JP2009208117A - 摩擦攪拌接合装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】接合突部を有する金属部材同士の摩擦攪拌接合において、使用する治具の数を低減しつつ高品質の金属部材同士の摩擦攪拌接合を行うことができ、生産効率の向上およびコストの削減を図る。
【解決手段】金属要素W同士の突合部に形成される接合突部TWに沿って回転ツール20を移動させることで、金属要素W同士を接合する摩擦攪拌接合装置であって、回転ツール20を支持する主軸ユニット10と、回転ツール20の移動方向前方において接合突部を押圧可能な押圧手段30と、を備え、押圧手段30は、接合突部TWの上面に当接することで上面を押圧可能なローラ部と、ローラ部の幅方向両端部にそれぞれ設けられ、接合突部の両側方から当接することで接合突部を両側方から押圧可能な鍔部と、を備えたローラ部材32で接合突部TWを押圧保持するように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、摩擦攪拌接合装置に関する。
金属要素としての金属部材同士を接合する装置として、摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)装置が知られている。摩擦攪拌接合は、回転ツールを回転させつつ金属部材同士の突合部に沿って移動させ、回転ツールと金属部材との摩擦熱により突合部の金属を塑性流動させることで、金属部材同士を固相接合させるものである。なお、回転ツールは、円柱状を呈するショルダ部の下端面に攪拌ピン(プローブ)を突設してなるものが一般的である。
ところで、摩擦攪拌接合は、前記のように回転ツールを回転させつつ金属部材同士の突合部に沿って移動させる接合方法であるため、接合時には、回転ツールの移動による金属部材のずれ等で接合欠陥が生じないように、金属部材同士を突き合わせた状態で強固に固定する必要がある。
そこで、従来、クランプ等の治具を利用して、金属部材同士を突き合わせた状態にして支持台に締着することが行われている。
また、回転ツールの前進方向前方において、金属部材同士の突合部を上面から押さえつけるように構成された加圧ローラを備えたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載された摩擦攪拌接合装置によれば、加圧ローラにて金属部材同士の突合面を上方から直接押さえることができ、突合部における浮き上がりを防止することができる。
特許第3327327号公報
ところで、金属要素同士の突合部に形成される接合突部に沿って回転ツールを移動させることで、金属部材同士を接合する摩擦攪拌接合においては、突合部が突部とされているため、接合時における回転ツールの移動によって、この接合突部にズレが生じる虞があり、摩擦攪拌接合の品質が低下する虞があった。このため、摩擦攪拌接合時には、金属部材の側方から延設されたアーム等の治具や、接合突部の近傍位置において金属部材を直接固定する固定治具等を多数用い、これらの治具による拘束によって金属部材同士を突き合わせるようにして強固に固定していた。
このため、治具の設置や取り外しに多大の時間を要してしまい、生産効率が低下するとともにコストが上昇するという問題があった。
このような観点から、本発明は、接合突部を有する金属部材同士の摩擦攪拌接合において、使用する治具の数を低減しつつ高品質の金属部材同士の摩擦攪拌接合を行うことができ、生産効率が向上およびコストの削減を図ることができる摩擦攪拌接合装置を提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明に係る摩擦攪拌接合装置は、金属要素同士の突合部に形成される接合突部に沿って回転ツールを移動させることで、前記金属要素同士を接合する摩擦攪拌接合装置であって、前記回転ツールを支持する主軸ユニットと、前記回転ツールの移動方向前方において前記接合突部を押圧可能な押圧手段と、を備え、前記押圧手段は、前記接合突部の上面に当接することで前記上面を押圧可能なローラ部と、このローラ部の幅方向両端部にそれぞれ設けられ、前記接合突部の両側方から当接することで前記接合突部を両側方から押圧可能な鍔部と、を備えてなるローラ部材を有しており、前記ローラ部材で前記接合突部を押圧保持することを特徴としている。
この摩擦攪拌接合装置によれば、摩擦攪拌接合時に、ローラ部材によって、回転ツールの移動方向前方における接合突部が、上面および両側方から締め付けられて押圧保持されるようになり、回転ツールが移動する際に接合突部にズレが生じにくくなる。これにより、金属要素を拘束するための固定治具を減らすことができるようになり、特に、接合突部の近傍位置において金属要素を直接固定するための固定治具を排除することができる。したがって、使用する治具の数を低減しつつ高品質の金属部材同士の摩擦攪拌接合を行うことができるようになり、金属要素の拘束に係る時間を大幅に短縮することができて、生産効率の向上およびコストの削減を図ることができる。
また、前記鍔部を、前記ローラ部材の幅方向両端側に向かって順次大径となるテーパ状に形成することで、ローラ部材による接合突部の押圧保持を良好に行うことができる。つまり、摩擦攪拌接合時に、ローラ部材が接合突部へ押圧されると、鍔部のテーパ面に案内されるようにして接合突部が両側方から突合部へ向けて良好に締め付けられるようになり、ローラ部材による接合突部の押圧保持を良好に行うことができる。したがって、使用する治具の数を低減しつつ高品質の金属部材同士の摩擦攪拌接合を行うことができる。
