JP2009204184A - 多管円筒式の熱交換器 - Google Patents

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Yuichi Hirata
裕一 平田
Hiroshi Yano
博士 矢野
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Abstract

【課題】原子力発電設備や火力発電設備に適用される熱交換器の胴板に使用する材料として、法的に認められているJIS規格材料のボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板として取り扱うことができる材料を用いて製作され、エロージョン・コロージョン減肉への耐性の高い熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器の胴内に蒸気又はドレンを導入する熱交換器において、該蒸気及びドレンが流入・接触する該熱交換器胴板及び内部品が、クロム含有量が0.15〜0.30重量%である規格材料のボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板で形成されており、該ボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板による前記胴板の形成範囲は、少なくとも前記熱交換器胴内への蒸気入口管台部及びドレン入口管台部の管台中心より管台径の4倍以上の胴長を含む範囲、及び該熱交換器の器内へ導入された前記蒸気が流れる通路を形成する隔壁を含む範囲とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱交換器の胴内に蒸気及びドレンを導入する熱交換器に関するものであり、特に、蒸気・ドレン入口付近の胴板や、胴内で蒸気通路を形成する隔壁での導入蒸気・ドレンの衝突によるエロージョン・コロージョン減肉に対し耐性の高い熱交換器に関するものである。
一般的に、熱交換器の胴板、鏡板及び胴内部の流路等を構成する内部品は炭素鋼が使用され、前記胴板、鏡板は内部流体の圧力に耐え得るように、鋼板の溶接構造で製作される。
前記炭素鋼が使用される熱交換器として、例えば火力発電設備や原子力発電設備で使用され、蒸気を発生する火力発電設備のボイラや加圧水(PWR)型原子力発電設備の蒸気発生器等への給水を加熱し供給する給水加熱器や脱気器が挙げられる。また、原子力発電設備の熱交換器では、高圧蒸気タービン排気蒸気中に含まれる水分を分離・除去し、再加熱し高温蒸気として低圧蒸気タービンへ蒸気を供給する湿分分離加熱器が挙げられる。
前記給水加熱器や脱気器では、熱源としてタービン抽気を器内に導入するが、タービン抽気は湿り蒸気であるため、抽気流入部付近や胴内の蒸気通路隔壁の炭素鋼使用部位では抽気の衝突によるエロージョン・コロージョン減肉が発生しやすいという問題がある。
また、前記湿分分離加熱器では被加熱流体である高圧タービン排気が湿り蒸気であるため、蒸気が流入、衝突する炭素鋼使用部位にエロージョン・コロージョン減肉が発生しやすいという問題がある。
また、湿り蒸気を胴内に導入するその他の熱交換器でも同様の問題が起こりうる。
そこで、前記給水加熱器や脱気器、湿分分離加熱器のように、湿り蒸気を器内に導入する熱交換器においては、湿り蒸気の流入、衝突部を耐エロージョン・コロージョン性の高い材料とし、エロージョン・コロージョン減肉を減少させることが考えられる。耐エロージョン・コロージョン性の高い材料としては一般的にステンレス鋼、低合金鋼(Cr−Mo鋼)が挙げられる。
しかしながら、ステンレス鋼は熱伸び量が大きく、部材に温度分布が生じる場合には熱応力が問題となる。また、高温域での強度低下が大きいため、圧力容器では強度確保のための板厚増加が必要となるが、機器重量の増加、及びこれに伴い機器据付部の基礎荷重が増加することで機器据付建屋の強度設計への影響もあり、コスト的な面からも現実的ではなく、給水加熱器や脱気器、湿分分離加熱器の胴板の材料としてステンレス鋼を用いることは難しい。
