JP2009209235A - 樹脂組成物の成形物、及びその製造方法 - Google Patents

樹脂組成物の成形物、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂と、これらの複合体中のポリ乳酸樹脂に対して結晶化を促進する効果の高い結晶核剤とを含有する樹脂組成物が成形されて形成された成形物、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】結晶核剤としてレーキ顔料を用いる。または、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂としてポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂を用い、結晶核剤として少なくともポリ乳酸樹脂相に存在し得る結晶核剤、望ましくは選択的にポリ乳酸樹脂相に偏在して含有される結晶核剤を用いる。樹脂組成物を成形する工程の間にポリ乳酸樹脂を結晶化させるのがよい。この際、樹脂組成物の成形工程の期間内にポリ乳酸樹脂の結晶化を完了させるのがよいが、成形工程後に余熱で進行する結晶化によってポリ乳酸樹脂の結晶化を完了させるようにしてもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂とを含有する樹脂組成物が成形されて形成された成形物、及びその製造方法に関するものであり、詳しくは、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤の応用に関するものである。
従来用いられてきた多くの合成樹脂の原料は、石油や石炭や天然ガスなどの化石資源である。これらの合成樹脂には、近い将来、原料である化石資源が枯渇すること、廃棄された合成樹脂が自然界で分解されずに蓄積されること、焼却処理されるとその際排出される二酸化炭素が地球温暖化の一因になることなど、様々なことが懸念されている。
このため、化石資源を原料としない合成樹脂として、植物や微生物などから得られる原料を用いるバイオマスプラスチックが注目されている。バイオマス原料は、大気中の二酸化炭素が光合成によって固定されたものであるので、資源が枯渇するということがない。また、自然界で生分解されるので、廃棄された樹脂が自然界で分解されずに蓄積されるおそれが少ない。また、焼却処理されても、もともと大気中に二酸化炭素として含まれていた炭素が、バイオマスプラスチックとして一時的に利用された後、再び二酸化炭素として大気中に戻されるのであるから、大気中の二酸化炭素濃度の増加の原因になることはない。
バイオマスプラスチックの中でもポリ乳酸樹脂は、加工性および機械物性などが優れており、商業的に生産されているため、他のバイオマスプラスチックに比べて容易かつ安価に入手することができる。その用途は、生分解性を生かした漁業用・農業用・土木用資材(網やフィルムやシートなど)、工業用資材、機械部品、および医療用部材など、様々であるが、用途によっては耐熱性が要求される場合がある。
例えば、電気製品の筐体や構造材として用いるには、概ね80℃付近までは軟化しない耐熱性が必要であるとされている。ここでいう80℃付近で軟化しない耐熱性とは、80℃付近での曲げ弾性率(剛性)が1000MPa程度と十分に大きいことを意味する(曲げ弾性率(剛性)は、日本工業規格 JIS K-7171(ISO178)のプラスチック−曲げ特性の試験方法に基づいて測定した値とする。)。このような耐熱性を有する樹脂は、多くの場合、ガラス転移温度(Tg)が80℃よりも高い樹脂である。以下、この点について説明する。
ガラス転移温度とは、合成樹脂や天然ゴムなどの高分子物質で、ガラス転移点をもつ物質のガラス転移が起こる温度である。ガラス転移点をもつ物質の非結晶部分は、温度が低く、分子の熱運動が低調である場合には、高分子鎖の分子内回転が高分子鎖間の分子間力によって束縛されて凍結されている状態、すなわちガラス状態と呼ばれる状態にある。一方、温度が高く、分子運動が活発である場合には、高分子鎖の分子内回転が高分子鎖間の分子間力による束縛に抗して可能である状態、すなわちゴム状態と呼ばれる状態をとる。ガラス転移温度は、ガラス状態からゴム状態へ転移する温度である。樹脂の温度がガラス転移温度を越えると樹脂の変形が可能になるが、結晶が融解する温度、いわゆる融点と異なり、ガラス転移温度を越えても、変形力を加えない限り、樹脂はおおもとの形状を保つことができる。
ガラス転移温度以下の温度域では、汎用性の高い多くの樹脂は1000MPa以上の曲げ弾性率を保っている。一方、ガラス転移温度以上の温度域では、これらの樹脂の曲げ弾性率は1000MPaを下回り、このような状態では実用的な物性を保てなくなる。従って、樹脂が80℃付近で軟化しない耐熱性を有するためには、その樹脂のガラス転移温度が80℃以上であることが好ましい。
しかし、ポリ乳酸樹脂はガラス転移温度が60℃前後であり、その成形物は温度がこの温度を越えると変形してしまうことがあるなど、耐熱性が比較的低い欠点がある。このため、耐熱性が必要とされる用途にポリ乳酸樹脂を用いるには、その耐熱性を向上させる必要がある。
ポリ乳酸樹脂の耐熱性を向上させる方法の1つとして、ポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性の高い他の樹脂との複合体(ポリマーブレンドまたはポリマーアロイ)にする方法がある。ポリ乳酸樹脂と複合体化するのに適した樹脂としては、80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上である樹脂がよく、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、およびポリアセタール樹脂や、一部のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、およびアモルファスポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
また、ポリ乳酸樹脂の耐熱性を向上させる別の方法として、ポリ乳酸樹脂の一部を結晶化させ、結晶化部分の割合を増加させて固くし、耐熱性を改善する方法がある。例えば、成形中または成形後の熱処理によって、ポリ乳酸樹脂の一部を結晶化させ、耐熱性を改善することが提案されている。ポリ乳酸は結晶構造を取り得るが、結晶化しにくい高分子であるため、ポリ乳酸樹脂を通常の汎用樹脂と同じように成形すると非晶質となり、熱変形を生じやすい成形物となる。これに対し、成形中または成形後に熱処理を行うと、ポリ乳酸の一部を結晶化させることによって、成形物の耐熱性を向上させることができる。
ただし、ポリ乳酸樹脂の結晶化には、結晶化に長時間を要するという問題がある。例えば、通常の射出成形の1サイクルは、1分程度である。この成形サイクル時間に比してポリ乳酸樹脂の結晶化に要する時間ははるかに長いので、金型内でポリ乳酸樹脂の結晶化を完遂させようとすると、このために時間がかかりすぎ、射出成形工程の生産性が著しく低下することになり、現実的ではない。また、ポリ乳酸樹脂を通常の方法で結晶化させると、結晶サイズがミクロンオーダーからサブミクロンオーダー程度となり、結晶による光散乱が原因となって白濁し、ポリ乳酸樹脂の透明性が失われることがあるという問題もある。
これらの課題を解決するために、結晶核剤を添加して結晶化を促進することが検討され始めている。結晶核剤とは、結晶構造をとり得る高分子の一次結晶核となり、結晶性高分子の結晶成長を促進するものである。また、広義には結晶性高分子の結晶化を促進するものとされ、高分子の結晶化速度そのものを速くするものも結晶核剤と呼ぶことがある。前者の結晶核剤が樹脂に添加されると、高分子の結晶が微細となり、その樹脂の剛性が改善されたり、あるいは透明性が改善されたりする。また、前者および後者のいずれの結晶核剤でも、結晶化の速度を速めることができるので、結晶化に要する時間を短縮する効果があり、成形と同時に結晶化を行う場合には、成形サイクル時間を短縮できる効果がある。
ポリ乳酸樹脂に有効な結晶核剤としては、例えば、芳香環を有するホスホン酸金属塩(特開2006−89587号公報参照。)や、メラミン化合物塩(特開2005−272679号公報参照。)などが挙げられる。また、後述の特許文献1には、ポリ乳酸樹脂の結晶核剤としてアゾ顔料などを用いることが提案されている。
特開2005−17782号公報(第8−23頁、化学式1−23)
しかしながら、本発明者が調べたところ、ポリ乳酸樹脂の結晶核剤として提案されている多くの結晶核剤は、ポリ乳酸樹脂単独に用いた場合には効果があるものの、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優るポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、およびポリアセタール樹脂などとの複合体に対して用いた場合には、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する効果が激減することが判明した。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂と、これらの複合体中のポリ乳酸樹脂に対して結晶化を促進する効果の高い結晶核剤とを含有する樹脂組成物が成形されて形成された樹脂組成物、及びその製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂とを含有する樹脂組成物の成形物の製造方法であって、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤として溶性アゾ系レーキ顔料を前記樹脂組成物に含有させて成形する、第1の樹脂組成物の成形物の製造方法に係わり、また、ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優り、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂とを含有する樹脂組成物の成形物の製造方法であって、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤として、少なくともポリ乳酸樹脂相に含有される結晶核剤を前記樹脂組成物に含有させて成形する、第2の樹脂組成物の成形物の製造方法に係わるものである。
また、ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤とを含有し、前記結晶核剤が溶性アゾ系レーキ顔料である樹脂組成物が成形されて形成された、第1の樹脂組成物の成形物に係わり、また、ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優り、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤とを含有し、前記結晶核剤が少なくともポリ乳酸樹脂相に存在する樹脂組成物が、成形されて形成された、第2の樹脂組成物の成形物に係わるものである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂との複合体における前記ポリ乳酸樹脂の結晶化の促進に、溶性アゾ系レーキ顔料が効果的であることを見出し、前記第1の樹脂組成物の成形物及びその製造方法の発明を完成させるに到った。
更に、前記溶性アゾ系レーキ顔料が効果的である原因を鋭意検討する中で、前記第2の樹脂組成物の成形物及びその製造方法の発明を完成させるに到った。すなわち、後に実施例で説明するように、結晶核剤として前記溶性アゾ系レーキ顔料を用いた場合には、樹脂組成物において結晶核剤はポリ乳酸樹脂相に偏在する。一方、ポリ乳酸樹脂単独に対しては結晶化を促進する作用を有するものの、ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優り、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)との複合体に対しては、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する効果の無い結晶核剤を用いた場合には、これらの結晶核剤は樹脂組成物において前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂の相に偏在していた。上記の観察事実から、これらの結晶核剤が上記複合体に対して前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用を示さないのは、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂の相に取り込まれてしまうためであると考えられる。従って、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用を有し、且つ、樹脂組成物において少なくともポリ乳酸樹脂相に存在し得る結晶核剤を用いれば、上記複合体に対して前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する相応の効果が得られると結論することができる。