また、前記鍔部を、前記接合突部に両側方から当接可能な垂直面を含んで形成することで、接合突部が両側方から突合部へ向けて垂直面で強固に締め付けられるようになり、ローラ部材による接合突部の押圧保持を良好に行うことができる。
また、前記押圧手段は、前記ローラ部材が前記接合突部を押圧保持する押圧姿勢と、少なくとも前記ローラ部材が前記回転ツールから離間する退避姿勢と、の間で姿勢変更可能に構成されているとよい。
この摩擦攪拌接合装置によれば、押圧手段を押圧姿勢にすることによって、接合突部をローラ部材で押圧保持しつつ摩擦攪拌接合を行うことができる。
また、押圧手段を退避姿勢にして、ローラ部材が回転ツールから離間するようにすることで、回転ツールの周りに回転ツール交換用の空間を形成することができ、これによって、回転ツールの交換時には、回転ツールの着脱をローラ部材等に干渉することなく好適に行うことができる。したがって、回転ツールの交換が行い易くなる。
また、前記主軸ユニットは、前記回転ツールを着脱可能に支持するとともに前記金属要素に対して昇降可能に設けられており、前記押圧手段は、前記主軸ユニットに吊設されたアームの下端部に前記ローラ部材を備えて構成され、前記主軸ユニットが所定の上昇位置から所定の下降位置に下降する過程で、前記ローラ部材が前記金属要素に当接しつつ前記回転ツールに向けて移動することで前記退避姿勢から前記押圧姿勢に姿勢変更し、前記主軸ユニットが前記下降位置から前記上昇位置に上昇する過程で、前記ローラ部材が前記金属要素に当接しつつ前記回転ツールから離間するように移動することで前記押圧姿勢から前記退避姿勢に姿勢変更するように構成するのがよい。
この摩擦攪拌接合装置によれば、主軸ユニットの昇降動作に連動させて押圧手段の姿勢変更を行うことができ、主軸ユニットの昇降動作によって姿勢が自動的に変更される摩擦攪拌接合装置が得られる。
また、前記アームは、前記主軸ユニットに取り付けられる上アームと、この上アームの下部に回動可能に支持された下アームとを含んで構成され、前記上アームに対して前記下アームが回動することで、前記押圧姿勢または前記退避姿勢となり、前記退避姿勢において、前記下アームは、前記回転ツールに前記ローラ部材が近づく方向に鉛直軸から傾斜している構成とするのがよい。
この摩擦攪拌接合装置によれば、下アームを上アームに対して回動可能に設けるという簡単な構成によって押圧手段の姿勢変更を容易に実現することができる。
また、退避姿勢において、下アームは、回転ツールにローラ部材が近づく方向に鉛直軸から傾斜しているので、退避姿勢から押圧姿勢への姿勢変更をスムーズに行うことができる。
つまり、前記したように、主軸ユニットが下降する過程において金属要素にローラ部材が当接すると、下アームは、傾斜した状態からさらに傾斜して回転ツールに近づく方向に回動することとなり、主軸ユニットの下降に伴う押圧手段の姿勢変更をスムーズかつ容易に行うことができる。
前記アームは、自重により前記押圧姿勢から前記退避姿勢へ回動されて姿勢変更する構成とするのがよい。
この摩擦攪拌接合装置によれば、姿勢変更のための特別な機構等を別途設けることなく、アームの自重を利用したシンプルな構成で、押圧姿勢から退避姿勢への姿勢変更が可能となる。
また、前記したように、主軸ユニットが下降する過程において、自重により、金属要素にローラ部材が当接すると、アームが回転ツールに向けて回動し、これに連動してローラ部材が回転ツールへ向けて移動する。これによって、退避姿勢から押圧姿勢への姿勢変更をスムーズに行うことができるようになる。
また、主軸ユニットが上昇する過程において、自重により、金属要素にローラ部材が当接しつつアームが回転ツールから離間するように回動し、これに連動してローラ部材が回転ツールから離間するように移動する。これによって、押圧姿勢から退避姿勢への姿勢変更をスムーズに行うことができる。
本発明によれば、接合突部を有する金属部材同士の摩擦攪拌接合において、使用する治具の数を低減しつつ高品質の金属部材同士の摩擦攪拌接合を行うことができ、生産効率の向上およびコストの削減を図ることができる摩擦攪拌接合装置が得られる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、以下の実施形態においては、接合される金属要素として突合部に接合突部TWが形成される3つの金属部材W(金属部材W1,金属部材W2,金属部材W3)を本発明に係る摩擦攪拌接合装置により摩擦攪拌接合する場合について説明する。なお、金属部材Wの形状は、これに限定される趣旨ではない。以下の説明において、「前後左右」は、図1において図示した方向を基準とする。
参照する図面において、図1は本発明の一実施形態に係る摩擦攪拌接合装置の要部を示した図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図1(a)(b)に示すように、本実施形態の摩擦攪拌接合装置は、金属部材W同士の接合突部TWに沿って回転ツール20を移動させる(図1(b)参照)ことで、金属部材W同士を摩擦攪拌接合するものであり、回転ツール20を着脱可能に支持するとともに金属部材Wに対して昇降可能に設けられた主軸ユニット10を含んで構成される。そして、摩擦攪拌接合装置は、摩擦攪拌接合時等に前記接合突部TWを押圧保持することが可能な押圧手段30を備えて構成される。ここで、図1(b)に示した回転ツール20は、摩擦攪拌接合時に使用される接合用の回転ツールである。