また、低合金鋼(Cr−Mo鋼)は溶接後の熱処理が必ず必要となる。熱交換器の胴及び器内の蒸気通路を構成する部品は全て溶接構造で製作されるが、器内の構造が複雑な湿分分離加熱器や脱気器の場合は熱処理時の器内部品への強度的な熱影響(熱応力)が懸念される。また、給水加熱器や脱気器、湿分分離加熱器では加熱管を含め内部品にステンレス鋼が多く用いられているが、内部品にステンレス鋼が使用されている場合、低合金鋼(Cr−Mo鋼)の熱処理温度がステンレス鋼の材料組織に熱影を与える温度域となる(ステンレスの鋭敏化)ことから、低合金鋼(Cr−Mo鋼)使用部位で溶接を行った部分の熱処理を行う場合には細心の注意が必要となり、部位によっては熱処理が困難な場合もある。
さらに、発電所で長年に渡り使用された熱交換器では経年的なエロージョンを受けることは避けられず、経年監視を行って経年的にエロージョン減肉を起こしている部分には溶接補修を行うか、又はステンレス製のプロテクタ板を溶接取付けするのが一般的であるが、仮に熱交換器の胴板(耐圧容器部分)で低合金鋼(Cr−Mo鋼)を使用した部分にエロージョン減肉が発生していても、前記のような制約から溶接補修後の熱処理が行えない場合には溶接補修そのものが出来ないという問題点があり、給水加熱器や脱気器、湿分分離加熱器の胴板、及び器内部品の材料として低合金鋼(Cr−Mo鋼)を用いることについては、技術的課題が多いのが現状である。
なお、耐エロージョン・コロージョン性の向上対策として、前記のとおり炭素鋼板の表面にステンレス製のプロテクト板を貼り付けたり、又は、ステンレス鋼と炭素鋼を貼りあわせたグラッド鋼板を使用することが行われており、このような技術は例えば特許文献1に開示されているが、根本的な問題の解決にはなっていない。
特開2000−111005号公報
本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、原子力発電設備や火力発電設備に適用される熱交換器の胴板に使用する材料として、法的に認められている日本工業規格(以下JISと称する)規格材料のボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板として取り扱うことができる材料を用いて製作され、エロージョン・コロージョン減肉への耐性の高い熱交換器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明においては、
熱交換器の胴内に蒸気又はドレンを導入する熱交換器において、該蒸気及びドレンが流入・接触する該熱交換器胴板及び内部品が、クロム含有量が0.15〜0.30重量%である規格材料のボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板で形成されており、該ボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板による前記胴板の形成範囲は、少なくとも前記熱交換器胴内への蒸気入口管台部及びドレン入口管台部の管台中心より管台径の4倍以上の胴長を含む範囲、及び該熱交換器の器内へ導入された前記蒸気が流れる通路を形成する隔壁を含む範囲としたことを特徴とする。
JIS規格で規定されているボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板のクロム含有量は0.30重量%以下であり、クロム含有量が0.15〜0.30重量%の範囲であれば、JIS規格材料のボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板(以下SB材と称する)として取り扱うことができる。
また、鉄鋼材料はその成分元素のうちクロムの含有量が増加すると酸化による腐食減肉量が減少することが知られている。
図5は、日本機械学会:JSME S CA1−2005 発電用設備規格 配管減肉管理に関する規格(2005年版)(増訂版)から引用したクロム含有量(重量%)と減肉による重量減少量(g/m2)の関係を示したグラフであり、縦軸は炭素鋼の重量減少量、横軸はクロム含有量を示し、溶存酸素濃度5ppb未満、中性の流体を試験時間2000時間流通させたときのデータである。図5から明らかであるように、クロム含有量が増加すると腐食による減肉量(重量減少量)が減少しており、例えばクロム含有量が0%と0.3%ではほぼ5倍の減肉量の違いがある。また、クロム含有量が0.15%では約0.7g/m2の重量減少量であるので、クロム含有量が0%で2.5g/m2の重量減少量であるとすると、0.7/2.5=0.28、即ちクロム含有量0.15%の炭素鋼は、クロム含有量0%の炭素鋼の28%の減肉量に抑えることができる。
