載の溝掘削装置によれば、係止突起を縦溝に合わせて杭をケーシングに嵌合させた後、杭又はケーシングを回転させることにより、係止突起が横溝に係止した状態で杭はケーシングに固定され、ケーシングを逆回転させることにより、杭をケーシングから離脱させることができる。このように、杭とケーシングが回転操作のみで簡単かつ確実に結合・分離し得るので、掘削機にセットされたケーシングにより、杭を確実に地盤に打設することができる。
(2) 前記杭の下端部に回り止め用のビットが取付けられていることを特徴とする(1)記載の杭着脱構造。
(2)記載の杭着脱構造によれば、杭を打設したとき、ビットが地盤に食い込むので、ケーシングを打設時とは逆に回転させたとき、杭の連れ回りが防止され、杭からケーシングを確実に分離させることができる。
(3) 前記ケーシングの下端部には、段部を介して肉薄部が形成され、この肉薄部に前記杭の上端部を嵌合させて、前記段部に前記杭の上端を係合させることを特徴とする請求項1又は2記載の杭着脱構造。
(3)記載の杭着脱構造によれば、ケーシングの下端部に段部を介して肉薄部が形成されているので、肉薄部に杭を嵌合させたとき、杭と段部が係合し、杭打設時のケーシングからの力が段部から杭に加わって確実に杭貫入操作が行われる。
本発明の杭着脱構造によれば、杭打設用のケーシングに対して杭を簡単かつ確実に結合・分離させることができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態による杭着脱構造を備えた杭施工装置の側面図、図2は、ケーシングと杭の分離状態の拡大断面図、図3は、ケーシングと杭の結合状態の拡大断面図、図4は、図3のII−II線断面図である。
図1において、10は、杭打ちを行う場所に設置される台船であって、海底地盤11上に支柱12を介して設置されている。台船10上にはクレーン14(図5参照)が設置されている。また、台船10の前部には、杭打設用の架台15が設けられている。台船10の高さ位置は、台船10に取付けられた昇降装置17により決定するようになっている。
架台15上に掘削機16が設置されている。架台15上にはXY方向のレール(図示せず)が設けられ、掘削機16を駆動装置によりこのレール上に移動可能に設置することにより、掘削機16を掘削位置に設定できるようになっている。掘削機16には鋼管製のケーシング20が建て込まれている。ケーシング20の下端部には杭23が着脱可能に取付けられている。
図2に示すように、杭23は、鋼管等の杭本体23aと、杭本体23aの下端に固定された、杭挿入及び回り止め用のビット24と、杭本体の上端部の内面に設けられた係止突起25とを備えた構成のものである。ケーシング20の下端部には、段部20bを介して肉薄部20aが形成され、この肉薄部20aには、縦溝26aと横溝26bからなる鈎型の係止溝26が形成されている。
図2の分離状態から、杭23の係止突起25を係止溝26に合致させて、杭23をケーシングの肉薄部20aに嵌合させると、係止突起25は縦溝26aにはまって移動する。係止突起25が縦溝26aの上部に移動したとき、杭23を図4の矢印a方向に少し回転させると、図3に示すように、係止突起25が横溝26bに係合し、これにより、杭23はケーシング20に結合される。
ケーシング20と杭23を分離するときは、ケーシング20を図4の矢印b方向に少し回転させると、縦溝26aが係止突起25まで移動し、これにより、ケーシング20をクレーン14で引き上げれば、杭23はケーシング20から分離される。
上記実施形態では、係止突起25を杭23に、係止溝26をケーシング20に形成した構造であるが、係止突起25をケーシング20に、係止溝26を杭23に形成した構造でもよい。なお、図示の例では、係止突起25及び係止溝26を1箇所に形成した構造を示しているが、複数箇所に係止突起25と係止溝26を形成した構造でもよい。なお、ビット24は、掘削には使用しないので、後述するファーストチューブ21のビット21cより、強度も小さく個数も少なくてよい。
図5及び図6は、本発明の実施形態による杭着脱構造を適用した杭施工の工程図である。
図5の(1)は、台船の位置決め工程を示す。同図において、台船10上にはクレーン14が設置され、台船10の前部には架台15が設けられている。台船10を海底地盤11上に支柱12を介して海面13の上方に設置する。台船10の高さ位置は、台船10に取付けられた昇降装置17により決定される。
図5の(2)は、掘削機16の設置工程を示す。同図において、掘削機16はクレーン14のワイヤ18に取付けられたフック19に吊り下げられ、ワイヤ18を降ろすことにより、架台15上に設置する。
