JP2004141948A - 接合ツール、摩擦撹拌接合装置および摩擦撹拌接合方法 - Google Patents

接合ツール、摩擦撹拌接合装置および摩擦撹拌接合方法 Download PDF

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    • B21J5/06Methods for forging, hammering, or pressing; Special equipment or accessories therefor for performing particular operations
    • B21J5/063Friction heat forging

Abstract

【課題】接合ツールが没入すべき没入位置からずれることを防止する接合ツールを提供する。
【解決手段】軸線L1まわりに回転しながら被接合物21に没入する撹拌部23の中央部に突起25を有する。この突起25が軸線L1に沿って突出し、軸線L1上に頂点26を有する尖鋭形状に形成される。これによって接合ツール20は、被接合物21に没入するときに、回転軸線L1から偏心した部分が最初に被接合物21に接触することがなく、被接合物21から反力を受けることがない。したがって接合ツール21が軸線L1に垂直な方向にずれることを防止することができる。すなわち接合ツール21を没入すべき没入位置に正確に没入させることができる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の被接合部材を含んで構成される被接合物を部分的に固相撹拌して、各被接合部材を接合する摩擦撹拌接合装置および摩擦撹拌接合方法に関する。なお当接されて設けられる被接合物は、複数の被接合部材が重ね合わされる場合および突き合わされる場合を含む。
【0002】
【従来の技術】
図18は、従来の技術の接合ツール2と被接合物1とが接触した状態を拡大して示す断面図である。接合ツール2は、摩擦撹拌接合によって重ね合わされる複数の被接合部材1a,1bを接合する。接合ツール2は、複数の被接合部材1a,1bが重ね合されて設けられる被接合物1に、軸線L1まわりに回転しながら軸線方向Aに没入する。接合ツール2は、被接合物1を予め定める加圧力F1で押圧する。接合ツール2は、摩擦熱によって被接合物1を流動化させ、流動化した被接合物1を固相撹拌して、被接合部材1a,1bを非溶融の状態で接合する(たとえば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−314982号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図19は、図18のS19−S19切断面線から見た図である。接合ツール2を被接合物1に接触させて回転させる場合には、回転接触時に発生する摩擦力よりも大きい力を接合ツール2に与える必要がある。また接合ツール2が軸線L1から半径方向に離れた偏心位置4で被接合物1に接触する場合、回転接触時に発生する摩擦力に抗する力F2と、軸線L1から偏心位置4までの距離rとを乗算した値F2×rよりも大きいトルクを接合ツールに与える必要がある。
【0005】
接合ツール2を摩擦力に抗する力F2で動作させると、被接合物1から摩擦力に抗する力F2の反対方向であって摩擦力に抗する力F2と同じ大きさの反力F3が、接合ツール2に作用する。
【0006】
図18に示すように、被接合物1の表面状態および接合ツール2の保持状態などによって、接合ツール2が最初に接触する被接合物1の接触面5と、接合ツール2の軸線L1とが垂直でない場合がある。この場合、接合ツール2は、その軸線L1上の中心位置3で接触するより先に、軸線L1から半径方向に離れた偏心位置4で被接合物1に接触する。このとき接合ツール2が被接合物1に接触する接触部分6は、軸線L1に対して非対称となる。
【0007】
接合ツール2の接触部分6が軸線L1に対して非対称な場合には、上述したように、接合ツール2に反力F3が作用する。この反力F3は、軸線方向Aに垂直な方向に働き、接合ツール2を動かす力となり、接合ツール2の位置決めに影響を与える。
【0008】
接合ツール2は、たとえばロボットアームによって支持される。ロボットアームは、接合ツール2の軸線方向Aの剛性は高いが、軸線方向Aに垂直な方向Bの剛性は低い。したがって、被接合物1から反力F3が作用すると接合ツール2を支持するロボットアームがたわむ。これによって接合ツール2は、没入すべき没入位置からずれた位置に没入してしまう。
【0009】
このように接合ツール2の軸線L1が被接合物1の表面に対して傾く場合、従来の技術では、被接合物1から反力F3が接合ツール2に与えられて、接合ツール2を没入位置に正確に没入することができないという問題がある。
【0010】
したがって本発明の目的は、接合ツールが没入すべき没入位置からずれることを防止する接合ツール、摩擦撹拌接合装置および接合ツールを用いた摩擦撹拌接合方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に対して、その軸線まわりに回転しながら被接合物に撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
撹拌部は、前記軸線に沿って突出し、前記軸線上に頂点を有する尖鋭形状に形成されることを特徴とする接合ツールである。
【0012】
本発明に従えば、軸線まわりに回転しながら軸線方向に沿って移動して、撹拌部が被接合物に没入し、その撹拌部が先鋭形状に形成される。撹拌部側から被接合物に没入すると、撹拌部の頂点が最初に被接合物に接触する。この頂点は、接合ツールの軸線上に配置される。
【0013】
これによって接合ツールは、被接合物に没入するときに、その軸線から偏心した部分が最初に被接合物に接触することがない。したがって被接合物から摩擦力に抗する力に応じた反力を受けることがない。これによって接合ツールは、軸線に垂直な方向に移動することが防止され、接合すべき接合位置からずれることが防止される。いいかえると没入すべき没入位置に正確に没入することができる。
【0014】
また本発明は、撹拌部には、被接合物を穿孔するための穿孔刃が設けられることを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、撹拌部に穿孔刃が設けられるので、短時間で撹拌部を被接合物に没入させることができる。これによって撹拌部の磨耗量を減らすことができるとともに、突起没入時の被接合物の変形を低減することができる。また穿孔刃が形成されることによって被接合物の撹拌効果を高めることができる。
【0016】
また本発明は、撹拌部は、中央部に突起を有し、この突起が前記軸線上に頂点を有する尖鋭形状に形成され、
突起は、撹拌部の残余の部分に比べて出没自在に設けられることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、撹拌部の没入が完了するまでに、撹拌部の残余の部分に突起を没入することによって、突起が残余の部分から突出していた領域に流動化した被接合物が流れ込む。これによって突起による接合跡をなくすことができ、被接合物の美観を向上することができる。さらに突起が残余の部分から突出した状態で撹拌部が没入しつづけると、突起によって撹拌部が被接合物を貫通するおそれがある。しかし本発明に従えば突起を残余の部分に没入することによって、撹拌部が被接合物を貫通することを防止することができ、被接合物が貫通されることによる接合不良を防止することができる。
【0018】
また本発明は、複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に対して、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら、その接合ツールの撹拌部を被接合物に没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合装置であって、
撹拌部に、前記軸線上に頂点を有する尖鋭形状に形成され、撹拌部の残余の部分に対して前記軸線方向へ突出および没入自在である突起を備える接合ツールと、
前記接合ツールを前記軸線まわりに回転駆動するツール回転駆動手段と、
前記接合ツールを前記軸線方向に沿って変位駆動するツール変位駆動手段と、前記接合ツールの突起を、撹拌部の残余の部分に対して、前記軸線方向へ突出および没入変位駆動する突起駆動手段とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合装置である。
【0019】
本発明に従えば、接合ツールをその軸線まわりに回転駆動するとともに軸線方向に沿って変位駆動することによって、回転させた接合ツールを被接合物に没入する。これによって接合ツールが被接合物を固相撹拌して、各被接合部材を接合する。
【0020】
突起駆動手段が突起を残余の部分から突出させた状態で、接合ツールの没入を開始する。これによって接合ツールは、先鋭形状に形成される突起の頂点が最初に被接合物に接触する。頂点は接合ツールの軸線上に設けられるので接合ツールは、被接合物から摩擦力に抗する反力を受けることがない。これによって接合ツールが軸線に垂直な方向にずれることを防止することができる。
【0021】
また突起駆動手段によって、撹拌部の没入が完了するまでに、撹拌部の残余の部分に突起を没入することによって、突起が残余の部分から突出していた領域に流動化した被接合物が流れ込む。これによって突起による接合跡をなくすことができる。また突起が残余の部分から突出した状態で撹拌部が没入しつづけると撹拌部が被接合物を貫通するおそれがあるが、上述するように突起駆動手段によって突起を撹拌部の残余の部分に没入することによって、撹拌部が被接合物を貫通することを防止することができる。
【0022】
また本発明は、複数の被接合部材が当接されて設けられる被接合物に対して、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら被接合物に没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合装置であって、
前記接合ツールを前記軸線まわりに回転駆動するツール回転駆動手段と、
前記接合ツールを前記軸線方向に沿って変位駆動するツール変位駆動手段と、前記接合ツールが被接合物に没入されるときの接合ツールの軸線と一致する中心軸線を有し、接合ツールの先端形状に対応する形状の位置決め凹所を形成する凹所形成手段とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合装置である。
【0023】
本発明に従えば、接合ツールをその軸線まわりに回転駆動するとともに軸線方向に沿って変位駆動することによって、回転させた接合ツールを被接合物に没入する。これによって接合ツールが被接合物を固相撹拌して、各被接合部材を接合する。
【0024】