従ってクロム含有量の下限を0.15%と規定し、一定以上のクロム含有量のSBを使用することで酸化による腐食減肉量を小さくすることができる。
このようなクロム含有量が0.15〜0.30重量%であるJIS規格材料のSB材(以下微量Cr炭素鋼と称する)で、少なくとも前記熱交換器胴内への蒸気入口管台部及びドレン入口管台部の管台中心より管台径の4倍以上の胴長を含む範囲、及び該熱交換器の器内へ導入された前記蒸気が流れる通路を形成する隔壁を含む範囲を形成することで、蒸気入口から導入された蒸気及びドレン入口から導入されたドレンの衝突によるエロージョン・コロージョン減肉を減少させることができる。
前記微量Cr炭素鋼で形成される範囲は、発電設備で使用されている機器の実績により蒸気の衝突によるエロージョン・コロージョン減肉が大きい範囲、つまり、少なくとも前記熱交換器胴内への蒸気入口管台部及びドレン入口管台部の管台中心より管台径の4倍以上の胴長を含む範囲、及び該熱交換器の器内へ導入された前記蒸気が流れる通路を形成する隔壁を含む範囲以上とする必要があるが、範囲の上限は特に限定されるものではなく胴全体を微量Cr炭素鋼で形成してもよい。
また、微量Cr炭素鋼は、従来通り炭素鋼(SB材)として使用することができるため、ステンレス鋼使用時の熱伸び量増加や重量増加への影響がなく、また、溶接構造物としては従来通りのSB材の溶接に対する熱処理要求で対応することができ、熱交換器への製作性への影響がない。また、仮に経年劣化等により減肉等が生じた場合でも、通常の炭素鋼と同様に補修することができる。また、さらなる耐エロージョン・コロージョン性の向上が必要であるときにも、ステンレスの薄板の溶接による貼り付けも可能である。
よって、微量Cr炭素鋼で、実績により蒸気の衝突によりエロージョン・コロージョン減肉が発生しやすい少なくとも前記熱交換器胴内への蒸気入口管台部及びドレン入口管台部の管台中心より管台径の4倍以上の胴長を含む範囲、及び該熱交換器の器内へ導入された前記蒸気が流れる通路を形成する隔壁を含む範囲を形成することで、熱交換器の製作やメンテナンス性に影響を与えることなく、耐エロージョン・コロージョン性を向上させることができる。
また、前記熱交換器は、火力発電設備及び原子力発電設備で用いられる給水加熱器、脱気器、及び湿分分離加熱器であって、前記給水加熱器の蒸気入口管台部及びドレン入口管台部、前記脱気器や湿分分離加熱器の蒸気入口管台部及び胴内蒸気通路隔壁部を前記ボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板で形成したことを特徴とする。
発電設備で用いられる給水加熱器は、通常複数の給水加熱器が直列に設けられており、1の給水加熱器で熱交換に使用された蒸気のドレンを、別の低温の給水加熱器に熱源として導入する。このドレンはより低圧の給水加熱器に導入されることとなるので、減圧沸騰によって蒸気が発生し、これにより胴内に腐食が生じる可能性がある。
そのため、クロム含有量が0.15〜0.30重量%であるJIS規格材料のSB材(微量Cr炭素鋼)で、少なくとも前記熱交換器胴内への蒸気入口管台部及びドレン入口管台部の管台中心より管台径の4倍以上の胴長を含む範囲、及び該熱交換器の器内へ導入された前記蒸気が流れる通路を形成する隔壁を含む範囲を形成することで、ドレンを導入することに起因するエロージョン・コロージョン減肉を減少させることができる。
以上記載のごとく本発明によれば、一般的に熱交換器に使用されるJIS規格材料のSB材として取り扱うことができる材料を用いて製作され、エロージョン・コロージョン減肉への耐性の高い熱交換器を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1、図2は、本発明の熱交換器を使用した発電設備の概略構成図である。
なお、図1は火力発電設備の概略構成図、図2は加圧水(PWR)型原子力発電設備の概略構成図である。
図1及び図2に従って、火力及び原子力発電設備の概要について説明する。
図1において、ボイラ10aで発生した蒸気は、主蒸気として高圧タービン1Aに送られ、該高圧タービン1Aを駆動する。高圧タービン1Aを駆動させた後の排気蒸気はボイラ10aで再加熱されて、中圧タービン1Bに送られ、該中圧タービン1Bを駆動し、さらに、該中圧タービン1Bを駆動した蒸気は低圧タービン1Cへ送られ該低圧タービン1Cを駆動する。そして、高圧タービン1A、中圧タービン1B及び低圧タービン1Cの駆動力により、これらの高圧、中圧、低圧タービン1A、1B、1Cに直結した図示しない発電機を駆動して発電を行う。