主軸ユニット10は、図示しない工場の床等に設置される摩擦攪拌接合装置の支持設備に設けられ、支持台40(図6参照)の上に固定支持される金属部材Wの接合突部TWに沿ってスライド移動可能、および金属部材Wに対して昇降移動可能に設けられている。また、主軸ユニット10は、その下部に、回転ツール20を保持するためのホルダ部11が設けられており、その内部に回転ツール20を回転させるための図示しない回転駆動部が設けられている。
ホルダ部11は、図示しない回転駆動部の駆動軸に固定されて回転可能に設けられており、その内部には、円錐台形状の内周面12を有して、回転ツール20が着脱可能に嵌まり込んで保持されるチャック機構(詳細不図示)が設けられている。なお、回転ツール20は、チャック機構に保持された状態で、その軸線O2が予め設定された所定の軸線に一致するように配置される。
回転ツール20は、ホルダ部11の内周面12に対応する形状とされた円錐台形状の嵌合部21と、この嵌合部21の下部に設けられた把持部22と、この把持部22の下部に形成された大径部23と、この大径部23の下端部に形成されたツールとしての摩擦攪拌部24と、を備えてなる。
嵌合部21は、前記したように円錐台形状とされており、ホルダ部11の内周面12に当接して図示しないチャック機構により着脱可能に保持されるようになっている。
把持部22は、嵌合部21と大径部23との間において径方向外側へ膨出形成されており、その軸線方向中央部には周方向全周に延びる凹状の周溝22aが形成されている。この周溝22aには、回転ツール20を自動で交換する自動交換装置等の図示しない支持部材が係合可能である。
大径部23は、嵌合部21の基端側(把持部22に近い側)と略同様の大きさの外径を備えて構成されており、前記したようにその下端部に小径の摩擦攪拌部24が形成されている。本実施形態では、図1(b)に示すように、大径部23の下端部に小径の摩擦攪拌部24が形成されていることから、大径部23の下方領域には、摩擦攪拌部24に近づけて後記するローラ部材32が進入して配置可能となっている。
このような回転ツール20は、把持部22が最大外径となっており、ホルダ部11に対する回転ツール20の着脱時には、ホルダ部11の下方に回転ツール20を無理なく引き抜くことができるように、後記する押圧手段30が退避姿勢S2とされた状態において、ホルダ部11の下方には、少なくともこの把持部22の外径に対応する大きさの空間部Kが形成されるように構成されている。
摩擦攪拌部24は、工具鋼など金属部材Wよりも硬質の金属製部材からなり、円柱状を呈するショルダ部24aと、このショルダ部24aの下端面に突設された攪拌ピン(プローブ)24bとを備えて構成されている。ショルダ部24aの下端面は、塑性流動化した金属を押えて周囲への飛散を防止する役割を担う部位であり、本実施形態では、凹面状等に成形されている。攪拌ピン24bは、ショルダ部24aの下端面の中央から垂下しており、本実施形態では、例えば、先細りの円錐台状に成形されている。また、攪拌ピン24bの周面には、螺旋状に刻設された攪拌翼24c(図5(b)参照)が形成されている。
なお、回転ツール20の移動速度(送り速度)は、攪拌ピン24bの寸法・形状、摩擦攪拌される金属部材W等の材質や肉厚等に応じて設定される。回転ツール20を移動させると、その攪拌ピン24bの周囲にある金属が順次塑性流動化するとともに、攪拌ピン24bから離れた位置では、塑性流動化していた金属が再び硬化する。
次に、本実施形態の摩擦攪拌接合装置の特徴的構成である押圧手段30について説明する。押圧手段30は、図1(a)に示すように、主軸ユニット10の正面10aに設けられている。
この押圧手段30は、主軸ユニット10に吊設されたアーム31、およびこのアーム31の下端部に回転可能に軸支されたローラ部材32を含んで構成され、回転ツール20の移動方向前方において接合突部TWをローラ部材32で押圧可能に構成されている。
そして、押圧手段30は、前記した摩擦攪拌部24の近傍位置における、回転ツール20の着脱時に干渉する空間部K(領域)にローラ部材32が進入して、接合突部TWを上面および両側方から押圧保持する押圧姿勢S1(図1(b)に示す姿勢、以下同じ)と、摩擦攪拌部24(回転ツール20)から離間する位置(空間部Kから外れる外側位置)にローラ部材32が退避して、主軸ユニット10に対する回転ツール20の着脱を可能にする退避姿勢S2(図2に二点鎖線で示す姿勢、以下同じ)と、の間で姿勢変更可能に構成されている。
そのための構成として、アーム31は、図2に示すように、上アーム31Aと下アーム31Bとからなり、上アーム31Aに対して下アーム31Bが回動可能(回転ツール20に近づく位置と回転ツール20から離間する位置との間で、接合突部TWに沿って回動可能)に設けられている。つまり、下アーム31Bを、その回動範囲の上限R1に位置させた状態(図2に実線で図示した状態)が押圧姿勢S1であり、また、下アーム31Bを、その回動範囲の下限R2に位置させた状態(図2に二点鎖線で図示した状態)が退避姿勢S2である。
上アーム31Aは、図1(a)に示すように、主軸ユニット10の正面10aに、4本のボルト33aで固定された取付ベース33に囲われて左右方向に位置決めされる状態に配置されている、また上アーム31Aは、上下方向に形成された2つの長孔31aにそれぞれ挿通されたボルト33bで、上下方向に位置決めされる状態に配置される。
本実施形態では、このように上アーム31Aが主軸ユニット10の正面10aに固定された状態で、ローラ部材32の幅方向の中心を通る軸線O1と、回転ツール20の回転軸O2とが正面視(図1(a)参照)で一致するように位置合わせされている。
なお、上アーム31Aの上方には、取付ベース33に取り付けられるかたちで、上アーム31Aの高さ位置を調節する位置決め用ボルト33cが設けられている。
