JP2009208117A - 摩擦攪拌接合装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属要素W同士の突合部に形成される接合突部TWに沿って回転ツール20を移動させることで、金属要素W同士を接合する摩擦攪拌接合装置であって、回転ツール20を支持する主軸ユニット10と、回転ツール20の移動方向前方において接合突部を押圧可能な押圧手段30と、を備え、押圧手段30は、接合突部TWの上面に当接することで上面を押圧可能なローラ部と、ローラ部の幅方向両端部にそれぞれ設けられ、接合突部の両側方から当接することで接合突部を両側方から押圧可能な鍔部と、を備えたローラ部材32で接合突部TWを押圧保持するように構成する。
【選択図】図1
Description
また、回転ツールの前進方向前方において、金属部材同士の突合部を上面から押さえつけるように構成された加圧ローラを備えたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このため、治具の設置や取り外しに多大の時間を要してしまい、生産効率が低下するとともにコストが上昇するという問題があった。
また、押圧手段を退避姿勢にして、ローラ部材が回転ツールから離間するようにすることで、回転ツールの周りに回転ツール交換用の空間を形成することができ、これによって、回転ツールの交換時には、回転ツールの着脱をローラ部材等に干渉することなく好適に行うことができる。したがって、回転ツールの交換が行い易くなる。
また、退避姿勢において、下アームは、回転ツールにローラ部材が近づく方向に鉛直軸から傾斜しているので、退避姿勢から押圧姿勢への姿勢変更をスムーズに行うことができる。
つまり、前記したように、主軸ユニットが下降する過程において金属要素にローラ部材が当接すると、下アームは、傾斜した状態からさらに傾斜して回転ツールに近づく方向に回動することとなり、主軸ユニットの下降に伴う押圧手段の姿勢変更をスムーズかつ容易に行うことができる。
この摩擦攪拌接合装置によれば、姿勢変更のための特別な機構等を別途設けることなく、アームの自重を利用したシンプルな構成で、押圧姿勢から退避姿勢への姿勢変更が可能となる。
また、主軸ユニットが上昇する過程において、自重により、金属要素にローラ部材が当接しつつアームが回転ツールから離間するように回動し、これに連動してローラ部材が回転ツールから離間するように移動する。これによって、押圧姿勢から退避姿勢への姿勢変更をスムーズに行うことができる。
参照する図面において、図1は本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置の要部を示した図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
ホルダ部11は、図示しない回転駆動部の駆動軸に固定されて回転可能に設けられており、その内部には、円錐台形状の内周面12を有して、回転ツール20が着脱可能に嵌まり込んで保持されるチャック機構(詳細不図示)が設けられている。なお、回転ツール20は、チャック機構に保持された状態で、その軸線O2が予め設定された所定の軸線に一致するように配置される。
把持部22は、嵌合部21と大径部23との間において径方向外側へ膨出形成されており、その軸線方向中央部には周方向全周に延びる凹状の周溝22aが形成されている。この周溝22aには、回転ツール20を自動で交換する自動交換装置等の図示しない支持部材が係合可能である。
大径部23は、嵌合部21の基端側(把持部22に近い側)と略同様の大きさの外径を備えて構成されており、前記したようにその下端部に小径の摩擦攪拌部24が形成されている。本実施形態では、図1(b)に示すように、大径部23の下端部に小径の摩擦攪拌部24が形成されていることから、大径部23の下方領域には、摩擦攪拌部24に近づけて後記するローラ部材32が進入して配置可能となっている。
この押圧手段30は、主軸ユニット10に吊設されたアーム31、およびこのアーム31の下端部に回転可能に軸支されたローラ部材32を含んで構成され、回転ツール20の移動方向前方において接合突部TWをローラ部材32で押圧可能に構成されている。