上記のように本発明の第1の樹脂組成物の成形物の製造方法および第2の樹脂組成物の成形物の製造方法では、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤の作用を十分に発揮させることができる。その結果、得られる本発明の第1の樹脂組成物の成形物および第2の樹脂組成物の成形物は、前記のポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂との複合体であるとともに、前記ポリ乳酸樹脂自体が結晶化によって耐熱性が向上しているので、ポリ乳酸樹脂単独からなる成形物はもちろん、従来のポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂との複合体からなる成形物と比べても、耐熱性が向上している。
なお、前記第2の樹脂組成物の成形物及びその製造方法の発明は、前記第1の樹脂組成物の成形物及びその製造方法の発明が端緒になって導かれたものではあるが、両者は同一発明ということではない。例えば、前記第1の樹脂組成物の成形物及びその製造方法で用いられる結晶核剤は前記溶性アゾ系レーキ顔料に限定されるが、後に実施例で示すように、前記第2の樹脂組成物の成形物及びその製造方法にはそのような限定は存在しない。一方、前記第2の樹脂組成物の成形物及びその製造方法で用いられる、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂は、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂に限定されるが、前記第1の樹脂組成物の成形物及びその製造方法にはそのような限定は存在しない。
本発明の第1の樹脂組成物の成形物及びその製造方法において、前記のポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂が、80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上の樹脂であるのがよく、具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリアセタール樹脂、並びに、80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上である、一部のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、及びアモルファスポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種類の樹脂であるのがよい。
また、前記溶性アゾ系レーキ顔料が下記の構造式(1)で示される第1の顔料(PY191系顔料)、又は下記の構造式(2)で示される第2の顔料(PR48系顔料)であるのがよい。
第1の顔料(PY191系顔料)の構造式(1):
第2の顔料(PR48系顔料)の構造式(2):
[式(1)及び(2)中、M2+は2価の金属イオンである。]
なお、記号PY191及びPR48は、The Society of Dyers and Colourists社発行のカラーインデックスに示される化合物であることを意味し、PはPigment、YはYellow、RはRedを意味する。上記Mとしては、例えば、ベリリウムBe、マグネシウムMg、カルシウムCa、ストロンチウムSr、バリウムBa、又はラジウムRaの第2族元素を挙げることができる。また、マンガンMn、コバルトCo、ニッケルNi、鉄Fe、銅Cu、および亜鉛Znなど、2価の金属イオンを作る元素であってもよい。
本発明の第2の樹脂組成物の成形物及びその製造方法において、前記結晶核剤が選択的に前記ポリ乳酸樹脂相に偏在しているのがよい。前記ポリ乳酸樹脂相に偏在する結晶核剤は、ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優り、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)との複合体に対して、前記ポリ乳酸樹脂の結晶核剤としての作用を効果的に発揮する。
また、前記のポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優り、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂が、80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上の樹脂であるのがよく、具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリアセタール樹脂、並びに、80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上である、一部のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、及びアモルファスポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種類の樹脂であるのがよい。種類の異なる有機高分子同士は、多くの組合せで相溶性をもたない。このことは熱力学的に、例えば、Flory-Huggins式などによって説明される(例えば、「実用ポリマーアロイ設計」(井手文雄著)参照。)。ポリ乳酸樹脂の場合、上記の樹脂とは相溶性がなく、溶融混錬しても、それぞれの相が分離して存在する。
また、前記結晶核剤として、その結晶核剤を単独のポリ乳酸樹脂に添加したとき、180℃から20℃/分の降温速度で降温測定した示差走査熱量測定(DSC)において、ポリ乳酸樹脂の結晶化によって100〜150℃の領域に、ポリ乳酸樹脂の単位質量当たりの発熱エンタルピー量が23J/g以上である発熱ピークが発現する結晶核剤を用いるのがよい。この条件を満たす結晶核剤は、実用上十分な性能を有する結晶核剤であると判定できる。
また、前記結晶核剤として、下記の構造式(3)で示される多環式顔料(PY110)を用いるのがよい。
多環式顔料(PY110)の構造式(3):
本発明の第1及び第2の樹脂組成物の成形物の製造方法において、前記樹脂組成物を成形する工程の間に前記ポリ乳酸樹脂を結晶化させるのがよい。この際、前記樹脂組成物の前記成形工程の期間内に前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を完了させるのがよい。あるいは、前記樹脂組成物の前記成形工程後に余熱で進行する結晶化によって、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を完了させるのがよい。
以下、本発明に関わる各項目について説明する。
<ポリ乳酸樹脂と、前記のポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂との配合量>
ポリ乳酸樹脂の配合量は、樹脂成分全量に対してポリ乳酸樹脂の割合が1〜99重量%、好ましくは10〜99%、さらに好ましくは45〜99%である。
<溶性アゾ系レーキ顔料>
レーキ顔料とは、水に可溶性の染料を沈殿剤で沈殿させて不溶性にした有機顔料のことをいう。有機顔料は、アゾ顔料、多環式顔料、およびその他の顔料(アルカリブルーなど)に分類される。
アゾ顔料は、アゾ基−N=N−を発色団としてもつ顔料である。アゾ顔料は、分子構造上、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、および縮合アゾ顔料などに分類される。モノアゾ顔料はアゾ基を1つもつ顔料である。ジスアゾ顔料は、2つのアゾ基を中心対称に有し、着色力が強い顔料である。縮合アゾ顔料は、縮合反応によって形成され、2つのアゾ基を有し、顔料としては分子量が大きく、耐熱性や耐溶剤性が高い顔料で、例えば、PR144、PR166、PR214、PR242、PBr23が挙げられる。
上記の分子構造上の分類とは別の分類として、溶性アゾ顔料と呼ばれる顔料がある。溶性アゾ顔料は、水溶性のアゾ染料のスルホン酸基−SO3Hやカルボキシル基−COOHを、カルシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩、マンガン塩、およびナトリウム塩などの、水に不溶性の金属塩としたアゾ系レーキ顔料である。
溶性アゾ系レーキ顔料は、例えば、下記の一般式(1)で示される化合物である。
一般式(1):
具体的には、例えば、下記の構造式(4)、(5)および(6)で示される化合物がある。
ブリリアントカーミン6Bの構造式(4):
レーキレッドの構造式(5):
パーマネントレッド2Bの構造式(6):
また、溶性アゾ系レーキ顔料には、例えば、下記の一般式(2)で示される化合物があり、具体的には、例えば、前記の構造式(1)で示されるPY191などがある。
一般式(2):
[一般式(1)および(2)、並びに構造式(4)〜(6)中、M2+は2価の金属イオンである。Mは、例えば、ベリリウムBe、マグネシウムMg、カルシウムCa、ストロンチウムSr、バリウムBa、又はラジウムRaの第2族元素である。また、マンガンMn、コバルトCo、ニッケルNi、鉄Fe、銅Cu、および亜鉛Znなど、2価のイオンを作る金属元素であってもよい。また、ここに挙げた金属元素に限定されることはない。]
<溶性アゾ系レーキ顔料でない結晶核剤>
また、前記第2の樹脂組成物を構成する結晶核剤であって、溶性アゾ系レーキ顔料でない結晶核剤の例として、ポリ乳酸樹脂とポリスチレン樹脂との複合体においてポリ乳酸樹脂相に偏在し、ポリ乳酸樹脂を効果的に結晶化させる、前記の構造式(3)で示される多環式顔料PY110を挙げることができる。
また、ポリ乳酸に有効な結晶核剤として提案されている、例えば、芳香環を有するホスホン酸金属塩(特開2006-89587号公報)、メラミン化合物塩(特開2005-2726791号公報)、芳香族スルホン酸塩(特再WO 05/068554号公報)、アミド系化合物(特許3989406号公報)、アミド系化合物(例えば、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアニリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、N,N’−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ジシクロヘキサンカルボニル−1,5−ジアミノナフタレン)(特許3671547号公報)の中にも有効な結晶核剤が存在すると考えられるが、これらに限られることはない。
<樹脂に対する結晶核剤の添加量>
本発明で用いられる結晶核剤は、なるべく粒子サイズが小さいものが好ましい。より具体的には、粒子の粒径が約10μm以下であることが好ましく、粒径が約1μm以下であることがより好ましく、粒径が約0.1μm以下であることが最も好ましい。また、粒子径が大きい物を微粉砕して微粒子を得てから使用することができる。
微粉砕には従来公知の方法が適用できる例えば、機械的な粉砕方法、化学的方法のいずれでもよい。機械的な粉砕方法には、ボールミルによる方法、ソルトミリングによる方法、凍結粉砕等が挙げられる。あるいは、ジェットミル、エアーハンマーと呼ばれる粉砕方法も適用できる。これらの方法は、粒子を気流とともに2方向から衝突させて粉砕する方法である。化学的な方法としては、再結晶や噴霧乾燥等が挙げられる。結晶核剤である上記結晶核剤を所定の溶媒に溶解させ、再結晶によって微粒子を得ることもできる。すなわち、温度による溶解度の相違を利用して高温の結晶核剤の飽和溶液を冷却したり、溶媒を蒸発させて濃縮したり、溶液に他の適当な溶媒を加えて溶解度を減少させたりする等の方法により微粒子が得られる。あるいは、結晶核剤を溶解させた溶液を噴霧させて溶媒を気化させて微粒子を得る噴霧乾燥も適用できる。その他、従来公知の微粒子作製方法をいずれも適用できる。