下アーム31Bは、水平軸である支軸36Eを介して上アーム31Aに回動可能に設けられており、その下端部にローラ部材32が設けられている。そして、上アーム31Aと下アーム31Bとの連結部36には、前記した押圧姿勢S1または退避姿勢S2をアーム31が保持するための第1のストッパ36a,第2のストッパ36cが設けられている。
ここで、第1のストッパ36aは、押圧姿勢S1を保持するために設けられたものであり、また、第2のストッパ36cは、退避姿勢S2を保持するために設けられたものである。
第1のストッパ36aは、上アーム31Aの下部から後部側に向けて膨出する膨出部36Aの下面をもって設けられており、この例では、連結部36の支軸36Eを通る水平面と平行になっている。また、下アーム31Bには、この第1のストッパ36aに当接する当接部36bが設けられており、この当接部36bは、下アーム31Bの上部から後部側に向けて下り傾斜状に突出する膨出部36Aの傾斜面をもって設けられている。そして、第1のストッパ36aに当接部36bが当接すると、下アーム31Bが押圧姿勢S1に保持され、下アーム31Bが退避姿勢S2から押圧姿勢S1を越えて必要以上に回動することが規制される(図3(a)参照)。
ここで、ローラ部材32は、押圧姿勢S1とされたときに、空間部Kに位置するように設定されることが好ましく、さらに、図1(b)に示すように、大径部23の下方領域における摩擦攪拌部24の周りに位置するように設定されることがより好ましい。
具体的に、ローラ部材32の押圧位置(押圧姿勢S1とされたときの摩擦攪拌部24の中心軸(回転ツール20の軸線O2)からの距離)は、ローラ部材32の半径、摩擦攪拌部24の半径、および金属部材Wの傾き等を考慮して設定される所定の隙間、を合算した値で設定することができる。例えば、ローラ部材32の押圧位置は、摩擦攪拌部24の中心軸から30mm〜40mmの範囲となる距離に設定されることが好ましい。
第2のストッパ36cは、上アーム31Aの下部に上り傾斜状に切り欠いて形成された切欠部36Cの下面をもって設けられている。そして、下アーム31Bには、この第2のストッパ36cに当接する当接部36dが、下アーム31Bの上部に形成された段部36Dの上面(段差面)に設けられている。このような第2のストッパ36cに当接部36dが当接すると、下アーム31Bが退避姿勢S2に保持され、下アーム31Bが押圧姿勢S1から退避姿勢S2を越えて必要以上に回動することが規制される(図3(b)参照)。
本実施形態では、このような第2のストッパ36cに当接部36dが当接することによって、下アーム31Bが、退避姿勢S2において、回転ツール20にローラ部材32が近づく方向に鉛直軸から傾斜して保持されるように構成されている(図6(a)参照)。
ここで、上アーム31A,下アーム31Bは、硬質の金属部材からなり、少なくとも下アーム31Bは、金属部材による相当の自重を有して形成され、その自重によって、連結部36を中心として押圧姿勢S1から退避姿勢S2に姿勢変更可能に回動されるようになっている。つまり、主軸ユニット10が上昇されて、金属部材Wからローラ部材32が離れた状態では、アーム31が、下アーム31Bの自重によって下限R2に位置され(図6(a)参照)、第2のストッパ36cに当接された状態(退避姿勢S2)が保持されるようになっている。
また、これとは反対に、主軸ユニット10が上昇位置から下降位置に下降される過程で、金属部材Wにローラ部材32が当接すると、下アーム31Bは、上限R1へ向けて回動(旋回)し、これに連動して、ローラ部材32が回転ツール20に向けて移動するようになっている。つまり、アーム31が退避姿勢S2から押圧姿勢S1に姿勢変更することとなる(図6(b)(c)参照)。
このように、本実施形態では、主軸ユニット10の昇降動に伴って、押圧姿勢S1と退避姿勢S2との間でアーム31の姿勢変更が自動的に行われるようになっている。
なお、主軸ユニット10が下降位置から上昇位置に上昇する過程においては、ローラ部材32が金属部材Wに当接しつつ下アーム31Bが下限R2へ向けて回動(旋回)し、これに連動して、ローラ部材32が回転ツール20から離間するようになっている。つまり、アーム31が押圧姿勢S1から退避姿勢S2に姿勢変更することとなる。
ローラ部材32は、図2に示すように、下アーム31Bの下端部に、水平支軸31bにより支持されて回動可能に設けられている。そして、ローラ部材32は、図4(a)に示すように、ローラ部32Aおよびこのローラ部32Aの幅方向両端部にそれぞれ設けられた鍔部32Bを備えおり、これらのローラ部32Aおよび鍔部32Bで、接合突部TWを押圧保持するように構成されている(図3(c)参照)。
ローラ部32Aは、図5(a)に示すように、接合突部TWの幅L2に対応する幅L1を有しており、接合突部TWの上面Waに当接して押圧可能となっている。