凹所形成手段によって被接合物に位置決め凹所を形成し、接合ツールの先端を位置決め凹所に嵌め込み、接合ツールを被接合物に没入する。これによって接合ツールの先端が位置決め凹所から抜け出ることを防止して、接合ツールを被接合物に没入させることができる。これによって接合ツールが没入すべき没入位置からずれることを防止し、没入すべき没入位置に接合ツールを正確に没入させることができる。
【0025】
また本発明は、前記凹所形成手段は、被接合物を挟んで配置される一対の電極端子の端子間に電圧を印加する電源部と、
前記一対の電極端子を近接および離反変位駆動し、各電極端子によって被接合物を挟んで、位置決め凹所となる圧痕を形成する圧痕形成部とを有することを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、接合ツールが被接合物に没入する前に、電極端子によって被接合物を両側から挟み、位置決め凹所となる圧痕を形成する。また電極端子間に電圧を印加して各被接合部材に電流を流し、被接合物を溶融して各被接合部材を仮止めする。
【0027】
このように位置決め凹所が形成される部分に当接される各被接合部材を仮止めした状態で、接合ツールの先端を位置決め凹所に嵌め込むことによって、接合ツールの位置ずれを防止するとともに、各被接合部材がずれること、被接合部材間に隙間が形成されることをなくすことができる。これによって接合不良をさらに確実に防止し、被接合物の接合品質を向上することができる
また本発明は、複数の被接合部材が当接されて設けられる被接合物に対して、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら、その接合ツールの撹拌部を被接合物に没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合方法であって、
撹拌部に、軸線上に頂点を有する尖鋭形状に形成され、撹拌部の残余の部分に対して前記軸線方向へ突出および没入自在である突起を備える接合ツールを用い、その接合ツールの突起を撹拌部の残余の部分から突出させた状態で、接合ツールを被接合物に接触させ、
接触後に接合ツールの突起を撹拌部の残余の部分に没入させて、接合ツールを回転させながら被接合物を軟化させて流動させる撹拌させる撹拌工程を含むことを特徴とする摩擦撹拌接合方法である。
【0028】
本発明に従えば、突起を撹拌部の残余の部分から突出させた状態で、接合ツールの没入を開始する。これによって接合ツールは、先鋭形状に形成される突起の頂点が最初に被接合物に接触する。頂点は接合ツールの軸線上に設けられるので接合ツールは、被接合物から摩擦力に抗する反力を受けることがない。これによって接合ツールが軸線に垂直な方向にずれることを防止することができる。
【0029】
また撹拌部の没入が完了するまでに、撹拌部の残余の部分に突起を没入することによって、突起が残余の部分から突出していた領域に流動化した被接合物が流れ込む。これによって突起による接合跡をなくすことができる。また突起が残余の部分から突出した状態で撹拌部が没入しつづけると撹拌部が被接合物を貫通するおそれがあるが、上述するように突起駆動手段によって突起を撹拌部の残余の部分に没入することによって、撹拌部が被接合物を貫通することを防止することができる。
【0030】
また本発明は、複数の被接合部材が当接されて設けられる被接合物に対して、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら被接合物に没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合方法であって、
一対の電極端子によって被接合物を両側から挟んで、被接合物に圧痕による位置決め凹所を形成する圧痕形成工程と、
被接合物を挟んだ状態で、一対の電極端子間に電圧を印加して、各被接合部材を部分的に溶融させて仮止めする仮止工程と、
各被接合部材が仮止された被接合物の位置決め凹所に接合ツールの先端部を嵌り込ませるように、接合ツールを回転させながら被接合物に没入し、被接合物を軟化させて流動させる撹拌工程とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合方法である。
【0031】
本発明に従えば、圧痕形成工程によって、被接合物に圧痕による位置決め凹所を形成し、仮止め工程によって圧痕が形成される付近における各被接合部材を部分的に溶融して仮止めする。圧痕形成工程および仮止め工程の後に、撹拌工程を行う。すなわち位置決め凹所に接合ツールの先端部を嵌り込ませて、接合ツールを回転させながら被接合物に没入して、被接合物を軟化させて流動させる。
【0032】
接合ツールが接合すべき没入位置に位置決め凹所を形成し、この位置決め凹所に接合ツールを嵌め込んで、接合ツールを被接合物に没入することによって、接合ツールが接合すべき没入位置からずれることを防止することができる。
【0033】
さらに電極端子によって圧痕形成と仮止めを行うことによって、圧痕が形成される付近の被接合部材を仮止めすることができ、圧痕形成および仮止めを短時間に行うことができる。また仮止め後に接合ツールを被接合物に没入することによって被接合部材がずれることおよび被接合部材間に隙間が形成することをなくし、接合不良を防止することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である接合ツール20と被接合物21とが接触した状態を拡大して示す断面図である。接合ツール20は、複数の被接合部材21a,21bが重ね合わされて設けられる被接合物21を摩擦撹拌接合(
Friction Stir Welding:略称FSW)するために用いられ、特にスポット接合に用いられる。
【0035】
接合ツール20は、その軸線L1まわりに回転しながら軸線L1に沿って移動し、被接合物21に当接する。接合ツール20は、回転しながら被接合物21に没入する。被接合物21は、接合ツール20が回転接触することで、摩擦熱が生じて軟化する。
【0036】
被接合物21に没入した接合ツール20は、軟化した被接合物21を流動化し、流動化した部分を撹拌する。これによって流動化した各被接合部材21a,21bが互いに混ぜ合わされる。十分に被接合物21を撹拌した後、接合ツール20が被接合物21から離脱することによって、流動化した部分が固まり、各被接合部材21a,21bが接合される。
【0037】
接合される被接合部材21a,21bは、たとえばプレス成形されるアルミ製の薄厚材である。また摩擦撹拌接合は、たとえば自動車ボディ、意匠構造物およびその他重ね合わせ接合物の製造に用いられる。
【0038】
接合ツール20は、略円柱状に形成される本体部22と、本体部22から軸線方向一方A1に突出し、略円柱状に形成される撹拌部23とを有する。撹拌部23は、被接合物21に没入して流動化した被接合物21を撹拌する。
【0039】
本体部22は、軸線方向一方A1側端面となるショルダ面27を有し、ショルダ面27は、軸線L1に対して垂直に形成される。撹拌部23は、ショルダ面27から垂直に突出する。また本体部22と撹拌部23とは、同軸に形成され、本体部22の直径よりも撹拌部23の直径が小さく形成される。
【0040】
本発明において、被接合物21の接合ツール側の表面と接合ツール20の軸線L1とは、垂直に形成されなくてもよく、接合ツール20の軸線L1に対して被接合物21の接合ツール側の表面が傾斜している場合であっても、好適に用いることができる。
【0041】
撹拌部23は、円柱状に形成されるピン部28と、ピン部28の軸線上の中央部24から軸線方向一方A1に突出する先鋭形状の突起25とが形成される。突起25は、その先端部分が軸線方向一方A1に向かうにつれて先細な円錐形状に形成される。また突起25の頂点26は、接合ツール20の軸線L1上に配置される。したがって接合ツール20の軸線方向一方A1側先端は、突起25の頂点26となる。
【0042】
また接合ツール20は、突起25の被接合物21への当接を妨げる部分がなく形成される。言換えると、本体部22およびピン部28は、突起25の軸線まわりに空隙18が形成される。これによって軸線方向一方A1に移動して被接合物21に接触する接合ツール20は、最初に突起25の頂点26が当接する。
【0043】
接合にあたって、接合ツール20と対向する位置には、受け台30が設けられる。受け台30は、接合ツール20と反対側から被接合物21を支持する。受け台30は、接合ツール20のショルダ面27よりも広い面積の受け面31を有する。また受け台30は、ツール開口部33が設けられる。ツール開口部33には、受け面31から没入するツール開口32が形成される。ツール開口32は、接合ツール20の突起25の外周径よりも大きい周径を有する。接合にあたって、ツール開口部33は、接合ツール20に臨み、突起25とツール開口32とが同軸に配置される。
【0044】
図2は、本発明の実施の一形態の摩擦撹拌接合装置40を示す斜視図である。摩擦撹拌接合装置40は、図1に示す本発明の接合ツール20が装着される。摩擦撹拌接合装置40は、接合ツール20が装着され、予め定める基準軸線L2まわりに回転自在にかつ基準軸線L2に沿って移動自在に設けられるツール保持具41と、ツール保持具41を基準軸線L2まわりに回転駆動するツール回転駆動手段42と、ツール保持具41を基準軸線L2に沿って変位駆動するツール変位駆動手段43と、ツール保持具41に対向する位置に配置され、ツール保持具41と反対側から被接合物21を支持する受け台30を有する受け台形成部44と、受け台形成部44を基準軸線方向Bに変位駆動する受け台駆動手段45と、ロボットアーム29に連結される基台46とを含んで構成される。基準軸線方向Bは、基準軸線L2を含む仮想面において、基準軸線L2に平行な直線が延びる方向である。
【0045】
ツール保持具41は、接合ツール20の軸線方向他方A2側端部を挟持して、接合ツール20を着脱可能に保持する。ツール保持具41に保持される接合ツール20は、その軸線L1が摩擦撹拌接合装置40の予め定める基準軸線L2と一致する。ツール保持具41が基準軸線L2に沿って変位駆動されると、ツール保持具41に保持される接合ツール20は、接合ツール20の軸線L1に沿って移動する。またツール保持具41が基準軸線L2まわりに回転駆動されると、ツール保持具41に保持される接合ツール20は、接合ツール20の軸線L1まわりに回転する。
【0046】
ツール回転駆動手段42は、ツール保持具41を基準軸線L2まわりに回転自在に支持するツール回転用軸受47と、ツール保持具41を基準軸線L2まわりに回転させるためのツール回転モータ48と、ツール回転モータ48からの回転力をツール保持具41に伝達する伝達部(図示せず)とを有する。
【0047】
ツール変位駆動手段43は、基準軸線方向Bに変位自在に構成される可動部(図示せず)と、可動部を基準軸線方向Bに変位自在に支持する支持部49と、可動部を基準軸線方向Bに変位駆動するためのツール変位モータ50と、ツール変位モータ50からの回転力を基準軸線方向の直進力に変換して可動部に伝達する伝達部(図示せず)とを有する。たとえば支持部49は、可動部を支持するガイドレールによって実現され、ツール変位モータ50は、サーボモータによって実現される。また伝達部は、ツール変位モータ50の回転力をねじまたは歯車を用いて直進力に変換する。またツール変位駆動手段43は、リニアモータによって実現されてもよい。