図5の(3)は、ファーストチューブ(掘削部材)21及びケーシングの建込み工程を示す。同図に示すように、長尺(継ぎ合わせて長尺にする連結式のもの)の鋼管製のケーシング20の先端に、ファーストチューブ21を取付ける。同図に示すように、ファーストチューブ21は、鋼管等の本体21aの下端には複数のビット21cが取付けられ、上端にはねじ等による接合部21bが設けられたもので、接合部21bをケーシング20の下端にねじ込むことにより、ケーシング20の下端に着脱可能に取付けている。ファーストチューブ21を取付けたケーシング20をクレーン14のフック19に吊り下げて、掘削機16に建て込む。
図5の(4)は、掘削機16による溝堀り工程を示す。同図に示すように、掘削機16によりケーシング20を回転させながら所定位置まで、下降させることにより、ファーストチューブ21のビット21cにより海底地盤11が削られ、図6の(5)に示すような所定深さのリング溝22が形成される。
図6の(5)は、削孔完了・ファーストチューブ引き抜き工程を示す。同図に示すように、ケーシング20をフックに掛けてクレーン14により引き上げることにより、ファーストチューブ21はリング溝22から引き抜かれる。ファーストチューブ21が掘削機16から出る位置までケーシング20を引き上げた後、ファーストチューブ21の接合部21bにおいてケーシング20から切離す。
次いで、ケーシング20の下端にファーストチューブ21に代えて杭23を取付ける(図3参照)。
図6の(6)は、杭建込み工程を示す。同図に示すように、上述のようにして、杭23を下端に取付けたケーシング20を掘削機16に建込む。
図6の(7)は、杭挿入工程を示す。同図に示すように、掘削機16によりケーシング20を回転させながら下降させてリング溝22に杭23を挿入し、ビット24をリング溝22の底部に突き立てる。
図6の(8)は、ケーシング20引き抜き工程を示す。ケーシング20を下降時とは逆に回転させて、杭23からケーシング20を離脱させ(図2参照)、ケーシング20をクレーン14のフック19に掛けて引き上げることにより、杭23を海中に残したままケーシング20のみ引き上げる。このようにして、杭23の施工を完了する。
以上のように、本発明による杭着脱構造は、杭23とケーシング20を相対的に回転させるだけで、係止突起25と係止溝26が係合又は離脱し、杭23とケーシング20が簡単かつ確実に結合又は分離することができ、掘削機16に建て込まれるケーシング20を用いての杭打設が可能となる。
なお、上記実施形態では、図6の(5)及び(8)におけるケーシング20の引き上げをクレーン14により行っているが、ケーシングの引上手段として、掘削機16を利用してもよい。また、上記実施形態では、図5の(1)〜図6の(5)における掘削時と、図6の(6)〜(8)における本杭建て込み時とで同一のケーシング20を使用した例を示しているが、掘削時と本杭建て込み時とでは異なるケーシングを使用することも可能である。
本発明の杭施工方法は、港湾工事や海洋工事で用いる水中構造物の構築に好適に用いることができるが、その他の杭打設にも適用可能である。
本発明の杭着脱構造を備えた杭打設装置の説明図である。 本発明の杭着脱構造の分離状態の断面図である。 本発明の杭着脱構造の結合状態の断面図である。 図3のII−II線断面図である 本発明の杭着脱構造が適用される杭施工の一例を示す工程図である。 本発明の杭着脱構造が適用される杭施工の一例を示す工程図である。
符号の説明
16 掘削機
20 ケーシング
20a 肉薄部
20b 段部
23 杭
24 ビット
25 係止突起
26 係止溝
26a 縦溝
26b 横溝

Claims (3)

  1. 削孔用の掘削機に建て込まれる管状のケーシングと、地盤に打設される管状の杭とを着脱する杭着脱構造であって、
    前記杭と前記ケーシングのいずれか一方には係止突起が形成され、いずれか他方には、前記係止突起が係合される、縦溝と横溝からなる鉤形の係止溝が形成され、前記ケーシングの下端部と前記杭の上端部とを嵌合させ、前記係止突起が前記横溝に係合した状態で前記杭は前記ケーシングに固定され、前記係止突起が前記縦溝に係合した状態で前記杭は前記ケーシングから離脱するようになっていることを特徴とする杭着脱構造。
  2. 前記杭の下端部に回り止め用のビットが取付けられていることを特徴とする請求項1記載の杭着脱構造。
  3. 前記ケーシングの下端部には、段部を介して肉薄部が形成され、この肉薄部に前記杭の上端部を嵌合させて、前記段部に前記杭の上端を係合させることを特徴とする請求項1又は2記載の杭着脱構造。
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