そして、押圧手段30は、前記した摩擦攪拌部24の近傍位置における、回転ツール20の着脱時に干渉する空間部K(領域)にローラ部材32が進入して、接合突部TWを上面および両側方から押圧保持する押圧姿勢S1(図1(b)に示す姿勢、以下同じ)と、摩擦攪拌部24(回転ツール20)から離間する位置(空間部Kから外れる外側位置)にローラ部材32が退避して、主軸ユニット10に対する回転ツール20の着脱を可能にする退避姿勢S2(図2に二点鎖線で示す姿勢、以下同じ)と、の間で姿勢変更可能に構成されている。
本実施形態では、このように上アーム31Aが主軸ユニット10の正面10aに固定された状態で、ローラ部材32の幅方向の中心を通る軸線O1と、回転ツール20の回転軸O2とが正面視(図1(a)参照)で一致するように位置合わせされている。
なお、上アーム31Aの上方には、取付ベース33に取り付けられるかたちで、上アーム31Aの高さ位置を調節する位置決め用ボルト33cが設けられている。
第1のストッパ36aは、上アーム31Aの下部から後部側に向けて膨出する膨出部36Aの下面をもって設けられており、この例では、連結部36の支軸36Eを通る水平面と平行になっている。また、下アーム31Bには、この第1のストッパ36aに当接する当接部36bが設けられており、この当接部36bは、下アーム31Bの上部から後部側に向けて下り傾斜状に突出する膨出部36Aの傾斜面をもって設けられている。そして、第1のストッパ36aに当接部36bが当接すると、下アーム31Bが押圧姿勢S1に保持され、下アーム31Bが退避姿勢S2から押圧姿勢S1を越えて必要以上に回動することが規制される(図3(a)参照)。
具体的に、ローラ部材32の押圧位置(押圧姿勢S1とされたときの摩擦攪拌部24の中心軸(回転ツール20の軸線O2)からの距離)は、ローラ部材32の半径、摩擦攪拌部24の半径、および金属部材Wの傾き等を考慮して設定される所定の隙間、を合算した値で設定することができる。例えば、ローラ部材32の押圧位置は、摩擦攪拌部24の中心軸から30mm〜40mmの範囲となる距離に設定されることが好ましい。
ここで、上アーム31A,下アーム31Bは、硬質の金属部材からなり、少なくとも下アーム31Bは、金属部材による相当の自重を有して形成され、その自重によって、連結部36を中心として押圧姿勢S1から退避姿勢S2に姿勢変更可能に回動されるようになっている。つまり、主軸ユニット10が上昇されて、金属部材Wからローラ部材32が離れた状態では、アーム31が、下アーム31Bの自重によって下限R2に位置され(図6(a)参照)、第2のストッパ36cに当接された状態(退避姿勢S2)が保持されるようになっている。
このように、本実施形態では、主軸ユニット10の昇降動に伴って、押圧姿勢S1と退避姿勢S2との間でアーム31の姿勢変更が自動的に行われるようになっている。
なお、主軸ユニット10が下降位置から上昇位置に上昇する過程においては、ローラ部材32が金属部材Wに当接しつつ下アーム31Bが下限R2へ向けて回動(旋回)し、これに連動して、ローラ部材32が回転ツール20から離間するようになっている。つまり、アーム31が押圧姿勢S1から退避姿勢S2に姿勢変更することとなる。
ローラ部32Aは、図5(a)に示すように、接合突部TWの幅L2に対応する幅L1を有しており、接合突部TWの上面Waに当接して押圧可能となっている。
また、鍔部32Bは、図4(a)に示すように、ローラ部材32の幅方向両端側に向かって順次大径となるテーパ状に形成されている。このような鍔部32Bは、ローラ部材32が接合突部TWを押圧する際に、接合突部TWの両側方から当接して、図5(a)に示すように、これらを突合面TW1へ向けて締め付けるように作用する。つまり、押圧手段30(アーム31)が前記した押圧姿勢S1にされる過程で、ローラ部材32が接合突部TWに当接してこれを押圧すると、鍔部32Bが接合突部TWの両側方から挟持するように当接(接合突部TWの肩部Wbに当接)して、接合突部TWを突合面TW1へ向けて締め付けつつ、ローラ部32Aが接合突部TWの上面に当接してこれを押圧する。これにより、接合突部TWは、上面Waおよび両側方から締め付けられるようにして押圧保持される状態となり、接合突部TWにおける位置ずれがローラ部材32の押圧によって好適に抑えられる状態に保持されることとなる。なお、ローラ部32Aの幅L1が接合突部TWの幅L2に対応しているので、接合突部TWの上面Waにローラ部32Aが当接して押圧する状態では、鍔部32Bの基端部が接合突部TWの肩部Wbに当接してこれらを挟持するように押圧する状態となって、突合面TW1へ向けた締め付けが好適に維持されるようになる。したがって、接合突部TWの押圧保持が良好に行われることとなる。