本発明に係る樹脂組成物において、結晶核剤の配合割合が、結晶構造を取り得るポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲内である。より好ましくは、結晶核剤の配合割合が、結晶構造を取り得るポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部の範囲内である。
<ポリ乳酸>
本発明で用いられるポリ乳酸は、公知の方法に従って製造することができる。例えば、ラクチド法、多価アルコールと多塩基酸との重縮合、または分子内に水酸基とカルボキシル基とを有するヒドロキシカルボン酸の分子間重縮合などの方法により製造することができる。
ポリ乳酸は通常、環状ジエステルであるラクチド及び対応するラクトン類の開環重合による方法、いわゆるラクチド法により、また、ラクチド法以外では、乳酸の直接脱水縮合法により得ることができる。また、ポリ乳酸系脂肪族系ポリエステルを製造するための触媒としては、錫、アンチモン、亜鉛、チタン、鉄、またはアルミニウム化合物等を例示することができ、中でも錫系触媒、アルミニウム系触媒を用いることが好ましく、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトナートを用いることがより好ましい。
ラクチド開環重合により得られるポリL−乳酸が、ポリ乳酸の中でも好ましい。かかるポリL−乳酸は加水分解されてL−乳酸になり、かつその安全性も確認されているためである。本発明で使用するポリ乳酸はこれに限定されることはなく、したがって、その製造に使用するラクチドについてもL体に限定されない。
また、本発明においては、ポリ乳酸として市販品を用いることもできる。例えば、ラクティ(商品名、島津製作所株式会社製)、レイシア(商品名、三井化学株式会社製)またはNature Works(商品名、Cargill Dow Polymer LLC株式会社製)、U’z(商品名、トヨタ自動車等)等が挙げられる。
<ポリカーボネート>(例えば、特開2006-131828号公報参照。)
本発明の樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂としては、特に制限はなく、種々のものが挙げられるが、下記の一般式(3)で表される構造の繰り返し単位を有する重合体が好適である。
ポリカーボネート樹脂の一般式(3)
上記一般式(3)において、R1およびR2は、それぞれ、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素、ヨウ素)または炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基)、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基)である。
mおよびnは、それぞれ、0〜4の整数であって、mが2〜4の場合はR1は互いに同一であっても異なっていてもよいし、nが2〜4の場合はR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
Zは、炭素数1〜8のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基など)、炭素数2〜8のアルキリデン基(例えば、エチリデン基、イソプロピリデン基など)、炭素数5〜15のシクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)、または炭素数5〜15のシクロアルキリデン基(例えば、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基など)、あるいは単結合、−SO2−、−SO−、−S−、−O−、−CO−結合、もしくは次の構造式(7)あるいは式(8)で表される結合を示す。
構造式(7)または(8):
上記重合体は、通常、下記の一般式(4)表される2価フェノールと、ホスゲンなどのカーボネート前駆体とを反応させることによって容易に製造することができる。即ち、例えば、塩化メチレン等の溶媒中において、公知の酸受容体や分子量調節剤の存在下、2価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により製造することができる。また、2価フェノールと炭酸エステル化合物のようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応などによっても製造することができ。
一般式(4):
[式中、R1、R2、Z、mおよびnは、一般式(3)と同じである。]
一般式(4)で表される2価フェノールとしては、様々なものを挙げることができる。特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[通称、ビスフェノールA]が好ましい。ビスフェノールA以外の2価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどが挙げられる。この他、2価フェノールとしては、ハイドロキノンなどが挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。炭酸エステル化合物としては、例えば、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートなどを挙げることができる。
ポリカーボネート樹脂は、上記の2価フェノールの1種を用いたホモポリマーであってもよく、また、2種以上を用いたコポリマーであってもよい。更に、多官能性芳香族化合物を上記2価フェノールと併用して得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。その多官能性芳香族化合物は、一般に分岐剤と称され、具体的には、1,1,1−トリス(4−ヒドキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1−[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)などが挙げられる。
このような特性を有するポリカーボネート樹脂は、例えば、タフロンFN3000A、FN2500A、FN2200A、FN1900A、FN1700A、FN1500A〔商品名,出光興産(株)製〕のような芳香族ポリカーボネート樹脂として市販されている。
<ポリスチレン系樹脂>(例えば、特開平2-173137号公報参照。)
ポリスチレン系樹脂はそれ自体公知であり、下記の一般式(5)で表される構成単位をその重合体中に少なくとも25重量%以上有するものである。
一般式(5):
式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基であり、Qはハロゲン原子または炭素原子数1〜4のアルキル基である置換基を表し、jは0〜5の整数である。このようなポリスチレン系樹脂としては、スチレンもしくはその誘導体たとえばp‐メチルスチレン、α‐メチルスチレン、α‐メチル‐p‐メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の単独重合体および共重合体が挙げられる。共重合体としては、たとえばポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、EPDM、エチレン−プロピレン共重合体、天然ゴム、エピクロロヒドリンの如き天然または合成エラストマー物質の混合あるいはこれらで変性したスチレン系重合体、さらには、スチレン含有共重合体、たとえば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)を挙げることができる。本発明で好適に使用されるポリスチレン系樹脂はホモポリスチレン、ゴム成分で変性されたハイインパクトポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)およびシンジオタクティック構造を有するポリスチレンからなる群から選択される少なくとも1種のポリスチレンである。
シンジオタクティック構造を有するポリスチレンは、それ自体は既に公知であり、いわゆる立体化学構造が主としてシンジオタクティック構造を有するポリスチレンのことである。シンジオタクティック構造は核磁気共鳴法で確認することができるが、シンジオタクティシティとして少なくとも50%以上有するのが好ましい。
本発明で使用されるポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、3万以上の範囲にあるものが望ましく、特に5万以上の範囲にあるものが望ましい。このようなポリスチレン系樹脂をポリフェニレンエーテル系樹脂とともに使用することで、耐熱性、機械強度、流動性、寸法安定性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
<添加剤>
本発明の複合組成物には、難燃剤、潤滑剤、ワックス類、熱安定剤、補強材、無機・有機フィラー、酸化防止剤、および紫外線吸収剤等の各種添加剤を加えてもよい。
添加剤の含有量は特に制限されないが、0.1以上50重量%未満とすることが好適である。0.1重量%未満であると、それぞれの機能が発現されにくく、60重量%を超えると、本発明の複合組成物が目的とする物性(耐熱性、保存耐久性)や成形性、耐衝撃性を阻害するおそれがあるためである。
<<難燃剤>>
難燃剤としては、リン系難燃化合物以外では、例えば、各種のホウ酸系難燃化合物、無機系難燃化合物、チッソ系難燃化合物、ハロゲン系難燃化合物、有機系難燃化合物、コロイド系難燃化合物等が挙げられる。具体的な材料を以下に示すが、これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
ホウ酸系難燃化合物としては、例えば、ホウ酸亜鉛水和物、メタホウ酸バリウム、ほう砂等の化合物が挙げられる。
無機系難燃化合物としては、例えば、硫酸亜鉛、硫酸水素カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンチモン、硫酸エステル、硫酸カリウム、硫酸コバルト、硫酸水素ナトリウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸ニッケル、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸金属化合物、硫酸アンモニウム等のアンモン系難燃化合物、フェロセン等の酸化鉄系燃焼触媒、硝酸銅等の硝酸金属化合物、酸化チタン等のチタンを含有する化合物、スルファミン酸グアニジン等のグアニジン系化合物、その他、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、錫系化合物、炭酸カリウム等の炭酸塩化合物、水酸化アルミニウム、または水酸化マグネシウム等の水酸化金属、およびこれらの変性物が挙げられる。
チッソ系難燃化合物としては、例えば、トリアジン環を有するシアヌレート化合物等が挙げられる。
ハロゲン系難燃化合物としては、例えば、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス・ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、エチレンビス・テトラブロモフタルイミド、ジブロモエチル・ジブロモシクロヘキサン、ジブロモネオペンチルグリコール、2,4,6−トリブロモフェノール、トリブロモフェニルアリルエーテル、テトラブロモ・ビスフェノールA誘導体、テトラブロモ・ビスフェノールS誘導体、テトラデカブロモ・ジフェノキシベンゼン、トリス−(2,3−ジブロモプロピル)−イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、トリブロモスチレン、トリブロモフェニルマレイニド、トリブロモネオペンチル・アルコール、テトラブロモジペンタエリスリトール、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモフェノール、ペンタブロモトルエン、ペンタブロモジフェニルオキシド、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモフェノールエーテル、オクタジブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルオキシド、マグネシウムヒドロキシド、ジブロモネオペンチルグリコールテトラカルボナート、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン、臭化スチレン、またはジアリルクロレンデート等のハロゲンを含有する難燃化合物が挙げられる。