低圧タービン1Cを駆動した後の排気蒸気は、前記低圧タービン1Cの排気蒸気出口に設けられた復水器3に送られ、該復水器3で冷却され凝縮して水(復水)となる。そして、前記復水器3で凝縮した水は復水ポンプ4によって図示しない復水処理装置に送られ、ここで鉄、銅等の不純物が除去される。その後、前記不純物が除去された水は、複数(本実施例においては3つ)の低圧給水加熱器6a〜6cで加熱、脱気器7で脱気及び加熱され、給水ポンプ8により加圧された水(給水)となり高圧給水加熱器9aへ送られる。前記加圧水は複数(本実施例においては2つ)の高圧給水加熱器9a〜9bで加熱されてボイラ10aへ供給され、加熱されて再びタービン駆動蒸気として使用される。
なお、複数(3つ)の低圧給水加熱器6a〜6cには低圧タービン1Cより抽出された抽気蒸気によって復水を加熱する。また、脱気器7では中圧タービン1Bより抽出された抽気蒸気によって低圧給水加熱器6cより送られてきた給水を脱気すると共に加熱し、複数(2つ)の高圧加熱器9a〜9bでは、中圧タービン1B及び高圧タービン1Aより抽出された抽気蒸気によって、給水ポンプ8によって送られてきた給水を加熱し、高温高圧の給水をボイラ10aに供給することにより熱効率を向上させている。なお、各給水加熱器胴内で抽気蒸気が凝縮した高温ドレンはそれぞれ前段の給水加熱器の胴内に供給され、復水又は給水の加熱源としても利用される。
図2においては、加圧水(PWR)型原子力発電設備の概略構成を示すが、低圧給水加熱器6a〜6d、脱気器7、及び高圧給水加熱器9aの作用は火力発電設備のそれと同一であり、本図では湿分分離加熱器2の作用につき説明する。
蒸気発生器10bで発生した蒸気は主蒸気として高圧タービン1Aへ送られ、該高圧タービン1Aを駆動する。高圧タービン1Aを駆動させた後の排気蒸気は湿分分離加熱器2内で排気蒸気内の湿分(水滴)を除去し主蒸気からの注記蒸気及び高圧タービン1Aからの注記蒸気により再加熱されて、低圧タービン1Cに送られる。
このような図1及び図2に示した火力及び原子力発電設備において、前記低圧給水加熱器6a〜6d、高圧給水加熱器9a〜9b、湿分分離器2及び脱気器7に、本発明の熱交換器を採用する。
以降において、低圧給水加熱器6a〜6d及び高圧給水加熱器9a〜9bは何れもほぼ同じ構造であるので、給水加熱器のうちの1つとして低圧給水加熱器6bについて説明し、次いで湿分分離加熱器2、脱気器7について説明していく。
図3は低圧給水加熱器6bを部分的に断面で表す側面図である。
図3を用いて低圧給水加熱器6bについて説明する。
低圧給水加熱器6bの前段の低圧給水加熱器6aで加熱された復水は、復水入口管台63から低圧給水加熱器6bの水室66内に入り、伝熱管68内へ送られる。復水は伝熱管68内を通過するときに抽気蒸気入口管台61より低圧給水加熱器6bの胴内100へ供給される抽気蒸気により加熱される。また、後段の給水加熱器より低圧給水加熱器6bの胴内100へ供給されたドレンは低圧給水加熱器6bの胴内で一部が減圧により瞬間的に蒸発(フラッシュ)し、伝熱管68内の復水を加熱する。これらの抽気蒸気及びドレンがフラッシュした蒸気は伝熱管68内の復水を加熱する(抽気蒸気及びフラッシュ蒸気は復水により冷却される)ことにより凝縮し、低圧給水加熱器6bのドレンとなって、ドレン出口管台69より排出され、前段の給水加熱器の胴内へ供給される。伝熱管68内で加熱された復水は水室67を経て復水出口管台64より排出され、後段の給水加熱器、脱気器、ボイラ、蒸気発生器等へ送られる。
このような給水加熱器6bにおいて、図3に斜線で示した領域A及び領域Bの範囲をクロム含有量が0.15〜0.30重量%であるボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板(SB材)(微量Cr炭素鋼)にて胴板を作成する。
なお、領域Aは前記抽気蒸気入口管台61の中心より前記抽気蒸気入口管台径Dの4倍の胴長4Dとし、領域Bは前記ドレン入口管台62の中心より前記ドレン入口管台径dの4倍の胴長4dとする。
これにより、領域Aにおいては蒸気入口61から導入された蒸気の衝突によるエロージョン・コロージョン減肉を、領域AをCr含有量を規定しない炭素鋼で製作した場合と比較して削減することが可能となる。