なお、ローラ部材32の押圧力は、取付ベース33(図1(a)参照)の位置決め用ボルト33cにより調整することができる。
このような、ローラ部材32’によれば、接合突部TWを押圧する過程で、テーパ面32b’による突合面TW1の締め付けが良好に行われるとともに、垂直面32eによって、突合面TW1へ向けた強固な締め付けが維持されるようになり、接合突部TWの押圧保持が良好に行われることとなる。なお、鍔部32B’には、垂直面32eのみを設けてもよい。
ここで、摩擦攪拌接合される金属部材Wは、図6に示すように、断面矩形の中空押出形材からなる金属部材W1と、外形断面略T字の中空押出形材からなる金属部材W2および金属部材W3を使用している。以下では、金属部材W1の左右に、金属部材W2および金属部材W3を接合する場合について説明する。
なお、金属部材Wを構成する材料は限定されるものではなく、適宜公知の材料から選定して使用すればよいが、本実施形態では、アルミニウム合金製の金属部材Wを使用する。
そして、金属部材W1の突合面W1a,W1aは、図6に示すように、垂直面を呈している。一方、金属部材W2と金属部材W3の突合面W2a,W3aは、金属部材W1の突合面W1aと突き合せたときに隙間が形成されるように、中間部分に予め凹みが形成されている。このように、金属部材W2と金属部材W3の突合面W2a,W3aの中間部分に凹みが形成されていることで、突合面W2a,W3aの上下(接合突部TWも含む)が金属部材W1の突合面W1a,W1aに密着する。仮に、平面からなる突合面同士を突き合わせると、突合面の不陸により密着せずに、高品質な摩擦攪拌接合ができない場合があるが、この金属部材Wは、互いの突合部TW1に隙間が形成されていることで、この隙間が突合面の不陸を吸収し、隙間の上方の摩擦攪拌接合を行う接合部分に関しては金属部材W同士が隙間なく密着し、高品質に摩擦攪拌接合を行うことを可能としている。なお、凹みの深さはわずかな隙間が形成される程度であればよい。
したがって、摩擦攪拌接合時には、図9に示すように、回転ツール20の移動方向前方において、接合突部TWが押圧手段30のローラ部材32によって好適に押圧保持されるようになり、前記したように他の治具等を使用することなく、回転ツール20が移動する際の接合突部TWにおけるズレが好適に防止される。したがって、高品質の金属部材W同士の摩擦攪拌接合を行うことができる。
はじめに、図10(a)に示すように、主軸ユニット10を上昇位置に上昇させて、押圧手段30を退避姿勢S2に保持する。押圧手段30が退避姿勢S2に保持された状態では、摩擦攪拌部24の近傍位置(前記した空間部K)から離間する位置にローラ部材32が退避して、回転ツール20の下方領域の外側へ下アーム31Bやローラ部材32が移動される状態となるので、主軸ユニット10の下方には空いたスペースが形成されるようになり、図10(b)に示すように、回転ツール20を交換する際には、回転ツール20を主軸ユニット10から取り外して、そのまま下方へ引き抜いて取り外すことができる。
以上のような一連の手順による交換は、押圧手段30を退避姿勢S2に保持した状態で行うことができるので、アーム31の下アーム31Bやローラ部材32が回転ツール20等の着脱時に干渉して障害物となることがない。したがって、交換作業をスムーズかつ円滑に行うことができるようになる。
また、前記したように、主軸ユニット10が下降する過程において、自重により、金属部材Wにローラ部材32が当接すると、下アーム31Bが回転ツール20に向けて回動し、これに連動してローラ部材32が回転ツール20に向けて移動する。これによって、退避姿勢S2から押圧姿勢S1への姿勢変更をスムーズに行うことができるようになる。
また、主軸ユニット10が上昇する過程においては、自重により、金属部材Wにローラ部材32が当接しつつ下アーム31Bが回転ツール20から離間するように回動し、ローラ部材32が回転ツール20から離間するように移動する。これによって、押圧姿勢S1から退避姿勢S2への姿勢変更をスムーズに行うことができる。
また、前記実施形態では、ローラ部32Aの幅L1と接合突部TWの幅L2とを同じ寸法に設定したが、これに限られることはなく、幅L1を幅L2よりも大きく設定してもよいし、これとは逆に、幅L2を幅L1よりも大きく設定してもよい。
