JP2009208135A - 針状ころ軸受の保持器用素形材の冷間ローリングによる製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 冷間ローリングにおいて寸法精度を出して成形ロールの型内への鋼材の不充足を無くし、成形中のリング素材の割れ発生を防止してニアネットシェイプ化した針状ころ軸受のリング状保持器用素形材の製造方法を提供する。
【解決手段】 針状ころ軸受のリング状保持器用素形材4を形成するに当たり、冷間ローリングする前のリング素材1の寸法に対する冷間ローリング後のリング状保持器用素形材4の寸法および形状をそれぞれ適性範囲に設計することにより、冷間ローリング時の金型である成型ローラへの不充足による寸法不良を解消し、さらに、冷間ローリング時のリング素材1の割れの発生を防止してリング素材1を冷間ローリングして針状ころ軸受の保持器用素形材4を冷間ローリングして製造する方法。
【選択図】 図2
【解決手段】 針状ころ軸受のリング状保持器用素形材4を形成するに当たり、冷間ローリングする前のリング素材1の寸法に対する冷間ローリング後のリング状保持器用素形材4の寸法および形状をそれぞれ適性範囲に設計することにより、冷間ローリング時の金型である成型ローラへの不充足による寸法不良を解消し、さらに、冷間ローリング時のリング素材1の割れの発生を防止してリング素材1を冷間ローリングして針状ころ軸受の保持器用素形材4を冷間ローリングして製造する方法。
【選択図】 図2
Description
この発明は冷間ローリングにより針状ころ軸受のリング状保持器用素形材すなわちベアリングレースを製造する方法に関し、特に低コストで軽量化して自動車用の部材であるピストンおよびクランク機構の連結部材であるコネクティングロッドの両端の軸受のうち、特にクランク軸側のクランクピンと結合する大端部用の軸受の外径ガイドである針状ころ軸受のリング状保持器用素形材を冷間ローリングにより製造する方法に関する。
従来の針状ころ軸受のリング状保持器用素形材の、例えば自動車用エンジンのピストンピンとクランクピン間を接続するコネクティングロッドの大端部用の軸受の外径ガイドである針状ころ軸受などのラジアル保持器用素形材の、一般的な製造方法としては、鍛造品あるいは鋼管からの切断品を旋削加工により製造する製造方法である。しかし、この製造方法では、鍛造品あるいは鋼管からの切断品を旋削加工する際に、加工代が大きく、そのために生産性および歩留りが悪かった。
一方、針状ころ軸受の保持器用素形材の製造として、バルジ加工による製造方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このバルジ加工による方法では、特殊な設備を必要とする。
さらに、輪体からなる製品の輪状の中間品を製造する一般的な製造方法として冷間ローリングにより製造する方法がある。しかし、自動車用エンジンのピストンピンとクランクピン間を接続するコネクティングロッドの大端部用の軸受の外径ガイドである針状ころ軸受のリング状保持器用素形材は、薄肉でかつ複雑な形状をしているので、この冷間ローリングでは、針状ころ軸受の保持器用素形材の複雑な形状および寸法精度を出すことができず、さらに薄肉であるため加工中にワークの内部および表面に割れを発生し、複雑な形状で周速度の差が大きいため冷間ローリングの加工代が不均一となり、軸方向および周方向に対してシンメトリーな寸法および形状に加工することができず、肉の不充足が発生する等の問題があった。さらに鍛造およびリング素材を使用した場合、素材の製造公差やバラツキが冷間ローリングにより形状および寸法に大きく影響を与える問題があった。また、複雑な形状であるためワークと金型の潤滑が不均一もしくは不十分となり金型の割れや欠けおよび偏摩耗、さらに金型不良に伴う品質および生産性の悪化があった。さらに、この針状ころ軸受のリング状保持器は、使用条件として、(1)瞬間的に非常に大きな荷重を受ける、(2)荷重変動が著しい、(3)軸受の公転運動およびクランク機構による自転速度の加減速のために軸受内部の滑り面に荷重が作用する、(4)高速運転である、(5)周囲温度が高い、(6)潤滑条件が厳しい、などを満足する必要がある。
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点を解消し、かつ、上記の使用条件を満足する製品を製造するため、冷間ローリングにおいて十分な寸法精度を確保して金型内への鋼材の不充足を無くし、かつ、冷間ローリング中のリング素材の割れ発生を防止し、さらに冷間ローリング加工以降の工程に対して旋削加工の加工基準および加工代を含めた最終製品までの工程を最適化する様に、リング素材の質量および寸法のバラツキを吸収する様な冷間ローリング形状および金型の適用を考慮して、ニアネットシェイプ化した針状ころ軸受のリング状保持器用素形材を製造する方法を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の手段を説明する。請求項1の発明の手段は、針状ころ軸受のリング状保持器用素形材を形成するに当たり、冷間ローリングする前のリング素材の寸法に対する冷間ローリング後のリング状保持器用素形材の寸法および形状をそれぞれ適性範囲に設計することにより、冷間ローリング時の金型である成型ローラおよびマンドレル側へのリング素材の不充足による寸法不良を解消し、さらに、冷間ローリング時のリング素材の割れの発生を防止して、冷間ローリング形状を最適化(すなわち最適化とは上記のニアネットシェイプ化と冷間ローリングの品質および生産性の向上を両立化すること)することによりワークと金型の潤滑を均質化し、冷間ローリング時の金型の割れや欠けの発生および偏摩耗を防止することにより良好な生産性を確保してリング素材を冷間ローリングすることを特徴とする針状ころ軸受の保持器用素形材の冷間ローリングによる製造方法である。