また、領域Bにおいてはドレン入口62から導入されたドレン及び該ドレンが瞬間蒸発して発生した蒸気によるエロージョン・コロージョン減肉を、領域BをCr含有量を規定しない炭素鋼で製作した場合と比較して削減することが可能となる。
なお、領域A及び領域B以外の胴内においては、蒸気の衝突頻度が小さく、蒸気によるエロージョン・コロージョン減肉が比較的発生しにくいためCr含有量を規定しない炭素鋼でも実績的に問題はないが、給水加熱器を製作する際に1つの統一した材料で製作する方が製作管理上は容易であり、胴板全体を微量Cr炭素鋼で製作してもよい。
図4(A)は横置き2段加熱型の代表的な湿分分離加熱器2の側面図で、部分的に機器の内部を断面で表している。図4(B)は図4(A)におけるC−C断面図、図4(C)は図4(A)におけるD−D断面図、図4(D)は図4(A)におけるE−E断面図である。
図4(A)〜(D)を用いて湿分分離加熱器2について説明する。
湿分分離加熱器2は、円筒状の胴本体胴板20内に、湿分セパレータ211、第1段加熱器管群212、及び第2段加熱器管群213を内包している。胴本体中央部の下部には蒸高圧タービンからの排気蒸気(以下サイクル蒸気と称する)入口管台21が設けられており、前記サイクル蒸気入口管台21の胴内側には半円筒状の受衝板221が設置されている。また、胴本体中央部には仕切板222及び天井板223が設置され、前記サイクル蒸気が前記管群212及び213をバイパスしない構造としている。
前記高圧タービン1Aを駆動した後の前記サイクル蒸気は、前記サイクル蒸気入口管台21より胴内に流入し受衝板221に衝突して、胴上部に上昇した後、蒸気マニホールド板224と側面囲板225及び前記胴本体胴板20で囲まれた蒸気通路22に流入し、前記サイクル蒸気は胴内長手方向全体に送られる。その後、前記サイクル蒸気は前記マニホールド板224に設けられている蒸気入口開口25より胴下部に送られ、湿分セパレータ211を通過することで湿分が除去された後、蒸気通路24を経て、第1段加熱器管群212、蒸気通路25、第2段加熱器管群213、蒸気通路26を通過し、蒸気出口管台27より排出され、前記低圧タービン1Cに供給される。なお、湿分セパレータ211で分離除去された湿分は胴本体下部にドレンとなって集まり、ドレン出口管台28より排出される。
このような湿分分離加熱器2において、図4に斜線で示した胴本体胴板20、仕切板222、天井板、223、蒸気マニホールド板224、及び側面囲板225は湿分セパレータ211で湿分が除去される前の蒸気であり、蒸気の衝突によるエロージョン・コロージョン減肉が想定される部位である。この、図4の斜線で示した前記部位の範囲をクロム含有量が0.15〜0.30重量%であるボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板(SB材)(微量Cr炭素鋼)にて胴板を製作する。
これにより、前記図4の斜線で示した部位においては前記サイクル蒸気の衝突によるエロージョン・コロージョン減肉を、Cr含有量を規定しない炭素鋼で製作した場合と比較して削減することが可能となる。
なお、前記図3の斜線で示した部位以外の部分おいては、湿分セパレータ211にて湿分が除去された蒸気で、サイクル蒸気の衝突による影響はほとんどなくCr含有量を規定しない炭素鋼で製作しても問題はないが、湿分分離加熱器を製作する際に1つの統一した材料で製作する方が製作管理上は容易であり、胴板、及び内部品全体を微量Cr炭素鋼で製作してもよい。
図5は2胴式の代表的な脱気器7を部分的に断面で表す側面図である。
図5を用いて脱気器7について説明する。
前記低圧給水加熱器6c又は6dで加熱された復水は、脱気器71A、71B上部の復水入口管台72より流入し、スプレー弁73にて脱気器71A、71B内に分配供給される。一方、前記中圧タービン1B又は高圧タービン1Aよりの抽気蒸気が脱気器71A、71B胴中央部の下部に設けられた蒸気入口管台74より前記脱気器71A、71B内に供給され、蒸気噴射穴の空けられた蒸気噴射管75内に流入し、前記蒸気噴射管75の蒸気噴射穴より脱気器71胴内に噴射される。前記脱気器71の胴内では、前記復水が加熱源となる抽気蒸気と接触することにより、脱気・加熱される。加熱された復水と加熱後凝縮した抽気蒸気ドレンは脱気器タンク76へ供給・貯水される。