幅L1を幅L2よりも大きく設定した場合には、概略次のような摩擦攪拌接合を行うことができる。つまり、接合突部TWの上面Wa(図5(a)参照)にローラ部32Aを確実に当接して押圧保持することができる。また、接合突部TWの突合面TW1が所定以上に開いているような箇所が存在しているような場合には、その箇所にローラ部材32が差しかかると、鍔部32Bが両側方から当接して押圧し、接合突部TWが左右方向への開くのを鍔部32Bで抑えながら、摩擦攪拌接合を行うことができる。
また、幅L2を幅L1よりも大きく設定した場合には、接合突部TWの肩部Wb(図5(a)参照)に鍔部32Bのテーパ面32bが位置する状態となり、鍔部32Bで肩部Wbを常時押圧保持することができる。この場合、ローラ部32Aが接合突部TWの上面Waに当接せず、ローラ部32Aのローラ面と接合突部TWの上面Waとの間には、隙間が形成されることとなるが、前記のように鍔部32Bが肩部Wbに当接して押圧保持しているので、結果として、接合突部TWには、下方へ押さえる力が作用することとなり、接合突部TWが下方向にも好適に押圧保持されることとなる。
10a 正面
11 ホルダ部
20 回転ツール
20’ 回転ツール
23 大径部
24 摩擦攪拌部
24a ショルダ部
24b 攪拌ピン
30 押圧手段
31 アーム
31A 上アーム
31B 下アーム
32 ローラ部材
32’ ローラ部材
32A ローラ部
32B 鍔部
32B’ 鍔部
32b テーパ面
32b’ テーパ面
32e 垂直面
37 エアーノズル
K 空間部
R1 上限
R2 下限
S1 押圧姿勢
S2 退避姿勢
TW 接合突部
TW1 突合部
W 金属部材
W1〜W3 金属部材
Claims (7)
- 金属要素同士の突合部に形成される接合突部に沿って回転ツールを移動させることで、前記金属要素同士を接合する摩擦攪拌接合装置であって、
前記回転ツールを支持する主軸ユニットと、
前記回転ツールの移動方向前方において前記接合突部を押圧可能な押圧手段と、を備え、
前記押圧手段は、
前記接合突部の上面に当接することで前記上面を押圧可能なローラ部と、
このローラ部の幅方向両端部にそれぞれ設けられ、前記接合突部の両側方から当接することで前記接合突部を両側方から押圧可能な鍔部と、を備えてなるローラ部材を有しており、
前記ローラ部材で前記接合突部を押圧保持することを特徴とする摩擦攪拌接合装置。 - 前記鍔部は、前記ローラ部材の幅方向両端側に向かって順次大径となるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合装置。
- 前記鍔部は、前記接合突部に両側方から当接可能な垂直面を含んで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の摩擦攪拌接合装置。
- 前記押圧手段は、
前記ローラ部材が前記接合突部を押圧保持する押圧姿勢と、
少なくとも前記ローラ部材が前記回転ツールから離間する退避姿勢と、の間で姿勢変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合装置。 - 前記主軸ユニットは、前記回転ツールを着脱可能に支持するとともに前記金属要素に対して昇降可能に設けられており、
前記押圧手段は、
前記主軸ユニットに吊設されたアームの下端部に前記ローラ部材を備えて構成され、
前記主軸ユニットが所定の上昇位置から所定の下降位置に下降する過程で、前記ローラ部材が前記金属要素に当接しつつ前記回転ツールに向けて移動することで前記退避姿勢から前記押圧姿勢に姿勢変更し、前記主軸ユニットが前記下降位置から前記上昇位置に上昇する過程で、前記ローラ部材が前記金属要素に当接しつつ前記回転ツールから離間するように移動することで前記押圧姿勢から前記退避姿勢に姿勢変更することを特徴とする請求項4に記載の摩擦攪拌接合装置。 - 前記アームは、上アームと、この上アームの下部に回動可能に支持された下アームとを含んで構成され、前記上アームに対して前記下アームが回動することで、前記押圧姿勢または前記退避姿勢となり、
前記退避姿勢において、前記下アームは、前記回転ツールに前記ローラ部材が近づく方向に鉛直軸から傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の摩擦攪拌接合装置。 - 前記アームは、その自重により前記押圧姿勢から前記退避姿勢へ回動されて姿勢変更することを特徴とする請求項6に記載の摩擦攪拌接合装置。
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