有機系難燃化合物としては、例えば、無水クロレンド酸、無水フタル酸、ビスフェノールAを含有する化合物、グリシジルエーテル等のグリシジル化合物、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、変性カルバミド、シリコーンオイル、または二酸化ケイ素、低融点ガラス、オルガノシロキサン等のシリカ系化合物が挙げられる。
コロイド系難燃化合物としては、例えば、従来公知の難燃性を有する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、カオリンクレー等の水和物、硝酸ナトリウム等の硝酸化合物、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物、ドーソナイト、またはプロゴパイト等の難燃性化合物のコロイド等が挙げられる。
難燃系添加物は、例えば焼却処分の際に有毒ガスの発生等、廃棄の際に環境に負荷を与えないものが好ましい。
このような環境配慮の観点から、難燃系添加物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、若しくは水酸化カルシウム等の水酸化物系化合物や、上述したようなリン系化合物、特にリン酸アンモニウム、若しくはポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム系化合物や、二酸化ケイ素、低融点ガラス、若しくはオルガノシロキサン等のシリカ系化合物等が好ましい。
難燃系添加物のシリカ系化合物としては、二酸化ケイ素の含有率が約50%以上のものが好適である。シリカ系化合物が天然由来の鉱物から採取されることから、シリカ系化合物以外の物質(例えば、MgO、CaO、Fe23、Al23等)が、ある程度の含有されてしまうが、難燃効果が不純物により阻害されないことが望ましい。
難燃系添加物の水酸化物系化合物としては、純度が約99.5%以上であるものが好適である。純度が高いほど、後述する加水分解制御剤と組合せたときの保存安定性が向上するためである。
水酸化物系化合物の純度は、公知の方法で測定できる。例えば、水酸化物系化合物に含まれている不純物の含有量を公知の方法で測定し、全体量から前記不純物の含有量を減じれば、水酸化物系化合物の純度を得ることができる。具体的には、例えば水酸化アルミニウムの場合、不純物としてはFe23、SiO2、T−Na2O、S−Na2O等が挙げられる。Fe23の含有量は炭酸ナトリウム−ホウ酸液に融解後、O−フェナントロリン吸光光度法(JIS H 1901)により求められる。SiO2の含有量は炭酸ナトリウム−ホウ酸液に融解後、モリブテン青吸光光度法(JIS H 1901)により求められる。
T−Na2Oの含有量は硫酸に融解後、フレーム光度測定法で、S−Na2Oは温水抽出後、フレーム光度測定法で求められる。上記により求められた含有量を水酸化アルミニウムの重量より減じることにより水酸化物の純度を得ることができる。もちろん99.5%以上の純度があれば、異なる複数種の難燃系水酸化物系化合物を組合せて用いることができる。
上述した難燃系添加物の形状は、特に限定されないが、粒状が好ましい。粒子径は、種類に応じて適宜選択する。
例えば、難燃系添加物がSiO2やガラス等のシリカ系化合物である場合、レーザー回折法により求められる平均粒径が約50μm以下であることが好ましい。なお、この場合において、粒度分布については特に限定されない。
また、難燃系添加物が、Al(OH)3、Mg(OH)2、Ca(OH)2等の水酸化物系化合物である場合、レーザー回折法により求められる平均粒子径が約100μm以下であることが好ましい。なお、この場合においても粒度分布は特に限定されない。
本発明の複合組成物を用いて成形品を作製する際の、成形プロセスにおける射出成形性や、混練時の分散性を考慮すると、難燃系添加物の平均粒子径は、上記範囲とすることが好ましく、上記範囲の中でも、数値的に小さい方がより好適である。
なお、組成物への充填率を向上させるため、平均粒子径の異なる複数種の難燃系添加剤を組合せて用いてもよい。
さらに、難燃系添加物が、Al(OH)3、Mg(OH)2、Ca(OH)2等の水酸化物系化合物である場合は、窒素ガス吸着法により求められるBET比表面積が約5.0m2/g以下の粒子が好適である。
なお、組成物への充填率を向上させるため、BET比表面積の異なる複数種の難燃系水酸化化合物を組合せて用いてもよい。
また、成形性について考慮しても、BET比表面積は、約5.0m2/g以下が好適であり、特に小さい方がより好ましい。
難燃系添加物の添加量は、本発明の複合組成物の機械的強度が確保できる範囲で任意に定める。具体的には、難燃系添加物が、Al(OH)3、Mg(OH)2、Ca(OH)2等の水酸化物系化合物である場合には、約5〜50重量%程度、好ましくは約7.5〜45重量%程度、更には約10〜40重量%程度とすることが望ましい。
難燃系添加物が、(NH4)3(PhO3n+1)n+2(nは自然数)等のポリリン酸アンモニウム系化合物の場合は、約1〜25重量%程度、好ましくは約2〜20重量%程度、更には、約3〜15重量%程度とすることが望ましい。難燃系添加物が、SiO2やガラス等のシリカ系化合物である場合は、約5〜40重量%程度、好ましくは約10〜35重量%程度、更には約15〜30重量%程度とすることが望ましい。
<<補強材>>
補強材としては、例えばガラスマイクロビーズ、植物繊維、ガラス繊維などの繊維類、チョーク、ノボキュライト(novoculite)等の石英、アスベスト、長石、雲母、タルク、ウォラストナイト等のケイ酸塩、カオリン等が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、炭素、二酸化珪素の他、アルミナ、シリカ、マグネシア、またはフェライト等の金属酸化微粒子、タルク、マイカ、カオリン、ゼオライト等の珪酸塩類、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、窒化珪素、炭化珪素などの珪化物、炭化硼素、窒化硼素等の硼化物、またはフラーレン等の微粒子、またはウイスカー状の炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、珪酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム等が挙げられる。
有機フィラーとしては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、またはテフロン(登録商標)樹脂が挙げられる。
特に炭素、二酸化珪素、珪化物が好適である。上述した各種フィラーは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<<酸化防止剤>>
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、またはキノリン系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のC2−10アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6 アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のジまたはトリオキシC2−4 アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6 アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばグリセリントリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のC3−8アルカントリオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のC4−8アルカンテトラオールテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばn−オクタデシル−3−(4’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、ステアリル−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンムアミド)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、または1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、またはN−フェニル−N’−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス[2,4−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−フェニルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物;トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルフェニル−p−アニシルホスフィン、p−アニシルジフェニルホスフィン、p−トリルジフェニルホスフィン、ジ−p−アニシルフェニルホスフィン、ジ−p−トリルフェニルホスフィン、トリ−m−アミノフェニルホスフィン、トリ−2,4−ジメチルフェニルホスフィン、トリ−2,4,6―トリメチルフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−o―アニシルホスフィン、トリ−p−アニシルホスフィン、または1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン等のホスフィン化合物等が挙げられる。
ヒドロキノン系酸化防止剤としては、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等が挙げられる。
キノリン系酸化防止剤としては、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
上記酸化防止剤の中でも、特に、フェノール系酸化防止剤(特に、ヒンダードフェノール類)、例えば、ポリオール−ポリ[(分岐C3−6 アルキル基およびヒドロキシ基置換フェニル)プロピオネート]等が好適である。
上述した酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<<熱安定剤>>
熱安定剤としては、例えばポリアミド、ポリ−β−アラニン共重合体、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、メラミン、シアノグアニジン、メラミン−ホルムアルデヒド縮合体等の塩基性窒素含有化合物等の窒素含有化合物、有機カルボン酸金属塩(ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等)、金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等)、金属炭酸塩等のアルカリ、またはアルカリ土類金属含有化合物、ゼオライト、またはハイドロタルサイト等が挙げられる。
特に、アルカリまたはアルカリ土類金属含有化合物(特にマグネシウム化合物やカルシウム化合物等のアルカリ土類金属含有化合物)、ゼオライト、またはハイドロタルサイト等が好適である。
上述した熱安定剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<<紫外線吸収剤>>
紫外線吸収剤としては、従来公知のベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリチレート系またはシュウ酸アニリド系等が挙げられる。