【0048】
ツール変位駆動手段43の可動部には、ツール回転駆動手段42が固定される。またツール変位駆動手段43の支持部49は、基台46に固定される。ツール変位モータ50を回転することによって、可動部とともにツール回転駆動手段42を基台46に対して基準軸線方向Bに変位駆動することができる。
【0049】
受け台形成部44は、略L字状に形成される。受け台形成部44は、基準軸線L2に対して半径方向に間隔をあけて、基準軸線方向Bに延びる受け台形成部第1部分51と、受け台形成部第1部分51の基準軸線方向一端部51aに連なり、ツール保持具41に向かって基準軸線L2に垂直な方向に延びる受け台形成部第2部分52とを有する。
【0050】
受け台形成部第2部分52には、受け台30が設けられる。受け台30は、受け台形成部第2部分52からツール保持具41に向かって基準軸線L2に沿って突出する。受け台30は、基準軸線L2に同軸な略円柱状に形成され、ツール保持具41に対して間隔をあけて配置される。さらに受け台30のツール開口部33は、基準軸線L2に対してツール開口32が同軸となるように形成される。
【0051】
受け台駆動手段45は、基準軸線方向Bに変位自在に構成される可動部(図示せず)と、可動部を基準軸線方向Bに変位自在に支持する支持部53と、可動部を基準軸線方向B2に変位駆動するための受け台変位モータ54と、受け台変位モータ54からの回転力を基準軸線方向の直進力に変換して可動部に伝達する伝達部(図示せず)とを有する。受け台駆動手段45は、ツール変位駆動手段43と同一の構成を有し、説明を省略する。
【0052】
受け台駆動手段45の可動部には、受け台形成部第1部分51の基準軸線方向他端部51bが固定される。また受け台駆動手段45の支持部53は、基台46に固定される。受け台変位モータ54を回転させることによって、可動部とともに受け台形成部44を基台46に対して基準軸線方向Bに変位駆動することができる。
【0053】
基台46は、上述するようにツール変位駆動手段43の支持部49、受け台駆動手段45の支持部53が固定される。また基台46は、ロボットアーム29の先端部と連結される。基台46は、ロボットアーム29によって変位駆動され、接合が行われる被接合物21の接合位置に変位駆動される。基台46が移動すると、基台46に固定される各手段もまた基台46と一体的に移動して、摩擦撹拌接合装置が移動する。
【0054】
図3は、接合ツール20の接合状態を説明する断面図であり、図3(1)から図3(4)の順で動作が進行する。接合ツール20がツール保持具41に保持されて、摩擦撹拌接合のための準備が完了すると、ロボットアーム29によって摩擦撹拌接合装置40が被接合物21に向かって変位駆動される。
【0055】
摩擦撹拌接合装置20が各被接合部材21a,21bを接合するための予め定める位置に移動すると、摩擦撹拌接合装置40が摩擦撹拌接合における各動作を開始する。このとき接合ツール20と受け台30と間には重ね合わされた2つの被接合物21a,21bが配置される。
【0056】
摩擦撹拌接合装置の制御手段が、ツール変位駆動手段43を制御して接合ツール20を基準軸線方向一方B1に変位駆動する。また制御手段が、受け台駆動手段45を制御して受け台30を基準軸線方向他方B2に変位駆動する。すなわち接合ツール20と受け台30とを互いに近接する方向に移動させる。これによって接合ツール20および受け台30によって被接合物21を両側から挟持する。
【0057】
接合ツール20は、その軸線L1と摩擦撹拌接合装置の基準軸線L2とが一致するように、ツール保持具41に保持される。したがって基準軸線方向一方B1に変位移動する接合ツール20は、図3(1)に示すように、撹拌部23のうちの突起25の頂点26が点接触または点接触に近い状態で、被接合物21に最初に接触する。
【0058】
接合ツール20は、図19に示す従来の技術のように、軸線L1と垂直な方向に力を受けることが防止される。したがって接合ツール20を支持する摩擦撹拌接合装置40およびロボットアーム29が、基準軸線L2に垂直な方向にたわむことを防止することができる。接合ツール20は、被接合物の没入すべき没入位置に正確に没入する。
【0059】
ツール保持具41がツール変位駆動手段43によってさらに変位駆動されることによって、被接合物21に接触した接合ツール20は、受け台30に向けて被接合物21内にさらに没入する。接合ツール20は、撹拌部23のうち突起25から被接合物21に没入していく。
【0060】
図3(2)に示すように、突起25が被接合物21に没入した後に、ピン部28が被接合物21に没入する。ピン部28が没入するときには、突起25が被接合物21に既に没入しているので、ピン部28が被接合物21に接触しても、接合ツール20が没入位置からずれることを防止することができる。このようにして接合ツール20が時間経過とともに被接合物21に没入し、接合ツール20が予め定める第1の設定時間まで受け台30に向けて没入する。
【0061】
図3(3)に示すように、制御手段が接合開始から予め定める第1の設定時間に達したと判断すると、被接合物21への没入を停止した状態で、予め定める第2の設定時間まで接合ツール20を回転させる。接合ツール20を回転させることによって、被接合物を流動化して、流動化した被接合物21cを撹拌する。これによって各被接合部材21a,21bを混ぜ合わせる。撹拌部23は、被接合物21に最初に当接するとともに、被接合物21に没入した撹拌部23が流動化した被接合物21を撹拌する。
【0062】
また被接合物21への没入を停止した状態で、接合ツール20を回転させるときには、接合ツール20のショルダ面27が被接合物21に没入していることが好ましい。ショルダ面27は、被接合物21に対して相対的に回転変位することによって、摩擦熱を与える。このように本体部22によって被接合物21を発熱することによって、流動化した被接合物21が撹拌される撹拌領域を増大させることができる。
【0063】
また接合ツール20を没入するにあたって、突起25が被接合物21から貫通した場合、受け台30のツール開口部33に突起25が嵌り込む。これによって突起25が受け台30に当接することを防止することができ、接合ツール20を摩擦撹拌接合が良好に行なわれる位置まで確実に没入させることができる。
【0064】
接合ツール20によって流動化した被接合物21を十分に撹拌して、制御手段が、予め定める第2の設定時間に達したと判断すると、図3(4)に示すように、制御手段が、接合ツール20を被接合物21から離脱させる。接合ツール20を離反させると被接合物21が冷えて、各被接合部材21a,21bが流動化して混ぜ合わされた部分21cが固まり、各被接合部材21a,21bが接合される。
【0065】
以上のように本発明の接合ツール20によれば、撹拌部23に先鋭形状の突起25が形成されることによって、接合ツール21の軸線L1上の突起25の頂点26を、点接触または点接触に近い状態で、最初に被接合物21に接触させることができる。これによって接合ツール20は、軸線L1から偏心した部分が最初に被接合物21に接触することがない。
【0066】
したがって上述する従来の技術の接合ツール2のように被接合物21から反力F3によって移動されることがない。これによって接合ツール20が軸線L1に垂直な方向にずれることを防止することができ、没入すべき没入位置に正確に没入することができる。
【0067】
また没入すべき没入位置に正確に接合ツール20を没入することができるので、接合跡の位置ずれをなくすことができる。たとえば等間隔に連続して複数の接合部分を接続する場合、接合位置がばらつくことがなく、接合後の被接合物21の美観を向上することができる。また接合すべき位置に確実に接合ツール20が没入することによって、位置ずれによる接合強度低下を防止することができる。
【0068】
摩擦撹拌接合では、プレス成形部材などの曲面形状を有する被接合部材21a,21bを接合する場合がある。この場合、基準軸線L2と接合ツール21が最初に接触する被接合物21の接触面39とが、垂直でない場合がある。このような場合であっても、接合ツール20は、先鋭形状に形成される突起25がピン部28から突出するので、確実に軸線L1上で最初に被接合物21に当接させることができる。
【0069】
また接合ツール20は、反力によって変位することがないので、接合ツール20を支持する摩擦撹拌接合装置およびロボットアーム29の剛性を高くする必要がない。これによって軸線方向に垂直な方向の剛性が低い摩擦撹拌接合装置40およびロボットアーム29を用いて正確な位置に接合ツール20を没入することができる。また撹拌接合装置40およびロボットアーム29の剛性を高くする必要がないのでそれらの構造を単純化および軽量化することができる。
【0070】
また突起25は、被接合物21を切削して穿孔するための穿孔刃が形成されてもよい。穿孔刃は、たとえば突起25の外周面に形成されるらせん状のねじれ溝が形成されるドリル部に設けられる。たとえば突起25自体がドリル工具であってもよい。この場合、接合ツール20は、突起25が被接合物21を切削して穿孔する方向に回転される。
【0071】
突起25に穿孔刃が形成されることよって、突起25の頂点が当接すると、穿孔刃が被接合物21を切削して、突起25が被接合物21に穿孔する。これによって短時間で突起26を被接合物21に没入させることができる。これによって突起25の磨耗量を減らすことができるとともに、突起没入時の被接合物21の変形を防止することができる。また穿孔刃が形成されることによって被接合物21の撹拌効果を高めることができる。
【0072】
被接合物21へ没入した接合ツール20は、その突起25が被接合物21を仮に貫通した場合であっても、突起25が受け台32の嵌合部33に嵌り込む。このとき嵌合部33に嵌り込む突起25は、嵌合部33との間に隙間を有する。これによって突起25が受け台30に接触することがなく、接合不良が生じることがない。
【0073】
図4は、本発明の他の実施の形態の摩擦撹拌接合装置60を示すブロック図である。摩擦撹拌接合装置60は、図2に示す摩擦撹拌接合装置40と同様の構成を有する。上述する摩擦撹拌接合装置40と同様の構成については説明を省略し、同一の参照符号を付する。摩擦撹拌接合装置60は、図2に示す摩擦撹拌接合装置40と同様のツール保持具41、ツール回転駆動手段42、ツール変位駆動手段43、受け台形成部44および基台46を含む。またツール保持具41に装着される接合ツール70は、後述するように軸線L1上に頂点76を有する突起75が、ピン部78に比べて出没自在に設けられる。
【0074】
摩擦撹拌接合装置60は、接合ツール70が被接合物21に没入する状態を検出するツール状態検出手段61と、ツール状態検出手段61の検出結果に基づいて、接合ツール70の突起75をピン部78に対して突出および没入変位駆動する突起駆動手段62とをさらに含む。摩擦撹拌接合装置60の制御手段63は、ツール回転駆動手段42、ツール変位駆動手段43および受け台駆動手段45を制御するとともに、ツール状態検出手段61および突起駆動手段62をさらに制御する。