また、鍔部32Bは、図4(a)に示すように、ローラ部材32の幅方向両端側に向かって順次大径となるテーパ状に形成されている。このような鍔部32Bは、ローラ部材32が接合突部TWを押圧する際に、接合突部TWの両側方から当接して、図5(a)に示すように、これらを突合面TW1へ向けて締め付けるように作用する。つまり、押圧手段30(アーム31)が前記した押圧姿勢S1にされる過程で、ローラ部材32が接合突部TWに当接してこれを押圧すると、鍔部32Bが接合突部TWの両側方から挟持するように当接(接合突部TWの肩部Wbに当接)して、接合突部TWを突合面TW1へ向けて締め付けつつ、ローラ部32Aが接合突部TWの上面に当接してこれを押圧する。これにより、接合突部TWは、上面Waおよび両側方から締め付けられるようにして押圧保持される状態となり、接合突部TWにおける位置ずれがローラ部材32の押圧によって好適に抑えられる状態に保持されることとなる。なお、ローラ部32Aの幅L1が接合突部TWの幅L2に対応しているので、接合突部TWの上面Waにローラ部32Aが当接して押圧する状態では、鍔部32Bの基端部が接合突部TWの肩部Wbに当接してこれらを挟持するように押圧する状態となって、突合面TW1へ向けた締め付けが好適に維持されるようになる。したがって、接合突部TWの押圧保持が良好に行われることとなる。
なお、ローラ部材32の押圧力は、取付ベース33(図1(a)参照)の位置決め用ボルト33cにより調整することができる。
なお、図4(a)に示すように、ローラ部材32は、水平支軸31b(図2参照、以下同じ)が挿通される中空部32dを有しており、この中空部32dの開口には、水平支軸31bに形成された段状の支持部が係合する段部32cが形成されている。
また、ローラ部材32の変形例として、図4(b)に示すようなローラ部材32’を用いてもよい。このローラ部材32’は、鍔部32B’が、テーパ面32b’およびこのテーパ面32b’に連続する垂直面32eを有して形成されており、押圧時にテーパ面32b’が接合突部TWの両側方から当接して、最終的に垂直面32eで押圧保持されるように構成されている。
このような、ローラ部材32’によれば、接合突部TWを押圧する過程で、テーパ面32b’による突合面TW1の締め付けが良好に行われるとともに、垂直面32eによって、突合面TW1へ向けた強固な締め付けが維持されるようになり、接合突部TWの押圧保持が良好に行われることとなる。なお、鍔部32B’には、垂直面32eのみを設けてもよい。
また、アーム31には、下アーム31Bのローラ部材32の近傍部位に、エアーノズル37が設けられており、このエアーノズル37は、ローラ部材32の進行方向前方における接合突部TWに向けて空気を吐出するように構成されている。なお、エアーノズル37には、エアーチューブ37aを通じて図示しない供給源からエアーが供給されるようになっており、エアーチューブ37aは、アーム31の側方を沿わせて配索されている。なお、エアーチューブ37aは、アーム31の内側を沿わせて配索してもよい。
次に、本実施形態に係る摩擦攪拌接合装置に係る摩擦攪拌接合時の作用について説明する。
ここで、摩擦攪拌接合される金属部材Wは、図6に示すように、断面矩形の中空押出形材からなる金属部材W1と、外形断面略T字の中空押出形材からなる金属部材W2および金属部材W3を使用している。以下では、金属部材W1の左右に、金属部材W2および金属部材W3を接合する場合について説明する。
なお、金属部材Wを構成する材料は限定されるものではなく、適宜公知の材料から選定して使用すればよいが、本実施形態では、アルミニウム合金製の金属部材Wを使用する。
また、図6および図7に示すように、各金属部材W同士の突合面TW1に対応する個所には、上下に突出する接合突部TWがそれぞれ形成されている。接合突部TWの断面形状は限定されるものではないが、摩擦攪拌接合により接合されることで、完成部材として必要な強度を発現することが可能な高さと厚みを有している。なお、各接合突部TWは、これらを突き合わせた際の幅寸法が、回転ツール20の摩擦攪拌部24のショルダ部24aの外径よりも大きくなるように設定されている(図5(a)(b)参照)。
そして、金属部材W1の突合面W1a,W1aは、図6に示すように、垂直面を呈している。一方、金属部材W2と金属部材W3の突合面W2a,W3aは、金属部材W1の突合面W1aと突き合せたときに隙間が形成されるように、中間部分に予め凹みが形成されている。このように、金属部材W2と金属部材W3の突合面W2a,W3aの中間部分に凹みが形成されていることで、突合面W2a,W3aの上下(接合突部TWも含む)が金属部材W1の突合面W1a,W1aに密着する。仮に、平面からなる突合面同士を突き合わせると、突合面の不陸により密着せずに、高品質な摩擦攪拌接合ができない場合があるが、この金属部材Wは、互いの突合部TW1に隙間が形成されていることで、この隙間が突合面の不陸を吸収し、隙間の上方の摩擦攪拌接合を行う接合部分に関しては金属部材W同士が隙間なく密着し、高品質に摩擦攪拌接合を行うことを可能としている。なお、凹みの深さはわずかな隙間が形成される程度であればよい。
ところで、金属部材Wの固定は、概略次のようにして行う。金属部材W同士の突合面TW1を突き合わせた状態で、これらの金属部材W(W1〜W3)を台座41〜43からなる支持台40に載置する。なお、支持板44で金属部材W1の高さ調整を行う。そして、支持板44の上面の両端に支持部材45,45を配設し、突合面TW1を下面から支持する。また、支持部材46で金属部材W1の中央を支持する。そして、左側の台座42に固定された万力50と、右側の台座43に固定された受部材51により金属部材W2,W3を把持し、左右両側方から押さえつける。なお、万力50と金属部材W2および受部材51と金属部材W3の間には、それぞれ補助板52,52が介在されており、万力50による押さえつけ力を分散させて、突合面TW1の全面が、密着するように構成されている。
本実施形態の摩擦攪拌接合装置を用いた摩擦攪拌接合では、支持台40に対する金属部材W1〜W3の固定を、このような万力50を用いた固定のみで行うことが可能である。つまり、本実施形態の摩擦攪拌接合装置では、後記するように、接合突部TWを押圧手段30のローラ部材32によって押圧保持することができるので、従来のような金属部材Wの側方から延設されたアーム等の治具や、接合突部TWの近傍位置において金属部材Wを直接固定するボルト等の固定治具を排除することができるといった利点が得られる。