具体的には、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキメトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシオクトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシドデシロキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシベンジロキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシメトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、または[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシオクトキシベンゾフェノン)−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
上述した紫外線吸収剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<<潤滑剤>>
潤滑剤としては、例えば、流動パラフィン等の石油系潤滑油、ハロゲン化炭化水素、ジエステル油、シリコン油、フッ素シリコン等の合成潤滑油、各種変性シリコン油(エポキシ変性、アミノ変性、アルキル変性、ポリエーテル変性等)、ポリオキシアルキレングリコール等の有機化合物とシリコンとの共重合体等のシリコン系潤滑性物質、シリコン共重合体、フルオロアルキル化合物等の各種フッ素系界面活性剤、トリフルオロ塩化メチレン低重合物等のフッ素系潤滑物質、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類、高級脂肪族アルコール、高級脂肪族アミド、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸塩、または二硫化モリブデン等が挙げられる。
特に、シリコン共重合体(樹脂にシリコンをブロックやグラフトにより重合させたもの)が好適である。
シリコン共重合体としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチラール系樹脂、メラミン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂またはポリビニルエーテル系樹脂等に、シリコンをブロックまたはグラフト重合させたものであればよく、シリコングラフト共重合体を用いることが好ましい。
上述した潤滑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
ワックス類としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ミクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、脂肪酸アミド系ワックス、高級脂肪族アルコール系ワックス、高級脂肪酸系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス等を適用できる。
上述したワックス類は、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
<<着色剤>>
着色剤としては、無機顔料、有機顔料、または染料等が挙げられる。これらの顔料は必要に応じて着色目的で添加してもよい。
<<加水分解抑制剤>>
ポリ乳酸は加水分解性をもつ樹脂である。ポリ乳酸は空気中などの水分により、加水分解をおこし時間とともに分子量が低下する。ポリ乳酸は分子量低下に伴い、耐衝撃性、耐熱性など機械物性が低下するため、加水分解を抑制する必要があることがある。加水分解を抑制するために加水分解抑制剤を添加することができる。
加水分解抑制剤としては、例えば、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン系化合物などが適用可能である。特にカルボジイミド化合物がポリ乳酸と溶融混練でき、少量の添加でポリ乳酸の加水分解をより抑制できるために好ましい。
カルボジイミド化合物は分子中に一個以上のカルボジイミド基を有する化合物であり、ポリカルボジイミド化合物をも含む。このカルボジイミド化合物に含まれるモノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、またはナフチルカルボジイミド等を例示することができ、これらの中でも、特に工業的に入手が容易であるジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好ましい。
イソシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、または3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
オキサゾリン系化合物としては、例えば、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(−4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、または2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。
上述のような加水分解抑制剤は、公知の方法に従って容易に製造することができ、また市販品を適宜使用することができる。
本発明で用いる加水分解抑制剤の種類または添加量により、樹脂組成物の加水分解速度を調整することができるので、目的とする製品に応じ、配合する加水分解抑制剤の種類および配合量を決定すればよい。具体的には、加水分解抑制剤の添加量が、樹脂組成物の全質量に対して、通常約5質量%以下、好ましくは0を超え約1質量%である。また、加水分解抑制剤は、上記化合物を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<種々の処理>
本発明の複合組成物には、従来公知の種々の処理を施してもよい。
例えば、ポリ乳酸の加水分解を抑制するために、活性エネルギー線を照射させてもよい。この場合、活性エネルギー線源としては、例えば電磁波、電子線、または粒子線、およびこれらの組合せが挙げられる。
電磁波としては、紫外線(UV)、エックス線等が挙げられ、粒子線としては、陽子、中性子等の素粒子の線が挙げられる。特に、電子加速器の使用による電子線照射処理を施すことが望ましい。
活性エネルギー線は、公知の装置を用いて照射することができる。例えば、UV照射装置、電子加速器等が挙げられる。照射線量、および照射強度は、本発明の複合組成物において、効果的にポリ乳酸の加水分解を遅延する範囲であれば、とくに限定されない。例えば、電子線の場合、加速電圧が、約100〜5000kV程度が好ましく、照射線量としては、約1kGy程度以上が好ましい。
<成形物の製造方法>
本発明の複合組成物を用いて成形品を製造する方法としては、例えば、圧空成形、フィルム成形、押出成形、または射出成形等が挙げられ、特に射出成形が好ましい。
具体的には、押出成形は、常法に従い、例えば単軸押出機、多軸押出機、タンデム押出機等の公知の押出成形機を用いて行うことができる。
また、射出成形は、常法に従い、例えばインラインスクリュ式射出成形機、多層射出成形機、二頭式射出成形機等の公知の射出成形機にて行うことができる。
<樹脂組成物の用途>
樹脂組成物は、種々の成形品用途に応用可能である。
例えば、デジタルバーサタイルディスク(DVD)プレーヤー、コンパクトディスク(CD)プレーヤー、アンプ等の据置型の音響映像(AV)機器、スピーカー、車載用AV/情報通信(IT)機器、携帯電話端末、電子書籍等の携帯情報端末(PDA)、ビデオテープレコーダー(VTR)、テレビ(TV)、プロジェクター、テレビ受信機器、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、プリンタ、ラジオ、ラジカセ、システムステレオ、マイク、ヘッドフォン、キーボード、ヘッドフォンステレオ等の携帯型音楽機器、パソコン、およびパソコン周辺機器等の電気製品の筐体等の各種成形品のいずれにも適用可能である。
なお、電気製品の筐体だけでなく、電気製品を構成する部品や梱包材等の用途にも適用可能であり、その他、自動車内装材等にも適用可能である。
<樹脂組成物の成形物の用途>
本発明の樹脂組成物の成形物の用途としては、例えば発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、機遮断機、ナイフスイッチ、多極ロッド、電機部品キャビネット、ライトソケット、各種端子板、プラグ、またはパワーモジュール等の電気機器部品、センサー、発光ダイオード(LED)ランプ、コネクター、抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、変成器、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、フロッピーディスク(登録商標、FD)、または光磁気ディスク(登録商標)等の記憶装置、小型モーター、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDドライブキャリッジ、FDドライブシャーシ、インクジェットプリンタ、または熱転写プリンタ等のプリンタ、プリンタ用インクのケース、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、またはコンピューター関連部品等に代表される電子部品、VTR部品、テレビ部品、テレビ、またはパソコン等の電気または電子機器の筐体、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響製品、またはオーディオディスク、レーザーディスク(登録商標、LD)、CD等の音声機器部品、照明部品、冷凍庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、またはワードプロセッサー部品等に代表される家庭用および事務用電機製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、またはタイプライター等に代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、または時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、集積回路(IC)レギュレーター、ライトデイヤー用ポテンシオメーターベース、または排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボデイー、キャブレタースペサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウエアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房用風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウオーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基盤、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、または点火装置ケース等の自動車・車両関連部品、または包装材料等が挙げられる。
加えて、それら電気製品を保護する保護ケースも例示できる。例えば、防水仕様ではないデジタルカメラを収容し、水のかかる環境で使用できるようにするマリンケースと呼ばれることのある防水ケースである。また、それら電気製品を収納保管するための収納ケース、また収納運搬するための運搬ケースも挙げられる。また、種々の光ディスク(LD、CD、DVD、HD−DVD(登録商標)、ブルーレイディスク(登録商標)、ミニディスク(登録商標)、光磁気ディスクなど)などの情報記録媒体も挙げられる。加えて、これらを収納保管するケース、いわゆるジュエルケースも挙げられる。また、歯車、歯車の回転軸、軸受け、ラック、ピニオン、カム、クランク、クランクアーム等の機械機構部品、そしてホイール、車輪等にも適用できる。