【0075】
制御手段63は、ロボットアーム29が予め定める教示位置に達したことを示す到着信号を受けて、ツール回転駆動手段42を制御し、ツール保持具41を予め定める回転速度で回転駆動させる。また制御手段63は、到着信号を受けて、ツール変位駆動手段43を制御し、ツール保持具41を被接合物21に向かって変位駆動させる。制御手段63は、突起駆動手段62を制御し、突起75をピン部78から突出させた状態で、接合ツール70を被接合物21に当接させる。
【0076】
また制御手段63は、ツール状態検出手段61から接合ツール70が被接合物21に没入するときの没入状態を示す没入信号が与えられる。制御手段63は、没入信号に基づいて、突起駆動手段62を制御し、突起75をピン部78に没入させる。
【0077】
ツール状態検出手段61は、少なくともピン部78が被接合物21に接触したか否かを判断する。ツール状態検出手段61は、たとえば画像認識カメラによって実現することができる。ツール状態検出手段61は、またツール保持具41を回転するための制御電流またはツール保持具41を変位駆動するための制御電流を検出することによって接合状態を判断してもよい。また接触センサ、近接センサなどの各種センサによってピン部78が被接合物21に接触したことを判断してもよい。
【0078】
図5は、接合ツール70を拡大して示す断面図である。ツール保持具41に装着される接合ツール70は、略円柱状に形成される本体部72と、本体部72から軸線方向一方A1に突出し、円柱状に形成される撹拌部73とを有する。なお軸線方向一方A1は、接合ツール70が被接合物21に没入する方向であり、軸線方向他方A2は、接合ツール70が被接合物21から離脱する方向である。また軸線L1は、略円筒状に形成される接合ツール70の中心を長手方向に延びる。
【0079】
本体部72は、軸線方向一方A1側端面となるショルダ面77を有し、ショルダ面77は、接合ツール70の軸線L1と垂直に形成される。前述したように摩擦撹拌接合装置は、接合ツール70の軸線と、被接合物21との表面とが垂直配置されなくてもよく、接合ツール70の軸線が被接合物21の表面に対して傾斜していてもよい。
【0080】
撹拌部73は、ショルダ面77から垂直に突出する。また本体部72と撹拌部73とは、同軸に形成される。また撹拌部73の直径は、本体部72の直径よりも小さく形成される。
【0081】
撹拌部73は、その中央部分74に突起75を有する。突起75は、ピン部78に対して、軸線方向一方A1に突出および没入自在に設けられる。この突起75は、接合ツール70の軸線L1上に頂点76を有する先鋭形状に形成される。具体的には、軸線方向一方A1に向かうにつれて先細な円錐形状に形成される。突起75の先端となる頂点76は、軸線L1上に配置される。
【0082】
接合ツール70は、本体部72および撹拌部73を軸線L1に沿って挿通して延びて、軸線方向一方A1が外部に連なる挿通孔79が形成される挿通孔形成部80と、挿通孔79の軸線方向他方A2に連通し、接合ツール70の軸線L1に垂直な一垂直方向Cに延びて本体部72を貫通する貫通孔81が形成される貫通孔形成部82とが形成される。
【0083】
また接合ツール70は、挿通孔79に配置され、軸線方向一方A1側端部に突起75を有する棒状の突起形成部材83と、貫通孔81に配置される第1突出部材84と、貫通孔81に配置される第2突出部材85とを備える。また接合ツール70は、2つのばね力発生部88、89を備え、第1のばね力発生部88は、貫通孔81に配置され、第1突出部材84と第2突出部材85とを連結して、第1突出部材84および第2突出部材85に互いに離反する方向のばね力を与える。また第2のばね力発生部89は、そう通行79に配置され、突起形成部材83を貫通孔81に向かって移動させる方向のばね力を与える。
【0084】
挿通孔79および貫通孔81によって接合ツール70は、略T字状の空間が形成される。挿通孔79は、貫通孔81の一垂直方向Cの中央から軸線方向一方A1に延びる。
【0085】
なお一垂直方向Cは、貫通孔81が延びる方向であって、軸線L1と交差するとともに軸線L1に対して垂直に延びる。また貫通孔81中央から貫通孔81の一方の開口86に向かう方向を一垂直方向一方C1とし、貫通孔中央81から貫通孔81の他方の開口87に向かう方向を一垂直方向他方C2とする。
【0086】
突起75が形成される突起形成部材83は、本体部72に対してまわり止めされ、本体部72と同方向に回転する。突起形成部材83は、軸線方向一方A1側先端に突起75が形成される先細部分83aと、先細部分83aの軸線方向他方A2に連なり、本体部72に対してまわり止めされるまわり止め部分83bと、まわり止め部分83bの軸線方向他方A2に連なって延びる軸部分83cとを有する。
【0087】
先端部分83aは、円柱状に形成され、軸線方向一方A1側先端が円錐形状に形成される。この円錐形状部分が突起75となり、円錐形状部分の頂点が突起の頂点76となる。まわり止め部分83bは、たとえば4角柱に形成される。まわり止め部分83bの外径は、先端部分83aの外径よりも大きく形成される。また軸部分83cの外径は、まわり止め部分83bの外径よりも小さく形成される。これら先端部分83a、まわり止め部分83bおよび軸部分83cは、ともに同軸に形成される。突起形成部材83の軸線は、接合ツール70の軸線L1と一致する。
【0088】
挿通孔形成部80は、第1挿通孔部分80a、第2挿通孔部分80bおよび第3挿通孔部分80cが形成される。第1挿通孔部分80aは、突起形成部材83の先端部分83aが挿通し、先端部分83aの外径寸法とほぼ同じ内径寸法を有する第1挿通孔領域79aが形成される。また第2挿通孔部分80bは、突起形成部材83のまわり止め部分83bが挿通し、4角柱形状に形成される第2挿通孔領域79bが形成される。第3挿通孔部分80cは、突起形成部材83の軸部分83cが挿通し、軸部分83cの外径寸法とほぼ同じ内径寸法を有する第3挿通孔領域79cが形成される。この第1、第2および第3挿通孔領域79a,79b,79cは、互いに連なり1つの挿通孔79となる。挿通孔形成部80と突起形成部材83とは、隙間が形成されることによって、軸線方向Aに移動可能に形成される。
【0089】
たとえば本体部72は、2つに分割して製作され、突起形成部材83を挿通孔79に収容した状態で、2つに分割した状態から1つに組立てられる。このとき本体部72は、溶接またはボルト止めなどによって突起形成部材83を収容した状態で組立てられる。
【0090】
図6は、図5のVI−VIの切断面線から見た断面図である。突起形成部材83のまわり止め部分83bは、4角柱に形成される。接合ツール回転時には、まわり止め部分83bと第2挿通孔部分80bとが当接する。これによって挿通孔形成部80と突起形成部材83とが相対的に軸線L1まわりに回転することが阻止され、挿通孔形成部80と突起形成部材83とが一体的に回転する。
【0091】
図5に示すように、第2ばね力発生手段89は、突起形成部材83を軸線方向他方A2すなわち突起75を撹拌部73のピン部78に没入させる方向にばね力を発生する。第2ばね力発生手段89は、引張りコイルばねによって実現される。引張りコイルばねの伸縮方向一端部は、まわり止め部分83bの軸線方向他方A2側端部に固定される。また引張りコイルばねの伸縮方向他端部は、第3挿通孔部分80cの軸線方向一方A1側端部に固定される。
【0092】
引張りコイルばねによって突起形成部材83は、第3挿通孔部分80cに向かう第2ばね力F4が与えられる。軸部分83cの軸線方向他方A2側端部は、第3挿通孔部分80cを挿通し、貫通口形成部81内に配置される第2突出部材85に当接する。
【0093】
第1突出部材84および第2突出部材85とは、第2ばね力発生手段88によって連結される。第2ばね力発生手段88は、圧縮コイルばねによって実現される。圧縮コイルばねは、第1突出部材84および第2突出部材85を軸線L1に対して垂直な一垂直方向Cに互いに離反させる力F5a,F5bを各突出部材84,85に与える。
【0094】
また摩擦撹拌接合装置60は、軸線方向Aに移動自在に形成される可動リング90と、可動リング90を軸線方向Aに変位駆動する可動リング駆動手段92とを有する。可動リング90および可動リング駆動手段92は、突起75を変位駆動する突起変位駆動手段となる。可動リング90および可動リング駆動手段92は、たとえばツール保持具41を支持する部分に支持される。可動リング駆動手段92は、たとえばサーボモータによって実現される。
【0095】
可動リング90は、本体部72と間隔をあけて、本体部72を軸線L1まわりに一周するリング状に形成される。可動リング90の内周部分は、少なくとも貫通孔81の各開口86,87に臨んで設けられる。この内周部分には、軸線方向一方A1側に向かうにつれて貫通孔81の各開口86,87から離反し、各開口86,87に臨む傾斜面91を有する。
【0096】
第1突出部材84および第2突出部材85は、第1ばね力発生手段によってばね力F5a,F5bが与えられて、部分的に接合ツール70の本体部72から突出して、可動リング90の傾斜面91に当接する。傾斜面91と各突出部材84,85とは、少なくともいずれか一方にベアリングなどによってその摩擦抵抗を小さくする摩擦抵抗低減部が形成されることが好ましい。これによって各突出部材84,85が傾斜面91に接触移動したときに、発熱および磨耗することが防止される。
【0097】
可動リング90が軸線方向他方A2側に変位駆動されることによって、傾斜面91と本体部72との軸線L1半径方向間隔が広まる。この場合、第1突出部材84および第2突出部材85は、ばね力によって、本体部72の中心から外方に向かって一垂直方向Cに変位し、本体部72から突出する突出部分84a,85aが増える。逆に可動リング90が軸線方向一方A1側に変位駆動されることによって、傾斜面と本体部72との軸線L1半径方向間隔が狭まる。これによって第1突出部材84および第2突出部材85は、本体部72の外方から中心に向かって一垂直方向Cに変位し、本体部72から突出する突出部分84a,85aが少なくなる。
【0098】
図7は、図5のVII−VIIの切断面線から見た断面図である。第2突出部材85のほうが第1突出部材84よりも長く形成される。第1突出部材84は、貫通孔81の一方の開口86から本体部72の半径方向に突出し、本体部72の軸線L1を通過しない長さ寸法で板状に形成される。また第2突出部材85は、貫通孔81の他方の開口87から本体部72の半径方向に突出するとともに、本体部72の軸線L1を通過する長さ寸法で板状に形成される。
【0099】
第2突出部材85には、嵌合部95を含む。嵌合部95には、軸線L1方向に挿通する嵌合孔93が形成される。嵌合部95は、突起形成部材83の軸部分83cの外径よりも大きい内径を有し、軸部分83cが嵌合可能に形成される。嵌合部95は、第2突出部材85が一垂直方向C2に変位した場合に、嵌合孔93が軸線L1と同軸になるように第2突出部材85に形成される。