請求項2の発明の手段は、上記の適正範囲の設計は、冷間ローリングする前のリング素材の寸法に対する冷間ローリング後のリング状保持器用素形材の寸法を、内径の拡径比で1.5〜2.0、リング幅の拡幅比で1.05〜1.07となるように、かつ、冷間ローリング後のリング状保持器用素形材の形状を、軸芯に平行な断面における外部輪郭と外部輪郭の間の肉厚部の厚み方向の中央を境界として外部輪郭側の質量woを内部輪郭側の質量wiの±10%の範囲になるように形状化することからなることを特徴とする請求項1の手段の針状ころ軸受の保持器用素形材の冷間ローリングによる製造方法である。
本発明は、上記の請求項1の手段の高い生産性を有する冷間ローリングによる製造方法を適用することにより、旋削の工程および旋削代を大幅に軽減することにより、最終製品までのトータルの生産性の向上および歩留りを高め、さらにはコストの低減を図り、冷間ローリング時の金型である成型ローラおよびマンドレル側への不充足による保持器用素形材の寸法不良を解消して、従来の鋼管切断材や鍛造材から旋削加工して製造する手段に比し、針状ころ軸受のリング状保持器用素形材の製造を容易なものとし、特に請求項2の手段で、リング状保持器用素形材の外部輪郭側と外部輪郭側の質量バランスを図ることにより、冷間ローリング時の金型である成型ローラおよびマンドレル側へのリング素材の不充足による寸法不良を解消し、さらに、針状ころ軸受のリング状保持器用素形材を従来法に比してより一層に薄肉化し、かつ、ニアネットシェイプ化による歩留りを向上して最終製品のリング形状の保持器用素形材に製造することができるなど、本発明は従来にない優れた効果を奏する方法である。
本発明の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。針状ころ軸受のリング状保持器用素形材4を製造する鋼種として、この実施の態様ではJIS規格のSCM415であるクロムモリブデン肌焼鋼を使用し、この鋼材のブランクを熱間鍛造により、図1に示す外径D、内径d、リング幅lを有するリング素材1に形成し、もしくは、この鋼材からなるリング素材外径D、リング素材内径dである鋼管をリング幅lに切断してリング素材1に形成した。このリング素材1を図示しないリングローリング装置の成形マンドレルに挿通することで、図2に示すリング状保持器用素形材の外部輪郭2を内径面に有する成形ローラとリング状保持器用素形材の内部輪郭3を外径面に有する成形マンドレルとの間に挟持し、冷間でローリング加工する(冷間でローリング加工することを「CRF」という。)ことによりリング状保持器用素形材4に形状化して成形した。
上記でCRFにより成形のリング状保持器用素形材4は、図2に示すように、外部輪郭2と内部輪郭3からなるリング形状を有し、外径D’、内径d’、リング幅l’からなっている。このリング状保持器用素形材4において、軸芯5の方向に平行な断面における外部輪郭2と内部輪郭3の間の肉厚部6の厚み方向の中央を境界7とするとき、この中央の境界7から外側の外部輪郭2までのリング状保持器用素形材4の質量をWoとし、中央の境界7から内側の内部輪郭3までのリング状保持器用素形材4の質量をWiとする。これらの質量Woは質量Wiの1.1〜1.2倍からなるものとする。
さらに外部輪郭2には、そのリング幅方向の中央に環状凹溝9を有し、この部分に対応する内部輪郭3の部分は、内側に突出する環状の中央突出部10を形成し、この環状の中央突出部10の周囲には2条の環状の針状ころレース溝8、8を有する。この2条の針状ころレース溝8、8の幅方向のリング両端部はリング外周縁11を形成しており、このリング外周縁11の内径端は耳幅mlの環状の耳部12を形成している。これらの環状の針状ころレース溝8、8のそれぞれの外径から2.0mm以上に傾斜して拡大する耳代13を形成して環状の耳部12、12のそれぞれの内径に続いている。この耳部12でリング素材の重量および寸法のバラツキを吸収し、他の部位の寸法形状を安定化させる。
以上のように、本発明のリング状保持器用素形材4は形成されており、特に、リング状保持器用素形材4の中央の境界7の外側と内側のそれぞれの質量が、上記のように、質量Woは質量Wiの1.1〜1.2倍からなる形状に予め設計して、冷間ローリングしている。したがって、成形ロールの型内に不充足でリング成形されることなく、軸方向および周方向に対してシンメトリーな寸法および形状となる品質に優れたリング状保持器用素形材4が効率よく本発明の方法により製造された。