はじめに、図8(a)に示すように、主軸ユニット10が上昇位置にある状態では、ローラ部材32が金属部材Wの上方に位置して金属部材Wに非当接状態となっているので、アーム31の下アーム31Bは、自重により他方の下限R2(図2参照)に位置して、押圧手段30が、退避姿勢S2となる。
このような上昇位置から、摩擦攪拌接合を行うために、主軸ユニット10を下降位置へ向けて下降させると、図8(b)に示すように、ローラ部材32が金属部材Wの上面、すなわち、接合突部TWの上面に当接し、下アーム31Bは、金属部材Wに当接しつつ上限R1へ向けて回動(旋回)する。そして、これに連動して、ローラ部材32が回転ツール20に向けて移動する(図7参照)。
この状態からさらに主軸ユニット10が下降位置(摩擦攪拌接合を行う位置)に向けて下降すると、下アーム31Bが、金属部材Wに当接しつつ上限R1へ向けてさらに回動(旋回)し、回転ツール20の摩擦攪拌部24にローラ部材32が近づけられる。
そして、図8(c)に示すように、主軸ユニット10が下降位置に下降して停止された状態で、回転ツール20の摩擦攪拌部24の攪拌ピン24bが接合突部TWの接合開始位置に挿入(圧入)され、摩擦攪拌接合が開始される。このとき、主軸ユニット10が下降位置に下降して停止された状態において、押圧手段30は押圧姿勢S1に保持された状態となり、ローラ部材32が、摩擦攪拌部24に一番近づいた状態(近傍位置)に配置されるとともに、接合突部TWへ向けて押圧されることとなり、図5(a)(b)に示すように、接合突部TWを上面および両側方から好適に押圧保持する(なお、図5(a)では、ローラ部材32の押圧状態を主として示すために、攪拌ピン24bは、接合突部TWの上面Waに当接する直前の状態を表した。)。
したがって、摩擦攪拌接合時には、図9に示すように、回転ツール20の移動方向前方において、接合突部TWが押圧手段30のローラ部材32によって好適に押圧保持されるようになり、前記したように他の治具等を使用することなく、回転ツール20が移動する際の接合突部TWにおけるズレが好適に防止される。したがって、高品質の金属部材W同士の摩擦攪拌接合を行うことができる。
なお、金属部材Wは、回転ツール20の移動方向(前方向)に向けて下り傾斜状に配置された例を示したが、これに限られることはなく、略水平状態にして配置してもよい。
次に、回転ツール20を手動により交換する際の手順について説明する。
はじめに、図10(a)に示すように、主軸ユニット10を上昇位置に上昇させて、押圧手段30を退避姿勢S2に保持する。押圧手段30が退避姿勢S2に保持された状態では、摩擦攪拌部24の近傍位置(前記した空間部K)から離間する位置にローラ部材32が退避して、回転ツール20の下方領域の外側へ下アーム31Bやローラ部材32が移動される状態となるので、主軸ユニット10の下方には空いたスペースが形成されるようになり、図10(b)に示すように、回転ツール20を交換する際には、回転ツール20を主軸ユニット10から取り外して、そのまま下方へ引き抜いて取り外すことができる。
その後、主軸ユニット10の下方の空いたスペースを利用して、図10(c)に示すように、バリ取り用の回転ツール20’を下方から主軸ユニット10に挿入して装着する。これによって、図10(d)に示すように、接合用の回転ツール20からバリ取り用の回転ツール20’に交換することができる。
以上のような一連の手順による交換は、押圧手段30を退避姿勢S2に保持した状態で行うことができるので、アーム31の下アーム31Bやローラ部材32が回転ツール20等の着脱時に干渉して障害物となることがない。したがって、交換作業をスムーズかつ円滑に行うことができるようになる。
以上説明した本実施形態の摩擦攪拌接合装置によれば、摩擦攪拌接合時に、ローラ部材32によって、回転ツール20の移動方向前方における接合突部TWが、上面Waおよび両側方から締め付けられて押圧保持されるようになっているので、回転ツール20が移動する際に接合突部TWにズレが生じにくくなり、従来用いていた接合突部TWの近傍位置における固定治具等を排除することができる。したがって、使用する治具の数を低減しつつ高品質の金属部材同士の摩擦攪拌接合を行うことができ、金属部材Wの拘束に係る時間を大幅に短縮することができる。これにより、生産効率の向上およびコストの削減を図ることができる。
また、押圧手段30のアーム31は、主軸ユニット10に吊設されているので、回転ツール20の移動に伴ってローラ部材32を接合突部TWに沿わせて移動させることが可能であり、高品質な金属部材W同士の摩擦攪拌接合を行うことが可能となる。
また、鍔部32Bが、ローラ部材32の幅方向両端側に向かって順次大径となるテーパ状に形成されているので、ローラ部材32による接合突部TWの押圧保持を良好に行うことができる。つまり、摩擦攪拌接合時に、ローラ部材32が接合突部TWへ押圧されると、鍔部32Bのテーパ面32bに案内されるようにして接合突部TWが両側方から突合面TW1へ向けて良好に締め付けられるようになり、ローラ部材32による接合突部TWの押圧保持を良好に行うことができる。したがって、使用する治具の数を低減しつつ高品質の金属部材同士の摩擦攪拌接合を行うことができる。