【0100】
また嵌合孔93に臨む嵌合部95の周面94は、軸線方向一方側A1に向かうにつれて内周が拡径するように傾斜して形成される。いいかえると嵌合孔93は、軸線方向一方A1に向かうにつれて拡径する円錐または円錐台形状に形成される。
【0101】
図8は、接合ツール70を拡大して示す断面図である。可動リング駆動手段92によって、可動リング90が軸線方向他方A2に変位駆動されると、第1ばね力発生手段88によって与えられるばね力によって、第1突出部材84および第2突出部材85が互いに離反する方向に変位し、接合ツール70の本体部72から一垂直方向Cに突出する突出量が増える。第1突出部材84は、一垂直方向一方C1に変位する。また第2突出部材85は、一垂直方向他方C2に変位する。
【0102】
第2突出部材85が一垂直方向他方C2に変位することによって、軸線L1位置よりも一垂直方向一方C1にある嵌合部95が、一垂直方向他方C2に移動する。これによって図8に示すように、嵌合孔93が軸線L1位置に移動する。突起形成部材83は、第2ばね力発生手段89によって軸線方向他方A2に向かう力を与えられているので、嵌合孔93が軸線L1位置に移動すると、突起形成部材83の軸部分83cが嵌合部95に嵌合し、突起形成部材83が軸線方向他方A2に変位する。
【0103】
突起形成部材83が軸線方向他方A2に変位することによって、突起形成部材83の先端に形成される突起75をピン部78に没入させることができる。また可動リング90がリング状に形成されるので、接合ツール21が回転している状態であっても、各突出部材84,85の変位を制御することができ、ピン部78に突起75を没入することができる。
【0104】
また突起75がピン部78に没入した状態から、可動リング90を軸線方向一方A1に変位させることによって、第2突出部材85と可動リング90の当接面91とを当接させる。さらに可動リング90が軸線方向一方A1に変位させることによって、可動リング90の当接面91が傾斜しているので、第2突出部材85を一垂直方向一方C1に変位させることができる。
【0105】
第2突出部材85を一垂直方向一方C1に変位させることによって、嵌合部95も一垂直方向一方C1に変位する。これによって突起形成部材83の軸部分83cは、嵌合部95の周面94に当接する。軸部分83が当接する周面94は、一垂直方向他方C2に向かうにつれて軸線方向一方A1に傾斜して形成される。
【0106】
したがって嵌合部95の周面94に当接した軸部分83cは、嵌合部95がさらに一垂直方向一方C1に移動することによって、周面94の一垂直方向他方C2の面に沿って移動し、軸部分83cが軸線方向一方A1に案内される。これによって突起形成部材83は、その先端の突起75がピン部78から突出する。
【0107】
上述する機構によって、単純な構成によって接合ツール70を回転させた状態で、突起75のピン部78に没入させることができる。また突起形成部材83は、先細部分83aおよび軸部分83cの2箇所で支持され、確実に突起75を没入すべき没入位置に没入させることができる。
【0108】
図9は、摩擦撹拌接合装置60の動作を示すタイミングチャートである。図9(1)は、本体部72に対する可動リング90の基準軸線L1に沿う方向の相対位置を示し、図9(2)は、本体部72に対する突起75と本体部72との基準軸線L1に沿う方向の相対位置を示し、図9(3)は、本体部72の基準軸線L1に沿う方向の位置を示す。
【0109】
図10は、摩擦撹拌接合装置60の動作を示す断面図であり、図10(1)から図10(3)の順に動作が進行する。また図11は、摩擦撹拌接合装置60の制御手段63の動作を示すフローチャートである。図9〜図11を参照して摩擦撹拌接合装置60の動作を説明する。
【0110】
ステップa0で、接合ツール70がツール保持具41に装着されるとともに被接合物21が予め定める保持位置に保持される。次に、ロボットアーム29によって摩擦撹拌接合装置60が変位移動される。変位移動された摩擦撹拌接合装置60は、被接合物21の両側にそれぞれ接合ツール70および受け台30が配置される。このような摩擦撹拌接合における準備が完了するとステップa1に進み、制御手段63が動作を開始する。
【0111】
ステップa1において、まず制御手段63が受け台駆動手段45を制御し、受け台形成部44を軸線方向他方A2に沿って被接合物21に向けて移動させる。受け台30は、受け台30側の被接合部材21bに当接する。たとえば制御手段63は、受け台変位モータを制御するための制御電流を検出することによって、受け台30が受け台30側の被接合部材21bに当接したことを判断する。
【0112】
受け台30が被接合部材21bに当接すると、図9のT1時刻に達し、制御手段63が、ツール回転駆動手段42およびツール変位駆動手段43を制御する。これによってツール回転駆動手段42は、接合ツール70を軸線L1まわりに回転させる。またツール変位駆動手段43は、ツール保持具41を軸線方向Aに沿って移動させる。このとき接合ツール70は、突起75が撹拌部73のうちのピン部78から突出した状態に制御される。
【0113】
被接合物21に向かって移動する接合ツール70は、図10(1)に示すように、突起75の頂点76が最初に被接合物21に接触する。突起75は、接合ツール70の軸線L1上に頂点26を有するので、接合ツール70は、被接合物21から軸線L1に垂直な方向に力を受けることがない。したがって没入すべき没入位置からずれることなく、接合ツール70を被接合物21に没入させることができる。
【0114】
接合ツール70を被接合物21に没入させていくと、撹拌部73のピン部78が被接合物21に当接する。このときツール状態検出手段61が、制御手段63にピン部78が被接合物21に当接したことを示す信号を与える。ピン部78が被接合物21に当接したことを制御手段63が判断すると、図9のT2時刻に達し、ステップa2に進む。
【0115】
ステップa2では、制御手段63が可動リング駆動手段92を制御する。図9のT2時刻で、制御手段63から指令を与えられた可動リング駆動手段92は、可動リング90を軸線方向他方A2に変位駆動する。可動リング90を軸線方向他方A2に駆動させることによって、突起形成部材83が軸線方向他方A2に移動して、ピン部78に突起75を没入させる。
【0116】
ピン部78に突起74が没入した状態で、接合ツール70を被接合物21にさらに没入させる。図9に示すT3時刻で、接合ツール70は、本体部72が被接合物21に接触し、さらに時間が経過することによって、図10(2)に示すように、本体部72が被接合物21に没入する。
【0117】
制御手段63は、予め定める第1の設定時間が経過するまで、ツール保持具41を軸線方向一方A1に加圧し、接合ツール70を被接合物21に没入させる。制御手段63は、予め定める第1の設定時間に達すると、図9のT4時刻に達し、ステップa3に進む。
【0118】
ステップa3では、図9のT4時刻で、接合ツール70の没入を停止し、予め定める第2の設定時間が経過するまで軸線L1まわりに回転する。これによって軟化した被接合物21を十分に流動化し、さらに流動化した被接合物21を撹拌して各被接合部材21a,21bを混ぜ合わせる。制御手段63は、予め定める第2の設定時間に達すると、図9のT5時刻に達し、ステップa4に進む。
【0119】
ステップa4では、図9のT5時刻で、接合ツール70を軸線方向他方A2に移動させて、図10(3)に示すように、被接合物21から接合ツール70を離脱させる。制御手段63は、接合ツール70が予め定める初期位置に移動し、図9のT6時刻に達すると、接合ツール70の回転を停止するとともに突起75を突出させ、ステップa5に進む。ステップa5では制御手段63が動作を終了する。
【0120】
以上のように、上述する接合ツール70を装着した摩擦撹拌接合装置60によれば、図1に示す接合ツール20を用いた場合と同様の効果を得ることができる。さらに摩擦撹拌接合装置60が、撹拌部73の没入が完了する前に、ピン部78に突起を没入することによって、突起75がピン部78から突出していた領域に流動化した被接合物20が流れ込む。これによって突起75による接合跡をなくすことができ、接合後の被接合物20の美観を向上することができる。
【0121】
さらに突起75がピン部78から突出した状態で撹拌部73が没入しつづけると、突起75によって撹拌部73が被接合物20を貫通するおそれがある。しかし本実施の形態に従えば、突起75をピン部78に没入することによって、撹拌部73が被接合物20を貫通することを防止することができ、被接合物20が貫通されることによる接合不良を防止することができる。また本実施の形態では、摩擦撹拌接合装置60を用いて、突起75のピン部78に対する没入を制御したが、手動で突起75をピン部78に没入してもよい。
【0122】
また接合ツール70には、図1に示す接合ツール20と同様に穿孔刃が形成されてもよい。また接合ツール70は、図7に示す接合ツール70のうち一部が着脱可能に形成されていてもよい。たとえば接合ツール79の先端部分であって、本体部72の先細部分83aとピン部78とを含む部分が、残余の部分に着脱自在に螺着する構成であってもよい。これによってピン部78が磨耗した場合に新しい突起形成部材83に取替えることができる。
【0123】
図12は、本発明のさらに他の実施の形態の摩擦撹拌接合装置100を示す斜視図である。摩擦撹拌接合装置100は、図2に示す摩擦撹拌接合装置40と同様の構成を有する。上述する摩擦撹拌接合装置40と同様の構成については説明を省略し、同一の参照符号を付する。
【0124】
摩擦撹拌接合装置100は、図2に示す摩擦撹拌接合装置40と同様のツール保持具41、ツール回転駆動手段42、ツール変位駆動手段43および受け台形成部44を含む。摩擦撹拌接合装置100は、接合ツール101を被接合物21に回転させながら没入させて、被接合物21を摩擦撹拌する。接合ツール101は、その軸線L1が予め定める第1の基準軸線L2に一致するようにツール保持具41に保持する。
【0125】
摩擦撹拌接合装置100は、保持する接合ツール101を、予め定める第1の基準軸線L2まわりに回転するとともに第1の基準軸線L2に沿って移動させる。接合ツール101は、略円柱状に形成される。また第1の基準軸線L2は、図4に示す摩擦撹拌接合装置60の基準軸線L2を意味する。
【0126】
また、摩擦撹拌接合装置100は、被接合物21に位置決め凹所を形成する凹所形成手段102と、被接合物21を両側から挟持する挟持手段103とをさらに有する。摩擦撹拌接合装置100の制御手段124は、ツール回転駆動手段42およびツール変位駆動手段43を制御するとともに、凹所形成手段102および挟持手段103を制御する。
【0127】
凹所形成手段102は、被接合物21を棒状の端子である押圧端子105によって被接合物21を押圧する。これによって位置決め凹所となる圧痕を被接合物21に形成する。押圧端子105は、予め定める第2の基準軸線方向L3に沿って押圧端子105を変位移動させて、被接合物21を押圧する。