車載機器用の上記に挙げられたような電機・電子機器類、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトデイヤー用ポテンシオメーターベース、または排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボデイー、キャブレタースペサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウエアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房用風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウオーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基盤、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、または点火装置ケース等の自動車・車両関連部品、または包装材料等が挙げられる。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的に説明する。
実施の形態1
実施の形態1では、請求項1〜3に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法について説明する。
図1は、実施の形態1に基づく樹脂組成物の成形物の製造工程を示すフロー図である。準備工程である混合加熱工程で調製した樹脂組成物は、充填工程、保持工程、および冷却工程によって成形物に加工する。この間に金型内でポリ乳酸の結晶化が進み、結晶化によって耐熱性が向上した成形物が得られる。
<混合加熱工程>
図1に示すように、まず、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)と、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤である溶性アゾ系レーキ顔料(例えば、PY191およびPR48)とを、加熱しながら混合し、融解した樹脂組成物を調製す。混合および加熱には、例えば射出成形機など、公知の成形機を利用するのが好ましく、加熱温度は樹脂組成物の融点に比して約15〜30℃高い温度とする。
樹脂組成物の融点は、示差走査熱量計(DSC)等によって測定する。具体的には、樹脂組成物3〜4mgをアルミパンに入れて試料とし、一旦200℃まで試料を加熱し、次に50℃/分の速度で0℃まで温度を低下させた後、20℃/分の昇温速度で昇温しながらDSC測定を行う。このとき、例えば160℃付近に観察される吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
<充填工程>
次に、融解した樹脂組成物を、樹脂組成物の結晶化温度に比しておおよそ−50度〜+30℃の範囲内の温度に保温された金型内に充填する。充填には、例えば射出成形機など、公知の成形機を用いて行うのが好ましい。融解している樹脂組成物の温度は、充填直後には金型の保温温度よりも高いが、時間の経過とともに金型の保温温度に近づいて行く。
樹脂組成物の結晶化温度は、DSC測定により測定することができる。具体的には、樹脂組成物3〜4mgをアルミパンに入れて試料とし、一旦200℃までその試料を加熱した後、20℃/分の速度で0℃まで温度を低下させながらDSC測定を行う。このとき、例えば120℃付近に観察される発熱ピークのピーク温度を結晶化温度とする。
<保持工程>
充填後、所望により所定の時間、金型内の樹脂組成物に対する圧力の印加を継続し、いわゆる「ひけ」を補う。
<冷却工程>
その後、圧力を解除し、放冷する。この放冷する時間を、通常、冷却時間と呼ぶ。保持時間中にも樹脂組成物から金型へ熱が次第に奪われ、金型中の樹脂組成物の温度は次第に低下しているので、実質的には保持時間も冷却時間に含めて考えることもある。ここでは、普通言われているように、保持圧力を解除してからの放冷時間を冷却時間と呼ぶことにする。冷却時間は、金型の形状に成形された樹脂組成物の結晶化がほぼ飽和完遂するのに要するだけの時間にすればよく、通常約1分以下であり、好ましくは約20秒〜1分である。
<成形物の取り出し>
そして、樹脂組成物の結晶化が飽和完遂され次第、成形物を金型から取り出す。また、結晶化が中途でも、成形物を金型から取り出してもよい。ある程度結晶化が進行すれば弾性率が向上するので、樹脂組成物の成形物を変形なく金型から取り出せることもあるからである。このとき、離型後の成形物はその余熱で結晶化がさらに進行し、室温へ冷却されるまでに、結晶化がほぼ飽和完遂する。
冷却工程後、金型から成形物を取り出す際の成形物の温度は、できるだけ低いことが好ましい。成形物の温度を低くする手段としては、例えば金型を開いた際に成形物に冷気を吹きかける手段等が挙げられる。このように成形物の温度を低くすることで、成形物の変形リスクが改善される。
金型内に樹脂組成物を充填し始めてから成形物を取り出し終わるまでの一連の成形工程に要する時間を成形サイクル時間と呼ぶことにすると、成形サイクル時間は、生産性向上の観点からはできるだけ短い方が好ましい。一方、樹脂組成物の結晶化を完遂させるには、結晶化に要する時間を確保する必要がある。これら2つの要請を満たすために、成形サイクル時間は約10秒〜4分であるのが好ましく、約20秒〜1分であるのがより好ましい。
本実施の形態によれば、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂との複合体において、ポリ乳酸樹脂の結晶化を効果的に促進する結晶核剤である溶性アゾ系レーキ顔料(例えば、PY191およびPR48)を樹脂組成物に含有させて成形し、しかも、樹脂組成物の結晶化温度に比しておおよそ−50℃〜+30℃の範囲内の温度に保温された金型内に樹脂組成物を充填保持する。これによって、ポリ乳酸樹脂を金型内で速やかに結晶化させることができる。この結果、成形サイクル時間を短縮し、成形工程の生産性を向上させ、歩留まりを向上させることができる。
その他の条件、例えば、射出速度、射出圧力、射出時間、保持圧力および保持時間などは、樹脂組成物の組成や金型の形状等によって適宜設定する。
なお、本実施の形態の成形物の製造方法は、成形時にポリ乳酸樹脂を結晶化させることを主たる目的とするものであるが、それ以外に2つの効果が得られる。以下、これらの効果について説明する。
通常の射出成形では、樹脂成形物の熱変形防止の観点から、金型の保温温度を樹脂のガラス転移温度Tg以下の温度にする。この場合、金型内に射出された樹脂から金型へ急速に熱が奪われ、射出された樹脂が金型内で流れにくくなる。このため、成形物にフローマークが生じたり、ウエルドが非常に目立ちやすくなったりする。
また、射出された樹脂が金型内で流れにくくなるため、複雑な形状の金型で成形する場合には、樹脂が金型内の隅々まで確実に充填されるように、ゲート数を多くしなければならない。このため、ゲート数だけランナーが生じてしまい、樹脂がその分だけ無駄になる。
一方、本実施の形態の製造方法では、金型の保温温度を従来技術の保温温度よりも高く設定している。このため、金型内に射出された樹脂から金型へ奪われる熱が少なくなり、金型内での樹脂の流動性が従来技術に比べ良好になる。このため、成形物にフローマークが生じたり、ウエルドが目立ったりすることが少なくなる。また、ゲート数を従来技術よりも少なくすることができるので、ランナーで無駄になる樹脂をより少なくすることができる。
なお、樹脂組成物から成形物を製造する方法は、実施の形態1に説明した方法に限定されず、通常の方法にしたがって、金型の保温温度をポリ乳酸のガラス転移温度Tgである60℃以下の温度、例えば50℃にして成形してもよい。この場合、成形中にポリ乳酸樹脂の結晶化はあまり進まないので、成形物の耐熱性を確保するには、成形後にあらためて加熱処理してポリ乳酸樹脂の結晶化を完遂させる必要がある。しかし、本発明の樹脂組成物の成形物では、結晶核剤によって結晶化を効果的に促進できるので、結晶化するのに要する熱処理時間よりも短くて済み、生産性を向上させることができる。
実施の形態2
実施の形態2では、請求項8、9、および14〜16に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法に用いる樹脂組成物について説明する。この樹脂組成物を成形して成形物を製造する方法は、実施の形態1で説明した方法と同様である。
図2(a)は、本発明の実施の形態に基づく樹脂組成物の構造を示す概略図である。既述したように、種類の異なる有機高分子樹脂同士は、多くの組合せで相溶性がない。ポリ乳酸樹脂の場合、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、およびアモルファスポリオレフィン樹脂とは相溶性がない。従って、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優るが、ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない上記の樹脂(以下、耐熱性に優る樹脂と略称する。)とを溶融混錬しても、図2(a)に示すように、ポリ乳酸樹脂相1と、耐熱性に優る樹脂の相2とに相分離して存在する。
このように複数種の樹脂が相分離して存在している複合体に結晶核剤を添加した場合、結晶核剤がどちらかの相に偏在することが多い。どちらの相に偏在するかは、親水親油バランス(Hydrophile-Lipophile Balance;HLB)や溶解性パラメーター(Solubility Parameter;SP値)、および酸塩基性などの要素によって決まる(DIC technical Review No.5/1999(大日本インキ化学工業)参照。)。
ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤として溶性アゾ系レーキ顔料であるPY191およびPR48を用いた場合には、後に示す光学顕微鏡による観察結果から、図2(a)に示すように、これらの結晶核剤3はポリ乳酸樹脂に親和性を示し、ポリ乳酸樹脂相1に偏在することがわかった。この場合、PY191およびPR48はポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用を効果的に発揮する。また、ポリ乳酸樹脂とポリスチレン樹脂との複合体に対しては、結晶核剤3として多環式顔料PY110を用いた場合にも、光学顕微鏡による観察結果から、PY110は図2(a)に示す構造をとり、ポリ乳酸樹脂相1に偏在することがわかった。この場合、PY110はポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用を効果的に発揮する。
一方、図2(b)は、ポリ乳酸樹脂単独に対して用いた場合にはポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用を有するにも関わらず、ポリ乳酸樹脂と耐熱性に優る樹脂との複合体に対して用いた場合には、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する効果を示さない結晶核剤103を添加した場合の、樹脂組成物の構造を示す概略図である。後に示す光学顕微鏡による観察結果から、図2(b)に示すように、これらの結晶核剤103は耐熱性に優る樹脂に親和性を示し、耐熱性に優る樹脂の相2に偏在し、ポリ乳酸樹脂相1に存在する結晶核剤103はほとんどないことがわかった。
以上の結果から、結晶核剤103が上記複合体に対してポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用を効果的に発揮することができないのは、結晶核剤103のほとんどが、耐熱性に優る樹脂の相2に取り込まれてしまうからであると結論することができる。言い換えれば、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用を有し、且つ、樹脂組成物において少なくともポリ乳酸樹脂相に存在し得る結晶核剤を用いれば、上記複合体に対して前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する相応の効果が得られると結論することができる。
結晶核剤3と結晶核剤103とのこのような振る舞いの違いに、HLBが大きな要素として関わっていると仮定すると、下記のように推論することができる。
すなわち、ポリ乳酸樹脂は、高分子鎖における分極が比較的大きく、親水性が強く、HBL値が大きい。一方、耐熱性に優る樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂は、ベンゼン環が存在するため、ポリ乳酸樹脂に比べて高分子鎖における分極が小さい。また、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂は、高分子鎖における対称性がよいので、ポリ乳酸樹脂に比べて高分子鎖における分極が小さい。いずれにしても、上記の耐熱性に優る樹脂は、ポリ乳酸樹脂に比して高分子鎖における分極が小さく、親油性が強く、HBL値が小さい。