また、鍔部32Bを、接合突部TWに両側方から当接可能な垂直面32eを含んで形成することで、接合突部TWが両側方から突合面TW1へ向けて垂直面32eで強固に締め付けられるようになり、ローラ部材32による接合突部TWの押圧保持を良好に行うことができる。
また、押圧手段30が押圧姿勢S1と退避姿勢S2との間で姿勢変更可能に構成されているので、退避姿勢S2にして、ローラ部材32が回転ツール20から離間するようにすることで、回転ツール20の周りに回転ツール交換用の空間部Kを少なくとも形成することができ、これによって、回転ツール20の交換時には、回転ツール20の着脱をローラ部材32等に干渉することなく好適に行うことができる。したがって、回転ツール20の交換が行い易くなる。
また、押圧手段30は、主軸ユニット10が下降位置に下降する過程で、ローラ部材32が金属部材Wに当接しつつ回転ツール20に向けて移動することで退避姿勢S2から押圧姿勢S1に姿勢変更し、また、これとは逆に、上昇位置に上昇する過程で、ローラ部材32が金属部材Wに当接しつつ回転ツール20から離間するように移動することで押圧姿勢S1から退避姿勢S2に姿勢変更するようになっているので、主軸ユニット10の昇降動作に連動させて押圧手段30の姿勢変更を行うことができ、主軸ユニット10の昇降動作によって姿勢が自動的に変更される摩擦攪拌接合装置が得られる。
また、退避姿勢S2において、下アーム31Bは、回転ツール20にローラ部材32が近づく方向に鉛直軸から傾斜しているので、退避姿勢S2から押圧姿勢S1への姿勢変更をスムーズに行うことができる。つまり、主軸ユニット10が下降する過程において金属部材Wにローラ部材32が当接すると、下アーム31Bは、傾斜した状態からさらに傾斜して回転ツール20に近づく方向に回動することとなり、主軸ユニット10の下降に伴う押圧手段30の姿勢変更をスムーズかつ容易に行うことができる。
また、アーム31は、自重により押圧姿勢S1から退避姿勢S2へ回動されて姿勢変更するので、姿勢変更のための特別な機構等を別途設けることなく、アーム31の自重を利用したシンプルな構成で、押圧姿勢S1から退避姿勢S2への姿勢変更が可能となる。
また、前記したように、主軸ユニット10が下降する過程において、自重により、金属部材Wにローラ部材32が当接すると、下アーム31Bが回転ツール20に向けて回動し、これに連動してローラ部材32が回転ツール20に向けて移動する。これによって、退避姿勢S2から押圧姿勢S1への姿勢変更をスムーズに行うことができるようになる。
また、主軸ユニット10が上昇する過程においては、自重により、金属部材Wにローラ部材32が当接しつつ下アーム31Bが回転ツール20から離間するように回動し、ローラ部材32が回転ツール20から離間するように移動する。これによって、押圧姿勢S1から退避姿勢S2への姿勢変更をスムーズに行うことができる。
なお、図11に示すように、下アーム31B’の下端部31dを前後方向に延設してもよい。このように構成することによって、下アーム31B’の下端部31dにおけるローラ部材32の支持剛性を向上させることができ、より高品質の金属部材W同士の摩擦攪拌接合を行うことができる。また、ローラ部材32を好適に保護することができる。
また、図12に示すように、金属部材W’の上面に凹溝M,Mを形成することで、これらの凹溝M,Mの間に接合突部TW’が形成されるようにした金属部材W’においても、前記した押圧手段30のローラ部材32によって接合突部TW’を好適に押圧保持することができる。この場合には、凹溝M,M内に鍔部32B,32Bが入り込むようにして接合突部TW’が鍔部32B,32Bで押圧保持されるようになり、摩擦攪拌接合時にこの押圧保持が好適に維持されて接合突部TW’のズレが好適に防止されるようになる。したがって、このような金属部材W’同士の接合においても、高品質の摩擦攪拌接合を行うことができる。
なお、図6に示した金属部材Wの開口端において、金属部材W同士の突合部を図示しないクランプ装置等によって挟持するようにしてもよい。このようなクランプ装置等を用いることによって、より一層強固に接合突部TWを押圧保持することができるようになり、より高品質の摩擦攪拌接合を実現することができる。
また、前記実施形態において、接合突部TWの突合面TW1は、ローラ部材32で押圧保持された状態において相互に当接する状態として説明したが、これに限られることはなく、ローラ部材32で押圧保持された状態において、突合面TW1に隙間が形成されるようにしてもよい。つまり、突合面TW1に隙間を有した状態においても、接合突部TWは、ローラ部材32によって好適に押圧保持されることとなる。
また、前記実施形態では、ローラ部32Aの幅L1と接合突部TWの幅L2とを同じ寸法に設定したが、これに限られることはなく、幅L1を幅L2よりも大きく設定してもよいし、これとは逆に、幅L2を幅L1よりも大きく設定してもよい。
幅L1を幅L2よりも大きく設定した場合には、概略次のような摩擦攪拌接合を行うことができる。つまり、接合突部TWの上面Wa(図5(a)参照)にローラ部32Aを確実に当接して押圧保持することができる。また、接合突部TWの突合面TW1が所定以上に開いているような箇所が存在しているような場合には、その箇所にローラ部材32が差しかかると、鍔部32Bが両側方から当接して押圧し、接合突部TWが左右方向への開くのを鍔部32Bで抑えながら、摩擦攪拌接合を行うことができる。