【0128】
また挟持手段103は、予め定める第3の基準軸線L4に沿って変位自在に設けられる挟持体104と、挟持体104を第3の基準軸線L4に沿って変位駆動するための挟持体変位駆動モータ105と、挟持体変位駆動モータ105と基台46とを固定する支持部106とを有する。挟持体変位駆動モータ105によって、挟持体104が予め定める第3の基準軸線L4に変位駆動されて、後述する第1受け台111aと挟持体104とによって協働して被接合物21を挟持する。挟持体変位駆動モータ105は、たとえばリニアモータによって実現される。
【0129】
上述する第1、第2および第3の基準軸線L1、L2、L3は、互いに平行に延びる。本実施の形態では、予め定める仮想一平面に各基準軸線L1、L2、L3が含まれる。第3の基準軸線L4は、摩擦撹拌接合装置100のほぼ中央に配置され、第3の基準軸線L4の両側にそれぞれ第1の基準軸線L2および第2の基準軸線L3が位置する。また第1の基準軸線L2と第2の基準軸線L3との間隔D10は、接合すべき複数の接合個所が複数ある場合、その間隔D11と等しく設定されることが好ましい。
【0130】
凹所形成手段102は、押圧端子105が着脱可能に装着され、予め定める第2の基準軸線L3に沿って変位自在に形成される押圧端子保持具107と、押圧端子保持具107を第2の基準軸線L2に変位自在に支持する支持部108と、押圧端子保持具107を第2の基準軸線L2に沿って変位駆動するための端子変位モータ109とを含んで構成される。凹所形成手段102は、ツール変位駆動手段43と同様の構成を示し、具体的な説明は省略する。
【0131】
受け台形成部44は、略L字状に延びる。受け台形成部44は、第3の基準軸線L4と間隔をあけて第3の基準軸線L4に略平行に延びる受け台形成部第1部分51と、受け台形成部第1部分51の一端部51aに連なり、第3の基準軸線L4に向かって、第3の基準軸線L4に略垂直な方向に延びる受け台形成部第2部分52とを有する。
【0132】
受け台形成部第1部分51の他端部51bは、基台46に連結される。また受け台形成部第2部分52の、受け台形成部第1部分51が連なる反対側の端部には、受け台111が設けられる。受け台111は、ツール保持具41、挟持体104および押圧端子105に対向する位置に配置される。
【0133】
受け台111は、ツール保持具41および挟持体104に対向する第1受け台111aと、押圧端子105に対向する第2受け台111bとを含む。第1受け台111aおよび第2受け台111bは、板上に形成される。第1受け台111aは、少なくとも第1の基準軸線L2に沿って延びる仮想線が挿通する接合ツール受け部112bと、第3の基準軸線L3に沿って延びる仮想線が挿通する挟持体受け部112cとを有する。また第1受け台111aは、受け台形成部第2部分52から第1の基準軸線L2に向けて突出する。
【0134】
本実施の形態では、第3の基準軸線L3に沿って延びる仮想線は、第1受け台111aを挿通するとともに受け台形成部第2部分52を挿通する。すなわち挟持体104に対向して、第1受け台111aおよび受け台形成部第2部分52が位置する。したがって挟持体104と第1受け台111aとによって被接合物21を挟持したとしても、受け台形成部第2部分52は、挟持体104からモーメント力を受けることがない。
【0135】
また第2受け台111bは、少なくとも第2の基準軸線L3に沿って延びる仮想線が挿通する押圧端子受け部112bを有する。第2受け台111bは、受け台形成部第2部分52から第2の基準軸線L4に向けて突出する。第2受け台111bは、押圧端子保持具107に対して、第1受け台111aよりも第2の基準軸線L2に離れた位置に設けられる。第2受け台111bは、押圧端子保持具107に向けて突出する棒状の支持端子113が設けられる。支持端子113は、押圧端子保持具107装着される押圧端子105と同軸に配置される。また支持端子113の押圧端子保持具107側の端面114と第1受け台111aのツール保持具側の端面115とは、面一に形成される。
【0136】
また基台46には、ツール変位駆動手段43の支持部49と、凹所形成手段102の支持部108と、挟持手段103の支持部106とを固定する固定部材116が設けられる。固定部材116は、板状に形成され、各基準軸線L2,L3,L4を含む仮想一平面に対して平行でかつ、各基準軸線L2,L3,L4に垂直に延びる。固定部材116は、その中央部分117で基台26の残余の部分に連結される。
【0137】
固定部材116は、その中央部分117に挟持手段103の支持部106が固定され、中央部分117から各軸線L2,L3,L4に垂直な方向の一方側にツール変位駆動手段43の支持部49が固定され、中央部分117から各軸線に垂直な方向の他方側に凹所形成手段102の支持部108が設けられる。
【0138】
また本実施の形態では、凹所形成手段102と第2受け台111bとによって抵抗スポット溶接が行なわれる抵抗スポット溶接手段となる。すなわち押圧端子105および支持端子113は、電極端子によって実現される。
【0139】
摩擦撹拌接合装置100の押圧端子保持部107および第2受け台111bは、各端子をそれぞれ保持する電極端子保持部となる。また押圧端子保持具107を変位駆動する端子変位モータ109は、端子を相互に近接および離反変位駆動し、各端子によって被接合物21を挟んで、位置決め凹所となる圧痕を形成する圧痕形成部となる。また摩擦撹拌接合装置は、端子間に電圧を印加する電圧印加手段123となる電源部をさらに有する。
【0140】
図13は、摩擦撹拌接合装置100の電気的構成を示すブロック図である。
摩擦撹拌接合装置100の制御手段124は、ツール回転駆動手段42、ツール変位駆動手段43、挟持手段103、凹所形成手段102および電圧印加部123を制御する。
【0141】
具体的には、制御手段124は、ロボットアーム29を駆動するロボットアーム駆動手段58から信号を受け取り、摩擦撹拌接合装置の移動位置を知る。また制御手段124は、ツール回転駆動手段42にツール保持具41の回転駆動および回転停止を示す信号を与える。また制御手段124は、ツール変位駆動手段43にツール保持具41の変位駆動および変位停止を示す信号を与える。
【0142】
また制御手段124は、挟持手段103に挟持体104の変位駆動を示す信号を与える。また制御手段124は、凹所形成手段102に押圧端子107の変位駆動を示す信号を与える。また制御手段124は、電圧印加手段123に端子間に電圧を印加させる信号を与える。
【0143】
図14は、摩擦撹拌接合装置100の動作の要部を説明するための断面図である。摩擦撹拌接合装置100は、図14(1)に示すように、まず、2つの電極端子である押圧端子105と支持端子114とによって被接合物21を両側から挟んで、被接合物21に圧痕による位置決め凹所119を形成する圧痕形成工程を行う。
【0144】
次に、被接合物21を挟んだ状態で、各端子105,113間に電圧を印加して、各被接合部材21a,21bを部分的に溶融させて仮止めする仮止工程を行う。次に、図14(2)に示すように、各被接合部材21a,21bが仮止された被接合物21の位置決め凹所119に回転する接合ツール101の先端部101aを嵌り込ませる。回転する接合ツール101の先端部101aを被接合物21に嵌り込ませた状態で、図14(3)に示すように、接合ツール101を回転させながら被接合物21に没入し、被接合物21を軟化させて、被接合物21を流動撹拌する撹拌工程を行う。
【0145】
接合ツール101は、円柱状に形成される。たとえば円柱状に形成される本体部120と本体部120から軸線方向に突出するピン部121とが形成される。本体部120およびピン部121は、同軸に形成される。接合ツール101は、ピン部121から被接合物21に当接する。またピン部121は、図1に示すように、軸線上に頂点を有する尖鋭形状に形成されることが好ましい。
【0146】
押圧端子105の先端部105aは、軸線に沿って突出し、軸線上に頂点105bを有する先鋭形状に形成される。押圧端子105の先端部105aは、たとえば円錐形状に形成される。押圧端子105aが被接合物21を加圧することによって、被接合物21が変形し、被接合物21に圧痕が形成される。この圧痕が位置決め凹所119となる。
【0147】
押圧端子105の先端部105aの直径D1は、接合ツール101のピン部121の直径D3よりも大きく形成され、接合ツール101の本体部120の直径D4よりも小さく形成される。これによって円錐形状に形成される位置決め凹所119の直径D2は、接合ツール101のピン部121の直径D3よりも大きく形成され、接合ツール101の本体部120の直径D4よりも小さく形成することができる。
【0148】
位置決め凹所119を、接合ツール101が没入すべき没入位置に形成することによって、接合ツール101が接合すべき没入位置からずれることなく防止することができる。また没入位置にある各被接合部材21a,21bを仮止めした状態で接合ツール101を没入することができるので、被接合部材21a,21b同士がずれて接合されること、被接合部材21a,21bに隙間がある状態で接合されることをなくすことができ、接合不良を防止することができる。
【0149】
また位置決め凹所119の直径D2がピン部121の直径D3よりも大きく形成されることによって、ピン部121が先細形状でない場合であっても、位置決め凹所119にピン部121の先端を導くことができ、接合ツール101の軸線を位置決め凹所119の軸線と一致させることができる。また位置決め凹所119の直径D2が本体部120の直径D4より小さく形成することによって、接合後の被接合物21に位置決め凹所119が残ることを防止することができる。
【0150】
図15は、摩擦撹拌接合装置100が複数箇所を連続して接合する場合の制御手段124の動作を示すフローチャートである。また図16および図17は、摩擦撹拌接合装置100が複数箇所を連続して接合する場合の動作を説明するための断面図である。動作は、図16(1)〜図16(5)の順で進行し、さらに図17(1)〜図17(5)の順で動作が進行する。なお図16および図17には、理解を容易にするために被接合物21に形成される位置決め凹所119を省略して示す。また制御手段124が、ロボットアームを含めて制御した場合について説明する。
【0151】
ステップb0で、接合ツール101がツール保持具41に装着されるとともに被接合物21が予め定める保持位置に保持されると、ステップb1に進み、制御手段124が動作を開始する。
【0152】
ステップb1では、制御手段124は、ロボットアーム29を動作させて、摩擦撹拌接合装置100を変位駆動させる。図16(1)に示すように、第2の基準軸線L3に沿って延びる仮想線が、被接合物21の接合すべき第1の接合位置P1を挿通するように、摩擦撹拌接合装置100を移動させる。このとき、被接合物21の一方側に接合ツール101、挟持体104および押圧端子105が配置され、被接合物21の他方側に受け台111が配置される。さらに制御手段124が、ロボットアーム29を駆動させて、第1受け台111aおよび支持端子113を被接合物21の他方側面122に当接させると、ステップb2に進む。