SCM415であるクロムモリブデン肌焼鋼からなるリング状保持器用素形材4は、さらに浸炭処理をして焼入により表面硬度を高め、さらに初期の馴染みを良くするために、銅めっきあるいは銅めっき+銀めっきを表面に施して製品とした。
1 リング素材
2 外部輪郭
3 内部輪郭
4 リング状保持器用素形材
5 軸芯
6 肉厚部
7 中央の境界
8 針状ころレース溝
9 環状凹溝
10 中央突出部
11 リング外周縁
12 耳部
13 耳代
D 外径
d 内径
l リング幅
D’ 外径
d’ 内径
l’ リング幅
a 中央の境界の径
ml リング外周縁の耳幅
Wo 中央の境界の外側の質量
Wi 中央の境界の内側の質量
2 外部輪郭
3 内部輪郭
4 リング状保持器用素形材
5 軸芯
6 肉厚部
7 中央の境界
8 針状ころレース溝
9 環状凹溝
10 中央突出部
11 リング外周縁
12 耳部
13 耳代
D 外径
d 内径
l リング幅
D’ 外径
d’ 内径
l’ リング幅
a 中央の境界の径
ml リング外周縁の耳幅
Wo 中央の境界の外側の質量
Wi 中央の境界の内側の質量
Claims (2)
- 針状ころ軸受のリング状保持器用素形材を形成するに当たり、冷間ローリングする前のリング素材の寸法に対する冷間ローリング後のリング状保持器用素形材の寸法および形状をそれぞれ適性範囲に設計することにより、冷間ローリング時の金型である成型ローラおよびマンドレルへの不充足による寸法および形状不良を解消し、かつ、冷間ローリング時の割れ発生を防止してリング素材を冷間ローリングすることを特徴とする針状ころ軸受の保持器用素形材の冷間ローリングによる製造方法。
- 上記の適正範囲の設計は、冷間ローリングする前のリング素材の寸法に対する冷間ローリング後のリング状保持器用素形材の寸法を、内径の拡径比で1.5〜2.0、リング幅の拡幅比で1.05〜1.07となるように、かつ、冷間ローリング後のリング状保持器用素形材の形状を、軸芯に平行な断面における外部輪郭と内部輪郭の間の肉厚部の厚み方向の中央を境界として外部輪郭側の質量woを内部輪郭側の質量wiの±10%の範囲になるように形状化することからなることを特徴とする請求項1に記載の針状ころ軸受の保持器用素形材の冷間ローリングによる製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008055612A JP2009208135A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | 針状ころ軸受の保持器用素形材の冷間ローリングによる製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008055612A JP2009208135A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | 針状ころ軸受の保持器用素形材の冷間ローリングによる製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2009208135A true JP2009208135A (ja) | 2009-09-17 |
Family
ID=41181796
Family Applications (1)
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JP2008055612A Pending JP2009208135A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | 針状ころ軸受の保持器用素形材の冷間ローリングによる製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009208135A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8814437B2 (en) * | 2010-08-20 | 2014-08-26 | Schaeffler Tecnologies GmbH & Co. KG | Roller bearing cage and method for the production thereof |
JP2015205305A (ja) * | 2014-04-21 | 2015-11-19 | 大同特殊鋼株式会社 | リングの製造方法 |
CN114483792A (zh) * | 2022-01-10 | 2022-05-13 | 中国航发哈尔滨轴承有限公司 | 一种保持架及轴承 |
-
2008
- 2008-03-05 JP JP2008055612A patent/JP2009208135A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
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JP2015205305A (ja) * | 2014-04-21 | 2015-11-19 | 大同特殊鋼株式会社 | リングの製造方法 |
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