また、幅L2を幅L1よりも大きく設定した場合には、接合突部TWの肩部Wb(図5(a)参照)に鍔部32Bのテーパ面32bが位置する状態となり、鍔部32Bで肩部Wbを常時押圧保持することができる。この場合、ローラ部32Aが接合突部TWの上面Waに当接せず、ローラ部32Aのローラ面と接合突部TWの上面Waとの間には、隙間が形成されることとなるが、前記のように鍔部32Bが肩部Wbに当接して押圧保持しているので、結果として、接合突部TWには、下方へ押さえる力が作用することとなり、接合突部TWが下方向にも好適に押圧保持されることとなる。
なお、図13に示すように、接合突部TWの肩部Wbを左右に膨出形成し、ローラ部材32の鍔部32Bのテーパ面32bが接合突部TWの肩部Wbに積極的に当接するようにしてもよい。また、図示はしないが、肩部Wbをアール状に形成して、ローラ部材32の鍔部32Bのテーパ面32bが接合突部TWの肩部Wbに当接するようにしてもよい。
本実施形態に係る摩擦攪拌接合装置の要部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 本実施形態に係る摩擦攪拌接合装置に使用される押圧手段の説明図である。 (a)は押圧手段が押圧姿勢にあるときのアームの連結部分の様子を示す拡大側面図、(b)は押圧手段が退避姿勢にあるときのアームの連結部分の様子を示す拡大側面図、(c)は押圧手段のローラ部材を示す正面図である。 (a)はローラ部材を示す説明図、(b)はその他のローラ部材を示す説明図である。 (a)(b)はローラ部材による押圧保持の様子を示す説明図である。 金属部材の固定状況を示す正面図である。 金属部材の固定状況を示す斜視図である。 (a)〜(c)は押圧手段の作用説明図である。 摩擦攪拌接合の様子を示す斜視図である。 (a)〜(d)は回転ツールを交換する際の手順を示す説明図である。 変形例に係る摩擦攪拌接合装置の要部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 凹溝が形成された金属部材における押圧保持の様子を示す説明図である。 接合突部の異なる形状における押圧保持の様子を示す説明図である。
符号の説明
10 主軸ユニット
10a 正面
11 ホルダ部
20 回転ツール
20’ 回転ツール
23 大径部
24 摩擦攪拌部
24a ショルダ部
24b 攪拌ピン
30 押圧手段
31 アーム
31A 上アーム
31B 下アーム
32 ローラ部材
32’ ローラ部材
32A ローラ部
32B 鍔部
32B’ 鍔部
32b テーパ面
32b’ テーパ面
32e 垂直面
37 エアーノズル
K 空間部
R1 上限
R2 下限
S1 押圧姿勢
S2 退避姿勢
TW 接合突部
TW1 突合部
W 金属部材
W1〜W3 金属部材

Claims (7)

  1. 金属要素同士の突合部に形成される接合突部に沿って回転ツールを移動させることで、前記金属要素同士を接合する摩擦攪拌接合装置であって、
    前記回転ツールを支持する主軸ユニットと、
    前記回転ツールの移動方向前方において前記接合突部を押圧可能な押圧手段と、を備え、
    前記押圧手段は、
    前記接合突部の上面に当接することで前記上面を押圧可能なローラ部と、
    このローラ部の幅方向両端部にそれぞれ設けられ、前記接合突部の両側方から当接することで前記接合突部を両側方から押圧可能な鍔部と、を備えてなるローラ部材を有しており、
    前記ローラ部材で前記接合突部を押圧保持することを特徴とする摩擦攪拌接合装置。
  2. 前記鍔部は、前記ローラ部材の幅方向両端側に向かって順次大径となるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合装置。
  3. 前記鍔部は、前記接合突部に両側方から当接可能な垂直面を含んで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の摩擦攪拌接合装置。
  4. 前記押圧手段は、
    前記ローラ部材が前記接合突部を押圧保持する押圧姿勢と、
    少なくとも前記ローラ部材が前記回転ツールから離間する退避姿勢と、の間で姿勢変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合装置。
  5. 前記主軸ユニットは、前記回転ツールを着脱可能に支持するとともに前記金属要素に対して昇降可能に設けられており、
    前記押圧手段は、
    前記主軸ユニットに吊設されたアームの下端部に前記ローラ部材を備えて構成され、
    前記主軸ユニットが所定の上昇位置から所定の下降位置に下降する過程で、前記ローラ部材が前記金属要素に当接しつつ前記回転ツールに向けて移動することで前記退避姿勢から前記押圧姿勢に姿勢変更し、前記主軸ユニットが前記下降位置から前記上昇位置に上昇する過程で、前記ローラ部材が前記金属要素に当接しつつ前記回転ツールから離間するように移動することで前記押圧姿勢から前記退避姿勢に姿勢変更することを特徴とする請求項4に記載の摩擦攪拌接合装置。
  6. 前記アームは、上アームと、この上アームの下部に回動可能に支持された下アームとを含んで構成され、前記上アームに対して前記下アームが回動することで、前記押圧姿勢または前記退避姿勢となり、
    前記退避姿勢において、前記下アームは、前記回転ツールに前記ローラ部材が近づく方向に鉛直軸から傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の摩擦攪拌接合装置。
  7. 前記アームは、その自重により前記押圧姿勢から前記退避姿勢へ回動されて姿勢変更することを特徴とする請求項6に記載の摩擦攪拌接合装置。
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