これに対して、溶性アゾ系レーキ顔料は塩であり、電荷が分離したイオン構造をとっているため、親水性が強く、HBL値が大きいポリ乳酸樹脂に、より強い親和性を有する。この結果、ポリ乳酸樹脂相1に偏在する。一方、結晶核剤103の例として、下記の構造式(9)で示されるPY109、下記の構造式(10)で示されるPR169、およびPR254(1,4−ジケト−2,5−ジヒドロ−3,6−ジ−(p−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール)などを挙げることができる。これらは、ポリ乳酸樹脂単独に用いた場合には有効な結晶核剤であるが、極性の小さい分子であるため、親油性が強く、HBL値が小さい、耐熱性に優る樹脂に、より強い親和性を有する。この結果、ほとんどが耐熱性に優る樹脂の相2に偏在する。
PY109の構造式(9):
PR169の構造式(10):
図2(c)は、結晶核剤3または103をポリ乳酸樹脂単独に対して用いた場合の状態を説明する概略図である。この場合には、添加された結晶核剤3または103がポリ乳酸樹脂相1に分散するため、いずれの結晶核剤でも、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用が効果的に発揮される。
以下、本発明を適用し、結晶核剤3を含有する樹脂組成物を実際に作製した実施例、および、結晶核剤3の代わりに結晶核剤103を用いて樹脂組成物を作製した比較例について説明する。
実施例1
<樹脂組成物の作製>
実施例1では、ポリ乳酸樹脂として三井化学株式会社製のH100(商品名)を用いた。また、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂として、ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製、商品名:パンライトL−1225LL)を用い、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤として、溶性アゾ系レーキ顔料であるPY191(クラリアントジャパン株式会社製、商品名:PV Fast Yellow HGR)を用いた。
まず、ポリ乳酸樹脂60重量部とポリカーボネート樹脂40重量部とからなる樹脂に対し、3重量部のPY191を混合し、加熱しながら溶融混錬し、樹脂組成物を作製した。この際、混錬機としてミニマックス−ミックスルーダ(東洋精機株式会社製)を用い、ノズル温度を230℃とし、溶融混錬にて試料を作製した。
<DSC測定>
樹脂組成物の結晶化ピーク温度を示差走査熱量(DSC)測定によって測定し、樹脂組成物の結晶化特性を評価した。具体的には、樹脂組成物3〜4mgをアルミパンに入れ、測定器内にてこの試料を一旦230℃まで加熱した後、20℃/分の速度で60℃まで温度を低下させながらDSC測定を行う。このとき、100〜140℃近傍で観察される結晶化による発熱ピークのピークトップ温度を結晶化ピーク温度とし、結晶化ピーク温度が高いほど、結晶核剤の効果が高いと評価した。結晶化ピーク温度が高いほど、温度が高く、ポリ乳酸分子鎖の運動が活発であるうちに、結晶核の形成が開始されるので、温度が下がり、ポリ乳酸分子鎖の運動が凍結されるまでに、より多くの領域で結晶化を起こさせることができる。且つ、結晶化が進行する速度も速い。従って結晶化ピーク温度が高いほど、結晶核剤としての効果が高いと言うことができる(この評価方法に関しては、特開2004-352873号公報の[0091]、特再WO 05/068554号公報の[0060]以下、および特開2005-264147号公報の[0112]参照。)。特に、射出成形中に結晶化を行わせる場合のように、徐々に温度が下がっていく組成物を結晶化させる場合には、温度低下と競争しながら結晶化を進行させる必要があり、そのためには結晶化ピーク温度が高く、結晶化が始まる温度が高いことが望ましい。
<光学顕微鏡観察>
光学顕微鏡による撮影によって、樹脂組成物における結晶核剤の存在位置を特定した。薄いガラス板(厚さ0.1mm程度)に樹脂組成物を少量のせ、ホットステージで230℃に加熱し、さらに薄いガラス板でおさえつけてカバーし、観察試料とした。倍率が10倍の対物レンズを用い、白黒1/3インチのCCD(電荷結合素子)ビデオカメラでおよそ600μm×450μmの範囲を撮影し、およそ640×480ピクセル、10ビットの分解能でデジタル化した。
さて、相溶性がない樹脂Aと樹脂Bとの複合体において、樹脂Aが連続相となるのは下記の大小関係が成り立つ場合である。
樹脂Aの体積割合/樹脂Aの粘性 > 樹脂Bの体積割合/樹脂Bの粘性
あるいは、
樹脂Aの配合質量/(樹脂Aの比重×樹脂Aの粘性) > 樹脂Bの配合質量/(樹 脂Bの比重×樹脂Bの粘性)
これらの大小関係を定める各項のうち、樹脂Aと樹脂Bとの間で比重や粘性の違いが比較的小さい場合には、配合質量の比が最も重要になる。実施例1ではポリ乳酸樹脂成分の割合が多いので、ポリ乳酸樹脂が連続相(海)を形成し、ポリカーボネート樹脂が孤立相(島)を形成すると考えられる。
ポリ乳酸樹脂が連続相を形成しているか、あるいは孤立相を形成しているかは、実験的には、偏光を用いた光学顕微鏡観察によって判定することができる。すなわち、偏光を用いた光学顕微鏡観察では、結晶化した結晶性ポリマーはその複屈折性によって明るく観察され、非結晶性ポリマーや、非晶質(ガラス)状態の結晶性ポリマーはその等方性によって暗く観察される。従って、ポリ乳酸を十分結晶化させた状態で偏光を用いた光学顕微鏡観察を行えば、明るく観察される相をポリ乳酸樹脂相と定め、暗く観察される相を非晶質(ガラス)状態のポリカーボネート樹脂相やポリスチレン樹脂相と定めることができる。この方法によって、実施例1(および本発明の他の実施例)の複合体において、ポリ乳酸樹脂相が連続相であることを確認した。
上記複合体における結晶核剤の存在位置は、本実施例で用いた結晶核剤が顔料であり、特定の波長の光を吸光することを利用すると、光学顕微鏡による観察によって容易に定めることができる。すなわち、例えば、白色の照射光を用いた顕微鏡観察を肉眼あるいはカラー写真撮影によって行えば、顔料の存在する相はその顔料の色に着色して観察されるが、顔料の存在しない相は白色のまま明るく観察されるので、どちらの相に結晶核剤が存在するのか判別できる。また、照射光として顔料が吸収しやすい波長の光を用い、顕微鏡観察を白黒写真撮影によって行えば、顔料の存在する相は著しく暗く写り、顔料の存在しない相は明るく写るので、どちらの相に結晶核剤が存在するのか判別できる。
実施例2
実施例2では、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤として、溶性アゾ系レーキ顔料であるPR48:4(マンガン塩、大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:Symuler Red 3037)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製し、DSCにより結晶化ピーク温度を測定し、光学顕微鏡による観察を行った。
比較例1
比較例1では、結晶核剤として、溶性アゾ系レーキ顔料ではない顔料で、且つ、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用を有する物質として知られているPY109(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:Symuler Fast Yellow 4059G)を用いた(特許文献1参照。)。それ以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製し、DSCにより結晶化ピーク温度を測定し、光学顕微鏡による観察を行った。
実施例11、12および13
実施例11および12では、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂として、ポリカーボネート樹脂の代わりにポリスチレン樹脂を用いた。それ以外は実施例1および2とそれぞれ同様にして、樹脂組成物を作製し、DSCにより結晶化ピーク温度を測定した。実施例13では、結晶核剤として多環式顔料PY110(チバファインケミカル株式会社製、商品名:Cromophtal Yellow 2RLP)を用いた。それ以外は実施例11と同様にして、樹脂組成物を作製し、DSCにより結晶化ピーク温度を測定し、光学顕微鏡による観察を行った。
比較例11
比較例11では、結晶核剤としてPY109を用いた。それ以外は実施例11と同様にして、樹脂組成物を作製し、DSCにより結晶化ピーク温度を測定し、光学顕微鏡による観察を行った。
参考例1〜4
参考例1〜4では、単独のポリ乳酸樹脂に対し、3重量部のPY191、PR48:4、PY110、およびPY109をそれぞれ混合した。それ以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製し、DSCにより結晶化ピーク温度を測定した。
表1および表2に、実施例および比較例で作製した樹脂組成物の組成、結晶核剤が偏在する樹脂相、および結晶化ピーク温度を示す。また、表3に、参考例1〜4で作製した樹脂組成物の組成、結晶化ピーク温度、および発熱エンタルピーを示す。
表3に示した参考例1〜4は、各結晶核剤に対して、ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤としての性能を試験したものである。この場合、ポリ乳酸樹脂に対する良好な結晶核剤であると判定する基準の1つとして、結晶化ピーク温度が120℃以上であることを条件とした。既述したように、結晶化ピーク温度が高いほど結晶核剤としての効果が高いと言うことができるが、特に、射出成形中に結晶化を行わせる場合のように、温度低下と競争しながら結晶化を進行させる必要がある場合には、結晶化ピーク温度が高く、結晶化が始まる温度が高いことが望ましい。さらに、良好な結晶核剤であると判定する別の基準として、請求項9に対応して、DSC測定において100〜150℃の領域に、ポリ乳酸成分の単位質量当たりの発熱エンタルピー量が23J/g以上の発熱ピークが見られることを条件とした。この発熱は結晶化による発熱であり、発熱エンタルピー量は結晶化した量そのものを反映している。表3の判定欄に○で示すように、結晶核剤PY191、PR48:4、PY110、およびPY109は、いずれもポリ乳酸樹脂に対し実用上十分な性能を有する結晶核剤であると判定された。
表1に示した実施例1、実施例2、比較例1は、ポリ乳酸樹脂とポリカーボネート樹脂との複合体に結晶核剤PY191、PR48:4、およびPY109をそれぞれ添加した場合であり、表2に示した実施例11、実施例12、実施例13、比較例11は、ポリ乳酸樹脂とポリスチレン樹脂との複合体に結晶核剤PY191、PR48:4、PY110、およびPY109をそれぞれ添加した場合である。
結晶核剤PY109を添加した比較例1および比較例11では、参考例4と比べて結晶化ピーク温度が低下しており、結晶核剤の効果が低下していることがわかる。一方、結晶核剤PY191を添加した実施例1および実施例11では、参考例1と比べて結晶化ピーク温度の低下はわずかであり、結晶核剤の効果はほとんど低下していない。また、結晶核剤PR48:4を添加した実施例2および実施例12では、参考例2と比べて結晶化ピーク温度は変化しておらず、結晶核剤の効果を維持している。また、結晶核剤PY110を添加した実施例13では、参考例3と比べて結晶化ピーク温度の低下はわずかであり、結晶核剤の効果はほとんど低下していない。
表1および表2の判定欄は、複合体化したポリ乳酸樹脂に対する結晶核剤の効果を表す結晶化ピーク温度が120℃以上であるものを、実用上十分な性能を有する結晶核剤であると判定して、○と表記した。溶性アゾ系レーキ顔料PY191およびPR48:4は良好と判定されたのに対し、溶性アゾ系レーキ顔料ではない顔料PY109は不適と判定された。一方、溶性アゾ系レーキ顔料ではない多環式顔料PY110は良好と判定された。