【0153】
ステップb2では、図16(2)に示すように、制御手段124は、挟持手段103を制御して、挟持体104を被接合物21に向かって第3の基準軸線L4に沿って移動させる。挟持体104は、被接合物21を押圧し、第1受け台111aと協働して被接合物21を挟持する。制御手段124は、被接合物21の挟持が完了すると、ステップb3に進む。
【0154】
ステップb3では、制御手段124が凹所形成手段102を制御して、押圧端子105を第2の基準軸線L3に沿って移動させる。押圧端子105が基準軸線L3に沿って移動し、被接合物21を押圧することによって、第1の接合位置P1に位置決め凹所119を形成する。
【0155】
また押圧端子105と支持端子113とによって、被接合物21を挟持した状態で、制御手段124が、電圧印加手段123を制御し、押圧端子105と支持端子113との間に電圧を印加する。これによって被接合物21に電流が流れ、押圧端子105と支持端子113との間の領域が発熱する。図16(3)に示すように、被接合物21は、発熱することによって部分的に溶融し、各被接合部材21a,21bが仮止めされる。すなわち第1の接合位置P1における各被接合部材21a,21bが仮止めされる。
【0156】
被接合物21に位置決め凹所119を形成するとともに、各被接合部材21a,21bが仮止めすると、制御手段124は、ステップb4に進む。
【0157】
ステップb4では、制御手段124は、被接合物21との挟持状態を解除する。具体的には、挟持手段103を制御して挟持体104を被接合物21から離反させる。また凹所形成手段102を制御して押圧端子105を被接合物21から離反させる。制御手段124は、挟持体104、押圧端子105、第1受け台111a,支持端子113を被接合物21から離反させて挟持状態を解除するとステップb5に進む。
【0158】
ステップb5では、制御手段124は、ロボットアーム29を動作させて、摩擦撹拌接合装置100を変位駆動させる。図16(4)に示すように、第1の基準軸線L2に沿って延びる仮想線が、被接合物21の接合すべき第1の接合位置P1を挿通するように、摩擦撹拌接合装置100を移動させる。本実施の形態では、さらに第2の基準軸線L3に沿って延びる仮想線が、被接合物21の接合すべき第2の接合位置P2を挿通する。
【0159】
このとき、被接合物21の一方側に接合ツール101、挟持体104および押圧端子105が配置され、被接合物21の他方側に受け台111が配置される。さらに制御手段124が、ロボットアーム29を駆動させて、第1受け台111aおよび支持端子113を被接合物21の他方側面122に当接させると、ステップb6に進む。
【0160】
ステップb6では、図16(4)に示すように、制御手段124は、挟持手段103を制御して、挟持体104を被接合物21に向かって第3の基準軸線L4に沿って移動させる。挟持体104は、被接合物21を押圧し、第1受け台111aと協働して被接合物21を挟持する。制御手段124は、被接合物21の挟持が完了すると、ステップb7に進む。
【0161】
ステップb7では、設定される接合位置のうち、第1の基準軸線に沿って配置される接合位置が、最後の接合位置であるか否かを判断する。最後の接合位置でないと判断し、接合を継続することを判断すると、ステップb8に進む。
【0162】
ステップb8では、ステップb3と同様に制御手段124が動作し、被接合物21の第2の接合位置P2に位置決め凹所119を形成するとともに、第2の接合位置P2の各被接合部材21a,21bを仮止めする。
【0163】
さらに制御手段124は、接合ツール101を回転および変位駆動させて摩擦撹拌接合を行う。回転させた接合ツール101を、第1の基準軸線L2に沿って被接合物21に向かって移動させる。第1の基準軸線L2に沿う被接合物21の部分には、第1の接合位置が設けられ、さらに第1の接合位置P1は、位置決め凹所119が形成されている。これによって接合ツール101は、その先端部が位置決め凹所119に嵌り込み、第1の接合位置P1からずれることなく、被接合物21に没入する。図16(5)に示すように、接合ツール101は、被接合物21を固相撹拌して重なり合う2つの被接合部材21a,21bを混ぜ合わせる。制御手段124は、撹拌が完了すると被接合物21から接合ツール101を離脱させる。このように摩擦撹拌接合が完了したと判断すると、ステップb9に進む。
【0164】
ステップb9では、制御手段124は、被接合物21との挟持状態を解除する。具体的には、挟持手段103を制御して挟持体104を被接合物21から離反させる。また図17(1)に示すように、凹所形成手段102を制御して押圧端子105を被接合物21から離反させる。さらに受け台111aおよび支持端子113を被接合物21から離反させて挟持状態を解除するとステップb5に戻る。
【0165】
ステップb5に進むにあたって、第1および第2の基準軸線L2、L3に沿って延びる仮想線が挿通する位置を一つずらす。たとえば図17(2)に示すように、第1の基準軸線L2に沿って延びる仮想線が、被接合物21の接合すべき第2の接合位置P2を挿通し、第2の基準軸線L3に沿って延びる仮想線が、被接合物21の接合すべき第3の接合位置P3を挿通する位置に摩擦撹拌接合装置を移動させ、再びステップb6に進む。
【0166】
このように接合位置を順次ずらし、最後の1つの接合位置に達するまで、ステップb5〜ステップb9を繰り返す。たとえば図17(3)に示すように、制御手段が挟持体104によって被接合物21を挟持する。挟持が完了すると、図17(4)に示すように、接合すべき第3の接合位置P3に位置決め凹所119を形成するとともに、第3の接合位置P3を仮止めする。また第2の接合位置P2を摩擦撹拌接合する。これによって図17(5)に示すように、第2の接合位置P2が接合され、第3の接合位置について接合凹所119および仮止めされる。
【0167】
ステップb7で最後の接合位置であると判断されると、ステップb10に進む。ステップb10では、位置決め凹所119の形成および仮止めすることなく、最後の接合位置に摩擦撹拌接合を行ない、ステップb11に進む。ステップb11では、ステップb4と同様に、挟持状態を解除し、ステップb12に進む。ステップb12では、ロボットアーム29によって摩擦撹拌接合装置を初期位置に移動させ、ステップb13に進み、制御手段124の動作を終了する。
【0168】
以上のように、上述する摩擦撹拌接合装置100によれば、凹所形成手段102によって被接合物21に位置決め凹所119を形成し、接合ツール20の先端を位置決め凹所119に嵌め込み、接合ツール101を被接合物20に没入する。これによって接合ツール101の先端が位置決め凹所119から抜け出ることを防止して、接合ツール101を被接合物20に没入させることができる。
【0169】
たとえば被接合物21の接触面39が回転軸線L1に対して垂直でない場合、また接触面39に微小な凹凸が形成される場合であっても、位置決め凹所119が形成されることによって、接合ツール101を確実に没入すべき没入位置に没入させることができる。
【0170】
位置決め凹所119は、被接合物101が没入されるときの基準軸線L1と一致する中心軸線を有して形成されるので、接合ツール101が没入すべき没入位置からずれることを防止し、没入すべき没入位置に接合ツール101を正確に没入させることができる。没入位置に正確に接合ツール101を没入することによって、接合跡の位置ずれをなくして接合後の被接合物20の美観を向上するとともに、接合すべき位置に確実に接合ツールが没入することで接合強度を向上することができる。
【0171】
さらに押圧形成手段107は、押圧端子105と支持端子113が電極端子によって実現されて、端子間に電圧を印加して被接合物を仮止めする。これによって接合ツール101の位置ずれを防止するとともに、各被接合部材21a,21bがずれること、被接合部材間に隙間が形成されることをなくすことができる。端子間に印加する電圧は、被接合部材を仮止めする程度の電圧でよい。被接合物を十分に溶融するほどの電圧を印加する必要がない。これによって電圧印加による被接合物の温度上昇は低く、熱膨張によって被接合物21が大きく変形することがない。
【0172】
さらに本実施の形態では、第1の基準軸線L2と第2の基準軸線L2とに互いに直交する方向の間隔D10が、接合位置の間隔D11に設定されるので、接合すべき位置の接合と、次に接合すべき位置における位置決め凹所形成と仮止めとを、摩擦撹拌接合装置を移動させずに行うことができる。これによって接合時間を短縮することができる。たとえば第1の基準軸線L2と第2の基準軸線L3との間隔を、接合すべき複数の接合箇所の間隔D11に応じて、変更可能にする間隔変更手段を基台46に設けてもよい。これによって接合すべき複数の接合箇所の間隔が異なる場合であっても、連続して接合することができる。
【0173】
また上述する構成は、本発明の実施の形態の一例示であって、発明の範囲内において、構成を変更することができる。摩擦撹拌接合は、重ね合わされた被接合部材21a,21bをスポット接合するとしたが、被接合物2は、被接合部材21a,21bが突き合わされた状態で、連続接合されてもよい。また被接合部材21a,21bの材質についても、アルミ合金以外の材料であってもよい。また本発明では、接合ツール20,70は、ツール保持具41に着脱可能に装着されるとしたが、摩擦撹拌接合装置にツール保持具41がない場合であってもよい。すなわち接合ツール20、70は、ツール回転駆動手段に一体的に固定されてもよい。
【0174】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、被接合物に没入するときに、撹拌部の頂点が最初に被接合物に接触する。これによって軸線に垂直な方向に働く力が、接合ツールに与えられることをなくすことができる。これによって接合ツールを没入位置に正確に没入させることができる。没入位置に正確に接合ツールを没入することによって、接合跡の位置ずれをなくして被接合物の美観を向上するとともに、接合すべき位置に確実に接合ツールが没入することで接合強度を向上することができる。
【0175】
請求項2記載の本発明によれば、撹拌部に穿孔刃が設けられるので、短時間で撹拌部を被接合物に没入させることができる。これによって撹拌部の磨耗量を減らすことができるとともに、突起没入時の被接合物の変形を低減することができる。また穿孔刃が形成されることによって被接合物の撹拌効果を高めることができる。
【0176】
また請求項3記載の本発明によれば、突起が残余の部分に比べて出没自在に設けられるので、突起による接合跡をなくすことができる。突起による接合跡をなくすことによって、接合強度を向上するとともに、美観を向上することができ接合品質をさらに向上することができる。さらに撹拌部が被接合物を貫通することを防止することができるので、接合ツールと反対側の被接合物の表面の美観を向上することができる。また貫通孔が形成されることに起因する強度不足を防止することができる。