このような脱気器7において、図4に斜線で示した領域Hは、前記中圧タービン1B又は高圧タービン1Aからの抽気蒸気が流入する部位、及び、抽気蒸気を胴内に噴射する蒸気噴射管75からの噴射蒸気が前記脱気器71の胴本体胴板77に衝突する部位であり、蒸気の衝突によるエロージョン・コロージョン減肉が想定される部位である。この範囲の胴本体胴板77をクロム含有量が0.15〜0.30重量%であるボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板(SB材)(微量Cr炭素鋼)で製作する。
これにより、領域Hにおいては蒸気噴射管75から噴出される蒸気の衝突によるエロージョン・コロージョン減肉を、Cr含有量を規定しない炭素鋼で製作した場合と比較して削減することが可能となる。
なお、領域H以外の胴本体胴板においては、蒸気の衝突によるエロージョン・コロージョン減肉がほとんど発生しないためCr含有量を規定しない炭素鋼で製作しても問題はないが、脱気器を製作する際に1つの統一した材料で製作する方が製作管理上は容易であり、胴本体胴板全体を微量Cr炭素鋼で製作してもよい。
一般的に熱交換器に使用されるJIS規格材料のボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板(SB材)として取り扱うことができる材料を用いて製作され、エロージョン・コロージョン減肉への耐性の高い熱交換器として、例えば火力及び加圧水(PWR)型原子力発電設備における給水加熱器や湿分分離加熱器、脱気器として利用される。
本発明の熱交換器を使用した火力発電設備の概略構成図である。 本発明の熱交換器を使用した加圧水(PWR)型原子力発電設備の概略構成図である。 給水加熱器を部分的に断面で表す側面図である。 図4(A)は湿分分離加熱器を部分的に断面で表す側面図、図4(B)は図4(A)におけるC−C断面図、図4(C)は図4(A)におけるD−D断面図、図4(D)は図4(A)におけるE−E断面図である。 脱気器を部分的に断面で表す側面図である。 クロム含有量(重量%)と減肉による重量減少量(g/m)の関係を示したグラフである。
符号の説明
1A 高圧タービン
1B 中圧タービン
1C 低圧タービン
2 湿分分離加熱器
3 復水器
4 復水ポンプ
6a、6b、6c、6d 低圧給水加熱器
7 脱気器
8 給水ポンプ
9a、9b 高圧給水加熱器
20 胴本体胴板(湿分分離加熱器)
21 サイクル蒸気入口管台
61 抽気蒸気入口管台
62 ドレン入口管台
63 復水入口管台
68 伝熱管
72 復水入口管台
74 蒸気入口管台
100 胴(高圧給水加熱器)

Claims (4)

  1. 熱交換器の胴内に蒸気及びドレンを導入する熱交換器において、
    前記蒸気及びドレンが流入・接触する前記熱交換器の胴板及び内部品が、クロム含有量が0.15〜0.30重量%である規格材料のボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板で形成されていることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記ボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板による胴板の形成範囲を、少なくとも前記熱交換器胴内への前記蒸気入口管台部及び前記ドレン入口管台部の管台中心より前記管台径の4倍以上の胴長を含む範囲、及び前記熱交換器の器内へ導入された前記蒸気が流れる通路を形成する隔壁を含む範囲としたことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  3. 前記ボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板による胴板及び内部品の形成範囲を、少なくとも前記熱交換器の器内へ導入された前記蒸気が流通又は衝突する部位を包囲する範囲としたことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  4. 前記熱交換器は、火力発電設備及び原子力発電設備で用いられる給水加熱器、脱気器、及び湿分分離加熱器であって、前記給水加熱器の蒸気入口管台部及びドレン入口管台部、前記脱気器や湿分分離加熱器の蒸気入口管台部及び胴内蒸気通路隔壁部を前記ボイラ及び圧力容器用炭素鋼鋼板で形成したことを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の熱交換器。

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