図3(a)は、実施例1によって作製された樹脂組成物の顕微鏡写真である。この写真では、連続相が暗く写っており、結晶核剤PY191が連続相、すなわちポリ乳酸樹脂相に偏在していることがわかる。また、図示省略したが、顕微鏡観察から、結晶核剤PR48:4およびPY110も連続相、すなわちポリ乳酸樹脂相に偏在していることがわかった。一方、図3(b)は、比較例1によって作製された樹脂組成物の顕微鏡写真である。この写真では、孤立相が暗く写っており、結晶核剤PY109は孤立相、すなわちポリカーボネート樹脂相に偏在していることがわかる。また、図示省略したが、顕微鏡観察から、結晶核剤PY109は比較例11の複合体においても孤立相、すなわちポリスチレン樹脂相に偏在していることがわかった。このように、複合体においてポリ乳酸樹脂相に偏在する性質をもつ結晶核剤は、複合体においてもポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用を効果的に発揮した。一方、複合体においてポリカーボネート樹脂相またポリスチレン樹脂相に偏在する性質をもつ結晶核剤は、複合体においてポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する作用を効果的に発揮することができないことがわかった。
本発明に基づき適切な結晶核剤を選択することによって、ポリ乳酸樹脂と、ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂との複合体においても、結晶核剤の作用を効果的に発揮させることができる。この結果、他の樹脂との複合体化および結晶化によってポリ乳酸樹脂の耐熱性を向上させ、ポリ乳酸樹脂を各種電気製品の筐体や梱包材等の成形品に利用することができる。例えば電子機器筐体等のような、内部の電源や駆動源により発熱するようなものを具備しているものに用いた場合においても、実用上充分な材料物性が実現できる。さらに、結晶化にかかるコストや時間を縮小することができ、生産性向上につながる。
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明によると、ポリ乳酸樹脂とポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂との複合体中のポリ乳酸樹脂に対しても結晶化を促進することができ、その成形物の耐熱性を向上させ、ポリ乳酸樹脂を適用できる用途を格段に拡大し、その普及に寄与することができる。
本発明の実施の形態1に基づく樹脂組成物の成形物の製造工程を示すフロー図である。 本発明の実施の形態2に基づく樹脂組成物の構造を示す概略図(a)、ポリ乳酸樹脂と耐熱性に優る樹脂との複合体に対して効果を示さない結晶核剤を用いた場合の樹脂組成物の構造を示す概略図(b)、ポリ乳酸樹脂単独に対して結晶核剤を用いた場合の構造を説明する概略図(c)である。 実施例1による樹脂組成物の顕微鏡写真(a)、および比較例1による樹脂組成物の顕微鏡写真(b)である。
符号の説明
1…ポリ乳酸樹脂相、2…ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂の相、
3…本発明の第2の樹脂組成物を構成する結晶核剤、
103…ポリ乳酸樹脂と耐熱性に優る樹脂との複合体に対して効果を示さない結晶核剤

Claims (26)

  1. ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂とを含有する樹脂組成物の成形物の製造方法であって、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤として溶性アゾ系レーキ顔料を前記樹脂組成物に含有させて成形する、樹脂組成物の成形物の製造方法。
  2. 前記樹脂組成物を成形する工程の間に前記ポリ乳酸樹脂を結晶化させる、請求項1に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  3. 前記樹脂組成物の前記成形工程の期間内に前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を完了させる、請求項2に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  4. 前記樹脂組成物の前記成形工程後に余熱で進行する結晶化によって、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を完了させる、請求項2に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  5. 前記溶性アゾ系レーキ顔料として下記の構造式(1)で示される第1の顔料、又は下記の構造式(2)で示される第2の顔料を用いる、請求項1に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
    第1の顔料の構造式(1):
    第2の顔料の構造式(2):
    [式(1)及び(2)中、M2+は2価の金属イオンである。]
  6. 前記のポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂として、80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上の樹脂を用いる、請求項1に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  7. 前記の80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上の樹脂として、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、及びアモルファスポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種類の樹脂を用いる、請求項6に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  8. ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優り、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂とを含有する樹脂組成物の成形物の製造方法であって、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤として、少なくともポリ乳酸樹脂相に含有される結晶核剤を前記樹脂組成物に含有させて成形する、樹脂組成物の成形物の製造方法。
  9. 前記結晶核剤として、選択的に前記ポリ乳酸樹脂相に偏在して含有される結晶核剤を用いる、請求項8に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  10. 前記樹脂組成物を成形する工程の間に前記ポリ乳酸樹脂を結晶化させる、請求項8に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  11. 前記樹脂組成物の前記成形工程の期間内に前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を完了させる、請求項10に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  12. 前記樹脂組成物の前記成形工程後に余熱で進行する結晶化によって、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を完了させる、請求項10に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  13. 前記結晶核剤として、その結晶核剤を単独のポリ乳酸樹脂に添加したとき、180℃から20℃/分の降温速度で降温測定した示差走査熱量測定(DSC)において、ポリ乳酸樹脂の結晶化によって100〜150℃の領域に、ポリ乳酸樹脂の単位質量当たりの発熱エンタルピー量が23J/g以上である発熱ピークが発現する結晶核剤を用いる、請求項8に記載した樹脂組成物。
  14. 前記結晶核剤が、下記の構造式(3)で示される多環式顔料である、請求項9に記載した樹脂組成物。
    多環式顔料の構造式(3):
  15. 前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優り、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない前記の樹脂として、80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上の樹脂を用いる、請求項8に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  16. 前記の80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上の樹脂として、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、及びアモルファスポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種類の樹脂を用いる、請求項15に記載した樹脂組成物の成形物の製造方法。
  17. ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤とを含有し、前記結晶核剤が溶性アゾ系レーキ顔料である樹脂組成物が成形されて形成された、樹脂組成物の成形物。
  18. 前記のポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優る樹脂が、80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上の樹脂である、請求項17に記載した樹脂組成物の成形物。
  19. 前記の80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上である樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、及びアモルファスポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種類の樹脂である、請求項18に記載した樹脂組成物の成形物。
  20. 前記溶性アゾ系レーキ顔料として下記の構造式(1)で示される第1の顔料、又は下記の構造式(2)で示される第2の顔料を用いる、請求項17に記載した樹脂組成物の成形物。
    第1の顔料の構造式(1):
    第2の顔料の構造式(2):
    [式(1)及び(2)中、M2+は2価の金属イオンである。]
  21. ポリ乳酸樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優り、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂と、前記ポリ乳酸樹脂の結晶化を促進する結晶核剤とを含有し、前記結晶核剤が少なくともポリ乳酸樹脂相に存在する樹脂組成物が、成形されて形成された、樹脂組成物の成形物。
  22. 前記結晶核剤が選択的に前記ポリ乳酸樹脂相に偏在している、請求項21に記載した樹脂組成物の成形物。
  23. 前記のポリ乳酸樹脂に比して耐熱性に優り、前記ポリ乳酸樹脂と完全相溶しない樹脂が、80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上の樹脂である、請求項21に記載した樹脂組成物の成形物。
  24. 前記の80℃における曲げ弾性率が1000MPa以上の樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、及びアモルファスポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種類の樹脂である、請求項23に記載した樹脂組成物の成形物。
  25. 前記結晶核剤として、その結晶核剤を単独のポリ乳酸樹脂に添加したとき、180℃から20℃/分の降温速度で降温測定した示差走査熱量測定(DSC)において、ポリ乳酸樹脂の結晶化によって100〜150℃の領域に、ポリ乳酸樹脂の単位質量当たりの発熱エンタルピー量が23J/g以上である発熱ピークが発現する結晶核剤を用いる、請求項21に記載した樹脂組成物の成形物。
  26. 前記結晶核剤として、下記の構造式(3)で示される多環式顔料を用いる、請求項22に記載した樹脂組成物の成形物。
    多環式顔料の構造式(3):
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