【0177】
また請求項4記載の本発明によれば、接合ツールが没入するときに突起を残余の部分から突出させることによって、先鋭形状に形成される突起の頂点が最初に被接合物に接触する。頂点は回転軸線上に設けられるので接合ツールは、軸線に垂直な方向に働く力を低減することができる。したがってツール保持具を支持する部分の剛性が低い場合であっても、接合ツールが軸線に垂直な方向にずれることを防止することができる。また没入位置に正確に没入することができるので、接合後の接合物の美観を向上するとともに接合強度を向上することができる。
【0178】
さらに突起駆動手段によって、撹拌部の没入が完了するまでに、撹拌部の残余の部分に突起を没入することによって、突起による接合跡をなくすことができる。突起による接合跡をなくすことによって、接合強度を向上するとともに、美観を向上することができ、接合品質を向上することができる。
【0179】
また請求項5記載の本発明によれば、被接合物に没入するときに、位置決め凹所に接合ツールを嵌め込むことによって、接合ツールが没入すべき没入位置からずれることを防止し、没入すべき没入位置に接合ツールを正確に没入させることができる。没入位置に正確に接合ツールを没入することによって、接合跡の位置ずれをなくして被接合物の美観を向上するとともに、接合すべき位置に確実に接合ツールが没入することで接合強度を向上することができる。
【0180】
また請求項6記載の本発明によれば、電極端子によって圧痕を形成して位置決め凹所を形成するとともに、電極端子間に電圧を印加して被接合部材を仮止めすることによって、被接合部材がずれること、被接合部材間に隙間が形成されることを防止して、被接合物を接合することができる。これによって接合ツールによる被接合部材の接合を確実に行うことができ、接合不良を防止することができる。
【0181】
請求項7記載の本発明によれば、突起を撹拌部の残余の部分から突出させた状態で、接合ツールの没入を開始する。これによって接合ツールは、先鋭形状に形成される突起の頂点が最初に被接合物に接触する。頂点は接合ツールの軸線上に設けられるので接合ツールは、被接合物から摩擦力に抗する反力を受けることがない。これによって接合ツールが軸線に垂直な方向にずれることを防止することができる。
【0182】
また撹拌部の没入が完了するまでに、撹拌部の残余の部分に突起を没入することによって、突起が残余の部分から突出していた領域に流動化した被接合物が流れ込む。これによって突起による接合跡をなくすことができる。また突起が残余の部分から突出した状態で撹拌部が没入しつづけると撹拌部が被接合物を貫通するおそれがあるが、上述するように突起駆動手段によって突起を撹拌部の残余の部分に没入することによって、撹拌部が被接合物を貫通することを防止することができる。
【0183】
請求項8記載の本発明よれば、接合ツールを没入するべき位置に位置決め凹所を形成し、位置決め凹所に接合ツールの先端部を接合した状態で、摩擦撹拌接合することによって、接合ツールが位置決め凹所から抜け出すことなく、確実に没入すべき没入位置に接合ツールを没入させることができる。これによって接合ツールの位置ずれによる接合不良を防止することができる。
【0184】
さらに位置決め凹所が形成される付近の各被接合部材を仮止めすることによって、被接合部材がずれることおよび被接合部材間に隙間が形成することをなくし、より確実に接合不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である接合ツール20と被接合物21とが接触した状態を拡大して示す断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態の摩擦撹拌接合装置40を示す斜視図である。
【図3】接合ツール20の接合状態を説明する断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の摩擦撹拌接合装置60を示すブロック図である。
【図5】接合ツール70を拡大して示す断面図である。
【図6】図5のVI−VIの切断面線から見た断面図である。
【図7】図5のVII−VIIの切断面線から見た断面図である。
【図8】接合ツール70を拡大して示す断面図である。
【図9】摩擦撹拌接合装置60の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】摩擦撹拌接合装置60の動作を示す断面図である。
【図11】摩擦撹拌接合装置60の制御手段63の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明のさらに他の実施の形態の摩擦撹拌接合装置100を示す斜視図である。
【図13】摩擦撹拌接合装置100の電気的構成を示すブロック図である。
【図14】摩擦撹拌接合装置100の動作の要部を説明するための断面図である。
【図15】摩擦撹拌接合装置100が複数箇所を連続して接合する場合の制御手段124の動作を示すフローチャートである。
【図16】摩擦撹拌接合装置100が複数箇所を連続して接合する場合の動作を説明するための断面図である。
【図17】摩擦撹拌接合装置100が複数箇所を連続して接合する場合の動作を説明するための断面図である。
【図18】従来の技術の接合ツール2と被接合物1とが接触した状態を拡大して示す断面図である。
【図19】図18のS19−S19切断面線から見た図である。
【符号の説明】
20,70,101 接合ツール
21 被接合物
21a,21b 被接合部材
22,72 本体部
23,73 撹拌部
24,74 ピン部中央部
25,74 突起
26,76 頂点
27,77 ショルダ面
28,78 ピン部
30 受け台
40,60,100 摩擦撹拌接合装置
41 ツール保持具
42 ツール回転駆動手段
43 ツール変位駆動手段
44 受け台形成部
45 受け台駆動手段
61 ツール状態検出手段
62 突起駆動手段
102 凹所形成手段
103 挟持手段
123 電圧印加手段
105 押圧端子
113 支持端子

Claims (8)

  1. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に対して、その軸線まわりに回転しながら被接合物に撹拌部を没入し、被接合物を固相撹拌する接合ツールであって、
    撹拌部は、前記軸線に沿って突出し、前記軸線上に頂点を有する尖鋭形状に形成されることを特徴とする接合ツール。
  2. 撹拌部には、被接合物を穿孔するための穿孔刃が設けられることを特徴とする請求項1記載の接合ツール。
  3. 撹拌部は、中央部に突起を有し、この突起が前記軸線上に頂点を有する尖鋭形状に形成され、
    突起は、撹拌部の残余の部分に比べて出没自在に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の接合ツール。
  4. 複数の被接合部材を含んで設けられる被接合物に対して、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら、その接合ツールの撹拌部を被接合物に没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合装置であって、
    撹拌部に、前記軸線上に頂点を有する尖鋭形状に形成され、撹拌部の残余の部分に対して前記軸線方向へ突出および没入自在である突起を備える接合ツールと、
    前記接合ツールを前記軸線まわりに回転駆動するツール回転駆動手段と、
    前記接合ツールを前記軸線方向に沿って変位駆動するツール変位駆動手段と、前記接合ツールの突起を、撹拌部の残余の部分に対して、前記軸線方向へ突出および没入変位駆動する突起駆動手段とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
  5. 複数の被接合部材が当接されて設けられる被接合物に対して、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら被接合物に没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合装置であって、
    前記接合ツールを前記軸線まわりに回転駆動するツール回転駆動手段と、
    前記接合ツールを前記軸線方向に沿って変位駆動するツール変位駆動手段と、前記接合ツールが被接合物に没入されるときの接合ツールの軸線と一致する中心軸線を有し、接合ツールの先端形状に対応する形状の位置決め凹所を形成する凹所形成手段とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
  6. 前記凹所形成手段は、被接合物を挟んで配置される一対の電極端子の端子間に電圧を印加する電源部と、
    前記一対の電極端子を近接および離反変位駆動し、各電極端子によって被接合物を挟んで、位置決め凹所となる圧痕を形成する圧痕形成部とを有することを特徴とする請求項5記載の摩擦撹拌接合装置。
  7. 複数の被接合部材が当接されて設けられる被接合物に対して、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら、その接合ツールの撹拌部を被接合物に没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合方法であって、
    撹拌部に、軸線上に頂点を有する尖鋭形状に形成され、撹拌部の残余の部分に対して前記軸線方向へ突出および没入自在である突起を備える接合ツールを用い、その接合ツールの突起を撹拌部の残余の部分から突出させた状態で、接合ツールを被接合物に接触させ、
    接触後に接合ツールの突起を撹拌部の残余の部分に没入させて、接合ツールを回転させながら被接合物を軟化させて流動させる撹拌させる撹拌工程を含むことを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  8. 複数の被接合部材が当接されて設けられる被接合物に対して、接合ツールをその軸線まわりに回転させながら被接合物に没入させて、被接合物を固相撹拌する摩擦撹拌接合方法であって、
    一対の電極端子によって被接合物を両側から挟んで、被接合物に圧痕による位置決め凹所を形成する圧痕形成工程と、
    被接合物を挟んだ状態で、一対の電極端子間に電圧を印加して、各被接合部材を部分的に溶融させて仮止めする仮止工程と、
    各被接合部材が仮止された被接合物の位置決め凹所に接合ツールの先端部を嵌り込ませるように、接合ツールを回転させながら被接合物に没入し、被接合物を軟化させて流動させる撹拌工程とを含むことを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
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